JP3314054B2 - 射出装置及びその制御方法 - Google Patents

射出装置及びその制御方法

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JP3314054B2
JP3314054B2 JP21509299A JP21509299A JP3314054B2 JP 3314054 B2 JP3314054 B2 JP 3314054B2 JP 21509299 A JP21509299 A JP 21509299A JP 21509299 A JP21509299 A JP 21509299A JP 3314054 B2 JP3314054 B2 JP 3314054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出装置及びその
制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形機においては、射出装置
が配設され、該射出装置の加熱シリンダ内にスクリュー
が回転自在に、かつ、進退自在に配設され、該スクリュ
ーを射出用モータ及び計量用モータによって回転及び進
退させることができるようになっている。また、前記ス
クリューの外周面には、螺(ら)旋状のフライトが形成
され、該フライトによって溝が形成される。そして、計
量工程時に、スクリューを正方向に回転させると、ホッ
パから落下した樹脂は、溶融させられながら、前記溝に
沿って前進させられ、スクリューヘッドの前方に蓄えら
れ、それに伴ってスクリューは後退させられる。また、
射出工程時に、スクリューを前進させることによって、
スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂を射出ノズル
から射出するようにしている。
【0003】そのために、前記スクリューにおいては、
後方から前方にかけて順に、ホッパから落下した樹脂が
供給される樹脂供給部、供給された樹脂を圧縮しながら
溶融させる圧縮部、及び溶融させられた樹脂を一定量ず
つ計量する計量部が形成される。なお、前記溝内の樹脂
は、前記樹脂供給部においてペレット状の形状を有し、
圧縮部において半溶融状態になり、計量部において完全
に溶融させられて液状になる。
【0004】ところで、前記スクリューの外周面及び加
熱シリンダの内周面の粗さが互いに等しいと、計量工程
時にスクリューを回転させても、溝内の樹脂は、スクリ
ューと一体的に回転させられ、前進しない。そこで、通
常は、加熱シリンダの内周面がスクリューの外周面より
粗くされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の射出装置においては、前記加熱シリンダの内周面が
スクリューの外周面より粗くされるので、スクリューを
前進させる際に、加熱シリンダの内周面の近傍の樹脂に
大きな摩擦抵抗が加わってしまう。しかも、溝内の樹脂
の溶融状態は、樹脂供給部、圧縮部及び計量部を移動す
る間に変化するので、前記樹脂に加わる摩擦抵抗が変化
してしまう。
【0006】したがって、射出工程において、後方から
スクリューに加えられる射出力と、スクリューヘッドの
前端に加わる射出圧力とが対応せず、十分な射出圧力で
樹脂を射出することができないだけでなく、前記摩擦抵
抗の変化に伴って射出圧力にばらつきが生じてしまう。
その結果、金型装置のキャビティ空間内の樹脂圧力、す
なわち、型内圧にもばらつきが生じ、成形品の品質を低
下させてしまう。
【0007】本発明は、前記従来の射出装置の問題点を
解決して、射出工程において樹脂に加わる摩擦抵抗を小
さくすることができるとともに、成形品の品質を向上さ
せることができる射出装置及びその制御方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の射
出装置においては、加熱シリンダと、スクリュー本体の
外周面にフライトが形成されたフライト部、及び該フラ
イト部の前端に配設されたスクリューヘッドを備え、前
記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在
に配設されたスクリューと、該スクリューを回転させる
ための第1の駆動手段と、前記スクリューを進退させる
ための第2の駆動手段と、射出工程において前記第2の
駆動手段を駆動して、スクリューを所定のスクリュー速
度で前進させるスクリュー前進制御手段と、前記射出工
程において、前記第1の駆動手段を駆動して、前記フラ
イトをスクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上
前進させるフライト速度制御手段と、前記フライト速度
を前記フライトのピッチに対応させて設定するフライト
速度設定手段とを有する。
【0009】本発明の他の射出装置においては、さら
に、前記フライト速度は、前記スクリューの前進に伴っ
て所定の位置を通過するフライトのピッチが小さくなる
ほど高くされる。
【0010】本発明の射出装置の制御方法においては、
計量工程において、第1の駆動手段を駆動してスクリュ
ーを正方向に回転させ、射出工程において、第2の駆動
手段を駆動してスクリューを所定のスクリュー速度で前
進させ、かつ、前記第1の駆動手段を駆動してフライト
を前記スクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上
前進させる。
【0011】そして、前記フライト速度は前記フライト
のピッチに対応させて設定される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】図2は本発明の実施の形態における射出装
置の要部拡大図、図3は本発明の実施の形態における射
出装置の概念図、図4は本発明の実施の形態におけるス
クリューの概略図である。
【0014】図において、11はシリンダ部材としての
加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内において回
転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材として
のスクリュー、13は前記加熱シリンダ11の前端(図
2における左端)に形成された射出ノズル、14は該射
出ノズル13に形成されたノズル口、15は前記加熱シ
リンダ11の後端(図2における右端)の近傍の所定位
置に形成された樹脂供給口、16は該樹脂供給口15に
取り付けられ、樹脂を収容するホッパである。
【0015】前記スクリュー12は、フライト部21、
及び該フライト部21の前端に配設されたスクリューヘ
ッド27から成る。そして、前記フライト部21は、ス
クリュー本体の外周面に螺旋状に形成されたフライト2
3を備え、該フライト23によって螺旋状の溝24が形
成される。また、フライト部21には、後方(図2にお
ける右方)から前方(図2における左方)にかけて順
に、ホッパ16から落下した樹脂が供給される樹脂供給
部P1、供給された樹脂を圧縮しながら溶融させる圧縮
部P2、及び溶融させられた樹脂を一定量ずつ計量する
計量部P3が形成される。前記溝24の底、すなわち、
溝底の外径は、樹脂供給部P1において比較的小さくさ
れ、圧縮部P2において後方から前方にかけて徐々に大
きくされ、計量部P3において比較的大きくされる。し
たがって、加熱シリンダ11の内周面とスクリュー12
の軸部の外周面との間の間隙(げき)は、前記樹脂供給
部P1において比較的大きくされ、圧縮部P2において
後方から前方にかけて徐々に小さくされ、計量部P3に
おいて比較的小さくされる。
【0016】計量工程時に、前記スクリュー12を正方
向に回転させると、ホッパ16から落下した樹脂が樹脂
供給部P1に供給され、溝24内を前進(図2における
左方に移動)させられ、スクリューヘッド27の前方に
蓄えられ、それに伴ってスクリュー12が後退(図2に
おける右方に移動)させられる。なお、前記溝24内の
樹脂は、前記樹脂供給部P1において図2に示されるよ
うにペレット状の形状を有し、圧縮部P2において半溶
融状態になり、計量部P3において完全に溶融させられ
て液状になる。
【0017】ところで、樹脂供給部P1に供給された樹
脂は、圧縮部P2及び計量部P3において溶融させられ
て膨張する。この場合、樹脂供給部P1におけるフライ
ト23のピッチが大きいと、多量の樹脂が溝24内に進
入し、圧縮部P2及び計量部P3における膨張が困難に
なってしまう。
【0018】そこで、少なくとも樹脂供給部P1におけ
るフライト23のピッチが他の部分より小さくされ、樹
脂供給部P1に供給される樹脂の量を少なくするように
している。そして、本実施の形態においては、樹脂供給
部P1から計量部P3にかけてフライト23のピッチが
徐々に大きくされている。
【0019】また、射出工程時に、前記スクリュー12
を前進させると、スクリューヘッド27の前方に蓄えら
れた樹脂は、射出ノズル13から射出され、図示されな
い金型装置のキャビティ空間に充填(てん)される。こ
のとき、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂
が逆流しないように、逆流防止装置が配設される。
【0020】そのために、前記スクリューヘッド27
は、前半部に円錐(すい)形のヘッド本体部25を、後
半部に円柱部26を有する。そして、該円柱部26の外
周に環状の逆止リング28が回動自在に配設され、前記
フライト部21の前端に押金29が固定される。
【0021】また、前記逆止リング28には、円周方向
における複数箇所に、軸方向に延びる穴28aが、前端
に所定の角度にわたって切欠28bがそれぞれ形成され
る。そして、前記ヘッド本体部25に係止突起25aが
形成され、該係止突起25aが前記切欠28b内に置か
れる。この場合、前記逆止リング28はスクリュー12
の回転に伴ってスクリューヘッド27に対して所定の角
度θだけ回動させられ、それ以上の回動が規制される。
【0022】一方、前記押金29には、円周方向におけ
る複数箇所に、前記穴28aと対応させて軸方向に延び
る穴29aが形成され、逆止リング28がスクリューヘ
ッド27に対して回動させられることによって、前記穴
28a、29aが選択的に連通させられる。したがっ
て、逆止リング28は、前記スクリューヘッド27の前
方とフライト部21とを連通させる連通位置、及び前記
スクリューヘッド27の前方とフライト部21とを遮断
する遮断位置を採る。なお、前記逆止防止装置は、逆止
リング28及び押金29から成る。
【0023】ところで、前記加熱シリンダ11の後端
(図3における右端)は前方射出サポート31に取り付
けられ、該前方射出サポート31と所定の距離を置いて
後方射出サポート32が配設される。そして、前記前方
射出サポート31と後方射出サポート32との間にガイ
ドバー33が架設され、該ガイドバー33に沿ってプレ
ッシャプレート34が進退自在に配設される。なお、前
記前方射出サポート31及び後方射出サポート32は、
図示されないボルトによって図示されないスライドベー
スに固定される。
【0024】また、前記スクリュー12の後端にドライ
ブシャフト35が連結され、該ドライブシャフト35
は、ベアリング36、37によってプレッシャプレート
34に対して回転自在に支持される。そして、第1の駆
動手段として電動の計量用モータ41が配設され、該計
量用モータ41とドライブシャフト35との間に、プー
リ42、43及びタイミングベルト44から成る第1の
回転伝動手段が配設されるので、前記計量用モータ41
を駆動することによって、スクリュー12を正方向又は
逆方向に回転させることができる。なお、本実施の形態
においては、前記第1の駆動手段として電動の計量用モ
ータ41を使用しているが、電動の計量用モータ41に
代えて油圧のモータを使用することもできる。
【0025】また、前記プレッシャプレート34より後
方(図3における右方)に、互いに螺合させられたボー
ルねじ軸45及びボールナット46から成るボールねじ
47が配設され、該ボールねじ47によって回転運動を
直線運動に変換する運動方向変換手段が構成される。そ
して、前記ボールねじ軸45はベアリング48によって
後方射出サポート32に対して回転自在に支持され、前
記ボールナット46はプレート51及びロードセル52
を介してプレッシャプレート34に固定される。さら
に、第2の駆動手段としての射出用モータ53が配設さ
れ、該射出用モータ53とボールねじ軸45との間に、
プーリ54、55及びタイミングベルト56から成る第
2の回転伝動手段が配設されるので、前記射出用モータ
53を駆動し、ボールねじ軸45を回転させることによ
ってボールナット46及びプレッシャプレート34を移
動させ、スクリュー12を前進(図3における左方に移
動)又は後退(図3における右方に移動)させることが
できる。なお、本実施の形態においては、前記プレッシ
ャプレート34を移動させる手段として射出用モータ5
3を使用しているが、射出用モータ53に代えて射出用
シリンダを使用することもできる。
【0026】次に、射出装置の制御回路について説明す
る。
【0027】図1は本発明の実施の形態における射出装
置の制御回路の要部ブロック図、図5は本発明の実施の
形態における射出装置の制御回路の概略図、図6は本発
明の実施の形態におけるスクリュー位置とゲインとの関
係図、図7は本発明の実施の形態における射出装置の動
作を示すタイムチャートである。なお、図6において、
横軸にスクリュー位置Si を、縦軸にゲインγi を採っ
てある。
【0028】図において、41は計量用モータ、53は
射出用モータ、62は制御装置、64は射出用サーボア
ンプ、65は計量用サーボアンプ、66はスクリュー速
度設定手段としてのスクリュー速度設定器、67は記憶
手段としてのメモリ、68はフライト速度設定手段とし
てのフライト速度設定器、71は射出用モータ回転数n
I を検出する射出用モータ回転数検出器、72は計量用
モータ回転数nM を検出する計量用モータ回転数検出
器、75は計量用モータ回転数算出手段としてのゲイン
設定器(−K)、76は、速度パターンPt及びゲイン
パターンPgを発生させ、前記速度パターンPtをスク
リュー速度設定器66に、前記ゲインパターンPgを前
記フライト速度設定器68に送るパターン発生器、81
はスクリュー12(図3)の位置を検出するスクリュー
位置検出器である。そして、前記制御装置62は、射出
用モータ回転数設定器73、減算器74、78、前記ゲ
イン設定器75及び計量用モータ回転数設定器77から
成る。
【0029】前記構成の射出装置の制御回路において、
計量工程時に、計量用モータ回転数設定器77は、あら
かじめ設定された計量用モータ回転数指令NM を減算器
78に送る。該減算器78は、前記計量用モータ回転数
指令NM 及び計量用モータ回転数nM を受け、計量用モ
ータ回転数指令NM と計量用モータ回転数nM との偏差
ΔnM を算出し、該偏差ΔnM を電流指令IM として計
量用サーボアンプ65に送る。このようにして、制御装
置62は計量用モータ41を駆動する。
【0030】また、射出工程時に、スクリュー速度Vs
をスクリュー位置Si (i=1、2、…)に対応させて
多段で変更するようになっている。そのために、前記ス
クリュー速度設定器66は、パターン発生器76から送
られた速度パターンPtに基づいて、スクリュー位置S
i に対応させてスクリュー速度指令Vsoi(i=1、
2、…)を発生させ、該スクリュー速度指令Vsoiを射
出用モータ回転数設定器73に送る。該射出用モータ回
転数設定器73は、スクリュー速度指令Vsoiを受ける
と、該スクリュー速度指令Vsoiに基づいて、スクリュ
ー位置Si に対応させて射出用モータ回転数指令N
Ii(i=1、2、…)を発生させ、該射出用モータ回転
数指令NIiを減算器74に送るとともに、ゲイン設定器
75に送る。前記減算器74は、前記射出用モータ回転
数指令NIi及び射出用モータ回転数nIを受け、射出用
モータ回転数指令NIiと射出用モータ回転数nI との偏
差ΔnIを算出し、該偏差ΔnI を電流指令II として
射出用サーボアンプ64に送る。このようにして、制御
装置62は射出用モータ53を駆動する。
【0031】この場合、スクリュー12を前進させるの
に伴って、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹
脂による反力が発生させられ、プレッシャプレート34
及びドライブシャフト35を介してロードセル52が押
圧される。このとき、ロードセル52の歪(ひず)みが
電気信号に変換され、該電気信号に基づいて、前記スク
リュー12を後方から所定の圧力で押すための射出力が
算出される。ところで、前記スクリュー12の外周面及
び加熱シリンダ11の内周面の粗さが互いに等しいと、
計量工程時にスクリュー12を回転させても、溝24
(図2)内の樹脂は、スクリュー12と一体的に回転さ
せられ、前進しない。そこで、通常は、加熱シリンダ1
1の内周面がスクリュー12の外周面より粗くされる。
【0032】ところが、前記加熱シリンダ11の内周面
がスクリュー12の外周面より粗くされると、スクリュ
ー12を前進させる際に、加熱シリンダ11の内周面の
近傍の樹脂に大きな摩擦抵抗が加わってしまう。しか
も、溝24内の樹脂の溶融状態は、樹脂供給部P1、圧
縮部P2及び計量部P3を移動する間に変化するので、
前記樹脂に加わる摩擦抵抗が変化してしまう。
【0033】そこで、射出工程において、射出用モータ
53を駆動してスクリュー12を前進させる際に、計量
用モータ41を駆動してスクリュー12を逆方向に回転
させることによって、加熱シリンダ11に対してフライ
ト23が見掛け上前進する速度、すなわち、フライト速
度Vfをスクリュー速度Vsより低くするようにしてい
る。
【0034】また、前述されたように、樹脂供給部P1
から計量部P3にかけてフライト23のピッチが徐々に
大きくされるので、射出工程においてスクリュー12を
前進させるのに伴って、樹脂供給口15におけるフライ
ト23のピッチは徐々に小さくなる。そして、該ピッチ
が小さくなるのに伴って、樹脂に加わる摩擦抵抗が大き
くなる。
【0035】そこで、フライト速度Vfをフライト23
のピッチに対応させて変化させ、加熱シリンダ11上に
おける所定の位置、例えば、樹脂供給口15を通過する
フライト23のピッチが小さくなるほどフライト速度V
fを高くするようにしている。すなわち、前記スクリュ
ー速度Vsに対するフライト速度Vfの速度比γを、 γ=Vf/Vs としたとき、速度比γは、γ<1にされる。しかも、前
記速度比γはスクリュー位置Si に対応させて変化させ
られる。
【0036】そのために、前記フライト速度設定器68
は、パターン発生器76からのゲインパターンPgを受
けると、スクリュー位置Si に対応させてゲインγ
i (i=1、2、…)を発生させ、該ゲインγi をゲイ
ン設定器75に送る。該ゲイン設定器75は、前記射出
用モータ回転数指令NIiを受けると、該射出用モータ回
転数指令NIiにゲインγi を乗算することによって、フ
ライト速度指令としての計量用モータ回転数指令N
Fi(i=1、2、…)を算出して発生させ、該計量用モ
ータ回転数指令NFiを減算器78に送る。該減算器78
は、計量用モータ回転数指令NFi及び計量用モータ回転
数nM を受け、計量用モータ回転数指令NFiと計量用モ
ータ回転数nM との偏差ΔnF を算出し、該偏差ΔnF
を電流指令IF として計量用サーボアンプ65に送る。
なお、図6に示されるように、ゲインγiはスクリュー
位置Si に比例させて変更され、スクリュー12が前進
するのに伴って大きくされる。
【0037】このようにして、制御装置62は、前記フ
ライト速度Vfをフライト23に対応させて、すなわ
ち、スクリュー位置Si に対応させて設定し、計量用モ
ータ41を駆動し、前記スクリュー12をスクリュー回
転数Nfで回転させる。なお、メモリ67に、計量用モ
ータ回転数指令NFiを格納し、該計量用モータ回転数指
令NFiを読み出してフライト速度Vfを変更することも
できる。
【0038】このように、射出工程において、フライト
速度Vfがスクリュー速度Vsより低くされるので、樹
脂はスクリュー12の外周面上を滑って加熱シリンダ1
1の内周面上で停滞することになる。しかも、フライト
速度Vfはフライト23のピッチに対応させて設定され
る。
【0039】したがって、加熱シリンダ11の内周面の
近傍の樹脂に加わる摩擦抵抗をスクリュー12の軸方向
において一様に小さくすることができる。その結果、射
出工程において、射出力と、スクリューヘッド27の前
端に加わる射出圧力とを対応させることができ、十分な
射出圧力で樹脂を射出することができる。
【0040】また、溝24内の樹脂の溶融状態が、樹脂
供給部P1、圧縮部P2及び計量部P3を移動する間に
変化しても、前記樹脂に加わる摩擦抵抗を一定にするこ
とができるので、射出圧力を安定させることができる。
そして、前記キャビティ空間内の型内圧を安定させるこ
とができるので、成形品の品質を向上させることができ
る。
【0041】また、射出工程中はスクリュー12が常に
逆方向に回転させられるので、逆止リング28は常に遮
断位置にバイアスが加えられた状態に置かれる。したが
って、射出工程中に逆止リング28が外力を受けて連通
位置に置かれることがなくなり、樹脂が逆流するのを防
止することができる。その結果、樹脂の計量を安定して
行うことができ、成形品の品質を向上させることができ
る。
【0042】そして、十分な射出圧力で樹脂を射出する
ことができるので、射出力をその分小さくすることがで
きる。したがって、射出装置を小型化することができる
だけでなく、射出装置のコストを低くすることができ
る。また、摩擦抵抗が小さくなるので、樹脂が受ける剪
(せん)断熱が少なくなり、樹脂焼けが発生するのを防
止することができる。
【0043】次に、前記構成の射出装置の動作について
説明する。
【0044】なお、図7に示される波形は、スクリュー
12の回転方向を表し、正の値を採る場合、スクリュー
12は正方向に回転させられ、0である場合、スクリュ
ー12は停止させられ、負の値を採る場合、スクリュー
12は逆方向に回転させられる。
【0045】まず、制御装置62の図示されない連通制
御手段は、タイミングt1で前記計量用モータ41を正
方向に駆動して、スクリュー12を時間τ1だけスクリ
ュー回転数N1で正方向に回転させる。したがって、逆
止リング28がスクリュー12に対して所定の角度θだ
け回動させられることになり、逆止リング28は連通位
置に置かれ、前記穴28a、29aが連通させられる。
【0046】続いて、タイミングt2で計量工程が開始
され、制御装置62の図示されない計量制御手段は、前
記計量用モータ41を電流指令IM に従って正方向に駆
動することによって、スクリュー12を時間τ2だけス
クリュー回転数N2で正方向に回転させるとともに、射
出用モータ53を駆動してスクリュー12を後退させ
て、計量を行う。この間、逆止リング28は連通位置に
置かれ、前記穴28a、29aが連通させられる。その
結果、前記樹脂は、前記溝24に沿って前進するととも
に、加熱シリンダ11によって加熱され、溶融させら
れ、穴28a、29aを通って前方に流れ、スクリュー
ヘッド27の前方に蓄えられる。
【0047】そして、タイミングt3で計量工程が完了
すると、制御装置62の図示されない遮断制御手段は、
タイミングt4で前記計量用モータ41を逆方向に駆動
することによって、スクリュー12を時間τ3だけスク
リュー回転数N3で逆方向に回転させる。したがって、
逆止リング28がスクリュー12に対して所定の角度θ
だけ回動させられることになり、逆止リング28は遮断
位置に置かれ、前記穴28a、29aが遮断される。
【0048】続いて、タイミングt5で射出工程が開始
され、制御装置62の図示されない射出制御手段及びス
クリュー前進制御手段は、射出用モータ53を電流指令
Iに従って駆動することによって、スクリュー12を
所定のスクリュー速度Vsで前進させ、前記スクリュー
ヘッド27の前方に蓄えられた樹脂を射出ノズル13か
ら射出する。また、前記制御装置62の図示されないフ
ライト速度制御手段は、計量用モータ41を電流指令I
F に従って逆方向に駆動することによって、フライト2
3をフライト速度Vfで前進させる。
【0049】このとき、スクリューヘッド27の前方に
蓄えられた樹脂の一部は、逆流して後方に移動しようと
するが、前記穴28a、29aが遮断されているので、
スクリューヘッド27の前方の樹脂がフライト部21に
逆流するのを防止することができる。
【0050】したがって、射出工程時に、前記キャビテ
ィ空間に充填される樹脂の量、すなわち、充填量を安定
させることができ、成形品の品質を向上させることがで
きる。また、射出工程時のフライト部21における樹脂
を安定させることができるので、計量工程時に計量を安
定して行うことができ、樹脂の熱履歴を安定させること
ができ、さらに、樹脂の温度を安定させることができ
る。
【0051】そして、前記制御装置62は、スクリュー
位置検出器81によって検出されたスクリュー位置Si
が所定の値になると、速度制御から圧力制御に切り換
え、前記射出力に基づいて保圧制御を行い、タイミング
t6で射出工程が完了する。
【0052】なお、本実施の形態においては、前記スク
リュー12を時間τ1だけ正方向に回転させた後、計量
工程を開始するまでにわずかな時間を置くようにしてい
るが、前記スクリュー12を時間τ1だけ正方向に回転
させた後、直ちに計量工程を開始することもできる。ま
た、計量工程が完了した後、スクリュー12を時間τ3
だけ逆方向に回転させるまでにわずかな時間を置くよう
にしているが、計量工程が完了した後、直ちにスクリュ
ー12を時間τ3だけ逆方向に回転させることもでき
る。さらに、前記スクリュー12を時間τ3だけ逆方向
に回転させた後、射出工程を開始するまでにわずかな時
間を置くようにしているが、前記スクリュー12を時間
τ3だけ逆方向に回転させた後、直ちに射出工程を開始
することもできる。また、射出工程を開始する前にサッ
クバックを行うこともできる。
【0053】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させ
ることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除す
るものではない。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、射出装置においては、加熱シリンダと、スクリュ
ー本体の外周面にフライトが形成されたフライト部、及
び該フライト部の前端に配設されたスクリューヘッドを
備え、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、
進退自在に配設されたスクリューと、該スクリューを回
転させるための第1の駆動手段と、前記スクリューを進
退させるための第2の駆動手段と、射出工程において前
記第2の駆動手段を駆動して、スクリューを所定のスク
リュー速度で前進させるスクリュー前進制御手段と、前
記射出工程において、前記第1の駆動手段を駆動して、
前記フライトをスクリュー速度より低いフライト速度で
見掛け上前進させるフライト速度制御手段と、前記フラ
イト速度を前記フライトのピッチに対応させて設定する
フライト速度設定手段とを有する。
【0055】この場合、射出工程において、フライト速
度がスクリュー速度より低くされるので、樹脂はスクリ
ューの外周面上を滑って加熱シリンダの内周面上で停滞
することになる。しかも、フライト速度はフライトのピ
ッチに対応させて設定される。
【0056】したがって、加熱シリンダの内周面の近傍
の樹脂に加わる摩擦抵抗をスクリューの軸方向において
一様に小さくすることができるので、射出工程におい
て、射出力と射出圧力とを対応させることができ、十分
な射出圧力を発生させることができる。
【0057】また、フライトによって形成される溝内の
樹脂の溶融状態が、フライト部を移動する間に変化して
も、前記樹脂に加わる摩擦抵抗を一定にすることができ
るので、射出圧力を安定させることができる。そして、
型内圧を安定させることができるので、成形品の品質を
向上させることができる。
【0058】しかも、十分な射出圧力を発生させること
ができるので、射出力をその分小さくすることができ
る。したがって、射出装置を小型化することができるだ
けでなく、射出装置のコストを低くすることができる。
また、摩擦抵抗が小さくなるので、樹脂が受ける剪断熱
が少なくなり、樹脂焼けが発生するのを防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における射出装置の制御回
路の要部ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出装置の要部拡
大図である。
【図3】本発明の実施の形態における射出装置の概念図
である。
【図4】本発明の実施の形態におけるスクリューの概略
図である。
【図5】本発明の実施の形態における射出装置の制御回
路の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるスクリュー位置と
ゲインとの関係図である。
【図7】本発明の実施の形態における射出装置の動作を
示すタイムチャートである。
【符号の説明】
11 加熱シリンダ 12 スクリュー 21 フライト部 23 フライト 27 スクリューヘッド 41 計量用モータ 53 射出用モータ 62 制御装置 68 フライト速度設定器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)加熱シリンダと、(b)スクリュ
    ー本体の外周面にフライトが形成されたフライト部、及
    び該フライト部の前端に配設されたスクリューヘッドを
    備え、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、
    進退自在に配設されたスクリューと、(c)該スクリュ
    ーを回転させるための第1の駆動手段と、(d)前記ス
    クリューを進退させるための第2の駆動手段と、(e)
    射出工程において前記第2の駆動手段を駆動して、スク
    リューを所定のスクリュー速度で前進させるスクリュー
    前進制御手段と、(f)前記射出工程において、前記第
    1の駆動手段を駆動して、前記フライトをスクリュー速
    度より低いフライト速度で見掛け上前進させるフライト
    速度制御手段と、(g)前記フライト速度を前記フライ
    トのピッチに対応させて設定するフライト速度設定手段
    とを有することを特徴とする射出装置。
  2. 【請求項2】 前記フライト速度は、前記スクリューの
    前進に伴って所定の位置を通過するフライトのピッチが
    小さくなるほど高くされる請求項1に記載の射出装置。
  3. 【請求項3】 (a)計量工程において、第1の駆動手
    段を駆動してスクリューを正方向に回転させ、(b)射
    出工程において、第2の駆動手段を駆動してスクリュー
    を所定のスクリュー速度で前進させ、かつ、前記第1の
    駆動手段を駆動してフライトを前記スクリュー速度より
    低いフライト速度で見掛け上前進させるとともに、
    (c)前記フライト速度は前記フライトのピッチに対応
    させて設定されることを特徴とする射出装置の制御方
    法。
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