JP3308179B2 - コールタールまたはコールタールピッチ中の不溶性物質の分離方法およびその分離設備 - Google Patents
コールタールまたはコールタールピッチ中の不溶性物質の分離方法およびその分離設備Info
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Description
はコールタールピッチ中の不溶性物質の分離方法および
その分離設備に関し、特に、含浸ピッチ製造工程におけ
る重力沈降装置中への不溶性物質の堆積防止を図り、ピ
ッチ品質と生産性の向上に有利な不溶性物質の分離技術
について提案する。
は、含浸用ピッチや針状コークス、炭素繊維などの高級
炭素材料の原料として使用する際には、コールタールま
たはコールタールピッチ中に含まれる不溶性物質を完全
に分離し除去する必要がある。例えば、不溶性物質であ
るキノリン不溶分がピッチ中に存在すると黒鉛化を妨げ
ることが知られており、好ましくない。このため、コー
ルタールまたはコールタールピッチから不溶性物質を分
離除去する技術は、従来から数多く提案されている。
タールピッチから不溶性物質を完全に分離して除去する
のは、コールタールまたはコールタールピッチ特有の性
状、即ち、(a) 不溶性物質であるキノリン不溶分の粒子
径が小さい、(b) 粘稠性が大きい、(c) 固液の密度差が
僅少である、が原因となって、極めて困難であった。
不溶性物質を容易に分離し除去するための手段として、
コールタール中に石炭系芳香族油を添加し、微細な不溶
性物質粒子を凝集させることにより、不溶性物質の沈降
速度を増大させて分離速度の向上を図る技術を利用した
提案がなされている。
香族系溶剤の添加を不溶性物質濃度が希薄な領域で実施
し、重力沈降装置にてコールタールまたはコールタール
ピッチ中に含まれる不溶性物質の重力沈降分離操作を施
すと共に、重力沈降して堆積せずに浮遊している不溶性
物質を含む懸濁液を、不溶性物質の濃縮液と不溶性物質
濃度の低い清澄液とに遠心分離し、その濃縮液について
は系外に排出し、清澄液については再び重力沈降装置に
戻して上記重力沈降分離操作を繰り返す技術が提案され
ている。この公報に開示の技術によれば、コールタール
等から不溶性物質を容易に分離除去し、高収率の製品清
澄液を得ることができる。
来技術では、重力沈降分離操作を長期間に渡って実施す
ると、重力沈降装置の底部に不溶性物質が堆積するため
に、堆積物による配管の閉塞などによって生産性の低下
を招いたり、堆積した不溶性物質の混入によって製品清
澄液の品質低下を招くといった問題があった。
題を解消するためになされたのであり、その主たる目的
は、堆積した不溶性物質に起因して生じる生産性の低下
や処理液の品質悪化を招くことのない、コールタールま
たはコールタールピッチ中の不溶性物質の分離方法を提
案することにある。また、本発明の他の目的は、上記方
法を好適に実施することができる分離設備を提供するこ
とにある。
実現に向けて鋭意研究した結果、重力沈降装置内に沈降
した混合液中の不溶性物質を系外へ連続的に排出すると
共に、重力沈降しない不溶性物質が浮遊している懸濁液
を抜き出して遠心分離することが、上記問題の解消に有
効であるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
含むコールタールまたはコールタールピッチと石炭系芳
香族溶剤とからなる混合液を用いて、重力沈降によりコ
ールタールまたはコールタールピッチ中から不溶性物質
を連続的に分離する方法において、不溶性物質を含むコ
ールタールまたはコールタールピッチと石炭系芳香族溶
剤を混合した混合液を重力沈降処理系に供給し、その混
合液中の不溶性物質のうちの重力沈降したものをまず、
掻き出し機を用いて系外に連続的に排出すると共に、そ
の混合液中の重力沈降しない不溶性物質を含む懸濁液を
遠心分離処理系に抜き出し、その抜き出した遠心分離処
理系中の懸濁液を不溶性物質の濃縮液と清澄液に遠心分
離し、その遠心分離処理系で生成する清澄液については
再び重力沈降処理系に還流させ、一方、前記重力沈降処
理系でオーバーフローする清澄液についてはそのまま回
収することを特徴とするコールタールまたはコールター
ルピッチ中の不溶性物質の分離方法である。
離方法において、不溶性物質を含むコールタールまたは
コールタールピッチと石炭系芳香族溶剤を混合した混合
液を重力沈降処理系に供給するに先立ち、その混合液を
連続遠心分離に供し、混合液中の不溶性物質濃度を低く
することが望ましい。特に、前記連続遠心分離に供する
前記混合液の粘度は30℃で50cP以下であることが望ま
しい。
において、重力沈降処理系における、懸濁液の抜き出し
量と混合液の供給量の割合は重量比で1:1〜1:10で
あり、かつ重力沈降した不溶性物質の系外への排出速度
は重力沈降処理系でオーバーフローする清澄液の線速度
以下であることが望ましい。
することができる分離設備として、本発明は、(2)不
溶性物質を含むコールタールまたはコールタールピッチ
と石炭系芳香族溶剤とを混合する混合装置と、重力差を
利用する重力沈降装置および遠心力を利用する遠心分離
装置を組み合わせて構成したコールタールまたはコール
タールピッチ中の不溶性物質を連続的に分離する設備に
おいて、前記混合装置に接続された前記重力沈降装置
は、該装置内底部に重力沈降した不溶性物質を系外に連
続的に排出する手段として掻き出し機を具え、かつ該装
置側壁下部側には、遠心分離装置に連結される不溶性物
質を含む懸濁液の抜出管を具え、前記遠心分離装置は、
遠心分離された濃縮液と清澄液とに分離排出する排出口
を設けると共に、その清澄液排出側には、この液を前記
混合装置に還流させるための還流管を接続したことを特
徴とするコールタールまたはコールタールピッチ中の不
溶性物質の分離設備を提案する。
離設備において、混合装置と重力沈降装置との間に連続
遠心分離装置を設置することが望ましい。さらに、連続
遠心分離装置と重力沈降装置との間に他の混合装置を設
置することが望ましい。この混合装置には、必要に応じ
て石炭系芳香族溶剤を添加する配管を設けることができ
る。
において、排出手段は、掻き出し機を重力沈降装置内底
部と該底部から排出口に向けて上り傾斜にした装置内側
面に沿って敷設したものであることが望ましい。
ルタールまたはコールタールピッチと石炭系芳香族溶剤
を混合した混合液を重力沈降装置に供給し、重力沈降し
た不溶性物質を系外へ連続的に排出すると共に、重力沈
降しない不溶性物質が浮遊している懸濁液を抜き出して
遠心分離する分離操作を繰り返す点に特徴がある。これ
により、重力沈降装置中への不溶性物質の堆積による配
管の閉塞などの弊害を有効に防止でき、不溶性物質をほ
とんど含まない高品質の製品清澄液を効率良く得ること
ができる。
た不溶性物質を系外へ連続的に排出するための手段とし
ては、掻き出し機、例えばバケットコンベヤやスクレー
パコンベヤなどのコンベア機構を用いることが望まし
い。これにより、混合液中の重力沈降しない不溶性物質
は、掻き出しの攪拌効果によって、混合液底部側で均一
に浮遊し、懸濁液となる。
の抜き出し量と混合液の供給量の割合は重量比で1:1
〜1:10、好ましくは、1:3〜1:6であることが望
ましい。この範囲内にあれば、重力沈降装置内での不溶
性物質の堆積を防ぐと共に、重力沈降装置内の不溶性物
質の濃度を低く維持することができるからである。かか
る要件に加え、重力沈降した不溶性物質の系外への排出
速度は重力沈降処理系でオーバーフローする清澄液の線
速度以下であることが望ましい。前記線速度を超える速
度で不溶性物質を系外へ排出すると、重力沈降装置内に
乱流を引き起こし、製品清澄液の品質悪化を招いたり生
産面で支障をきたしてしまうからである。
前に、不溶性物質を含むコールタールまたはコールター
ルピッチと石炭系芳香族溶剤を混合した混合液を連続遠
心分離に供し、コールタールまたはコールタールピッチ
中の不溶性物質濃度を低くする点に他の特徴がある。こ
のような連続遠心分離を行うことにより、重力沈降装置
内への不溶性物質の流入を極力抑え、閉塞などのトラブ
ルも少なくなり、重力沈降装置での不溶性物質の分離が
一層容易となる。その結果、不溶性物質をほとんど含ま
ない高品質の製品清澄液をより一層効率良く得ることが
でき、生産性がさらに向上する。
合液の粘度は30℃で50cP以下であることが望ましい。
前記混合液の粘度がこの範囲内にあれば、不溶性物質を
十分に分離でき、生産性も向上する。ところが、前記混
合液の粘度が50cPを超えると、不溶性物質の分離が困
難になったり、設備の規模が大きくなり、経済性の点で
不利になるからである。
しては、BDデカンターなどの一般的な連続遠心分離装
置が用いられる。
香族溶剤としては、平均沸点が80℃以上で、5容量%留
出温度が 150℃未満かつ95容量%留出温度が 230℃未満
のものを使用することが望ましい。この範囲よりも高沸
点の石炭系芳香族溶剤においては実用的な沈降速度が得
難いからである。この条件に合った石炭系芳香族溶剤
(タール系分留油)としては、例えば、ガス軽油、ター
ル軽油、タール中油がある。そして、このような石炭系
芳香族溶剤を使用する限りにおいては、オーバーフロー
中の石炭系芳香族溶剤を蒸留分離回収して得られた回収
溶剤を繰り返し使用しても、コールタールまたはコール
タールピッチ中の不溶性物質の沈降を促進する効果が変
化することはない。
上記石炭系芳香族溶剤の配合量は、その溶剤の沸点範囲
や出発原料であるコールタールまたはコールタールピッ
チの性状によって異なる。当然のことながら、溶剤回収
工程を含めた全プロセスの運転コストは溶剤比により大
きく影響を受けるので石炭系芳香族溶剤の使用量は必要
最小限とすべきである。従って一般には、上記石炭系芳
香族溶剤とコールタールまたはコールタールピッチとの
重量比は、約 0.5:1〜約 3.1:1、好ましくは約 1.
0:1〜約 2.5:1とすることが望ましい。これらの範
囲を逸脱して溶剤使用量を多くすると不経済であり、一
方溶剤使用量を少なくすると重力沈降タンクにおいて不
溶性物質が排出されずにタンク底部に蓄積するからであ
る。特に、好適沸点範囲にある5容量%留出温度が80℃
未満かつ95容量%留出温度が 200℃のガス軽油を用いる
場合は、上記石炭系芳香族溶剤とコールタールまたはコ
ールタールピッチとの重量比は、約 1.2:1〜約 2.2:
1が有利である。
ことができる本発明にかかる分離設備の一実施形態を図
1に基づいて説明する。図1に示す本発明の分離設備
は、不溶性物質を含むコールタールまたはコールタール
ピッチと石炭系芳香族溶剤とを混合する混合装置3と、
不溶性物質を分離する重力沈降装置1および遠心分離装
置2を組み合わせて構成したコールタールまたはコール
タールピッチ中の不溶性物質を連続的に分離する設備で
ある。
合装置3に導入管12で接続された前記重力沈降装置1
は、装置内底部に重力沈降した不溶性物質を系外に連続
的に排出する排出手段として掻き出し機を具え、かつ該
装置側壁下部側には、遠心分離装置2に連結される不溶
性物質を含む懸濁液の抜出管13を具えている。前記遠心
分離装置は、遠心分離された濃縮液と清澄液とに分離排
出する排出口を設けると共に、その清澄液排出側には、
この液を前記混合装置に還流させるための還流管を接続
している。
またはコールタールピッチ中の不溶性物質を連続的に分
離するに当たり、まず、不溶性物質を含むコールタール
またはコールタールピッチ7と石炭系芳香族溶剤8は、
それぞれの供給管から一定重量比率で混合装置3に連続
供給され、遠心分離装置2で生成した還流清澄液9と均
一に混合されたのち重力沈降装置1内に導入される。次
いで、重力沈降装置1内に導入された混合液は、例えば
懸濁液抜き出し量調整装置5と掻き出し機の連続運転に
より、その混合液中の不溶性物質のうちの重力沈降した
もの4がまず系外に連続的に排出されると共に、その混
合液中の重力沈降しない不溶性物質を含む懸濁液が遠心
分離装置2に抜き出される。これにより、重力沈降装置
1内底部での不溶性物質4の堆積を防止している。そし
て、その抜き出された遠心分離装置2中の懸濁液は、遠
心分離装置2で不溶性物質の濃縮液6と清澄液9に遠心
分離され、その遠心分離された清澄液9については還流
管15を通って再び混合装置3に還流され、一方、前記重
力沈降装置1でオーバーフローする製品清澄液11につい
てはそのまま回収される。このとき、重力沈降装置1内
の液面は、製品清澄液11のオーバーフロー位置によって
底部から一定の高さ位置に保たれる。また、製品清澄液
11のオーバーフロー液量は、コールタールまたはコール
タールピッチ7と石炭系芳香族溶剤8の供給総量を変更
することにより調整される。そしてさらに、回収された
製品清澄液11は、蒸留され、製品ピッチになる。
ことができる本発明にかかる分離設備の他の実施態様を
図2に基づいて説明する。図2に示す本発明の分離設備
は、不溶性物質を含むコールタールまたはコールタール
ピッチと石炭系芳香族溶剤とを混合する混合装置3,17
と、不溶性物質を分離する重力沈降装置1、遠心分離装
置2および連続遠心分離装置16を組み合わせて構成した
コールタールまたはコールタールピッチ中の不溶性物質
を連続的に分離する設備である。
重力沈降装置1との間に連続遠心分離装置16を設置し、
さらにこの連続遠心分離装置16と重力沈降装置1との間
に他の混合装置を設置したこと以外は、図1に示す分離
設備の構造と同様である。
またはコールタールピッチ中の不溶性物質を連続的に分
離するに当たり、まず、不溶性物質を含むコールタール
またはコールタールピッチ7と石炭系芳香族溶剤8は、
それぞれの供給管から一定重量比率で混合装置3に連続
供給され混合したのち、連続遠心分離装置16に導入され
る。このとき、必要に応じて、遠心分離装置2で生成し
た還流清澄液9を還流管15を通して混合装置3に添加混
合する。次いで、連続遠心分離装置16に導入された混合
液は、遠心分離された不溶性物質の濃縮液19を系外に排
出することにより、不溶性物質濃度が低い液として混合
装置17に導かれ、ここで必要に応じて、還流清澄液9や
石炭系芳香族溶剤8を添加混合する。なお、本発明で
は、混合装置17は設置しなくてもよい。そして、連続遠
心分離装置16において不溶性物質の濃縮液19が取り除か
れた混合液は、重力沈降装置1に導入されたのち、遠心
分離装置2で生成した清澄液9が還流管15を通って再び
混合装置3および/または混合装置17に還流されること
以外は、図1に示す分離設備と同様に作動し、沈降分離
操作が繰り返される。そしてさらに、回収された製品清
澄液11は、蒸留され、製品ピッチになる。
具体的に説明する。 (実施例1)本実施例は、図1に示す分離設備を用いて
実施した。出発原料としては、不溶性物質 2.0重量%を
含有するコールタール7と、石炭系芳香族溶剤8である
ガス軽油(平均沸点87℃)を使用した。
を2200kg/hr、ガス軽油8を3560kg/hr、遠心分離装置
2にて分離し還流される清澄液9を1680kg/hrの割合で
それぞれ添加し、ここで常温にて混合攪拌した混合液を
導入管12を経て箱形状の掻き出し機付重力沈降装置1に
導入した。この際、重力沈降装置1への混合液の導入
量、即ち該重力沈降装置1中の混合液の液面レベルは、
図示のない掻き出し機の上端部よりも下方側で、かつ懸
濁液抜き出し用抜出管13の上方側になるようにした。な
お、本実施例で用いた分離設備において、重力沈降装置
1の高さは6mであり、掻き出し機の上端部は重力沈降
装置1の底部から5mの高さに位置し、懸濁液抜き出し
用抜出管13は重力沈降装置1の底部から0.5 mの高さに
位置する。
混合液を上述した液面レベルまで貯留してから常温にて
2日間静置した後、上記分離設備による連続運転を開始
した。この際、掻き出し機としては鋼製のスクレーパコ
ンベヤを用い、排出速度 0.5m/min (清澄液の線速
度:2m/min )にて稼働した。ここでは、掻き出し機
により不溶性物質が20kg/hrの割合で分離排出すること
ができた。また、重力沈降しない不溶性物質が浮遊した
懸濁液を抜き出すための抜出管13には、懸濁液抜き出し
量調整装置5(開閉弁)とポンプ14を取り付け、パイプ
にて遠心分離装置2に連結し、1920kg/hr(懸濁液の抜
き出し量と混合液の供給量の重量比=1:3.9 )の割合
で懸濁液を抜き出した。さらに、遠心分離装置2として
は回転数4000rpm ,遠心効果3200Gのデカンター型のも
のを用い、抜き出された上記懸濁液を不溶性物質の濃縮
液6と清澄液9とに分離し排出した。このとき、排出さ
れた清澄液9は還流管15を通して混合装置3に還流し、
不溶性物質の濃度をさらに濃縮した濃縮液6は 240kg/
hrの割合で系外に排出した。
日間に渡って連続運転にて行い、掻き出し機付重力沈降
装置1からオーバーフローして得られる製品清澄液11に
ついて、液中に含まれる不溶性物質量の経時変化を調べ
た。このとき、不溶性物質量はキノリン不溶分として測
定した。
性物質量は運転開始から60日経過した後でも0.01重量%
以下であり、連続運転による製品清澄液11の品質悪化を
招くことはなかった。また、連続運転中には装置トラブ
ルもなく生産量の低下はなかった。
/min (清澄液の線速度: 1.8m/min )にして稼働す
ること以外は、実施例1と同様にして不溶性物質の分離
操作を連続運転にて行った。得られた製品清澄液11につ
いて、液中に含まれる不溶性物質量の経時変化を調べた
ところ、製品清澄液11中の不溶性物質量は、運転開始か
ら30日経過後までは0.01重量%以下であったが、60日経
過した後は0.02重量%となった。
を用いた不溶性物質の掻き出し操作を行わなかったこと
以外は、実施例1と同様にして不溶性物質の分離操作を
連続運転にて行った。得られた製品清澄液11について、
液中に含まれる不溶性物質量の経時変化を調べたとこ
ろ、製品清澄液11中の不溶性物質量は、運転開始から25
日経過後に0.02重量%となった。このため、重力沈降過
程での処理液の滞留時間を2倍にして運転を再開したと
ころ、製品清澄液11中の不溶性物質量は、運転再開後に
一旦0.01重量%以下にまで低下したが、運転再開から24
日経過後に再び0.02重量%となった。このとき、重力沈
降装置1の運転を停止し、処理液を抜いたところ、装置
底部に堆積した不溶性物質が確認された。
設備を用いて実施した。出発原料としては、不溶性物質
4.0重量%を含有するコールタール7と、石炭系芳香族
溶剤8であるガス軽油(平均沸点87℃)を使用した。
を1970kg/hr、ガス軽油8を3940kg/hrの割合でそれぞ
れ添加し、さらに必要に応じて遠心分離装置2にて分離
し還流される清澄液9を1730kg/hrの割合で添加し、こ
こで混合攪拌した混合液(30℃での粘度40cP)を連続遠
心分離装置16に導入した。この連続遠心分離装置16とし
ては、回転数4000rpm ,遠心効果3200Gのデカンター型
のものを用いた。
た上記混合液は、遠心分離された不溶性物質の濃縮液19
として 590kg/hrの割合で系外へ排出する一方、不溶性
物質濃度の低い液として混合装置17に導入した。
軽油8を 920kg/hr、遠心分離装置2にて分離し還流さ
れる清澄液9を1730kg/hrの割合で必要に応じて添加
し、ここで混合攪拌した混合液を導入管20を経て箱形状
の掻き出し機付重力沈降装置1に導入した。なお、重力
沈降装置1内の混合液の液面レベルは実施例1と同様の
レベルにした。また、重力沈降装置1の構造も実施例1
と同様にした。
/min (清澄液の線速度: 2.2m/min )にして稼働
し、重力沈降装置1内から1920kg/hr(懸濁液の抜き出
し量と混合液の供給量の重量比=1:4.2 )の割合で懸
濁液を抜き出し、遠心分離装置2において不溶性物質濃
度をさらに濃縮した濃縮液6を 190kg/hrの割合で系外
に排出すること以外は、実施例1の (2)および(3) と同
様にして、不溶性物質の分離操作を連続運転にて行い、
得られた製品清澄液11について評価した。
性物質量は運転開始から60日経過した後でも0.01重量%
以下であり、連続運転による製品清澄液11の品質悪化を
招くことはなかった。また、連続運転中には装置トラブ
ルもなく生産量の低下はなかった。
を用いた不溶性物質の掻き出し操作を行わなかったこと
以外は、実施例1と同様にして不溶性物質の分離操作を
連続運転にて行った。得られた製品清澄液11について、
液中に含まれる不溶性物質量(キノリン不溶分)の経時
変化を調べたところ、製品清澄液11中の不溶性物質量
は、運転開始から39日経過後に0.02重量%となった。こ
のため、重力沈降過程での処理液の滞留時間を2倍にし
て運転を再開したところ、製品清澄液11中の不溶性物質
量は、運転再開後に一旦0.01重量%以下にまで低下した
が、運転再開から38日経過後に再び0.02重量%となっ
た。このとき、重力沈降装置1の運転を停止し、処理液
を抜いたところ、装置底部に堆積した不溶性物質が確認
された。
浸ピッチ製造工程における重力沈降装置中への不溶性物
質の堆積防止を、懸濁液の抜き出し操作と不溶性物質の
連続掻き出し操作の組合せにより図り、生産性の低下や
製品清澄液の品質悪化を招くことなく、コールタールま
たはコールタールピッチ中の不溶性物質を分離すること
ができる。したがって、このようにして得られた不溶性
物質をほとんど含まない製品清澄液は、その品質向上に
より、含浸ピッチや針状コークス、炭素繊維などの高級
炭素材料の原料として有用である。
である。
を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 不溶性物質を含むコールタールまたはコ
ールタールピッチと石炭系芳香族溶剤とからなる混合液
を用いて、重力沈降によりコールタールまたはコールタ
ールピッチ中から不溶性物質を連続的に分離する方法に
おいて、 不溶性物質を含むコールタールまたはコールタールピッ
チと石炭系芳香族溶剤を混合した混合液を重力沈降処理
系に供給し、その混合液中の不溶性物質のうちの重力沈
降したものをまず、掻き出し機を用いて系外に連続的に
排出すると共に、その混合液中の重力沈降しない不溶性
物質を含む懸濁液を遠心分離処理系に抜き出し、その抜
き出した遠心分離処理系中の懸濁液を不溶性物質の濃縮
液と清澄液に遠心分離し、その遠心分離処理系で生成す
る清澄液については再び重力沈降処理系に還流させ、一
方、前記重力沈降処理系でオーバーフローする清澄液に
ついてはそのまま回収することを特徴とするコールター
ルまたはコールタールピッチ中の不溶性物質の分離方
法。 - 【請求項2】 不溶性物質を含むコールタールまたはコ
ールタールピッチと石炭系芳香族溶剤を混合した混合液
を重力沈降処理系に供給するに先立ち、その混合液を連
続遠心分離に供し、混合液中の不溶性物質濃度を低くす
ることを特徴とする請求項1に記載の分離方法。 - 【請求項3】 前記重力沈降処理系における、懸濁液の
抜き出し量と混合液の供給量の割合が重量比で1:1〜
1:10であり、かつ重力沈降した不溶性物質の系外へ
の排出速度が重力沈降処理系でオーバーフローする清澄
液の線速度以下であることを特徴とする請求項1または
2に記載の分離方法。 - 【請求項4】 連続遠心分離に供する前記混合液の粘度
が30℃で50cP以下であることを特徴とする請求項2また
は3に記載の分離方法。 - 【請求項5】 不溶性物質を含むコールタールまたはコ
ールタールピッチと石炭系芳香族溶剤とを混合する混合
装置と、重力差を利用する重力沈降装置および遠心力を
利用する遠心分離装置を組み合わせて構成したコールタ
ールまたはコールタールピッチ中の不溶性物質を連続的
に分離する設備において、 前記混合装置に接続された前記重力沈降装置は、該装置
内底部に重力沈降した不溶性物質を系外に連続的に排出
する手段として掻き出し機を具え、かつ該装置側壁下部
側には、遠心分離装置に連結される不溶性物質を含む懸
濁液の抜出管を具え、 前記遠心分離装置は、遠心分離された濃縮液と清澄液と
に分離排出する排出口を設けると共に、その清澄液排出
側には、この液を前記混合装置に還流させるための還流
管を接続したことを特徴とするコールタールまたはコー
ルタールピッチ中の不溶性物質の分離設備。 - 【請求項6】 前記混合装置と前記重力沈降装置との間
に連続遠心分離装置を設置したことを特徴とする請求項
5に記載の分離設備。 - 【請求項7】 前記連続遠心分離装置と前記重力沈降装
置との間にさらに混合装置を設置したことを特徴とする
請求項6に記載の分離設備。 - 【請求項8】 前記排出手段は、掻き出し機を重力沈降
装置内底部と該底部から排出口に向けて上り傾斜にした
装置内側面に沿って敷設されたものであることを特徴と
する請求項5〜7のいずれか1項に記載の分離設備。
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