JP3319102B2 - 竪型ミルのロール交換方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は竪型ミルのロール交換方
法及び装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】熱間スラブの粗圧延工程を行う従来設備
は、図４にその一例の概略を示す如く、竪型ミルａと水
平ミルｂとからなる圧延装置ｃをパスラインｌ方向に多
段に配列し、スラブｄを、順次圧延装置ｃを通過させる
ことにより、幅圧下と厚み圧下とを繰り返して所定のサ
イズに加工するようにしてある。

【０００３】上記各圧延装置ｃでは、竪型ミルａ及び水
平ミルｂの各ロールを適時交換する必要があり、この
際、水平ミルｂに関しては、ロールを水平に押し引きで
きることから、種々のロール交換方式が提案され、実施
されているが、竪型ミルａに関しては、天井クレーン及
び人力に頼っているのが実情である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、天井クレー
ンによる竪型ミルのロール交換作業の場合、他の作業と
の兼ね合いで天井クレーンの使用に時間的な制約があっ
たり、又、専任のロール交換作業員がワイヤ掛け等の作
業を直接行わなければならず、多大な労力を要してい
た。

【０００５】そこで、本発明は、時間的制約を受ける天
井クレーンを使用することなく遠隔にてロール交換を行
うことができて省力化及び自動化を図ることができるよ
うな竪型ミルのロール交換方法及び装置を提供しようと
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、ロールを吊るための吊り具を備えた昇降
台車を竪型ミルの上方位置まで移動させて、昇降装置に
より昇降させられる可動レール上に移し、該昇降装置に
より可動レールとともに昇降台車を下降させて吊り具に
ロールを保持させた後、上記昇降装置により可動レール
とともに昇降台車を上昇させてロールを竪型ミルより吊
り出し、次に、キャリアを用いて上記昇降台車を可動レ
ール上からモノレールに沿わせてロールショップの上方
位置まで移動させて可動レール上に移すことによりロー
ルを搬送し、次いで、ロールショップ側の昇降装置によ
り可動レールとともに昇降台車を下降させてロールをロ
ールショップ内に吊り降ろし、しかる後、新しいロール
を吊り具に保持させた状態として、上述した手順とは逆
の手順で昇降台車を竪型ミルの上方位置の可動レールへ
移動させた後、昇降台車を下降しロールを吊り降ろして
竪型ミル内に直接組み込むようにすることを特徴とする
竪型ミルのロール交換方法及び装置とする。

【０００７】

【作用】昇降台車の昇降により、吊り具で保持したロー
ルを竪型ミルから直接吊り上げたり竪型ミル内へ直接吊
り降ろしたりすることができ、能率よくロールの交換が
できる。又、昇降台車をキャリアで押し引きしてモノレ
ールに沿わせて移動させることにより、ロールを搬送す
ることができる。したがって、天井クレーンの使用やワ
イヤ掛け等の作業が不要となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【０００９】図１乃至図３は本発明の一実施例を示すも
ので、竪型ミル１と水平ミル２とからなる圧延装置３を
有する圧延設備において、上記竪型ミル１の上方位置
に、該竪型ミル１を跨いだ上フレーム５が所要の高さ位
置に配置されるようにした支持架構４を構築し、一方、
ロールショップ６の上方位置に、ロールショップ６を跨
いだ上フレーム８が所要高さ位置に配置されるようにし
た支持架構７を構築し、且つ上記ミル側の支持架構４の
上フレーム５部とショップ側の支持架構７の上フレーム
８部との間に、中間部に所要の進路変更部（図では曲り
レールであるが、レール旋回装置でもよい）９ａを有す
るモノレール９を水平に架け渡し、該モノレール９に、
キャリア１０と該キャリア１０に対し係合離脱可能とし
た昇降台車１１とを走行可能に装備させる。

【００１０】上記キャリア１０と昇降台車１１は図３に
詳細を示す如き構成としてある。すなわち、キャリア１
０は、キャリアフレーム１２に車輪１３を複数設けて、
そのうちの一つの車輪１３の軸端にギヤ１４を取り付
け、該ギヤ１４に、モータ１５の駆動で回転させられる
主ギヤ１６を噛合させて、モータ１５の駆動によりモノ
レール９に沿って走行できるようにしてあり、且つキャ
リアフレーム１２の昇降台車１１側の端部に、下向きの
係合片１７が突設してある。一方、昇降台車１１は、台
車フレーム１８に車輪１９を複数設けて、そのうちの一
つの車輪１９の軸端に、上記キャリア１０側に設けた中
間ギヤ２０に対して下側から噛合させるようにしたギヤ
２１を取り付け、且つ台車フレーム１８のキャリア１０
側の端部に、キャリア１０の係合片１７に対し下側から
係合して下方へ離脱できるようにした上向きの係合片２
２を突設し、係合片１７，２２の係合状態でキャリア１
０と一体にモノレール９に沿って走行できるようにして
ある。更に、上記昇降台車１１には、台車フレーム１８
の下端部に、走行方向へ揺動自在に組み付けた平行リン
ク２３を介して吊り具２４を取り付け、該吊り具２４に
て、上下の軸箱２５，２６と一体の竪型ミル１のロール
２７を、上軸箱２５を介して吊り下げ保持させられるよ
うにしてある。

【００１１】又、上記モノレール９は、ミル側の支持架
構４内で竪型ミル１のロール２７の真上に位置する部分
で一端面を位置規制板２８に突き当てると共に、該突き
当て部を分割して可動レール９ｂとし、該可動レール９
ｂを、上フレーム５上に下向きに設置した昇降装置とし
てのシリンダ２９のロッド端に接続し、且つ上記可動レ
ール９ｂ上に立設したガイドロッド３０を上フレーム５
上に組んだ支持フレーム３１に上下方向へ摺動自在にガ
イドさせ、上記シリンダ２９の伸縮動作で可動レール９
ｂを昇降変位させられるようにして、可動レール９ｂ上
に位置させた昇降台車１１を可動レール９ｂと共に昇降
変位させられるようにする。

【００１２】更に、上記モノレール９は、ショップ側の
支持架構７内でロールショップ６のロール配列個所の真
上に位置する部分を分割して可動レール９ｃとし、該可
動レール９ｃを、支持架構７内の前後対向位置に設けた
上下方向のガイドレール３２に沿って昇降可能とした門
型のガイドフレーム３３に固定し、該ガイドフレーム３
３を昇降装置３４に接続し、該昇降装置３４の作動でガ
イドフレーム３３を介し可動レール９ｃを昇降させられ
るようにして、可動レール９ｃ上に位置させた昇降台車
１１を可動レール９ｃと共に昇降変位させられるように
する。上記昇降装置３４は、支持架構７上に固定した支
持フレーム３７と、該支持フレーム３７上に下向きに設
置してそのロッド端をガイドフレーム３３に連結したシ
リンダ３５とからなる。

【００１３】又、上記ロールショップ６は多数のロール
２７を一列に並べて保管できるようにした保管フレーム
４０を有し、且つ該保管フレーム４０内に、ロール２７
の位置を移し替えるためのサイドシフト台車４１を備え
た構成としてある。

【００１４】なお、図１において、１ａは竪型ミル１の
ハウジング、２ａは水平ミル２のハウジング、４２は圧
延材４３を搬送するための搬送ロールを示す。

【００１５】本発明においてはロール２７の交換作業を
すべて遠隔で自動的に行うものである。そのため、図示
してないが、要所にはリミットスイッチやセンサー等が
組み付けられており、制御盤からの指令により定められ
た動作を実行するようにしてある。

【００１６】キャリア１０と昇降台車１１は、予め、ミ
ル側の支持架構４内の位置規制板２８にて位置規制され
る竪型ミル１の真上の位置に待機させておくものであ
り、この際、昇降台車１１は可動レール９ｂ上にあり、
図示しないストッパにより可動レール９ｂに固定されて
いる。

【００１７】かかる状態において、竪型ミル１のロール
交換を行う場合には、先ず、ミル側の支持架構４に設置
されたシリンダ２９を伸長作動させて、可動レール９ｂ
と共に昇降台車１１を下降させ、昇降台車１１に装備さ
せてある吊り具２４を、図１において細い二点鎖線で示
す如く、ロール２７上に位置させて上軸箱２５に係合さ
せる。なお、この際、キャリア１０の係合片１７に対し
昇降台車１１の係合片２２が下側から係合する方式とし
てあるため、昇降台車１１はキャリア１０に何ら影響を
与えることなく下降することができる。しかる後、上記
シリンダ２９を収縮作動させ、可動レール９ｂを上昇さ
せてモノレール９と連絡する元の位置へ戻すようにす
る。これによりロール２７をハウジング１ａから吊り出
すことができる。又、この可動レール９ｂの上昇動作に
伴って、昇降台車１１の係合片２２がキャリア１０の係
合片１７に係合させられ、同時に、キャリア１０側の中
間ギヤ２０に昇降台車１１のギヤ２１が噛合させられ
る。

【００１８】次に、ロール２７を吊った状態の昇降台車
１１をキャリア１０で引いてショップ側の支持架構７内
まで搬送させるようにする。この場合、キャリア１０の
モータ１５を駆動すると、その回転力が主ギヤ１６から
ギヤ１４を介し車輪１３に伝えられ、更に、ギヤ１４の
回転力が中間ギヤ２０を介し昇降台車１１のギヤ２１へ
伝えられて車輪１９に伝えられる。したがって、キャリ
ア１０と昇降台車１１は、図１において一点鎖線で示す
如く、モノレール９上を一体に自走することになり、太
い二点鎖線で示す如く、ショップ側の支持架構７内に到
着して昇降台車１１が可動レール９ｃ上に完全に乗り移
ったところでモータ１５の駆動を停止させるようにす
る。

【００１９】一方、ロールショップ６では、予め、サイ
ドシフト台車４１の操作で可動レール９ｃの真下の位置
を空所にしておき、ショップ側の支持架構７内に搬送さ
れたロール２７を、昇降装置３４の作動で上記空所内に
吊り降ろすようにする。この場合、シリンダ３５を伸長
作動させて可動レール９ｃと一体のガイドフレーム３３
がガイドレール３２に沿って下降させられることによ
り、可動レール９ｃと共に昇降台車１１が下降させられ
てロール２７が吊り降ろされる。

【００２０】新しいロール２７を竪型ミル１のハウジン
グ１ａ内に組み入れる場合には、上述した手順とは逆の
手順にて行う。すなわち、サイドシフト台車４１の作動
で新しいロール２７を可動レール９ｃの真下に位置さ
せ、このロール２７を昇降台車１１の吊り具２４で吊り
上げ、昇降台車１１をキャリア１０で押すように移動さ
せて昇降台車１１をミル側の支持架構４内の可動レール
９ｂ上に位置させ、昇降台車１１を下降してロール２７
をハウジング１ａ内に吊り降ろすようにする。

【００２１】このようにして、竪型ミル１のロール２７
を、天井クレーンを用いることなく遠隔操作にて交換す
ることができる。

【００２２】なお、上記実施例では、昇降台車１１はキ
ャリア１０側の駆動力を受けてキャリア１０と一体に自
走する方式とした場合を示したが、単にキャリア１０に
よって押し引きされる方式としてもよいこと、可動レー
ル９ｂ，９ｃの昇降装置としては図示し説明した以外の
型式であってもよいこと、又、実施例では遠隔で自動操
作する場合について示したが、遠隔で手動操作により行
うようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱し
ない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であ
る。

【００２３】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明によれば、ロー
ルを吊るための吊り具を備えた昇降台車を竪型ミルの上
方位置まで移動させて、昇降装置により昇降させられる
可動レール上に移し、該昇降装置により可動レールとと
もに昇降台車を下降させて吊り具にロールを保持させた
後、上記昇降装置により可動レールとともに昇降台車を
上昇させてロールを竪型ミルより吊り出し、次に、キャ
リアを用いて上記昇降台車を可動レール上からモノレー
ルに沿わせてロールショップの上方位置まで移動させて
可動レール上に移すことによりロールを搬送し、次い
で、ロールショップ側の昇降装置により可動レールとと
もに昇降台車を下降させてロールをロールショップ内に
吊り降ろし、しかる後、新しいロールを吊り具に保持さ
せた状態として、上述した手順とは逆の手順で昇降台車
を竪型ミルの上方位置の可動レールへ移動させた後、昇
降台車を下降しロールを吊り降ろして竪型ミル内に直接
組み込むようにする竪型ミルのロール交換方法及び装置
としてあるので、天井クレーンを使用することなく、オ
ペレータの操作で行わせることができ、又、遠隔操作に
てロールの交換を能率よく行うことができ、ワイヤ掛け
等を行う専任のロール交換作業員を不要にすることがで
きて省力化を図ることができる、等の優れた効果を発揮
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の竪型ミルのロール交換装置の一実施例
を示す概要図である。

【図２】図１のII−II矢視図である。

【図３】キャリア及び昇降台車の拡大図である。

【図４】竪型ミルを有する圧延設備の一例を示す概略図
である。

【符号の説明】

１ 竪型ミル ４ 支持架構 ６ ロールショップ ７ 支持架構 ９ モノレール ９ｂ，９ｃ 可動レール １０ キャリア １１ 昇降台車 ２４ 吊り具 ２７ ロール ２９ シリンダ（昇降装置） ３４ 昇降装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−122606（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−96313（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−185121（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−224010（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−54205（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B21B 31/12 B65G 47/90 B66C 11/12

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロールを吊るための吊り具を備えた昇降
   台車を竪型ミルの上方位置まで移動させて、昇降装置に
   より昇降させられる可動レール上に移し、該昇降装置に
   より可動レールとともに昇降台車を下降させて吊り具に
   ロールを保持させた後、上記昇降装置により可動レール
   とともに昇降台車を上昇させてロールを竪型ミルより吊
   り出し、次に、キャリアを用いて上記昇降台車を可動レ
   ール上からモノレールに沿わせてロールショップの上方
   位置まで移動させて可動レール上に移すことによりロー
   ルを搬送し、次いで、ロールショップ側の昇降装置によ
   り可動レールとともに昇降台車を下降させてロールをロ
   ールショップ内に吊り降ろし、しかる後、新しいロール
   を吊り具に保持させた状態として、上述した手順とは逆
   の手順で昇降台車を竪型ミルの上方位置の可動レールへ
   移動させた後、昇降台車を下降しロールを吊り降ろして
   竪型ミル内に直接組み込むようにすることを特徴とする
   竪型ミルのロール交換方法。
2. 【請求項２】 竪型ミルの上方とロールショップの上方
   にそれぞれ支持架構を構築すると共に、該両支持架構間
   にモノレールを架け渡し、該モノレールに、キャリアと
   該キャリアに押し引きされ且つキャリアに着脱可能とし
   た昇降台車とを装備させて、該昇降台車にロールを吊る
   ための吊り具を具備させ、更に、上記モノレールの上記
   各支持架構内に位置する所要個所を部分的に可動レール
   として、それぞれの可動レールに昇降装置を設けた構成
   を有することを特徴とする竪型ミルのロール交換装置。