JP3307477B2 - 工作機械のパレット交換装置 - Google Patents

工作機械のパレット交換装置

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JP3307477B2
JP3307477B2 JP24710993A JP24710993A JP3307477B2 JP 3307477 B2 JP3307477 B2 JP 3307477B2 JP 24710993 A JP24710993 A JP 24710993A JP 24710993 A JP24710993 A JP 24710993A JP 3307477 B2 JP3307477 B2 JP 3307477B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パレット待機位置と工
作機械上のパレット載置台との間でパレットを交換する
工作機械のパレット交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械でワークの加工を終了すると、
そのワークを取付けているパレットを工作機械上のパレ
ット載置台であるテーブルから取りはずして工作機械の
外部の待機位置に設けたパレットストッカ上に移載し、
予め段取りの済んだ他のワークを取付けたパレットを新
たに工作機械のテーブル上に移載して位置決め、固定す
るパレット交換が行われる。このパレット交換は、自動
パレット交換装置を用いて行う場合と、クレーン等を用
いて作業者が手動で行う場合とがある。いずれの場合に
おいても工作機械のテーブル上にパレットを位置決めし
て固定するパレット装着作用と、テーブルへのパレット
の固定を解除するパレット離脱作用とを行うパレット着
脱装置が必要である。
【0003】パレットをテーブルに位置決めする方法と
して、一般的にはテーパ状または勾配の付いたピンと穴
との係合機構をパレットとテーブルとに設け、ピンと穴
との解離した位置からピンと穴とを徐々に接近させ、そ
の接近過程で両者の位置ずれが矯正され、ピンと穴とが
密着係合したときに位置決めが完了するものが採用され
る。このピンと穴との解離した位置をパレット交換位置
と称し、該パレット交換位置は、パレットがテーブルか
ら浮上しピンと穴との係合が完全に離れる、つまりピン
の先端高さと穴の口元高さとが一致する位置より若干離
れた位置に設定される。したがってパレット交換位置に
あるパレットは水平方向に移動させても、上方へ移動さ
せてもピンと穴とが干渉することはない。パレットスト
ッカとテーブルとの間でパレット交換を行う場合、自動
パレット交換を行うにしても、手動パレット交換を行う
にしてもパレットはこのパレット交換位置を通過する必
要がある。
【0004】工作機械の伝統的なパレット交換装置(例
えば、特開平1−140939号公報参照)にあって
は、パレット固定位置中央の真下側のテーブル部分に、
大型の油圧シリンダが埋設されており、そのピストンロ
ッド上端のクランプ板が、パレットに形成されたT字形
のアリ溝部に嵌合した後に、下方側に引き込まれ、これ
によりパレット底面に設けたテーパ穴とテーブル上面に
設けたテーパ状の位置決めピンとが係合してパレットが
テーブル上に位置決め・固定される。パレットを交換す
る場合は、ピストンロッドを上昇させ、その位置でパレ
ット移載手段によってアリ溝部の長手方向にパレットを
滑動させて外部のパレットストッカへパレットを移載さ
せるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】パレット重量が小さい
小形工作機械にあっては、前述の従来の技術のようなパ
レット交換装置で良いが、パレット重量(積載ワーク重
量を含む)が例えば10トンを越えるような大形工作機
械にあっては、次のような問題点がある。ピストンロッ
ドを上昇させてその位置で一旦静止させ、ピストンロッ
ド上端のクランプ板上でパレットを滑動して外部のパレ
ットストッカにパレットを移載する際、クランプ板には
大重量の移動荷重が作用することになり、ピストンロッ
ド、クランプ板およびシリンダ装置をその大重量の移動
荷重に耐えられるように作成しなければならない。する
とパレットとテーブルとの間に大がかりな機構を設ける
ことになり、テーブルまわりに余分なスペースを必要と
することになる。
【0006】また、前記ピストンロッド上端のクランプ
板上にパレットが載置される位置は、パレット交換の度
に若干量異なり、その状態でパレットを下降させると、
パレット底面に設けたテーパ穴とテーブル上面に設けた
テーパ状の位置決めピンとが係合する過程で前記若干量
の位置ずれをなくし所定の位置にパレットを位置決めで
きる。よってこの位置決めピンの係合過程でテーパ穴斜
面との衝突と摩擦があり、テーパ穴と位置決めピンとに
いくらかの摩耗が生じる。パレット重量の小さい小形工
作機械にあっては、この摩耗は無視できるほどで問題に
はならないが、パレット重量の大きい前述のような大形
工作機械にあっては、この摩耗は無視できない。摩耗が
進むとパレット位置決め精度が悪化するし、頻繁に摩耗
部品を交換する手間が増えるという問題が生じる。この
問題は、自動パレット交換装置を用いずに、クレーン等
を用いて手動でパレットを交換する場合には、更に顕著
である。
【0007】よって本発明の目的は、大形工作機械のパ
レット交換に適し、大重量パレット移載の際の移動荷重
に耐えることが可能でしかもコンパクトなパレット支持
手段を有した工作機械のパレット交換装置を提供するこ
とである。また、パレットをテーブルに着脱する際、位
置決め手段の摩耗を可及的に少くすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る工作機械のパレット交換装置は、パレッ
ト昇降手段とは別に、パレットをパレット交換位置に支
持するパレット支持手段を設け、該パレット支持手段
は、パレットがクランプ位置に下降している場合は下
降、退避してパレットとパレット載置台とが係合可能に
構成される。
【0009】また、パレット底面に設けたテーパ穴に係
合するテーパ外周面を有し、該テーパ穴に係合してパレ
ットを昇降させるパレット昇降手段をパレット載置台に
設け、パレットをパレット交換位置から下降させて位置
決め手段に係合させる過程に先立って、パレット昇降手
段を上昇させてパレット底面のテーパ穴にパレット昇降
手段のテーパ外周面を係合させて粗位置決めし、その状
態でパレットを徐々に下降させて本位置決め可能に構成
する。
【0010】請求項1に記載の本発明は、パレット待機
位置と工作機械(1)上のテーブル(5)との間でパレ
ット(P)する工作機械のパレット交換装置において、
前記パレット(P)の底面に設けられテーパ穴を有した
複数のロケートブッシュ(23)と、前記ロケートブッ
シュ(23)の各テーパ穴に対応させて前記テーブル
(5)に設けられた複数のテーパコーン(27)とで成
り、前記テーブル(5)の所定位置にパレット(P)を
位置決めする位置決め手段と、前記位置決め手段で位置
決めしたパレット(P)を前記テーブル(5)に着脱可
能に固定するクランプ手段(11)と、前記テーブル
(5)に昇降可能に設けられ、前記パレット(P)の底
面に設けられた複数のサポートブッシュ(25)の各テ
ーパ穴に係合するテーパ外周面を有した複数のピストン
部材(41)と、前記複数のピストン部材(41)を同
期して流体圧で往復駆動させるシリンダ部材(43)と
を備えて成り、前記ピストン部材(41)の上昇時にパ
レット(P)を粗位置決めし、前記ピストン部材(4
1)の下降時に前記位置決め手段により前記パレット
(P)を本位置決めするパレット昇降手段(13)とを
具備した工作機械のパレット交換装置を要旨とする。
【0011】請求項2に記載の本発明は、パレット待機
位置と工作機械(1)上のテーブル(5)との間でパレ
ット(P)を交換する工作機械のパレット交換装置にお
いて、前記パレット(P)の底面に設けられテーパ穴を
有した複数のロケートブッシュ(23)と、前記ロケー
トブッシュ(23)の各テーパ穴に対応させて前記テー
ブル(5)に設けられた複数のテーパコーン(27)と
で成り、前記テーブル(5)の所定位置にパレット
(P)を位置決めする位置決め手段と、前記位置決め手
段で位置決めしたパレット(P)を前記テーブル(5)
に着脱可能に固定するクランプ手段(11)と、前記テ
ーブル(5)に昇降可能に設けられ、前記パレット
(P)の底面に設けられた複数のサポートブッシュ(2
5)の各テーパ穴に係合するテーパ外周面を有した複数
のピストン部材(41)と、前記複数のピストン部材
(41)を同期して流体圧で往復駆動させるシリンダ部
材(43)とを備えて成り、前記ピストン部材(41)
の上昇時にパレット(P)を粗位置決めし、前記ピスト
ン部材(41)の下降時に前記位置決め手段により前記
パレット(P)を本位置決めするパレット昇降手段(1
3)と、前記テーブル(5)に設けられ、パレット
(P)を載置、ガイドするパレットガイド部材(55)
と、前記パレットガイド部材(55)に設けられた昇降
用の複数のカムフォロア(54)と、前記カムフォロア
(54)と係合する斜面及び前記斜面に続く上面を有し
た板カム部材(57)と、前記板カム部材(57)を前
記テーブル(5)上で往復動させ、前記カムフォロア
(54)を前記板カム部材(57)の斜面に沿って持ち
上げ前記斜面に続く上面で停止させることにより前記パ
レットガイド部材(55)を昇降させる駆動手段(5
9)とを備えて成り、パレット(P)の交換時は前記パ
レットガイド部材(55)を上昇してパレット(P)を
パレット交換位置に搬送可能に支持し、パレット(P)
のクランプ時は前記パレットガイド部材(55)を下
降、退避してパレット(P)と前記テーブル(5)とを
係合可能にしたパレット支持手段(15)とを具備した
工作機械のパレット交換装置を要旨とする。
【0012】
【作用】パレットがパレット載置台に位置決め、固定さ
れている状態からパレットを離脱させる場合は、クラン
プ手段を解除し、パレット昇降手段でパレットを上昇さ
せ、続いてパレット支持手段を上昇させ、その後パレッ
ト昇降手段を下降させてパレットをパレット支持手段で
支持させる。その状態でパレットを移載させパレット交
換を行う。新しいパレットがパレット支持手段に載置さ
れると、パレット昇降手段で一旦パレットを上昇させ、
パレット支持手段によるパレットの支持を解除し、パレ
ット支持手段を下降、退避させ、その後パレット昇降手
段を下降させてパレットをパレット載置台に位置決め、
固定してパレットの交換を完了する。
【0013】パレット昇降手段がパレット底面に設けた
テーパ穴に挿入するテーパ外周面を有している場合は、
パレット支持手段によりパレットを支持している状態か
ら、一旦パレットを上昇させる過程において粗位置決め
を行い、その状態でパレットを徐々に下降させて本位置
決めを行うので、本位置決めの際の位置ずれが少く、位
置決め手段の摩耗を最小限に食い止められる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明のパレット交換装置の一実施例の
要部断面側面図、図2は、図1の要部の平面図、図3
は、パレット支持装置の作動を示す側面図、図4は、パ
レット交換工程の要部を示すフローチャート、図5は、
工作機械システムの全体概略構成図である。
【0015】先ず、本実施例における工作機械システム
全体について概説するに、図5を参照すると、マシニン
グセンタ1は、ベッド3の上部手前側にテーブル5を固
定してパレットPを着脱可能に載置している。ベッド3
の上部後方には左右と前後に移動可能なコラム6が立設
され、コラム6の前面を水平形の回転主軸を有した主軸
頭8が上下動可能に設けられている。中央に配置された
マシニングセンタ1のベッド3(テーブル5)を挟んで
その両側には、図示しないワーク(被加工物)が載置さ
れるパレットP(PA ,PB )を、規則正しくテーブル
5上に搬入及びそこから搬出(移載)するための、パレ
ットストッカ7及び搬出入装置9がそれぞれ配設されて
いる。
【0016】テーブル3上には、詳細は後述するが、本
実施例の要部を成す3つの装置、すなわちテーブル3上
にパレットPを位置決めして固定するクランプ装置11
と、パレットPを昇降させるパレット昇降装置13と、
所定高さに設定したパレット交換位置でパレットPを支
持し得るパレット支持装置15とが配設される。以下、
これらのクランプ装置11、パレット昇降装置13、パ
レット支持装置15につきこの順序で個別に詳説する。
【0017】クランプ装置11 図1及び2を参照すると、矩形状のパレットPの下面の
同一径の円周上の12等分した箇所には、1つ置きにク
ランプ用のプルスタッド21が螺着されると共に、該プ
ルスタッド21がその中央を貫通・突出するような位置
関係で、傾斜内面(テーパ穴)を有するロケートブッシ
ュ23が取着され、また、その間の1つ置きのパレット
下面箇所には、同様の傾斜内面を有するサポートブッシ
ュ25(後述する)が埋設される。
【0018】他方、ベッド3のテーブル5の上面の対応
する位置には、ロケートブッシュ23の傾斜内面と嵌合
してパレットPの実質的な位置決め機能を奏する相補的
形状の傾斜外面を有するテーパーコーン27が設けられ
ると共に、プルスタッド21を引き込んでパレットPを
テーブル5上に固定する機能を奏するクランプ装置11
が、該テーパーコーン27と同軸的に配設されている。
【0019】クランプ装置11は、進退自在にプルスタ
ッド21に係合し得る輪状に均等配置された複数のボー
ル29を備えた円筒状のボールコレット部31をその先
端側に有するピストン33を有し、該ピストン33は、
円筒状のシリンダ部材35内を並進的に上下動し得る。
該ピストン33の上下動について更に詳細に説明する
と、第1油圧切換弁(4ポート弁)37の切換により油
圧源(Pポート)からいわゆるシリンダヘッド側に作動
油が供給され、シリンダロッド側の作動油は、タンク
(Tポート)に回収され、これによりピストン33が上
昇し、他方、第1油圧切換弁37の別の切換により油圧
源(Pポート)から今度はシリンダロッド側に作動油が
供給され、シリンダヘッド側の作動油は、タンク(Tポ
ート)に回収され、これによりピストン33が下降す
る。
【0020】そして、ピストン33上昇時において、ピ
ストン33上端のボールコレット部31のボール29の
高さ位置と、その外側のテーパーコーン27の内周溝の
それとが一致し、ボール29が放射状に外方(横方向)
に退避し得るために、ボール29の輪の中を延びるプル
スタッド21はアンクランプ状態となる。他方、ピスト
ン33下降時においては、テーパーコーン27の狭い孔
部の側壁によってボール29が内方に進出されてプルス
タッド21の引っ掛け部に係合し、そのままプルスタッ
ド21を下方に引き込む、すなわちクランプ状態とな
る。
【0021】このようなクランプ装置11により、パレ
ットPは解除自在に確実にテーブル5上に位置決め固定
されることになる。
【0022】パレット昇降装置13 図1及び2を参照すると、上述したパレットP下面のサ
ポートブッシュ25の取着位置に対応するテーブル5上
面位置には、サポートブッシュ25の傾斜内面に嵌合し
てパレット面内方向のパレットPの動きを拘束し得る相
補的形状の傾斜(テーパ)外面をその先端部に有する、
パレット昇降装置13の要部を成すピストン部材41が
配設される。
【0023】ピストン部材41は、テーブル5に埋設さ
れた円筒状のシリンダ部材43の中に摺動自在に装着さ
れており、第2油圧切換弁45の切換により、油圧源
(Pポート)からいわゆるシリンダヘッド側に作動油が
供給されると上昇し、いわゆるシリンダロッド側に作動
油が供給されると下降する。このピストン部材41の上
下動によりパレットPは、パレット固定高さ位置とそれ
よりも高いパレット上昇高さ位置との間で、昇降され
る。
【0024】ところで、シリンダヘッド側(ピストン部
材41を上昇させる側)への作動油の供給配管経路に
は、2つの油圧シリンダ(本実施例ではパレット昇降装
置13)の行き、戻り両行程を同期制御させ得るいわゆ
る分集流弁Vが介装される。この分集流弁Vは、3つ設
けられ、6つあるパレット昇降装置13の内、180度
対向する位置にある2つのパレット昇降装置(13A
13B ,13C )の組に対して各1つの分集流弁
(VA ,VB ,VC )が割り当てられ、その2つのパレ
ット昇降装置同士(ピストン部材41)が、その上下動
速度的に一致するようになっている(図2参照)。すな
わち180度対向するピストン部材41は同期して上下
動し、パレットPが傾く危険性はない。
【0025】尚、別の新たな分集流弁を用意し、これら
を、パレット昇降装置の組同士が相互に同期作動するよ
うに配管経路に介装して、総てのパレット昇降装置が全
体的に同期するように構成することができる。また、行
き行程のみ同期させ得る単なる分流弁(図示せず)を複
数個組み合わせて同様な効果を得るようにも構成でき
る。
【0026】パレット支持装置15 図3を参照すると、テーブル5の手前側及び奥側には各
々、パレット支持装置15を基本的に構成する、パレ
ットP整列用のサイドローラ51(図1参照)が要所要
所に取着され且つ複数個のローラ53が所定ピッチで回
動自在に取着された細長のレール部材55と、レール
部材55のカムフォロワ54に係合してこれを上下動さ
せ得る細長の一対の板カム部材57(57a,57b)
と、両板カム部材57を相互に逆方向に直線的に往復
動させ得る両ロッドタイプの小型シリンダ装置59と、
両板カム部材57のこの直線的な移動を案内する案内
部材61、とが配置構成されている。
【0027】第3油圧切換弁(4ポート弁)63の切換
により油圧源(Pポート)から、例えばシリンダヘッド
側に作動油が供給されると、小型シリンダ装置59が作
動して、板カム部材57を相互に離れる方向に移動させ
る。このとき、レール部材55の各カムフォロワ54が
板カム部材57のカム面に倣って上昇し、板カム部材5
7の上面で停止する。従ってレール部材55全体が並進
的に上昇する(図3(A)→(B))。他方、シリンダ
ロッド側に作動油が供給されると、小型シリンダ装置5
9は、両板カム部材57を相互に近づく方向に移動させ
る。このとき、各カムフォロワ54が板カム部材57の
カム面に倣って今度は下降し、従ってレール部材55全
体が並進的に下降する(図3(B)→(A))。
【0028】上記上昇時においては、レール部材55の
各ローラ53は、上記パレット昇降装置13によってパ
レット上昇高さ位置に位置せしめられた際のそのパレッ
トPと物理的に接触しないような高さ位置、すなわちパ
レット上昇高さ位置よりも低い高さ位置(パレット交換
位置)に位置する。他方、上記下降時においては、レー
ル部材55の各ローラ53は、上記パレット昇降装置1
3によってパレット下降高さ位置(パレットクランプ位
置)に位置せしめられた際のそのパレットPと物理的に
接触しないような高さ位置、すなわち該パレット下降高
さ位置よりも低い高さ位置(退避位置)に位置する。
【0029】以上の特徴的な機械的構成を有する本実施
例装置の全体的な作動につき、図4のパレットPA から
パレットPB に交換する工程の要部を示すフローチャー
トを参照して、以下説明する。先ず、ステップ401
で、クランプ装置11によるパレットPA のクランプ状
態を解除する。
【0030】次いで、ステップ403で、パレット昇降
装置13を作動させ、これにより、パレットPA は、ピ
ストン部材41によって上方に突き上げられるように、
所定のパレット上昇高さ位置まで上昇する。次いで、ス
テップ405で、パレット支持装置15を作動させ、こ
れにより、ローラ53(レール部材55)は、パレット
交換位置まで上昇する。このとき、ローラ53は、パレ
ット下面に未だ接触していない。
【0031】次いで、ステップ407で、ピストン部材
41を下降させ、このとき、パレットPA は、ピストン
部材41と共に僅かに下降し、直ぐにピストン部材41
からレール部材55のローラ53上に乗り移り、パレッ
ト交換位置に支持される。このときレール部材55はカ
ムフォロワ54を介して板カム部材57の上面に完全に
乗り上げた位置で停止しているので、小型シリンダ装置
59に負担をかけることなく、パレット支持装置15は
大重量のパレット及びその移動荷重にも十分耐えること
ができる。
【0032】次いで、ステップ409及び411で、パ
レット搬出入装置9により、パレットPA がその位置す
る場所から外側に搬出され、新たなパレットPB がその
場所に搬入される。この搬入されたパレットPB は、レ
ール部材55のローラ53上に乗っかっている。次い
で、ステップ413で、パレット昇降装置13を作動さ
せ、これにより、パレットPB は、ピストン部材41に
よって上方に突き上げられるようにしてピストン部材4
1上に乗り移りながら、所定のパレット上昇高さ位置ま
で上昇する。この過程でパレットの粗位置決めがなされ
る。
【0033】次いで、ステップ415で、パレット支持
装置15を作動させ、これにより、無負荷状態となって
いるレール部材55のローラ53は、パレットクランプ
位置よりも低い退避位置まで下降する。次いで、ステッ
プ417で、パレット昇降装置13を作動させ、これに
より、ピストン部材41によって支持されているパレッ
トPB は、ピストン部材41と共に下降し、ロケートブ
ッシュ23及びテーパーコーン27の各嵌合により、テ
ーブル5上に精度良く円滑に本位置決めし、支持され
る。
【0034】そして、ステップ419で、クランプ装置
11を作動させて、パレットPB は、テーブル5に対し
てクランプ状態となる。以上説明したように、本実施例
においては、従来1つ乃至2つの装置で賄っていた工程
を複数の装置(11,13,15)で合理的に作業分担
するように構成したために、すなわち、搬入されたパレ
ットPをパレット支持装置15が一時的に受け、次いで
パレット昇降装置13がこのパレットPを受け継ぎ、こ
の時、パレットPをある程度の精度で粗く位置決めし、
パレットPを下降させ、テーブル5のテーパーコーン2
7上に滑らか且つ緩やかに装着して本位置決めを行い、
そしてクランプ装置11が円滑にパレットPをクランプ
する、という無理のない一連の工程(クランプ解除の工
程でも同様である)が行われるために、各装置に無理が
掛からず、その結果、システム全体の長期的な精度の安
定確保や関係する摺動部(例えば、テーパーコーン等の
嵌合面や摺動面)の長寿命化等を図ることができ、極め
て実用的である。また、パレット支持装置はコンパクト
な構成ながら大重量のパレット及びその移動荷重に耐え
ることができ、テーブルまわりを省スペース化できる。
【0035】別の実施例として、図1のパレット支持装
置15をなくし、クレーン等を用いてパレットPをテー
ブル5上へ直接装着したり、テーブル5上から直接離脱
させる工作機械のパレット交換装置がある。この場合の
パレット交換の手順は、クレーンでパレットPをロケー
トブッシュ23とテーパーコーン27とが係合する直前
の位置(パレット支持装置15がある場合の略パレット
交換位置に相当する位置)まで移動する。パレット昇降
手段13のピストン部材41を徐々に上昇させサポート
ブッシュ25と係合するようにパレットPの位置を手動
で調節する。このピストン部材41とサポートブッシュ
25との係合過程でパレットPの粗位置決めがなされ
る。ピストン部材41が上昇してパレットPがピストン
部材41によって安定的に支持されたのを確認してクレ
ーンのワイヤをはずし、その後ピストン部材41を下降
させ、前述の実施例と同様にパレットPをテーブル5に
本位置決めし、固定する。
【0036】パレットPのテーブル5からの離脱手順
は、クランプ装置11によるプルスタッド21の引き込
みを解除し、パレット昇降装置13によりパレットPを
上昇させ、クレーンのワイヤをパレットPに若干ゆるく
掛け、ピストン部材41を徐々に下降させる。パレット
Pはクレーンに完全に吊るされ、パレットストッカへ移
載される。この実施例においても大重量のパレットを一
旦粗位置決めしてから本位置決めするので、位置決め手
段の摩耗低減を図ることができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、パレット
昇降手段でパレットを上昇させた状態でパレット支持手
段のパレットガイド部材を昇降させるので、パレットガ
イド部材昇降用のシリンダ装置をはじめとしてパレット
支持手段全体をコンパクトに構成できる。またパレット
ガイド部材を板カム部材を用いて上昇させ、板カム部材
の上面でパレットの重量を支えるように構成しているの
で、これまた簡単な構成で大重量のパレットおよびその
移動荷重に十分耐えることができかつコンパクトであ
る。このようにしてテーブルまわりの省スペース化を実
現できた。
【0038】またパレットをテーブルに下降させて位置
決めする際、パレットを一旦上昇させてパレット底面に
設けたテーパ穴にパレット昇降手段のテーパ外周面を係
合させ、その係合過程でパレットの粗位置決めを行い、
その後パレット昇降手段を下降させてパレットをテーブ
ル上に本位置決めする構成にしたので、大重量のパレッ
トの着脱を行っても位置決めコーン等の位置決め手段の
摩耗が少く、パレットの位置決め精度を長期間維持でき
る。そして位置決め手段を従来のように頻繁に交換する
煩瑣がなくなる。特にパレットの交換をクレーン等を用
いて手動で行う工作機械の場合にはこの効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のパレット交換装置の一実施例
の要部断面側面図である。
【図2】図2は、図1の要部の平面図である。
【図3】図3は、パレット支持装置の作動を示す側面図
である。
【図4】図4は、パレット交換工程の要部を示すフロー
チャートである。
【図5】図5は、工作機械システムの全体概略構成図で
ある。
【符号の説明】
P,PA ,PB …パレット 5…テーブル 11…クランプ装置 13…パレット昇降装置 15…パレット支持装置 23…ロケートブッシュ 25…サポートブッシュ 27…テーパーコーン 41…ピストン部材 43…シリンダ部材 V…分集流弁 53…ローラ 55…レール部材 57…板カム部材 59…小型シリンダ装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パレット待機位置と工作機械(1)上の
    テーブル(5)との間でパレット(P)する工作機械の
    パレット交換装置において、 前記パレット(P)の底面に設けられテーパ穴を有した
    複数のロケートブッシュ(23)と、前記ロケートブッ
    シュ(23)の各テーパ穴に対応させて前記テーブル
    (5)に設けられた複数のテーパコーン(27)とで成
    り、前記テーブル(5)の所定位置にパレット(P)
    位置決めする位置決め手段と、 前記位置決め手段で位置決めしたパレット(P)を前記
    テーブル(5)に着脱可能に固定するクランプ手段(1
    1)と、 前記テーブル(5)に昇降可能に設けられ、前記パレッ
    ト(P)の底面に設けられた複数のサポートブッシュ
    (25)の各テーパ穴に係合するテーパ外周面を有した
    複数のピストン部材(41)と、前記複数のピストン部
    (41)を同期して流体圧で往復駆動させるシリンダ
    部材(43)とを備えて成り、前記ピストン部材(4
    1)の上昇時にパレット(P)を粗位置決めし、前記ピ
    ストン部材(41)の下降時に前記位置決め手段により
    前記パレット(P)を本位置決めするパレット昇降手段
    (13)と、 を具備したことを特徴とする工作機械のパレット交換装
    置。
  2. 【請求項2】 パレット待機位置と工作機械(1)上の
    テーブル(5)との間でパレット(P)を交換する工作
    機械のパレット交換装置において、 前記パレット(P)の底面に設けられテーパ穴を有した
    複数のロケートブッシュ(23)と、前記ロケートブッ
    シュ(23)の各テーパ穴に対応させて前記テーブル
    (5)に設けられた複数のテーパコーン(27)とで成
    り、前記テーブル(5)の所定位置にパレット(P)
    位置決めする位置決め手段と、 前記位置決め手段で位置決めしたパレット(P)を前記
    テーブル(5)に着脱可能に固定するクランプ手段(1
    1)と、 前記テーブル(5)に昇降可能に設けられ、前記パレッ
    ト(P)の底面に設けられた複数のサポートブッシュ
    (25)の各テーパ穴に係合するテーパ外周面を有した
    複数のピストン部材(41)と、前記複数のピストン部
    (41)を同期して流体圧で往復駆動させるシリンダ
    部材(43)とを備えて成り、前記ピスト ン部材(4
    1)の上昇時にパレット(P)を粗位置決めし、前記ピ
    ストン部材(41)の下降時に前記位置決め手段により
    前記パレット(P)を本位置決めするパレット昇降手段
    (13)と、 前記テーブル(5)に設けられ、パレット(P)を載
    置、ガイドするパレットガイド部材(55)と、前記パ
    レットガイド部材(55)に設けられた昇降用の複数の
    カムフォロア(54)と、前記カムフォロア(54)
    係合する斜面及び前記斜面に続く上面を有した板カム部
    (57)と、前記板カム部材(57)を前記テーブル
    (5)上で往復動させ、前記カムフォロア(54)を前
    記板カム部材(57)の斜面に沿って持ち上げ前記斜面
    に続く上面で停止させることにより前記パレットガイド
    部材(55)を昇降させる駆動手段(59)とを備えて
    成り、パレット(P)の交換時は前記パレットガイド部
    (55)を上昇してパレット(P)をパレット交換位
    置に搬送可能に支持し、パレット(P)のクランプ時は
    前記パレットガイド部材(55)を下降、退避してパレ
    ット(P)と前記テーブル(5)とを係合可能にしたパ
    レット支持手段(15)と、 を具備したことを特徴とする工作機械のパレット交換装
    置。
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