JP3308863B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP3308863B2
JP3308863B2 JP19024397A JP19024397A JP3308863B2 JP 3308863 B2 JP3308863 B2 JP 3308863B2 JP 19024397 A JP19024397 A JP 19024397A JP 19024397 A JP19024397 A JP 19024397A JP 3308863 B2 JP3308863 B2 JP 3308863B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶は表示素子として非常に広範囲で用
いられている。現在用いられている液晶表示素子には、
代表的なものとして、TN(twisted nematic )モード
の液晶表示素子とSTN(super-twisted nematic )モ
ードの液晶表示素子が挙げられる。
【0003】図7(a)に示すように、TNモードの液
晶表示素子は、上下の基板のラビング方向が90°ずれ
ているため、内部のネマチックまたはキラルネマチック
の液晶分子103も90°ねじれた配向状態となってい
る。そして、上下の基板の偏光板101・102の偏光
軸を90°ねじれた状態で配置した場合、下の偏光板1
01を透過した光は、液晶分子103のねじれに沿って
旋光しながら液晶セル内を透過する。そして、光の電場
ベクトルが上の偏光板102と平行になっているため、
光は上の偏光板102を透過する。その結果、白状態が
得られる。
【0004】ここで、図7(b)に示すように、セルの
上下方向に電界を印加すると、液晶分子103が正の誘
電異方性を有するため、液晶分子103は、その長軸方
向が電界と平行であるような配向状態になる。この状態
では、液晶分子103はねじれていないため、光の旋光
は起こらず、光は上の偏光板102を透過しない。その
結果、黒状態が得られる。
【0005】このように、TN液晶表示素子では、電圧
のON、OFFによって白黒表示を可能としている。し
かし、モーガンの極限を満たすため、セル厚が5μm程
度と厚くなる。
【0006】また、図8(a)に示すように、STNモ
ードの液晶表示素子は、上下の基板のラビング方向が2
40°程度ずれており、内部のキラルネマチックの液晶
分子113も、ねじれ角が240°程度となるようにピ
ッチ補償がしてある。そして、電圧無印加時に白状態が
得られるが、その仕組みはTN液晶表示素子と異なり、
下の偏光板111を透過した光が、楕円偏光となって上
の偏光板112を透過することによっている。
【0007】ここで、図8(b)に示すように、セルの
上下方向に電界を印加すると、TN液晶表示素子と同
様、液晶分子113が立ち、光は上の偏光板112を透
過しない。その結果、黒状態が得られる。
【0008】さらに、最近、OCB(optically compen
sated birefringence )モードの液晶表示素子が発表さ
れている。図9(a)に示すように、このモードのセル
は、配向膜121・122と液晶分子125aを含むベ
ンド・セル125、偏光板123・124、2軸性フィ
ルム126とからなっている。また、配向膜121・1
22のラビング方向がほぼ平行なパラレルラビングであ
る。
【0009】ベンド・セル125はTNセル(図8
(a))と異なり、バイアス電圧が必要である。ベンド
・セル125は、上下の基板127・128に対して、
2次元で配向している。したがって、バイアス電圧がか
かっていないときは、液晶分子125aはスプレイ配向
状態になっている。このスプレイ配向状態の液晶分子1
25aに電圧を加えると、スプレイ配向状態、ツイスト
配向状態、ベンド配向状態の三つのうちのいずれかにな
る。
【0010】そこで、ベンド・セル125の上下の基板
127・128にバイアス電圧を印加することにより、
初期状態であるベンド配向状態(状態I、図9(b))
を達成する必要がある。その後、電圧変化によって液晶
分子125aの配向状態を、ベンド配向状態である状態
I(図9(b))と、垂直配向状態である状態II(図9
(c))との間で制御することにより、光の透過率を変
化させる。このベンド・セル125をノーマリーブラッ
クの液晶表示素子に用いた場合の光の透過率は、図10
に示すようになる。なお、グラフ中のIとIIは、上記の
状態IとIIを表す。(内田:「広視野角と高速応答を同
時に実現するセル技術を開発」、『フラットパネル・デ
ィスプレイ '95』、日経BP社、p.150 、(1994))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】液晶セルの応答時間
は、液晶層の厚みの二乗にほぼ比例して長くなるので、
液晶テレビなどのように速い応答特性が必要な場合に
は、セルの厚みを数μm程度と薄くしなければならな
い。
【0012】この点、上記従来のTNモードの液晶セル
は、モーガンの極限を満たす必要があるために液晶層の
厚みが5μm程度と厚くなり、応答速度は遅い。また、
上記従来のSTNモードの液晶セルは、ねじれ角が大き
いため応答速度が遅かった。
【0013】加えて、液晶層が厚いと、視角依存性が悪
化して見る方向や角度によって色や明るさなどが変化し
てしまい、広視野角を実現することが難しかった。
【0014】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、TNモード以上の応答速
度および広視野角を有する新規なモードの液晶表示素子
を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の液晶表示素子
は、上記の課題を解決するために、正の誘電異方性を有
する、ネマチック液晶材料からなる液晶層またはキラル
ネマチック液晶材料からなる液晶層を、該液晶層に電圧
を印加する電極を有する一対の基板間に保持した液晶表
示素子において、上記液晶層は、その液晶分子が印加電
圧の大きさに応じて少なくとも、ねじれた垂直配向状態
とねじれた水平配向状態とを取り得る液晶材料からな
り、かつ、上記液晶層の液晶分子のねじれた水平配向状
態およびねじれた垂直配向状態の二つの状態を用いて、
画素の表示状態のスイッチングを行うものであることを
特徴としている。
【0016】上記の構成により、正の誘電異方性を示す
液晶材料からなる液晶層にバイアス電圧を印加すること
で、その印加電圧の大きさに応じて液晶層の液晶分子を
ねじれた垂直配向状態とねじれた水平配向状態にするこ
とができる。
【0017】これにより、上記液晶層の液晶分子のねじ
れた水平配向状態とねじれた垂直配向状態の二つの状態
を用いて、画素の表示状態のスイッチングを行うことが
できる。したがって、これら二つの液晶分子の配向状態
を用いた新たなモードの液晶表示素子を形成することが
できる。
【0018】加えて、請求項1の液晶表示素子は、上記
液晶層は、感光性モノマーが添加されているとともに、
閾電圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶分子をねじれた
垂直配向状態あるいは垂直配向状態とした後、紫外線露
光を行い、液晶分子をねじれた垂直配向状態あるいは垂
直配向状態に安定化することによって、印加電圧を閾
圧Vth2 (Vth1 >Vth2 )とした後の液晶分子の配向
状態がねじれた水平配向状態に安定化されていることを
特徴としている。
【0019】上記の構成により、感光性のモノマーを液
晶中に混ぜ、閾電圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶分
子をねじれた垂直配向の状態にした後、紫外線露光を行
い、液晶分子をねじれた垂直配向の状態に安定化するこ
とによって、印加電圧を閾電圧Vth2 としたときの配向
状態をねじれた水平配向の状態に安定化することができ
る。
【0020】これにより、印加電圧を上記閾電圧Vth2
とした後、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状
態に安定化することができるため、白状態を連続して表
示することができる。よって、上記液晶表示素子を単純
マトリックスやアクティブマトリックスに用いて、画像
を表示することができる。
【0021】請求項2の液晶表示素子は、上記の課題を
解決するために、請求項1の構成に加えて、上記の一対
の基板は、そのラビング方向がほぼ一致し、かつ、該一
対の基板に一枚ずつ設けられた一対の偏光板は、一方の
偏光板の偏光軸が上記ラビング方向とほぼ一致するとと
もに、該一方の偏光板の偏光軸と他方の偏光板の偏光軸
とが直交し、かつ、該一対の基板間の厚さは、モーガン
の極限から決まる厚さよりも薄いことを特徴としてい
る。
【0022】上記の構成により、請求項1の構成による
作用に加えて、正の誘電異方性を示す液晶材料からなる
液晶層の液晶分子は、一対の基板のラビング方向がほぼ
一致しているため、初期状態である電圧無印加時におい
てスプレイ配向状態をとり、閾電圧Vth1 以上の電圧印
加時においてねじれた垂直配向状態をとり、その後閾電
圧Vth2 (Vth1 >Vth2 )の電圧印加時においてねじ
れた水平配向状態をとる。
【0023】これにより、液晶層に閾電圧Vth1 以上の
電圧を印加し、液晶分子をねじれた垂直配向状態にした
とき、偏光板の偏光軸が直交しているため、液晶表示素
子を黒状態にすることができる。また、その後印加する
電圧を閾電圧Vth2 とし、液晶層の液晶分子をねじれた
水平配向状態にしたとき、液晶表示素子を白状態にする
ことができる。ここで、白状態になる理由は、液晶セル
をモーガンの極限から決まる厚さよりも薄く(例えば、
3μm以下)することにより、光は液晶層中を液晶分子
に沿って途中まで旋光するが、液晶分子のねじれ角が大
きいため最後まで液晶分子に沿うことができず、その後
は複屈折によって光が透過するためである。
【0024】以上より、上記液晶層の液晶分子のねじれ
た水平配向状態とねじれた垂直配向状態の二つの状態を
用いて、画素の表示状態のスイッチングを行うことがで
きる。したがって、これら二つの液晶分子の配向状態を
用いた、新たなモードの液晶表示素子を形成することが
できる。
【0025】また、液晶セルをモーガンの極限から決ま
る厚さよりも薄く(例えば、3μm以下)することによ
り、従来のTNモードの液晶表示素子よりも応答速度を
高速にすることができるとともに、広視野角を確保する
ことができる。さらに、十分なコントラストも確保する
ことができる。
【0026】請求項3の液晶表示素子は、請求項1また
は2の構成に加えて、上記液晶層は、電圧を印加しない
時、液晶分子の配向状態がスプレイ配向状態であること
を特徴としている。
【0027】請求項4の液晶表示素子は、上記の課題を
解決するために、請求項1または2の構成に加えて、上
記液晶層は、上記液晶層の液晶分子のねじれた水平配向
状態におけるねじれ角が上記の一対の基板間でほぼ18
0°となるように、キラル剤が添加されていることを特
徴としている。
【0028】上記の構成により、請求項1または2の構
成による作用に加えて、液晶にキラル剤を添加し、18
0°ねじれの液晶とすることによって、印加電圧を上記
閾電圧Vth2 としたときの配向状態を、ねじれた水平配
向の状態に安定化することができる。
【0029】これにより、印加電圧を上記閾電圧Vth2
とした後、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状
態に安定化することができるため、白状態を連続して表
示することができる。また、白状態のときのディスクリ
ネーションの発生を防ぐことができる。よって、上記液
晶表示素子を単純マトリックスやアクティブマトリック
スに用いて、画像を表示することができる。
【0030】請求項5の液晶表示素子は、上記の課題を
解決するために、請求項1の構成に加えて、上記の一対
の基板は、そのラビング方向がほぼ一致し、かつ、上記
液晶層は、二色性色素が添加されていることを特徴とし
ている。
【0031】上記の構成により、請求項1の構成による
作用に加えて、棒状構造の二色性色素を用いると、色素
分子は液晶分子に平行に配向する性質があるので、電界
を印加して液晶分子の配向状態を変化させると、色素の
配向方向も変化する。この色素は方向によって着色した
りしなかったりするので、電圧を印加することによって
セルの着色、無着色を切り換えることができる。
【0032】これにより、液晶分子の配向方向がほぼ一
致している液晶セルに、二色性色素を添加することによ
って、上記閾電圧Vth1 以上の電圧の印加時には、液晶
分子がねじれた垂直配向の状態となり、光が二色性色素
に吸収されずに透過するため、白状態とすることができ
る。また、印加電圧を上記閾電圧Vth2 としたときに
は、液晶分子がねじれた水平配向の状態となり、光が二
色性色素に吸収されるため、黒状態とすることができ
る。
【0033】したがって、白黒表示を安定して行えるた
め、上記液晶表示素子を単純マトリックスやアクティブ
マトリックスに用いて、画像を表示することができる。
また、偏光板を設置しなくてもよいため、反射型ディス
プレイにも使用することができる。
【0034】請求項6の液晶表示素子は、上記の課題を
解決するために、請求項1または2の構成に加えて、上
記液晶層の液晶分子がねじれた水平配向状態であると
き、スプレイ配向状態への転移が始まる前に、ねじれた
水平配向状態を維持するに十分な電圧と印加時間を有す
る波形のリセットパルスを印加することを特徴としてい
る。
【0035】上記の構成により、請求項1または2の構
成による作用に加えて、上記液晶表示素子に、上記閾電
圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶分子をねじれた垂直
配向状態として黒状態にした後、印加電圧を上記閾電圧
Vth2 とし、液晶分子をねじれた水平配向として白状態
にする。その後、液晶分子が、ねじれた水平配向状態か
らスプレイ配向状態への転移が始まる前に、液晶層にリ
セットパルスを印加することによって、液晶分子をねじ
れた水平配向状態に維持することができる。
【0036】これにより、印加電圧を上記閾電圧Vth2
としたとき、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の
状態に維持することができるため、白状態を連続して表
示することができる。
【0037】したがって、上記液晶表示素子を単純マト
リックスやアクティブマトリックスに用いて、画像を表
示することができる。
【0038】請求項7の液晶表示素子は、上記の課題を
解決するために、請求項1または2の構成に加えて、上
記リセットパルスを周期的に印加することを特徴として
いる。
【0039】上記の構成により、請求項1または2の構
成による作用に加えて、上記液晶表示素子に、上記閾電
圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶分子をねじれた垂直
配向状態として黒状態にした後、印加電圧を上記閾電圧
Vth2 とし、液晶分子をねじれた水平配向状態として白
状態にする。その後、液晶分子が、ねじれた水平配向状
態からスプレイ配向状態への転移が始まる前に、周期的
に液晶層にリセットパルスを印加することによって、液
晶分子をねじれた水平配向状態に維持することができ
る。
【0040】これにより、印加電圧を上記閾電圧Vth2
とした後、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状
態に維持することができるため、白状態を連続してより
安定して表示することができる。
【0041】したがって、上記液晶表示素子を単純マト
リックスやアクティブマトリックスに用いて、画像を表
示することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
1から図6に基づいて説明すれば、以下のとおりであ
る。
【0043】まず、本実施の形態に係る液晶セルの基本
的な構成について、図2を参照しながら説明する。
【0044】本実施の形態に係る液晶セル16は、互い
に対向する2枚のガラス基板1・2を有している。な
お、透光性かつ絶縁性を有しておれば、ガラス基板1・
2の代わりにポリメチルメタクリレート等の樹脂からな
る基板を用いてもよい。
【0045】上記ガラス基板1の表面には、例えばイン
ジウム錫酸化物(ITO)からなる複数の透明な電極3
…が1000Åの厚さで互いに平行に形成されている。
上記電極3…の上には、例えばSiO2 の斜方蒸着や、
ロールコート法、スピンコート法等によって、透明な絶
縁膜4(A2014、日産化学工業株式会社製)が12
00Åの厚さで積層される。なお、上記絶縁膜4の形成
においては、絶縁膜溶液をスピンコートした後、200
℃、90分焼成する。ただし、絶縁膜4は必須のもので
はない。
【0046】一方、ガラス基板2上には、電極3…と同
じ材料、同じ厚さからなる複数の透明な電極5…が、電
極3…と直交するように互いに平行に配置されている。
その上には、絶縁膜4と同じ材料、同じ厚さからなる透
明な絶縁膜6が積層されている。ただし、絶縁膜6も必
須のものではない。
【0047】上記絶縁膜4・6上には、ラビング処理な
どの一軸配向処理が施された配向膜7・8(SE−77
92、日産化学工業株式会社製)が500Åの厚さで形
成されている。なお、上記配向膜7・8は、可溶性ポリ
イミド膜やポリアミック酸などを、ロールコート法また
はスピンコート法などによって基板に塗布し、成膜され
る。本実施の形態では、配向膜溶液をスピンコートした
後、180℃、90分焼成することによって形成する。
【0048】ここで、プレチルト角は、1°から10°
程度がよい。なお、本実施の形態で用いた上記配向膜7
・8の材料のプレチルト角(カタログ値)は、7°〜8
°である。
【0049】ガラス基板1において電極3…が形成され
る側の反対側の面には、偏光板11が設けられている。
一方、ガラス基板2において電極5…が形成される側の
反対側の面には、偏光板12が設けられている。
【0050】上記のように、ガラス基板1、電極3…、
絶縁膜4、配向膜7および偏光板11により、電極基板
(基板)13が形成される。一方、ガラス基板2、電極
5…、絶縁膜6、配向膜8および偏光板12により、電
極基板(基板)14が形成される。
【0051】そして、電極基板13・14は、散布され
た1.4μmのスペーサ15によって、ほぼ均一の間隔
に保たれ、かつシール剤9により貼り合わされている。
ここで、特に、本実施の形態では、図3に示すように、
電極基板13・14は、配向膜7・8のラビング方向が
ほぼ一致する(θ:ラビング方向のずれ角、0<θ<1
0°)とともに、偏光板12の偏光軸が、配向膜7・8
のラビング方向のなす挟角の間にあり(φ:偏光軸とラ
ビング方向のなす角、0<φ<θ)、偏光板11の偏光
軸が偏光板12の偏光軸と直交するよう配置されてい
る。
【0052】このようにセル厚1.4〜1.5μmで一
定に保たれた電極基板13・14の間に形成された空間
に、液晶分子10a(図1)からなる正の誘電異方性を
有するネマチック液晶材料(E8、メルク社製)が注入
口(図示しない)より注入されて液晶層10が形成され
ている。上記注入口は、液晶層10の形成後、封止剤に
より封止されている。
【0053】なお、本実施の形態の液晶セル16は、O
CBモードの液晶セル(図9(a))と、ラビング方向
をほぼ平行とするのは同じであるが、2軸性フィルム1
26を使わないこと、および、一方の偏光板の偏光軸と
ラビング方向がほぼ一致しており、他方がそれらの方向
と直交するように設けられていることが相違している。
【0054】つぎに、本実施の形態の液晶セル16の動
作について、図1、および図4ないし図6を用いて説明
する。
【0055】液晶セル16を観察しながら電圧を徐々に
印加していくと、以下のような現象が観察される。
【0056】(1)0V 液晶セル16に電圧を印加しない時、つまり初期状態で
は液晶分子10aの配向状態は、スプレイ配向である
(図1(a))。したがって、偏光板11・12の偏光
軸が直交するよう配置されているため、光は透過せず黒
状態となる(図4(a))。また、液晶セル16の真上
および斜めから観察しても、光のもれはなく黒状態であ
る。
【0057】(2)0V〜3V 液晶セル16に電圧を印加し、徐々に高くしていく。こ
のとき、液晶セル16を真上から観察すると黒状態であ
るが、斜めから観察すると光が透過してくるのが見え
る。また、このときの液晶分子10aの配向状態は、そ
の長軸が電界と平行に立ち始めている状態である。
【0058】(3)3V〜5V(閾電圧Vth1 ) さらに印加する電圧を高くすると、電圧無印加時よりも
黒く、丸いドメインD1が液晶セル16の数カ所から発
生し始める(図4(b))。このドメインD1は、斜め
から観察しても黒い。その後、さらに電圧を徐々に高く
すると、5V程度(閾電圧Vth1 )で液晶セル16の全
面を覆うまでにドメインD1が成長し、液晶セル16の
全面が黒状態となる(図4(c))。このときの液晶分
子10aの配向状態は、ねじれた垂直配向あるいは垂直
配向(ねじれ角が0°)になっている(図1(b))。
なお、図1(b)中の釘は、釘の頭の方が紙面に対して
向こう側に倒れている液晶分子10aを示している。
【0059】(4)微小電圧(1V以下、閾電圧Vth2
)(直後) つづいて、上記の状態(図1(b)・図4(c))で印
加電圧を、5V(閾電圧Vth1 )から1V以下の微小電
圧(閾電圧Vth2 )にすると、光は透過し、液晶セル1
6の全面が白状態となる(図4(d))。このときの液
晶分子10aの配向状態は、ねじれた水平配向となって
いる(図1(c))。なお、図1(c)中の釘は、釘の
頭の方が紙面に対して向こう側に倒れている液晶分子1
0aを示している。
【0060】(5)微小電圧(1V以下、閾電圧Vth2
)(数秒後) 印加電圧を1V以下の微小電圧(閾電圧Vth2 )とし
て、液晶分子10aの配向状態がねじれた水平配向状態
になり(図1(c))、白状態となった(図4(d))
後、時間の経過とともに、白状態の液晶セル16の数カ
所から、黒く丸いドメインD2が成長し始める(図4
(e))。さらに時間が経つと、このドメインD2が液
晶セル16の全面を覆い、初期状態と同じ黒状態になる
(図4(f))。このときの液晶分子10aの配向状態
は、初期の配向状態であるスプレイ配向に戻っている
(図1(a))。なお、(4)、(5)の微小電圧(1
V以下、閾電圧Vth2 )は、0Vであってもよい。
【0061】上記のように、本実施の形態に係る液晶セ
ル16に閾電圧Vth1 以上の電圧を印加することで、液
晶分子10aの配向状態がねじれた垂直配向か垂直配向
(図1(b))となり黒状態(図4(c))を達成で
き、その後印加電圧を1V以下の微小電圧(閾電圧Vth
2 )とすることで、液晶分子10aの配向状態がねじれ
た水平配向(図1(c))となり白状態(図4(d))
を達成できる。したがって、液晶分子10aの、この二
つの配向状態を用いた、新たなモードの液晶表示素子を
形成することができる。
【0062】ここで、液晶分子10aの配向状態につい
て補足しておく。
【0063】白状態である(4)のときの液晶分子10
aの配向状態を調べるため、顕微鏡観察を行うと、図5
に示すようなディスクリネーションD3が発生してい
た。そして、(4)において液晶セル16が白状態にな
るには、 (A)液晶分子10aがねじれた水平配向となる (B)液晶分子10aがランダムな方向に倒れる の2通りが考えられる。もし(B)の配向状態であるな
らば、偏光板の偏光軸と平行な方向が暗くなるようなテ
クスチャーにならなければならないが、そのようなこと
は観察されなかった。したがって、(A)の配向状態に
なっていると考えられる。
【0064】さらに、(A)の配向状態において、ディ
スクリネーションD3が発生することから、白状態では
180°ねじれた配向状態(図1(c))をとってお
り、そのため右180°ねじれと、左180°ねじれが
存在し、ディスクリネーションD3はその境界で出現し
ていると考えられる。
【0065】つぎに、(3)の丸く暗いドメインD1の
配向状態を調べるために、(3)において電圧を5V
(閾電圧Vth1 )まで上げず、ドメインD1が若干成長
し始めた段階で電圧を0V(閾電圧Vth2 )にした。こ
のとき、ドメインD1だった部分が、白状態となり、そ
の他の部分は黒い初期状態と同じ状態となった。
【0066】このことから、ドメインD1は白状態であ
る180°ねじれ構造と密接な関係があり、そのときの
液晶分子10aの配向状態は図1(b)のように垂直配
向、または180°ねじれた垂直配向状態となっている
と考えられる。
【0067】なお、(4)の白状態のときの液晶層10
には、右ねじれの液晶分子10aと左ねじれの液晶分子
10aが混在して、ディスクリネーションD3(図5)
が発生しているが、このディスクリネーションD3の発
生を防止するために、つぎの二つの方法が考えられる。
第一の方法は、電極基板13・14のラビング方向のず
れ角θを0°から徐々に大きくすることによって、液晶
分子10aのねじれの方向をどちらか一方のねじれに統
一する。第二の方法は、液晶層10に占めるキラルネマ
チック液晶材料の比率を大きくすることによって、どち
らか一方のねじれ力を強め、液晶分子10aのねじれの
方向をどちらか一方に統一する。
【0068】しかしながら、実際に、このモードを単純
マトリックスやアクティブマトリックスに用いて、画像
を表示する場合、(4)の白状態を保たなくてはならな
い。
【0069】そこで、白状態を安定化する方法として、
つぎの4つの方法が考えられる。
【0070】(A)リセットパルスを印加する方法 液晶セル16に、閾電圧Vth1 以上の電圧を印加し、液
晶分子10aをねじれた垂直配向あるいは垂直配向の状
態(図1(b))として黒状態(図4(c))にした
後、印加電圧を閾電圧Vth2 とし、液晶分子10aをね
じれた水平配向(図1(c))として白状態(図4
(d))にし、その後リセットパルスを印加する。ここ
で、印加するリセットパルスは、液晶分子10aをねじ
れた垂直配向あるいは垂直配向の状態(図1(b))と
するのに十分な大きさ(閾電圧Vth1 以上の電圧)と印
加時間を有する電圧パルスであればよく、また、液晶分
子10aの配向状態がねじれた水平配向からスプレイ配
向へ移行する前に印加されればよい。例えば、1フレー
ム(16ms)ごとに印加してもよい。
【0071】本実施の形態では、図6(a)に示すよう
に、矩形波の電圧パルスを、DCバランスを考慮して正
負交互に周期的に印加した。このとき、透過光の透過率
の変化は、図6(b)に示すようになった。透過光の透
過率は、電圧パルスの印加終点(T0 )より徐々に上昇
して100%に達し、印加始点(T3 )より急速に下降
し0%に達する。これによって、白状態を連続して表示
することができた。なお、詳細な実験結果については後
述する。
【0072】(B)感光性モノマーを液晶層に混ぜ、紫
外線照射を行う方法 感光性のモノマーを液晶層10に混ぜ、閾電圧Vth1 以
上の電圧を印加し、液晶分子10aをねじれた垂直配向
状態あるいは垂直配向状態(図1(b))として黒状態
(図4(c))にした後、紫外線露光を行い、液晶分子
10aをねじれた垂直配向状態あるいは垂直配向状態に
安定化することによって、印加電圧を閾電圧Vth2 とし
た後の配向状態を白状態のねじれた水平配向(図1
(c))に安定化することができる。
【0073】本実施の形態では、ネマチック液晶材料E
8に感光性モノマーを1%添加し、閾電圧Vth1 以上の
電圧を印加し、液晶分子10aがねじれた垂直配向状態
あるいは垂直配向状態にして(図1(b))、紫外線を
4mW/cm2 で3分間照射した。これにより、印加電
圧を閾電圧Vth2 とした後、液晶分子10aの配向状態
をねじれた水平配向状態(図1(c))に安定化するこ
とができ、白状態を連続して表示することができた。な
お、液晶分子10aをねじれた垂直配向状態あるいは垂
直配向状態(図1(b))とするために印加する電圧
は、図6(a)に示したようなリセットパルスであって
もよい。
【0074】(C)液晶分子のねじれが180°となる
ように、液晶材料にキラル剤を添加する方法 d(セル厚)/P(螺旋ピッチ)≒1/2、すなわち1
80°ねじれとなるようにキラルネマチック液晶材料を
添加した液晶材料を、液晶層10に注入する。これによ
り、電圧無印加状態である初期状態で、液晶セル16は
白状態となる。そして、この液晶セル16に電圧を徐々
に印加しても、図4(b)に示したようなドメインD1
の成長はなく、液晶分子10aの長軸が電界方向と平行
に立つにつれて、徐々に暗状態に変化する。さらに、電
圧を切った後もすぐに白状態に戻る。すなわち、液晶分
子10aの初期の配向状態を水平配向(図1(c))と
することができ、白状態を安定化することができる。
【0075】(D)二色性色素を添加する方法 偏光板のない液晶セルに、二色性色素を添加した液晶材
料を注入する。このような液晶セルに閾電圧Vth1 以上
の電圧を印加すると、液晶分子の配向状態はねじれた垂
直配向状態あるいは垂直配向状態(図1(b))とな
り、光は二色性色素に吸収されずに透過する。また、印
加電圧を閾電圧Vth2 とすると、液晶分子の配向状態は
ねじれた水平配向状態(図1(c))となり、光が二色
性色素に吸収され、黒状態となる。
【0076】本実施の形態では、ネマチック液晶材料E
8に、二色性色素を2%添加して液晶セル16に注入し
た。あわせて、上下の電極基板13・14から、偏光板
11・12を取り除いた。なお、上記のような液晶セル
は、液晶中に二色性色素を添加することで、偏光板を設
置しなくても白黒表示ができることから、反射型ディス
プレイにも使用することができる。
【0077】ここで、本実施の形態に係る液晶セルの応
答速度と、輝度およびコントラストについての実験結果
を示す。なお、液晶セルはセル厚1.4μmのものを用
い、35℃において駆動させた。また、印加するリセッ
トパルスは、10V、500μsの矩形波を50msご
とに、正負交互に周期的に印加した(図6(b))。
【0078】・応答速度(セル厚1.4μm) 電圧パルス終点より、透過率が10%になるまでの時間 T0 →T1 7.8ms 透過率が10%から90%まで変化する時間 T1 →T2 8.2ms 電圧パルス印加後、透過率が90%から10%まで変化
する時間 T3 →T4 34μs ・輝度およびコントラスト(白状態と黒状態の輝度およ
びコントラスト) 明状態 76cd/m2 暗状態 0.5cd/m2 コントラスト 152:1 また、液晶セルのセル厚を2.6μmとした場合の応答
速度も示しておく。なお、条件は上記のものと同一であ
る。
【0079】・応答速度(セル厚2.6μm) 電圧パルス終点より、透過率が10%になるまでの時間 T0 →T1 16.0ms 透過率が10%から90%まで変化する時間 T1 →T2 15.0ms 電圧パルス印加後、透過率が90%から10%まで変化
する時間 T3 →T4 290μs 以上のように、本実施の形態に係る液晶セルは、閾電圧
Vth1 以上の電圧を印加することで、液晶分子10aを
ねじれた垂直配向状態あるいは垂直配向状態(図1
(b))として黒状態(図4(c))を安定して達成で
きるとともに、その後印加電圧を閾電圧Vth2 (Vth1
>Vth2 )とすることで、液晶分子10aをねじれた水
平配向状態(図1(c))として白状態(図4(d))
を安定して達成できることから、これら二つの液晶分子
10aの配向状態を用いた、新たなモードの液晶表示素
子を形成することができる。
【0080】そして、液晶セルをセル厚3μm以下のパ
ラレルラビングセルとして薄くすることにより、TNモ
ードの液晶表示素子よりも高速応答および広視野角を確
保することができる。さらに、十分なコントラストも確
保することができる。
【0081】なお、本実施の形態に係る液晶セルは、セ
ル厚が3μm以下であればよいが、セル厚をさらに薄く
して1.5μm以下にすることで、より高速な応答特性
を実現することができる。
【0082】
【発明の効果】請求項1の発明の液晶表示素子は、以上
のように、正の誘電異方性を有する、ネマチック液晶材
料からなる液晶層またはキラルネマチック液晶材料から
なる液晶層を、該液晶層に電圧を印加する電極を有する
一対の基板間に保持した液晶表示素子において、上記液
晶層は、その液晶分子が印加電圧の大きさに応じて少な
くとも、ねじれた垂直配向状態とねじれた水平配向状態
とを取り得る液晶材料からなり、上記液晶層の液晶分子
のねじれた水平配向状態およびねじれた垂直配向状態の
二つの状態を用いて、画素の表示状態のスイッチングを
行うものであって、感光性モノマーが添加されていると
ともに、閾電圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶分子を
ねじれた垂直配向状態あるいは垂直配向状態とした後、
紫外線露光を行い、液晶分子をねじれた垂直配向状態あ
るいは垂直配向状態に安定化することによって、印加電
圧を閾電圧Vth2 (Vth1 >Vth2 )とした後の液晶分
子の配向状態がねじれた水平配向状態に安定化されてい
構成である。
【0083】それゆえ、上記液晶層の液晶分子のねじれ
た水平配向状態とねじれた垂直配向状態の二つの状態を
用いて、画素の表示状態のスイッチングを行うことがで
きる。したがって、これら二つの液晶分子の配向状態を
用いた新たなモードの液晶表示素子を形成することがで
きるという効果を奏する。
【0084】加えて、印加電圧を閾電圧Vth2 とした
後、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状態に安
定化することができるため、白状態を連続して表示する
ことができる。よって、上記液晶表示素子を単純マトリ
ックスやアクティブマトリックスに用いて、画像を表示
することができるという効果を奏する。
【0085】請求項2の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1の構成に加えて、上記の一対の基板
は、そのラビング方向がほぼ一致し、かつ、該一対の基
板に一枚ずつ設けられた一対の偏光板は、一方の偏光板
の偏光軸が上記ラビング方向とほぼ一致するとともに、
該一方の偏光板の偏光軸と他方の偏光板の偏光軸とが直
交し、かつ、該一対の基板間の厚さは、モーガンの極限
から決まる厚さよりも薄い構成である。
【0086】それゆえ、請求項1の構成による効果に加
えて、液晶層に閾電圧Vth1 以上の電圧を印加し、液晶
分子をねじれた垂直配向状態にしたとき、偏光板の偏光
軸が直交しているため、液晶表示素子を黒状態にするこ
とができる。また、その後印加する電圧を閾電圧Vth2
とし、液晶層の液晶分子をねじれた水平配向状態にした
とき、液晶表示素子を白状態にすることができる。
【0087】したがって、以下のような効果を奏する。
上記液晶層の液晶分子のねじれた水平配向状態とねじれ
た垂直配向状態の二つの状態を用いて、画素の表示状態
のスイッチングを行うことができる。よって、これら二
つの液晶分子の配向状態を用いた、新たなモードの液晶
表示素子を形成することができる。また、液晶セルをモ
ーガンの極限から決まる厚さよりも薄く(例えば、3μ
m以下)することにより、従来のTNモードの液晶表示
素子よりも応答速度を高速にすることができるととも
に、広視野角を確保することができる。さらに、十分な
コントラストも確保することができる。
【0088】請求項3の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1または2の構成に加えて、上記液晶層
は、電圧を印加しない時、液晶分子の配向状態がスプレ
イ配向状態である構成である。
【0089】請求項4の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1または2の構成に加えて、上記液晶層
は、上記液晶層の液晶分子のねじれた水平配向状態にお
けるねじれ角が上記の一対の基板間でほぼ180°とな
るように、キラル剤が添加されている構成である。
【0090】それゆえ、請求項1または2の構成による
効果に加えて、印加電圧を上記閾電圧Vth2 とした後、
液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状態に安定化
することができるため、白状態を連続して表示すること
ができる。また、白状態のときのディスクリネーション
の発生を防ぐことができる。よって、上記液晶表示素子
を単純マトリックスやアクティブマトリックスに用い
て、画像を表示することができるという効果を奏する。
【0091】請求項5の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1の構成に加えて、上記の一対の基板
は、そのラビング方向がほぼ一致し、かつ、上記液晶層
は、二色性色素が添加されている構成である。
【0092】それゆえ、請求項1の構成による効果に加
えて、液晶分子の配向方向がほぼ一致している液晶セル
に、二色性色素を添加することによって、上記閾電圧V
th1以上の電圧の印加時には、液晶分子がねじれた垂直
配向の状態となり、光が二色性色素に吸収されずに透過
するため、白状態とすることができる。また、印加電圧
を上記閾電圧Vth2 としたときには、液晶分子がねじれ
た水平配向の状態となり、光が二色性色素に吸収される
ため、黒状態とすることができる。
【0093】したがって、白黒表示を安定して行えるた
め、上記液晶表示素子を単純マトリックスやアクティブ
マトリックスに用いて、画像を表示することができると
いう効果を奏する。また、偏光板を設置しなくてもよい
ため、反射型ディスプレイにも使用することができると
いう効果を奏する。
【0094】請求項6の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1または2の構成に加えて、上記液晶層
の液晶分子がねじれた水平配向状態であるとき、スプレ
イ配向状態への転移が始まる前に、ねじれた水平配向状
態を維持するに十分な電圧と印加時間を有する波形のリ
セットパルスを印加する構成である。
【0095】それゆえ、請求項1または2の構成による
効果に加えて、印加電圧を上記閾電圧Vth2 としたと
き、液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状態に維
持することができるため、白状態を連続して表示するこ
とができる。
【0096】したがって、上記液晶表示素子を単純マト
リックスやアクティブマトリックスに用いて、画像を表
示することができるという効果を奏する。
【0097】請求項7の発明の液晶表示素子は、以上の
ように、請求項1または2の構成に加えて、上記リセッ
トパルスを周期的に印加する構成である。
【0098】それゆえ、請求項1または2の構成による
効果に加えて、印加電圧を上記閾電圧Vth2 とした後、
液晶分子の配向状態をねじれた水平配向の状態に維持す
ることができるため、白状態を連続してより安定して表
示することができる。
【0099】したがって、上記液晶表示素子を単純マト
リックスやアクティブマトリックスに用いて、画像を表
示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液晶表示素子の液
晶分子の配向状態を示す説明図であり、(a)は初期の
状態、(b)は電圧が印加された状態、(c)は電圧の
印加が除去された状態を示す。
【図2】図1の液晶表示素子を用いた液晶セルの構成の
概略を示す断面図である。
【図3】図2の液晶セルの電極基板の貼り合わせにおけ
るラビング方向と偏光方向の関係を示す説明図である。
【図4】図2の液晶セルを真上から観察しながら電圧を
徐々に印加したときの液晶セルの様子を示す説明図であ
り、(a)は初期の状態、(b)は電圧が印加された状
態、(c)はさらに電圧が印加された状態、(d)は電
圧の印加が除去された状態、(e)は電圧の印加の除去
後数秒たった状態、(f)は電圧の印加の除去後さらに
時間がたった状態を示す。
【図5】図2の液晶セルに印加されていた電圧を除去し
たときに現れるディスクリネーションの模写図である。
【図6】図2の液晶セルにリセットパルスを印加したと
きの液晶セルの透過率の変化を示す動作タイミングの説
明図であり、(a)は印加するリセットパルスの波形、
(b)は透過率の応答波形である。
【図7】従来のTNモードの液晶表示素子の概略を示す
説明図であり、(a)は電圧を印加していないときの液
晶分子の配向状態、(b)は電圧を印加したときの液晶
分子の配向状態である。
【図8】従来のSTNモードの液晶表示素子の概略を示
す説明図であり、(a)は電圧を印加していないときの
液晶分子の配向状態、(b)は電圧を印加したときの液
晶分子の配向状態である。
【図9】従来のOCBモードの液晶表示素子の概略を示
す説明図であり、(a)は液晶セルの構成の概略、
(b)は電圧を印加していないときの液晶分子の配向状
態、(c)は電圧を印加したときの液晶分子の配向状態
である。
【図10】従来のOCBモードの液晶表示素子の電圧透
過率特性のグラフである。
【符号の説明】
3・5 電極 10 液晶層 10a 液晶分子 11・12 偏光板 13・14 電極基板(基板)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−313909(JP,A) 特開 昭63−74030(JP,A) 特開 平9−90432(JP,A) 特開 平9−96790(JP,A) 特開 平7−239483(JP,A) 特開 平8−152609(JP,A) 特開 平9−101504(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/137

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正の誘電異方性を有する、ネマチック液晶
    材料からなる液晶層またはキラルネマチック液晶材料か
    らなる液晶層を、該液晶層に電圧を印加する電極を有す
    る一対の基板間に保持した液晶表示素子において、 上記液晶層は、その液晶分子が印加電圧の大きさに応じ
    て少なくとも、ねじれた垂直配向状態とねじれた水平配
    向状態とを取り得る液晶材料からなり、 上記液晶層の液晶分子のねじれた水平配向状態およびね
    じれた垂直配向状態の二つの状態を用いて、画素の表示
    状態のスイッチングを行うものであって、 感光性モノマーが添加されているとともに、閾電圧Vth
    1 以上の電圧を印加し、液晶分子をねじれた垂直配向状
    態あるいは垂直配向状態とした後、紫外線露光を行い、
    液晶分子をねじれた垂直配向状態あるいは垂直配向状態
    に安定化することによって、印加電圧を閾電圧Vth2
    (Vth1 >Vth2 )とした後の液晶分子の配向状態がね
    じれた水平配向状態に安定化されている ことを特徴とす
    る液晶表示素子。
  2. 【請求項2】上記の一対の基板は、そのラビング方向が
    ほぼ一致し、 かつ、該一対の基板に一枚ずつ設けられた一対の偏光板
    は、一方の偏光板の偏光軸が上記ラビング方向とほぼ一
    致するとともに、該一方の偏光板の偏光軸と他方の偏光
    板の偏光軸とが直交し、 かつ、該一対の基板間の厚さは、モーガンの極限から決
    まる厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1記載の液
    晶表示素子。
  3. 【請求項3】上記液晶層は、電圧を印加しない時、液晶
    分子の配向状態がスプレイ配向状態であることを特徴と
    する請求項1または2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】上記液晶層は、上記液晶層の液晶分子のね
    じれた水平配向状態におけるねじれ角が上記の一対の基
    板間でほぼ180°となるように、キラル剤が添加され
    ていることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表
    示素子。
  5. 【請求項5】上記の一対の基板は、そのラビング方向が
    ほぼ一致し、 かつ、上記液晶層は、二色性色素が添加されていること
    を特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】上記液晶層の液晶分子がねじれた水平配向
    状態であるとき、スプレイ配向状態への転移が始まる前
    に、ねじれた水平配向状態を維持するのに十分な電圧と
    印加時間を有する波形のリセットパルスを印加すること
    を特徴とする請求項1または2記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】上記リセットパルスを周期的に印加するこ
    とを特徴とする請求項6記載の液晶表示素子。
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