JP3314095B2 - 過給機付エンジンの動弁装置 - Google Patents

過給機付エンジンの動弁装置

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JP3314095B2
JP3314095B2 JP01036993A JP1036993A JP3314095B2 JP 3314095 B2 JP3314095 B2 JP 3314095B2 JP 01036993 A JP01036993 A JP 01036993A JP 1036993 A JP1036993 A JP 1036993A JP 3314095 B2 JP3314095 B2 JP 3314095B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、過給機付エンジンであ
って有効圧縮比が膨張比に対して所定値以上大きくなる
よう設定されたエンジンにおいて、吸気弁の閉弁タイミ
ングが遅閉じタイミングとなるよう設定された動弁装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の過給機付エンジンの
動弁装置として、幾何学的圧縮比をより大きくする一
方、吸気弁の閉弁タイミングをより遅閉じとしかつ高過
給とすることにより、燃費の改善および耐ノック性の向
上並びに出力性能の向上を図るようにしたものが知られ
ている(例えば、特開平63−239312号公報、実
開昭63−51121号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
過給機付エンジンの動弁装置における、吸気弁の閉弁タ
イミングをより遅れ側に設定するという吸気遅閉じによ
れば、ポンピングロスの低減と圧縮温度の低減とによる
高過給と高圧縮比とを得ることができる一方、通常運転
領域での上記吸気遅閉じによる充填量低下を機械式過給
機による高過給により補うことができる。
【0004】しかし、吸気遅閉じが始動時にも行われる
場合、例えばバルブタイミング可変機構を備えず遅閉じ
タイミングが全領域で固定タイミングとされる場合、エ
ンジン始動時ではエンジン回転数が低く上記機械式過給
機による過給効果が小さいため、特にエンジン抵抗が大
きい極寒時(例えば−20〜−30℃)に吸気充填量が
不足して始動不良を招く傾向にある。加えて、吸気弁の
材質とこれを内在するシリンダヘッドの材質との相違に
起因する相対的膨張・収縮差を吸収するために駆動側の
カムとタペットとの間に設けられるタペットクリアラン
スが、上記極寒時には常温(例えば20℃)の状態と比
べ縮小側に変動し、これに伴い、吸気弁のリフト量が変
動して吸気弁の閉弁タイミングがより遅い側にずれてし
まう。このため、上記吸気遅閉じが助長されてますます
吸気充填量が低下し、この結果、始動性がますます低下
することになる。例えば、線膨張係数が22×10-6
℃であるアルミニウム合金でシリンダヘッドを、また、
線膨張係数が10.5×10-6/℃であるマルテンサイ
ト系耐熱鋼(SUH11、JISG4311)で吸気弁
をそれぞれ形成した場合、図4に一点鎖線で示すよう
に、両者の線膨張係数の差に起因して20℃で0.28
mmであったタペットクリアランスが−30℃では0.
23mmまで縮小してしまう。そして、これに伴い、上
記20℃で閉弁タイミングが下死点後クランク角で70
degであったのが、−30℃では74degまでより
遅い側にずれてしまう。このように吸気弁の閉弁タイミ
ングが74degにずれると、図5に示すように、エン
ジンの始動に要する時間が急増し、このようなエンジン
を搭載した自動車の商品性を著しく損なうことになる。
一方、上記タペットクリアランスは、逆に、温間時(運
転状態時)になると、上記極寒時と比べ拡大して上記吸
気遅閉じによる効果が減少することになる。
【0005】従って、上記吸気遅閉じとして高過給を行
う従来の過給機付エンジンの動弁装置は、上述の効果が
得られる反面、特に、極寒時の冷間始動性において改善
すべき点を有している。
【0006】ところで、このようなタペットクリアラン
スの変動を吸収して零間隙とするためのものとして、ハ
イドロリックタペットが一般に知られている。ところ
が、このハイドロリックタペットを上記吸気遅閉じで高
過給としたエンジンの動弁装置に採用すると、以下の不
都合が生じる。すなわち、上記吸気弁を閉じる側に付勢
するバルブスプリングはその付勢力が常時一定とされて
いるの対し、その吸気弁を開く側に押圧する上記ハイド
ロリックタペットの油圧力は低温となる程粘度が高くな
るため増大する。そして、特に、極寒時に上記油圧力の
増大に加えて、高過給圧が吸気弁のかさ部に対してこれ
を押し開く側に作用し、吸気弁を押し開く力が閉じよう
とするバルブスプリングの付勢力を上回ると、吸気弁が
開いて失火を招くおそれがある。
【0007】この対策として、バルブスプリングの付勢
力を増大設定することが考えられる。しかし、そうする
と、上記付勢力が増大した分抵抗が増し吸気弁を開かせ
るためのカムの駆動負荷が増大する上、その付勢力に打
ち勝つだけハイドロリックタペットの油圧力を増大させ
る必要が生じてオイルポンプの負担増を招き、これらの
結果、燃費の悪化を招くことになる。特に、油圧力の増
大は、油の粘度が低くなる温間時にも上記タペットクリ
アランスの付勢力に打ち勝つだけの油圧力とするには圧
力上昇幅をかなり大きくしなければならず、上記燃費の
悪化に拍車をかける結果となる。また、他の対策とし
て、逆に、上記ハイドロリックタペットの油圧力を下げ
ることが考えられるが、油圧力を下げると温間時に必要
な圧力が確保できなくなる。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、吸気遅閉じと
して高過給を行う過給機付エンジンの動弁装置におい
て、燃費の悪化を生じさせることなく、タペットクリア
ランスの変動を効果的に抑制することにより、吸気遅閉
じを十分に確保しつつ始動性低下の防止を図ることにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、過給機を備える一方、有効
圧縮比に対して膨張比が所定値以上大きくかつ吸気弁の
閉弁タイミングが遅閉じタイミングに設定されたエンジ
ンにおいて、少なくとも始動時および過給域で上記吸気
弁の閉弁タイミングが遅閉じタイミングに設定されたも
のを前提とする。このものにおいて、少なくとも上記吸
気弁を駆動する動弁機構を、上記吸気弁の閉弁時に所定
のタペットクリアランスを有するメカ式動弁機構によっ
て構成する。そして、上記吸気弁が内在するエンジンの
シリンダヘッドをアルミニウム合金系素材により形成す
る一方、上記吸気弁をオーステナイト系耐熱鋼により形
成する構成とするものである。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明において、吸気弁がバルブリフト量0mmの位
置まで閉じた時点をもって定義する吸気弁の閉弁タイミ
ングを、常温時、下死点後クランク角で65度以上遅い
遅閉じタイミングとする一方、エンジンの幾何学的圧縮
比を8.5以上の高圧縮比とし、かつ、過給機を機械式
過給機で構成するものである。
【0011】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明では、
シリンダヘッドがアルミニウム合金系素材により、吸気
弁がオーステナイト系耐熱鋼によりそれぞれ形成されて
いるため、吸気弁とシリンダヘッドとの材質の差に基づ
く線膨張係数の相対差が従来の動弁装置の場合より小さ
くなり、温度変動に伴う両者の膨張・収縮差が小さくな
る。このため、低温側変動によるタペットクリアランス
の縮小変動が従来の吸気弁の場合よりも小さく抑制さ
れ、極寒時において吸気弁の閉弁タイミングのより遅い
側への変動が効果的に抑制される。これにより、極寒時
に吸気遅閉じがより遅い側に変動することに起因する吸
気充填量の低下を防止して従来の動弁装置の場合より吸
気充填量が増大され、特に、極寒時における冷間始動時
の始動性低下が防止される。しかも、メカ式動弁機構の
採用によって、吸気遅閉じに伴い高過給圧が吸気弁に作
用する動弁装置であっても、従来必要とされるバルブス
プリングの付勢力増強を行う必要がなくなり、バルブス
プリングの付勢力増強に伴う燃費の悪化が防止される。
【0012】これらの結果、有効圧縮比に対して膨張比
を所定値以上大きくし吸気遅閉じとして高過給が作用す
る過給機付エンジンの動弁装置において、メカ式動弁機
構の採用により燃費悪化を防止しつつ、吸気弁およびシ
リンダヘッドの各材質を所定のものとすることにより上
記メカ式動弁機構の採用に起因する始動性低下が防止さ
れる。
【0013】また、請求項2記載の発明では、上記請求
項1記載の発明による作用に加えて、幾何学的圧縮比の
高圧縮比化、および、吸気弁のより遅閉じ化により、有
効圧縮比が適度に抑えられながら膨張比が稼がれて、高
過給域でのノッキング防止と排気温度の上昇防止とが図
られるとともに、高過給により出力性能の向上が図られ
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。
【0015】図1は、本発明の実施例に係る動弁装置を
適用した過給機付エンジンの概略を示し、1はエンジン
本体、2はこのエンジン本体1の各気筒の燃焼室、3は
この燃焼室2に吸気を供給する吸気通路、4は上記燃焼
室から排気ガスを排出する排気通路、5は吸気弁、6は
排気弁である。
【0016】上記エンジン本体1は、シリンダブロック
7と、このシリンダブロック7上に載置固定されたシリ
ンダヘッド8と、これらシリンダブロック7とシリンダ
ヘッド8とで形成される上記各気筒内を往復動するピス
トン9とを備えており、このピストン9の上側に上記燃
焼室2が形成されている。そして、このシリンダヘッド
8内に上記吸気弁5および排気弁6と、これらを駆動す
る後述のメカ式動弁機構20(図1では図示省略)とが
配設されている。
【0017】上記燃焼室2には、上記吸気通路3の下流
端側の吸気ポートおよび排気通路4の上流端側の排気ポ
ートがそれぞれ開口し、これらのポートに吸気弁5およ
び排気弁6が配設されている。そして、これら吸気弁5
および排気弁6は、上記メカ式動弁機構20により所定
のタイミングで開閉されるようになっている。
【0018】上記吸気通路3の途中には、機械式過給機
10が設けられている。この機械式過給機10は、特に
入り口に対する出口の絶対圧力比が2程度とされた内部
圧縮型のものが用いられており、本実施例では一対のね
じからなるいわゆるリショルム型過給機が用いられてい
る。そして、この機械式過給機10は、プーリ11およ
駆動ベルト12を介して図示しないクランクシャフトと
接続されており、このクランクシャフトと連動するよう
になっている。
【0019】また、上記吸気通路3における上記機械式
過給機7の上流にはスロットル弁13が設けられ、ま
た、このスロットル弁13の上流側には吸入空気量を検
出するエアフローメータ14が設けられ、さらに、この
吸気通路3の上流端部にはエアクリーナ15が設けられ
ている。
【0020】一方、上記機械式過給機10の下流側の吸
気通路3には、インタークーラ16が設けられており、
このインタークーラ16の下流側にはサージタンク17
が設けられている。また、上記吸気通路3には、上記機
械式過給機10の上流側位置とインタークーラ16の下
流側位置とに接続されたバイパス通路18が設けられて
おり、このバイパス通路18によって上記機械式過給機
10とインタークーラ16とがバイパスされるようにな
っている。このバイパス通路18の途中には、上記サー
ジタンク17内の圧力に応じて開閉作動するバイパスバ
ルブ18aが設けられており、このバイパスバルブ18
aは低負荷運転領域で開作動されるようになっている。
さらに、上記吸気通路3の下流端側の吸気ポート近傍に
は、燃料を噴射供給するインジェクタ19が設けられて
いる。
【0021】上記メカ式動弁機構20はいわゆるDOH
C式に構成されており、その全体構成が図2に示されて
いる。この図において、上記吸気弁5のステム5aの中
間部はバルブガイド21を介して弁軸方向に摺動自在に
シリンダヘッド8に配設されている。そして、上記ステ
ム5aの頭部側に固定されたリテーナ22と上記シリン
ダヘッド8との間にバルブスプリング23が介装されて
おり、吸気弁5はこのバルブスプリング23によってか
さ部5bが吸気ポート24を閉じるよう図2の上方に付
勢されている。また、上記吸気弁5のステム5aの上側
位置には円筒状のタペット25が上記弁軸方向に摺動自
在に上記シリンダヘッド8に配設されており、このタペ
ット25は上記ステム5aの上端とシムを介して当接さ
れている。さらに、このタペット25の上方位置にカム
シャフト26によって回転駆動されるカム27が配置さ
れており、このカム27の回転により上記タペット25
上面の受圧部25aが押圧されることによって上記吸気
弁5が上記バルブスプリング23に抗して押し下げられ
て上記吸気ポート24が開くようになっている。上記カ
ム27とタペット25との間は所定のタペットクリアラ
ンス(例えば常温で0.28mm程度)を有した状態に
設定されている。つまり、本実施例におけるメカ式動弁
機構20は、前述のハイドロリックタペットを用いない
で、吸気弁5の閉弁時にカム27との間に所定のタペッ
トクリアランスを有するタペット25(以下、上記ハイ
ドロリックタペットに対する用語としてメカ式タペット
という)を用いている。
【0022】また、排気弁6にも、上記吸気弁5と同様
の構造のメカ式動弁機構20が採用されており、バルブ
スプリング28によって排気ポート29を閉じるよう付
勢され、かつ、上記とは別のカムシャフト30で駆動さ
れるカム31によってタペット32が押圧されて上記バ
ルブスプリング28に抗して上記排気ポート29が開か
れるようになっている。
【0023】このような構造において、上記エンジン本
体1は幾何学的圧縮比が8.5以上、好ましくは10程
度の高圧縮比に設定される一方、上記吸気弁5および排
気弁6は、図3に示すようなバルブリフト特性で作動さ
れるようになっている。特に、上記吸気弁5がバルブリ
フト量0mmの位置まで閉じた時点(かさ部の着座時
点)をもって定義する吸気弁5の閉弁タイミングが、常
温(20℃)の状態で下死点から遅い側にクランク角で
65度以上、好ましくは70度の遅閉じタイミングとな
るよう固定的に設定されている。つまり、吸気遅閉じが
大幅に遅くなるように設定されている。そして、この吸
気遅閉じによって、吸気弁5が閉じられてから排気弁6
が開かれるまでの間で、圧縮行程と比べ膨張行程が大き
くなり、有効圧縮比が引き下げられつつ膨張比が稼がれ
るようになっており、これにより、幾何学的圧縮比に対
応する膨張行程での仕事によりサイクル効率が高められ
るようになっている。加えて、有効圧縮比が引き下げら
れることにより過給量が多い高負荷高回転領域での耐ノ
ック性が高められ、かつ断熱膨張による温度低下が大き
くなることにより排気温度が引き下げられるようになっ
ている。また、上記遅閉じタイミングは固定タイミング
として設定されており、始動時を含めて運転状態の全域
で吸気遅閉じとなるようにされている。なお、上記の幾
何学的圧縮比とは、ピストン下死点でのシリンダの容積
と、間隙容積(上死点での容積)との比をいう。
【0024】また、上記吸気弁5と、シリンダヘッド8
と、排気弁6とのそれぞれの材質が、上記吸気弁5の線
膨張係数をINc 、シリンダヘッド8の線膨張係数Hc
を、排気弁6の線膨張係数をEXc とすると、 Hc ≧INc ≧EXc という関係を満足するものとされている。つまり、特
に、上記吸気弁5の材質を、排気弁6の線膨張係数と同
等以上でかつシリンダヘッド8の線膨張係数に近付くも
のとなるよう、従来の吸気弁の材質より大きい線膨張係
数を有するものとしている。具体的に、本実施例では、
上記シリンダヘッド8がアルミニウム合金(例えば線膨
張係数Hc が21〜23×10-6/℃であるもの)によ
り、また、上記吸気弁5および排気弁6がオーステナイ
ト系耐熱鋼(例えば線膨張係数INc,EXc が17.
4×10-6/℃であるSUH35;JISG4311)によりそ
れぞれ形成されている。この場合、 Hc >INc =EXc となる。
【0025】上記構成の過給機付エンジンの動弁装置に
よると、吸気弁5が、従来の吸気弁の材質より大きい線
膨張係数を有する材質により形成され、これにより、吸
気弁5とシリンダヘッド8との材質の差に基づく線膨張
係数の相対差が上記従来の吸気弁の場合より小さくなっ
ているため、温度変動に伴う相対的膨張・収縮差を小さ
くすることができる。このため、低温側変動によるタペ
ットクリアランスの縮小変動を従来の吸気弁の場合より
も小さく抑制することができる。そして、このタペット
クリアランスの変動抑制と対応して、バルブリフト量の
変動低減化が図られ、これにより、極寒時において吸気
弁5の閉弁タイミングがより遅い側へ変動する量を従来
の吸気弁の場合よりも小さく抑制することができる。
【0026】具体的に説明すると、上記低温側変動によ
るタペットクリアランスの縮小変動を、図4に一点鎖線
で示す従来の吸気弁(マルテンサイト系耐熱鋼SUH1
1;JISG4311)の場合が20℃の常温時で0.28mm
から−30℃の極寒時で0.23mmまでの0.05m
mであるのに対して、本実施例の吸気弁5の場合では常
温時で0.28mmから−30℃の極寒時で0.26m
mまでの0.02mmに小さくすることができる。そし
て、このタペットクリアランスの縮小変動の低減化に対
応して、極寒時において閉弁タイミングのより遅い側へ
の変動量を、上記従来の吸気弁の場合が常温時の下死点
後クランク角で70deg(以下、下死点後についてA
BDC、クランク角についてCAを用い、下死点後のク
ランク角をABDC70degCAのように表示す
る。)から極寒時のABDC74degCAまでの4d
egCA範囲であるのに対して、本実施例の吸気弁5の
場合では常温時のABDC70degCAから極寒時の
ABDC72degCAまでの2degCA範囲に小さ
くすることができ、上記変動量を2degCA分小さく
することができる。
【0027】このため、極寒時に吸気遅閉じがより遅い
側に変動することに起因する吸気充填量の低下を抑制し
て、従来の吸気弁の場合より吸気充填量を増大(例えば
上記変動量2degCA分の抑制に対して5%増大)さ
せることができ、特に、極寒時における冷間始動時の始
動性低下を抑制、防止することができる。すなわち、極
寒時であっても常温時のABDC70degCAをAB
DC72degCAの変動に抑制することができるた
め、図5に示すように、始動時間の急増を招くことな
く、比較的短い始動時間に保つことができる。
【0028】その上、メカ式動弁機構20を採用してい
ることにより、吸気遅閉じに伴い高過給圧が吸気弁5に
作用する本実施例の動弁装置であっても、ハイドロリッ
クタペットを採用する場合では必要となるバルブスプリ
ングの付勢力増強を行う必要はなく、バルブスプリング
の付勢力増強に伴う燃費の悪化を回避してこれを防止す
ることができる。
【0029】これらの結果、有効圧縮比に対して膨張比
を所定値以上大きくし吸気遅閉じとして高過給が作用す
る過給機付エンジンの動弁装置において、メカ式動弁機
構20の採用により燃費悪化の防止を図りつつ、シリン
ダヘッド8などとの関係において吸気弁5の材質を所定
のものとすることにより上記メカ式動弁機構20の採用
に起因する始動性低下を確実に防止することができる。
【0030】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、その他種々の変形例を包含するものであ
る。すなわち、上記実施例では、吸気弁5の全体をオー
ステナイト系耐熱鋼により形成しているが、これに限ら
ず、例えば、特にシリンダヘッド8との熱収縮差に影響
の大きいステム5aをのみ上記オーステナイト系耐熱鋼
により形成し、マルテンサイト系耐熱鋼により形成した
かさ部5bと溶接して吸気弁5を形成してもよい。
【0031】上記実施例では、吸気弁5をオーステナイ
ト系耐熱鋼の内のSUH35という材質のものにより形
成しているが、これに限らず、他のオーステナイト系耐
熱鋼を用いて形成してもよく、例えば、線膨張係数が1
4.9×10-6/℃のNCF751(JISG490
1)を用いて形成してもよい
【0032】また、上記実施例では、吸気弁5と排気弁
6とを共に同じオーステナイト系耐熱鋼により形成して
各線膨張係数がINc =EXc という関係となるように
しているが、これに限らず、例えば吸気弁を排気弁より
大きい線膨張係数を有する材質により形成して各線膨張
係数がINc >EXc という関係となるようにしてもよ
い。この場合、極めて高温(例えば800℃)の排気ガ
スに晒される排気弁6よりも高い線膨張係数を有する材
質のものにより吸気弁5を形成することにより、上記実
施例の効果をより確実に得ることができる。
【0033】さらに、上記実施例では、吸気弁5および
排気弁6の双方に対してメカ式動弁機構20を配設して
いるが、これに限らず、少なくとも吸気弁5にのみ配設
されていればよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における過給機付エンジンの動弁装置によれば、シリ
ンダヘッドをアルミニウム合金系素材により、吸気弁を
オーステナイト系耐熱鋼によりそれぞれ形成しているた
め、吸気弁とシリンダヘッドとの材質の差に基づく線膨
張係数の相対差が従来の動弁装置の場合より小さくな
り、温度変動に伴う両者の膨張・収縮差を小さくするこ
とができる。このため、低温側変動によるタペットクリ
アランスの縮小変動を従来の吸気弁の場合よりも小さく
抑制することができ、極寒時において吸気弁の閉弁タイ
ミングがより遅い側へ変動するのを効果的に抑制するこ
とができる。これにより、極寒時に吸気遅閉じがより遅
い側に変動することに起因する吸気充填量の低下を防止
して従来の動弁装置の場合より吸気充填量を増大させる
ことができ、特に、極寒時における冷間始動時の始動性
低下を防止することができる。しかも、メカ式動弁機構
の採用により、吸気遅閉じに伴い高過給圧が吸気弁に作
用する動弁装置であっても、従来必要とされるバルブス
プリングの付勢力増強を行う必要はなく、バルブスプリ
ングの付勢力増強に伴う燃費の悪化を防止することがで
きる。
【0035】すなわち、請求項1記載の発明は、吸気遅
閉じに伴い高過給圧が吸気弁に作用する動弁装置におい
て、メカ式動弁機構を採用することにより燃費の悪化を
防止することができ、しかも、上記メカ式動弁機構の欠
点である冷間時にタペットクリアランスが縮小側に変動
することにより発生する吸気弁の閉弁タイミングのより
遅れ側への変動を、吸気弁の材質改善により抑制・防止
することができ、十分に吸気遅閉じを確保しつつ始動性
の低下を防止することができるものである。
【0036】また、請求項2記載の発明における過給機
付エンジンの動弁装置によれば、上記請求項1記載のの
発明による効果に加えて、幾何学的圧縮比の高圧縮比
化、および、吸気弁のより遅閉じ化により、有効圧縮比
が適度に抑えられながら膨張比が稼がれて、高過給域で
のノッキング防止と排気温度の上昇防止とを図ることが
できるとともに、高過給により出力性能を大幅に向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を適用した過給機付エンジンの
全体構成図である。
【図2】メカ式動弁機構の全体構成図である。
【図3】バルブリフト特性を示す図である。
【図4】温度と吸気弁のタペットクリアランスとの関係
図である。
【図5】吸気弁の閉弁タイミングと始動時間との関係図
である。
【符号の説明】
1 エンジン本体 5 吸気弁 6 排気弁 8 シリンダヘッド 10 機械式過給機 20 メカ式動弁機構 25 タペット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 調枝 昌博 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−239312(JP,A) 特開 平4−308307(JP,A) 実開 平2−147803(JP,U) 特公 平3−12209(JP,B2) 特公 平1−12827(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/20 F01L 1/34 F01L 3/02 F02B 29/08 F02F 1/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過給機を備える一方、有効圧縮比に対し
    て膨張比が所定値以上大きくかつ吸気弁の閉弁タイミン
    グが遅閉じタイミングに設定されたエンジンの動弁装置
    であって、少なくとも始動時および過給域で上記吸気弁
    の閉弁タイミングが遅閉じタイミングに設定されたもの
    において、 少なくとも上記吸気弁を駆動する動弁機構が、上記吸気
    弁の閉弁時に所定のタペットクリアランスを有するメカ
    式動弁機構によって構成されており、 上記吸気弁が内在するエンジンのシリンダヘッドがアル
    ミニウム合金系素材により形成される一方、上記吸気弁
    がオーステナイト系耐熱鋼により形成されていることを
    特徴とする過給機付エンジンの動弁装置。
  2. 【請求項2】気弁がバルブリフト量0mmの位置ま
    で閉じた時点をもって定義する吸気弁の閉弁タイミング
    が、常温時、下死点後クランク角で65度以上遅い遅閉
    じタイミングとされる一方、エンジンの幾何学的圧縮比
    が8.5以上の高圧縮比とされ、かつ、過給機が機械式
    過給機である請求項1記載の過給機付エンジンの動弁装
    置。
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