JP3314015B2 - バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法

Info

Publication number
JP3314015B2
JP3314015B2 JP28441897A JP28441897A JP3314015B2 JP 3314015 B2 JP3314015 B2 JP 3314015B2 JP 28441897 A JP28441897 A JP 28441897A JP 28441897 A JP28441897 A JP 28441897A JP 3314015 B2 JP3314015 B2 JP 3314015B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
upper mold
polymerization
bucket
lactam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP28441897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11105049A (ja
Inventor
剛 ト部
健一郎 亀井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsuboshi Belting Ltd filed Critical Mitsuboshi Belting Ltd
Priority to JP28441897A priority Critical patent/JP3314015B2/ja
Publication of JPH11105049A publication Critical patent/JPH11105049A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3314015B2 publication Critical patent/JP3314015B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバケット状注型ポリ
アミド樹脂成形体の製造装置と製造方法に係り、詳しく
は残存する未反応の液状モノマーが表面に付着するのを
なくし、内部欠陥のないバケットのような箱状の注型ポ
リアミド樹脂成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】注型ポリアミド成形体の製造方法は、金
型を熱風炉で所定の温度になるまで加熱しておき、この
金型を炉から取り出して重合性ラクタム液をこれに注入
し、再び金型を熱風炉に入れてラクタムを重合してい
る。しかし、この方法によると、成形体は重合過程で内
部に気泡を含みやすい欠点があった。通常、重合性ラク
タム液をアニオン重合する際、約15%程度の体積収縮
が発生する。この体積収縮が成形体内部に空洞欠陥を発
生させる原因の一つになっていた。従来の注型ポリアミ
ド成形体の製造方法においては、前述のような内部欠陥
の発生を少なくすることが技術的に重要な課題になって
いた。
【0003】このような成形体の内部欠陥を発生させな
いために、従来では重合性ラクタム液を加圧下で重合す
る方法が知られている。例えば、特公昭40−1615
3号公報に開示されているように、重合性ラクタム液が
重合することによって系の粘度が最高に増加した時点で
これを加圧成形する方法がある。
【0004】また、特公昭39−25202号公報に
は、重合が進行する温度に保持された金型と重合が進行
しない温度に保持された補助容器とを断熱的に接続し、
この補助容器に重合性ラクタム液を封入するとともにこ
れを不活性気体によって加圧し、重合性ラクタム液を常
時金型に送り込むようにしてポリアミド成形体を加圧成
形する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、比較的
厚みの薄いバケットのような成形体の製造法において、
外型と内型の間に注型した重合性ラクタム液を重合中常
時加圧する場合には、重合初期の内型の移動によって液
の高さが変動するため、厚み精度のよいバケットを製造
することは実質的に困難であった。このため、従来では
重合性ラクタム液を入れた下型に上型を嵌合してこれを
固定した後、重合性ラクタム液を重合させ一定時間にな
ると、作業者が上型のロックを開放して上型を落下させ
加圧下で重合を進めていたが、この加圧する時期は配合
系に大きく依存していた。
【0006】また、オーブン中で重合する場合には、注
型時に型をオーブンより出し入れするため、型およびオ
ーブン内の温度管理が非常に困難であった。そして、特
に問題になっていたのは、重合が終わっても、バケット
の上端の周囲面には未反応の液状モノマーが残存し、バ
ケットを取り出すときに、これが流れ出して表面に付着
し、外観を悪くする問題があった。
【0007】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、加圧時期を配合系に依存することなく、上型に
かかる荷重で正確に制御できることを見出したものであ
り、この方法によって内部欠陥のない、しかも残存する
未反応の液状モノマーを無くして外観形状を良くしたバ
ケットのような箱状の注型ポリアミド樹脂成形体の製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1に
係る発明は、実質上無水のω−ラクタムに少なくともア
ニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合性
ラクタム液を型内に注型した後、アニオン重合すること
によりバケット状注型ポリアミド樹脂成形体を製造する
方法において、比湿を10g/kg’以下に調節した雰
囲気下に、循環する熱媒体により加熱できる下型を据え
付けた下支持台と、循環する熱媒体により加熱できる上
型を該上型にかかる荷重を測定できるように配置した上
支持台とを相対向する状態に置き、重合性ラクタム液を
入れた下型と上型の少なくとも一方を移動させ、上型を
重合性ラクタム液に浮かした状態で嵌合し、上支持台に
対して固定した上型にかかる荷重Wが、上型自身の自重
をA、上型を重合性ラクタム液に浮かしたときの浮力を
Fとするとき、当初の上型にかかる荷重W=A−Fが上
昇して最小(A−0.5F)から最大(A+2.5F)
の間にあるときに、上型のロックを開放してこれを落下
し、加圧下で重合を進行させ、重合が完了した後、上型
と下型を分離して成形体を脱型する、バケット状注型ポ
リアミド樹脂成形体の製造方法にある。
【0009】この方法では、上型がこれにかかる荷重が
測定できるように上支持台に配置され、上型自身の自重
をA、上型を重合性ラクタム液に浮かしたときの浮力を
Fとするとき、当初の上型にかかる荷重W=A−Fが上
昇して最小(A−0.5F)から最大(A+2.5F)
の間にあるときに、上型のロックを開放しこれを落下
し、加圧下で重合を進行させるため、重合性ラクタム液
の配合が変わっても、上型にかかる荷重を自動的にかつ
正確に計測して加圧を開始でき、内部欠陥のないバケッ
トのような注型ポリアミド樹脂成形体を成形できる。ま
た、湿度を調節できる雰囲気下で重合するために、未反
応の液状モノマーが無くなり、バケットを取り出すとき
発生しやすい表面付着による外観悪化と言った問題も回
避できる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明のバケット状注型ポ
リアミド樹脂成形体の製造方法に使用する装置の正面
図、図2は図1の側面図、そして図3はエアー回路の概
略図である。これによると、図1では上型1と下型15
をそれぞれ製造装置40の所定箇所に設置した状態を示
している。この製造装置40では基台51の上に4本の
ガイド棒42が直立状態で固定され、下型15を設置固
定した下支持台41がこの4本のガイド棒42に嵌入さ
れ、該下支持台41の下面の中心部に据え付けられた昇
降手段43により上下動する。昇降手段43は原動機4
4の駆動により基板45に支持されてたボールネジ46
を回転させ下型15を上下方向へ往復動させるが、上限
の停止はリミットスイッチにより行うことができる。
尚、重合性ラクタム液は下型15の最下位の位置で注型
される。
【0011】一方、上型1は上記の4本のガイド棒42
の先端に固着した上支持台48にロック機構60を介し
て設置されている。該ロック機構60は上型1を上支持
台48に対して固定しあるいはこれを開放して移動させ
る機能を有し、上支持台48の中心部に搭載されたエア
ーシリンダ49と、このエアーシリンダ49のロッド5
0に直結したガイド51付きの連結板52、そして連結
板52に固定した一対のロードセル53と、ロードセル
53に固定した可動板54からなり、この可動板54に
は4本の連結棒55を介して上型1が安定して吊り下げ
られている。従って、ロック機構60を作動させ、上型
1を上支持台48に対して固定すると、上型1にかかる
荷重がロードセル53で計測される。
【0012】ロック機構60を作動させるロック制御手
段61は、エアーシリンダ49内の部屋AとBに圧縮空
気を送り、各部屋の内圧を調節してピストン62の位置
を保持して上型1を固定し、また電磁弁63を作動させ
て部屋Bの内圧を開放することにより上型1を自重によ
り下方へ落下させる。電磁弁63は上記ロードセル53
が所定値になると作動するようになっている。また、部
屋Bに接続する回路には、逆止弁63が設けられてい
る。
【0013】図4は本発明のバケット状注型ポリアミド
樹脂成形体の製造方法に使用する上型の平面図、図5は
図4のA−A断面図、図6は本発明のバケット状注型ポ
リアミド樹脂成形体の製造方法に使用する下型の平面
図、図7は図6のB−B断面図である。
【0014】上型1はアルミ、鉄等の熱伝導率の比較的
高い本体2と、この本体2から外側へ突出した成形部3
をもち、成形部3の内側には上板4を本体2に螺子等に
より固定することでオイル等の熱媒体を流す閉鎖した熱
媒体室5を設けている。熱媒体室5は内部に仕切板6を
配して熱媒体の流れをよくしているが、実施例では十文
字に設けた仕切板6によって4つの部屋7に分けてお
り、注入口8から排出口9へと熱媒体をポンプ(図示せ
ず)によって循環し、精度よく温度管理をしている。
【0015】上型1の温度を測定する場合には、上型1
を下型15に嵌合する前に表面温度計を上型1表面に接
触して測定する。
【0016】下型15は上型1の突出した成形部3を嵌
め込む窪み状の収容部17を有し、その外側に熱媒体を
流す閉鎖した熱媒体室18を外壁19によって形成して
いる。外壁19には断熱材(図示せず)が装着してい
る。熱媒体室18内にも、仕切板20が設けられ、注入
口21から流れ込んだ熱媒体が滞留せずスムーズに流
れ、排出口22から外部へ流出し、再び注入口21へ流
れるように循環するようになっている。
【0017】図7に示すように、下型15の温度管理を
精度よく行うために、温度センサ24が収容部17の外
壁に張り付けられている。この温度センサ24は熱媒体
に直接触れることがないように、遮蔽室25内に収容さ
れている。温度センサ24は2カ所以上設けることもで
きる。
【0018】図8は重合性ラクタム液を注型した下型1
5を昇降手段44を稼動させてガイド棒42に沿って上
昇させて上型1に嵌合し、重合性ラクタム液を重合させ
ている状態を示している。このとき、上型1は当初上支
持台48に固定されており、重合性ラクタム液に浸かっ
た状態であり、上型1にかかる荷重Wは浮力Fによって
上型1の自重Aより小さくなっている。重合が進行する
と当初の当初の上型にかかる荷重W=A−Fは重合性ラ
クタム液の重合収縮及び結晶化収縮により上型を引き付
ける力が発生して、上型1にかかる荷重Wが上昇して、
上型1の自重Aを越えて急激に上昇する。上型1にかか
当初の荷重W=A−Fが最小(A−0.5F)から最
大(A+2.5F)の間にあるときに、ロック制御手段
61の電磁弁63が作動して部屋Bの内圧を開放するこ
とにより上型1を自重により下方へ落下させ、加圧状態
にして重合を更に進行させる。
【0019】図9は重合が終了した後も上型1と下型1
5内を通す熱媒体の温度を一定にし、下型15を下降さ
せて重合したバケット状の成形体30を上型1から取り
出す状態を示している。この場合、成形体30は収縮し
て下型15から分離し、上型15に付着している。
【0020】しかして、以下に本発明に係るバケット状
注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法について詳述す
る。まず、ω−ラクタムを脱水タンク内において減圧下
で脱水して実質上無水の状態にした後、窒素などの不活
性気体で置換される。脱水タンク中のω−ラクタムは、
計量されて2つの注型タンクへ入れられ、その後所定量
のアニオン重合触媒がω−ラクタムの入った一方の注型
タンクに、また所定量のアニオン重合開始剤がω−ラク
タムの入った他方の注型タンクに投入される。そして、
バケットを成形する上型1と下型15を製造装置40の
上支持台48と下支持台41に設置する。
【0021】各注型タンクから排出されミキシング部で
混合攪拌された重合性ラクタム液を150〜170°C
に温度調節した下型15に注型した後、下型15を原動
機44の稼動によって上昇して143〜167°Cに温
度調節した上型1と嵌合し、下型15と上型1との間に
キャビティ32を形成する。この状態を図8に示してい
るように、下型15と上型1の間に2〜8mm程度の間
隙33を設ける。この間隙33は原動機44とリミット
スイッチにより自由に調節することができる。
【0022】この時の雰囲気条件としては、比湿が重要
な要件になり、本発明では比湿を10g/kg’以下に
調節することが重要である。比湿は雰囲気下の温度と相
対湿度から求められる。もし、比湿が10g/kg’を
越えると、空気中の水分のために重合が阻害されやす
く、図11に示すように成形体30の上面31には未反
応の液状モノマー32が残存する。このため、成形体3
0を型から取り出すとき、残存する未反応の液状モノマ
ー32が成形体30の表面に付着し外観を悪くする。
【0023】上型1は当初上支持台48に固定されてお
り、重合性ラクタム液に浸かった状態であり、上型1に
かかる荷重は浮力によって上型1の自重より小さくなっ
ている。このとき、上型1と下型15との温度は、上型
1の温度が下型15の温度とほぼ同じ温度、もしくは上
型1の温度を下型15より低く、好ましくは3〜6°C
程度の差を付けてもよい。
【0024】その後、重合が進行して重合収縮および結
晶化収縮により上型を引き付ける力が発生して、上型1
にかかる荷重が自重を越えて急激に上昇する。上型1に
かかる当初の荷重W=A−Fが最小(A−0.5F)か
ら最大(A+2.5F)の間にあるときに、ロック制御
手段61の電磁弁63が作動して部屋Bの内圧を開放す
ることにより上型1を自重により下方へ落下させ、加圧
状態にして重合を更に進行させる。このとき、成形体3
0は上型1により加圧されているため、更に結晶化が進
行し、成形体30の体積が徐々に収縮しても内部に空洞
欠陥をもたない均一な厚みの成形体30に仕上げること
ができる。
【0025】しかし、上型1にかかる当初の荷重W=A
−Fが上記(A−0.5F)に至るまでに落下して加圧
すると、重合性ラクタム液が重合初期で粘度が十分上昇
していないために流動して成形体の厚みが不足する。一
方、(A+2.5F)を越えると、加圧のタイミングが
ずれて加圧されない状態で重合性ラクタム液の結晶化が
進んで大きく体積収縮するために、加圧が不十分になっ
て成形体内部に空洞欠陥が発生するばかりでなく、成形
体外観に凹部が発生しやすくなる。
【0026】重合が完了しても、上型1と下型15の温
度を一定にし、下型15を下降させて重合したバケット
状の成形体30を上型1から取り出す。10g/kg’
以下の比湿を維持しながら重合を終えると、成形体30
の上面31には未反応の液状モノマー32が残存するこ
とがなく、外観の良好なバケット状注型ポリアミド樹脂
成形体を得ることができる。
【0027】本発明で使用する上記ω−ラクタムは、実
質上無水のα−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ω−
ラウロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリル
ラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウンデカノラクタ
ム、等あるいはこれらの2種以上の混合物であり、工業
的に有利なラクタムはε−カプロラクタムとω−ラウロ
ラクタムである。
【0028】また、本発明で使用するアニオン重合触媒
は、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ナトリウム、
カリウム等の公知のω−ラクタムの重合触媒を使用する
ことができ、その添加量はω−ラクタムに対して0.1
〜2.0モル%である。そして、アニオン重合開始剤と
しては、例えばN−アセチル−ε−カプロラクタム、イ
ソシアネート、ジイソシアネート、尿素誘導体、ウレタ
ン、イソシアヌレート誘導体であり、その添加量はω−
ラクタムに対して0.05〜1.0モル%の範囲が好ま
しい。
【0029】上記製造方法では、アニオン重合触媒をω
−ラクタムに添加し溶解した後、アニオン重合開始剤を
注型時または注型後に添加混合する方法、またはアニオ
ン重合触媒を含むω−ラクタムとアニオン重合開始剤を
含むω−ラクタムとを注型時または注型後に添加混合す
る方法によって調整する。また、ω−ラクタムの重合は
100〜210°Cの温度で実施可能であるが、好まし
くは130〜180°Cである。
【0030】尚、本発明方法を実施するに際して、上記
成分以外に重合を阻害しない油類、ワックス、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の滑剤や、カーボ
ン繊維、ウオラスナイト等の補強材を添加することも可
能である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。 実施例1〜3、比較例1〜2 脱水した後、脱水タンク中のε−カプロラクタムが計量
されて2つの注型タンクへ入れられ、一方の注型タンク
へ1,250g、他方の注型タンクへ1,250g入れ
た後、一方の注型タンクへ4.0gの水素化ナトリウム
(63%油性)を添加して溶解させ、更に他方の注型タ
ンクへ5.6gトリフェニルイソシアヌレートを添加し
た。この間、注型タンク内を大気圧下で窒素を流しつ
つ、更に重合性ラクタム液を125°Cまで昇温しなが
らミキシングした。
【0032】鉄製の上型と下型(縦200mm、横30
5mm、深さ160mm)を成形機に設置し、上型と下
型のオイルの温度をそれぞれ167°C、169°Cに
設定して型を加熱した。上型の温度は表面温度計を用
い、また下型は外壁に張り付けた温度センサにより測定
した。また、このときの部屋の湿度を空調機により所定
値に調節した。その後、上記ミキシングした重合性ラク
タム液を下型に流し込んだ後、下型を上昇させて所定温
度に加熱された上型に嵌合し、上型と下型の間に8mm
程度の間隙を設けた状態で重合させた。このとき、上型
は上支持台に固定されている。
【0033】上型1にかかる荷重は、図10に示すよう
に上型が下型に嵌合した直後では、浮力により上型の自
重より小さくなっているが、重合が進行すると上型1の
自重を越えて急激に上昇する結果を示している。また、
同時に下型に付けた2つの温度センサで測定した下型の
温度も示した。
【0034】いずれの場合にも、上型1にかかる荷重が
その自重に達したA点で、ロック制御手段61の電磁弁
63を作動して部屋Bの内圧を開放することにより上型
1を自重により下方へ落下させ、加圧状態にして重合を
更に進行させた。そして、重合を終えると、下型を下降
し、厚さ6mmのバケット成形体を取り出した。
【0035】成形体を充分に冷却させた後、肉眼で内部
を検査して空洞欠陥を、またバケット成形体の上面の固
化状態を観測した。観察した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】その結果、比湿10g/kg’以下の範囲
では、バケット成形体の上面は固化し、未反応の液状モ
ノマーが残存していないことが判る。また、上型1にか
かる荷重がその自重に達したA点で加圧しているため、
内部欠陥のないバケットを得ることができた。
【0038】実施例4〜7、比較例3〜4 実施例1同様にして厚さ6mmのバケット成形体を作製
したが、この実施例では、上型にかかる荷重Wが所定の
荷重に達した時に上型1を落下させた。このときの、部
屋の比湿は8g/kg’であった。これにより得られた
成形体の空洞欠陥を観察した結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】この結果、いずれの場合にも未反応の液状
モノマーは残存していなかった。しかし、上型にかかる
当初の荷重W=A−Fが(A−0.5F)〜(A+2.
5F)(ただし、上型自身の自重をA、上型を重合性ラ
クタム液に浮かしたときの浮力をF)の範囲にあるとき
に加圧すると、内部欠陥のないバケットを得ることがで
きたが、この範囲外の場合には内部欠陥が発生した。
【0041】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1に係る発明
では、比湿10g/kg’以下に調節した雰囲気下に、
循環する熱媒体により加熱できる下型を据え付けた下支
持台と、循環する熱媒体により加熱できる上型を該上型
にかかる荷重を測定できるように配置した上支持台とを
相対向する状態に置き、重合性ラクタム液を入れた下型
と上型の少なくとも一方を移動させ、上型を重合性ラク
タム液に浮かした状態で嵌合し、上支持台に対して固定
した当初の上型にかかる荷重W=A−Fが上昇して最小
(A−0.5F)から最大(A+2.5F)の間にある
ときに、上型のロックを開放してそれを落下させて加圧
下で重合を進行させ、重合が完了した後、上型と下型を
分離して成形体を脱型するバケット状注型ポリアミド樹
脂成形体の製造方法にあり、この方法では、上型がこれ
にかかる荷重が測定できるように上支持台に配置され、
当初の上型にかかる荷重W=A−Fが上昇して上記範囲
にあるときに、上型のロックを開放してこれを落下し、
加圧下で重合を進行させるため、重合性ラクタム液の配
合が変わっても、上型にかかる荷重を自動的にかつ正確
に計測して加圧を開始でき、内部欠陥のないバケットの
ような箱状の注型ポリアミド樹脂成形体を成形でき、ま
た湿度を調節できる雰囲気下で重合するために、未反応
の液状モノマーがなくなり、バケットを取り出すとき発
生しやすい液状モノマーの表面付着による外観悪化と言
った問題も回避できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバケット状注型ポリアミド樹脂成形体
の製造装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】エアー回路の概略図である。
【図4】本発明のバケット状注型ポリアミド樹脂成形体
の製造方法に使用する上型の平面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】本発明のバケット状注型ポリアミド樹脂成形体
の製造方法に使用する下型の平面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】下型と上型との間に間隙を設けた状態で互いに
嵌合した状態を示す断面図である。
【図9】下型を下降させて成形体を取り出す状態を示す
図1の側面図である。
【図10】重合中における重合時間と上型にかかる荷重
の関係及び重合時間と下型温度の関係を示すグラフであ
る。
【図11】重合終了後の成形体の上面状態を示す拡大断
面図である。
【符号の説明】
1 上型 15 下型 17 収容部 18 熱媒体室 19 外壁 20 仕切板 21 注入口 22 排出口 30 成形体 40 成形機 41 支持台 42 ガイド棒 43 昇降装置 44 原動機 49 エアーシリンダ 52 連結板 53 ロードセル 54 可動板 55 連結棒 60 ロック機構 61 ロック制御手段 63 電磁弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−68209(JP,A) 特開 昭62−11622(JP,A) 特開 昭63−3909(JP,A) 特開 平1−141914(JP,A) 特開 平1−16614(JP,A) 特公 昭40−16153(JP,B1) 特公 昭39−25202(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 39/02 B29C 39/22 - 39/38 B29C 45/00 C08G 69/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質上無水のω−ラクタムに少なくとも
    アニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合
    性ラクタム液を型内に注型した後、アニオン重合するこ
    とによりバケット状注型ポリアミド樹脂成形体を製造す
    る方法において、 比湿を10g/kg’以下に調節した雰囲気下に、循環
    する熱媒体により加熱できる下型を据え付けた下支持台
    と、循環する熱媒体により加熱できる上型を該上型にか
    かる荷重を測定できるように配置した上支持台とを相対
    向する状態に置き、 重合性ラクタム液を入れた下型と上型の少なくとも一方
    を移動させ、上型を重合性ラクタム液に浮かした状態で
    嵌合し、 上支持台に対して固定した上型にかかる荷重Wが、上型
    自身の自重をA、上型を重合性ラクタム液に浮かしたと
    きの浮力をFとするとき、当初の上型にかかる荷重W=
    A−Fが上昇して最小(A−0.5F)から最大(A+
    2.5F)の間にあるときに、上型のロックを開放して
    これを落下し、加圧下で重合を進行させ、重合が完了し
    た後、上型と下型を分離して成形体を脱型する、 ことを特徴とするバケット状注型ポリアミド樹脂成形体
    の製造方法。
JP28441897A 1997-09-30 1997-09-30 バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法 Expired - Lifetime JP3314015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28441897A JP3314015B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28441897A JP3314015B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11105049A JPH11105049A (ja) 1999-04-20
JP3314015B2 true JP3314015B2 (ja) 2002-08-12

Family

ID=17678308

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28441897A Expired - Lifetime JP3314015B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3314015B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5052932B2 (ja) * 2007-03-29 2012-10-17 三ツ星ベルト株式会社 ポリアミド樹脂板状成形体の製造方法
JP2009286012A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Mitsuboshi Belting Ltd ポリアミド樹脂板状成形体の製造方法及び製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11105049A (ja) 1999-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104209497B (zh) 一种大型复杂薄壁镁合金件石膏型铸造方法
US3216976A (en) Anionic polymerization of higher lactams
CN111676404B (zh) 一种改进的压铸件成型方法
JP3314015B2 (ja) バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JP3371076B2 (ja) バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造装置と製造方法
JP3769112B2 (ja) バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JP3759808B2 (ja) バケット状注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JP5052932B2 (ja) ポリアミド樹脂板状成形体の製造方法
CN211762942U (zh) 一种浇铸尼龙棒材的制造设备
JP5220460B2 (ja) 注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
US3605183A (en) Mixing and casting lactam compositions
DK142993B (da) Fremgangsmaade til fremtilling af formede polyamider med intetral skumstofstruktur
JP3227017B2 (ja) 注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
US3317646A (en) Method for casting nylon
JP3657794B2 (ja) 充填剤を含有するε−カプロラクタム重合体成形体及びその製造法
WO2002024427A1 (fr) Procede de fabrication de produits de poids constant
US3333034A (en) Casting process
JP2009286012A (ja) ポリアミド樹脂板状成形体の製造方法及び製造装置
JP3734623B2 (ja) ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JPH0714999B2 (ja) ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JPH10100167A (ja) 注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
CN116274883B (zh) 一种用于车辆履带的合金钢铸造方法
JP2963653B2 (ja) 注型ポリアミド樹脂成形体の製造装置とその製造方法
JP4053150B2 (ja) 注型ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JPS6234529B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110531

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120531

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130531

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140531

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term