JP3329639B2 - 点火制御バックアップ装置 - Google Patents

点火制御バックアップ装置

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尚己 冨澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの点火制
御(点火時期制御)において、CPUの異常時に点火制
御をバックアップするための点火制御バックアップ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエンジンの点火制御装置として、
次のようなものがある。図1を参照し、カム軸センサ
は、クランク軸回転の1/2の速度であるカム軸回転に
同期してカム軸の 360°/n(nは気筒数)回転毎に、
複数の隣接したパルスからなるフェーズ信号PHASE
を出力する。ここで、各フェーズ信号PHASEにおけ
るパルス数は気筒判別のために互いに異ならせてある。
【0003】クランク軸センサは、クランク軸回転に同
期してクランク軸の単位クランク角(例えば10°CA)
回転毎に、ポジション信号POSを出力すると共に、ポ
ジション信号POSのうちクランク軸の 360°/(n/
2)回転毎のものに隣接させてリファレンス信号REF
を出力する。これらカム軸センサ及びクランク軸センサ
からの信号は、CPUに入力されて、これにより点火時
期が制御される。
【0004】すなわち、クランク軸センサからの信号に
ついて、Hレベル期間とこれに続くLレベル期間との比
(A/B)の大小により、ポジション信号POSとリフ
ァレンス信号REFとを識別する。そして、リファレン
ス信号REFとカム軸センサからのフェーズ信号PHA
SEとの組合わせで気筒判別を行う一方、リファレンス
信号REFの発生からのポジション信号POSの発生数
をカウントして、点火時期を制御する。但し、ポジショ
ン信号POSは10°CA単位であるため、10°CA内は
いわゆる時間制御により点火時期を制御する。
【0005】本方式は、フェーズ信号PHASE、リフ
ァレンス信号REF、ポジション信号POSの3信号を
2つのセンサで形成できる点で、安価に実現できる点に
特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の点火制御装置にあっては、フェーズ信号PH
ASE、リファレンス信号REF、ポジション信号PO
Sの3信号を2つのセンサで実現しているため、センサ
信号についてはCPUのソフトウェアによって検出・分
離するしかない程、複雑となっているため、CPUが異
常(NG)となった時に、センサ信号をそのまま用い
て、簡単なハード回路で点火制御することができない。
よって、CPUの異常時のバックアップ処理が行えず、
信頼性の低下を招いているという問題点があった。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、この種のカム軸センサ及びクランク軸センサの信号
を用いて、CPUの異常時に点火制御を簡単にバックア
ップ可能とした点火制御バックアップ装置を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に係
る発明では、クランク軸回転の1/2の速度であるカム
軸回転に同期してカム軸の 360°/n(nは気筒数)回
転毎に、複数の隣接したパルスからなるフェーズ信号を
出力し、各フェーズ信号におけるパルス数を気筒判別の
ために互いに異ならせるようにしたカム軸センサと、ク
ランク軸回転に同期してクランク軸の単位クランク角回
転毎に、ポジション信号を出力すると共に、ポジション
信号のうちクランク軸の 360°/(n/2)回転毎のも
のに隣接させてリファレンス信号を出力するクランク軸
センサと、これらカム軸センサ及びクランク軸センサか
らの信号に基づいて各気筒の点火時期を制御するCPU
と、を備えるエンジンの点火制御装置において、CPU
の異常時に点火制御をバックアップする装置として、下
記の手段を設ける。
【0009】すなわち、カム軸センサからの信号を入力
して積分処理し、各フェーズ信号をそれぞれ単一のパル
スに変換する第1の信号処理回路と、クランク軸センサ
からの信号を入力して積分処理し、リファレンス信号を
これが隣接するポジション信号に連ねて単一のパルスに
変換する第2の信号処理回路と、第1の信号処理回路の
出力パルスでリセットされ、第2の信号処理回路の出力
パルスをカウントするカウンタと、カウンタのカウント
値が所定値になる毎に全気筒へ点火信号を出力するバッ
クアップ点火信号出力回路とを設ける。
【0010】かかる点火制御バックアップ装置において
は、カム軸センサからの信号は、第1の信号処理回路に
より、フェーズ信号単位のパルスに変換され、クランク
軸センサからの信号は、第2の信号処理回路により、ポ
ジション信号単位のパルスに変換される。よって、カウ
ンタにより、第1の信号処理回路の出力パルスを基準と
して、第2の信号処理回路の出力パルスをカウントし、
そのカウント値が所定値になる毎に、バックアップ点火
信号出力回路より、全気筒へ点火信号を出力すること
で、CPUの異常時の点火制御のバックアップが可能と
なる。
【0011】請求項2に係る発明では、前記第1及び第
2の信号処理回路は、抵抗とコンデンサとからなる積分
回路(CR回路)と、その出力を波形整形する波形整形
回路とからなることを特徴とする。これにより、簡単な
回路で実現できる。請求項3に係る発明では、前記積分
回路(CR回路)における抵抗と並列に、該抵抗より抵
抗値小の抵抗と、コンデンサ充電方向にのみ導通するダ
イオードとの直列回路を設けたことを特徴とする。
【0012】これにより、フェーズ信号又はポジション
信号の立上がり時のCR充電時定数を短くすることがで
き、立上がりを正確に合わせられるので、CR回路追加
によるタイミングのズレが無く、バックアップ時に正確
な点火時期が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図1
〜図6により説明する。図2はエンジンの点火制御装置
の全体図である。カム軸センサ1からの信号(PHAS
E)、及び、クランク軸センサ2からの信号(POS/
REF)は、既に図1で説明した通りであり、これらは
CPU3に入力されている。
【0014】CPU3では、これらの信号に基づき、前
述のようにして、各気筒の点火時期を制御する。一方、
CPU3のプログラムラン信号を監視するなどしてCP
U3の異常を検出する異常検出回路4が設けられ、異常
検出時には、CPU3をリセットすると共に、切換回路
5を切換えて、バックアップ装置6により、カム軸セン
サ1及びクランク軸センサ2からの信号に基づいて、所
定のタイミングで全気筒へ点火信号を出力するようにす
る。
【0015】図3はバックアップ装置6の構成図であ
る。カム軸センサ1からの信号(PHASE)は第1の
信号処理回路11に入力され、クランク軸センサ2からの
信号(POS/REF)は第2の信号処理回路12に入力
される。第1及び第2の信号処理回路11,12は、図4に
示すように、共に、抵抗R1 とコンデンサCとからなる
積分回路(CR回路)101 と、その出力を波形整形する
波形整形回路(バッファ)102 とからなる。
【0016】また、積分回路(CR回路)101 における
抵抗R1 と並列に、該抵抗R1 より抵抗値小の抵抗R2
と、コンデンサC充電方向にのみ導通するダイオードD
との直列回路を設けている。波形整形回路102 は、入力
を予め定めたスレッシュホールドレベルVthと比較し、
入力の方が大きい場合にHレベルの信号を出力するもの
である。
【0017】従って、第1又は第2の信号処理回路11,
12に対し、図5(a)に示すような2つの隣接したパル
スが入力されると、積分回路101 により、図5(b)に
示すように波形となり、これが波形整形回路102 により
スレッシュホールドレベルVthとの大小で、図5(c)
に示すような波形整形されたパルスに変換される。ここ
で、抵抗R2 とダイオードDとの付加により、入力の立
上がり時のCR充電時定数を短くすることができ、これ
によって入力の立上がりと出力の立上がりとを正確に合
わせられるので、CR回路追加によるタイミングのズレ
が無くなる利点がある。
【0018】従って、カム軸センサ1からの信号につい
ては、第1の信号処理回路11により、複数の隣接したパ
ルスからなるフェーズ信号PHASEが単一のパルスに
変換されることで、フェーズ信号PHASE単位のパル
スに変換される(図4参照)。また、クランク軸センサ
2からの信号については、第2の信号処理回路12によ
り、リファレンス信号REFがこれに隣接するポジショ
ン信号POSに連ねられて単一のパルスに変換されるこ
とで、ポジション信号POS単位のパルスに変換される
(図4参照)。
【0019】第1の信号処理回路11の出力はカウンタ13
のリセット端子に入力され、第2の信号処理回路12の出
力はカウンタ13のカウント端子に入力される。従って、
カウンタ13は、第1の信号処理回路11の出力パルスでリ
セットされ、第2の信号処理回路12の出力パルスをカウ
ントする(図6参照)。カウンタ13の出力はバックアッ
プ点火信号出力回路(コンパレータ)14に入力される。
【0020】バックアップ点火信号出力回路14は、カウ
ンタ13のカウント値と予め定められた所定値とを比較
し、カウント値が所定値に一致する毎に、全気筒へ点火
信号を出力する(図6参照)。これにより、CPUの異
常時の点火制御のバックアップが可能となる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、CPUの異常時に、カム軸センサ及びクラ
ンク軸センサの信号を用いて、点火制御を簡単にバック
アップすることができ、安価にして、信頼性を大幅に向
上させることができるという効果が得られる。
【0022】請求項2に係る発明によれば、積分回路と
波形整形回路という簡単な回路で実現できるという効果
が得られる。請求項3に係る発明によれば、簡単な付加
回路で立上がりを正確に合わせることができ、タイミン
グのズレを生じることなく、バックアップ時の点火時期
を正確化できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カム軸センサ及びクランク軸センサの信号波
形図
【図2】 本発明の実施の形態を示す点火制御装置の全
体図
【図3】 バックアップ装置の構成図
【図4】 第1及び第2の信号処理装置の構成図
【図5】 信号処理の説明図
【図6】 点火信号出力タイミングの説明図
【符号の説明】
1 カム軸センサ 2 クランク軸センサ 3 CPU 4 異常検出回路 5 切換回路 6 バックアップ装置 11 第1の信号処理回路 12 第2の信号処理回路 13 カウンタ 14 バックアップ点火信号出力回路 101 積分回路(CR回路) 102 波形整形回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランク軸回転の1/2の速度であるカム
    軸回転に同期してカム軸の 360°/n(nは気筒数)回
    転毎に、複数の隣接したパルスからなるフェーズ信号を
    出力し、各フェーズ信号におけるパルス数を気筒判別の
    ために互いに異ならせるようにしたカム軸センサと、 クランク軸回転に同期してクランク軸の単位クランク角
    回転毎に、ポジション信号を出力すると共に、ポジショ
    ン信号のうちクランク軸の 360°/(n/2)回転毎の
    ものに隣接させてリファレンス信号を出力するクランク
    軸センサと、 これらカム軸センサ及びクランク軸センサからの信号に
    基づいて各気筒の点火時期を制御するCPUと、 を備えるエンジンの点火制御装置において、 CPUの異常時に点火制御をバックアップする装置とし
    て、 カム軸センサからの信号を入力して積分処理し、各フェ
    ーズ信号をそれぞれ単一のパルスに変換する第1の信号
    処理回路と、 クランク軸センサからの信号を入力して積分処理し、リ
    ファレンス信号をこれが隣接するポジション信号に連ね
    て単一のパルスに変換する第2の信号処理回路と、 第1の信号処理回路の出力パルスでリセットされ、第2
    の信号処理回路の出力パルスをカウントするカウンタ
    と、 カウンタのカウント値が所定値になる毎に全気筒へ点火
    信号を出力するバックアップ点火信号出力回路と、 を設けたことを特徴とする点火制御バックアップ装置。
  2. 【請求項2】前記第1及び第2の信号処理回路は、抵抗
    とコンデンサとからなる積分回路と、その出力を波形整
    形する波形整形回路とからなることを特徴とする請求項
    1記載の点火制御バックアップ装置。
  3. 【請求項3】前記積分回路における抵抗と並列に、該抵
    抗より抵抗値小の抵抗と、コンデンサ充電方向にのみ導
    通するダイオードとの直列回路を設けたことを特徴とす
    る請求項2記載の点火制御バックアップ装置。
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