JP3322061B2 - 脂環骨格含有ポリエステル樹脂およびその製造方法 - Google Patents
脂環骨格含有ポリエステル樹脂およびその製造方法Info
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Description
リエステル樹脂に関する。詳しくは、耐熱性、透明性、
耐湿性等に優れ、しかも分子量分布幅の狭い新規な脂環
骨格含有ポリエステル樹脂に関する。
ードの基板や液晶表示素子用基板等のような各種光学材
料としては、ガラスまたはプラスチックが用いられてい
る。しかし、ガラスは耐候性、耐薬品性、および光学特
性に優れているものの加工性、量産性が悪く、重い、割
れやすいといった欠点がある。そこで、近年、ガラスに
代わる透明性材料として成形性の優れた透明プラスチッ
クが注目を浴びている。
れているものにポリメチルメタクリレート(以下、PM
MAと略称する)やポリカーボネート(以下、PCと略
称する)がある。PMMAは複屈折は極めて低いものの
吸水性が比較的大きく寸法安定性に欠け、表面が傷つき
易いため、光学性能の低下を引き起こすことがある。ま
た耐熱性においても問題を有する。PCは、吸水性は極
めて低く寸法安定性に優れるが、複屈折が大きいという
欠点を有する。
て脂環式ジカルボン酸や脂環式ジオールなどの脂環式モ
ノマーを原料として得られる脂環骨格含有ポリエステル
樹脂が提案されている(特開平2−253201号公
報、特開平3−200830号公報、特開平5−502
6号公報、特開平5−17560号公報等)。これら公
報記載のポリエステルはいずれも一般式(10):
水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示
す。)で表される脂環式ジカルボン酸誘導体および/ま
たは一般式(11):
表される脂環式ジオールを原料とする耐熱性、透明性に
優れたポリエステル樹脂である。しかし、原料である脂
環式ジカルボン酸の縮合性官能基であるカルボキシル基
(またはそのジアルキルエステル基)や、脂環式ジオー
ルの縮合性官能基であるヒドロキシメチル基が脂環骨格
のビシナル炭素上にあるため、お互いの立体障害が生
じ、モノマーの反応性に乏しい。その結果、重縮合の際
には多大な熱量を必要とし、特に重縮合の最終段階の減
圧時には解重合が起こったり、昇華物が生成したりし
て、酸成分とアルコール成分のバランスが崩れてしま
い、得られるポリエステル樹脂は、非常に分子量分布が
広く、低分子縮合物がかなり残存した樹脂となる。その
ため、従来より知られている脂環骨格含有ポリエステル
樹脂はプラスチックとして透明性や機械的強度は優れて
いるものの、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等の特性が十分
に発揮されないという問題がある。
うなビシナル結合型の脂環式ジカルボン酸(またはその
ジエステル)または脂環式ジオールを用いて得られる従
来の脂環骨格含有ポリエステル樹脂の課題を解決すべく
なされたものであり、これに代わる新規な脂環骨格含有
ポリエステル樹脂を提供するものである。
れる構造単位および/または一般式(2):
れる構造単位を有する脂環骨格含有ポリエステル樹脂、
ならびにその製造方法に関する。
原料である前記一般式(6)で表される脂環骨格含有ジ
カルボン酸またはそのジエステルは、たとえば、以下の
方法により得ることができる。すなわち、一般式(1
2):
れる脂環式モノオレフィンを出発原料として、この二重
結合部分を酸化剤を用いて酸化開裂して、一般式(1
3):
れる脂環式シス−ジカルボン酸とし、次いでこれを炭素
数1〜4の1価アルコールでエステル化すれば、一般式
(14):
素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。)で表される脂
環式シス−ジカルボン酸ジエステルが得られる。また、
該一般式(14)で表される脂環式シス−ジカルボン酸ジ
エステルに、触媒として金属アルコキシド類を作用さ
せ、エステル基が互いにトランスの立体配置の関係にな
るように異性化すれば、一般式(15):
素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。)で表される脂
環式トランス−ジカルボン酸ジエステルが得られる。な
お、一般式(15)で表される脂環式トランス−ジカルボ
ン酸ジエステルを、一般的な酸触媒条件下またはアルカ
リ触媒条件下で加水分解すれば、一般式(15)のR1 を
水素原子に置き換えた脂環骨格含有トランス−ジカルボ
ン酸が得られる。
ルボン酸またはそのジエステルの製造方法について詳し
く説明する。
レフィンは、公知の方法により製造することができる。
すなわち、ジエン化合物であるシクロペンタジエン又は
ジシクロペンタジエンと、脂環式ジエノファイル化合物
であるエチレン又はノルボルネンとのディールス・アル
ダー反応により得ることができる。例えば、シクロペン
タジエンとノルボルネンとの反応の場合には、両原料の
1:1付加体であるテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン(一般式(12)において
nが0)、2:1付加体であるヘキサシクロ[6.6.
1.13,6 .110,1 3 .02,7 .09,14]−4−ヘプタ
デセン(一般式(12)においてnが1)が得られる。こ
れら一般式(12)で表される脂環式モノオレフィンは、
ジエン化合物とジエノファイル化合物の仕込みのモル量
論比や反応条件を適当に選択することにより、目的物へ
の反応選択率を向上することが一般的に知られており、
減圧蒸留によって容易に単離することができる。
いて一段階で酸化開裂してジカルボン酸を得る方法とし
ては、たとえば、過マンガン酸塩を用いる方法[ジャー
ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ・パーキン・トラ
ンス・1(J.Chem.Soc.,Perkin.Tr
ans.1)806頁(1973年)]、重クロム酸塩
を用いる方法[オルガニック・シンセシス(Org.S
ynth.)第4巻698頁(1963年)]、ルテニ
ウム金属触媒存在下で過ヨウ素酸塩を用いる方法[ジャ
ーナル・オブ・オルガニック・ソサイアティ(J.Or
g.Chem.)第46巻19頁(1981年)]、硝
酸を用いる方法(特開昭59−190945公報)、オ
ゾンを用いる方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.
)第81巻4273頁(1959年)]等が知られて
おり、これら公知の酸化開裂反応をそのまま採用するこ
とができる。
を種々検討したところ、酸化剤として過マンガン酸塩、
重クロム酸塩または硝酸を用いる方法では、一般式(1
3)で表される脂環式シス−ジカルボン酸の収率は低か
った。一方、酸化剤として過ヨウ素酸塩を用いる方法及
びオゾンを用いる方法では、いずれも一般式(13)で表
される脂環式シス−ジカルボン酸を高収率で得られるこ
とが判明したが、反応処理が繁雑であったり、あるいは
反応試薬が高価であったりして工業的製造の見地から不
利であることもわかった。そこで、本発明者らは、酸化
開裂反応について、鋭意検討を重ねた結果、酸化剤とし
て過マンガン酸塩を用い、酸性条件下で酸化反応を行え
ば、極めて高収率で一般式(13)で表される脂環式シス
−ジカルボン酸が得られることを新たに見出した。酸化
剤として用いる前記過マンガン酸塩としては、過マンガ
ン酸カリウムが一般的である。過マンガン酸塩の使用量
は、酸化開裂反応が化学量論的反応であるため、一般式
(12)で表される脂環式モノオレフィン1モルに対し
て、通常1モル当量以上、好ましくは、2〜4モル当量
使用するのがよい。反応系を酸性条件下にするためには
通常、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などの各種の無機酸や有
機酸が用いられる。これら酸のなかでも、酸による分解
物の生成が少なく、安価な点から硫酸、塩酸などの無機
酸が好ましい。これらの酸は、水で希釈して水溶液とし
て使用してもよく、希釈せずにそのまま使用してもよ
い。かかる酸の使用量は、一般式(12)で表される脂環
式モノオレフィン1モルに対して、通常、0.2〜3モ
ル当量、好ましくは0.4〜2モル当量の範囲で用いら
れる。0.2モル当量に満たない場合には低収率とな
り、3モル当量を越える場合には酸による分解物が副生
するため、いずれの場合も好ましくない。また、本発明
の酸化開裂反応における溶媒としては、反応に不活性な
溶媒であれば特に限定されず、たとえば、水、アセト
ン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メチルクロ
リド、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭
化水素類等を使用できる。これらの溶媒のなかでも、一
般式(12)で表される脂環式モノオレフィンと過マンガ
ン酸塩の溶解性を考慮すれば、水と有機溶媒の混合溶媒
を一般式(12)で表される脂環式モノオレフィン1重量
部に対して1重量部以上用いるのがよい。より好ましく
は、水:アセトンの1:9〜9:1(重量比)の混合溶
媒を一般式(12)で表される脂環式モノオレフィン1重
量部に対して3重量部以上用いるのがよい。本発明の前
記酸化開裂反応において、一般式(12)で表される脂環
式モノオレフィン、過マンガン酸塩及び酸は一括して最
初から溶媒とともに仕込んで反応させてもよく、それぞ
れを連続的若しくは断続的に系内に加えながら反応させ
てもよい。また、過マンガン酸塩のみを先に溶媒に溶解
若しくは懸濁させておき続いて一般式(12)で表される
脂環式モノオレフィン及び酸を連続的若しくは断続的に
系内に加えて反応させてもよく、一般式(12)で表され
る脂環式モノオレフィンのみを先に溶媒に溶解若しくは
懸濁させておき続いて過マンガン酸塩及び酸を連続的若
しくは断続的に系内に加えて反応させてもよい。さらに
は、一般式(12)で表される脂環式モノオレフィン及び
酸を先に仕込んでおき続いて過マンガン酸塩を連続的若
しくは断続的に系内に加えて反応させてもよく、過マン
ガン酸塩及び酸を先に仕込んでおき続いて一般式(12)
で表される脂環式モノオレフィンを連続的若しくは断続
的に系内に加えて反応させてもよく、一般式(12)で表
される脂環式モノオレフィン及び過マンガン酸塩を先に
仕込んでおき続いて酸を連続的若しくは断続的に系内に
加えて反応させてもよい。反応温度は、通常−20〜1
00℃、好ましくは0〜40℃とするのがよい。反応時
間は、一般式(12)で表される脂環式モノオレフィンと
過マンガン酸塩の量論比及び反応温度に依存するが、通
常2〜24時間とするのがよい。
ルボン酸ジエステルは、得られた一般式(13)で表され
る脂環式シス−ジカルボン酸をp−トルエンスルホン酸
や硫酸等の酸触媒存在下、炭素数1〜4の1価アルコー
ルでエステル化するといったごく一般的な方法により容
易に得ることができる。1価アルコールの具体例として
はメタノール、エタノール、n−またはiso−プロパ
ノール、n−、sec−またはtert−ブタノール等
があげられる。なお、エステル化は、通常、1価アルコ
ール中で行い、1価アルコールは、一般式(13)で表さ
れる脂環式シス−ジカルボン酸の3重量倍以上が必要と
される。
ジカルボン酸ジエステルの一般式(15)で表される脂環
式トランス−ジカルボン酸ジエステルへの異性化は、触
媒として金属アルコキシド類を作用させることにより、
容易に、しかも高収率で起こる。触媒として使用する金
属アルコキシド類としては、例えばリチウム、ナトリウ
ムまたはカリウム等のアルカリ金属のメトキシド、エト
キシド、n−プロポキシド、iso−プロポキシド、n
−ブトキシド、sec−ブトキシド、tert−ブトキ
シド、ペントキシド等があげられる。これらのアルカリ
金属アルコキシドは、別途に合成されたものを用いても
よく、本異性化反応の同じ系内で合成して用いてもよい
(例えば、異性化反応に用いる溶媒中、または該反応に
不活性で適当な溶媒中でアルコールとアルカリ金属もし
くはアルカリ金属水素化物とを反応させて合成し、その
ままその溶液を反応に用いる。)。また、これらの金属
アルコキシド類は、それぞれ単独で使用してもよく、複
数の該アルコキシドを混合して使用してもよい。触媒の
使用量は、特に制限はないが、一般式(14)で表される
脂環式シス−ジカルボン酸ジエステル1モルに対して
0.05〜0.5モル当量の範囲で使用するのが好まし
い。触媒量が0.05モル当量より少ない場合は、異性
化が起こらないか若しくは進行が極めて遅く実用的では
ない。また、0.5モル当量より多いと、触媒が強アル
カリ性のためいろいろな副反応を併発する危険性がでて
くる。前記異性化反応は、溶媒が存在しなくても可能で
あるが、通常は適当な溶媒を用いる方がよい。使用する
溶媒としては、一般式(15)で表される脂環式トランス
−ジカルボン酸ジエステルを完全にまたは部分的に溶解
する事ができ、反応に不活性であれば特に制限はない。
かかる溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール等の
アルコール類等の有機溶媒があげられる。好ましくはテ
トラヒドロフランやジオキサン等のエーテル類等の非プ
ロトン性の有機溶媒がよい。また、これらの溶媒は、市
販されているものをそのまま使用しても充分に好結果は
得られるが、単蒸留若しくは脱水蒸留したものを用いる
と一層よい。異性化の反応温度は、通常−50〜100
℃、好ましくは−10〜50℃とするのがよい。反応時
間は、上述してきたような条件下では速やかに異性化が
進行し、従って、ほとんどの場合5時間以内で充分であ
る。
合成する際には、こうして得られる一般式(14)で表さ
れる脂環式シス−ジカルボン酸もしくはそのジエステ
ル、または一般式(15)で表される脂環式トランス−ジ
カルボン酸もしくはそのジエステルのいずれを用いても
よく、これらのシス体、トランス体の混合物を用いても
よい。通常は反応性の高いジエステルのトランス体を用
いるのがよい。
もう一つの原料である前記一般式(8)で表される脂環
式ジオールは、たとえば、以下の方法により得ることが
できる。すなわち、前記一般式(14)で表される脂環式
シス−ジカルボン酸ジエステルを、水素化触媒存在下
に、接触水素還元すれば、一般式(16):
れる脂環式シス−ジオールが得られる。また、同様に一
般式(15)で表される脂環式トランス−ジカルボン酸ジ
エステルを、水素化触媒存在下に、接触水素還元すれ
ば、一般式(17):
れる脂環式トランス−ジオールが得られる。
媒、白金・スズ触媒、ロジウム・スズ触媒、ルテニウム
・スズ触媒、パラジウム・亜鉛触媒等があげられるが、
これらのなかでも銅・クロマイト触媒が好ましい。ジエ
ステル化合物から対応するジオール化合物への接触水素
還元に、触媒として銅・クロマイトを用いることは古く
から知られており[例えば、オルガニック・リアクショ
ン(Org.React.)第8巻1〜27頁(195
4年)]、工業的にもいろいろなグレードの銅クロマイ
ト触媒が使用されている。銅・クロマイト触媒は、市販
されているものをそのまま単独で用いてもよいし、これ
に他のスズ、ロジウム、モリブデン、パラジウム、鉄等
の金属系の還元触媒を助触媒として混合・調製して用い
てもよい。本発明の接触水素還元にもこれらの公知の手
段をそのまま採用できる。水素化触媒の使用量は、通
常、一般式(14)で表される脂環式シス−ジカルボン酸
ジエステルまたは一般式(15)で表される脂環式トラン
ス−ジカルボン酸ジエステルに対して、0.01重量%
〜15重量%の範囲で用いられる。この範囲より少ない
と還元に長時間を要し、また多いと副反応を並発する恐
れがあり工業的製造の見地から好ましくない。接触水素
還元反応は通常溶媒中で行う。使用する溶媒は、反応に
不活性な溶媒であれば特に制限はなく、たとえば、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水
素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水
素、その他アルコール系溶媒、エーテル系溶媒等を使用
できる。溶媒の使用量は、一般式(14)で表される脂環
式シス−ジカルボン酸ジエステルまたは一般式(15)で
表される脂環式トランス−ジカルボン酸ジエステル1重
量部に対して0.1〜50重量部の範囲で用いるのが好
ましい。接触水素還元反応に使用する水素の圧力は、常
圧以上であればよい。通常は、10kg/cm2 以上と
するのがよい。銅・クロマイト触媒を使用する場合には
100kg/cm2 以上とするのが好ましい。より好ま
しくは200kg/cm2 以上である。これらより圧力
が低いと接触水素還元反応の進行が極めて遅く工業的製
造の見地から不利になってくる。また、反応温度は、副
反応を並発しなければ高温である程反応の進行が速く工
業的製造の見地から有利であるが、通常100〜300
℃の範囲で行うのがよい。好ましくは、170〜300
℃の範囲で行うのがよい。反応器は、一般の接触水素還
元に用いる耐圧反応器であれば特に制限はない。
合成する際には、こうして得られる一般式(16)で表さ
れる脂環式シス−ジオール、または一般式(17)で表さ
れる脂環式トランス−ジオールいずれを用いてもよく、
これらのシス体、トランス体の混合物を用いてもよい。
通常は反応性の高いトランス体を用いるのがよい。
は、ジカルボン酸成分として一般式(6)で表される脂
環式ジカルボン酸もしくはそのジエステル、および/ま
たはジオール成分として一般式(8)で表される脂環式
ジオールを必須成分として用いてなり、これらの脂環式
化合物を含むジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合
して得られる。すなわち、本発明の脂環骨格含有ポリエ
ステル樹脂は、一般式(3)で表される繰り返し単位か
らなる全脂環式ポリエステル樹脂の他に、ポリエステル
樹脂中に一般式(1)で表される構造単位および/また
は一般式(2)で表される構造単位を、ポリエステル構
造単位の一部に有する脂環骨格含有ポリエステル樹脂を
包含するものである。
が、一般式(3)で表される繰り返し単位からなる全脂
環式ポリエステル樹脂以外の場合においては、一般式
(1)で表わされる構造単位および一般式(2)で表さ
れる構造単位のモル分率の和が20モル%以上であるの
が、透明性、耐熱性等の点から好ましい。好ましくは、
該モル分率の和は50モル%以上である。なお、該モル
分率の和が100モル%になる一般式(3)で表される
繰り返し単位からなる全脂環式ポリエステル樹脂が特に
好ましい。
酸またはそのジエステルを除くジカルボン酸成分として
は、一般式(7):R00C−A1 −COOR(式中、
A1は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Rは水素原
子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。)で
表されるジカルボン酸化合物またはそのジエステルがあ
げられる。
20の炭化水素基であり、各種の脂肪族炭化水素基、脂
環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。これら
炭化水素基のなかでも、得られる脂環骨格含有ポリエス
テル樹脂を光学材料として用いる場合には、耐熱性、透
明性等の点で炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、また
は炭素数6〜20の脂環式炭化水素基が好ましい。炭素
数1〜10の脂肪族炭化水素基の具体例としては、たと
えば、一般式(18):
炭素数6〜20の脂環式炭化水素基の具体例としては、
たとえば、一般式(19):
芳香族炭化水素基の具体的としては、たとえば、一般式
(20):
除くジオール成分としては、一般式(9):H0−A2
−OH(式中、A2 は炭素数1〜20の炭化水素基を示
す。)で表されるジオール化合物があげられる。一般式
(9)におけるA2 は、炭素数1〜20の炭化水素基で
あり、各種の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳
香族炭化水素基が含まれる。これら炭化水素基のなかで
も、得られる脂環骨格含有ポリエステル樹脂を光学材料
として用いる場合には、耐熱性、透明性等の点で炭素数
1〜10の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜20の
脂環式炭化水素基が好ましい。なお、炭素数1〜10の
脂肪族炭化水素基の具体例としては、前記一般式(18)
と同様のもの、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基の具
体例としては、一般式(19)と同様のもの、芳香族炭化
水素基の具体的としては、一般式(20)と同様のものが
あげられる。
樹脂の製造について説明する。本発明の脂環骨格含有ポ
リエステル樹脂中のジカルボン酸成分とジオール成分の
モル分率はそれぞれ50モル%であり、原料のジカルボ
ン酸成分とジオール成分を仕込む場合にはそれぞれ等モ
ル部加えればよい。なお、脂環骨格含有ポリエステル樹
脂の要求特性(たとえば、酸価、水酸基価等)や、原料
の性質(沸点、昇華性)等に応じて、原料のジカルボン
酸成分とジオール成分のそれぞれのモル分率を適宜に調
整してもよい。
ゴン等の不活性ガス雰囲気中で、適当な重合触媒の存在
下、原料を加熱、撹拌しながら生成するアルコールを留
出させることにより行われる。
ソチタネート、酢酸亜鉛、酸化アンチモン、酸化ゲルマ
ニウム、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメ
トキシド等の一般的なエステル交換触媒を使用できる。
触媒は1種類でもよく、また数種を混合して使用しても
よい。触媒の使用量は特に制限はないが、通常原料全体
に対して0.01〜0.2重量%程度である。触媒の使
用量が上記の範囲より少ない場合には反応速度が低下
し、また、触媒の使用量が上記の範囲より多い場合には
着色や重合度の低下を引き起こす場合があり、好ましく
ない。
るが、通常100〜300℃の範囲で行われる。一般的
には、この温度内で段階的もしくは連続的に昇温、保温
していき、最終温度230〜300℃で系内を減圧に
し、重縮合を完結させる。この際の減圧度は、通常0.
01〜100mmHgであるのがよい。反応時間は通常
1〜10時間で行われる。
トランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状に
するか、または塊状で取り出して粉砕する。
含有ポリエステル樹脂は、GPCで求めた数平均分子量
(ポリスチレン換算)が4000〜100000であ
る。しかも低分子量縮合物が少なく分子量分布(重量平
均分子量/数平均分子量、以下、Mw/Mnともいう)
は2〜5程度で、先に述べてきた従来の脂環骨格含有ポ
リエステル樹脂に比べて非常に狭い。特に一般式(1)
で表わされる構造単位および一般式(2)で表される構
造単位のモル分率の和が多いほど分子量分布が狭くな
る。また、ポリマー鎖に脂環構造を有するため剛直であ
り、ガラス転移温度が100〜170℃程度と高く、耐
熱性に優れている。また、低分子量縮合物が少ないた
め、耐湿性にも優れており、しかも、非結晶であるた
め、透明性も非常によい。
の任意の方法、例えば、プレス成形、押し出し成形、射
出成形等の溶融成形法により各種成形品に成形すること
ができる。成形の際には、必要に応じて熱安定剤、光安
定剤、静電防止剤、潤滑剤、無機または有機の充填剤、
染料、顔料等を加えてもよい。
は、原料であるジカルボン酸成分とジオール成分の縮合
性官能基がビシナル炭素上にないため、お互いの立体障
害がなく、反応性よく製造できる。そのため従来の脂環
骨格含有ポリエステル樹脂に比べ低分子縮合物の含有量
が少なく、分子量分布の狭い樹脂である。また、脂環骨
格含有ポリエステル樹脂の特徴である耐熱性、透明性、
耐湿性にも優れている。こうした脂環骨格含有ポリエス
テル樹脂は光学用レンズ材料、めがね用レンズ材料、光
ディスク用基盤材料、プラスチック光ファイバー、各種
照明器具部品、自動車のヘッドランプ、リアランプなど
のカバー等の光学用成形品の分野はもちろんのこと、広
くプラスチック改質用樹脂としても用いることができ
る。
的に説明する。
の4つ口フラスコにトリシクロ [5.2.1.02,6 ]
デカン−トランス−3, 5−ジカルボン酸ジメチルエス
テル(一般式(15)でmが0、R1 がメチル基)252
g(1モル)、トリシクロ [5.2.1.02,6 ]デカ
ン−トランス−3, 5−ジメタノール(一般式(17)で
nが0)196g(1モル)およびテトラブチルオルソ
チタネート0.34g(1ミリモル)を仕込み、窒素気
流下、130℃で30分間、160℃で30分間、20
0℃で30分間、250℃で30分間撹拌した。次い
で、系内を減圧(1.0mmHg)にし、250℃で3
0分間撹拌し、脂環式ポリエステル樹脂378gを得
た。
酸ジエステルまたは脂環式ジオールの種類を表1に示す
ものに代えた他は、実施例1と同様にして反応を行い各
種脂環式ポリエステル樹脂を得た。
1.13,6 .02,7 .09.13]ペンタデカン−トランス
−10, 12−ジカルボン酸ジメチルエステル(一般式
(15)でmが1、R1 がメチル基)318g(1モ
ル)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン−トランス−10, 12−ジメタノ
ール(一般式(17)でnが1)184g(0.7モ
ル)、エチレングリコール18.6g(0.3モル)お
よびテトラブチルオルソチタネート0.34g(1ミリ
モル)を仕込み、窒素気流下で130℃で30分、17
0℃で30分、210℃で30分、260℃で30分撹
拌した。さらに系内を減圧(1.0mmHg)にし、2
60℃で50分撹拌し、樹脂441gを得た。
テルまたはジオール化合物の種類もしくはその使用割合
を表2に示すものに変えた他は、実施例5と同様にして
反応を行い各種脂環骨格含有ポリエステル樹脂を得た。
性値を下記の方法に従って測定した。評価結果を表3に
示す。
の反応性の目安として、昇温時(常圧)、メタノールが
留出を開始した時の系内の温度を読みとった。
(マック・サイエンス社製;DSC3100S)を用い
て測定した。
に調整した試料の波長400nm、600nmおよび8
00nmの透過率を分光光度計((株)日立製作所製、
C−3300)により測定した。
吸水による重量増加が見られなくなった時点での重量増
加率を測定した。なお、この方法により求めたPCの飽
和吸水率は0.45%であった。
(東ソー(株)製;HLC−8020)(ポリスチレン
換算)により求めた。また、Mw/Mnを算出した。
テル樹脂および脂環骨格含有ポリエステル樹脂は、従来
の脂環式ポリエステル樹脂に比べて分子量分布が狭く
(Mw/Mnが小さい)、また耐熱性、透明性、耐湿性
も同等またはそれ以上であることが認められる。さらに
はメタノール留出開始温度が低いことから、脂環式ポリ
エステル樹脂の製造上反応性がよいことが認められる。
Claims (8)
- 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、mは0または1を示す。)で表される構造単位
および/または一般式(2): 【化2】 (式中、nは0または1を示す。)で表される構造単位
を有する脂環骨格含有ポリエステル樹脂。 - 【請求項2】 一般式(3): 【化3】 (式中、m及びnは0または1を示し、m及びnはそれ
ぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で表される
繰り返し単位からなる請求項1記載の脂環骨格含有ポリ
エステル樹脂。 - 【請求項3】 一般式(1): 【化4】 (式中、mは0または1を示す。)で表わされる構造単
位および/または一般式(2): 【化5】 (式中、nは0または1を示す。)で表される構造単
位、ならびに一般式(4): 【化6】 (式中、A1 は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
で表わされる構造単位および/または一般式(5): 【化7】 (式中、A2 は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
で表される構造単位からなり、一般式(1)で表される
構造単位および一般式(4)で表される構造単位のモル
分率の和と、一般式(2)で表される構造単位および一
般式(5)で表される構造単位のモル分率の和がそれぞ
れ50モル%である請求項1記載の脂環骨格含有ポリエ
ステル樹脂。 - 【請求項4】 一般式(4)で表される構造単位におけ
るA1 が、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、または
炭素数6〜20の脂環式炭化水素基である請求項3記載
の脂環骨格含有ポリエステル樹脂。 - 【請求項5】 一般式(5)で表される構造単位におけ
るA2 が、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、または
炭素数6〜20の脂環式炭化水素基である請求項3また
は4記載の脂環骨格含有ポリエステル樹脂。 - 【請求項6】 一般式(1): 【化8】 (式中、mは0または1を示す。)で表わされる構造単
位および/または一般式(2): 【化9】 (式中、nは0または1を示す。)で表される構造単位
のモル分率の和が少なくとも20モル%である請求項
3、4または5記載の脂環骨格含有ポリエステル樹脂。 - 【請求項7】 数平均分子量(ポリスチレン換算)が4
000〜100000である請求項1〜6のいずれかに
記載の脂環骨格含有ポリエステル樹脂。 - 【請求項8】 一般式(6): 【化10】 (式中、mは0または1を示し、Rは水素原子または炭
素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。)で表される脂
環式ジカルボン酸もしくはそのジエステル、および/ま
たは一般式(7):R00C−A1 −COOR(式中、
A1 は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Rは水素原
子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。)で
表されるジカルボン酸化合物もしくはそのジエステル
と、一般式(8): 【化11】 (式中、nは0または1を示す。)で表される脂環式ジ
オールおよび/または一般式(9):H0−A2 −OH
(式中、A2 は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
で表されるジオール化合物を、重縮合することを特徴と
する請求項1記載の脂環骨格含有ポリエステル樹脂の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06504795A JP3322061B2 (ja) | 1994-09-08 | 1995-02-27 | 脂環骨格含有ポリエステル樹脂およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-241825 | 1994-09-08 | ||
JP24182594 | 1994-09-08 | ||
JP06504795A JP3322061B2 (ja) | 1994-09-08 | 1995-02-27 | 脂環骨格含有ポリエステル樹脂およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127642A JPH08127642A (ja) | 1996-05-21 |
JP3322061B2 true JP3322061B2 (ja) | 2002-09-09 |
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ID=26406189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06504795A Expired - Lifetime JP3322061B2 (ja) | 1994-09-08 | 1995-02-27 | 脂環骨格含有ポリエステル樹脂およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3322061B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
WO2015053389A1 (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリエステル樹脂、射出成形体、ポリエステル製シート及びポリエステル製容器 |
JP2022189640A (ja) * | 2021-06-11 | 2022-12-22 | Eneos株式会社 | ポリエステルおよび樹脂成形体 |
KR20240065277A (ko) * | 2021-10-05 | 2024-05-14 | 미쯔비시 가스 케미칼 컴파니, 인코포레이티드 | 폴리에스터 수지 및 그의 제조 방법, 및 수지 조성물, 성형체, 광학 부재 |
-
1995
- 1995-02-27 JP JP06504795A patent/JP3322061B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH08127642A (ja) | 1996-05-21 |
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