JP3324616B2 - 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2.5〜4.5%のS
iを含む高い磁束密度を有する一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、トランス等の電気
機器の鉄心材料として使用されており、磁気特性として
励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならない。しかも
近年特にエネルギーロスの少ない低鉄損素材への市場要
求が強まっている。磁束密度の高い鋼板は、鉄損が低く
また鉄心が小さくできるので、極めて重要な開発目標で
ある。この高い磁束密度を有する一方向性電磁鋼板は、
適切な冷延と焼鈍とにより熱延板から最終板厚にした鋼
板を仕上げ焼鈍して{110}〈001〉方位を有する
一次再結晶粒を選択成長させる、いわゆる二次再結晶に
よって得られる。
【0003】二次再結晶は、二次再結晶前の鋼板中に微
細な析出物、例えばMnS,AlN,MnSe,Cu2
S,BN,(Al,Si)N等が存在すること、あるい
はSn,Sb等の粒界偏析型の元素が存在することによ
って達成される。これら析出物、粒界偏析型の元素は
J.B.May and Turnbull(Tran
s.Met Soc.AIME 212(1958)P
769/781)によって説明されているように、仕上
げ焼鈍工程で{110}〈001〉方位以外の一次再結
晶粒の成長を抑え、{110}〈001〉方位粒を選択
的に成長させる機能を持つ。このような粒成長の抑制効
果は一般にはインヒビター効果と呼ばれている。従って
当該分野の研究開発の重点課題はいかなる種類の析出
物、あるいは粒界偏析型の元素を用いて二次再結晶を安
定させるか、そして正確な{110}〈001〉方位粒
の存在割合を高めるためにそれらの適切な存在状態をい
かに達成するかにある。
【0004】特に最近では一種類の析出物による方法で
は{110}〈001〉方位の高度の制御に限界がある
ため、各析出物について長所、短所を深く解明すること
により、いくつかの析出物を有機的に組み合わせて、よ
り磁束密度の高い製品を安定に、且つコストを安く製造
できる技術の開発が進められている。現在、工業生産さ
れている代表的な一方向性電磁鋼板の製造方法として3
種類あるが、各々については長所、短所がある。
【0005】第一の技術はM.F.Littmannに
よる特公昭30−3651号公報に示されたMnSを用
いた二回冷延工程であり、得られる二次再結晶粒は安定
して発達するが、高い磁束密度が得られない。第二の技
術は田口等による特公昭40−15644号公報に示さ
れたAlN+MnSを用いた最終冷延を80%以上の高
圧下率とするプロセスであり、高い磁束密度が得られる
が、工業生産に際しては製造条件の厳密なコントロール
が要求される。第三の技術は今中等による特公昭51−
13469号公報に示されたMnS(及び/またはMn
Se)+Sbを含有する珪素鋼を二回冷延工程によって
製造するプロセスであり、比較的高い磁束密度は得られ
るが、Sb,Seのような有害でかつ高価な元素を使用
し、しかも二回冷延法であることから製造コストが高く
なる。
【0006】また上記3種類の技術においては、共通し
て次のような問題がある。即ち上記技術はいずれも析出
物を微細、均一に制御する技術として熱延に先立つスラ
ブ加熱温度を、第一の技術では1260℃以上、第二の
技術では特開昭48−51852号公報に示すように素
材Si量によるが3%Siの場合で1350℃、第三の
技術では特開昭51−20716号公報に示すように1
230℃以上、高い磁束密度の得られた実施例では13
20℃といった極めて高い温度にすることによって粗大
に存在する析出物を一旦固溶させ、その後の熱延中、あ
るいは熱処理中に析出させている。スラブ加熱温度を上
げることは、加熱時の使用エネルギーの増大やノロの発
生による歩留り低下及び加熱炉の補修頻度の増大に起因
する設備稼働率の低下、更には特公昭57−41526
号公報に示されるように線状二次再結晶不良が発生する
ため連続鋳造スラブが使用できないという問題がある。
【0007】しかしこのようなコスト上の問題以上に重
要なことは、鉄損向上のためにSiを多く、製品板厚を
薄くといった手段をとると、この線状二次再結晶不良の
発生が増大し、高温スラブ加熱法を前提にした技術では
将来の鉄損向上に希望を持てない。これに対し特公昭6
1−60896号公報に開示されている技術では鋼中の
Sを少なくすることによって二次再結晶が極めて安定
し、高Si薄手製品を可能にした。しかしこの技術は量
産規模で工場生産する上で、磁束密度の安定性に問題が
あり、例えば特開昭62−40315号公報に開示され
ているような改良技術が提案されているが、今まで完全
に解決するに至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】現在工業化されている
製造方法は二次再結晶に必要なインヒビターを冷間圧延
以前の工程で造り込むものである。これに対し本発明は
特開昭62−40315号公報と同一技術思想に基づく
製造方法である。即ち二次再結晶に必要なインヒビター
は、脱炭焼鈍(一次再結晶)完了以降から仕上げ焼鈍に
おける二次再結晶発現以前までに造り込むものでその手
段として、鋼中にNを侵入させることによって、インヒ
ビターとして機能する(Al,Si)Nを形成させる。
鋼中にNを侵入させる手段としては、従来技術で提案さ
れているように仕上げ焼鈍昇温過程での雰囲気ガスから
のNの侵入を利用するか、脱炭焼鈍後段領域あるいは脱
炭焼鈍完了後のストリップを連続ラインでNH3 等の窒
化源となる雰囲気ガスを用いて行う。
【0009】ところで以上のような方法で適正なインヒ
ビターを造り込んでも、窒化時の一次再結晶組織の状態
が適当でなければ、高磁束密度を有する良好な二次再結
晶は得られない。しかしながら従来方式の溶鋼成分で
は、この方式の特徴である1280℃以下の温度に加熱
した後熱延したのでは、析出物が粗大化し過ぎてインヒ
ビターとしての機能はほとんどなく、結晶組織制御のた
め脱炭焼鈍条件を厳密にコントロールする必要がある。
そこで本発明者らは、特願平4−240701号に開示
したように、スラブ素材にBiを添加することで、より
二次再結晶が安定し高磁束密度が得られることを見出し
たが、更に磁気特性のみでなく絶縁被膜特性のより優れ
た一方向性電磁鋼板の製造方法を検討した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく検討を重ねた結果、スラブ素材にBi:
0.002〜0.05%を含有せしめ、かつ脱炭焼鈍条
件を適正にすることにより、脱炭焼鈍後から最終仕上げ
焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施す
方式で、更に安定して高磁束密度の一方向性電磁鋼板が
得られることを見出した。
【0011】本発明の要旨は、重量で、C :0.02
5〜0.10%、 Si:2.5〜4.5%、Mn:
0.05〜0.45%、 S+0.405Se≦0.
014%、酸可溶性Al:0.01〜0.06%、N
:0.0005〜0.013%、残部Fe及び不可避
的不純物からなるスラブを素材とし、1280℃以下の
温度に加熱した後熱延し、最終冷延圧下率50%以上の
1回ないし中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施し、
更に脱炭焼鈍と仕上げ焼鈍を行い、また脱炭焼鈍から最
終仕上げ焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処
理を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、前記ス
ラブ素材にBi:0.002〜0.05%を含有せし
め、更に、 Sn:0.01〜0.10%、 Sb:0.
01〜0.15%及び Cu:0.05〜1.0%を少な
くとも1種含有させ、且つ脱炭焼鈍の前部領域の温度を
800〜880℃とし、続く後部領域の温度を850〜
930℃で10〜300sec 、後部領域の雰囲気のP H
2 O /P H2 を0.15以下とすることを特徴とする高
磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法にある。
【0012】以下に本発明を詳細に説明する。まず本発
明の特徴であるBi添加の効果について述べる。本発明
者らは一方向性電磁鋼板の製造における前記課題を解決
すべく、種々検討を行った。その結果上記成分のスラブ
素材にBi:0.002〜0.05%を含有させると、
脱炭焼鈍前の微細析出物が増加することがわかった。従
って図1に示すようにBi添加によってこの時点でイン
ヒビターが強まり、Bi無添加鋼に比べ一次再結晶粒径
の変動が小さく且つ均一化し、従ってBi無添加鋼に比
べ、脱炭焼鈍の高温領域で二次再結晶が安定すると推定
される。またBi添加材は脱炭焼鈍後窒化処理しても相
対的にインヒビター即ち{110}〈001〉方位粒が
成長するまで他方位粒の成長を抑制する力は強く、この
ことが高磁束密度が得られる原因と考えられる。
【0013】以上のことからこのBi添加は、二次再結
晶が不安定なためより強力なインヒビターを必要とする
薄手・極低鉄損材ほど有効と考えられる。Bi量の限定
理由は、0.002%未満ではインヒビター強化即ち脱
炭焼鈍温度の広い領域で二次再結晶が安定化する効果が
ない。一方0.05%を超えると熱延板の耳割れがひど
くなり、コスト高につながる。
【0014】次に脱炭焼鈍条件については、従来より特
開昭54−24686号公報及び特開昭60−1212
22号公報に開示されているように、一方向性電磁鋼板
の製造において前部領域で温度を低くまたその雰囲気の
P H2 O /P H2 を高くしておいて、引き続く後部領域
で温度を上げ、またその雰囲気のP H2 O /P H2 を下
げると絶縁被膜及び磁気特性が改善されることがわかっ
ていた。この効果の理由は、前部領域では良好な脱炭性
及び酸化膜量の確保のため、また続く後部領域では酸化
膜の質及び一次再結晶組織が改善され、良好な被膜と
{110}〈001〉方位集積度の高い二次再結晶が得
られたためと推定される。
【0015】しかし低温スラブ加熱且つ後工程即ち一次
再結晶完了後に鋼を窒化してインヒビターを造り込む方
式においては、温度を上げ過ぎると一次再結晶粒径が粗
大化、不安定になりやすく、上記のような後部領域を上
げる脱炭焼鈍条件とすることができなかった。しかるに
Bi添加材では、脱炭焼鈍前のインヒビターが強化され
るので、本発明のように後部領域で温度を上げても一次
再結晶粒径が変動が小さく安定なため、図2に示すよう
に脱炭焼鈍温度の後部領域の温度を上げない場合に比
べ、更に良好な高磁束密度特性が得られたと考えられ
る。
【0016】
【作用】次に本発明において鋼組成及び製造条件を上述
のように限定した理由を詳細に説明する。Cは、その含
有量が0.025%未満になると二次再結晶が不安定と
なり、かつ二次再結晶した場合でも製品の磁束密度(B
8 値)が1.80Tに満たない低いものとなる。一方C
の含有量が0.10%を超えて多くなり過ぎると、脱炭
焼鈍時間が長大なものとなり、生産性を著しく損なう。
【0017】Siは、その含有量が2.5%未満になる
と低鉄損の製品を得難く、一方Siの含有量が4.5%
を超えて多くなり過ぎると、冷間圧延等の製造時に割
れ、破断が発生して安定した工業生産が不可能となる。
【0018】本発明の出発材料の成分系における特徴の
一つは、Sを0.014%以下、好ましくは0.010
%以下とする点にある。従来公知の技術、例えば特公昭
40−15644号公報、あるいは特公昭47−252
50号公報に開示されている技術においては、Sは二次
再結晶を生起させるに必要な析出物の一つであるMnS
の形成元素として必須であった。前記公知技術におい
て、Sが最も効果を発揮する含有量範囲があり、それは
熱間圧延に先立って行われるスラブの加熱段階で、Mn
Sを固溶できる量として規定されていた。しかしながら
インヒビターとして(Al,Si)Nを用いる本発明に
おいては、MnSを特に必要とはしない。むしろMnS
が増加することは磁気特性上好ましくない。従って本発
明においては、Sの含有量は0.014%以下、好まし
くは0.010%以下である。
【0019】Seは、Sと同様にMnと化合物を形成し
二次再結晶に影響するため、その含有量はS+0.40
5Se≦0.014%とする。Alは、Nと結合してA
lNを形成するが、本発明においては、後工程即ち一次
再結晶完了後に鋼を窒化することにより(Al,Si)
Nを形成せしめることを必須としているから、フリーの
Alが一定量以上必要である。そのためsol.Alと
して0.01〜0.06%添加する。
【0020】Mnは、その含有量が少な過ぎると二次再
結晶が不安定となり、一方多過ぎると高い磁束密度を有
する製品を得難くなる。適正な含有量は0.05〜0.
45%である。Nは、0.0005%未満では二次再結
晶粒の発達が悪くなる。一方0.013%を超えるとブ
リスターと呼ばれる鋼板のふくれが発生する。Snは、
0.01%未満では磁気特性改善の上で効果がなく、一
方0.10%超では窒化を抑制し二次再結晶粒の発達を
悪くする。
【0021】Sbは、インヒビター効果として、0.0
1〜0.15%が適当である。同様にCuは、インヒビ
ター効果として、0.05〜1.0%が適当である。ス
ラブ加熱温度については、インヒビターを固溶する高温
スラブ加熱でも、また普通鋼並の低温スラブ加熱でも、
二次再結晶は行われる。しかし熱延板の耳割れを抑制で
きること、また当然のこととして熱エネルギーが少ない
低温スラブ加熱が有利であることから、ノロの発生しな
い1280℃以下が望ましい。熱延以降の工程において
は、最も高い磁束密度を得るために、短時間の焼鈍後8
0%以上の高圧下率の冷間圧延によって最終板厚にする
方法が望ましい。しかし磁気特性はやや劣るが低コスト
とするために熱延板焼鈍を省略しても良い。また最終製
品の結晶粒を小さくするため、中間焼鈍を含む工程でも
可能である。
【0022】次に湿水素あるいは湿水素、窒素混合雰囲
気ガス中で脱炭焼鈍をする。ここで図2に示すように脱
炭焼鈍の前部領域の温度を800〜880℃とし、続く
後部領域の温度を850〜930℃で10〜300sec
好ましくは10〜100sec、後部領域の雰囲気のP H
2 O /P H2 を0.15以下と限定した。この理由は前
部領域では良好な脱炭性及び酸化膜量の確保、また続く
後部領域では酸化膜の質及び一次再結晶組織を改善する
ためである。P H2 O /P H2 が0.15を超えると、
良好な被膜を得ることが難しくなる。
【0023】次に焼鈍分離剤を塗布し高温(通常110
0〜1200℃)長時間の仕上げ焼鈍を行う。本発明の
窒化における最も好ましい実施態様は、仕上げ焼鈍の昇
温過程において窒化することであり、これにより二次再
結晶に必要なインヒビターを造り込むことができる。こ
れを達成するために焼鈍分離剤中に窒化能のある化合
物、例えばMnN,CrN等を適当量添加するかあるい
はNH3 等の窒化能のある気体を雰囲気ガス中に添加す
る。なお本発明における窒化の他の実施態様として、脱
炭焼鈍時均熱以降で窒化能のある気体の雰囲気で窒化す
るか、または脱炭焼鈍後別途設けたNH3 等の雰囲気を
有する熱処理炉に通過せしめて窒化しても良く、以上の
手段の組み合わせでも良い。二次再結晶完了後は、水素
雰囲気中において純化焼鈍を行う。
【0024】
【実施例】
実施例1 表1に示す鋼の成分組成を含む溶鋼を鋳造したスラブ
を、1150℃で加熱した後熱延し、2.0mm厚みの熱
延板とした。ついでこれらの熱延板を1050℃×2.
5分+900℃×2分間焼鈍を行った後100℃の湯中
に冷却し、更に酸洗した後冷間圧延を行い0.23mm厚
にした。
【0025】次にこの冷延板を脱炭焼鈍の前部領域を7
90〜890℃×90秒、その雰囲気のP H2 O /P H
2 を0.75で、また後部領域を940℃×20秒、そ
の雰囲気のP H2 O /P H2 を0.02で湿潤水素、窒
素雰囲気中で処理した。ついでアンモニア1%を含む水
素、窒素雰囲気中で750℃×30秒窒化処理を行い、
鋼板中の窒素量を200ppm とした。更にMgO粉を塗
布した後、1200℃×20時間水素ガス雰囲気中で高
温焼鈍を行った。
【0026】
【表1】
【0027】得られた製品は、表2に示すように、本発
明であるBi添加材の方が脱炭焼鈍温度の広い範囲で二
次再結晶が安定し、良好な磁気特性が得られた。
【0028】
【表2】
【0029】実施例2 表1に示す鋼Cの成分組成を含む溶鋼を鋳造したスラブ
を、1150℃で加熱した後熱延し、2.0mm厚みの熱
延板とした。ついでこれらの熱延板を1050℃×2.
5分+900℃×2分間焼鈍を行った後100℃の湯中
に冷却し、更に酸洗した後冷間圧延を行い0.23mm厚
にした。
【0030】次にこの冷延板を脱炭焼鈍の前部領域を8
30℃×60秒、その雰囲気のP H2 O /P H2 を0.
75で、また後部領域を790〜970℃×30秒、そ
の雰囲気のP H2 O /P H2 を0.02〜0.70で湿
潤水素、窒素雰囲気中で処理した。ついでアンモニア1
%を含む水素、窒素雰囲気中で750℃×30秒窒化処
理を行い、鋼板中の窒素量を200ppm とした。更にM
gO粉を塗布した後、1200℃×20時間水素ガス雰
囲気中で高温焼鈍を行った。得られた製品は、表3に示
すように、本発明である脱炭焼鈍後部領域の温度及び雰
囲気の条件で、良好な絶縁被膜と高磁束密度特性が得ら
れた。
【0031】
【表3】
【0032】実施例3 表4に示す鋼の成分組成を含む溶鋼を鋳造したスラブ
を、1150℃で加熱した後熱延し、1.6mm厚みの熱
延板とした。ついでこれらの熱延板を1050℃×2.
5分+900℃×2分間焼鈍を行った後100℃の湯中
に冷却し、更に酸洗した後冷間圧延を行い0.17mm厚
にした。
【0033】次にこの冷延板を脱炭焼鈍の前部領域を7
90〜890℃×90秒、その雰囲気のP H2 O /P H
2 を0.75で、また後部領域を940℃×20秒、そ
の雰囲気のP H2 O /P H2 を0.02で湿潤水素、窒
素雰囲気中で処理した。ついでアンモニア1%を含む水
素、窒素雰囲気中で750℃×30秒窒化処理を行い、
鋼板中の窒素量を200ppm とした。更にMgO粉を塗
布した後、1200℃×20時間水素ガス雰囲気中で高
温焼鈍を行った。
【0034】
【表4】
【0035】得られた製品は、表5に示すように、本発
明であるBi添加材の方が脱炭焼鈍温度の広い範囲で二
次再結晶が安定し、良好な磁気特性が得られた。
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、Bi添加によって脱炭
焼鈍温度の広い範囲で二次再結晶が安定し、且つ脱炭焼
鈍の後部領域での温度とその雰囲気のP H2 O /P H2
を適正な条件にすることで、良好な絶縁被膜と高磁束密
度特性を有する一方向性電磁鋼板を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気特性B10と脱炭焼鈍温度及び溶鋼中のBi
量の関係を示したグラフである。
【図2】磁気特性B10、絶縁被膜密着性に及ぼす脱炭焼
鈍温度(後部領域)とその雰囲気のP H2 O /P H2
影響を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高嶋 邦秀 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社 技術開発本部内 (72)発明者 中村 吉男 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平4−202713(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 C22C 38/00 - 38/60 H01F 1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、 C :0.025〜0.10%、 Si:2.5〜4.5%、 Mn:0.05〜0.45%、 S+0.405Se≦0.014%、 酸可溶性Al:0.01〜0.06%、 N :0.0005〜0.013%、 残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを素材と
    し、1280℃以下の温度に加熱した後熱延し、最終冷
    延圧下率50%以上の1回ないし中間焼鈍を含む2回以
    上の冷間圧延を施し、更に脱炭焼鈍と仕上げ焼鈍を行
    い、また脱炭焼鈍から最終仕上げ焼鈍の二次再結晶開始
    までの間に鋼板に窒化処理を施す一方向性電磁鋼板の製
    造方法において、 前記スラブ素材Bi:0.002〜0.05%を含有
    せしめ、更に、 Sn:0.01〜0.10%、 Sb:0.01〜0.15%及び Cu:0.05〜1.0% を少なくとも1種含有させ、 且つ脱炭焼鈍の前部領域の温度を800〜880℃と
    し、続く後部領域の温度を850〜930℃で10〜3
    00sec 、後部領域の雰囲気のP H2 O /P H2 を0.
    15以下とすることを特徴とする高磁束密度一方向性電
    磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 最終冷延圧下率が80%以上であること
    を特徴とする請求項1記載の高磁束密度一方向性電磁鋼
    板の製造方法。
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