JP3312063B2 - 光学補償シート及びその製造方法、並びにそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

光学補償シート及びその製造方法、並びにそれを用いた液晶表示素子

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JP3312063B2 JP17036093A JP17036093A JP3312063B2 JP 3312063 B2 JP3312063 B2 JP 3312063B2 JP 17036093 A JP17036093 A JP 17036093A JP 17036093 A JP17036093 A JP 17036093A JP 3312063 B2 JP3312063 B2 JP 3312063B2
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    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F2413/00Indexing scheme related to G02F1/13363, i.e. to birefringent elements, e.g. for optical compensation, characterised by the number, position, orientation or value of the compensation plates
    • G02F2413/10Indexing scheme related to G02F1/13363, i.e. to birefringent elements, e.g. for optical compensation, characterised by the number, position, orientation or value of the compensation plates with refractive index ellipsoid inclined, or tilted, relative to the LC-layer surface O plate

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  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学補償シート及びそ
の製造方法、並びにそれを用いた液晶表示素子に関し、
特に表示コントラスト及び表示色の視角特性を改善する
ために有用な光学補償シート及びそれを用いた液晶表示
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】日本語ワードプロセッサやディスクトッ
プパソコン等のOA機器の表示装置の主流であるCRT
は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点をもった液
晶表示素子に変換されてきている。現在普及している液
晶表示素子(以下LCDと称す)の多くは、ねじれネマ
ティック液晶を用いている。このような液晶を用いた表
示方式としては、複屈折モードと旋光モードとの2つの
方式に大別できる。
【0003】複屈折モードを用いたLCDは、液晶分子
配列のねじれ角が90°以上ねじれたもので、急峻な電
気光学特性をもつ為、能動素子(薄膜トランジスタやダ
イオード)が無くても単純なマトリクス状の電極構造で
時分割駆動により大容量の表示が得られる。しかし、応
答速度が遅く(数百ミリ秒)、階調表示が困難という欠
点を持ち、能動素子を用いた液晶表示素子(TFT−L
CDやMIM−LCDなど)の表示性能を越えるまでに
はいたらない。
【0004】TFT−LCDやMIM−LCDには、液
晶分子の配列状態が90°ねじれた旋光モードの表示方
式(TN型液晶表示素子)が用いられている。この表示
方式は、応答速度が速く(数十ミリ秒)、容易に白黒表
示が得られ、高い表示コントラストを示すことから他の
方式のLCDと比較して最も有力な方式である。しか
し、ねじれネマティック液晶を用いている為、表示方式
の原理上、見る方向によって表示色や表示コントラスト
が変化するといった視角特性上の問題点があり、CRT
の表示性能を越えるまでにはいたらない。
【0005】特開平4−229828号、特開平4−2
58923号公報などに見られるように、一対の偏光板
とTN型液晶セルの間に、位相差フィルムを配置するこ
とによって視野角を拡大しようとする方法が提案されて
いる。
【0006】上記特許公報で提案された位相差フィルム
は、液晶セルに対して、垂直な方向に位相差がほぼゼロ
のものであり、真正面からはなんら光学的な作用を及ぼ
さず、傾けたときに位相差が発現し、液晶セルで発現す
る位相差を補償しようというものである。しかし、これ
らの方法によってもLCDの視野角はまだ不十分であ
り、更なる改良が望まれている。特に、車載用や、CR
Tの代替として考えた場合には、現状の視野角では全く
対応できないのが実状である。また、特開平4−366
808号、特開平4−366809号公報では、光学軸
が傾いたカイラルネマチック液晶を含む液晶セルを位相
差フィルムとして用いて視野角を改良しているが、2層
液晶方式となりコストが高く、非常に重いものとなって
いる。さらに特開平5−80323号に、液晶セルに対
して、光軸が傾斜している位相差フィルムを用いる方法
が提案されているが、一軸性のポリカーボネートを斜め
にスライスして用いるため、大面積の位相差フィルム
を、低コストでは得難いという問題点があった。さら
に、特願平5−5823号明細書に光異性化物質を用い
て光軸が傾斜している位相差フィルムを用いる方法が記
載されている。この方法によれば、広い視野角特性を有
し、軽量で、かつ低コストの液晶表示素子が実現出来
る。しかし、この方法の欠点として該位相差フィルムの
環境安定性が充分でないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、液晶セル中を伝搬する光の偏光状態が入射方向によ
り異なることから生じる狭い視野角特性を改善する光学
補償シートを提供し、CRTに代替できるような広い視
野角特性を持つ、軽量且つ低コストで、かつ、環境安定
性の高い液晶表示素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の工程か
らなる光学補償シートの製造方法にある。 (1)光異性化が可能な物質および重合反応が可能な官
能基を有する化合物を含む混合物の膜を支持体表面に形
成する工程; (2)上記(1)で形成された支持体表面の混合物膜に
直線偏光を照射して、光異性化が可能な物質の光異性化
と配向とを起こさせる工程;および (3)上記(2)にて光異性化し、配向した物質を含む
混合物膜に光もしくは熱を付与することにより、該混合
物膜中の重合反応が可能な官能基を有する化合物を重合
させて、光異性化・配向した物質をその配向状態にて固
定する工程。光異性化が可能な物質、および重合反応が
可能な官能基を有する化合物は、いずれも二種類以上使
用してもよい。上記の製造方法において、重合反応が可
能な官能基を有する化合物は、不飽和二重結合を有する
化合物、親電子性基を有する化合物、もしくは求核性基
を有する化合物であることが好ましく、また直線偏光の
照射は混合物膜に対して斜め方向に行なうことが好まし
い。本発明はまた、上記の製造方法により得られる光学
補償シート、および二枚の電極基板間に液晶を挟持して
なる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、
および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚
配置された上記の光学補償シートを含む液晶表示装置に
もある。
【0009】以下、図面を用いてTN型液晶表示素子を
例にとり本発明の作用を説明する。図1、図2は、液晶
セルにしきい値電圧以上の十分な電圧を印加した場合の
液晶セル中を伝搬する光の偏光状態を示したものであ
る。コントラストの視野角特性には、特に電圧印加時の
光の透過率特性が大きく寄与するため、電圧印加時を例
にとり説明する。図1は、液晶セルに光が垂直に入射し
た場合の光の偏光状態を示した図である。自然光L0が
偏光軸PAをもつ偏光板Aに垂直に入射したとき、偏光
板PAを透過した光は、直線偏光L1となる。
【0010】TN型液晶セルに十分に電圧を印加した時
の液晶分子の配列状態を、概略的に1つの液晶分子でモ
デル的に示すと、概略図中LCのようになる。液晶セル
LCS中の液晶分子LCの分子長軸が光の進路と平行な
場合、入射面(光の進路に垂直な面内)での屈折率の差
が生じないので、液晶セル中を伝搬する常光と異常光の
位相差は生じずLCセルを通過した直線偏光は液晶セル
を透過しても直線偏光のまま伝搬する。偏光板Bの偏光
軸PBを偏光板Aの偏光軸PAと垂直に設定すると、液
晶セルを透過した直線偏光L2は偏光板Bを透過するこ
とができず暗状態となる。
【0011】図2は、液晶セルに光が斜めに入射した場
合の光の偏光状態を示した図である。入射光の自然光L
0が斜めに入射した場合偏光板Aを透過した偏光L1は
ほぼ直線偏光になる。(実際の場合偏光板の特性により
楕円偏光になる)。この場合、液晶の屈折率異方性によ
り液晶セルの入射面において屈折率の差が生じ、液晶セ
ルを透過する光L2は楕円偏光しており偏光板Bでは完
全に遮断されない。この様に、斜方入射においては暗状
態での光の遮断が不十分となり、コントラストの大幅な
低下を招き好ましくない。
【0012】本発明は、この様な斜方入射におけるコン
トラストの低下を防ぎ、視角特性を改善しようとするも
のである。図3に本発明による構成の一例を示した。偏
光板Bと液晶セルとの間に、液晶セルの法線方向から傾
いた光学軸をもつ光学異方素子RFが配置されている。
この光学異方素子RFは光学軸に対して光が入射する角
度が大きくなる程大きく偏光する複屈折体である。この
様な構成の液晶表示素子に図2の場合と同様に光が斜方
入射し液晶セルを透過した楕円偏光した光L2は、光学
異方素子RFを透過する時の位相遅延作用によって楕円
偏光が元の直線偏光に変調され、種々の斜方入射におい
ても同一な透過率が得られる視角依存性のない良好な液
晶表示素子が実現できた。
【0013】本発明によって、液晶表示素子の視野角を
大幅に向上できたことについては以下のように推定して
いる。TN−LCDの多くは、ノーマリーホワイトモー
ドが採用されている。このモードでは、視角を大きくす
ることに伴って、黒表示部からの光の透過率が著しく増
大し、結果としてコントラストの急激な低下を招いてい
ることになる。黒表示は電圧印加時の状態であるが、こ
の時には、TN型液晶セルは、光学軸が、セルの表面に
対する法線方向から若干傾いた正の一軸性光学異方体と
みなすことができる。又、中間階調の場合にはその光学
軸は更に、LCセルの法線方向から傾いていくものと思
われる。
【0014】液晶セルの光学軸が液晶セルの表面に対す
る法線方向から傾いている場合、光学軸が法線方向にあ
る光学異方体では、その補償が不十分であることが予想
される。又、液晶セルが正の一軸性光学異方体とみなせ
るのであれば、それを補償するためには負の一軸性光学
異方体が好ましい。このような理由から本発明におけ
る、光学軸が法線方向から傾いた負の一軸性光学異方体
によって大幅な視野角特性が改善されたものと推定す
る。
【0015】以下、本発明について具体的に説明する。
本発明における光異性化物質は後述する様に、本発明の
光学補償シートの光学軸を制御するために必要であり、
光により立体異性化または構造異性化を起こすもので、
好ましくは、別の波長の光または熱によってその逆異性
化を起こすものである。これらの化合物として一般的に
は、構造変化と共に可視域での色調変化う伴うものは、
フォトクロミック化合物としてよく知られているものが
多く、具体的には、アゾベンゼン系化合物、ベンズアル
ドキシム系化合物、アゾメチン系化合物、スチルベン系
化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化
合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、
ケイ皮酸系化合物、レチナール系化合物、ヘミチオイン
ジゴ系化合物等が挙げられる。
【0016】また、本発明に有用な光異性化物質、即ち
光異性化しうる官能基を有する化合物はモノマーでもポ
リマーでもよく、ポリマーの場合、光異性化基が主鎖中
でも側鎖中でも同様の機能を発揮できる。また、ポリマ
ーはホモポリマーでも、コーポリマーでも良く、コーポ
リマーの共重合比は光異性化能、Tg等のポリマー物性
を適切に調節すべく適宜好ましい値で用いられる。ま
た、これらの光異性化しうる官能基を有する化合物が同
時に後述する液晶化合物であってもよい。すなわち、液
晶化合物の分子中に光異性化しうる官能基を含んでいて
もよい。これらについては、「高分子41巻12月号」
(高分子学会編 1992年)p884、「クロミック
材料と応用」(CMC編)p221、「メカノケミスト
リー」(丸善編)p21、「高分子論文集147巻10
号」(1991年)p771等にも具体的に記載されて
いる。
【0017】また、これらの光異性化物質は例えば、ア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、
複素環式基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、アシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルア
ミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、アルキル
スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ウ
レイド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオ
キシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホ
ニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシ
ルチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルホ基、スルファモイル基などの置換基を有して
いても良い。これらの置換基は、光異性化物質の長軸方
向に置換することが好ましいが、特に制約はない。以下
に、本発明に用いられる光異性化基を含む化合物の例を
下記に挙げる。しかし、本発明の光異性化物質の構造
は、特にこれらに限定されるものではない。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】本発明の反応性の官能基を有する化合物
は、光学補償シートを光学異方性にしている光異性化物
質等の配向を固定するために必要であり、不飽和二重結
合を有する化合物、親電子性基を有する化合物、あるい
は求核性基を有する化合物が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。不飽和二重結合を有する化合物
の代表的な例を下記に示す。
【0030】
【化12】
【0031】親電子性基の具体例としては、イソシアナ
ート基、エポキシ基、ビニルスルホン基、トリクロロト
リアジン基、活性エステル基、アルデヒド基等が挙げら
れ、下記に代表的な化合物の構造式を例示する。
【0032】
【化13】
【0033】又、求核性基の具体例としては、水酸基、
アミノ基、スルフィン基、フェノール性水酸基等が挙げ
られ、下記に代表的な化合物の構造式を例示する。
【0034】
【化14】
【0035】上記反応性の官能基を有する化合物はポリ
マーであっても、低分子化合物であってもよく、オリゴ
マーであっても構わない。
【0036】次に、反応性の官能基を有する化合物を反
応させるためには、不飽和二重結合を有する化合物の場
合、光または熱重合開始剤を用いることが好ましい。光
重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフ
ェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類等を挙げる
ことができる。これらの詳細については「紫外線硬化シ
ステム」(1989年、総合技術センター)63〜14
7ページ等に記載されている。熱重合開始剤の例として
は、アゾ化合物、有機過酸化物、無機過酸化物、スルフ
ィン酸等を挙げることができる。これらの詳細について
は高分子学会、高分子実験学編集委員会編「付加重合・
開環重合」(1983年、共立出版)の6〜18ページ
等に記載されている。親電子性基を有する化合物の場合
は、求核性基を有する化合物と反応させることが好まし
く、逆に求核性基を有する化合物の場合、親電子性基を
有する化合物と反応させることが好ましい。
【0037】本発明における負の一軸性とは、光学異方
性を有するシートの3軸方向屈折率を、その値が小さい
順にnα、nβ、nγとしたとき、nα<nβ=nγの
関係を有するものである。従って光学軸方向の屈折率が
最も小さいという特性を有するものである。ただし、n
βとnγの値は厳密に等しい必要はなく、ほぼ等しけれ
ば十分である。具体的には、|nβ−nγ|/|nβ−
nα|≦0.2であれば実用上問題ない。又、TFT、
TN型液晶セルの視野角特性を大幅に改良する条件とし
ては、光学軸はシート面の法線方向から5度〜50度傾
いていることが好ましく、10度〜40度がより好まし
く、10度〜30度が最も好ましい。更に、シートの厚
さをDとしたとき、100≦(nβ−nα)×D≦40
0nmの条件を満足することが好ましい。
【0038】次に、本発明の光学補償シートの製法に付
いて説明する。まず最初に、少なくとも一種の光異性化
物質および反応性の官能基を有する化合物を含むシート
を形成する。本発明におけるシートは、フイルム、膜、
シート、板状物、他の支持体状の塗布膜を含む広い概念
である。厚さは好ましくは、300μm以下であり、1
00μmがより好ましく、20μm以下が最も好まし
い。シートの形成方法は特に制限はなく、一般的に知ら
れている溶液流延法、溶融製膜法、塗布法などが好適に
利用される。また、本発明におけるシートは、光異性化
物質および反応性の官能基を有する化合物のみで形成さ
れていても、他の素材と混合されていてもよい。ただ
し、形成されたシートの光透過率は好ましくは70%以
上、更に好ましくは85%以上である。
【0039】シートの形成を塗布法で行う場合、少なく
とも一種の光異性化物質および反応性の官能基を有する
化合物を含む溶液を作製し、光透過率が少なくとも70
%以上のシート状物(支持体)上にワイヤバー、ギーサ
などを使ったコーターで塗布をすることが可能である。
この場合、支持体素材は光透過率が良好であることに加
えて、工学的等方性に近いことが好ましい。従って、ゼ
オネックス(日本ゼオン)、ARTON(日本合成ゴ
ム)、フジタック(富士フイルム)などの商品名で売ら
れている固有複屈折値が小さい素材から形成された支持
体が好ましい。しかし、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリスルホン等の固有複屈折値が大きい素材であ
っても製膜時に分子配向を抑制することによって光学的
等方的な支持体を形成することも可能であり、それらも
好適に利用できる。
【0040】負の一軸性であって、光学軸がシート法線
方向から傾斜した屈折率特性は、具体的には、光異性化
物質を少なくとも一種含むシートに、直線偏光をシート
面に対して斜入射で照射することによって発現させるこ
とができる。また、斜入射角度を制御することで光学軸
を任意に制御することが可能である。このことを更に詳
細に説明すると、光異性化物質を少なくとも一種含むシ
ート内に直線偏光が伝搬するとき、偏光の振動方向に光
学軸が形成されることが判明した。これは、偏光軸に直
交する面内にどの方向にもほぼ均一に光異性化能を有す
る部分が放射状に配列しているものと予想される。ま
た、その光学軸の方向はあくまでシート内での伝搬方向
に対する振動方向であって、シートに入射する直線偏光
の振動方向とは異なるが、入射直線偏光の伝搬方向とシ
ート内での伝搬方向はスネルの屈折の法則にしたがって
いるため、入射直線偏光の伝搬方向を制御することによ
って光軸の方向制御が可能である。
【0041】本発明の光異性化物質の直線偏光による再
配向化の過程については、以下の様に考えている。すな
わち、本発明における光異性化物質とは、光により立体
異性化または構造異性化を起こすものであり、好ましく
は、別の波長の光または熱によってその逆異性化を起こ
すものである。アゾ色素を例に取ると、光照射及び熱に
よってシス−トランスの異性化が頻繁に繰り返される。
その照射光が直線偏光の場合、その振動方向に吸収軸を
もった配向状態にあるアゾ基はその光を吸収し、異性化
を繰り返すが、その過程で偶然に光の振動方向に対し、
垂直方向またはそれに近い方向に配向したアゾ基は殆ど
あるいは全く光を吸収できなくなるため、ほぼその位置
で配向が固定されることになる。これが再配向化の過程
である。
【0042】具体例として、光異性化物質がアゾベンゼ
ンの場合について説明する。図4に示すようにトランス
形アゾベンゼン(A)の光吸収軸とほぼ一致した直線偏
光が照射されると光異性化によりシス形(B)になる。
(B)は熱の作用により(A)または(C)のトランス
形に変化する。(C)の吸収軸は直線偏光とほぼ直交す
るため(C)は光の作用を受けなくなり安定化する。安
定化する位置は直線偏光の軸に対して直交する平面内な
らどの部分も等しいため偏光軸が光軸となるような光学
異方体となる。また、主鎖方向より側鎖のアゾベンゼン
の光吸収軸の方向が屈折率が大きいため負の一軸性にな
るものと思われる。つまり、統計的に等方的な配向状態
にあるアゾベンゼンを含むシートに直線偏光を照射する
と、時間と共に直線偏光の振動方向に対して垂直な方向
に配向するアゾ基が増加する。この再配向化の方向と
は、直線偏光の振動方向に対して垂直な平面であり、該
平面内ではアゾ基はランダムな配向状態(面配向状態)
にある。この再配向化後のシートは、アゾ基の面配向
(ただし該面は入射直線偏光の振動方向に直交する面)
のために、該面内の屈折率が高く、その垂直方向(光の
振動方向)は低い複屈折性即ち負の一軸性が誘起される
と考えられる。
【0043】直線偏光の光源に関しては、光異性化が起
こる波長が素材によって異なるため最適な光源を一般的
に提示できるものではないが、波長領域が広い水銀ラン
プ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等は好適に利用で
きる。また、照射直線偏光強度(照度)に関しても、光
異性化物質による量子化収率や照射時のシート温度など
に大きく影響するためその都度最適化されるものである
ことは言うまでもない。偏光照射時のシート温度に関し
ては、シートを形成しているポリマーのTg(ガラス転
移点)より極端に低い温度域での照射では、分子運動が
抑制されているため、光異性化が抑制され、複屈折が発
現しにくい。また、Tgよりかなり高い温度域では、分
子の熱運動による緩和の寄与が大きくなるため複屈折が
発現しにくくなる。そのため、偏光照射時のシート温度
は、Tg近傍、具体的には、(Tg−30度)<(照射
時のシート温度)<(Tg+50度)が好ましい。
【0044】更に、光異性化物質は化学的な不活性化処
理によって、光学異方体の耐久性を向上させることがで
きる。光異性化物質は光の吸収によって異性化を起こす
ものである。そのため、既に所望の光学特性が得られた
シートにおいても光が照射する環境下にあっては、さら
に異性化が進行し、光学特性が経時的に変化するこが有
り得る。そのような現象を防ぐために、光を吸収する部
分即ち、アゾ基、イミノ基、ビニル基などの共役鎖構造
部分を分解(具体的には、酸化、還元、反応による解
裂)あるいはシート外への溶出などによって化学的に不
活性化し耐久性能を向上できる。以下実施例によって詳
細に説明する。
【0045】
【実施例】
実施例1 スチレン換算重量平均分子量が約2万の光異性化物質
(T−13,m=50%,n=50%)20g、反応性
の官能基を有する化合物(KF−1アロニックスM−3
09,東亜合成化学工業)10g、V−70(和光純薬
製)0.2gをメチレンクロライド70gに溶解し、溶
液とした。該溶液をドクターブレードでガラス板上に塗
設し、厚さ15μmのシートを得た。該シートを図5に
示す偏光照射装置にて、直線偏光を該シートに照射後、
40℃で30分間加熱して光学補償板(KH−1)を得
た。そのときの条件は以下の通りである。 オイル(屈折率=1.52):45℃ シート入射角θ:80° シート面での照度:20000ルクス 照射時間:1時間
【0046】実施例2 スチレン換算重量平均分子量が約2万の光異性化物質
(T−13,m=50%,n=50%)20g、反応性
ポリマー(KD−1)8g、エチレンジアミン(KK−
6)2重量%をメチレンクロライドに溶解し、溶液とし
た。該溶液をドクターブレードでガラス板上に塗設し、
厚さ15μmのシートを得た。該シートを実施例1と同
様の条件で、直線偏光を該シートに照射後、40℃で3
0分間加熱して光学補償板(KH−2)を得た。
【0047】比較例1 スチレン換算重量平均分子量が約2万の光異性化物質
(T−13,m=50%,n=50%)20重量%をメ
チレンクロライドに溶解し、溶液とした。該溶液をドク
ターブレードでガラス板上に塗設し、厚さ15μmのシ
ートを得た。該シートを実施例1と同様の条件で、直線
偏光を該シートに照射し、光学補償板(KH−3)を得
た。
【0048】実施例1〜2、比較例1の光学補償シート
について3軸方向屈折率及び光軸のシート法線方向から
の傾き角度を求めた。測定には島津製作所製エリプソメ
ーター(AEP−100)を透過モードにしてレターデ
ーションの角度依存性を求め、その値から最適な3軸方
向屈折率と光軸の方向を計算によって求めた。結果を表
1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】液晶の異常光と常光の屈折率の差と液晶セ
ルのギャップサイズの積が480nmでねじれ角が90
度のTN型液晶セルに実施例及び比較例で得た光学補償
シートを装着し、液晶セルに対して0V−5Vの30H
z矩形波におけるコントラストの角度依存性を大塚電子
製LCD−5000によって測定した。コントラスト1
0の位置を視野角と定義し、上下左右の視野角を求め
た。更に、このLCDを500hr、50℃で放置した
後上下方向の視角特性を測定した。結果を表2に示す。
尚、この測定におけるTN液晶セルの偏光板の偏光軸、
液晶セルのラビング軸、光学補償シートの光軸の方向に
ついては、図6に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2からわかる通り、本発明のKH−1お
よびKH−2を用いると、高温下に放置した後視覚特性
が改善されている。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、TN型液晶表示素子の
視野角特性が改善され、視認性に優れる高品位表示素子
を提供することができ、更に長期間安定に高品位な画像
を提供する事も出来る。また、本発明をTFTやMIN
などの3端子、2端子を用いたアクティブマトリックス
液晶表示素子に応用しても優れた効果が得られることは
言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のTN型液晶表示素子の構成図と表示面に
垂直に光が入射する場合の光の透過状態を説明する図で
ある。
【図2】従来のTN型液晶表示素子の構成図と表示面に
斜めに光が入射する場合の光の透過状態を説明する図で
ある。
【図3】本発明の液晶表示素子の構成の実施例を説明す
る図である。
【図4】光異性化物質の偏光による再配列のメカニズム
を示す図である。
【図5】光異性化物質を塗布したガラス基板に偏光を照
射する装置の図である。
【図6】本実施例に使用した液表示素子の光軸方向を示
す図である。
【符号の説明】
A、B:偏光板 PA、PB:偏光軸 LCS:TN型液晶セル RF:光学異方性素子 LO:入射光 L1:偏光板Aを通過した直線偏光 L2:TN型液晶セルを通過した偏光(主に楕円偏光) LC:TN型液晶セル内の液晶をモデル的に表現したも
の θ:直線偏光入射角度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−239421(JP,A) 特開 平4−113301(JP,A) 特開 平4−120512(JP,A) 特開 平2−114202(JP,A) 特開 昭64−86338(JP,A) 特開 平3−234787(JP,A) 特開 平4−284421(JP,A) 特開 平4−7520(JP,A) 特開 昭62−71905(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30 G02F 1/1335 G02F 1/13363

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程からなる光学補償シートの製
    造方法: (1)光異性化が可能な物質および重合反応が可能な官
    能基を有する化合物を含む混合物の膜を支持体表面に形
    成する工程; (2)上記(1)で形成された支持体表面の混合物膜に
    直線偏光を照射して、光異性化が可能な物質の光異性化
    と配向とを起こさせる工程;および (3)上記(2)にて光異性化し、配向した物質を含む
    混合物膜に光もしくは熱を付与することにより、該混合
    物膜中の重合反応が可能な官能基を有する化合物を重合
    させて、光異性化・配向した物質をその配向状態にて固
    定する工程。
  2. 【請求項2】 重合反応が可能な官能基を有する化合物
    が、不飽和二重結合を有する化合物、親電子性基を有す
    る化合物、もしくは求核性基を有する化合物である請求
    項1に記載の光学補償シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 直線偏光の照射を混合物膜に対して斜め
    方向に行なうことを特徴とする請求項1もしくは2に記
    載の光学補償シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちのいずれかの項に
    記載の製造方法により得られる光学補償シート。
  5. 【請求項5】 二枚の電極基板間に液晶を挟持してなる
    液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、およ
    び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚配置
    された請求項4に記載の光学補償シートを含む液晶表示
    装置。
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