JP3327296B2 - トラクション制御装置 - Google Patents

トラクション制御装置

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JP3327296B2
JP3327296B2 JP07341292A JP7341292A JP3327296B2 JP 3327296 B2 JP3327296 B2 JP 3327296B2 JP 07341292 A JP07341292 A JP 07341292A JP 7341292 A JP7341292 A JP 7341292A JP 3327296 B2 JP3327296 B2 JP 3327296B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、駆動トルク制御とブレ
ーキ制御との併用によって車両駆動時に駆動輪が空転す
ることを防止するトラクション制御装置に関するもので
あり、特に、トラクション制御に基づいて左右駆動輪の
差動装置に加えられる負担を軽減する技術に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】過剰な駆動トルクによって駆動輪が空転
することを防止するトラクション制御装置が既に知られ
ている。これは一般に、本出願人の特開昭62−137
255号公報にも記載されているように、車両駆動時に
各駆動輪が空転しないように各駆動輪の駆動トルクを減
少させるとともに各駆動輪のブレーキを作用させるよう
に構成される。
【0003】ところで、本出願人は、左右駆動輪のブレ
ーキの作用が差動装置に及ぼす影響を研究し、その結
果、次のような事実を見い出した。すなわち、ブレーキ
の作用が強いほど左右駆動輪から差動装置に大きなトル
クが入力されるのであるが、車両駆動時にはその差動装
置入力トルクが大きいほど差動装置に加えられる負担が
重く、また、その負担は、差動装置の差動量(例えば、
左右駆動輪の回転数差,回転数比等)が大きいほど重い
という事実を見い出したのである。したがって、差動装
置の負担を軽減するためには、車両駆動時に大きな差動
装置入力トルクも大きな差動量も発生させないようにす
ることが大切である。なお、それら差動装置入力トルク
と差動量と差動装置の負担との関係は実施例において具
体的に説明する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の、従来
のトラクション制御装置は、差動装置に加えられる負担
の大小とは無関係にトラクション制御を行うため、場合
によっては、差動装置入力トルクが大きくなってしまう
ことや、差動量が大きくなってしまうことがある。例え
ば、左右で摩擦係数が大きく異なるスプリット路(例
えば、左右の一方が氷路、他方がアスファルト路である
スプリット路)上でアクセルペダル等の加速操作部材を
急に大きく加速操作することによって車両を発進させた
ためためにトラクション制御が行われ、大きな差動量の
下で左右駆動輪のいずれについてもブレーキが強く作用
させられる場合や、車両旋回中に加速操作部材を急に
大きく加速操作したためにトラクション制御が行われ、
大きな差動量の下で左右駆動輪のいずれについてもブレ
ーキが強く作用させられる場合などには、差動装置入力
トルクも差動量も大きくなってしまうことがあるのであ
る。
【0005】このような事情に鑑み、本発明は、車両発
進時,加速時等に車両の加速性を損なうことなく方向安
定性を維持するというトラクション制御本来の機能をで
きる限り損なうことなくトラクション制御に基づいて差
動装置に加えられる負担をできる限り軽減することを課
題として為されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の要旨は、エンジン,動力伝達装置および差動
装置を含む駆動系に差動装置において左右の駆動輪が接
続され、それら左右の駆動輪にそれぞれブレーキが設け
られた車両駆動時に、各駆動輪が空転しないように各
駆動輪の駆動トルクを減少させるとともに各駆動輪のブ
レーキを作用させるトラクション制御を行う装置におい
て、図1に示すように、(a) 差動装置の差動量を取得
する差動量取得手段1と、各駆動輪のブレーキを作用
させた場合に各駆動輪から差動装置に入力されると予想
される差動装置入力トルクを取得する差動装置入力トル
ク取得手段2と、差動量取得手段によって取得された
差動量と差動装置入力トルク取得手段によって取得され
た差動装置入力トルクとに基づいて差動装置の負担の軽
重を判定する負担軽重判定手段3とを含む差動装置負担
推定手段4と、(b) その差動装置負担推定手段4によっ
推定された負担が軽い場合にはトラクション制御のた
めのブレーキの作用を許可し、重い場合には禁止するブ
レーキ作用許可・禁止手段とを設けたことにある。
【0007】なお、本発明における「差動装置負担推定
手段4」は、前述のように、差動装置の差動量と差動装
置入力トルクと差動装置の負担との間には一定の関係が
存在するという事実を利用するものであり、上記負担軽
重判定手段3を、例えば、取得された差動量と差動装置
入力トルクとが予定された条件を満たす場合には差動装
置の負担が軽く、満たさない場合には重いと判定するも
のとすることができる。また、差動量取得手段におけ
る「差動量」には例えば、左右駆動輪の回転数差や回転
数比を選ぶことができる。
【0008】
【0009】なお、本発明を実施するに当たり、各駆動
輪の駆動トルクを制御する方式は種々のものとすること
ができ、例えば、エンジンのスロットルバルブを制御す
る方式としたり、エンジンの燃料噴射量,点火時期等を
制御する方式としたり、それらを併用する方式とするこ
とができる。また、本発明を実施するに当たり、ブレー
キ制御は、左右独立して制御する方式とすることも左右
同時に制御する方式とすることもできる。
【0010】
【作用】本発明に係るトラクション制御装置において
は、差動装置負担推定手段により、各駆動輪のブレー
キを作用させた場合に差動装置に加えられる負担の軽重
が、差動装置における差動量と差動装置入力トルクとに
基づいて推定され、ブレーキ作用許可・禁止手段によ
り、推定された負担が軽い場合にはトラクション制御の
ためのブレーキの作用が許可され、重い場合には禁止さ
れる。したがって、ブレーキを作用させると差動装置に
重い負担が加えられると推定される場合には、ブレーキ
が作用させられず、差動装置に実際に重い負担が加えら
れずに済む。
【0011】また、本発明に係るトラクション制御装置
においては、そのようにしてブレーキの作用が許可され
たか禁止されたかを問わず駆動トルクの制御は実行され
るから、ブレーキの作用が禁止された場合であっても各
駆動輪の空転が駆動トルク減少によって抑制される。
【0012】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、トラクション制御に基づいて差動装置に加え
られる負担が軽減され、差動装置の信頼性を容易に向上
させ得るという効果が得られる。さらに、本発明によれ
ば、差動装置に重い負担が加えられるおそれがあるため
にブレーキの作用が禁止されても駆動トルクの制御は確
保されるため、ブレーキの作用が禁止されてもトラクシ
ョン制御の機能がそれほど低下せずに済むという効果も
得られる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるトラクション
制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】本トラクション制御装置は図2に示すよう
に、左右の前輪10と左右の後輪12とを備えた4輪自
動車に設けられている。左右の前輪10は遊動輪であっ
て、図示しないステアリングホイールによって変向させ
られ、一方、左右の後輪12は駆動輪であって、エンジ
ン22からの出力トルクが自動変速式のトランスミッシ
ョン(以下、T/Mという)24,図示しないプロペラ
シャフトおよび終減速装置28を経て伝達されて駆動さ
れる。終減速装置28は減速装置29と差動装置30と
から構成されている。
【0015】すなわち、本実施例においては、エンジン
22と、動力伝達装置としてのT/M24およびプロペ
ラシャフトと、終減速装置28とを含むものとして駆動
系が構成されているのである。
【0016】エンジン22の吸気マニホールド32内に
はメインスロットルバルブ34とサブスロットルバルブ
36とが直列に配置されている。メインスロットルバル
ブ34はドライバによって踏み込まれるアクセルペダル
38と機械的に連携させられており、それの開度θM
メインスロットルポジションセンサ42により検出され
る。一方、サブスロットルバルブ36はサブスロットル
アクチュエータ44によって電気的に駆動され、それの
開度θS はサブスロットルポジションセンサ48により
検出される。
【0017】検出された開度θM およびθS はエンジン
22の回転数Ne 等と共に、エンジン&T/M制御コン
ピュータ(以下、単に制御コンピュータという)52に
入力される。この制御コンピュータ52はその入力信号
に基づき、エンジン22に対しては、燃料噴射制御信
号,点火時期制御信号等から成るエンジン制御信号を出
力し、T/M24に対しては、変速制御信号,ロックア
ップ制御信号等から成るT/M制御信号を出力する。
【0018】左右前輪10および左右後輪12にはそれ
ぞれブレーキ60が設けられている。ブレーキ60は各
車輪10,12と共に回転するロータ62に図示しない
ブレーキパッドをブレーキ圧によって押し付けることに
よって各車輪10,12の回転を抑制する。それら各ブ
レーキ60のブレーキ圧はABS&TRCコンピュータ
68によりブレーキ圧制御装置70を介して電気的に制
御することが可能とされている。ブレーキ圧制御装置7
0は、各ブレーキ60ごとに電磁式圧力制御弁を備えて
いて、各ブレーキ60のブレーキ圧を互いに独立して制
御することが可能とされている。
【0019】ABS&TRCコンピュータ68は、4個
の車輪10,12の各々の車輪速度を各車輪速度センサ
74を介して監視しつつ、車両制動時に各車輪10,1
2がロック状態に陥らないように各ブレーキ60を制御
するアンチロック制御と、車両駆動時に各後輪12(各
駆動輪)が空転しないように各後輪12のブレーキ60
を制御するトラクション制御とを行うように設計されて
いる。アンチロック制御については周知であり、また、
本発明を理解する上で不可欠なものではないため、説明
を省略する。一方、本実施例におけるトラクション制御
は、ブレーキ60の制御によって後輪12の空転を抑制
するブレーキ制御と、前記サブスロットルバルブ36の
制御とエンジン22の点火時期の制御との共同によって
後輪12の空転を抑制するエンジン制御とから構成され
ており、ABS&TRCコンピュータ68は前者のブレ
ーキ制御を実行するものである。そのため、ABS&T
RCコンピュータ68は図3にフローチャートで表され
るプログラムを記憶しているが、これの内容については
後述する。
【0020】後者のエンジン制御を行うのがTRCコン
ピュータ80である。このTRCコンピュータ80は、
ABS&TRCコンピュータ68と前記制御コンピュー
タ52とに接続されていて、ABS&TRCコンピュー
タ68を介して4個の車輪速度が入力され、制御コンピ
ュータ52を介してメインスロットル開度θM とサブス
ロットル開度θS とが入力されるようになっている。T
RCコンピュータ80はさらに、サブスロットルアクチ
ュエータ44にも接続されており、上記入力信号に基づ
き、各後輪12が空転しないようにサブスロットルバル
ブ36の開度θS を制御する。TRCコンピュータ80
はまた、制御コンピュータ52との通信が可能とされて
いて、トラクション制御時には制御コンピュータ52に
対して、エンジン22の点火時期を通常より遅くする旨
の信号を出力する。
【0021】図3のブレーキ圧制御ルーチン(トラクシ
ョン制御用)はABS&TRCコンピュータ68のCP
Uにより定期的に実行される。なお、本ルーチンは左後
輪12と右後輪12とについてそれぞれ用意されてお
り、CPUがそれらルーチンを交互にかつ定期的に実行
することにより、各後輪12のブレーキ圧Pが交互にか
つ互いに独立して制御されるようになっている。しか
し、以下の説明においては、左右後輪12の一方につい
てのみ代表的に説明し、他方については説明を省略する
こととする。
【0022】本ルーチンの各回の実行時にはまず、ステ
ップS1(以下、単にS1という。他のステップについ
ても同じとする)において、メインスロットルポジショ
ンセンサ42からのアイドル信号(アクセルペダル38
が非操作状態にあってエンジン22がアイドリング状態
にあるか否かを表す信号)に基づき、ドライバによって
アクセルペダル38が踏み込まれたか否かが判定され
る。今回はそうでないと仮定すれば、判定がNOとな
り、S2において、制御フラグXC(これも各後輪12
ごとに用意されている)がリセットされ、S3におい
て、ブレーキ圧制御装置70に対してそれを原状態に復
帰させる旨の信号が出される。以上で本ルーチンの一回
の実行する。
【0023】なお、S3の本来の目的は、実行中のトラ
クション制御を終了してブレーキ圧制御装置70を原状
態に復帰させることにあるが、本ルーチンの今回の実行
は、未だトラクション制御が行われていない状態で行わ
れたものであって、実質的な意味を持たない。
【0024】その後、アクセルペダル38が踏み込まれ
れば、S1の判定がYESとなり、S4において、制御
フラグXCがセットされているか否かが判定される。今
回はリセットされているから、判定がNOとなり、S5
に移行する。本ステップにおいては、遊動輪である左右
の前輪10の車輪速度VFL,V FR から推定された車速
V がRAMから読み込まれる。なお、車速VV の推定
は別のルーチンにおいて行われ、その結果がRAMに記
憶されるようになっている。
【0025】続いて、S6において、その車速VV に基
づいてトラクション制御の今回の制御開始速度が設定さ
れ、S7において、左右後輪12の一方の車輪速度(以
下、単に後輪12の車輪速度VRL,VRRという)がその
設定された制御開始速度を超えたか否かが判定される。
今回は超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、
S2以下のステップを経て本ルーチンの一回の実行が終
了する。
【0026】これに対して、後輪12の車輪速度VRL
RRが制御開始速度を超えた場合には、S7の判定がY
ESとなり、S8において前記制御フラグXCがセット
された後、S9において、メインスロットルバルブ34
の開度θM とエンジン回転数Ne とがそれぞれ制御コン
ピュータ52を介して読み込まれ、それらに基づき、エ
ンジン22から現に出力されている現在エンジントルク
E/G が推定される。開度θM とエンジン回転数Ne
現在エンジントルクTE/G との関係が予めROMに記憶
されており、その関係を用いて現在エンジントルクT
E/G が推定されるのである。
【0027】その後、S10において、制御コンピュー
タ52から、T/M24の現在変速比γT/M が読み込ま
れ、その現在変速比γT/M と、前記現在エンジントルク
E/G と、前記終減速装置28の減速比γFINAL とに基
づき、駆動系から各後輪12に現に伝達されている現在
駆動トルクDTRL,DTRRが演算される。
【0028】続いて、S11において、後輪12の回転
運動方程式に基づき、左右後輪12の一方と路面との間
の摩擦係数μRL,μRRが推定される。具体的には、左後
輪12側の摩擦係数μRLは、 μRL=(DTRL−I・(dVRL/dt)/R)/(W・
R) なる式を用いて推定され、一方、右後輪12側の摩擦係
数μRRは、 μRR=(DTRR−I・(dVRR/dt)/R)/(W・
R) なる式を用いて推定される。ただし、 DTRL,DTRR:各後輪12の現在駆動トルク(演算
値) I:各後輪12,駆動系およびエンジンのそれぞれの慣
性を総合した慣性モーメント(左右後輪12で共通する
既知の値) VRL,VRR:各後輪12の車輪速度(検出値) R:各後輪12の動荷重半径(左右後輪12で共通する
既知の値) W:各後輪12の接地荷重(左右後輪12で共通する既
知の値) 推定された摩擦係数μRL,μRRはRAMの所定位置に記
憶される。
【0029】その後、S12において、左右の後輪12
の車輪速度VRL,VRRが読み込まれる。なお、それら各
車輪速度VRL,VRRは、各車輪速度センサ74からの出
力信号に基づき、図示しない別のルーチンにおいて演算
され、その結果がRAMに記憶されるようになってい
る。
【0030】続いて、S13において、それら車輪速度
RL,VRRから左右後輪12の回転数差ΔNが演算さ
れ、RAMの所定位置に記憶される。続いて、S14に
おいて、今回の圧力制御(本ルーチンの一回の実行によ
って行われる圧力制御を意味する。なお、各回の圧力制
御は左右後輪12について互いに実質的に同じタイミン
グで行われる。)を予定通り行ったならば今回の実行終
了時に各後輪12のブレーキ圧PRL,PRRが到達すると
予想される将来ブレーキ圧PRL,PRRがそれぞれ推定さ
れる。具体的には、左後輪12の将来ブレーキ圧P
RLは、今回の圧力制御モードが増圧である場合には、
現在ブレーキ圧PRLと、増圧勾配Kと増圧時間Δtとの
積の和として演算され、減圧モードである場合には、
現在ブレーキ圧PRLから減圧勾配Kと減圧時間Δtの積
を差し引くことによって演算され、保圧モードである
場合(非制御時も同様)には現在ブレーキ圧PRLがその
まま将来ブレーキ圧PRLとされる。なお、右後輪12の
将来ブレーキ圧PRRについても同様である。
【0031】なお、増圧・減圧勾配Kはブレーキ圧
RL,PRRの現在値に応じて可変とされており、それら
増圧・減圧勾配Kとブレーキ圧Pとの関係が予めROM
に記憶されていて、各ブレーキ圧PRL,PRRの現在値に
応じて現在の増圧・減圧勾配Kが推定されるようになっ
ている。また、今回の圧力制御モードが増圧であるか減
圧であるか保圧であるかは、各後輪12の車輪速度
RL,VRRと推定車速VV との相関関係に基づいて決定
される。また、推定された将来ブレーキ圧PRL,PRR
RAMの所定位置に記憶される。
【0032】その後、S15において、今回の圧力制御
を予定通り行ったならば今回の実行終了時に後輪12に
作用すると予想される将来制動トルクBTRL,BTRR
それぞれ推定される。具体的には、左後輪12の将来制
動トルクBTRLは、 BTRL=2・μ′・r・S・PRL なる式を用いて推定され、一方、右後輪12の将来制動
トルクBTRRは、 BTRR=2・μ′・r・S・PRR なる式を用いて推定される。ただし、 μ′:各ブレーキ60における、ロータ62とブレーキ
パッドとの間の摩擦係数(左右後輪12で共通する既知
の値) r:各ロータ62の有効半径(左右後輪12で共通する
既知の値) S:各ブレーキ60のホイールシリンダ有効受圧面積
(左右後輪12で共通する既知の値) PRL,PRR:各後輪12の将来ブレーキ圧(演算値) 推定された将来制動トルクBTRL,BTRRはRAMの所
定位置に記憶される。
【0033】続いて、S16において、今回の圧力制御
を予定通り行ったならば今回の実行終了時に、2個の後
輪12から終減速装置28に入力されると予想される将
来デフ入力トルクTinが推定される。具体的には、将来
デフ入力トルクTinは、前記将来制動トルクBTRLとこ
ろがり抵抗トルク(=μRL・W・R)との和と、前記将
来制動トルクBTRRところがり抵抗トルク(=μRR・W
・R)との和とのうち小さい方を2倍したものとして演
算される。演算された将来デフ入力トルクTinはRAM
の所定位置に記憶される。なお、将来デフ入力トルクT
inは厳密には、静的要因のみならず動的要因をも勘案し
て演算すべきであるが、静的要因の方が動的要因より終
減速装置28に与える影響が大きいと推定されるため、
本実施例においては、動的要因を無視して静的要因のみ
を勘案して将来デフ入力トルクTinが演算されるように
なっている。前述のように、終減速装置28は減速装置
29と差動装置30とから構成されるものであり、差動
装置30に与えられる影響はすなわち終減速装置28に
与えられる影響であるため、以下、差動装置30に与え
られる影響を終減速装置28に与えられる影響と称す
る。
【0034】その後、S17において、今回の圧力制御
を予定通り行うと、左右後輪12から終減速装置28に
重い負担が加えられる可能性があるか否かが判定され
る。本出願人の研究により、将来デフ入力トルクTin
回転数差ΔNと終減速装置28に加えられる負担との間
には図4のグラフで表されるような関係があることが判
明し、この判明事実に基づき、本ステップにおいては、
将来デフ入力トルクTinと回転数差ΔNとのそれぞれの
現在値の交点がグラフ上の重負担領域に存在する場合に
は、左右後輪12から終減速装置28に重負担が加えら
れる可能性があると判定される。その交点が重負担領域
ではなく軽負担領域に存在する場合には、終減速装置2
8に重負担が加えられる可能性がないと判定されて、判
定がNOとなり、S18において、セットされている状
態で増圧を禁止し、リセットされている状態で増圧を許
可する旨の増圧禁止フラグXPがリセットされる。一
方、その交点が重負担領域に存在する場合には、S17
の判定がYESとなり、S19において、その増圧禁止
フラグXPがセットされる。
【0035】続いて、S20において、一回の圧力制御
がブレーキ圧制御装置70を介して行われる。本ステッ
プは本ルーチンが何回も実行される間に何回も実行さ
れ、これにより一回のブレーキ制御(複数回の圧力制御
の集合)を行うものである。その一回のブレーキ制御と
は、各後輪12が空転しそうになると、その後輪12の
ブレーキ圧を増圧して後輪12の空転を抑制し、その
後、後輪12の車輪速度Vが制御目標速度に十分に近づ
くまで、すなわち、S21の判定がYESとなるまで、
後輪12の車輪速度VRL,VRRと推定車速VV との相関
関係から後輪12のスリップ状態を推定しつつ後輪12
のブレーキ圧を増減させるものである。ただし、この一
回のブレーキ制御においては、増圧禁止フラグXPがセ
ットされている間は本来行われるべき増圧に代えて保圧
が行われ、一方、リセットされている間は予定通り増圧
が行われるようになっている。
【0036】S21の判定がYES、すなわち、今回の
トラクション制御を終了させてもよいと判定されたなら
ば、S2以下のステップを経て本ルーチンの今回の実行
が終了する。以上で一回のトラクション制御が終了す
る。
【0037】なお、制御フラグXCが一旦セットされた
後は、本ルーチンの各回の実行においては、S5〜S1
1の実行が省略される。
【0038】したがって、本実施例においては、終減速
装置28に重負担が加えられる可能性がある場合には、
トラクション制御のためのブレーキ60の作用が禁止さ
れ(本実施例においては、ブレーキ圧Pの増圧のみが禁
止され)、デフ入力トルクTinの実際値の増加が防止さ
れて終減速装置28の重負担が回避されることになる。
【0039】ただし、ブレーキ圧Pの増圧が禁止されて
も、前記TRCコンピュータ80によるエンジン制御は
確保されるため、トラクション制御の機能がそれほど低
下せずに済む。
【0040】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、図2に示す構成要素のうち、ABS&TR
Cコンピュータ68,TRCコンピュータ80,ブレー
キ圧制御装置70,サブスロットルバルブ36,サブス
ロットルポジションセンサ48,サブスロットルアクチ
ュエータ44等がトラクション制御装置を構成してお
り、ここにおいて、左右後輪12の各々の車輪速度セン
サ74と、ABS&TRCコンピュータ68のうち、図
3のS12およびS13を実行する部分とが互いに共同
して、前記差動量取得手段の一態様である回転数差取得
手段を構成し、ABS&TRCコンピュータ68のう
ち、同図のS9〜S11およびS14〜S16を実行す
る部分が、前記差動装置入力トルク取得手段の一態様を
構成し、同図のS17〜S19を実行する部分が、本発
明における「ブレーキ作用許可・禁止手段」の一態様
を構成しているのである。また、それら回転数差取得手
段と差動装置入力トルク取得手段の一態様とが互いに共
同して、本発明における「差動装置負担推定手段」の
一態様を構成しているのである。
【0041】なお付言すれば、本実施例においては、回
転数差ΔNが常時監視されるようになっているが、この
事実を種々の用途に利用することができる。例えば、ブ
レーキ圧制御装置70の故障判定に利用することがで
き、具体的には、ブレーキ圧Pの増圧が許可されている
状態でトラクション制御のためのブレーキ制御が行われ
ているにもかかわらず、回転数差ΔNが減少する傾向が
現れない場合には、ブレーキ圧制御装置70が故障して
いる可能性があると判定することができる。
【0042】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他にも、特許請求の範囲を逸脱
することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改
良を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例であるトラクション制御装置
が用いるブレーキ圧制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図3】上記トラクション制御装置を含む車両走行状態
制御システムの構成を示す図である。
【図4】上記トラクション制御装置が、終減速装置に重
負担が加えられるおそれがあるか否かを判定するために
用いる関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 前輪 12 後輪 22 エンジン 24 トランスミッション 28 終減速装置 30 差動装置 36 サブスロットルバルブ 52 エンジン&T/M制御コンピュータ 60 ブレーキ 68 ABS&TRCコンピュータ 70 ブレーキ圧制御装置 80 TRCコンピュータ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン,動力伝達装置および差動装置
    を含む駆動系に差動装置において左右の駆動輪が接続さ
    れ、それら左右の駆動輪にそれぞれブレーキが設けられ
    た車両駆動時に、各駆動輪が空転しないように各駆動
    輪の駆動トルクを減少させるとともに各駆動輪のブレー
    キを作用させるトラクション制御を行う装置において、前記差動装置の差動量を取得する差動量取得手段と、
    各駆動輪のブレーキを作用させた場合に各駆動輪から
    差動装置に入力されると予想される差動装置入力トルク
    を取得する差動装置入力トルク取得手段と、前記差動
    量取得手段によって取得された差動量と前記差動装置入
    力トルク取得手段によって取得された差動装置入力トル
    クとに基づいて前記差動装置の負担の軽重を判定する負
    担軽重判定手段とを含む差動装置負担推定手段と、 その差動装置負担推定手段によって 推定された負担が軽
    い場合には前記トラクション制御のためのブレーキの作
    用を許可し、重い場合には禁止するブレーキ作用許可・
    禁止手段とを設けたことを特徴とするトラクション制御
    装置。
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