JP3317494B2 - 偏光フィルムおよびその製造法 - Google Patents

偏光フィルムおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光フィルムおよび
その製造法に関する。更に詳しくは光学特性に優れた偏
光フィルムおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置は時計、電卓、ワー
プロおよび機械の計器類等の比較的小画面の表示装置と
して用いられ、表示品質に対する要求は特に厳しくなか
った。しかし、近年液晶表示装置がテレビやラップトッ
プパソコン用のディスプレイとしてや自動車、航空機の
インパネ用ディスプレイ等として幅広く利用されるよう
になり、大型化、表示品質の高級化、耐久性の向上等が
要求されている。したがって、液晶表示装置の構成要素
である偏光フィルムに関しても、上記課題を達成するた
めに、大面積化、高偏光度かつ高透過度といった光学特
性の向上が求められている。
【0003】従来、偏光フィルムとしてはヨウ素や二色
性色素を吸着させたポリビニルアルコールの一軸延伸フ
ィルムがよく用いられているが、この偏光フィルムは偏
光度は上記要求に十分に応えられるものではない。これ
に対して、高重合度のポリビニルアルコールの一軸延伸
フィルムを基材として使用する提案(例えば、特開平1
−105204号公報等)やポリエステルの一軸延伸フ
ィルムを基材として使用する提案(例えば、特開昭58
−68008号公報等)がなされている。しかしなが
ら、これらの方法を本発明者らが検討したところ、前者
においては、ポリビニルアルコールの重合度およびけん
化度の両者が高くなると、該ポリビニルアルコールを溶
剤へ均一に溶解させることが難しく、苛酷な条件で溶解
するとポリビニルアルコールの重合度が低下し、ひいて
は満足した性能を有する偏光フィルムが得られないとい
うことが判明した。また後者では、ポリビニルアルコー
ル基材の偏光フィルムの欠点はある程度改善されている
が、偏光度が不十分であり、上記要求に十分に応えられ
るものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下、本
発明は偏光度、透過度等の光学特性に優れた偏光フィル
ムおよびその製造法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題解
決に向けて鋭意検討を重ねた結果、シンジオタクティシ
ティーが45モル%以上50モル%未満、重合度が10
00〜30000のポリビニルアルコール(以下、ポリ
ビニルアルコールをPVAと略記することがある)系重
合体からなる一軸延伸フィルムを基材とし、厚さが18
〜40μmかつ透過度が43.3%以上であることを特
徴とする偏光フィルムにより、上記目的を達成すること
を見出し本発明を完成した。従来、偏光フィルムの基材
として使用されているPVAのシンジオタクティシティ
ーは53.0モル%である。それに対して、本発明の偏
光フィルムはシンジオタクティシティーが45モル%以
上50モル%未満のPVA系重合体からなるため一軸延
伸性が良好であり、分子鎖をより直線的に引き伸ばせる
ためにヨウ素や染料等の二色性物質の配向を向上せしめ
ることが可能となり、その結果、光学特性に優れてい
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0007】本発明の偏光フィルムは従来の偏光フィル
ムに用いられてきたPVAよりもシンジオタクティシテ
ィーの低い、いわゆるアタクティックPVA系重合体の
一軸延伸フィルムを基材とすることを特徴とする。本発
明においてPVA系重合体のシンジオタクティシティー
は45モル%以上50モル%未満にすることが必要であ
り、好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
【0008】本発明に用いるシンジオタクティシティー
は、PVAの水酸基プロトンをd−ジメチルスルホキ
シド溶液中、H−NMRで測定した各3単位連鎖構造
の吸収強度より算出した。3本の水酸基プロトンの吸収
は4.0〜4.5ppm付近のケミカルシフトに表わ
れ、それぞれ低磁場側よりアイソタクティック(I)、
ヘテロタクティック(H)、およびシンジオタクティッ
ク(S)に帰属される。 アイソタクティック(I):
【化1】 ヘテロタクティック(H):
【化2】 シンジオタクティック(S):
【化3】 シンジオタクティシティー量はH−NMRで測定した
シンジオタクティック(S)、ヘテロタクティック
(H)およびアイソタクティック(I)の吸収強度から
各々の割合を百分率で表わした後、下記の(1)式から
2連鎖構造のシンジオタクティシティー量を求める。 シンジオタクティシティー量(モル%)= (S)(モル%)+(H)/2(モル%)・・・・・・(1)
【0009】PVA系重合体のシンジオタクティシティ
ーが52.5モル%より大きくなるとフィルムの延伸性
が低下するために十分な偏光特性が得られない。更に、
高重合度かつ高けん化度のPVA系重合体においては、
該PVA系重合体を溶剤へ均一に溶解させることが難し
くひいては均一な偏光フィルムを得ることが困難とな
る。シンジオタクティシティーが45モル%より小さく
なるとフィルムの強度が不足するために満足な偏光フィ
ルムが得られない。
【0010】該PVA系重合体の重合度やけん化度もま
た本発明の偏光フィルムの性能に影響を与える。重合度
はフィルム強度や加工特性の点からは1000以上にす
る必要があり、好ましくは1500以上、更に好ましく
は1700以上であり、製膜や延伸等の加工特性の点か
ら30000以下である。ここでPVA系重合体の重合
度は該PVA系重合体を再酢化したポリ酢酸ビニルのア
セトン中、30℃で測定した極限粘度から次式により求
めた粘度平均重合度で表したものである。 P=([η]×1000/7.94)(1/0.62) PVA系重合体におけるけん化度は、少なくとも85モ
ル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましく
は98モル%以上である。
【0011】本発明のシンジオタクティシティーが45
モル%以上50モル%未満のPVA系重合体は通常のP
VAの製造法である酢酸ビニルモノマーの塊状およびメ
タノール溶液系の沸点重合からは得られない。本発明で
用いられるようなアタクティックPVA系重合体は、ダ
イポールアプロティック溶媒中で重合されたポリビニル
エステル系重合体および芳香環とカルボニル基が同一平
面構造を取り得るビニルエステルを重合したポリビニル
エステル系重合体を原料として得られる。
【0012】かかるダイポールアプロティック溶媒とし
てはジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸エステル
等が挙げられるが、とりわけジメチルスルホキシドが好
んで用いられる。かかる芳香環とカルボニル基が同一平
面構造を取り得るビニルエステルとしては安息香酸ビニ
ル、p−フロロ安息香酸ビニル、p−クロロ安息香酸ビ
ニル、p−ブロモ安息香酸ビニル、p−メチル安息香酸
ビニル、p−メトキシ安息香酸ビニル等のp−置換安息
香酸ビニルおよびm−クロロ安息香酸ビニル、m−フロ
ロ安息香酸ビニル等のm−置換安息香酸ビニル等が挙げ
られるが、とりわけ安息香酸ビニルのポリマーが好まし
い。
【0013】また上記のビニルエステルモノマー類に共
重合可能なモノマーを共重合した共重合体であることも
差しつかえなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用
される。このような共重合単位としては、たとえばエチ
レン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフ
ィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル
酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i
−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデ
シル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびそ
の塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メ
タクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタ
クリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル
等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,
N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミ
ド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、
アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩ま
たはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよび
その誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよ
びその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリル
アミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテ
ル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩
化アリル等のアリル化合物、マレイン酸およびその塩ま
たはそのエステル、イタコン酸およびその塩またはその
エステル、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル
化合物、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
【0014】本発明のPVA系重合体は、上記の方法等
によって得られたシンジオタクティシティーが45モル
%以上50モル%未満、重合度が1000〜30000
のポリビニルエステル系重合体を公知の方法によりケン
化することにより得られる。
【0015】本発明の偏光フィルムに使用される二色性
物質は、ヨウ素のほか、いわゆる二色性染料が単独また
は混合して用いられる。代表的なものとしてたとえばb
lack17,19,154;brown44,10
6,195,210,223;red2,23,28,
31,37,39,79,81,240,242,24
7;blue1,15,22,78,90,98,15
1,168,202,236,249,270;vio
let9,12,51,98;green1,85;y
ellow8,12,44,86,87;orange
26,39,106,107等が挙げられる。フィルム
中の該二色性物質の量は、少なすぎると偏光フィルムの
光学的性質を発揮できず、多すぎても光学的性質や耐水
性、耐熱性を低下させる要因となることから通常ポリビ
ニルアルコール系重合体に対して0.01重量%から1
重量%の範囲に調整される。
【0016】本発明の偏光フィルムは、従来のPVA系
偏光フィルムの光学特性が向上された極めて有用な偏光
フィルムである。偏光フィルムにおける光学特性の理想
値は、透過度50%における偏光度が100%となるこ
とである。しかし、二色性分子の二色性比が有限の値を
有し、基材ポリマー中における該分子の配向が完全には
行われないことから、従来の偏光フィルムの場合には偏
光度99.9%のものでは透過度は40%程度であっ
た。それに対して、本発明の偏光フィルムは、従来の偏
光フィルムよりも低い濃度の二色性物質で充分な偏光特
性が得られ、高偏光度かつ高透過度が達成される。例え
ば透過度42〜44%のときには、偏光度98〜100
%、更に好ましくは透過度44〜48%のときには、偏
光度99〜100%の偏光フィルムが得られる。
【0017】本発明の偏光フィルムは、以下の方法によ
って製造される。一つの方法としては、シンジオタクテ
ィシティーが45モル%以上50モル%未満、重合度が
1000〜30000のPVA系重合体のフィルムを調
製した後に、ヨウ素や染料等の二色性物質の吸着と一軸
延伸を行う方法であり、二色性物質の吸着と延伸操作の
順序は任意である。もう一つの方法としては、フィルム
の製造時に二色性物質を添加し一軸延伸する方法であ
り、本発明の偏光フィルムはどちらの方法でも製造可能
である。
【0018】まず、シンジオタクティシティーが45
ル%以上50モル%未満、重合度が1000〜3000
のPVA系重合体溶液の調製であるが、この時に使用
される溶剤としてはジメチルスルホキシド、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グ
リセリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等
が単独もしくは組合せて使用される。ここで、PVA系
重合体溶液とは水溶液を除いたものを意味しており、該
「水溶液」における「水」とは、水単独は勿論のこと、
それ以外にも例えば、前記有機溶剤と水との混合溶液、
更にまた例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等の無
機塩の水溶液単独または該無機塩水溶液と前記有機溶剤
との組合せ等、その一部に「水」を含有するもの全てを
意味するものである。以下においては、この意味を有す
るものを単に「水溶液」と略称する。製膜時の該PVA
系重合体の濃度は製膜方法によって異なるが、通常1〜
50重量%、好ましくは2〜30重量%である。
【0019】本発明の偏光フィルムに偏光素子を含有さ
せる一つの方法としては、PVA溶液にヨウ素または二
色性色素を溶解した溶液を調製する方法が挙げられる
が、この時に使用される偏光素子の濃度は偏光素子の種
類によっても異なるが、通常PVA系重合体に対して
0.01〜1重量%の範囲に調整される。かかる偏光素
子を溶解したPVA系重合体溶液は、通常室温から12
0℃の温度において調製される。この場合、使用される
溶媒にもよるが、PVA系重合体の分解による重合度低
下を抑えるために、調製温度は上記の温度範囲内で、低
めの温度を採用することが好ましい。
【0020】次に、該PVA系重合体溶液(但し、水溶
液を除く)からフィルムを製膜する。フィルムの製膜方
法としては、該PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除
く)からのキャスト製膜、空気中や窒素等の不活性気体
中への押し出しによる乾式製膜が挙げられる。また、該
PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除く)からの貧溶
媒中への押し出しによる湿式製膜を行うこともできる。
また、該PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除く)を
一旦空気中や窒素等の不活性気体中へ押し出し、液膜を
形成した後に凝固液中に導入してフィルムを形成する乾
湿式製膜も可能である。この乾湿式製膜を更に詳しく説
明すると、雰囲気中にて該PVA系重合体溶液(但し、
水溶液を除く)の液膜を形成し、次いでこの液膜をデカ
リン、パラフィン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等
の冷却媒体により冷却凝固しゲル化させた後、脱溶剤液
中に導入して脱溶剤し、フィルムを形成することもでき
る。更に、該液膜を冷凍室等の冷却空間に導入し、冷却
凝固しゲル化させた後に、脱溶剤し、フィルムを形成す
ることももちろん可能である。凝固剤としては、該PV
A系重合体溶液(但し、水溶液を除く)の溶剤に対して
相溶性を有し、該PVA系重合体に対して貧溶媒のも
の、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等の
アルコール類、アセトン、ベンゼン、トルエン、または
これらと該PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除く)
の溶剤との混合溶媒並びに無機塩類水溶液が用いられ
る。該PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除く)の液
膜は、該PVA系重合体溶液(但し、水溶液を除く)の
溶剤によっても異なるが、通常−30〜120℃で調製
される。
【0021】このようにして得られたシンジオタクティ
シティーが45モル%以上50モル%未満、重合度が1
000〜30000のPVA系重合体からなるフィルム
(以下、原反フィルムと略記する)は二色性物質の吸着
と一軸延伸が行われるか、もしくは一軸延伸だけが施さ
れる。吸着操作と延伸操作は同時に行っても別々に行っ
ても問題はなく、その順序も任意である。また原反フィ
ルムへの二色性物質の吸着を強固にすることを目的にホ
ウ酸やホウ砂等のホウ素化合物を添加することがある
が、これは吸着や延伸と同時に実施しても、これら操作
の前後の間のどの時点で実施しても任意である。
【0022】二色性物質の原反フィルムへの吸着は、通
常二色性物質を含有する液体中に原反フィルムを浸漬さ
せることにより行われるが、その操作条件や方法等に特
に制限はなく、たとえば通常ヨウ素を用いる場合にはヨ
ウ素−ヨウ化カリウム水溶液が用いられ、染料の場合に
は染料水溶液が用いられる。
【0023】延伸は湿式延伸や乾熱延伸および両者を組
合せた延伸で行われ、一軸方向に3倍以上、好ましくは
4倍以上延伸することが好ましい。また延伸速度は、原
反フィルムの元の長さを基準として、10〜300%/
分であることが好ましい。延伸時の温度は延伸条件によ
って異なるが、通常10℃から260℃の間である。ま
た乾熱延伸時は不活性気体中で操作を実施するのが好ま
しい。延伸操作後に吸着を実施する場合には、吸着の前
に一軸延伸したフィルムを160〜260℃で空気中ま
たは不活性気体中で熱処理を施すことが好ましい。延伸
後のフィルムの厚さは18〜40μmである。
【0024】吸着と延伸が実施された原反フィルムは定
長下、空気中または窒素気流中で乾燥熱処理される。
【0025】このようにして得られた本発明の偏光フィ
ルムは、それ単独で利用することもできるし、その両面
あるいは片面に光学的に透明で、かつ機械的強度を有し
た保護フィルムを貼合わせて使用することもできる。保
護フィルムとしては通常セルロースアセテート系フィル
ム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム等が
使用される。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。なお、実施例中の「%」および「部」は特に
ことわりのない限りそれぞれ「重量%」および「重量
部」をあらわす。
【0027】なお透過度および偏光度は分光光度計を用
いて測定した。透過度はJIS−Z−8701に準拠し
て測定し、偏光度は下式により計算した。 偏光度(%)={(T−T)/(T+T)}1/2×100 ここでTおよびTは、それぞれ2枚の偏光フィルム
を延伸軸を互いに平行および直交するように重ねて測定
した透過度である。偏光フィルムは通常保護フィルムを
ラミネートした状態で使用されるが、以下の実施例
較例および参考例では、保護フィルムのない偏光フィル
ム単独について測定した。
【0028】参考例1 攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニルモノマー200
部、ジメチルスルホキシド290部を仕込み、窒素ガス
バブリングにより系中を充分に窒素置換した。別途ジメ
チルスルホキシド10部に、開始剤として2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル0.028部を溶解した溶液
を調製し、窒素ガスによるバブリングで窒素置換した。
反応溶液が60℃に達したところで開始剤を溶解したジ
メチルスルホキシド溶液を注入し、重合を開始した。1
90分後に重合率が60%に達したところで、重合禁止
剤を溶解したメタノールを添加し、さらに冷却して重合
を停止した。その後、減圧下にメタノールを添加しなが
ら未反応酢酸ビニルモノマーを除去し、ポリ酢酸ビニル
のジメチルスルホキシド−メタノール混合溶液を得た。
この溶液の一部をとり、濃度10%、[NaOH]/
[VAc](モル比)=0.1、温度40℃でけん化
し、得られたPVAの0.1部を無水酢酸8部とピリジ
ン2部の混合液中120℃で20時間、ときどき攪拌し
ながら再酢化し、アセトン−エーテル、アセトン−水系
で再沈精製をくり返し、精製された再酢化されたポリ酢
酸ビニルを得た。得られたPVAをd−DMSOに溶
解し、H−NMRを測定し、水酸基プロトンの各3単
位連鎖構造のタクティシティーを求め、それより計算さ
れる2連鎖構造のシンジオタクティシティーは51.3
モル%、再酢化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中3
0℃で測定した[η]から求めた粘度平均重合度は22
00であった。このPVAを、けん化度が99.9モル
%に達するまで再けん化した後に、PVA濃度が10重
量%になるようにジメチルスルホキシドに充分系中の窒
素置換を行った後、70℃の加温下で溶解し、PVA溶
液を得た。該溶液をポリエチレンテレフタレートフィル
ム上に流延し、メタノール凝固浴に浸漬してフィルム化
した後に、メタノール抽出浴に導入し、ジメチルスルホ
キシドの脱溶液化を行った。次いで、室温で自然乾燥
し、150℃で9倍に一軸延伸し、更に定長下で窒素ガ
ス雰囲気中190℃で3分間熱固定した。該延伸フィル
ムをヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリウム50g/lを
溶解した水溶液中に、30℃で2分間浸漬した。つづい
て、ホウ酸60g/l、ヨウ化カリウム30g/lを溶
かした水溶液中で室温にて5分間のホウ酸処理を行った
後、定長下で40℃の熱風下に乾燥して、厚さ18μm
の偏光フィルムを得た。該偏光フィルム中のヨウ素量を
チオ硫酸ナトリウムで滴定して求めたところ、Iとし
て、0.3重量%であった。得られた偏光フィルムの透
過度は45.5%、偏光度は99.7%であった。
【0029】比較例1 PVAとして重合度2400、けん化度99.9モル
%、シンジオタクティシティー53.0モル%のものを
使用する以外は、参考例1と全く同様にして偏光フィル
ムを調製した。原反フィルムの延伸倍率は6倍であっ
た。該偏光フィルムの透過度は42.2%、偏光度は9
9.2%であった。
【0030】参考例2 延伸フィルムをヨウ素およびヨウ化カリウムの混合水溶
液中に浸漬するかわりに、二色性色素であるダイレクト
スカイブルー6B(住友化成(株)製)5.0g/lを
溶かした染色液に浸漬する以外は参考例1と同様にし
て、厚さ18μmの偏光フィルムを得た。波長650n
mにおける透過度は43.3%、偏光度は99.0%で
あった。
【0031】参考例3参考 例1で調製した原反フィルムをヨウ素0.2g/
l、ヨウ化カリウム50g/lを溶解した水溶液中に、
30℃で3分浸漬した。つづいて、ホウ酸60g/l、
ヨウ化カリウム30g/lを溶かした水溶液中で、6倍
に一軸延伸し、5分間のホウ酸処理を行った後、定長下
で40℃の熱風下に乾燥して、厚さ18μmの偏光フィ
ルムとした。該偏光フィルム中のヨウ素量をチオ硫酸ナ
トリウムで滴定して求めたところ、Iとして、0.3
重量%であった。得られた偏光フィルムの透過度は4
4.9%、偏光度は99.6%であった。
【0032】参考例4参考 例1と同様の装置、操作、条件下、開始剤として
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)を使用し、重合温度40℃で重合を行
った。得られたPVAのシンジオタクティシティーは5
1.0モル%、けん化度は99.9モル%、再酢化して
得たポリ酢酸ビニルのアセトン中30℃で測定した
[η]から求めた粘度平均重合度は6200であった。
このPVAを、PVA濃度が9重量%になるように、ジ
メチルスルホキシドに充分系中の窒素置換を行った後、
70℃の加温下、90分で溶解し、PVA溶液を得た。
該溶液から参考例1と同様にして厚さ18μmの偏光フ
ィルムを得た。得られた偏光フィルムの透過度は47.
0%、偏光度は99.9%であった。
【0033】比較例2 重合度6000、けん化度99.9モル%、シンジオタ
クティシティー53.0モル%のPVAを、参考例4と
同様にしてジメチルスルホキシドにPVA濃度が9重量
%になるように、70℃の加温下溶解しようと試みた
が、溶解するのに8時間を要した。該溶液から参考例4
と同様にして厚さ18μmの偏光フィルムを調製したが
均一なフィルムが得られなかった。また延伸倍率は6倍
であった。該偏光フィルムの透過度は40.0%、偏光
度は99.2%であった。
【0034】実施例 参考 例1と同様の装置・操作にて、モノマーにp−クロ
ロ安息香酸ビニルを使用して、60℃で重合率58%ま
で重合を行った後、減圧下にメタノールを添加しながら
未反応p−クロロ安息香酸ビニルモノマーを除去し、ポ
リp−クロロ安息香酸ビニルのメタノール溶液を得た。
この溶液をけん化、再けん化してけん化度99.9モル
%のPVAを得た。このPVAのシンジオタクティシテ
ィーは47.0モル%であり、再酢化して得たポリ酢酸
ビニルのアセトン中30℃で測定した[η]から求めた
粘度平均重合度は2250であった。このPVAを用い
参考例1と同様にして、厚さ18μmの偏光フィルム
を調製したところ、透過度は46.0%、偏光度は9
9.8%であった。
【0035】
【発明の効果】上記の実施例により明らかなとおり、本
発明のPVA系重合体から得られた偏光フィルムは従来
のPVA系重合体から得られた偏光フィルムに比べ、高
透過度、高偏光度を有し光学特性が優れている。これ
は、PVA系重合体のシンジオタクティシティーが45
モル%以上50モル%未満、重合度が1000〜300
のアタクティックPVA系重合体を用いることによ
ってはじめて達成されたものである。この理由は明らか
ではないが、本発明の偏光フィルムは、シンジオ連鎖が
従来の偏光フィルムよりも少ないPVA系重合体からな
るため延伸性が優れ、配向性が良くなることに関係して
いると推定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 11:00 B29L 11:00 C08L 29:04 C08L 29:04 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30 B29C 55/04 C08J 5/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクティシティーが45モル%
    以上50モル%未満、重合度が1000〜30000
    ポリビニルアルコール系重合体および二色性物質からな
    る一軸延伸フィルムを基材とし、厚さが18〜40μm
    かつ透過度が43.3%以上であることを特徴とする偏
    光フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系重合体の溶液
    (但し、水溶液を除く)を用いて製膜し、得られたフィ
    ルムについて、一軸延伸操作と二色性物質の吸着操作と
    を同時または別々に行うことを特徴とする請求項1記載
    の偏光フィルムの製造法。
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