JP3326594B2 - 廃熱硬化樹脂の油化方法 - Google Patents

廃熱硬化樹脂の油化方法

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃熱硬化樹脂の油
化方法に関し、とくにFRP等の名称で知られる繊維強
化熱硬化樹脂の油化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】廃プラスチックの回収、再利用は大きな
社会問題となっており、ポリオレフィンやポリエチレン
テレフタレート等の熱可塑性樹脂については2次加工品
への再生や油化方法等の回収、再利用方法が種々提案さ
れ一応の成果を得ている。これに対しFRP等の熱硬化
樹脂はその分子構造特性から、熱可塑性樹脂における技
術の利用は事実上不可能であり、これらを用いて製造さ
れたボートや浴槽等の成形品の廃棄物は、そのまま廃棄
処分されたり、経済性を度外視して燃焼処理されている
のが実状である。勿論その社会的要請から、熱硬化樹脂
の回収、再利用についての技術的検討は種々なされ、提
案もされている。一例として熱分解炉に空気や窒素を吹
き込みつつ不飽和ポリエステル樹脂系のFRPを直熱方
式にて熱分解する方法が知られているが、高温を要し、
フタル酸等の固体物が炉管内を閉塞するという欠点をも
つと共に、並行して熱硬化反応が進行し比較的多量の再
処理不能の残渣を残すという欠点もある。また上記にお
いて固体物による炉管閉塞を回避する方法として分解炉
に水蒸気を吹き込んで洗浄しつつ熱分解を行う方法も提
案されているが、上記と同様高温を要すると共に油状物
の回収率も低いという欠点をもっている。
【0003】本発明の目的は、上記した従来技術の欠点
を解消することにあり、特に廃熱硬化樹脂を効率的に熱
分解して高収率にて燃料等として有用な油状生成物を取
得する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、廃繊維強化熱
硬化樹脂を複数個のベンゼン環をもつ芳香族炭化水素又
はその水素化物からなる実質上単一沸点をもつ液状媒体
と常圧下に接触加熱して熱分解生成物を系外に留去させ
つつ熱分解を行うことを特徴とする廃繊維強化熱硬化樹
脂の油化方法である。
【0005】本発明の油化方法に供しうる廃熱硬化樹脂
としては繊維強化材を含有する不飽和ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂、熱硬化ポリウレタン、エポキシ樹
等が例示される。またその形態も成形品、シート、発
泡体等特に制限されない。また廃熱硬化樹脂とは使用済
の廃棄物だけでなく、製造工場において発生する余剰品
等も含め油化方法に供すべきものであればどのような段
階のものも包含される。また熱可塑性樹脂との複合体や
積層体等もそのまま本発明方法に供しうる。
【0006】本発明方法は特に繊維強化不飽和ポリエス
テル樹脂を典型例とするFRPの処理に適しており、そ
の結果それらを主要構成材料とする各種ボートや浴槽等
の今日その処理の必要が社会問題化している廃成形品の
処理に有効に利用できるという利点をもっている。本発
明方法に供する廃熱硬化樹脂の寸法も特に制限されず、
大型の成形品のままでも処理可能だが、処理のしやすさ
及び処理効率の観点から粒体状ないしブロック状に粉砕
ないし切断して供することが望ましい。但し微細に粉砕
すると粉塵公害等の原因になるので好ましくない。また
FRPにおいてガラス繊維等の強化繊維を回収し再利用
する場合には混入されている繊維長より大きい大きさに
切断するにとどめることが望ましい。成形品をブロック
化する場合のブロックの大きさは5〜30cm程度が好
ましい。
【0007】本発明の油化方法においては、上記したよ
うな廃熱硬化樹脂を単一沸点をもつ多環式芳香族炭化水
素又はその水素化物からなる液状媒体との接触下に常圧
にて分解生成物を系外に留去させつつ熱処理することを
本質とする。これら液状媒体の具体例としてはジベンジ
ルトルエン、ジフェニルベンゼン、トリフェニルベンゼ
ン、それらの水素化物等がある。これらのうち特に室温
で液状で沸点が300〜500℃のものが好ましい。
【0008】これらの液状媒体は被処理物である熱硬化
樹脂樹脂の表面全体を覆うに足る量であればその使用量
は特に制限されない。通常は熱分解槽内に適宜の大きさ
の熱硬化樹脂を入れ、その全体を浸漬させるに足る量の
上記液体媒体を入れて加熱処理する。加熱温度は被処理
物及び液状媒体の種類、それらの量及び大きさ等によっ
て異なるが、通常200〜500℃、好ましくは300
〜400℃である。このようにして熱分解槽上部から熱
分解生成物が蒸気生成物として発生する。この蒸気生成
物を冷却して液化すると可燃性の油状物が得られる。ま
たこの蒸気生成物を通常の熱可塑性樹脂の油化における
と同様ゼオライトその他の固体接触分解触媒と接触させ
て更に低分子量化した生成物に変換することもできる。
【0009】本発明方法はバッチ式、連続式のいずれで
も実施できる。本発明方法では蒸気生成物が分解槽系外
に出され、分解槽内には液体媒体と熱分解されなかった
成分が残る。本発明方法は効率的に且つ高い変換率にて
熱硬化樹脂を蒸気生成物に変換できることから、分解槽
内には樹脂分がほとんど残存しない状態まで熱分解を行
うことが可能である。その結果、用いた液状媒体を回収
しそのまま又は簡単な精製処理の後再び次の熱分解反応
に供することもできる。またガラス繊維等の強化繊維を
含有するFRPを被処理物として用いる場合には、分解
槽内の残存物は強化繊維と液体媒体とからなるものとな
る。この場合は濾過等の手段で強化繊維と液体媒体とを
容易に分離でき、強化繊維は回収後適宜の用途に再利用
可能である。本発明方法で得られる油状物は燃料その他
の用途に有効に利用できる。特に燃料として本発明方法
における熱分解の熱源として用いた場合には全体の効率
とリサイクル性を一層高めることができる。
【0010】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明する。
【0011】実施例1:ガラス繊維強化不飽和ポリエス
テル樹脂(公称樹脂含量60重量%)を粒径50〜60
cmに切断した。この試料60kgを熱分解槽に装入し
た後、ジベンジルトルエンを主成分とする沸点391℃
のネオエスケイオイル(商品名、綜研化学製)を上記試
料全体が浸漬するまで装入し、蒸気生成物を留出させつ
つ330℃にて加熱処理した。油状生成物の生成速度は
30リットル/時で、樹脂量に対する収率は95v/w
%であった。油状生成物の発熱量は9280cal/g
であり、引火点は23℃以下であった。熱分解槽残存物
は分離容易なガラス繊維と液状媒体からなっていた。
【0012】実施例2:実施例1において液状媒体とし
て水素化トリフェニルを主成分とする沸点340℃のサ
ームエス(商品名、新日鉄化学製)を用いた以外は同様
の条件で実験した。油状生成物の生成速度は30リット
ル/時で、樹脂量に対する収率は96v/w%であっ
た。油状生成物の発熱量は9280cal/gであり、
引火点は23℃以下であった。熱分解槽残存物は分離容
易なガラス繊維と液状媒体からなっていた。
【0013】比較例1:実施例1において液状媒体を用
いることなく実験を行った。蒸気状生成物を発生させる
ため加熱処理温度を450℃とした。生成物は生成した
が高温を要すると共に生成速度は10リットル/時と遅
く、収率も50v/w%にとどまった。また熱分解槽残
存物から再利用可能な形でガラス繊維と液体媒体を簡単
に分離することはできなかった。
【0014】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−62575(JP,A) 特開 平8−81685(JP,A) 特開 平3−115389(JP,A) 特開 昭50−52183(JP,A) 特開 昭60−60186(JP,A) 特開 平7−286185(JP,A) 特開 平9−104873(JP,A) 特開 平7−109470(JP,A) 特開 平7−126430(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10G 1/10 ZAB

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃繊維強化熱硬化樹脂を複数個のベンゼ
    ン環をもつ芳香族炭化水素又はその水素化物からなる実
    質上単一沸点をもつ液状媒体と常圧下に接触加熱して熱
    分解生成物を系外に留去させつつ熱分解を行うことを特
    徴とする廃繊維強化熱硬化樹脂の油化方法。
  2. 【請求項2】 廃熱硬化樹脂がガラス繊維強化不飽和ポ
    リエステル樹脂である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 熱分解して生成した蒸気生成物を凝縮液
    化して可燃性油状物を取得する請求項1又は2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 熱分解して生成した蒸気生成物を固体接
    触分解触媒と接触させて可燃性低沸点油状物を取得する
    請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 熱分解後の残留物から液状媒体と強化繊
    維とを分離し、前者を次の熱分解に再利用し、後者を回
    収する請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
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RU2272826C1 (ru) * 2005-03-09 2006-03-27 Общество с ограниченной ответственностью "НПК "Технохим" Способ переработки резиносодержащих и других промышленных и бытовых органических отходов в химическое сырье и компоненты моторного топлива
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