JP3323073B2 - 鋼片の連続熱間圧延方法 - Google Patents

鋼片の連続熱間圧延方法

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JP3323073B2
JP3323073B2 JP22410996A JP22410996A JP3323073B2 JP 3323073 B2 JP3323073 B2 JP 3323073B2 JP 22410996 A JP22410996 A JP 22410996A JP 22410996 A JP22410996 A JP 22410996A JP 3323073 B2 JP3323073 B2 JP 3323073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼片の連続熱間圧
延方法に関し、特にシートバー、スラブ、ビレット、ま
たはブルーム等の鋼片を数本から数十本連続して圧延す
る場合に適した鋼片の連続熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱間圧延ラインでは、圧延すべき
鋼片を一本づつ粗圧延して圧延素材となし、次いで仕上
げ圧延して所定の厚みになるように仕上げるという方法
で熱間圧延が行われていたが、仕上げ圧延時に圧延素材
噛込み不良起因のライン停止を惹起しやすく、また、圧
延素材の先端部および尾端部の形状不良に由来する歩留
り低下が著しいことが問題視されていた。
【0003】このため最近では、仕上げ圧延に先立ち、
予め先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを次々と接合
し、この接合鋼片(圧延素材)を熱間圧延ラインに連続
的に供給する連続熱間圧延方法が提案されている(例え
ば、特開昭57-109504 号公報、特開昭57-137008 号公報
等参照)。この連続熱間圧延における鋼片の接合方式
は、例えば、仕上げ圧延設備(以下、仕上げミルともい
う)入側で先行鋼片の尾端面と後行鋼片の先端面とを端
面の直上および/または直下に配置した誘導加熱用のコ
イルで誘導加熱する途上でまたは完了後に、前記端面同
士が接触して押圧し合うように先行・後行両鋼片に力を
加えることによって、両鋼片を接合するというものであ
る(特開昭62-234679号公報参照)。
【0004】このように接合された圧延素材は、接合部
での形質がそれ以外の部位(定常部という)とは異なる
ので、そのような接合部のなかった従来と同じ条件で圧
延していたのでは接合部で破断してしまうという問題が
あった。そのため、かかる接合部破断の防止対策が種々
提案されている。主なものを挙げると、例えば圧延機の
剛性を大きくし(特開平7-16607 号公報参照)あるいは
接合部の周囲の温度分布をなだらかにして(特開平3-16
611 号公報参照)、接合部圧延時のスタンド間の張力変
動を抑制するという方法がある。これらは、主に仕上げ
ミル後段での接合部破断防止に有効である。
【0005】他方、仕上げミル前段から後段にかけての
全圧延過程において接合部破断を有効に防止しうる方法
として、少なくとも第1スタンドと第2スタンドで端伸
び圧延もしくは中伸び圧延を交互に行う方法(特開平6-
39404 号公報参照)や、接合部が各スタンドを通過する
前後で、好ましくはスタンド毎に板クラウン比率を増大
させて、板形状が耳伸びになるように圧延する方法(特
開平8-90022 号公報参照)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、とくに仕上げミル第1スタンドにおいて上記し
た従来技術ではその進展を防止することが困難な接合部
破断現象の存在に新規に着眼し、この特異な接合部破断
現象について鋭意検討した結果、その原因が接合部の脆
化(第1の原因)、および接合部幅端での歪み集中(第
2の原因)にあることを突き止めた。
【0007】第1の原因である接合部の脆化は鋼種に依
存する。すなわち、相前後する鋼片の先・尾端面同士を
一旦溶融させたのち互いに押圧させる接合過程で、表層
のスケールや不純物等を伴って溶融メタルが排出され、
背後の清浄な固相同士が密着結合することによって強固
な接合部が得られる筈のところ、鋼種によっては接合部
近傍の結晶粒界に硫黄成分が析出するために接合部が著
しく脆化する。
【0008】第2の原因である接合部幅端での歪み集中
は、以下の過程で生じる。すなわち、接合部近傍は加熱
されて周辺よりも高温であるから、その高温区間が圧延
される時には荷重が低下し、圧延機のロールたわみが接
合部周辺(高温区間の前後の低温区間)に比較してクラ
ウン比率を減少させる向きに変化する。このとき、ロー
ルバイト入側において接合部幅端に引張歪みが集中す
る。
【0009】これら第1、第2の原因が重畳すると、仕
上げミル第1スタンドにおいて接合部幅端から脆性破壊
が生じるため、ここで完全破断に至らないまでも断面積
が著しく減少することによって、仕上げミル第2スタン
ド以降で完全破断する危険度が高くなるのである。本発
明は、これらの知見をもとに上述の問題点を有利に解決
するもので、仕上げミル第1スタンドでの接合部におけ
る脆性破壊発生を防止することにより圧延素材を破断さ
せずに安定に通板しうる鋼片の連続熱間圧延方法を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、粗圧延した後
の先行鋼片の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連
続的に仕上げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法におい
て、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべき
クラウン比率を所定値に設定するとともにその圧下前か
らの増分を鋼中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に
前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン
比率が得られるように、粗圧延の少なくとも最終パスで
鋼片にクラウンを形成することを要旨とする。
【0011】また、本発明は、粗圧延した後の先行鋼片
の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上
げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法において、接合部に
対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべきクラウン比率
を所定値に設定するとともにその圧下前からの増分を鋼
中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に前記所定値か
ら前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率が得られ
るように、粗圧延の少なくとも最終パスのロールギャッ
プを、鋼片の少なくとも接合時に尾端となる側の接合予
定部通過時に他部位通過時よりも拡大することを要旨と
する。
【0012】ここに、粗圧延後に前記所定値から前記増
分を差し引いた値以下のクラウン比率を得るには、凸
クラウンを付与したワークロールで圧延する、圧延荷
重を調整する、クラウン調整機能を備えた圧延機で圧
延する、の一または二以上の組み合わせによって行うこ
とが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において特にことわりなく
「圧下」というときは、厚み方向の圧下を意味し、「定
常部」とは、鋼片の接合部以外の部位を意味する。図1
は、本発明の実施に適した熱間圧延設備を例示する模式
図であり、図中、1は粗圧延機3を経た鋼片(先行鋼
片)、2は先行鋼片1に後続搬送される鋼片(後行鋼
片)、4は圧延機スタンドF1, F2,---のタンデム配列に
なる仕上げ圧延機(仕上げミル)、5は先行鋼片1の尾
端部と後行鋼片2の先端部とを切断加工する切断装置、
6は切断加工された先行鋼片1の尾端部と後行鋼片2の
先端部とを衝合し加熱し互いに押圧させる接合装置、7
は仕上げ圧延に先立ち鋼片1、2の表面スケールを除去
するためのスケールブレーカである。なお、接合装置6
内の加熱手段としてこの例では誘導加熱用のコイルが配
置されているが、これを例えばレーザ溶接機やプラズマ
溶接機等、鋼片の端面を溶融可能な他の装置に代えた熱
間圧延設備であっても本発明は適用可能である。
【0014】この設備による連続熱間圧延は、まず先行
鋼片1、後行鋼片2を順次粗圧延機3によって20〜50mm
程度の厚みに圧延し、次いで切断装置5で先行鋼片1の
尾端部を、次いで後行鋼片2の先端部を切断加工し、次
いで切断加工された先・尾端部を接合装置6内の所定位
置に移動させて衝合し、その位置で衝合部を加熱し、先
・尾端部が互いに押圧し合うように先行および/または
後行鋼片を移動させることによって先・尾端部を接合
(加熱後、接合するまでの前記処理を以下「圧接」とい
う。)して、鋼片1、2が接合部で連結された圧延素材
を形成し、この圧延素材を仕上げミル4に送給するとい
う手順で行われる。
【0015】発明者らは、上記手順で連続熱間圧延を施
される圧延素材の接合部における脆性破壊挙動を調査し
て、仕上げミル第1スタンド(F1スタンドという)で起
こる脆性破壊が、鋼中の硫黄含有量とF1スタンドでのク
ラウン比率増分とに密接に関係することを知見した。こ
こに脆性破壊の亀裂進展量は、図2(b)に示すように
板幅片側当たりの脆性破壊亀裂長さLであり、図2
(a)に示すように未接合部(未接合長L0 )がある場
合には接合部幅端点を起点とした長さで評価した。ま
た、クラウン比率増分ΔCは圧延前後のクラウン比率の
差であって、第iスタンドでの増分をΔCiとすると、
一般に次式で表される。
【0016】ΔCi =Ci −Ci-1 =(Cri /h
i )−(Cri-1 /hci-1 ) ここに、Cri は第iスタンド出側のクラウン(=hc
i −hei )、hci、hei は第iスタンド出側の夫
々板幅中央板厚、板幅端板厚である。ただし、本発明で
は、hei を板幅端板厚とせず、板幅端から幅方向に10
0 mm入った位置(エッジ100 mmという。なお、板幅端か
ら幅方向にxmm入った位置をエッジxmmといい、その位
置の板厚をクラウン計算に用いるとき、当該位置を定義
点という。)の板厚とした。
【0017】図3は、F1スタンドでの接合部におけるク
ラウン比率増分(以下適宜「F1クラウン比率増分」と略
称する)と接合部の亀裂進展量(以下適宜「F1亀裂進展
量」と略称する)との関係を鋼中硫黄含有量をパラメー
タとして示すグラフである。なお、ここでは板厚30mm、
板幅1000mmの低炭素鋼(炭素含有量0.01wt%)鋼片を用
いた。また、F1スタンドの圧延は、 650mmφのハイスロ
ールをワークロールとし、そのイニシャルロールカーブ
(ワークロールの初期の軸方向断面プロフィル(イニシ
ャルクラウン))を種々変化させ、圧下率30%として行
った。
【0018】この図から、F1クラウン比率増分が負の場
合、すなわちF1スタンドでの圧延後のクラウン比率が圧
延前よりも減少する場合には亀裂の進展が著しいが、逆
の場合には亀裂の進展が鈍ること、および、F1亀裂進展
量が例えば高々10mm程度に抑止されるF1クラウン比率増
分は鋼中硫黄含有量の増加とともに大きくなることがわ
かる。
【0019】一方、発明者らの検討によれば、接合部で
の未接合長が板幅W〔mm〕の20%程度以上であるとそれ
以降の圧延において亀裂底に応力が集中して破断に至る
危険性が著しく高くなり、概ね15%未満のときにはその
危険性が低い。つまり、図2に示した接合時の半幅当た
りの未接合長L0 〔mm〕を用いて表すと、2(L+
0 )<0.15W(すなわち、L<0.075 W−L0 )であ
ればそれ以降の圧延によって破断に至る危険性が低い。
そして、Wが最も狭い場合でL0 の大きさや板厚方向の
部分的未接合等を勘案すれば、Lの許容上限値を10mm程
度以下としておくのが無難である。
【0020】このことから、接合部に対し仕上げ圧延の
最初の圧下で付与されるクラウン比率C1 推定し、そ
の圧下前からの増分ΔCを、例えば図3に示されるよう
な関係に前記したLの許容上限値(例えば10mm)を考慮
して、鋼中硫黄含有量Sに応じて設定し、前記C1 から
前記増分ΔC(例えば鋼中硫黄含有量0.015 %の場合、
0.2 %である。)を差し引いた値以下のクラウン比率C
0 が得られるように、すなわち、C0 ≦C1 −ΔC
1 (S)となるように、粗圧延の少なくとも最終パスで
鋼片にクラウンを形成すれば、F1スタンドでの接合部に
おける脆性破壊発生を回避できることになる。
【0021】粗圧延工程において、圧延後の鋼片で前記
クラウン比率C0 が得られるように鋼片にクラウンを付
与するには、以下の〜の一または二以上の組み合わ
せによるのが好適である。 凸クラウンを付与したワークロールで圧延する。これ
を行うには、1サイクルの連続圧延に供される複数の鋼
片毎に前記クラウン比率C0 が得られるようなイニシャ
ルロールカーブを求め、それらのうち最も凸量の大きい
カーブを採用すればよい。 圧延荷重(単に「荷重」ともいう)を調整する。これ
を行うには、公知のクラウン予測式等を用いて前記クラ
ウン比率C0 に対応する荷重が最終パスで得られるよう
に圧下位置を調整する。ただし、この圧下位置調整を最
終パスのみで行うと鋼片毎に厚みに差が生じるので、当
該圧延完了時に所望の板厚が得られるように各パスの圧
下配分を定める公知のパススケジュール選択手法を併用
することが望ましい。 クラウン調整機能を備えた圧延機で圧延する。該クラ
ウン調整機能を有するクラウン制御装置には、既存のワ
ークロールベンディング装置、ロールシフト装置あるい
はロールクロス装置などが適用できる。この場合には、
各鋼片について所望のクラウン比率C0 が得られるよう
にクラウン制御装置を調整すればよい。
【0022】これら〜の一または二以上を組み合わ
せて、粗圧延後のクラウン比率C0がC1 −ΔC
1 (S)以下となるように粗圧延を行うことによって、
接合部の脆性亀裂発生を抑止できる。なお、上記〜
は粗圧延機を用いて実施してもよいが、粗圧延機と仕上
げミルとの間に専用の加工設備を設置して実施してもよ
い。
【0023】さて、本発明は、前記したように、粗圧延
後に接合部のクラウン比率が前記所定値から前記増分を
差し引いた値以下となるように、粗圧延の少なくとも最
終パスのロールギャップを、鋼片の少なくとも接合時に
尾端となる側の接合予定部通過時に他部位通過時よりも
拡大することをもう一つの要旨とした。これによる作用
効果を以下に述べる。
【0024】粗圧延工程において接合予定部通過の際に
ロールギャップを他部位通過時よりも拡大すると、圧下
率、荷重、ロールのたわみが共に小さくなって、接合予
定部では他部位よりも板厚が厚くなると同時にクラウン
比率が小さくなる。この状態で接合された鋼片の接合部
は定常部に比べて板厚が厚くクラウン比率が小さい。よ
ってかかる鋼片を仕上げ圧延においてロールギャップを
固定して圧下しても、接合部では定常部よりも自ずと荷
重が増加し、ロールのたわみが大きくなってクラウン比
率が増加する。
【0025】このように、粗圧延工程において接合予定
部通過の際にロールギャップを他部位通過時よりも拡大
することにより、粗圧延でのクラウン比率減少と仕上げ
圧延でのクラウン比率増大との相乗効果が発揮され、F1
スタンドで接合部のクラウン比率を有利に増加させるこ
とができる。ロールギャップの変更は圧下位置を変更す
ることによって行われる。図4は、圧下位置変更要領説
明用のタイミングチャートである。この図に示すよう
に、鋼片の接合予定部(この例では先行鋼片の尾端)
を、例えば鋼片検出器等を用いた既存のトラッキング方
法により追跡して該部の粗圧延機通過タイミングを検出
し、該通過タイミング(この例では所謂尾端抜け時点)
より制御所要時間(T0 (遷移時間)+T1 (保持時
間)[sec] )だけ遡った時点から、圧下位置の変更を開
始する。
【0026】なお、圧下位置変更に係る遷移時間T
0 は、粗圧延機の圧下速度Vr およびロールギャップの
変位ΔSから次式(B0)によって決定できる。また、接合
予定部での板厚変更区間(長手方向)は発明者らの検討
によれば板幅Wの約50%の長さにとっておけばよく、変
更後圧下位置の保持時間T1 は、これにクロップの切断
長Lc を加えた長さを粗圧延速度Vで割った値が余裕を
持って確保できるように、すなわち次式(B1)が満たされ
るように設定すればよい。
【0027】 T0 =ΔS/Vr ……(B0) T1 >(0.5 W+Lc )/V ……(B1) ところで、解決課題の項で述べたように接合部での脆性
破壊はF1スタンドのロールバイト入側で発生することか
ら、粗圧延時にこのようにロールギャップを拡大して他
部位よりも増厚しておくべき部位は、鋼片の少なくとも
接合時に尾端となる側、すなわちF1スタンドで後続の接
合線に先んじて圧延される側の接合予定部としておけば
足りる。よって当然ながら、粗圧延時の先尾端が接合時
と同じ場合は、鋼片の少なくとも尾端側の接合予定部が
増厚対象となり、粗圧延機と接合装置との間にコイルボ
ックス等、先尾端を逆転させるようなコイル貯蔵手段を
用いる場合は、鋼片の少なくとも先端側の接合予定部が
増厚対象となる。
【0028】なお、接合方式等の理由で接合予定部の先
行側と後行側とを同厚に揃える必要がある場合には、鋼
片の接合時に端となる側の接合予定部も増厚対象とし
て差し支えない。また、この接合予定部の圧下位置拡大
においても、前記〜の一または二以上の組み合わせ
によって好適に実施できることはいうまでもない。以
上、本発明の実施形態を詳述したが、ここで説明を割愛
した実施形態、例えば、鋼中硫黄含有量の他に例えば鋼
中マンガン含有量等のマイナー要因付加、F1スタンドの
ワークロールの径やイニシャルクラウンの変更、ここで
はエッジ100mmとした定義点の変更、あるいは接合時の
未接合長やF2スタンド以降のスタンド間張力等設定変更
等に応じた亀裂進展量許容値の変更、等々を加味して自
明に得られる実施形態も、本発明の要旨を逸脱しない限
り本発明範囲に属することは勿論である。
【0029】
【実施例】以下に開示する比較例および実施例では、ク
ラウン(板クラウン)の定義点は特にことわらない限り
前記したようにエッジ100 mmに置いた。 <比較例1> 図1に示した熱間圧延設備を用い、粗圧延機3のワーク
ロールとして径1200mmφで粗最終パススタンド常用のフ
ラットロール、F1スタンドのワークロールとして径650
mmφでイニシャルクラウン−180 μm のロールを装着
し、先行、後行とも鋼中の炭素含有量0.01wt%、硫黄含
有量0.015 wt%、幅1000mmの低炭素鋼の鋼片に対し、以
下の要領で連続熱間圧延を実施して比較例1とした。
【0030】粗圧延最終パスにおいて、先行・後行鋼片
とも入側厚51.5mm、出側厚30mm、圧延温度1100℃で圧延
し、荷重約21600kN が記録され、クラウン約150 μm
(クラウン比率0.5 %)のシートバー1、2を得た。次
いで、これら先行・後行シートバーの尾端部・先端部を
夫々切断装置5により切断し、切断後の尾端と先端を接
合装置6内に誘導し、高周波誘導加熱用のコイルにより
先・尾端面を10秒間加熱して溶融させた後、圧接した。
このとき、シートバー幅端から50mmまでの幅区間は昇温
不足で未接合状態(すなわち未接合長L0 =50mm)であ
った。
【0031】こうして接合されたシートバーを仕上げミ
ル4に送給し、スタンド間張力を前段(F1スタンド〜F3
スタンド、以下同じ)で5〜10MPa 、後段(F4スタンド
〜F6スタンド、以下同じ)で15〜20MPa として、厚み3
mmの熱延板に仕上げた。なお、F1スタンド入側でのシー
トバー温度は定常部で約1000℃、接合部で約1100℃であ
り、F1スタンド出側の定常部目標板厚を20mmとした。
【0032】このとき、F1スタンドにおいて、定常部で
は、荷重約10060kN で出側のクラウンは100 μm とな
り、クラウン比率が入側と同じ0.5 %であったのに対
し、接合部では、荷重が8770kNに低下し、出側厚が19.7
4 mm、クラウンが91μm (クラウン比率0.46%)となっ
てシートバーよりも0.04%減少して本発明を逸脱した結
果、半幅当たり約75mmの脆性亀裂が生じ、接合時の未接
合長50mmと合わせて半幅当たり約125 mm(全幅で約250
mm)の未接合部が発生して、接合健全部は板全幅の7.5
割にまで減少した。このような未接合部を含む圧延材を
さらにF2スタンド以降に通板したところ、F5、F6スタン
ド間で接合部が全幅にわたり破断するという事故に至っ
た。 <実施例1>比較例1において、粗圧延機のワークロー
ルを、フラットロールに代えて、本発明(前記)に則
ってイニシャルクラウン300 μm の凸ロールとし、これ
以外は比較例1と同一条件で圧延して実施例1とした。
【0033】この結果、粗圧延最終パスにおいて、荷重
と出側厚とは比較例1と同じ値であるが、クラウンが約
78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シートバー
が得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比較例
1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有量
(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)
が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接
合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり
高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度
の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板
したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続
圧延することができた。 <実施例2>比較例1において、粗圧延最終パスの入側
厚51.5mmに代えて、本発明(前記)に則り最終パス荷
重を調整(この場合低下)すべくそれ以前のパスの圧下
率を増して最終パスの入側厚40mmとし、これ以外は比較
例1と同一条件で圧延して実施例2とした。
【0034】この結果、粗圧延最終パスにおいて、出側
厚は比較例1と同じ30mmであるが、荷重を前記のように
調整した(約11300kN に低下した)ことによりクラウン
が約78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シート
バーが得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比
較例1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有
量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2
%)が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制さ
れ、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅
当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。こ
の程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降
に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定し
て連続圧延することができた。 <実施例3>比較例1において、本発明(前記)に則
り粗圧延機最終パススタンドに最大能力3000kN/チョッ
クのワークロールベンディング装置を導入してベンディ
ング力を2600kN/チョックとし、これ以外は比較例1と
同一条件で圧延して実施例3とした。
【0035】この結果、粗圧延最終パスにおいて、荷重
と出側厚とは比較例1と同じ値であるが、クラウンが約
78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シートバー
が得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比較例
1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有量
(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)
が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接
合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり
高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度
の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板
したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続
圧延することができた。 <比較例2>図1に示した熱間圧延設備を用い、粗圧延
機3のワークロールとして径1200mmφで粗最終パススタ
ンド常用のフラットロール、F1スタンドのワークロール
として径650 mmφでイニシャルクラウン−180 μm のロ
ールを装着し、先行、後行とも鋼中の炭素含有量0.01
%、硫黄含有量0.015 wt%、幅1000mmの低炭素鋼の鋼片
に対し、以下の要領で連続熱間圧延を実施して比較例2
とした。
【0036】粗圧延最終パスにおいて、先行・後行鋼片
とも入側厚50mm、出側厚30mm、圧延温度1100℃で圧延
し、荷重約20400kN が記録され、クラウン約150 μm
(クラウン比率0.5 %)のシートバー1、2を得た。次
いで、これら先行・後行シートバーの尾端部・先端部を
夫々切断装置5により切断し、切断後の尾端と先端を接
合装置6内に誘導し、高周波誘導加熱用のコイルにより
先・尾端面を10秒間加熱して溶融させた後、圧接した。
このとき、シートバー幅端から50mmまでの幅区間は昇温
不足で未接合状態(すなわち未接合長L0 =50mm)であ
った。
【0037】こうして接合されたシートバーを仕上げミ
ル4に送給し、スタンド間張力を前段で5〜10MPa 、後
段で15〜20MPa として、厚み3mmの熱延板に仕上げた。
なお、F1スタンド入側でのシートバー温度は定常部で約
1000℃、接合部で約1100℃であり、F1スタンド出側の定
常部目標板厚を20mmとした。このとき、F1スタンドにお
いて、定常部では、荷重約10060kN で出側のクラウンは
100 μm となり、クラウン比率が入側と同じ0.5 %であ
ったのに対し、接合部では、圧延荷重が8770kNに低下
し、出側厚が19.74 mm、クラウンが91μm (クラウン比
率0.46%)となってシートバーよりも0.04%減少して本
発明を逸脱した結果、半幅当たり約75mmの脆性亀裂が生
じ、接合時の未接合長50mmと合わせて半幅当たり約125
mm(全幅で約250 mm)の未接合部が発生して、接合健全
部は板全幅の7.5 割にまで減少した。このような未接合
部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したとこ
ろ、F5、F6スタンド間で接合部が全幅にわたり破断する
という事故に至った。 <実施例4>比較例2において、本発明の前記もう一つ
の要旨に則り、粗圧延最終パスで接合予定部である先行
鋼片尾端および後行鋼片先端(この場合後行鋼片先端も
対象とした方が好都合であった)を対象に圧下位置を定
常部相当部位(他部位)の25.9mmから30.9mmへと変更し
て接合予定部の出側厚を34mmに増厚するようにロールギ
ャップ拡大を行い、これ以外は比較例2と同一として実
施例4とした。この増厚実施時に荷重は約20400kN から
約15600kN に低下し、この増厚を施された接合予定部の
クラウン比率は他部位の0.5 %から0.32%に減少した
(前掲図4参照)。
【0038】当該接合予定部を接合装置6で圧接した
際、比較例2と同様に未接合長(L0=50mm)を含む接
合部を有するシートバーが得られ、これを比較例2と同
じロールギャップに設定したF1スタンドで圧延した。こ
のとき、シートバーの接合部を挟む増厚区間では図5の
圧下履歴図に示すように、接合部の前後で荷重が約1270
0kN に上昇しかつクラウン比率が増加し、接合部におい
ても約11000kN の荷重が確保でき、かつ定常部における
0.5 %を上回る0.53%のクラウン比率を呈して、鋼中硫
黄含有量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分
(0.2 %)以上の値(0.21%)が期待通り得られた。
【0039】その結果、脆性亀裂が高々10mmに抑制さ
れ、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅
当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。こ
の程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降
に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定し
て連続圧延することができた。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、とくに仕上げミル第1
スタンドにおいて従来技術ではその進展を防止すること
が困難な鋼片接合部の脆性破壊を効果的に抑止でき、接
合部がスタンド間で破断するような憂いなしに圧延する
ことが可能となり、生産性の高い連続熱間圧延が実現す
るという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に適した熱間圧延設備を例示する
模式図である。
【図2】本発明における亀裂進展量の定義説明図であ
る。
【図3】F1クラウン比率増分とF1亀裂進展量との関係を
鋼中硫黄含有量をパラメータとして示すグラフである。
【図4】圧下位置変更要領説明用のタイミングチャート
である。
【図5】実施例4のシートバー増厚区間のF1スタンドに
おける圧下履歴図である。
【符号の説明】
1 鋼片(先行鋼片) 2 鋼片(後行鋼片) 3 粗圧延機 4 仕上げ圧延機(仕上げミル) 5 切断装置 6 接合装置 7 スケールブレーカ
フロントページの続き (72)発明者 二階堂 英幸 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平8−90022(JP,A) 特開 平10−58021(JP,A) 特開 平9−262614(JP,A) 特開 平7−88516(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78 B21B 1/00 - 1/46 B21B 15/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行
    鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片
    の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延
    の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定
    するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に
    応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差
    し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧
    延の少なくとも最終パスで鋼片にクラウンを形成するこ
    とを特徴とする鋼片の連続熱間圧延方法。
  2. 【請求項2】 粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行
    鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片
    の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延
    の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定
    するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に
    応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差
    し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧
    延の少なくとも最終パスのロールギャップを、鋼片の少
    なくとも接合時に尾端となる側の接合予定部通過時に他
    部位通過時よりも拡大することを特徴とする鋼片の連続
    熱間圧延方法。
  3. 【請求項3】 粗圧延後に前記所定値から前記増分を差
    し引いた値以下のクラウン比率を得るに際し、凸クラウ
    ンを付与したワークロールで圧延する、圧延荷重を調整
    する、クラウン調整機能を備えた圧延機で圧延する、の
    一または二以上の組み合わせによって行う請求項1また
    は2記載の鋼片の連続熱間圧延方法。
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