JP3315083B2 - フッ化マグネシウムスラグからウラン汚染を除去する方法 - Google Patents
フッ化マグネシウムスラグからウラン汚染を除去する方法Info
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Description
術分野に関し、詳しくは副産物としてフッ化マグネシウ
ムスラグが生成するウラン製造の技術分野に関する。
は、多くの要因に基づいて選択される各種の方法によっ
てウラン鉱石から抽出されるが、これら要因のうち主な
ものは鉱石の組成と物理的形態である。最も一般的な方
法では、まず、閃ウラン鉱およびピッチブレンドとして
採堀されるかまたは鉱石中の他のウラン化合物を酸化す
ることによって得られる酸化ウランを、四フッ化ウラン
に転化させる。次に、その四フッ化ウランをマグネシオ
熱還元法(magnesiothermic redu
ction)によってウラン金属に転化させる。この還
元法では、重い液状ウラン金属が反応器の底に集まるの
で、反応器を冷却してウランを固化させてインゴットに
し、次に機械的手段でインゴットからスラグを除くこと
によって、ウランをスラグから取り出すことができる。
この方法で製造されるウラン100重量部毎に、スラグ
53重量部が生成し、そのスラグは、酸化物、フッ化
物、混合状態の酸化物とフッ化物のみならず遊離金属の
形態のウランで汚染されている。このスラグは廃棄する
かまたは再利用してもよいが、そのウラン含量は、一般
に2.0〜4.0重量%の範囲内にあるので、減らさな
ければならない。現行の方法では、スラグを微粉砕し、
次に硝酸で徹底的な浸出が行われている。この方法は、
高価な方法であり、かつ低コストの埋立ての形として破
棄できるほどに、またはスラグを他の目的に使用可能な
形態に転化させるほどに十分低いレベルまでウラン含量
を減少させることが、それ自体困難な方法である。
特に周期表のVIII族の金属およびアクチニド類によ
って汚染されたフッ化マグネシウムを効率的な方法で処
理して、これらの汚染物を、無害な廃棄処分を行うのに
十分低いレベルまで減らし、かつマグネシウムを他の工
程で使用できる形態のマグネシウムバリュー(magn
esium value)として回収できることが発見
されたのである。本発明は、スラグをメタセシス反応に
よって水酸化カリウムで処理して、スラグ中のマグネシ
ウムを不溶性の水酸化マグネシウムに転化しかつスラグ
中のフッ素を可溶性のフッ化カリウムとして脱離させる
ことで始まる一連の処理ステップに関する。次に固体と
液体を分離し、水酸化マグネシウムを酸に溶解し、一
方、フッ化カリウムは石灰と反応させてフッ化カルシウ
ムを沈殿させる。フッ化カリウムと石灰の反応によって
液体の水酸化カリウムが生成し、その水酸化カリウムは
前記メタセシス反応に再循環される。前記酸に溶解され
たマグネシウムは、マグネシウムイオンを溶液中の他の
金属イオンから分離する各種の方法のいずれかの方法で
回収される。したがって、この方法は、混合廃棄物を、
有用な3つの成分、すなわち精製マグネシウム塩、精製
フッ化カルシウムおよび濃縮ウラン流に分離し、かつカ
リウムを有効利用する。フッ化カルシウムを沈殿させる
際に生成する水酸化カリウムと同様に、酸反応で溶解し
なかったフッ化マグネシウムはメタセシス反応に戻して
再循環することができる。各種実施態様におけるこの発
明の方法の上記および他の特徴と利点は、以下に詳細に
説明する。
るが、この発明の特徴は、添付図面に示す具体的な流れ
図を参照することによって最も良く理解できるであろ
う。以下の説明では、図面に示す番号を付けた要素につ
いて述べる。
シウムスラグは、レトルト内で四フッ化ウランを金属マ
グネシウムで還元することによって得られ、かつレトル
トの条件および処理する前にスラグを粉砕するために用
いる介在ステップの条件によって、組成と形態を変える
ことができる。一般に、スラグ11は主成分としてフッ
化マグネシウムを含有し、また少量の遊離した金属マグ
ネシウムと金属ウランならびにこれら金属の酸化物類、
フッ化物類、混合状態の酸化物類とフッ化物類とを含有
している。このスラグは、粉砕して粒子にすることが好
ましく、またマグネシオ熱還元法から残留している希釈
剤を含有していることが多い。この希釈剤は、この発明
を構成するステップを実施する前に除去し12、再循環
すること13が好ましく、この希釈剤の除去12は、ス
ラグ処理の経験者にはよく知られている慣用の方法によ
って容易に達成することができる。
は必ずしも必要ではないが、スラグを水酸化カリウムで
処理する前に行う方が好ましい。湿式または乾式のボー
ルミリング法、ハンマーミリング法、リング−ローラー
ミリング法、ジョークラッシャー、パンクラッシャー、
ロータリクラッシャーなどを含む慣用の方法でスラグ粒
子の大きさは小さくすることができる。最終の粒径は、
この発明に対して決定的なものではないが、より小さい
粒子を使用すれば、その後の化学処理の際に一層効率的
な結果が得られる。大ていの適用に対して、約200ミ
クロンまたはそれ以下の中央粒径によって最良で最も経
済的な結果が得られるであろう。
のメタセシス15は、各種の条件下で実施して生成物の
水酸化マグネシウムを得ることができる。この反応は、
例えば溶液中、好ましくは沸騰していない水溶液中で、
または融合反応にて固体形態で実施できる。
場合、その温度範囲は決定的なものではなく、沸騰を押
さえるため必要に応じて圧力を調節してもよい。温度は
約5℃〜約150℃の範囲内におさめることが好ましい
が、改善された反応機構は周囲温度を超えた温度で得る
ことができる。大気圧下での反応が一般に適切である
が、大気圧下で、最も好ましい温度範囲は60℃〜10
0℃である。
の濃度は、決定的なものではなく変えることができる。
多くの場合に、1N〜6Nの範囲内のKOHの濃度で最
良の結果が得られ、そしてフッ化マグネシウムに対して
過剰量のKOHを用いて有利な効果を得ることができ
る。一般的な過剰量の範囲は約5%〜約100%であ
り、好ましい過剰量は約30%〜約60%の範囲内であ
る。温度、KOHの濃度およびスラグの粒径に加えて、
反応速度と反応完了度に影響する他の要因は、KOHの
再循環量とメタセシス反応容器内での攪拌の度合いであ
る。一般に、操作条件は、反応が約30分間〜約2時間
の範囲内で満足すべき反応完了度に到達するように(以
下に考察するように、特に未反応のスラグを再循環し
て)選択される。
しくは350℃〜550℃の範囲内で、最も好ましくは
約500℃の公称温度にて行われる。水酸化カリウム
は、乾燥したフレークまたは通常ウォールナッツと呼ば
れている乾燥粒子の形態である(約10重量%の水を含
有している)。水酸化カリウムの濃縮水溶液(約45重
量%)も使用できるが、前記ウォールナッツまたは濃縮
溶液中の水分は、温度が前記融合温度に向かって上昇す
るにつれて放出される。しかし再循環を行うために、水
酸化カリウムをいつもウォールナッツまたはフレークの
段階まで乾燥することは不便である。いずれしても、少
過剰量の水酸化カリウム(やはりフッ化マグネシウムに
対して)、一般に約5重量%未満の過剰量を用いてもよ
いが、最適量は、再循環の容積と再循環流の濃度によっ
て変化する。他の反応条件も、決定的なものではなく、
反応は大気圧下でかつ大気中で有効に実施できる。反応
が完了した時点で水を添加して、フッ化カリウムを溶解
し反応生成物をスラリーに変換させる。
は融合反応として実施されるかどうかにかかわりなく、
反応が完了したときの液体からの固体の分離16は、慣
用の方法、例えば濾過、または沈降とデカンテーション
によって達成できる。次に、液相17を、水酸化カルシ
ウム、酸化カルシウムまたはその両者で処理して18、
フッ化カルシウムを沈殿させて水酸化カリウムの溶液を
残す。水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムの量は決
定的なものではなく、化学量論的量、化学量論的量未満
または過剰量でもよい。過剰量が好ましい。
述べた慣用の方法で反応スラリー19から分離20、溶
解した水酸化カリウムを含有する液相21が残るが、こ
の液相21はメタセシス反応15へ再循環される。メタ
セシス反応がスラリー反応かまたは融合反応であるかに
よって、再循環される水酸化カリウムの流れの濃度を高
い方に調節することが望ましい。これは蒸発によって容
易に行われる。分離されたフッ化カルシウム22は、ガ
ラスの製造と仕上げ処理、セラミックと溶接融剤、およ
び非鉄金属の抽出と処理での使用のみならず、フッ化水
素酸および冷媒の製造を含む各種の目的に対して有用で
ある。
1は、別個に、酸によって処理して32、この混合物中
に存在している各種の金属のイオンを含む可溶性塩を生
成させる。有機酸および無機酸の両者をはじめとして各
種の酸のどれかを使用できるが、無機酸が一般に好まし
い。これらの酸の具体例は塩酸、硫酸、硝酸および酢酸
である。塩酸が特に好ましい。酸の濃度は決定的なもの
ではなく変えることができるが、濃度が高ければ高いほ
ど反応が速くなる。一般に、酸の濃度が約1N〜約6N
の範囲内の場合に最良の結果が得られる。他の反応条件
も同様に決定的なものではない。大気圧が適切であり、
そして温度は周囲温度(20℃)〜沸騰温度(100
℃)の範囲内でよいが、周囲温度を超える温度、好まし
くは60℃〜100℃の範囲内の温度によって、より経
済的な反応速度が得られる。
ラン(VI)として、すなわち6の原子価状態または酸
化状態(例えばUO3の形態)で存在しているとき、最
良の結果が得られる。酸で処理する前の工程のいずれの
段階でも、6より低い原子価で存在しているウランは慣
用の方法で酸化させることができる。その実例として
は、過酸化水素、または第二鉄イオンまたは過マンガン
酸イオンなどのイオンを使用することである。あるい
は、その原子価は電解酸化反応で調節することができ
る。一般に過酸化水素を使用する方が好ましい。
マグネシウム33を濾過34で取り出してメタセシス反
応15に再循環させる。濾液35中のマグネシウムイオ
ンを含むマグネシウム塩およびウランイオンを含むウラ
ン塩はそれぞれ、その溶液中の他の金属イオンを含む金
属塩(存在している場合、特に鉄イオンを含む鉄塩)か
ら、各種の方法のいずれかで分離される。一例はアニオ
ン交換法であり、この方法は、充填カラム36のような
慣用の形態の、官能基として強塩基を含有する慣用のア
ニオン交換樹脂で実施することができる。適切な官能基
の例は、第四級アミン類とピリジン類である。具体例
は、米国インディアナ州インディアナポリス所在のRe
illy Chemical Corporation
から入手できるポリ-4−ビニルピリジン、および米国
サウスカロライナ州ウェルフォード所在のSybron
Chemicals Inc.から入手できるION
ACA581である。別の分離方法は、高溶解性のマグ
ネシウム塩以外のすべてを沈澱させる沈澱剤を用いる選
択沈澱法である。このような沈澱剤の一例は、ほぼ2〜
3のpHの過酸化水素である。第三の別の分離法は溶媒
抽出法である。ウランおよび他の金属を優先的に溶解す
る有機溶媒を使用できる。この目的を達成するのに有用
な有機溶媒の例は、炭化水素類であり、例えばケロシ
ン、アルカン類(例えばn−ヘキサンとn−ドデカン)
および芳香族化合物(例えば、米国テキサス州ヒュース
トン所在のExxon Chemical Compa
nyから入手できるSOLVESSO 150)があ
る。好ましい抽出剤は、リン酸トリブチルなどのリン酸
エステルを、約10〜約40重量%の濃度で含有する有
機溶媒である。置換アミン類、例えばジアルキルアミン
類とトリアルキルアミン類なども、特に水溶液が硫酸を
含有している場合に有用である。利用される方法にかか
わりなく、ウランバリュー37とマグネシウムバリュー
38は、互いに別個に回収可能であり、かつこれら両者
は残りの不純物39から別個に回収可能である。
するためには、そのウランは、ウラン(VI)として、
すなわち6の原子価状態または酸化状態で存在している
ことである。酸化は、必要に応じて、上記のようにして
達成することができる。
は一つ以上の段階を連続法で実施し、残りの段階をバッ
チ法で実施する組合わせ法で実施できる。流れ図と装置
設計の詳細は、当業者であれば容易に分かるであろう。
いて、メタセシス反応15は沸騰していない溶液中で行
われ、フッ化カルシウムの沈澱18はほぼ化学量論的量
の石灰で行われ、酸化マグネシウムは塩酸に溶解され3
2、そしてウランの回収とマグネシウムの精製はイオン
交換36によって達成される。しかし、なおこの発明の
範囲内にある置換と変更が、スラグのウラン含量、シス
テム中に存在する特定の不純物および副産物に対する市
場の選択または市場獲得の可能性などの要因によって必
要になるであろう。
た。この明細書に記載のシステムの操作条件、原料、処
理ステップおよび他のパラメーターは、この発明の精神
と範囲から逸脱することなく、各種の方法でさらに変形
しまたは置換できるということは、当業者であれば容易
に分かるであろう。
ウムスラグから残留ウランが効率よく回収され、マグネ
シウムからはウランの汚染が効率的に除去されて、有効
な再利用または安全な廃棄処分が可能なようにマグネシ
ウムが回収され、かつ各種の用途に有用なフッ化カルシ
ウムが製造される。
る。
循環、14…スラグの粉砕、15…メタセシス反応、1
6…液体からの固体の分離、17…溶解したフッ化カリ
ウムを含有する液相、18…液相17の水酸化カルシウ
ム、酸化カルシウムまたは両者による処理、19…反応
スラリー、20…沈澱したフッ化カルシウムの分離、2
1…溶解した水酸化カリウムを含有する液相、22…フ
ッ化カルシウム、31…メタセシス反応由来の固体混合
物、32…固体混合物31の酸による溶解、33…不溶
解のフッ化マグネシウム、34…濾過、36…充填カラ
ム、37…ウランバリュー、38…マグネシウムバリュ
ー、39…残りの不純物(廃棄物)。
Claims (10)
- 【請求項1】ウランで汚染されたフッ化マグネシウムス
ラグを処理してウランを含有しないマグネシウムを得る
方法であって: (a)前記ウランで汚染されたフッ化マグネシウムスラ
グを、水酸化カリウムによって処理して、水酸化マグネ
シウムおよびウラン含有固体からなる固体混合物と、溶
解したフッ化カリウムからなる液相とを生成させ; (b)前記固体混合物を前記液相から分離し、このよう
に分離された液相を、水酸化カルシウムおよび酸化カル
シウムからなる群から選択されるメンバーで処理して、
フッ化カルシウムを沈殿させかつ水酸化カリウムの溶液
を生成させ; (c)前記水溶液の水酸化カリウムを前記ステップ
(a)に再循環させ; そして、 (d)前記ステップ(a)で生成した前記固体混合物を
酸溶液によって処理して、固体物と、溶解した金属塩を
含有する液相とを生成させ、次いで、前記溶解した金属
塩を含有する液相からウランイオンを含むウラン塩およ
びマグネシウムイオンを含むマグネシウム塩をそれぞれ
選択的に分離すること; からなる方法。 - 【請求項2】前記ステップ(a)が、前記ウランで汚染
されたフッ化マグネシウムスラグを、水酸化カリウムの
沸騰していない水溶液で処理することを含んでなる請求
項1に記載の方法。 - 【請求項3】前記沸騰していない水溶液の温度が60℃
〜100℃である請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】前記沸騰していない水溶液中の前記水酸化
カリウムの濃度が1N〜6Nである請求項2に記載の方
法。 - 【請求項5】前記ステップ(a)が、前記ウランで汚染
されたフッ化マグネシウムスラグを、350℃〜550
℃の範囲内の温度の固体の水酸化カリウムと反応させて
融合生成物を生成させ、次いでその融合生成物に水を添
加して、その生成物からフッ化カリウムを溶出させるこ
とを含んでなる請求項1に記載の方法。 - 【請求項6】前記ステップ(d)の前記酸溶液が、塩
酸、硫酸、硝酸および酢酸からなる群から選択されるメ
ンバーの水溶液である請求項1に記載の方法。 - 【請求項7】前記ステップ(d)の前記酸溶液が、20
℃〜100℃の温度の沸騰していない溶液である請求項
1に記載の方法。 - 【請求項8】前記ステップ(d)が、アニオン交換法、
選択沈澱法または溶媒抽出法によって、前記溶解した金
属塩を含有する液相からウランイオンを含むウラン塩お
よびマグネシウムイオンを含むマグネシウム塩をそれぞ
れ選択的に分離することを含んでなる請求項1に記載の
方法。 - 【請求項9】前記ステップ(a)で生成した前記固体混
合物が含有しているウラン塩であって、6未満の原子価
状態のウランを含有するウラン塩を処理して、その原子
価を6まで上昇させた後、ウランイオンを含む前記ウラ
ン塩をステップ(d)で選択的に分離することをさらに
含んでなる請求項1に記載の方法。 - 【請求項10】前記処理が、過酸化水素または電解酸化
法による処理を含んでなる請求項9に記載の方法。
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