JP3314270B2 - 電柱の補修工法 - Google Patents
電柱の補修工法Info
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Description
クリート柱及び一般家庭への電気供給線や電信電話用の
電線を支持するためのコンクリート柱、いわゆるコンク
リート製電柱の経年変化等による亀裂,欠損等の損傷に
起因する強度劣化を、簡単且つ短時間で補強してその寿
命の延伸を図ることのできる工法に関するものである。
気供給線や電話線を支持するためのコンクリート柱等の
電柱は、長年風雨に曝されることによって継目から雨水
が侵入し、セメントの成分が減少して砂利等の骨材だけ
が詰まった状態になる。そのため、多くのコンクリート
製電柱が中性化し、これによって、亀裂,欠損,剥落等
の損傷を起こしていた。従来は、その対策として当該損
傷部に樹脂材料を注入したり、樹脂モルタルを充填した
りして補修修理を行っていた。
補修方法では、亀裂,欠損,剥落等の損傷部の修復はで
きても、電柱自体の強度の劣化を回復することはできな
かった。そのため、亀裂,欠損,剥落等の損傷を補修し
た場合であっても、電柱自体の強度が補強されていない
ので、電柱自体の寿命が低下することとなっており、電
柱の取り替えを短期間で行わなければならず、その作業
に要する労働負担及び費用が莫大なものとなり、問題で
あった。しかも、電柱の取り替えを怠ると、電車線を支
持するコンクリート製の電柱では、電柱が傾斜する原因
となり、トロリ線の位置ズレが発生し、トロリ線から電
気の供給を受けるパンタグラフが損傷して列車走行に支
障を来すことになるので、損傷等による強度劣化のひど
い電柱については、短い使用期間であっても電柱の交換
が必須となっていた。
に鑑みてこれを改良除去したものであって、コンクリー
ト製電柱の損傷部の強度回復と、補修とを簡単且つ短時
間で施工できる工法を提供せんとするものである。
は、予め、1層目のレジン層にガラ ス繊維シートを貼り
付け、その上に2層目のレジン層を設けて2層目のガラ
ス繊維シートを貼り付け、1層目と2層目のガラス繊維
シートが相互にクロスする方向に貼り付けられているガ
ラス繊維製シートベルトを、型に貼り付けて電柱と同じ
円筒形状のガラス繊維製シートベルトを作成しておき、
コンクリート製電柱の経年劣化等による損傷部の周囲を
カットして露呈した鉄筋の錆の除去及び防錆加工を施
し、カットした部分に充填剤を充填し、損傷部の領域の
電柱の全周にプライマーを塗布し、プライマーの乾燥後
に樹脂塗料であるレジンを介して前記円筒形状に作成し
ておいたガラス繊維製シートベルトを電柱に巻回して樹
脂塗料であるレジンで貼り付け、ウレタン樹脂塗料を上
塗りして仕上げたことを特徴とする電柱の補修工法であ
る。
して鉄筋の防錆加工等を施し、充填剤を充填することに
より、損傷部の補修を行うことができる。そして、プラ
イマー処理の後、ガラス繊維製シートベルトを電柱に巻
回して樹脂塗料であるレジンで貼り付けることにより、
電柱の強度劣化を回復することが可能である。つまり、
ガラス繊維製シートベルトを電柱の損傷部の周囲に一体
化することにより、このシートベルト自体が有する強度
アップ機能により優れた補強が得られる。ウレタン樹脂
塗料を上塗りするのは耐候性を考慮したものである。
採用した請求項2の手段は、予め、1層目のレジン層に
ガラス繊維シートを貼り付け、その上に2層目のレジン
層を設けて2層目のガラス繊維シートを貼り付け、1層
目と2層目のガラス繊維シートが相互にクロスする方向
に貼り付けられているガラス繊維製シートベルトを、型
に貼り付けて電柱の頭部と同じ形状であるキャップ状の
ガラス繊維製シートベルトを作成しておき、コンクリー
ト製電柱の経年劣化等による損傷部の周囲をカットして
露呈した鉄筋の錆の除去及び防錆加工を施し、カットし
た部分に充填剤を充填し、損傷部の領域の電柱の全周に
プライマーを塗布し、プライマーの乾燥後に樹脂塗料で
あるレジンを介して前記キャップ状に成形したガラス繊
維製シートベルトを電柱の頭部に被せて樹脂塗料である
レジンで貼り付け、ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上
げたことを特徴とする電柱の補修工法である。電柱の頭
部の部分の補修を対象とすることを除けば、前記請求項
1の場合と同じ作用効果を有している。
す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りであ
る。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電柱1の柱
部分の亀裂欠損部分(以下は、単に亀裂という)2を補
修する場合の順序を示す工程図である。同図の図(B)
に示す如く、先ず、亀裂2の周囲をダイヤモンドカッタ
ー等で亀裂に沿ってV字型にカットし、凹部3を形成す
る。欠損部分については、ケレンハンマー等で落とせる
だけ落としておき、補修後に当該部分から亀裂や欠損等
が進行する原因が発生しないようにする。また前記V字
型のカットは、亀裂2の内部の腐食している鉄筋が露呈
する位置まで行い、鉄筋の錆をグラインダー等で除去
し、錆の腐食進行を抑制し、またこの後の工程で行われ
る充填剤4の付着を良くするための防錆剤を塗布する。
このような作業は、電柱1の損傷が剥離の場合も同じで
ある。
凹部3に金コテ及び木ヘラ等を用いて充填剤4を充填を
する。充填は、できる限り平均的になるように塗布す
る。充填剤の乾燥後に凸凹部分があれば、サンドペーパ
等で平らにしておく。そして、図(C)の斜線部で示す
領域に、FPプライマー(エポキシ樹脂を主成分とする
プライマー)5を塗布する。このFPプライマー5は、
硬化剤として変性脂肪族ポリアミンを用いた二液型樹脂
塗料であり、既存のコンクリート柱の強度を維持すると
同時に、この後に塗布される樹脂塗料の付着強度を保持
する働きがある。FPプライマーの乾燥後は、主剤とし
てエポキシ樹脂塗料を用い、硬化剤としてエポキシ系の
イソシアネートを用いた二液型の樹脂塗料であるFRレ
ジンをむらなく塗る。このFRレジンは、樹脂系接着剤
としての機能を有している。主剤と硬化剤との比率は、
通常は、主剤:硬化剤=2:1の割合に設定すればよい
が、季節による温度差により硬化の反応状態が異なるの
で、季節に応じて変更すればよい。変更の目安は、夏期
の場合は主剤:硬化剤=2:0.9〜0.85とし、冬
期は主剤:硬化剤=2:1.05〜1.1の範囲にすれ
ばよい。これは、硬化剤の割合がこれらの数値を下回る
と、硬化し難いため作業に支障が生じる問題があり、ま
た硬化剤の割合がこれらの数値を上回ると、上記と同様
の問題があるからである。
丸めて形成しておいたガラス繊維製のシートベルト6
を、図1の図(D)に示すように、FRレジンを塗布し
た領域に巻回して貼り付け、例えば、上下中央の三箇所
をビニールテープ7等で結束してシートベルト6の貼り
付けがスムーズに行われるようにする。最後に、図1の
図(E)に示すように、ウレタン樹脂塗料8を上塗りし
て仕上げる。このウレタン塗料8は、太陽光線による紫
外線からのシートベルト6の劣化を防止するためのもの
である。
ガラス繊維製のシートベルト6が、亀裂2の入った領域
部分の強度を補強することができ、電柱1の長寿命化が
図れる。また電柱1の補修作業は、ガラス繊維製のシー
トベルト6が円筒形状に丸まって成形されているため、
熟練者でなくても簡単に行うことが可能である。
について、図3及び図4を参照して説明する。先ず、図
3に示すように、温度調節及び成形品の取り外しをスム
ーズにとり行うために、基台としてガラス板9を用い、
ガラス板9上にビニールシート10を貼り付ける。ビニ
ールシート10は、成形時に樹脂材料がガラス板9にく
っつくのを防止する目的と、成形品の保護を目的とする
ものであり、施工時に剥離除去される。
のFRレジン11を塗り、これにガラス繊維シート12
を貼り付ける。そして、脱泡ローラを用いてガラス繊維
シートの繊維間に含まれている空気を抜き取る。続い
て、2層目のFRレジン13を塗り、これにガラス繊維
シート14を前記1層目のガラス繊維シート12の方向
とはクロスする方向に貼り付け、脱泡ローラを用いてガ
ラス繊維シートの繊維間に含まれている空気を抜き取
る。
後、ビニールシート10を含む成形体15の全体を基台
としてのガラス板9から取り外し、カットできる程度の
硬化状態において、使用目的に応じた大きさにカットす
る。そして、電柱1の形状と同じ円筒形状の型に貼り付
け、完全に樹脂材料を硬化させ、図2に示す製品として
のガラス繊維製のシートベルト6を得る。シートベルト
6が円筒形であるため、現場での電柱1への巻き付け作
業が容易であり、また電柱1に巻き付けた場合にガラス
繊維が折れる等の問題もなく、ガラス繊維製シートベル
ト6の優れた補強機能を十分に発揮することが可能であ
る。
のであり、電柱1の頭部を補修し、補強する場合を示す
ものである。同図の図(A)は、電柱1自体に頭部(頂
上面を覆っている閉塞部分)がないタイプの斜視図、図
(B)は頭部16にひび割れ等の亀裂2が生じた場合の
斜視図、図(C)は頭部16に剥離17の損傷が発生し
た場合の斜視図である。図(A)に示す場合は、ガラス
繊維製のキャップ18を接着剤としての前記FRレジン
を介して貼り付けて被せればよく、図(B)及び図
(C)に示すものは、亀裂2の部分や剥離17の部分の
補修を行った後、接着剤としてのFRレジンを介してキ
ャップ18を貼り付けて被せればよい。亀裂2や剥離1
7の部分の補修は、前記第1の実施の形態の場合と同じ
要領で行えばよい。このような電柱1の頭部の補修及び
補強であれば、損傷部分を補修して接着剤を介してキャ
ップ18を貼り付けるだけであり、高い場所の作業であ
るにも拘らず、安全且つ迅速に行うことが可能である。
りである。先ず、電柱1の頭部16と同じ形状の木型に
合わせて和紙の成形体を成形する。次に、木型に成形し
た製品の離型を容易にするためのビニールを被せ、該ビ
ニールの上に前記和紙の成形体を被せる。そして、ガラ
ス繊維製シートベルト6の場合と同じ要領で、和紙上に
1層目のFRレジンを塗り、これにガラス繊維シートを
貼り付ける。次に、脱泡ローラを用いてガラス繊維シー
トの繊維間に含まれている空気を抜き取る。続いて、2
層目のFRレジンを塗り、これにガラス繊維シートを前
記1層目のガラス繊維シートの方向とはクロスする方向
に貼り付け、脱泡ローラを用いてガラス繊維シートの繊
維間に含まれている空気を抜き取ればよい。
経た後、ビニールシートを含むキャップ状の成形体の全
体を成形型から取り外し、耐候性を向上させるためのウ
レタン樹脂塗料を塗布し、乾燥させればキャップ18の
製造が完了する。
コンクリート製電柱の経年劣化等による損傷部の周囲を
カットして露呈した鉄筋の錆の除去及び防錆加工を施
し、カットした部分に充填剤を充填し、損傷部の領域の
電柱の全周にプライマーを塗布し、プライマーの乾燥後
に樹脂塗料を介して円筒形状に作成したガラス繊維製シ
ートベルトを電柱に巻回して貼り付け、ウレタン樹脂塗
料を上塗りして仕上げている。従って、損傷部の周囲を
カットして鉄筋の防錆加工等を施し、充填剤を充填する
ことにより、損傷部の補修を行うことができる。そし
て、プライマー処理の後、ガラス繊維製シートベルトを
電柱に巻回して貼り付けることにより、電柱の強度劣化
を回復することが可能であり、このシートベルト自体が
有する強度アップ機能により優れた補強が得られる。し
かも、熟練技術者でなくても簡単に作業を行うことがで
き、足場を組まなくても竹ハシゴ一本で作業ができ、従
来よりも短い作業時間及び少人数で行うことが可能であ
る。更に、上塗りしたウレタン樹脂塗料により耐候性を
向上させることも可能である。
す図面である。
シートベルトを示す斜視図である。
シートベルトの製造要領を示す縦断面図である。
シートベルトの製造工程を示すフローチャートである。
示すものであり、図(A)は頭部無しの場合の斜視図、
図(B)は亀裂損傷の場合の斜視図、図(C)は剥離損
傷の場合の斜視図である。
造工程を示すフローチャートである。
…充填剤、5…プライマー、6…ガラス繊維製のシート
ベルト、7…ビニールテープ、8…ウレタン樹脂、9…
ガラス板、11…1層目のFRレジン、12…1層目の
ガラス繊維シート、13…2層目のFRレジン、14…
2層目のガラス繊維シート、15…ガラス繊維製シー
ト、16…頭部、17…剥離損傷部、18…キャップ
Claims (2)
- 【請求項1】予め、1層目のレジン層にガラス繊維シー
トを貼り付け、その上に2層目のレジン層を設けて2層
目のガラス繊維シートを貼り付け、1層目と2層目のガ
ラス繊維シートが相互にクロスする方向に貼り付けられ
ているガラス繊維製シートベルトを、型に貼り付けて電
柱と同じ円筒形状のガラス繊維製シートベルトを作成し
ておき、コンクリート製電柱の経年劣化等による損傷部
の周囲をカットして露呈した鉄筋の錆の除去及び防錆加
工を施し、カットした部分に充填剤を充填し、損傷部の
領域の電柱の全周にプライマーを塗布し、プライマーの
乾燥後に樹脂塗料であるレジンを介して前記円筒形状に
作成しておいたガラス繊維製シートベルトを電柱に巻回
して樹脂塗料であるレジンで貼り付け、ウレタン樹脂塗
料を上塗りして仕上げたことを特徴とする電柱の補修工
法。 - 【請求項2】予め、1層目のレジン層にガラス繊維シー
トを貼り付け、その上に2層目のレジン層を設けて2層
目のガラス繊維シートを貼り付け、1層目と2層目のガ
ラス繊維シートが相互にクロスする方向に貼り付けられ
ているガラス繊維製シートベルトを、型に貼り付けて電
柱の頭部と同じ形状であるキャップ状のガラス繊維製シ
ートベルトを作成しておき、コンクリート製電柱の経年
劣化等による損傷部の周囲をカットして露呈した鉄筋の
錆の除去及び防錆加工を施し、カットした部分に充填剤
を充填し、損傷部の領域の電柱の全周にプライマーを塗
布し、プライマーの乾燥後に樹脂塗料であるレジンを介
して前記キャップ状に成形したガラス繊維製シートベル
トを電柱の頭部に被せて樹脂塗料であるレジンで貼り付
け、ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上げたことを特徴
とする電柱の補修工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10397399A JP3314270B2 (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 電柱の補修工法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10397399A JP3314270B2 (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 電柱の補修工法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000299914A JP2000299914A (ja) | 2000-10-24 |
JP3314270B2 true JP3314270B2 (ja) | 2002-08-12 |
Family
ID=14368288
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10397399A Expired - Lifetime JP3314270B2 (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 電柱の補修工法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3314270B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106703220A (zh) * | 2016-12-13 | 2017-05-24 | 国网山东省电力公司电力科学研究院 | 一种环形混凝土电杆钢板圈防腐处理方法 |
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KR101668418B1 (ko) * | 2016-06-29 | 2016-10-21 | 주식회사 에이더블유알에스 | 풍력발전기의 블레이드 수리방법 |
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-
1999
- 1999-04-12 JP JP10397399A patent/JP3314270B2/ja not_active Expired - Lifetime
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