JP3325068B2 - 内視鏡 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば小腸ゾンデスコ
ープのように、流体圧で挿入部の湾曲部を湾曲操作する
ようにした内視鏡に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、挿入部における湾曲部を空気圧で
湾曲する内視鏡が知られている（例えば、ＵＳＰ第4,89
0,602 号公報参照）。また、この種の内視鏡として、小
腸ゾンデスコープが知られている。この小腸ゾンデスコ
ープはその長尺な挿入部を小腸の蠕動運動で挿入する。

【０００３】また、この小腸ゾンデスコープには、挿入
部における湾曲部の加圧室に空気圧を送り込むための供
給ケーブルが設けられており、この供給ケーブルはスコ
ープの操作部から導出して別体の湾曲操作用流体供給装
置に接続してある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小腸ゾ
ンデスコープの長尺な挿入部は、小腸の蠕動運動で挿入
するため、その挿入時間がかなり長い。この小腸の蠕動
運動で挿入する間、本来、患者は比較的自由に動いてよ
いにも拘らず、スコープの操作部から湾曲操作用流体供
給装置に延びる加圧チューブが付設しているため、これ
が邪魔となり、患者は動きの自由が阻害されるとともに
煩わしいという事情があった。

【０００５】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、湾曲操作が不要な場合で
あって、患者が内視鏡を持ったまま移動する場合、加圧
用流体供給装置からの供給ケーブルが邪魔とならない内
視鏡を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段および作用】前記課題を解
決するために、本発明は、挿入部に有した湾曲部に複数
の加圧室を設け、湾曲操作用流体供給装置から供給ケー
ブルを通じて前記複数の加圧室に流体を選択的に供給し
て前記挿入部の湾曲部を所定の複数の方向に湾曲する内
視鏡において、内視鏡本体の手元側部分には前記複数の
加圧室にそれぞれ通じる複数の管路の各々に第１口金を
設け、前記湾曲操作用流体供給装置から前記複数の管路
に個別的に流体を供給するために前記第１口金にそれぞ
れ個別的に接続する別々の複数の第２口金を有する供給
ケーブルを設け、前記内視鏡本体側の各々の第１口金と
前記供給ケーブル側の所定の第２口金とを着脱自在に接
続する構成とし、かつ前記内視鏡本体の第１口金と供給
ケーブル側の第２口金とを接続するとき、対応関係にあ
る第１口金と第２口金同士を接続するべく、誤った口金
同士の接続を防止する防止手段を設けたことを特徴とす
るものである。湾曲操作が不要な場合には供給ケーブル
を内視鏡本体から取り外せる。また、内視鏡本体の口金
と供給ケーブル側の口金とを接続するとき、対応関係に
ある口金同士を正しく接続できる。

【０００７】

【実施例】本発明の第１の実施例を、図１ないし図３を
参照して説明する。図１（ｃ）はその内視鏡装置全体を
概略的に示している。同図中、１は内視鏡、２は湾曲操
作用流体供給装置である。内視鏡１と流体供給装置２と
は可撓性の供給ケーブル３によって連結される。

【０００８】内視鏡１は挿入部４と手元操作部５によっ
て内視鏡本体を構成している。挿入部４は軟性チューブ
からなる蛇管４ａとこれの先端に連結される先端湾曲部
６とからなり、先端湾曲部６は、図１（ａ）で示すよう
に構成されている。つまり、前方硬質部材７と後方硬質
部材８との間にマルチルーメンチューブ９が取り付けら
れている。

【０００９】さらに、マルチルーメンチューブ９の外周
には保護チューブ１０が被覆され、保護チューブ１０の
外側には外バルーン１１が覆うように設けられている。
保護チューブ１０および外バルーン１１の各前後両端は
それぞれ対応する前方硬質部材７と後方硬質部材８に対
して取着固定されている。

【００１０】図１（ｂ）で示すように、マルチルーメン
チューブ９は、中央ルーメン１２のまわりに３つのルー
メンが形成され、この各ルーメンが加圧室１３ａ，１３
ｂ，１３ｃを構成している。各加圧室１３ａ，１３ｂ，
１３ｃにはそれぞれ異なる可撓性チューブからなる第１
の加圧チューブ（管路）１４が独立的に接続されてい
る。

【００１１】さらに、中央ルーメン１２の内部には、ラ
イトガイド、イメージガイド（若しくはＣＣＤのリード
線）、送気チャンネルチューブ、送水チャンネルチュー
ブ、吸引チャンネルチューブなどの内蔵部材１５…が挿
通されている。また、外バルーン１１には後方硬質部材
８内の連通孔２０を介してバルーン用チューブ２１が接
続されている。このバルーン用チューブ２１は、蛇管４
ａ内を通じて手元操作部５に導かれ、その手元操作部５
のケース本体に設けられた口金２２に接続されている。
この口金２２には、注入器、例えばシリンジ（図示しな
い。）を着脱自在に接続するようになっている。また、
手元操作部５の把持部側面には鉗子挿入口部１６が設け
られている。

【００１２】また、各加圧室１３ａ，１３ｂ，１３ｃに
通じる第１の加圧チューブ１４は蛇管４ａ内を通じて手
元操作部５に導かれ、その手元操作部５の本体に設けら
れたケーブル用口金２３に接続されている。このケーブ
ル用口金２３には、後述する流体供給装置２からの供給
ケーブル３の先端に設けられたコネクタ２４が着脱自在
に接続される。

【００１３】この着脱自在な接続部の構成が図２に示さ
れる。以下、これを詳細に説明する。まず、ケーブル用
口金２３は筒状のコネクタ支持部材２５を有し、このコ
ネクタ支持部材２５の基端部はその手元操作部５のケー
ス本体壁部に形成した嵌合孔２６に嵌入してこれに対し
て液密的に取着固定されている。

【００１４】前記コネクタ支持部材２５の突出端部には
雌形口金部材２７が取り付けられている。この雌形口金
部材２７には３つの連結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃが形
成されている。この各連結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃの
内端にはそれぞれ第１の連結パイプ２９を介して前述し
た加圧室１３ａ，１３ｂ，１３ｃに対応する第１の加圧
チューブ１４が個別的に接続されている。

【００１５】前記供給ケーブル３側のコネクタ２４に
は、前記雌形口金部材２７の突出部外周に嵌合する凹部
３０を有した雄形コネクタ部材３１が取り付けられてい
る。この雄形コネクタ部材３１には、雌形口金部材２７
の各連結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃに対して個別的に差
し込まれる連結管３２ａ，３２ｂ，３２ｃが突出して設
けられている。

【００１６】さらに、雌形口金部材２７の外周には鍔３
３が形成され、この鍔３４の外周にはめねじ３４が形成
されている。一方、雄形コネクタ部材３１の外周には、
前記鍔３４のめねじ３４に螺合する装着環３５が装着さ
れている。装着環３５は雄形コネクタ部材３１に対して
回転および軸方向の移動が可能である。また、連結管３
２ａ，３２ｂ，３２ｃの外周には連結孔２８ａ，２８
ｂ，２８ｃを差し込んだときのシールを行うＯリング３
６が嵌め込まれている。

【００１７】そして、雌形口金部材２７の３つの連結孔
２８ａ，２８ｂ，２８ｃに対応する連結管３２ａ，３２
ｂ，３２ｃを差し込んで、雌形口金部材２７に雄形コネ
クタ部材３１の凹部３０を嵌め込み、装着管３５を鍔３
３のめねじ３４にねじ込んで、連結することにより装着
固定することができる。

【００１８】流体供給装置２における湾曲操作の向きと
先端湾曲部６の湾曲する向きとが一致するようにその連
結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃとこれに差し込まれる連結
管３２ａ，３２ｂ，３２ｃとが個別的に対応するよう
に、その連結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃと連結管３２
ａ，３２ｂ，３２ｃの配置は図２（ｂ）で示すように非
正三角形、例えば２等辺三角形の各頂点にそれぞれが位
置するように配置されている。したがって、連結される
両者の位置関係が定まり、誤った接続を防止する。な
お、両者の位置関係を定めるにはキーとキー溝の関係、
連結孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃとこれに嵌まる連結管３
２ａ，３２ｂ，３２ｃの径をそれぞれ変えるようにして
もよい。

【００１９】また、雄形コネクタ部材３１における各連
結管３２ａ，３２ｂ，３２ｃには、第２の連結パイプ３
７を介してそれぞれ別に可撓性チューブからなる第２の
加圧チューブ３８が接続されている。この各加圧チュー
ブ３８は、供給ケーブル３内を通じて流体供給装置２に
導かれる。

【００２０】図３は内視鏡１の先端湾曲部６を湾曲操作
する流体供給を制御する流体供給装置２の一例を示すも
のである。すなわち、これは下プレート４２、中プレー
ト４３、上プレート４４を有し、下プレート４２の側端
上面部には、ケーブル支持台４５が取り付けられてい
る。このケーブル支持台４５は前述した供給ケーブル３
の基端に設けられたケーブル口金４６を着脱自在に差し
込んで保持するものである。下プレート４２、中プレー
ト４３および上プレート４４は支持棒４７によって上下
にそれぞれ所定の間隔をおいて固定されている。下プレ
ート４２の下面にはゴム等の滑止め作用のあるベース部
材４８が設けられている。

【００２１】そして、中プレート４３と上プレート４４
とによって垂直な状態で３本のシリンジ５０ａ，５０
ｂ，５０ｃを着脱可能に保持している。シリンジ５０
ａ，５０ｂ，５０ｃは上プレート４４の孔５１を貫通
し、中プレート４３の受け孔５２に差し込まれて保持さ
れている。受け孔５２には、Ｏリング５３が設けられて
いて、このＯリング５３は、シリンジ５０ａ，５０ｂ，
５０ｃを弾性的に挾持して支持するようになっている。
上プレート４４の上面には、湾曲する場合の上側の向き
を示す指標５６が設けられ、シリンジ５０ａ，５０ｂ，
５０ｃと関係付けられている。

【００２２】前記シリンジ５０ａ，５０ｂ，５０ｃの先
端口部には、三方活栓５７を介してケーブル口金５８が
着脱自在に接続される。三方活栓５７の使用しない口部
は通常閉じられている。

【００２３】次に、内視鏡装置の作用を説明する。この
内視鏡装置において、まず、湾曲制御用の流体供給装置
２におけるシリンジ５０ａ，５０ｂ，５０ｃのうち、い
ずれかの１本か２本を使用してこれの加圧操作を行う
と、加圧された空気は第２の加圧チューブ３８と第１の
加圧チューブ１４を通じて対応する加圧室１３ａ，１３
ｂ，１３ｃのいずれかに流入してその加圧室１３ａ，１
３ｂ，１３ｃを膨脹させる。仮に、下側の加圧室１３ａ
を膨脹させる場合、先端湾曲部６は図１（ａ）で破線で
示すように上側に湾曲する。このとき、加圧室１３ａは
その径方向にも幾分膨脹する。なお、マルチルーメンチ
ューブ９の外周が保護チューブ１０で被覆されており、
この保護チューブ１０が軸方向に長い加圧室１３ａの軸
方向への全体的な膨脹を助長する。

【００２４】一方、この内視鏡１を例えば小腸に挿入す
る場合、挿入部４の先端湾曲部６が十二指腸に入った
後、手元操作部５における口金２２にシリンジを接続
し、バルーン用チューブ２１を通じて外バルーン１１に
液体（水や生理食塩水、造影剤等）を送り込み、外バル
ーン１１を適度に膨脹させる。この後は小腸の蠕動運動
によってその膨らんだ外バルーン１１が小腸深部若しく
は大腸まで運ばれていく。

【００２５】挿入部４の先端湾曲部６が小腸深部若しく
は大腸まで運ばれていくには数時間、場合によっては半
日もかかることがある。この間、患者に医者が付きっき
りになっている必要はない。また、患者にとってはベッ
トに拘束されているのは苦痛であり、自由に動き回れ、
行動できることが望ましい。しかし、この場合、流体供
給装置２の供給ケーブル３が接続されていると、それが
邪魔になり、煩わしいものとなる。

【００２６】そこで、手元操作部５のケーブル用口金２
３から流体供給装置２の供給ケーブル３のコネクタ２４
を切り離す。装着環３５を緩めて供給ケーブル３側のコ
ネクタ２４をケーブル口金２３から引き抜く。すると、
湾曲させる操作が不要な場合、内視鏡１の本体側が単独
にでき、行動が自由になる。

【００２７】図４は本発明の第２の実施例を示す。この
実施例は供給ケーブル３を内視鏡側に着脱する構造が異
なり、その他は前記第１の実施例と同じである。すなわ
ち、手元操作部５のケース本体壁部には各加圧室１３
ａ，１３ｂ，１３ｃにそれぞれ通じる第１の加圧チュー
ブ１４に対応して個別的に接続される３つの雌形口金６
１ａ，６１ｂ，６１ｃが設けられている。この各雌形口
金６１ａ，６１ｂ，６１ｃには、供給ケーブル３側の個
別的に対応する第２の加圧チューブ３８の雄コネクタ６
２ａ，６２ｂ，６２ｃの連結管６３ａ，６３ｂ，６３ｃ
を嵌着して着脱自在に連結するようになっている。この
実施例では独立した雄コネクタ６２ａ，６２ｂ，６２ｃ
をこれに対応した各雌形口金６１ａ，６１ｂ，６１ｃの
口部６４ａ，６４ｂ，６４ｃに差し込んで接続し、ま
た、その接続を切り離すことができる。したがって、供
給ケーブル３を内視鏡１側から切り離せるため、前述し
たような作用効果が得られる。

【００２８】また、各雌形口金６１ａ，６１ｂ，６１ｃ
とこれに対応する雄コネクタ６２ａ，６２ｂ，６２ｃを
識別し、口金同士の誤った接続を防止するため、その径
を３つとも変えたり、色分けしたりしてもよいし、特別
な目印を付してもよい。また、雄コネクタ６２ａ，６２
ｂ，６２ｃをルアーロックの構造としてもよい。

【００２９】図５は本発明の第３の実施例を示す。この
実施例は供給ケーブル３を内視鏡側に着脱する構造が異
なり、その他は前記第２の実施例と同じである。すなわ
ち、手元操作部５のケース本体壁部に設けた可撓性のチ
ューブ７０から各加圧室１３ａ，１３ｂ，１３ｃにそれ
ぞれ通じる第１の加圧チューブ１４の端部が導出し、こ
の各端部にはそれぞれ雌形口金７１ａ，７１ｂ，７１ｃ
が取り付けられている。この各雌形口金７１ａ，７１
ｂ，７１ｃには、前述したような供給ケーブル３側の個
別的に対応する第２の加圧チューブ３８の雄コネクタ６
２ａ，６２ｂ，６２ｃの対応するものが着脱自在に連結
される。

【００３０】しかして、これによると、手元操作部５の
ケース本体壁部に口金を立てるよりも１本のチューブ７
０を出すだけでよいため、スペースの効率化、及び組立
て性がよい。

【００３１】図６および図７は内視鏡１の挿入部４にお
ける先端湾曲部６の変形例を示すものである。図６で示
すものは吸引口８１を後方硬質部材８に開口し、吸引チ
ャンネルチューブ８２を先端湾曲部６を越えないように
した。ライトガイド、イメージガイド（若しくはＣＣＤ
のリード線）、送気チャンネルチューブ、送水チャンネ
ルチューブなどの内蔵部材は前述したように前方硬質部
材７まで導く。吸引チャンネルチューブ８２を先端湾曲
部６を越えないようにしたから、それだけ先端湾曲部６
の細径コンパクト化が図れる。なお、この図６では保護
チューブや外バルーンを取り除いて示している。

【００３２】図７で示すものは吸引口８３を前方硬質部
材７に開口するが、これに接続する吸引チャンネルチュ
ーブ８４を先端湾曲部６を通る個所だけ細くした。他は
前述した第１の実施例のものと同じである。吸引チャン
ネルチューブ８４を前方硬質部材７まで導くが、その先
端湾曲部６の範囲で細径にしたから、先端湾曲部６の細
径コンパクト化が図れるとともに、先端湾曲部６を柔ら
かくできる。また、先端湾曲部６以外の部分では吸引チ
ャンネルチューブ８４の径を大きくしてあるため、格
別、管路抵抗を大きくしない。なお、この図７でも保護
チューブや外バルーンを取り除いて示している。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、湾
曲操作が不要な場合には加圧用流体供給装置からの供給
ケーブルを内視鏡本体から取り外せる。したがって、供
給ケーブルが邪魔とならずに患者が内視鏡を持ったまま
移動することができ、行動が自由となり、患者の負担を
軽減できる。また、内視鏡本体の口金と供給ケーブル側
の口金とを接続するとき、対応関係にある口金同士を正
しく接続できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示し、（ａ）は挿入部
の先端湾曲部の縦断面図、（ｂ）は前記先端湾曲部の横
断面図、（ｃ）は内視鏡装置の斜視図である。

【図２】（ａ）は本発明の第１の実施例の内視鏡におけ
る手元操作部のケーブル用口金と供給ケーブルとの接続
部の縦断面図、（ｂ）は（ａ）中Ａ−Ａ線に沿う横断面
図である。

【図３】（ａ）は本発明の第１の実施例における流体供
給装置の平面図、（ｂ）はその流体供給装置の正面から
見た断面図である。

【図４】本発明の第２の実施例の内視鏡における手元操
作部のケーブル用口金と供給ケーブルとの接続部の斜視
図である。

【図５】本発明の第３の実施例の内視鏡における手元操
作部のケーブル用口金と供給ケーブルとの接続部の斜視
図である。

【図６】内視鏡の挿入部における先端湾曲部の変形例を
示す説明図である。

【図７】内視鏡の挿入部における先端湾曲部の他の変形
例を示す説明図である。

【符号の説明】

１…内視鏡、２…流体供給装置、３…供給ケーブル、４
…挿入部、５…手元操作部、６…先端湾曲部、１１…外
バルーン、１３ａ，１３ｂ，１３ｃ…加圧室、１４…第
１の加圧チューブ（管路）、２３…ケーブル用口金、２
４…コネクタ、３１…雄形コネクタ部材、３５…装着
環、３８…第２の加圧チューブ、５０ａ，５０ｂ，５０
ｃ…シリンジ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61B 1/00 - 1/32 G02B 23/24 - 23/26

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 挿入部に有した湾曲部に複数の加圧室を
   設け、 湾曲操作用流体供給装置から供給ケーブルを通じて前記
   複数の加圧室に流体を選択的に供給して前記挿入部の湾
   曲部を所定の複数の方向に湾曲する内視鏡において、内視鏡本体の手元側部分には前記複数の加圧室にそれぞ
   れ通じる複数の管路の各々に第１口金を設け、 前記湾曲操作用流体供給装置から前記複数の管路に個別
   的に流体を供給するために前記第１口金にそれぞれ個別
   的に接続する別々の複数の第２口金を有する供給ケーブ
   ルを設け、 前記内視鏡本体側の各々の第１口金と前記供給ケーブル
   側の所定の第２口金とを着脱自在に接続する構成とし、 かつ前記内視鏡本体の第１口金と供給ケーブル側の第２
   口金とを接続するとき、対応関係にある第１口金と第２
   口金同士を接続するべく、誤った口金同士の接続を防止
   する防止手段を設けた ことを特徴とする内視鏡。