JP3314681B2 - 跳ね上げ式車両ドアの自動閉鎖装置 - Google Patents

跳ね上げ式車両ドアの自動閉鎖装置

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JP3314681B2
JP3314681B2 JP23537597A JP23537597A JP3314681B2 JP 3314681 B2 JP3314681 B2 JP 3314681B2 JP 23537597 A JP23537597 A JP 23537597A JP 23537597 A JP23537597 A JP 23537597A JP 3314681 B2 JP3314681 B2 JP 3314681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は跳ね上げ式車両ドア
の自動閉鎖装置に関し、特に、連結ワイヤを巻き取るこ
とによって跳ね上げ式車両ドアを閉鎖作動させる自動閉
鎖装置に関する。
【0002】
【従来の技術】バン型車の後部ドアは、通常、ドア体の
上縁を車体の後部開口縁にヒンジ結合して跳ね上げ開放
する構造となっており、跳ね上げ開放時のドア重量の軽
減を図るために車体の後部開口縁にダンパを設けて、当
該ダンパの伸長力によってドア体を押し上げている。し
かし、後部ドアが大型になると、跳ね上げられたドア体
の下縁はかなり高い位置になるため、小柄な女性等が後
部ドアを閉鎖しようとする際にはドア体の下縁を掴むた
めに大きく伸び上がる必要があるとともに、ダンパの押
し上げ力に抗してドア体を閉鎖回動させるのにかなり大
きな力を要する。そこで、跳ね上げ式の後部ドアに連結
ワイヤを結合して、連結ワイヤをモータで巻き取ること
によりドアの自動閉鎖を行う装置が提案されている(例
えば実開平5−52165号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、連結ワイヤ
を巻き取って後部ドアを閉鎖作動させる際に、ドア閉鎖
端に近い位置では、通常、ダンパの押し上げ力がドアに
殆ど作用しないか、あるいはダンパのドア押し上げ力が
ドア引き下げ力に反転して、ドア体が急速に閉鎖端へ回
動しドアロックがかかるようになっている。したがっ
て、ドア閉鎖端近くではモータのワイヤ巻き取り速度よ
りも速くドア体が閉鎖作動して連結ワイヤが弛み、ドア
体と車体後部開口縁との間で連結ワイヤが挟まれるおそ
れがあった。
【0004】また、モータによるドア閉鎖はほぼ一定速
度で行われるため、急を要する場合等には途中からドア
体を手で押して閉鎖させることがある。この場合にも、
モータのワイヤ巻き取り速度より速くドア体が閉鎖作動
して連結ワイヤが弛み、上述した連結ワイヤの挟み込み
を生じるおそれがあった。
【0005】そこで、本発明はこのような課題を解決す
るもので、ドア閉鎖作動時の連結ワイヤの弛みを解消し
て、連結ワイヤの挟み込み防止を図るとともに、ドアの
手動閉鎖を任意に可能とする跳ね上げ式車両ドアの自動
閉鎖装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本第1発明では、開放方向へ跳ね上げ付勢された車
両ドア(D)と、当該車両ドア(D)の一部に一端が結
合された連結ワイヤ(1)と、連結ワイヤ(1)を巻き
取るプーリ体(6)と、プーリ体(6)を巻き取り駆動
する駆動手段(21)と、プーリ体(6)を巻き取り方
向へ付勢するバネ部材(64)とを具備し、プーリ体
(6)と駆動手段(21)との間に、駆動手段(21)
の停止時にはプーリ体(6)の自由な回転を許すととも
に、駆動手段(21)の作動時にはプーリ体(6)のワ
イヤ繰り出し方向への相対回転のみを規制するクラッチ
手段(4)を設ける。
【0007】本第1発明において、駆動手段によりプー
リ体を巻き取り駆動し連結ワイヤによって車両ドアを閉
鎖している途中で、車両ドアを手で押して閉鎖方向へ急
速に回動させると、連結ワイヤは弛もうとする。ここに
おいて、バネ部材により付勢されているプーリ体は巻き
取り方向へ急速に回転して連結ワイヤを巻き取り、弛み
の発生を防止する。なお、閉鎖端近くで車両ドアが自重
等により急速に閉鎖方向へ回動した場合にも、本構成に
よって連結ワイヤの弛み発生が防止される。また、駆動
手段の作動時にはその回転数は常に一定であり、車両ド
ア閉鎖作動時にはプーリ体は常にダンパにより連結ワイ
ヤ繰り出し方向への力を受けているため、クラッチ手段
が作動してプーリ体は定速で回転させられて連結ワイヤ
を巻き取り、車両ドアを閉鎖作動させる。閉鎖途中で、
車両ドアを手で押して閉鎖方向へ急速に回動させると、
プーリ体はバネ部材の付勢力により連結ワイヤ巻き取り
方向への力を受けるためクラッチ手段は作動せず、プー
リ体は自由な高速回転が可能となって、連結ワイヤが急
速に巻き取られて弛みの発生が防止される。駆動手段が
停止している場合にはプーリ体は自由に回転でき、車両
ドアの手動開閉を自在に行うことができる。
【0008】 本第2発明では、プーリ体(6)が巻き
取り方向への回転を開始したことを検出する回転検出手
段(68,69)を設け、駆動手段(21)はプーリ体
(6)の回転開始が検出された時に作動を開始するよう
に設定されている。
【0009】 本第2発明において、開放状態の車両ド
アを手で押して閉鎖方向へ回動させると、バネ部材で付
勢されたプーリ体は連結ワイヤの弛みを解消すべく巻き
取り回転を始める。この回転開始は回転検出手段によっ
て検出され、これにより駆動手段が作動を開始して車両
ドアの自動閉鎖がなされる。したがって、ドア閉鎖の指
令スイッチを特に設けることなく、車両ドアを手で押す
だけでドアの自動閉鎖が開始される。
【0010】 本第3発明では、開放方向へ跳ね上げ付
勢された車両ドア(D)と、当該車両ドア(D)の一部
に一端が結合された連結ワイヤ(1)と、連結ワイヤ
(1)を巻き取るワイヤ巻取り手段(2)と、巻き取り
張力非作用時には連結ワイヤ(1)をその直線軌跡から
外れた方向へ案内するとともに、巻き取り張力作用時に
は連結ワイヤ(1)の直線軌跡上へ弾性変形するガイド
部材(15)とを具備している。なお、ガイド部材によ
る案内方向は車体開口縁から離れる方向とするのが良
い。
【0011】 本第3発明において、車両ドアを閉鎖す
る場合にはワイヤ巻取り手段により連結ワイヤが巻き取
られる。したがって、連結ワイヤには巻き取り張力が作
用しており、ガイド部材は連結ワイヤの直線軌跡上へ弾
性変形している。閉鎖端近くで車両ドアが自重等により
急速に閉鎖方向へ回動すると、ほぼ定速のワイヤ巻取り
手段によっては短時間に連結ワイヤを巻きとることはで
きず、連結ワイヤが弛もうとする。ここにおいて、弛み
により連結ワイヤに巻き取り張力が作用しなくなると、
ガイド部材は原形に復し、連結ワイヤをその直線軌跡か
ら外れた方向へ案内する。これにより、連結ワイヤは直
線軌跡から迂回させられ、そのワイヤ軌跡が長くなって
弛みが解消される。ガイド部材の原形への弾性復帰は速
やかになされるから、ドア閉鎖端近くでの連結ワイヤの
弛み発生が効果的に回避され、車体開口縁での連結ワイ
ヤの挟まれが防止される。
【0012】
【0013】
【0014】なお、上記カッコ内の符号は、後述する実
施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1はバン型車の後部斜視図であり、
車体の後部開口Oには跳ね上げ式の後部ドアDが装備さ
れている。図は後部ドアDを跳ね上げて開放した状態を
示し、後部ドアDはその上縁の左右位置でヒンジHによ
り後部開口O縁に結合されている。後部ドアDの左右の
側縁と後部開口Oの側縁との間にはダンパ体Pが架設さ
れており、これらダンパ体Pの伸長力によって後部ドア
Dが跳ね上げ状態に支持されている。ドアガラスWに近
い後部ドアDの左右の側縁にはそれぞれ連結ワイヤ1の
一端が結合されており、各連結ワイヤ1は後部開口O縁
に設けたガイドローラ11(一方のみ図示)に向けて斜
めに延び、これを経由して、下方に設置されたワイヤ巻
き取り装置2へ至っている。なお、開放された後部ドア
Dの後端下面(ドア内側面)には「ドア閉鎖」指令スイ
ッチ12が設けられて、図略のモータ制御回路に接続さ
れている。
【0016】ワイヤ巻き取り装置2はモータ部とワイヤ
巻き取り部とで構成されており、その詳細を図2ないし
図5に示す。ここで、図2はワイヤ巻き取り装置2の垂
直断面図、図3はその部分断面平面図、図4および図5
はその分解斜視図である。モータ部は駆動モータ21と
これの出力軸側に設けられた減速用ギヤボックス22と
を有し(図2)、減速用ギヤボックス22は支持架台2
3上に固着されている(図4)。支持架台23は金属板
を屈曲成形したもので、減速用ギヤボックス22を載置
する天板231と、天板231周囲の複数箇所に形成さ
れた脚部232とから構成されている。各脚部232の
下端はベース体24(図2)の外周に結合されている。
ベース体24は平面視で大小の円形部を連結した瓢箪形
の容器状であり(図3)、その外周に一定高の壁部24
1を有している。壁部241の外周には複数箇所に取付
片242が突設されている。
【0017】ベース体24の小径円形部内にはギヤ体3
が収納してあり、このギヤ体3は中心が軸体31(図
2)に回転自在に嵌装してある。軸体31は下端部31
1が矩形に成形されて、ベース体24の底面に設けた軸
受部材32の矩形凹所321内に嵌着してある(図2、
図5)。軸受部材32は、ベース体24の裏面からワッ
シャ33を介して挿入したネジ34により固定されてい
る。ギヤ体3には上面外周の4箇所に係合凸部35が形
成されており、ギヤ体3は係合凸部35を介して、後述
するように、上方に位置するクラッチ(クラッチ手段)
4に結合されている。クラッチ4はカバー体41の上面
外周に形成されたフランジ部411の両端で支持架台2
3(図4)の天板231下面にネジ固定されている。ク
ラッチ4の入力軸42(図5)の上端面に形成された上
方へ開口する矩形凹所421内には、減速用ギヤボック
ス22(図4)の底面中心から突出する出力軸先端の矩
形部25が嵌着されている。
【0018】図3において、ベース体24の大径円形部
内には上記ギヤ体3と噛合する大径のギヤ体5が配設し
てある。このギヤ体5は中心に形成した矩形の開口51
(図5)にて、上方に位置するプーリ体6の矩形の下端
部61外周に嵌着されている。プーリ体6の中心貫通孔
62内には軸体52が嵌入してある(図2)。軸体52
は下端がベアリング53を介してベース体24の底面上
に支持されるとともに、上端は支持部材として機能する
軸受部材54の下半筒部541内に嵌装されている。プ
ーリ体6の上端面は外周縁を残して内周部63が凹陥し
ており、この内周部63内にゼンマイバネ64が収納さ
れている。この詳細を図6で説明すると、ゼンマイバネ
64の外周端はプーリ体6の上端面外周部に設けた一対
のピン体65に折り曲げ状態で係止され、一方、ゼンマ
イバネ64の内周端は軸受部材54の下半筒部541に
形成した直線溝542内に折り曲げ状態で係止されてい
る。軸受部材54は上半の円柱部543が、プーリ体6
の外周と上方を覆うプーリガイド55(図2,図4)の
中心開口551内に挿入されている。プーリガイド55
は上面の3箇所に形成した凸部552(図4)が、支持
架台23の天板231に設けた取付孔233内に挿入さ
れてカシメ固定されている。
【0019】軸受部材54の外周には径方向対称位置の
2箇所に(図6には一方のみ示す)、平面視で半円形の
切欠き544が形成されている。この切欠き544と、
支持架台23(図4)の天板231に設けた開口234
およびプーリガイド55に設けた開口551の各内周縁
にそれぞれ形成された切欠き235,553とで形成さ
れる円形空間内にピン体56が挿入されて(図3)、軸
受部材54の回り止めがなされている。
【0020】上記プーリガイド55(図3)は周壁の一
個所が切り欠いてあって、この切欠きにワイヤガイド部
材57(図5)の一端が嵌め込んである(図3)。ワイ
ヤガイド部材57の中央溝571内には後部ドアDから
至った連結ワイヤ1が挿通され、その先端の矩形係止片
13(図6)が、プーリ体6の上端面に形成された係止
溝66内に嵌装されて固定されている。連結ワイヤ1
は、プーリ体6を図3、図6の反時計方向へ回転させる
ことにより、プーリ体6外周の螺旋溝67内に巻き取ら
れる。巻き取られた連結ワイヤ1を引き出してプーリ体
6を時計方向へ回転させると、ゼンマイバネ64は次第
に引き締め変形させられ、プーリ体6を反時計方向へ戻
し回転させるような付勢力を生じる。なお、連結ワイヤ
1をプーリ体6に巻き取った状態でゼンマイバネ64に
初期付勢力を与えるには、ピン体56(図3)を抜き出
し、軸受部材54(図6)の頂面の溝孔545内にドラ
イバの先端を挿入して軸受部材54を適当角度まで回転
させてゼンマイバネ64を適度に引き締め変形させ、そ
の後、ピン体56を挿入して軸受部材54を再度位置決
めする。
【0021】図7、図8にはクラッチ4の詳細構造を示
す。図7はクラッチの垂直断面図、図8はその水平断面
図である。図7において、カバー体41の中心には既述
のように入力軸42が位置し、当該入力軸42の上端面
中心に形成された矩形凹所421に、減速用ギヤボック
ス22(図4)から突出する出力軸先端の矩形部25が
嵌着される。入力軸42は円柱体の周方向の8か所に等
間隔で平面42a(図8)が形成されたもので、各平面
42aの中央にこれに接してローラ体43が配設されて
いる。これらローラ体43はそれぞれ、保持体44(図
7)の筒壁441に等間隔で設けた保持溝442内に位
置している。入力軸42の下面内周部は図9に示すよう
に一定量円形に凹陥し、この凹陥部422は周方向の一
か所で外方へ開放している。そして、この凹陥部422
内にリング状バネ47が設置してある(図8)。リング
状バネ47は周方向の一か所で切り開かれ、その両端部
471,472は外方へ屈曲して、凹陥部422の開放
口423(図9)を経て突出し、保持体44の保持溝4
42の一つの下方位置に形成した貫通孔444内へ進入
している(図7、図8)。貫通孔444の周方向の幅は
リング状バネ47の両端部471と472の間隔とほぼ
同じ寸法である。
【0022】図7において、筒壁441内に入力軸42
を収納した保持体44には、その底壁の下面中心に円形
凹所443が形成され、ここに軸受部材45が嵌装され
ている。軸受部材45の下面凹所451内には既述の軸
体31(図2、図5)の上端が嵌入されている。保持体
44とカバー体41との間には出力外輪46が位置し、
その内周面は各ローラ体43を連ねて(図8)その外周
面に接している。出力外輪46の下面には一定間隔で係
合凹所461(図7)が形成してあって、これら係合凹
所461に、既述のギヤ体3(図5)に設けた係合凸部
35が嵌合している。
【0023】駆動モータ21(図2、図4)が起動して
おらず、クラッチ4の入力軸42が停止した状態では、
リング状バネ47によって保持体44は図8に示す状態
に位置決めされており、既に説明したように各ローラ体
43は入力軸42の外周平面42aの中央に位置してい
る。この状態では、各ローラ体43は各平面42aと出
力外輪46の内周面とに接した状態で自転自在であり、
出力外輪46は図8の時計方向、半時計方向のいずれへ
も自由に回転可能である。駆動モータ21が起動する
と、入力軸42は、リング状バネ47をその端部471
が端部472へ近づくように変形させつつ、保持体44
の筒壁441に対して相対的に図8の時計方向(図の矢
印方向)へ回転する。これにより、各ローラ体43は各
平面42aの中央位置から外れ、相対間隔が実質的に小
さくなった平面42aと出力外輪46の内周面との間に
挟まれてロック状態となる。これにより、出力外輪46
が入力軸42に結合されてこれと一体に時計方向へ回転
する。この状態で、出力外輪46が入力軸42よりも時
計方向へ速く回転すると、リング状バネ47が原形に復
して各ローラ体43が再び各平面42aの中央位置へ戻
され、出力外輪46は入力軸42との結合状態が解消さ
れて自由に時計方向へ回転することができる。
【0024】このような構造の自動閉鎖装置において、
開放状態の後部ドアDを閉める場合には、「ドア閉鎖」
指令スイッチ12を操作してモータ制御回路(図示略)
により駆動モータ21を起動させ、クラッチ4の入力軸
42を図8の時計方向へ回転させる。クラッチ4の出力
外輪46はローラ体43を介して入力軸42に結合され
てこれと同方向へ回転し、出力外輪46と一体にギヤ体
3が回転して、ギヤ体5およびプーリ体6を図3の反時
計方向へ回転させる。これにより、連結ワイヤ1はプー
リ体6の螺旋溝67内に巻き取られ、後部ドアDが次第
に閉鎖方向へ回動する。後部ドアDがある程度下方へ閉
鎖回動した状態で、後部ドアDを手で押して急速に閉鎖
作動させると連結ワイヤ1は弛もうとするが、ゼンマイ
バネ64により反時計方向へ回転付勢されているプーリ
体6は急速に回転して連結ワイヤ1を巻き取り、その弛
みを解消する。この際、プーリ体6(およびギヤ体5)
の反時計方向への急速回転に伴って、ギヤ体3と出力外
輪46は急速に図8の時計方向へ回転させられる。この
ため、入力軸42の回転速度よりも出力外輪46の回転
速度が速くなり、この結果、既述のように、ローラ体4
3を介した両者の連結が解消されて出力外輪46は自由
に回転することができる。なお、後部ドアDを手動で閉
鎖する場合以外に、閉鎖端近くではダンパPの押上げ力
が作用しないため後部ドアDは自重で急速に閉鎖作動す
るが、この場合にもプーリ体6はゼンマイバネ64によ
り急速に回転させられて連結ワイヤ1を巻き取り、その
弛みの発生を防止する。
【0025】なお、後部ドアDの開放時には駆動モータ
21に通電されていないから入力軸42は停止してお
り、連結ワイヤ1をプーリ体6から自在に引き出すこと
ができる。
【0026】(第2実施形態)本実施例は第1実施例に
おける「ドア閉鎖」指令スイッチを不要としたものであ
る。図10には本実施例におけるプーリ体6の外観を示
す。プーリ体6の外周には回転検出手段を構成する黒色
に着色した樹脂製のリング板68が固定され、このリン
グ板68には板面外周に一定間隔で多数の透孔681が
設けられている。一方、光センサ69が設けられて、そ
の一対の先端突出部691,692がリング板68の外
周を間隔をおいて上下から挟むように位置している。こ
れら突出部691,692間に透孔681が位置する
と、一方の突出部691に内設された発光素子から発し
た光が透孔681を通過して、他方の突出部692に内
設された受光素子に入射する。したがって、光センサ6
9からは透孔681の通過毎にパルス信号が出力され
る。このパルス信号を図略のモータ制御回路で検出する
ことにより、リング板68、すなわちプーリ体6の回転
を検出することができる。なお、他の構造は既に説明し
た第1実施例と同様である。
【0027】このような構造の自動閉鎖装置において、
跳ね上げ開放状態の後部ドアDを手で閉鎖方向へ押しや
ると、ゼンマイバネ64(図6)の付勢力を受けている
プーリ体6は、弛んだ連結ワイヤ1を巻き取るべく回転
する。このプーリ体6の回転開始は光センサ69により
検出され、モータ制御回路が駆動モータ21を起動して
プーリ体6を巻き取り回転させる。すなわち、本実施例
によれば、後部ドアDを手動で閉め始めると、これを検
知して駆動モータ21が起動し、以後は自動的に後部ド
アDが閉められる。したがって、「ドア閉鎖」指令スイ
ッチを特に設ける必要がない。
【0028】(第3実施例)図11には、後部ドアDへ
の結合部から車体後部開口縁のガイドローラ11へ至る
連結ワイヤ1の一部を示す。連結ワイヤ1を後部ドアD
へ結合する固定ブラケット14にはガイド部材としての
コイルバネ15が設けてある。このコイルバネ15は、
固定ブラケット14からガイドローラ11へ向かう連結
ワイヤ1の直線軌跡(図の鎖線)から外れた方向へ延出
し、コイルバネ15の中に連結ワイヤ1が通してある。
これにより、連結ワイヤ1は側方へ大きく迂回してい
る。なお、コイルバネ15の延出方向は車体後部開口縁
から離れる方向とするのが良い。また、連結ワイヤ1の
巻き取り構造は第1実施例で説明したものと同様であ
る。
【0029】後部ドアDを自動閉鎖している場合には連
結ワイヤ1に巻き取り張力が作用し、図12に示すよう
に、コイルバネ15は連結ワイヤ1の直線軌跡に沿った
方向へ変形する。閉鎖端に近くなって後部ドアDが自重
で急速に閉鎖回動すると、第1実施形態で説明したよう
にゼンマイバネ64(図6)によってプーリ体6が急速
に回転して連結ワイヤ1を巻き取る。しかし、この巻き
取り速度が十分でないと連結ワイヤ1が弛んで巻き取り
張力が消失する。そこで、コイルバネ15が図11に示
す原形に即座に復して、連結ワイヤ1の弛みを速やかに
解消する。これにより、後部ドアDと車体後部開口縁と
の間で連結ワイヤ1が挟み込まれるのが防止される。特
に、コイルバネ15の原形を車体後部開口縁から離れる
方向へ屈曲させておくと、連結ワイヤ1の挟まれ防止
に、より効果的である。後部ドアDが閉鎖した後は、モ
ータ駆動されるプーリ体6によって連結ワイヤ1が巻き
取られ、連結ワイヤ1に再び巻き取り張力が作用して、
コイルバネ15が図12に示すような連結ワイヤ1の直
線軌跡に沿った方向へ変形する。
【0030】(第4実施例)ガイド用コイルバネ15
を、第3実施形態で示す場所とは異なる場所に設置する
こともでき、その一例を図13に示す。図13は、車体
後部開口O縁のガイドローラ11からワイヤ巻き取り装
置2へ至る連結ワイヤ1を示す。コイルバネ15はガイ
ドローラ11に一体に設けられて、ワイヤ巻き取り装置
2へ至る連結ワイヤ1の直線軌跡(図の鎖線)から外れ
た方向へ延出し、コイルバネ15の中に連結ワイヤ1が
通してある。これにより、連結ワイヤ1は側方へ大きく
迂回している。この場合も、コイルバネ15の延出方向
は車体後部開口O縁から離れる方向とするのが良く、ま
た、連結ワイヤ1の巻き取り構造は第1実施形態で説明
したものと同様である。
【0031】後部ドアDを駆動モータ21(図2)で自
動閉鎖している場合には、連結ワイヤ1に巻き取り張力
が作用し、図14に示すように、コイルバネ15は連結
ワイヤ1の直線軌跡に沿った方向へ変形する。閉鎖端に
近くなって後部ドアDが自重で急速に閉鎖回動すると、
第1実施形態で説明したようにゼンマイバネ64によっ
てプーリ体6が急速回転して連結ワイヤ1を巻き取る。
しかし、この巻き取り速度が十分でないと連結ワイヤ1
が弛んで巻き取り張力が消失する。そこで、コイルバネ
15が図13に示した原形に即座に復し、連結ワイヤ1
の弛みを速やかに解消する。これにより、後部ドアDと
車体後部開口O縁との間に連結ワイヤ1が挟み込まれる
のが防止される。特に、コイルバネ15の原形を車体後
部開口O縁から離れる方向へ延出したものにすると、連
結ワイヤ1の挟まれ防止に、より効果的である。後部ド
アDが閉鎖した後は、モータ駆動されるプーリ体6によ
って連結ワイヤ1が巻き取られ、連結ワイヤ1に再び巻
き取り張力が作用して、コイルバネ15が連結ワイヤ1
の直線軌跡に沿った方向へ変形する(図14)。
【0032】(その他の実施形態)第1実施形態におい
ては、プーリ体11と駆動モータ21との間にクラッチ
4を介在させたが、これは駆動モータ21への通電時に
その出力軸がフリー回転しないためである。駆動モータ
21の出力軸が通電時にもフリー回転するものであれ
ば、クラッチ4を介在させることなく駆動モータ21の
出力軸をプーリ体6に直結することができる。
【0033】また、第3および第4実施形態で説明した
コイルバネ15による弛み防止構造は、第1実施形態の
ゼンマイバネ64による弛み防止構造と併用する必要は
なく、単独で設置することができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の自動閉鎖装置に
よれば、ドア閉鎖作動時に連結ワイヤの弛みが生じない
から、連結ワイヤの挟まれを未然に防止することができ
るとともに、ドアの手動閉鎖も任意に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動閉鎖装置を備えた跳ね上げ開放状態の車両
後部ドアの後方斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるワイヤ巻き取り
装置の部分断面側面図である。
【図3】ワイヤ巻き取り装置の部分断面平面図である。
【図4】ワイヤ巻き取り装置の部分分解斜視図である。
【図5】ワイヤ巻き取り装置の部分分解斜視図である。
【図6】ワイヤ巻き取り装置の拡大部分分解斜視図であ
る。
【図7】クラッチの全体垂直断面図で、図8のVII −VI
I 線に沿った断面図である。
【図8】クラッチの全体水平断面図で、図7のVIII−VI
II線に沿った断面図である。
【図9】入力軸を下方から見た斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態におけるプーリ体の全
体斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態における後部ドア結合
部からガイドローラへ至る連結ワイヤの斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態における後部ドア結合
部からガイドローラへ至る連結ワイヤの斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態におけるガイドローラ
からワイヤ巻き取り装置へ至る連結ワイヤの斜視図であ
る。
【図14】本発明の第4実施形態におけるガイドローラ
からワイヤ巻き取り装置へ至る連結ワイヤの斜視図であ
る。
【符号の説明】
D…後部ドア、1…連結ワイヤ、15…コイルバネ、2
…ワイヤ巻取り装置、21…駆動モータ、4…クラッチ
(クラッチ手段)、54…軸受部材、6…プーリ体、6
4…ゼンマイバネ、68…リング板、69…光センサ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開放方向へ跳ね上げ付勢された車両ドア
    と、前記車両ドアの一部に一端が結合された連結ワイヤ
    と、前記連結ワイヤを巻き取るプーリ体と、前記プーリ
    体を巻き取り駆動する駆動手段と、前記プーリ体を巻き
    取り方向へ付勢するバネ部材とを具備し、前記プーリ体
    と前記駆動手段との間に、前記駆動手段の停止時には前
    記プーリ体の自由な回転を許すとともに、前記駆動手段
    の作動時には前記プーリ体のワイヤ繰り出し方向への相
    対回転のみを規制するクラッチ手段を設けた跳ね上げ式
    車両ドアの自動閉鎖装置。
  2. 【請求項2】 前記プーリ体が巻き取り方向への回転を
    開始したことを検出する回転検出手段を設け、前記駆動
    手段は前記プーリ体の回転開始が検出された時に作動を
    開始するように設定されている請求項に記載の跳ね上
    げ式車両ドアの自動閉鎖装置。
  3. 【請求項3】 巻き取り張力非作用時に前記連結ワイヤ
    をその直線軌跡から外れた方向へ案内するとともに、巻
    き取り張力作用時には前記連結ワイヤの直線軌跡上へ弾
    性変形するガイド部材を具備する請求項1又は2に記載
    跳ね上げ式車両ドアの自動閉鎖装置。
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