JP3313458B2 - 導電性ポリオレフィンマスターバッチ - Google Patents

導電性ポリオレフィンマスターバッチ

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JP3313458B2 JP15652493A JP15652493A JP3313458B2 JP 3313458 B2 JP3313458 B2 JP 3313458B2 JP 15652493 A JP15652493 A JP 15652493A JP 15652493 A JP15652493 A JP 15652493A JP 3313458 B2 JP3313458 B2 JP 3313458B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高導電性カーボンブラ
ックを含有する導電性ポリオレフィンマスターバッチ、
特に該マスターバッチを添加して最終的に製造される導
電性ポリオレフィン樹脂製品に優れた表面平滑性を付与
できる導電性ポリオレフィンマスターバッチ、及び該マ
スターバッチを添加して製造された導電性ポリオレフィ
ン系熱可塑性樹脂製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】導電性樹脂は、コンピューター、VT
R,家電製品などの静電防止や電磁波シールドなどの用
途を中心に、近年著しく需要が延びている。中でも導電
性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は強度、成形性、コス
トのバランスが良いため、これらの用途に広く用いられ
ている。従来より、熱可塑性樹脂に導電性を付与する方
法として、カーボンブラックを充填する方法(特開昭6
0ー65064号及び特開昭55ー31103号)が知
られているが、樹脂にカーボンブラックを配合する際、
カーボンブラックは、一部飛散し作業環境を悪化させる
ほか、カーボンブラックの剪断発熱により樹脂の分子量
低下が起こり、結果として樹脂強度が低下するという問
題点があった。また、カーボンブラックを配合した導電
性熱可塑性樹脂は用途に応じて種々の形状に成形されて
いるが、厚みが2mm以下のフィルム状にした場合カーボ
ンブラックの未分散物に起因する突起物が表面に現れ、
美観が損なわれるばかりでなく、これを複写機の転写ロ
ールに用いた場合、画像が不鮮明になるといった問題点
も指摘されている。これらの問題点の中で、特にカーボ
ンブラックの飛散を防止する目的で、カーボンブラック
高配合樹脂マスターバッチを用いる方法が提案されてい
る(特開昭54ー58747号)。このカーボンブラッ
ク高配合樹脂マスターバッチは、カーボンブラックを分
散させた水溶液中に、有機溶剤に溶解した熱可塑性樹脂
を添加した後、水および有機溶剤を除去することにより
得られるため、全ての熱可塑性樹脂に適用可能な、熱可
塑性樹脂とカーボンブラックを樹脂の溶融温度以上で混
R>練することにより製造する従来方式と比較した場合、
樹脂の有機溶剤による溶解性により使用できる樹脂が限
定され、また、水および有機溶剤を除去する工程が必要
なため実用性に乏しい。一方、導電性カーボンブラック
をポリオレフィン樹脂にバンバリミキサーなどを用いて
練り込んでマスターバッチを製造しようとしても、カー
ボンブラックのDBP吸油量が400ml/100g以
上といった高導電性カーボンブラックの場合には、少量
使用しても樹脂には極めて練り込みにくく、またこのよ
うにして製造したマスターバッチを用いて最終の導電性
ポリオレフィン系樹脂製品を製造すると得られた製品の
表面の平滑性が損なわれるとの問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高導電性カ
ーボンブラックを含有し、かつ添加して製造される最終
の導電性ポリオレフィン系樹脂製品の表面平滑性を優れ
たものとすることができる、ポリオレフィン用導電性カ
ーボンブラックマスターバッチを提供することを目的と
する。本発明は、又、該マスターバッチを添加して製造
された導電性ポリオレフィン系樹脂製品を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、高導電性カー
ボンブラックの所定量を特定のメルトフロー特性を有す
るポリオレフィンと組み合わせると、上記課題を効果的
に解決できるとの知見に基ずいてなされたものである。
すなわち、本発明は、(a)メルトフローレート(MF
R)が10g/10min以上のポリオレフィン系熱可
塑性樹脂と(b)導電性カーボンブラックを必須構成成
分とし、該導電性カーボンブラックのDBP吸油量が4
00ml/100g以上であり、かつ導電性カーボンブ
ラックの含有量が、成分(a)と(b)の合計量100
重量部に対して8〜20重量部であり、体積固有抵抗値
が0.1Ω・cm以上10Ω・cm未満であることを特徴とす
る導電性ポリオレフィンマスターバッチを提供する。本
発明の導電性ポリオレフィンマスターバッチに用いる樹
脂は、このマスターバッチを使用して得られた導電性ポ
リオレフィン系熱可塑性樹脂の用途に応じた強度、耐熱
性を有し、また、メルトフローレート(MFR)が10
g/10min以上、好ましくは15g/10min〜
60g/10minのポリオレフィン系熱可塑性樹脂で
ある。ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンの単独も
しくは共重合体の他、他のモノマーとの共重合体などを
含み、例えば高、中、低圧法により製造された高、中、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリー1、2
ーブタジエン樹脂、エチレンーブテン共重合体、エチレ
ンー酢酸ビニル共重合体、エチレンとメチルー、エチル
ー、プロピルー、ブチルーの各アクリレートもしくは、
メタクリレートとの共重合体、またはこれらをそれぞれ
塩素化したもの、あるいはこれらの2種以上の混合物な
どである。尚、ここで、メルトフローレートは、日本工
業規格において規定している各樹脂のメルトフローレー
トの測定方法に準じて測定した値であって、ポリプロピ
レン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹
脂に関しては、それぞれJISK6758(230℃、
2.16Kgf)、JISK6730(190℃、2.16
Kgf)に準じて測定し、その他のポリオレフィン樹脂
に関しては、JISK7210、A法、条件4(190
℃、2.16Kgf)に準じて測定した。
【0005】本発明で(b)成分として使用する導電性
カーボンブラックは、DBP吸油量が400ml/10
0g以上であり、好ましくは420ml/100g以上
である。DBP吸油量の上限は特に制約されないが、製
造上の容易さからは700ml/100g以下、特に6
00ml/100g以下が適当である。本発明の導電性
ポリオレフィンマスターバッチ樹脂組成物は、体積固有
抵抗値が0.1Ω・cm以上10Ω・cm未満であり、ポリオ
レフィン系熱可塑性樹脂と導電性カーボンブラックの合
計量100重量部に対して、導電性カーボンブラック8
〜20重量部、好ましくは8〜15重量部である。本発
明では、上記高導電性カーボンブラック、特定のポリオ
レフィン樹脂、特定の配合量とを採用することによって
はじめて、本発明の目的である高導電性カーボンブラッ
クを含有し、かつ添加して製造される最終の導電性ポリ
オレフィン系樹脂製品の表面平滑性を優れたものとする
ことができる、ポリオレフィン用導電性カーボンブラッ
クマスターバッチを提供することがてきたのである。本
発明のマスターバッチには、このマスターバッチを使用
して得られた導電性熱可塑性樹脂の耐熱性、寸法安定
性、剛性、機械的強度を向上させるために、マイカ、ガ
ラス繊維、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、ステンレス、酸化銅、ニッケル、酸
化ニッケル、ジルコン等の無機系充填材を配合すること
もできる。これらの無機系充填材は、上記ポリオレフィ
ン系熱可塑性樹脂と導電性カーボンブラックとの合計重
量100重量部に対して、5〜300重量部の割合で用
いるのが望ましい。また、ポリオレフィン系熱可塑性樹
脂と導電性カーボンブラックの混練時の劣化防止や成形
性を改良する目的で、公知のフェノール系、リン系等の
酸化防止剤、金属石鹸、脂肪酸アマイド誘導体等の滑
剤、等の成形助剤や用途に応じて公知の難燃剤や可塑剤
等を用いることができる。本発明の導電性ポリオレフィ
ンマスターバッチは、導電性カーボンブラックとポリオ
レフィン系熱可塑性樹脂とを樹脂の溶融温度以上で混練
し、冷却後、ペレット状、粉末状、塊状等適当な形状に
成形して製造される。混練装置としては、単軸押出機、
二軸押出機、2本ロールミル、バンバリーミキサー、イ
ンターミックス、加圧ニーダー等の公知の装置を用いる
ことができる。本発明の導電性ポリオレフィンマスター
バッチは、導電性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を製造
する際の原料として使用され、このマスターバッチを希
釈樹脂や用途に応じて上記したような公知の無機系充填
材、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、可塑剤とともに混練す
ることにより導電性熱可塑性樹脂が製造される。本発明
のマスターバッチの配合量は、導電性ポリオレフィン系
熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常10〜80重
量部、好ましくは15〜70重量部である。10重量部
未満では、本発明のマスターバッチを使用して得られた
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に導電性を付与しにくく
なり、一方80重量部より多い配合量では得られた導電
性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の強度が低下する傾向
が生じる。導電性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を得る
ための導電性ポリオレフィンマスターバッチと希釈樹脂
等との混合方法は公知の方法が用いられる。たとえば、
マスターバッチと希釈樹脂等をヘンシェルミキサー、タ
ンブラー等の混合機によりドライブレンドする方法、上
記した混練装置により混練する方法などが挙げられる。
また、この混合物をインジェクション成形、真空成形、
ブロー成形、インフレーション成形等公知の成形法によ
り成形することにより、シート状、フィルム状、板状、
異形状等用途に応じた形状の導電性ポリオレフィン系熱
可塑性樹脂成形体、フィルムまたはシートが得られる。
このようにして、得られた導電性ポリオレフィン系熱可
塑性樹脂成形体、フィルムまたはシートは、体積固有抵
抗値が100 〜1015Ω・cmの導電性を有し、強度、表
面平滑性ともに優れているため、電子機器,IC等の包
装材料トレイやキャリア、面発熱体、面スイッチ、電
極、電磁波シールド材への応用等幅広い分野に利用する
ことができる。
【0006】
【発明の効果】本発明により、高導電性カーボンブラッ
クを含有し、かつ添加して製造される最終の導電性ポリ
オレフィン系樹脂製品の表面平滑性を優れたものとする
ことができる、導電性カーボンブラックマスターバッチ
が提供される。又、本発明の導電性マスターバッチを使
用することにより、導電性ポリオレフィン系熱可塑性樹
脂を製造する際、カーボンの飛散による作業環境の悪化
がなく、また少量の導電性マスターバッチ配合量で、良
好な導電性を有しかつ樹脂強度にも優れた導電性熱可塑
性樹脂製品が得られる。次に実施例により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら
限定されるものではない。
【0007】
【実施例】
実施例1 所定量のカーボンブラックおよびポリオレフィン系熱可
塑性樹脂を二軸押出機を用い、シリンダー温度160〜
250℃にて混練し、冷却後ペレッタイザーを用いて円
柱状の導電性マスターバッチを得た。このマスターバッ
チを160〜250℃にてプレス成形することにより、
10cm×10cm×0.2cmの物性評価用サンプルを作製し、次
いで物性評価用サンプルの体積固有抵抗値を測定した。
マスターバッチの組成、体積固有抵抗値および成形性を
表ー1に示す。尚、カーボンブラックおよび樹脂等は、
以下のものを使用した。 カーボンブラックA:DBP吸油量 499ml/100g のカー
ボンブラック カーボンブラックB:DBP吸油量 420ml/100g のカー
ボンブラック カーボンブラックC:DBP吸油量 370ml/100g のカー
ボンブラック ポリプロピレン樹脂A:出光石油化学製、出光ポリプロ
J−3050H 測定法JISK6758 230℃ 2.16KGF(M
FR:30g/10min) ポリプロピレン樹脂B:出光石油化学製、出光ポリプロ
J−450H 測定法JISK6758 230℃ 2.16KGF(M
FR:2.5g/10min ) 高密度ポリエチレン樹脂A:出光石油化学製、出光ポリ
エチレン120J 測定法JISK6760 190℃ 2.16KGF(M
FR:19g/10min) 高密度ポリエチレン樹脂B:出光石油化学製、出光ポリ
エチレン440M 測定法JISK6760 190℃ 2.16KGF(M
FR:1.0g/10min ) エチレンービニルアセテート樹脂:住友化学製、K40
10 測定法JISK6730 190℃ 2.16KGF(M
FR:20g/10min) 酸化亜鉛:白水化学製、3号亜鉛華 成形性は、二軸押出機によりマスターバッチができる樹
脂組成を○、二軸押出機により混練が困難でマスターバ
ッチが作製できない組成を×として評価した。また、体
積固有抵抗値は、日本ゴム協会SRIS−2301に準
じて測定した。
【0008】
【表1】 表ー1 ──────────────────────────────────── No. A B C D E F G H I ──────────────────────────────────── 組成(重量部) カーボンブラックA 0 12 12 12 10 12 30 0 0 カーボンブラックB 15 0 0 0 0 0 0 4 0 カーボンブラックC 0 0 0 0 0 0 0 0 12 ポリプロピレン樹脂A 85 88 0 0 90 0 70 0 0 ポリプロピレン樹脂B 0 0 0 0 0 88 0 0 0 高密度ポリエチレン 0 0 88 0 0 0 0 0 0 樹脂A エチレン−酢酸ビニル 0 0 0 88 0 0 0 96 88 樹脂 ──────────────────────────────────── 成形性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ──────────────────────────────────── 体積固有抵抗値 0.9 1.1 1.8 3.0 2.5 3.0 − 35 42 (Ω・cm) ×10-1×100 ×100 ×100 ×100 ×100 ──────────────────────────────────── No.A〜Eが実施例であり、No.F〜Iは比較例に該当する。
【0009】実施例2 実施例1記載のマスターバッチ、無機充填材およびポリ
オレフィン系熱可塑性樹脂を二軸押出機を用い、シリン
ダー温度160〜250℃にて混練し、冷却後ペレッタ
イザーを用いて円柱状ペレットを得た。また、比較のた
めにマスターバッチを用いずに、所定量のカーボンブラ
ック、無機充填材およびポリオレフィン系熱可塑性樹脂
を二軸押出機を用い、シリンダー温度160〜250℃
にて混練し、冷却後ペレッタイザーを用いて円柱状ペレ
ットを得た。このペレットをインジェクション成形機に
投入し、所定の金型を用い、シリンダー温度160〜2
50℃にてインジェクション成形することにより、7.5c
m ×7.5cm ×0.3cm の物性評価用サンプルを得た。物性
評価用サンプルの表面平滑性、アイゾット衝撃強度およ
び体積固有抵抗値を測定した。組成および測定結果を表
ー2に示す。表面平滑性は、サンプルの表面が澄んでい
るものを×、光沢があるものを○として評価した。アイ
ゾット衝撃強度および体積固有抵抗値は、それぞれJI
SK−7110および日本ゴム協会SRIS−2301
に準じて測定した。
【0010】
【表2】 表ー2 ──────────────────────────────────── No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ──────────────────────────────────── 組成(重量部) 実施例1の A組成物 0 60 0 0 0 0 0 0 0 0 B組成物 40 0 0 0 0 0 0 0 4 0 C組成物 0 0 40 0 0 0 0 0 0 12 D組成物 0 0 0 35 0 0 0 0 0 0 F組成物 0 0 0 0 0 0 0 40 0 0 H組成物 0 0 0 0 0 0 0 0 40 0 I組成物 0 0 0 0 0 0 0 0 0 35 カーボン 0 0 0 0 4.8 4.8 4.2 0 0 0 ブラックA ポリプロピレン 0 0 0 0 35.2 0 0 0 0 0 樹脂A ポリプロピレン 60 40 0 0 60 0 0 60 60 0 樹脂B 高密度ポリエチ 0 0 0 0 0 35.2 0 0 0 0 レン樹脂A 高密度ポリエチ 0 0 60 0 0 60 0 0 0 0 レン樹脂B エチレン−酢酸 0 0 0 65 0 0 95.8 0 0 65 ビニル樹脂 酸化亜鉛 0 100 0 0 0 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── アイゾット衝撃 30 18 16 38 8.0 3.1 9 28 32 40 強度(kgfcm/cm2) (1/8 インチノッチ付き) ──────────────────────────────────── 表面平滑性 ○ ○ ○ ○ × × × × ○ ○ ──────────────────────────────────── 体積固有抵抗値 3.3 7.3 4.9 2.1 6.4 9.0 5.7 8.3 1016 1016 (Ω・cm) ×103 ×103 ×104 ×105 ×103 ×104 ×105 ×106 以上以上 ──────────────────────────────────── No.1〜4が実施例であり、No.5〜10は比較例に該当する。
【0011】表ー2より、No.1とNo.5、No.3とN
o.6、No.4とNo.7は、それぞれ同一組成であり、本
発明のマスターバッチを用いた場合と用いない場合を比
較したデータであるが、本発明のマスターバッチを用い
た場合、得られた導電性ポリオレフィン樹脂の表面平滑
性及び体積固有抵抗値は良好であり、しかもアイゾット
衝撃強度は4倍〜5倍も良好となる結果が得られた。ま
たNo.10は本発明以外のカーボンブラックを配合した
マスターバッチを用いた場合の比較例であるが、導電性
ポリオレフィン樹脂を得るために本発明のマスターバッ
チと同量のマスターバッチを使用しても体積固有抵抗値
は1016Ω・cm以上となり、導電性を付与することがで
きない(No.4とNo.10の比較)。また、No.8は本
発明以外のポリプロピレン樹脂(MFR=2.5g/10
min)を配合したマスターバッチを用いた場合の比較
例であるが、本発明のポリプロピレン樹脂を配合したマ
スターバッチを用いた実施例(No.1)と比較した場
合、導電性は体積固有抵抗値で103 Ω・cm程度悪い値
を示す。
【0012】実施例3 実施例2の方法と同様の方法により得られたペレットを
インフレーション成形機に投入し、シリンダー温度15
0〜250℃にて厚さ60μmのフィルムを作製し、表
面平滑性、表面固有抵抗値およびフィルム強度を測定し
た。表面平滑性は表面荒さ計により表面の凹凸が5μm
の未満のものを○、それ以上のものを×として評価し
た。フィルム強度は、フィルムを10回おり曲げて、折
り目から切れない場合を○、切れた場合を×として評価
した。また、表面固有抵抗値はASTM D−257に
準じて測定した。組成および測定結果を表ー3に示す。
【0013】
【表3】 表ー3 ──────────────────────────────────── 実 施 例 比 較 例 No. 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ──────────────────────────────────── 組成(重量部) 実施例1の B組成物 50 0 0 60 0 0 0 0 0 C組成物 0 50 0 0 0 0 0 0 0 D組成物 0 0 35 0 0 0 0 0 0 F組成物 0 0 0 0 0 0 0 50 0 I組成物 0 0 0 0 0 0 0 0 35 カーボン 0 0 0 0 6 6 4.2 0 0 ブラックA ポリプロピレン 0 0 0 0 44 0 0 0 0 樹脂A ポリプロピレン 50 0 0 40 50 0 0 50 0 樹脂B 高密度ポリエチ 0 0 0 0 0 44 0 0 0 レン樹脂A 高密度ポリエチ 0 50 0 0 0 50 0 0 0 レン樹脂B エチレン−酢酸 0 0 65 0 0 0 95.8 0 65 ビニル樹脂 酸化亜鉛 0 0 0 100 0 0 0 0 0 ──────────────────────────────────── フィルム強度 ○ ○ ○ ○ × × × ○ ○ ──────────────────────────────────── 表面平滑性 ○ ○ ○ ○ × × × × ○ ──────────────────────────────────── 表面固有抵抗値 3.3 5.3 4.9 5.5 5.2 8.9 8.4 3.8 1016 (Ω) ×104 ×104 ×105 ×106 ×104 ×104 ×105 ×107 以上 ────────────────────────────────────
【0014】表ー3より、No.11とNo.15、No.1
2とNo.16、No.13とNo.17は、それぞれ同一組
成であり、本発明のマスターバッチを用いた場合と用い
ない場合を比較したデーターであるが、本発明のマスタ
ーバッチを用いた場合、マスターバッチを用いない場合
に比べ、得られた導電性フィルムの強度、表面平滑性、
表面固有抵抗値共に良好となる結果が得られた。またN
o.19は本発明以外のカーボンブラックを配合したマス
ターバッチを用いた場合の比較例であるが、導電性ポリ
オレフィン樹脂を得るために本発明のマスターバッチと
同量のマスターバッチを使用しても表面固有抵抗値は1
16Ω・cm以上となり、導電性を付与することができな
い(No.13とNo.19の比較)。また、No.18は本
発明以外のポリプロピレン樹脂(MFR=2.5g/10
min)を配合したマスターバッチを用いた場合の比較
例であるが、本発明のポリプロピレン樹脂を配合したマ
スターバッチを用いた実施例(No.11)と比較した場
合、表面平滑性は悪く、しかも導電性は表面固有抵抗値
で103 Ω・cm程度悪い値を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 英男 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライ オン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−124767(JP,A) 特開 昭56−159252(JP,A) 特開 昭62−146938(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/22 C08L 23/00 - 23/36 C08K 3/00 - 13/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と
    (b)導電性カーボンブラックを、(a)の溶融温度以
    上で混練し、冷却後、成形して、導電性ポリオレフィン
    マスターバッチを製造する方法において、(a)のメル
    トフローレート(MFR)が10g/10min以上で
    あり、(b)のDBP吸油量が400ml/100g以
    上であり、かつ、(b)の含有量が(a)と(b)の合
    計量100重量部に対して8〜20重量部であり、
    (a)と(b)を二軸押出機を用いて混練することを特
    徴とする、体積固有抵抗値が0.1Ω・cm以上10Ω
    ・cm未満の導電性ポリオレフィンマスターバッチの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により得られた
    導電性ポリオレフィンマスターバッチ10〜80重量部
    とポリオレフィン系熱可塑性樹脂90〜20重量部を混
    練することを特徴とする導電性ポリオレフィン系熱可塑
    性樹脂の製造方法。
JP15652493A 1993-06-28 1993-06-28 導電性ポリオレフィンマスターバッチ Expired - Fee Related JP3313458B2 (ja)

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