JP3308345B2 - 電解槽の操作方法 - Google Patents

電解槽の操作方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属表面酸洗処理済液
などの液中に溶解する荷電解離性金属陽イオン性溶解物
をイオン選択性分離膜を隔膜として泳動分離操作する電
解槽の操作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】既に本出願人は、特開平4-304393号およ
び特開平4-354890号において、陽極電極と陰極電極との
間にイオン選択性の隔膜を設けた電解槽を用いて、陽極
電極と隔膜との間(以下、陽極室という)に電解対象液
である電解質液を供給し、この電解質液に含まれた陽イ
オン性金属イオンを、隔膜を介して陰極電極側に電気泳
動させて分離操作を行い、陰極電極が設けられている陰
極室に分離生成された分離物を何らかの分離操作機器を
用いて分離することにより、供給した電解質液に含まれ
る不純物を除去し、工業生産に伴い発生する薬液を浄化
する方法について述べている。
【0003】陰極室に循環供給される陰極室液に、分離
物をより有効に利用し易い形態に変化させて分離するよ
うに制御できれば、その工業分野に大きく寄与すること
になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、隔膜として陽
イオン選択膜を採用した場合は、陽極室側には遊離酸根
が分離され、一方、陰極室側には、水分子が荷電解離す
ることで発生したアルカリ性にて陽イオン性金属イオン
が金属の水酸化物の形に変化して、粘着性のある、濃緑
色をした無定形物が分離生成されるのが一般的であり、
この生成物の特性を任意に制御できる有効な手法は見い
出されていない。
【0005】また、従来の技術では、陰極室で粘性を帯
びた水酸化物を生成できることが知られており、限定さ
れた金属イオン種では、陰極表面に還元性金属不定径の
粒子を得ることは知られていたが、更に幅広い金属種へ
の適応はなされていない。
【0006】また、従来より、環境汚染防止の対策処置
が行われているが、その一方において、その防止処置に
伴い副次的に発生する利用価値を見出せない廃棄物を発
生していたため、その処置に困惑しており、環境汚染防
止対策処理においては廃棄物を発生するのは仕方がない
と信じられていた。
【0007】本発明は上記問題を解決するもので、汚染
源の物質などの幅広い金属種に対しても、これらの金属
種を有効な利用価値を持つ特性のある形に変化させ得る
電解槽の操作方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】本出願人は、電解対象液に含まれた除去す
べき対象物の分離物の特性を陰極室の環境条件で大きく
変化させ得ることを見出した。つまり、分離操作に用い
る電解槽の電極材料の違いとか電極構造形状などが、本
質とする分離物に与える性状に与える影響は少ないこと
を見出したとともに、陰極室に満たされる電解質液を構
成する組成と操作管理条件の管理手法に工夫を凝らすこ
とで、陰極室の生成分離物の特性を制御できることがわ
かった。したがって、電解分離操作により電解対象液に
蓄積する金属イオン成分を有効利用できる形態で分離し
て、より負荷価値を高め、応用先の開拓とその利用価値
を向上することで、分離操作に要したエネルギーコスト
を相殺させるような原資の掘り起こしをも可能となる。
【0009】この課題の解決には、陰極電極表面では電
子を介して主に還元反応が行われていることが応用され
る。陰極電極表面近傍の液はアルカリ性を示すことによ
り、金属イオン種は一般的に水酸化物の形態を生成す
る。この反応の進行と分離物の大きさとを制御すること
で、これらの分離物の酸化をより促進させて、最終的に
四酸化三酸化鉄などの形態に変化させ、また、イオン種
によっては金属粉末の形態に還元させる。これにより、
これらの分離物が化学的に安定して不溶化状態になるた
め、不純物の巻き込みを避けることができ、より純度の
高い化合物に変化させることができる。
【0010】さらに、陰極室液の組成管理を好ましい条
件に維持することにより、非常に小さいながら、その粒
子の粒径分布幅が小さく、さらに分布曲線を左右対象の
理想的な正規分布を示す均一性に優れた粒径の分離物を
生成するように制御することも可能であり、また、電解
対象液に含まれる電解質の組成比と陰極室で分離された
分離物を構成する組成比とを比較すると、金属種によっ
てかなりの析出挙動が異なることにより、精製操作と均
一混合析出操作を同時に行える効果も期待される。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】本発明で提示
する新規な事項とは、陽極電極と、この陽極電極板に対
向する陰極電極と、これらの電極間に単数または複数配
設され、イオン選択透過性を有し、各電極に接触するよ
うに供給される電解質液を隔離する隔膜とを備え、前記
隔膜により隔離された空間ごとに互いに異なる電解質液
をそれぞれ循環供給させながら各電極間で通電して、溶
解した陽イオン成分を泳動分離する電解槽において、陰
極室液の組成にかなりの工夫をこらすことで、陰極室に
拡散されてくるイオン種の特性を有効に利用するもので
ある。
【0012】目的とする分離物の生成に関しては、電解
槽の電極の形状とか、電極間の位置の違いなどの機械的
な条件変化には大きく影響を受けることはなく、目的と
する分離特性を左右させているものは、陰極室液に溶解
された電解質の組成成分と、その溶液が示す水素イオン
濃度、また、この操作を行う溶液が示す温度、さらには
陰極室液に分散する分離物の上限濃度などの制御条件を
整えることである。
【0013】つまり、これらの条件を備えることで初め
て、陰極電極の表面で発生する還元性の水素ガスと電子
の授受に伴う活性な酸化還元反応に与えられた環境に応
じて、泳動分離してきた混合金属のイオン種の特性の違
いがあるにもかかわらず、溶解性物質と不溶性分離物と
の区別を可能にして分離生成するものである。さらに、
不溶解分離物に関しても、粒子の寸法差、比重差、磁界
の影響の受け易さ、さらには分離後の分散物を逆に再度
溶解させる操作を試みるときに見られる溶解速度または
溶解を可能とさせる酸根の違いなどの判別の手法を組み
合わせると、かなり多くの種類の混合溶液に溶解した金
属イオン成分であっても、従来にない簡便な分離手法が
適応でき、有効で応用性に富んだ特異な分離、精製手法
を産み出せる。
【0014】電解泳動分離操作において陰極電極面へ泳
動されてきたイオン種が示す挙動は、単に電極面での電
解還元反応と言えども、その電解対象液のイオン種の電
極表面における変化によって周辺の共存イオン種にも大
きな影響を与える。
【0015】また、陰極電極面へ泳動されてきたイオン
種は、陰極電極表面とその近傍の環境の変化を受け易
く、さらに、その変化または電極面からの電子の授受に
よるエネルギーの転換による副反応現象にも左右され
る。
【0016】さらに、泳動されてきたイオン種の違いに
加えて、陰極室液が曝される環境と、この陰極室液が示
すpH条件の違いとが重なることにより、前記イオン種の
挙動は陰極室液内で大きく異なる。そして、溶解性に見
られるイオン種の特性の差を利用しようとすると、溶解
状態が維持されているのか、不溶解状態なのかの判断が
重要であり、さらにその不溶解状態で示される分離物の
持つ物理特性差〜たとえば、粒子の大きさ、比重、形状
による浮力、磁界での影響の受け易さなど〜の違いを利
用することが重要である。これらを考慮して、分離物の
さらなる分別を発展させる手法を組み合わせることによ
り、初期の目的とする電解対象液に複数のイオン種が混
合されていても、各々のイオン種の分別も全く不可能で
は無く、また複合物よりある成分を除去操作する可能性
も大きいと言える。
【0017】すなわち、本発明は、陰極電極面へ泳動さ
れてきたイオン種が、不溶性の粒子の酸化物または金属
粒子まで還元された粒子物として液系より不溶化して、
分離することのできる条件を見い出し、その分離物の性
状を制御させ得るところに新規性を主張するものであ
る。
【0018】陰極室に循環される陰極室液の温度は、摂
氏30度より100 度の間で、陰極室液に生成して分散する
分離物の濃度が10mgr/l 〜20,000mgr/l の間に維持され
るように分離物を系外に分離する手法を組合わせて運転
操作することが望ましく、更にこの電解分離操作のため
に外部より陰極電極内部に供給される電流密度は0.5A/d
m2より60A/dm2 の中に維持されていることが望ましい。
【0019】まず、陰極室内で展開が可能な化学反応を
想定し、そのメカニズムを以下に記述する。 ステップ1) 陰極室に泳動分離されてきた金属性のイ
オン種を陰極電極表面での水分子の電気分解にて発生す
るOH- イオンによりMe(OH)2 のヒドロキシニウム化合物
を作り、均一系の水系より不均一系の分散系へと反応を
進行させる。
【0020】この反応は必ず進行するが、泳動分離され
てくる金属性イオン量が多くてアルカリ度が不足してく
ると想定される場合には、酢酸曹達,クエン酸曹達で代
表される有機酸系の曹達塩またはカリウム塩、さらには
無機系の重炭酸塩を添加しておくことが望ましい。
【0021】添加された特に有機酸系の曹達塩は、陰極
電極表面での水蒸気の沸騰による金属イオンの酸化還元
反応により、有機酸根の分解による脱炭酸ガスに伴って
消失し、自動的に遊離なNaOHを生成することとなり、液
系を連続的に適度なアルカリ度に維持して、分離反応を
安定した状態に維持することを可能としている。
【0022】ただし、最初より液にNaOHを添加すると、
生成される水酸化物の粒子の大きさが大きくて粒子間の
会合強度が強くなり、小さく分散しないために、後の反
応での分散化粒子の酸化が均一に起こらず、粘性化した
粒子が電極表面および各膜面に付着し、必要電流を供給
させようとすると電圧の上昇を招くなどの不都合な現象
を引き起こす場合が多い。
【0023】ステップ2) この分離物が分散されてい
る水系の水温を上昇させることで、分離物と接触水との
界面での水蒸気化による分離物の酸化が促進され、水酸
化物より第1次の酸化物への変化がなされる。
【0024】ステップ3) 酸化物に変化した分離物
は、基本的には陰極電極表面より発生する還元性の水素
からなる微細な気泡と接触し、その還元化学反応により
還元されていくと想定されるが、周到に準備された環境
を整えてやらなければ前記還元反応は進行されない。ま
た、電極表面での電子授受による複雑な化学反応が推定
されるが、非常に限定された金属イオン種を選択しない
と意図した化学反応は進展しない。
【0025】準備した化学物質を陰極室液に溶解させる
と、電極表面での複雑な化学反応により、電極表面に接
触する電解質が活性の有る化学特性を有する物質に変化
し、金属イオンはこれらの還元性の化学物質と接触し
て、徐々に各金属イオン種の特性の違いにより、その与
えられた環境で決定される平衡状態の安定物質に移行す
る。この場合に前記金属イオン種は、化学式から見れば
酸化の形はしているが、原液の電解対象液に溶解してい
るイオン価数からみれば、還元されたイオン形態に変化
しており、また、生成が認められるイオン種と一次反応
での水酸化物の領域を越えることのできないものもあ
る。
【0026】しかし、たとえその液が酸性を示す液系で
あっても、還元させる機能を有したイオン種が共存すれ
ば、陰極表面で作り出されるアルカリ度で不溶生化され
た金属水酸化物を安定した酸化物に移行でき、分散状態
を維持できる。
【0027】この還元反応には、反応を促進させる初期
の触媒的な起爆剤が必要となり、その役目を果たす物質
が共存する場合、その触媒的な働きを再生させるための
エネルギーを供給し続けるための供給源は、電極表面よ
り連続的に供給される電子であり、その電子の授受に伴
う電解質の変化が介在して、分散物粒子表面の還元反応
が連結されて行われるものと判断される。さらに共存さ
せる電解質の種類を変えて、還元作用を強化させる物
質、例えばヒドラジンを共存させると、より還元された
酸化物の形を介して、金属粒子(但しニッケルイオンが
共存する場合)にまでも還元する働きがある。
【0028】上記した各ステップでの代表的な挙動変化
の化学反応式を示すと、 ステップ1) Me2++2OH- ⇒ Me(OH)2 (1式) ステップ2) 2Me(OH)2+O(H2O)⇒ Me2O3 +3H2O (2式) ステップ3) 3Me2O3+H2 ⇒ 2Me3O4+ H2O (3式) ここに提示された式で最も重要である反応がステップ
3)に示す3式であり、この反応をより広い金属種にわ
たって応用させるには、単なる電極面より発生する水素
気泡だけによれば還元反応は進まず、従来の電解ではス
テップ1)の領域を出ることができなかった。このこと
から判断しても、かなりの工夫を凝らさなければ、連続
的にステップ1)からステップ3)までの反応を同一の
電解槽の中で進行させることはできず、その後、連続的
にステップ3)まで進行した分離物を選択的に分離して
循環系より取り除き、系の反応の収率を高める操作を組
み合わせることが実用上要望される。
【0029】従って、本発明で指摘していることは、電
解操作を行う環境を、 i) できるだけ高温度下の電解質溶液中で行い、この液
を外部の大気に接触させる循環ラインを設けて、次のス
テップである酸化を受けられ易いような粒子に分散した
水酸化物を生成できる運転環境、つまり、陰極室液の循
環速度や、陰極室液の温度など、を維持することがまず
重要である。
【0030】ii)次に、ステップ3)の反応を効率よく
展開させる補助触媒的な働きをさせる化学物質の選定
と、電極液の電気抵抗を低く維持させるイオン解離性を
配慮した電解質の選択と、還元性特性との組合せが重要
である。
【0031】ここで指摘する還元性を発揮する電解性物
質は、一般に陰性イオン根の選択が重要な基本事項であ
る。その陰性イオン根の選択は、例えば硝酸根塩を選択
し、その成分の濃度比が溶解塩類の規定濃度での約1/10
を上回る濃度があれば、同時に異なる陰性根を混合して
も一次酸化の化合物(Fe2O3) 以上に酸化数を増加させる
ことはできない。しかし、同一組成の電解分離液でも、
陰極室液の組成に硫酸根と塩素根との混合溶液を用いれ
ば、酸化は促進し、二次酸化物(Fe3O4) までも酸化を進
行させることが可能となる。
【0032】陰根の選択で大きく酸化挙動が異なること
は非常に重要なことであり、組み合わせにより効果的な
機能を発揮させる可能性を示している。従って、陰極室
液を構成する溶解電解質は、単独組成よりは複合組成に
維持するのが有利ではあるが、また単一組成でも効果を
認められるものが存在し、塩素根はこれに該当する。但
し硫酸根だけでは前記1式の反応としての水酸化物の生
成段階で停止してしまい、前記2式に示す酸化反応も進
行せず、さらなる還元性なる反応が進行していることを
確認することは殆どない。その期待する効果に対して
は、他の陰性イオン根を二種、または三種を混合させた
場合に比して還元速度と収率の点で見劣りするので、実
用的には、陰性イオン根を二種、または三種を混合させ
ることが非常に効果的であることが認められる。
【0033】更にその混合された陰性イオン根の組合せ
において、さらに追加されることにより例外なく陰極室
へ電解泳動された分離物を、より還元された化学式をも
つ分離物に変化させることができる添加すべき物質とし
てアンモニウム陽イオン根がある。
【0034】このアンモニウム陽イオン根の源となる陰
極室液に添加される化合物は、添加された時に既にアン
モニウムの陽イオン性の解離を示す物質で無くとも、例
えば尿素のような非イオン解離性の物質であってもよ
く、陰極電極表面での電解還元熱分解を受けながら、イ
オン解離性化すれば、同様な効果を発揮することが認め
られ、共存する陰イオン根、例えば硫酸根や塩酸根など
とあわせて分散物の還元反応の促進のための触媒的な働
きを行い、是非とも共存させることが非常に有効なイオ
ン種であることが判明した。
【0035】なお、前記したアンモニウム陽イオンの存
在は非常に有効に3式に示す酸化作用まで効果的に働く
と述べたが、硝酸根を反応系下で共存させた場合には例
外なく前記2式の酸化物までしか反応が進まず、3式以
降の展開はない。
【0036】また上記したアンモニウム陽イオンの効果
に匹敵する効果を発揮するものとして、陰イオン根では
塩素根,炭酸根,カルボン酸根の効果が著しい。両者と
もに、単独組成での陰極室液として用いるのは効果的と
は言い難いが、単独組成液でも、分離物として鉄イオン
を対象とする場合には四酸化三酸化鉄の強い磁性特性を
発揮させることの可能性を確認することができる。
【0037】しかし、更に反応の確立性と生成物の収集
率を向上させるには、前記した塩の単独浴よりは、例え
ば硫酸根塩や硫酸アンモニウム塩で代表される2〜3種
類の塩を混合させることが有利であると判断され、さら
に、数種の塩の混合による陰極室液での電解分離により
発生した粒子を構成する基本となるミセル結晶の成長性
をも制御できることを確認した。
【0038】上記した現象は電解操作を伴わない状態に
おいても、同様な液の温度条件と共存する電解質液を混
合反応させると、電解操作を並行させる陰極電極室で見
られると同様の化学反応が進行するかと言う疑問が生じ
るかもしれない。しかし、この場合は、前記1式、2式
までの反応は進行する可能性はあるが、3式まで進行す
ることは認められない。つまり、前記1式から3式に示
す反応は電解操作を行う環境でのみ見出される特殊な現
象であり、単なるアンモニア共存の加熱状態の中和沈澱
反応で生成した物質が示す特性とは大きく食い違ってお
り、たとえば一部の物質がその反応を進行させたものが
認められたとしても、その反応効率と反応速度は大きく
異なるため(収率は小さく、変化速度は非常に遅い)、
必要とする全体的な設備の実用的な大きさでも、本発明
によれば、より小形な装置で同一の変換能力を発揮す
る。
【0039】また、電解分離操作を行う各種の金属イオ
ンを含む原水液の組成をみるとき、たとえば、マグネシ
ウムで代表されるアルカリ土類金属イオンを含む場合
は、このアルカリ土類金属イオンが電気泳動分離操作で
陰極室液側に泳動され、その蓄積濃度に応じて不溶解性
の分離物を生成するが、その他の分離物を合わせて浮遊
分離を行うと、比重が軽いので、上部側に移行して流出
分離が可能となるとともに、磁化力の違いによる磁力の
ゾーンを通過させる分別法を組み合わせると殆どが分離
除去可能となり、精製後の分離物の組成分析より前記不
溶解性の分離物が除去されていることが判明した。
【0040】さらにマンガンイオンは陰極室液では水酸
化物にまでしか変化されないが、上記と同様の分離手法
を応用することで、目的とする酸化物などの比重の重い
粒子とか磁性特性とかの組み合わせなどの手法で除去で
き、原水組成に比して、分離物の組成比と比較すると、
かなり組成比の改善がなされていた。
【0041】同様に対象原水に溶解されている複数の金
属イオン種の中より、ある種のイオン種を、前記の電解
泳動分離操作を応用して、分離物が示す組成での減少比
をより改善したい場合には、今までの記述は概してpH
値が7以上に保持されたアルカリ性を示す系での分離物
の生成の挙動を述べてきたが、上記した手法に加えて、
前記した陰極室液が使用される環境下において化学還元
特性を示す電解質の共存下で、pH値7以下を示す酸性
な環境下に液系を制御する。このように陰極室液のpH
を制御することにより、陰極室に泳動分離されてきたイ
オン種の中で、酸性下では陰極電極面での部分的な水酸
化物の生成は認められるが、すぐにこの分離物が酸化反
応を促進することができず、再度陰極室液系の示す酸性
度によるイオン化による溶解状態に戻る。したがって、
安定した不溶解性の分離物として陰極室液内で維持し続
けることが難しいイオン種は、このような酸性系下でも
不溶化状態を維持させることが可能な強固な酸化物を形
成する反応性に富んだイオン種と混合されておれば、陰
極室での分離物を濾過分離するだけでも分離可能となる
ことを示している。
【0042】従来の陰極室液に溶解させる電解質の組成
を特別に配慮せず、特に硫酸曹達の単独液に硫酸を用い
て、たとえばpH値で約3を示すように制御しながら、
電解対象液として硫酸鉄溶液を用い、電解分離操作を行
うと、操作開始より1〜2時間後で陰極電極表面に鉄イ
オンが電析し、電解操作電圧が上昇して正常な電解操作
を続行できなくなった。
【0043】しかし、前記実験に用いた電解対象液を同
様に用い、陰極室液の組成を、硫酸曹達に塩化アンモニ
ウムと酢酸曹達とを加えて追加溶解させた溶液を硫酸酸
性下でpH値を同様に約3に制御して、同様に電解分離
操作を行うと、硫酸曹達の単独組成液で見られたような
陰極電極面での鉄イオンが電析されるような挙動は見ら
れず、操作電流値を維持させる電圧値の変化は殆どなく
なり、安定した電解操作の続行が可能となった。さら
に、陰極室液には、電解時間の経過に伴って赤色系の分
散粒子の生成が認められ、さらにその濃度を増してくる
ことが実測された。
【0044】また、陰極室液が示すpH値をさらに低い
約2前後に維持するように制御することで、pH値を約
3に制御したときに示した分離物の色彩がより赤みを増
すことが認められた。さらに逆に、陰極室液が示すpH
値をより高い約4前後に維持させると今後は黄色味がか
った着色分散物が生成された。
【0045】このように陰極室液が示すpH値を制御す
ることにより(特に鉄イオンの場合には陰極室液に溶解
させた電解質組成により大きく影響される)、陰極質液
に分離生成された分離物の示す色相を変化させることが
可能で、組み合わせるイオン種とその混合比率とを変化
させることにより、さらに変化させ得る色相の幅が広が
る。すなわち、陰極室液のpH値を制御することによ
り、所望の色相の分離物を得られることとなる。
【0046】なお、同一イオン種で有りながら、陰極室
液での分離物が示す色彩が異なる理由は、粒子のサイズ
により吸収波長帯が異なるためと判断され、陰極室液の
示すpHの酸性度が強いほど分離生成される粒子は小さ
くなって赤色系となり、弱くなるほど分離生成される粒
子は大きくなって黒色系となる傾向を示す。
【0047】これらの陰極室液が示すpH値を制御する
ことにより、特に酸性下でも溶解することなく分離物を
生成させることができる理由は、イオン種の違いにより
一度不溶解性の分離物を生成すると、その分離物が緻密
な酸化皮膜にとり囲まれ、簡単にその酸化皮膜が侵され
難く、再溶解させえる条件はかなり厳しい酸性条件に移
行されなければならないためと考えられ、この結果、そ
の条件に移行させるまでに、溶解される組成物と、溶解
されず残留する成分とを容易に分離できることになる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1、図2に基づい
て説明する。なお、図1、図2においては各電解槽や各
装置は簡略化して示している。
【0049】まず、本実施例において使用する2種類の
電解槽について説明する。一方の電解槽(第1の電解
槽)10は、直径750mm ,高さ1200mmの円筒形状で、電
極表面が酸化イリジウムでコーテイングされた陽極電極
11を外壁として構成しているとともに、この陽極電極
11の内側の同心状位置に、直径710mm ,高さ1200mmの
円筒形状で電極表面を1.5mm のニッケル金属板で覆った
ステンレス製の陰極電極12を配設した構造とされてい
る。ここで、陰極電極12は6本の導電ブースバーを介
して保持されており、この両電極板11,12の間に、
耐薬品性、耐薬品性に優れ、電気的抵抗の低い陽イオン
選択性を有した筒状の1枚の陽イオン交換膜(デュポン
社製のナフィオン膜)が両電極面を隔離する隔膜13と
して同心状に配設されている。
【0050】そして、電解泳動分離操作を目的とする電
解対象液を陽極電極12の面と隔膜13とで形成された
陽極室14内に供給するようになっているとともに、隔
膜13が外周面を形成し陰極電極12が設けられている
陰極室15には、後述する電解質組成を有する陰極室液
1が、外部に設置された機器により陰極室液循環槽2と
の間で循環して供給されるようになっている。なお、陽
極液3も陰極室液1と同様に陽極液循環槽4との間で循
環されるようになっている。ここで、それぞれ循環され
る循環液量は両電極液1,3とも4〜6m3/hr であっ
た。
【0051】陰極室液循環槽2には、循環される陰極室
液1に蓄積してくる分離物を除去するために回転ドラム
式の濾過器(図示せず)を設置し、その濾過水を回転ド
ラム内に保持された蓄積分離物の洗浄用液として用い
て、その濃縮された洗浄液を取り出し、更にその濃縮物
を沈澱槽(図示せず)で濃縮し、その上澄液を陰極室液
1として循環させて利用した。
【0052】また、循環する陰極室液1に分散する不溶
解性の分散物の濃度の上昇を抑制する別の手法として、
循環液の一部を抜取って、この液を、中心部に電磁石を
設置した沈澱槽(図示せず)内に注入して、沈澱槽に導
入された陰極室液に分散する分散物のうち、磁界の影響
を受易くて磁石に吸着される分散物と、未だ磁界の影響
を受ける特性までに酸化されていない分散物とに分離さ
せてもよい。この場合、磁石に吸引された分散物は、磁
界を除去することにより、下部に沈降させることがで
き、これらの沈降物は、完全に酸化された四酸化三酸化
鉄物か、磁界を受け易い金属物であると判断された。
【0053】一般には、沈澱槽に導入された液の温度が
高く、かつその比重が高い場合は、自然沈降分離操作は
非常に効率が悪く、過大な面積負荷が必要になると判断
されるが、本方式を採用することにより、磁化特性の影
響を受け易い分散物の分離速度が早いため、小型の沈澱
槽であっても、目的を迅速に達成でき、更に、未だ酸化
が進行していない物質と分離することにより、陰極電極
12表面での転換速度を早めるのにも効果的に作用し、
これらの分離手法を組み合わせることも可能である。
【0054】更に、この陰極室液1の循環ラインに間接
型の冷却設備(図示せず)を設置して、循環される液温
度の温度制御を行い、制御温度と陰極室液1からの分離
物の特性とその生成状況との判断を行った。
【0055】この電解槽10での両電極11,12間に
印荷した電流量は0.5 〜60A/dm2 とし、実験において必
要とされる負荷電流量を制御できる直流電圧を直流発生
器より供給してその直流電圧値を制御した。
【0056】もう一方の電解槽(第2の電解槽)20
は、第1の電解槽10の電極構造と液の循環設備などは
同一の設備を用いたが、陽極室24と陰極室25とを隔
離する隔膜23に増して、更にもう1枚の隔膜26を陽
極電極21に対向するように配置し、計2枚の隔膜2
3,26を介して両電極21,22を対向させている。
【0057】これにより増設された新しい隔離室(両隔
膜間に形成された空間)27には、前記第1の電解槽1
0において陽極室14に循環供給されていた陽極液3と
同質の電解対象液5を供給し、第2の電解槽20におけ
る陽極室24には陽極電極21の材質を保護するために
電子電導性の電解質を溶解させた液28を循環させるよ
うになっている。つまり、電解槽20が三室に区割さ
れ、隔膜に挟まれた隔離室27に、目的とする電解泳動
分離をする電解対象液5を循環させ、陽極室24には陽
極電極保護用の電解液28を循環させる点が第1の電解
槽10とは異なっている。
【0058】この第2の電解槽20に印加される電流密
度の条件は第1の電解槽10の場合と同様な条件で操作
される。また、循環される電解対象液5は、対象の酸浴
槽(陽極液循環槽)4の一部から引き抜き供給され、電
解槽20の隔離室27より抜き出された泳動分離後の液
の一部が、再度酸浴槽4に戻されるようになっている。
【0059】次に、陽極室14または隔離室25に循環
される電解対象液3,5について説明する。まず、第1
の電解対象液として、鉄イオンを50gr/l(1.79N),硫酸
根を 185gr/l(3.77N) 含んで、ステンレス系の一般鋼材
を酸洗処理する10m3の浴槽の一部より引き抜かれる引き
抜き液を用い、この第1の電解対象液はその液中に主に
溶解している鉄イオン成分を陰極室液1に電解泳動分離
させる目的で使用する。
【0060】更にこの酸浴液に、ニッケル 7gr/l(0.238
N),マンガン 2gr/l(0.072N),クロム 6gr/l(0.346N),
亜鉛 10gr/l (0.346N),カルシウム 0.6 gr/l(0.238N)
,マグネシウム 2.2 gr/l(0.238N) 、更にNaCl 30gr/l
(0.51N),Na2SO4 28gr/l(0.40N),尿素CO(NH2)2 70gr/
l(1.1mol)などの無機および有機の中性塩を混合溶解さ
せた液を追加混合し、実験の第2の電解対象液とした。
【0061】なお、この酸浴に溶解している鉄イオンは
2価イオンであり、クロムは3価イオンとして溶解され
ていると判断して上記の数値は算出されている。第3の
電解対象液として、前記第1の電解対象液で用いたと同
様な鉄分単独浴組成の酸浴液に、鋼材6に対する緩衝剤
的な働きをするアンモニウム化合物を更に添加した酸浴
液を用いる。
【0062】この酸浴槽4に溶解されて緩衝剤の働きを
する添加化合物として、硫酸アンモニウム 20gr/l(0.30
7N) か、尿素 50gr/l(0.831mol/l) の何れかを追加加熱
溶解させて酸浴に用いた。
【0063】この酸浴液では鉄分の溶解量が増してくる
ために鉄分の削減対策の処置が必要となってくる。第4
の電解対象液として、鉄イオンを15gr/l(0.80N,Fe3+)
含み、更に硝酸 31gr/l(0.49N)、弗酸 10gr/l (0.50N)
を含んで、ステンレス系の一般鋼材を酸洗処理する10m3
の浴槽の一部より引き抜かれる引き抜き液を用いた。こ
の第4の電解対象液はその液中に主に溶解している鉄イ
オン成分を陰極室に電解泳動分離させる目的で使用す
る。
【0064】更にこの酸浴液にニッケル 7gr/l(0.238
N)、マンガン 2gr/l(0.072N)、クロム6gr/l(0.346N)が
含まれている液を第5の電解対象液とした。この酸浴に
溶解している鉄イオンは3価イオンであり、クロムは3
価イオンとして溶解されていると判断して上記の数値は
算出されている。
【0065】まず、第1の電解槽10を用い、前記第3
の電解対象液を循環させて、電解操作を試みようとし
た。ところが、操作開始後30分を経過した時点で、一定
電流量 1A/dm2 で維持した際の電圧が3.5Volt であった
ものが、電圧が徐々に上昇し、2時間経過した時点で、
6.5Volt まで到達した。
【0066】その後、この電解槽10を分解して観察し
たところ、黒色の斑点状の沈澱物が陽極電極11表面と
隔膜13とに付着しており、この付着物を分析してその
組成を見てみると、酸化鉄成分が主なものであることが
判明した。これらの付着物が隔膜13面および陽極電極
11面を遮蔽させて、導電性の面積を減少させたために
上述のように電圧が徐々に上昇したものであると判断さ
れた。
【0067】さらに、陽極電極11表面と隔膜13とに
黒色の斑点状の沈澱物が付着した現象の原因を追求した
ところ、アンモニウムイオンおよび窒素含有成分が陽極
電極11面上で発生する酸素ガス成分による酸化反応を
受けて、より反応性に富んだ酸化成分に変化し、その変
化した化合物が、溶液中に溶存する鉄イオン成分を、強
い酸性度を維持された酸液で有りながらでも、強い酸化
操作を加えて不溶性の酸化鉄の化合物に変化させて陽極
電極11表面と隔膜13とに付着するためと判断され
た。
【0068】この結果より、アンモニウムイオンおよび
有機性の窒素含有成分を含む酸浴が取扱われる場合に
は、陽極電極11面にこのような酸浴液を直接接触させ
ることを避けるために第2の電解槽20が適当であるこ
とが判明された。つまり、陽極室24を電解対象液5よ
り隔離させて、陽極室24には多量の鉄イオンが含有さ
れない状態とさせて陽極電極21表面で不溶解性の分離
物を発生させないようにする。また、陽極室24には液
組成条件を維持させる電子電導体を含む液を循環させ
る。そして、アンモニウムイオン成分および有機性の窒
素含有成分を含む電解対象液5は隔膜同士の間の隔膜室
27に供給して循環させる。これらの構成により、操作
電圧の変動が無くなり、意図した電流を安定して維持で
きた。
【0069】このような考え方は、第4,第5の電解対
象液、つまり陽極電極金属を侵すと判断される薬液を含
む酸浴を、陽極室24に供給しなければならない時の陽
極電極21面の保護対策にも応用できた。
【0070】(実施例1)次に、第1,第2の電解槽1
0,20を用い、第1,第2の電解対象液を循環させ
て、電解分離操作を行った。この場合に、電解対象液の
中に蓄積されている金属イオン成分を泳動分離して除去
する試みに際しては、循環される陰極室液1に溶解され
る電解質としての薬剤の選択が非常に重要な点となる。
【0071】その選択の一つとして、 i) 芒硝(Na2SO4)のみを200gr/l(2.87N)溶解させた
溶液を陰極室液1として用いた。この場合、陰極電極1
2,22の表面より発生する水素ガスと電極表面での水
分子の電解分解とにより作られたアルカリ度により、循
環液の示すpHが、開始前は約 5.0〜6.5 前後の弱酸性で
あったものが、電解操作の開始とともに上昇し、約9.0
〜9.5 前後に収斂するようになった。そして、このよう
に循環液のpHが約9.0 〜9.5 前後に収斂するようになる
と、陰極室液1に青黒色の分離物が分散され始めた。
3,4時間経過して循環液の温度が40℃を上回り、更に
時間が経過して循環液の温度が70〜80℃まで上昇した際
に、この陰極室液1より取り出された分離物を分液ロー
トにより取った。この分離物に新鮮な純水を加えること
により分離物に付着した塩分の洗浄除去操作を行ったと
ころ、下層部の分離物を生じたとともに上部側にゲル状
の分離物を生じたため、下層部を外部に取り出し、さら
に再度新鮮水を加えて同様な洗浄操作を繰り返した。
【0072】この場合、陰極室液1より取り出した分離
物が完全に酸化された金属酸化物であれば、洗浄操作を
繰り返しても、下部に早く沈降してその体積を変化させ
ない。しかし、前記分離物が水酸化物までの生成反応で
止まっておれば、洗浄操作を繰り返す毎に、茶けた、ゲ
ル状の沈降性の無い分離物を生成する。この芒硝(Na 2S
O4)のみの陰極室液組成では、初期にはゲル状の沈降性
の無い分離物が生成されていたが、前記洗浄操作が繰り
返されることにより、分離物は消滅した。
【0073】ii) 前記i) で記載された電解操作で、
芒硝(Na2SO4)に変えて、食塩(NaCl)が100gr/l (1.74
N) で溶解された陰極室液1が用いられた。この場合
は、芒硝(Na2SO4)では見られなかった、黒色のより小
さく、さらさらした分離物が得られ、同様な分離物の水
洗操作での挙動は前記芒硝(Na2SO4)のみの陰極室液組
成の場合とは大きく異なり、ゲル状物の生成は見られな
かった。また、与えられた磁場での分離物の配列が認め
られ、分離物は水では加水分解を受けない安定した酸化
物に変化していることが認められた。
【0074】iii) さらに、前記i) に記載された陰極
室液1に、酢酸曹達を50gr/l(0.74N) 追加溶解させたと
ころ、酢酸曹達を追加溶解させない場合では分離物の発
生が特に遅かったのが、電解時間の経過に伴い、電解の
開始とともに発生が認められるようになった。
【0075】また、前記ii)に記載された陰極室液1
に、同様に酢酸曹達を50gr/l(0.74N)追加溶解させたと
ころ、色相も非常に黒く、分離物の水洗操作でも、安定
した下層での分離物を生成分離できた。
【0076】ここで用いた酢酸曹達に代えて、他の有機
酸曹達や蟻酸曹達、しゅう酸曹達、しゅせき酸曹達など
を用いても同様な効果が有ることを認めた。さらに、炭
酸曹達、重炭酸曹達を用いても同様な効果を認めたが、
これらの薬剤の溶解度が少ないため、これらの薬剤は液
中に懸濁状態で分散しており、液中での金属イオンの反
応分散物生成物との不均一な反応をして、一部水酸化物
の生成状態で静止した分散物をも残留させる量が多くな
った。この結果からみると、溶解性が高く、一度に分解
せず、徐々に電極表面での酸化分解を受けながら反応を
抑制される特性を持ったものが有利な薬剤と言える。
【0077】iv) また、前記i) に記載した芒硝(Na
2SO4)のみの陰極組成に、アンモニウムイオンに解離し
易い薬剤、例えば硫安((NH3)2SO4) を40gr/l(0.61N) に
なるように追加溶解させた場合には、前記iii)で記した
と同様な効果を発揮できた。
【0078】さらに、このアンモニウムイオンに代わる
薬剤は、硫安((NH3)2SO4) のようにただちにイオン化す
るもので無くとも、尿素(CO(NH2)2)のようなイオン解離
をしない物質でも、陰極電極表面での複雑な化学反応に
より酸化され、イオン化することが認められ、前記した
分離物の酸化変化の同様な効果を発揮することが認めら
れた。
【0079】また、陰極室液1に補給されるアンモニウ
ムイオンを、中性塩の形にして補給することは、アンモ
ニウムイオン根を長期保持させておくのに有利ではある
が、陰極室液1を構成させる塩濃度を増すことは、液の
粘度を向上させることになり、分離物の分離操作にも支
障をきたす場合もある。したがって、アンモニア水を用
いて、循環される陰極室液1の示すpHを維持させるため
に注入することによっても分離物の特性の維持に効果が
あると考えられる。
【0080】一方、陰極室液1に最初より苛性曹達を添
加しておいてアルカリ性を維持させておくという方法も
選びうる手法ではあるが、この場合、アルカリ度が強す
ぎるために陰極室15,25に電解泳動される金属イオ
ン種の分離物が再度ヒドロリウム醋体を形成し、この結
果、粘性の増大と、溶解方向への移行のため、安定した
酸化物を形成させる方向とは異なった傾向に進むもので
あり、好ましい制御された環境ではない。
【0081】v) 前記iii),iv) で記載したように、
陰極室液1での分離物の酸化物への変質化の促進剤とし
て効果を発揮する薬剤は、初期の状態で投入されていな
くてもよく、これらの薬剤は、その溶解時に示す塩の浸
透圧は低く、隔膜13,23,26を介してのイオンの
親和水にともなって陰極室15,25に泳動されるた
め、陰極室15,25での効果の発生は幾分遅れるが、
ある時間経過後は同様な効果を発揮する。また、尿素を
電解対象液に投入すると、陰極室液1が芒硝のみの溶解
液であっても、陰極分離物を変質させることを確認でき
た。
【0082】vi) 前記、i) ,ii),iii)で述べた薬
剤は、全てがナトリウム塩であったが、このナトリウム
塩に代えて、カリウム塩を同様な現象と効果の確認を行
ったところ、全く効果の変化はなかった。さらに、iv)
で記載したアンモニウムイオンを供給させる塩の硫酸根
に代えて、塩酸根に代えても問題は無いことを確認し
た。
【0083】さらに、i) 〜iv) に記載した塩を、硫酸
根と塩酸根を混合させても殆ど発揮させる効果では差が
なく、混合塩の使用は問題がないことを確認した。 vii) ただし、前記vi)の項で、i) 〜iv) で記載され
た効果を発揮させる電解質の塩の選択には同様の効果を
発揮すると記述したが、硝酸根の存在は特異な挙動を示
し、特に、i) で記した液組成を芒硝より硝酸に変え
て、i) で記載された条件で電解操作を開始すると、分
離生成物を生成した。その分離生成物の色相は黒色であ
り、i) で見られるが如きの青色の水酸化物ではなく、
酸化物であるため、外部に取り出して、i) に記載され
た洗浄分離操作を繰り返すと、最初はゲル状物を生成す
ることなく下層に沈降物を分離できた。しかし、ii)で
記したように、分離物を磁界の中に持ち込んでも磁力へ
の配列は無いため四酸化三酸化鉄まで酸化されていない
ことがわかり、さらに3〜4hr水中に放置した分離物は
加水分解の現象が見られたため、安定した酸化物までは
完全に酸化されないことが認められた。
【0084】この現象は、安定な酸化物を生成させる陰
極室液1の組成の条件に、硝酸根を含む塩を追加溶解さ
せて、陰極室液組成の中に、硝酸根が溶液中の全溶解塩
に占める(全当量濃度に対し硝酸根の当量が示す場合)
比率が約20%を上回ると、陰極室液1での生成分離物の
特性が、陰極電極12,22表面で酸化物に代わる反応
を受け難くなり、生成物の特性を収斂させ、一定な特性
の管理に問題を生じるようになるので、陰極室液1の一
部を抜き出し、硝酸根の蓄積を監視することが必要とな
ってくることを確認した。
【0085】(実施例2)次に、前記第2の電解対象
液、つまり鉄イオンを主成分とするが、金属イオン種と
中性塩を含有した電解対象液から、より鉄の含有率の高
い組成比率を持つ酸化物を得るための電解操作を行っ
た。
【0086】第1の電解槽10を用いた場合、対象電解
液3に含まれた尿素が陽極電極表面での酸化反応により
分解し、アンモニア性イオン、またさらに変化して溶解
鉄イオンをも不溶解性の酸化物までに変化され、安定し
た連続操作はできなった。
【0087】一方、第2の電解槽20を用いると、安定
した操作が可能となり、陰極室25で循環する陰極室液
1には泳動分離物が生成され、陰極室液1を構成する電
解質の組成に応じて、その陰極室液1の循環液温度、電
解操作での電極表面積より算出した印加電流量の制御を
組み合わせることにより、分離物の析出物の物理定数を
変化させうることを見いだした。
【0088】陰極室液1を構成する電解質には、芒硝を
150gr/l(2.11N)を基礎電解質として用い、食塩50gr/l
(0.86N)と硫安50gr/l(0.76N)を追加溶解させるこ
とで分離物をより強固な酸化化合物に変化させる環境を
維持できた。その環境とは、陰極室液温度を摂氏60度を
上回るようにし、陰極室液の示すpHが約 9.5〜10.0前
後であり、さらに分離物を濃縮して系外にとり出すに際
し、その濃縮物をさらに温度上昇させながら、撹拌を続
けて結晶を成長させることである。
【0089】さらに析出物を分離して、清浄な液で洗浄
した後に得られた分離物の金属成分組成比、さらには、
これらの分離物に巻き込まれた中性塩の残留量などを調
査したところ、金属成分で見れば、マンガン成分が見ら
れず、アルカリ土類金属も見いだされていない。
【0090】このことは、特に鉄イオンの陰極室液1で
の分離酸化反応の系で、まず酸化物への反応とは特性が
異なるために、混合されて来ないと考えられる。さら
に、分離物の比重が軽いので、分離物の洗浄操作で、上
層部側の水側に微細で、軽く、沈降性の悪い分離物であ
るために流出されてしまい、沈降物の範疇には入って来
ないと考えられる。
【0091】また、マンガンは酸化物までに変化するま
でに、水酸化物の形で除去が可能であり、さらに磁界で
の挙動の違いでも判別が可能である。さらに、共存して
いた無機塩は、イオン溶解し、分離物の中には吸蔵され
ることなく、洗浄操作で溶解除去されることより、最初
の電解対象液で見られた組成比率に比して鉄分の含有比
率は大きく向上し、さらに他の金属イオン種にしても、
その存在比率は改善が成されていることが判明した。
【0092】(実施例3)鉄分を主成分とした液に、ニ
ッケルを含む数種の金属イオン種を含有する物を追加溶
解させた前記第2の電解対象液を用い、陰極室液組成で
記述した電解質を溶解させた後、その陰極室液1の示す
pHを酸性側は硫酸を添加して制御させながら電解を続
けた。この結果、pHが2.0 を示すときに、鮮やかな赤
色を示す微細な懸濁物を生成したため、この懸濁物を系
外に取り出し、沈澱物を洗浄し、付着塩を除去した後に
成分を分析した。分離物に含まれる組成成分を見たとこ
ろ、原水組成比とは、実施例2で見た成分の選別精練操
作が、今回ではさらに進み、さらに、亜鉛成分、ニッケ
ル成分が除去され、さらに鉄分の準度が向上することが
判明した。
【0093】このように陰極室液1のpH値によって
は、イオン種の違いにより、一度陰極室へ泳動された金
属種、たとえば亜鉛イオンの分離物でもpH値<5.0 で
は溶解して不溶解性の分離物を生成しないことを確認し
た。
【0094】またその他の金属で、アルカリ金属、アル
カリ土類金属は特に分離が簡便で確実に行えることを確
認した。ただし、陰極電極12,22面で、還元反応を
促進させるイオン種が存在しなければ、陰極電極12,
22表面に金属が析出して、安定した電解操作の続行は
難しいことも確認した。
【0095】(実施例4)前記第2の電解対象液におけ
る追加混合する液のみ、つまり鉄イオンを含有していな
い第2の電解対象液を電解対象液3,5として実験に用
いた。
【0096】この場合には、陰極室液1は芒硝液に有機
酸の塩を加えるとともに、電解操作の電流量より判断さ
れる泳動金属の量に比例するヒドラジン当量溶液を加
え、陰極室液1の温度を摂氏70℃以上を維持するように
管理していくと、陰極室液1にニッケルの金属粉末が生
成し、酸化鉄に比較しても比重が重く、浮選操作で分別
が可能となる。さらにこの操作で、他の金属イオンとし
て、クロムイオンがニッケルイオンに乗る形で同時に分
別されている。この場合に、ヒドラジンの量としては、
分離泳動されている金属イオンの当量あたり 0.2〜2.0
当量が適している。
【0097】その他のアルカリ金属土類は水酸化物止ま
りであり、他の中性塩は溶解度の差で分別された。 (実施例5)前記第2,第4,第5の電解対象液のよう
に、電解対象液3,5に、金属イオン種(鉄分)と非常
に強い配位結合をすると判断される陰イオン根(フッ
素、アンモニア)が存在する場合、これらの液を中和す
る場合には、鉄とフッ素根が強い配位結合のために、こ
の配位結合をしたまま鉄は不溶解化してしまうことが一
般的な挙動である。これらの鉄分を再度溶融しようとす
ると、炉の中より、フッ素ガスが発生し、さらに炉内の
金属を汚染してしまうことになり、大変厄介な問題では
ある。
【0098】しかし、この問題を解決する手段として、
陰極室液1の組成にアルカリ性を示す曹達塩またはアン
モニウム塩を共存させていれば、隔膜を介して泳動した
金属イオン種に配位した陰根はただちに陰極室液1の曹
達とアンモニウムとに反応し、溶解性の中性塩を形成
し、金属イオンはフッ素イオンを巻き込むことなく、酸
化物に変化させることが可能であることが判明した。
【0099】同様に、塩素根、アンモニア陽イオンも金
属に配位するが、このような電解分離操作によると、金
属の酸化物に変化するときに金属イオン側に巻き込まれ
てかなりの量が残留すると想定されていたが、そのよう
な形跡はなく、特に分離物の洗浄物は、中性の洗浄物を
生成することができた。
【0100】(実施例6)実施例1のii),iii) に記載
された電解分離操作においては、循環される陰極室液1
の温度が80度で、循環液に含有する分離物濃度は1,500
〜15,000mg/1の間で運転される場合が多く、大部分は分
離物濃度が3,500mg/1 前後の状態で運転されるが、この
ような運転状態で磁化特性を発揮する化合物が分離物に
おける目的の重量比になるまで変化させるには、循環開
始よりかなりの時間を要することが判明した。このよう
に、分離物を含有した陰極室液1の循環時間を延長させ
ることは、循環液中の分離物濃度の上昇を招いて液の粘
度を上昇させてしまうため、操作管理法としては好まし
い状態ではない。
【0101】この問題を解決すべく、陰極室液1の一部
を外部の配管系において2m2/hr の割合で分岐させ、こ
の分岐させた陰極室液1を、上部が直径1200mm,高さ50
0mmの円筒状の沈澱分離部(約600 リットル,20分滞
留)からなり、下部が直径1200mm,高さ1200mmの円錐状
の濃縮槽(約 450リットル)の沈澱部からなる沈殿槽
(図示せず)に供給し、その供給液の温度を約80度と
し、分離物濃度が約2500〜3500mg/1の状態で対象分離物
を効率よく除去しようとした。
【0102】この沈殿槽に供給される分離物において
は、磁性を発揮可能な四酸化三酸化鉄の占める割合が高
いことが判っており、この四酸化三酸化鉄の割合は運転
開始後の経過時間や陰極液室に含まれる成分の率によっ
ても変動し、常に一定の値を維持させることは非常に難
しいことである。しかし、陰極室15,25での電極表
面酸化操作を常に効率よく作用させるためには、既に酸
化してしまった四酸化三酸化鉄の選択的な除去操作を組
み合わせることは、電解槽10,20の操作管理には有
効に作用すると判断した。
【0103】そして、上記沈殿槽に、電解槽10,20
から排出された一部の陰極室液1を供給したが、上述し
たように液の温度が高くて滞留時間が短いため、分離物
の入口濃度と出口濃度とを比較したところ、その分離物
の除去率は10〜15%前後と低く、また分離物の組成比を
みても、四酸化三酸化鉄の選択的な濃縮分離がなされて
いるとは判断できなかった。
【0104】したがって、さらに上記構成に加えて、沈
殿槽における沈澱分離部に電磁コイルの中心に円筒状の
軟鉄鋼材を装着した電磁石を設置し、その電磁コイルに
直流電流を供給し、この際の直流電流量と通電時間を外
部より制御した。すなわち、電磁コイルに30A,90voltを
通電して、静的吸引力300kg 鋼材の能力を発揮させるよ
うにし、この電磁石を前記上部側の沈澱分離部に4個を
同心円状に配列するとともにその下部の濃縮部に同様の
電磁石を2個垂直状に配列し、陰極室液1を同様な条件
で上記沈殿槽に供給し、磁性特性を有する分散物の選択
的な分離除去と濃縮操作を試みた。
【0105】その結果、分離物の除去率は75〜80%を示
し、さらに下部の濃縮部に溜められた分離物の中に占め
る磁性特性を示すものの重量比率は98%前後であり、こ
の値は期待した好ましい値であり、効率のよい分離性能
を得られた。
【0106】ちなみに、上記沈殿槽に供給した陰極室液
1における磁化特性を示すものの比率を別に分集したサ
ンプルについて浮遊流動法で分析した結果、磁化特性を
示すものは重量比で85%前後であった。
【0107】この結果から、この沈殿槽での磁性を帯び
た分離物の除去率は90%を上回ることが判断され、リー
クする分離物は非磁化性物質であり、これらの分散物は
再度陰極室に返送させることにより徐々に酸化され、磁
化特性を帯びてくる物質に変化される速度が増加するこ
とが判明した。
【0108】なお、前記沈殿槽の内部に設置した磁石に
は外部より独立して電流を供給して通電停止時間をずら
すことにより、各磁石毎に吸引した磁性物体である分離
物を下部に落下移動させ、さらに下部に設置した磁石に
吸引させて濃縮することが可能であり、このようにして
磁石で分離した分離物の含水率は、自然重力沈降で示す
沈降物の示す含水率より遥かに少ない値を示していた。
【0109】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、陰極室液
に溶解された電解質の組成成分と、その溶液が示す水素
イオン濃度などの制御条件を整えることにより、陰極電
極の表面で発生する還元性の水素ガスと電子の授受に伴
う活性な酸化還元反応に与えられた環境に応じて、泳動
分離してきた混合金属のイオン種の特性の違いがあるに
もかかわらず、溶解性物質と不溶性分離物との区別を可
能にして目的の安定な分離物を分離生成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる第1の電解槽の操作
システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる第2の電解槽の操作
システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極室液 2 陰極室液循環槽 3 陽極液 4 陽極液循環槽(酸浴槽) 5 電解対象液 10,20 第1の電解槽 11,21 陽極電極 12,22 陰極電極 13,23,26 隔膜 14,24 陽極室 15,25 陰極室 27 隔離室 28 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/36 B22F 9/24 C25B 1/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極電極と、この陽極電極板に対向する
    陰極電極と、これらの電極間に単数または複数配設さ
    れ、イオン選択透過性を有し、各電極に接触するように
    供給される電解質液を隔離する隔膜とを備え、前記隔膜
    により隔離された空間ごとに互いに異なる電解質液をそ
    れぞれ循環供給しながら各電極間で通電することによ
    り、溶解した陽イオン金属成分を陽極電極側から陰極電
    極側に泳動させて分離する電解槽の操作方法であって、
    陰極電極を配設した陰極室に循環供給する電解質液であ
    る陰極室液に、この陰極室液の基礎電気的電導度性を維
    持する電解質として、陽イオンであるアンモニウムとナ
    トリウムまたはカリウムの少なくとも一方とを含み、陰
    イオン根として、硝酸根を含むことなく、塩素根、また
    は塩素根および硫酸根の両者を含む塩を存在させること
    で、陰極室液に金属性酸化粒子物または金属粒子物を分
    離生成させることを特徴とする電解槽の操作方法。
  2. 【請求項2】 陽極電極と、この陽極電極板に対向する
    陰極電極と、これらの電極間に単数または複数配設さ
    れ、イオン選択透過性を有し、各電極に接触するように
    供給される電解質液を隔離する隔膜とを備え、前記隔膜
    により隔離された空間ごとに互いに異なる電解質液をそ
    れぞれ循環供給しながら各電極間で通電することによ
    り、溶解した陽イオン金属成分を陽極電極側から陰極電
    極側に泳動させて分離する電解槽の操作方法であって、
    陰極電極を配設した陰極室に循環供給する陰極室液に、
    電解操作に応じて分解して陰極室液のアルカリ度を維持
    させる調整剤として、アンモニウム塩( 但し、硝酸アン
    モニウムは除く) 、尿素炭酸塩またはカルボン酸塩の少
    なくとも一つを存在させることで、循環する陰極室液に
    金属性酸化粒子物または金属粒子物を分離生成させるこ
    とを特徴とする電解槽の操作方法。
  3. 【請求項3】 陰極室液に、アンモニア水またはヒドラ
    ジンを注入することを特徴とする請求項1記載の電解槽
    の操作方法。
  4. 【請求項4】 分離生成された分離物が分散している液
    を、磁気特性下の雰囲気に送液して、前記分離物を磁気
    表面に付着させて前記液から分離することを特徴とする
    請求項1または2に記載の電解槽の操作方法。
  5. 【請求項5】 循環する陰極室液に、硫酸根,塩酸根,
    硝酸根,または燐酸根からなる遊離酸と、可溶性遊離ア
    ルカリ剤溶液とを、その注入量を調整しながら注入し
    て、陰極室液の水素イオン濃度を制御することで、陰極
    室液に泳動分離されてきた金属性イオン成分のうちの一
    部の金属性イオン種成分を可溶化させ、分離物の示す組
    成比を目的とする組成比に制御することを特徴とする請
    求項1または2に記載の電解槽の操作方法。
  6. 【請求項6】 循環する陰極室液に、陰極室液に泳動分
    離されてきた金属性イオン成分のうちの一部の金属性イ
    オン種に対して選択的に反応する有機性の醋形成剤を添
    加することで、陰極室液に泳動分離されてきた金属性イ
    オン成分のうちの一部の金属性イオン種成分を可溶性の
    イオン化状態で維持させ、分離物の示す組成比を目的と
    する組成比に制御することを特徴とする請求項1または
    2に記載の電解槽の操作方法。
  7. 【請求項7】 陰極室液に、硫酸または塩酸の少なくと
    も一方を含む液をその量を調整しながら添加して、陰極
    室液の水素イオン濃度をpH 1.5〜10.5までの間の意図し
    た狭いpH制御範囲に維持することで、目的の色相を呈す
    る分離物を陰極室液に分離生成させることを特徴とする
    請求項1または2に記載の電解槽の操作方法。
  8. 【請求項8】 陽極電極と、この陽極電極板に対向する
    陰極電極と、これらの電極間に単数または複数配設さ
    れ、イオン選択透過性を有し、各電極に接触するように
    供給される電解質液を隔離する隔膜とを備え、前記隔膜
    により隔離された空間ごとに互いに異なる電解質液をそ
    れぞれ循環供給しながら各電極間で通電することによ
    り、溶解した陽イオン金属成分を陽極電極側から陰極電
    極側に泳動させて分離する電解槽の操作方法であって、
    陰極電極を配設した陰極室に循環供給する電解質液であ
    る陰極室液に、この陰極室液の基礎電気的電導度性を維
    持する電解質として、陽イオンであるアンモニウムとナ
    トリウムまたはカリウムの少なくとも一方とを含み、陰
    イオン根として、硝酸根を主とし、この硝酸根と塩素根
    および硫酸根との混合比が100:0〜40:60であ
    る塩を溶解させ、この塩の陰極室液に対する溶解量を
    0.1〜10規定濃度の範囲内に制御することにより、陰極
    室液に分離生成される分離物を、アンモニウムイオンの
    共存下においても、磁化特性が弱い酸化物としてしか生
    成できなくすることを特徴とする電解槽の操作方法。
  9. 【請求項9】 陰極室液の水素イオン濃度をpH:8.5以上
    に制御して電解分離操作をすることにより、陰極室液に
    泳動分離されてきて不溶性分離物を形成した金属イオン
    種を、電解対象液にハロゲン根で構成された金属塩液が
    含まれている場合でも、陰極室液側に電気泳動分離させ
    て、陰極室液に分離生成されてきた分離物の組成におい
    て、前記ハロゲン根を含む反応物の量を著しく低減さ
    せ、もしくは全く含まなくなるように分離物を生成させ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の電解槽の
    操作方法。
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