JP3305796B2 - 合金製品の製造方法 - Google Patents

合金製品の製造方法

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JP3305796B2
JP3305796B2 JP04717493A JP4717493A JP3305796B2 JP 3305796 B2 JP3305796 B2 JP 3305796B2 JP 04717493 A JP04717493 A JP 04717493A JP 4717493 A JP4717493 A JP 4717493A JP 3305796 B2 JP3305796 B2 JP 3305796B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛合金、アルミニウ
ム合金、銅合金、鉛合金、マグネシウム合金等の低融点
合金のシキソ状態の性質を利用した合金製品の製造方法
に関し、さらに詳しく言えば、合金原料をスクリュが回
転駆動されているシリンダに供給し、合金原料の固相線
温度以上で液相線温度以下に保持した状態でスクリュを
駆動して移送しながら剪断作用を加え、そして成形型へ
吐出して合金製品を得る合金製品の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】シキソトロピー合金の製造方法は、文献
名を挙げるまでもなく従来周知で、合金原料を固液共存
状態で激しく撹拌すると、樹脂状晶すなわちデンドライ
ドの形成が抑制され、破壊された退化樹脂状晶の微細な
粒状の個体と液体とが共存した状態であるシキソ状物質
が得られる。このような固液共存状態であるシキソ状物
質を短時間に形成凝固すると、シキソ状態の合金組織の
ままの製品が得られる。この製品は、脆性を示さず、ま
た凝固による収縮率が小さいので、引け巣の少ない、機
械的性質、形状精度共に良好な合金製品が得られる。こ
のようなシキソ状物質の性質を利用した合金製品の具体
的製法は、例えば特公平1ー33541号、同2ー15
620号等により提案されている。これらの公報には、
射出成形機あるいは押出機を使用した製法が示されてい
る。すなわち射出成形機は、温度制御可能なスクリュシ
リンダから構成されている。そして、このスクリュシリ
ンダには、予熱ホッパが備えられている。予熱ホッパに
は、適当な大きさに破砕された合金原料が収納されてい
る。また予熱ホッパは、合金原料の酸化を防止できるよ
うに不活性ガスが封入できるようにもなっいる。したが
って、スクリュを回転駆動すると共に、予熱ホッパから
予熱された合金原料をシリンダに供給すると、合金原料
はスクリュによりシリンダ先端部に順次移動させられ
る。このとき合金原料は、シリンダ内表面およびスクリ
ュ外表面との摩擦接触、あるいは合金原料どうしの摩擦
接触等による剪断作用、さらにはスクリュ・シリンダ外
部からの加熱により温度が上昇し、合金原料の固相線温
度以上となり溶融する。それ以後は、スクリュシリンダ
の温度が制御され、固相線温度以上で、かつ液相線温度
以下の固液共存温度に保持される。固液共存状態の合金
原料は、スクリュ・シリンダの先端から成形型へ吐出さ
れ、合金製品が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の製法にお
いても、合金原料はシリンダ内表面およびスクリュ外表
面との摩擦接触、あるいは合金原料どうしの摩擦接触に
よる剪断作用を受けるので、スクリュ・シリンダの外部
から加熱するだけで、固相線温度以上に保持される利点
は認められる。またスクリュ・シリンダは、気密状態に
あり、予熱ホッパは不活性ガスで封入されているので、
合金原料の酸化現象は起きない等の利点もある。しかし
ながら、上記の従来製法によると、製品の性質が場合に
よっては落ちることがある。例えば合金原料は固形の状
態で供給されているが、この原料に不純物が混入してい
る場合、あるいは固形状態の合金原料の表面に酸化物が
発生している場合、これらの不純物が合金製品に含まれ
てしまい、合金製品の機械的性質、耐腐食性等が低下す
ることがある。不純物の含有が判明しているならば、あ
るいは不純物の化学的、物理的性質が判明しているなら
ば、製品の品質特性もある程度予測できるが、不純物の
有無も、また性質も分からないのが普通のことで、品質
特性の不安定な製品しか得られない欠点がある。もっと
も、予め合金原料から不純物を除去することは可能であ
る。しかしながら、不純物を除去するには、合金原料の
全量を異物選別し、溶融精錬して冷却固化し、そして再
破砕等の処理が必要であり、余分な手間とエネルギとを
必要とする別の問題が生じる。また、従来の製造法によ
ると、単に予熱された合金原料がシリンダに供給されて
いるので、これを溶融するためには比較的大きな摩擦力
と剪断力とを与えなければならず、スクリュが大型化す
る欠点もある。さらには、予熱ホッパに収納されている
合金原料の特性そのままの製品は得ることができるが、
特性に変化を持たせた特徴のある製品を簡単に得ること
ができないという問題もある。
【0004】したがって、本発明は、余分な手間とエネ
ルギとを必要とすることなく、高品質な合金製品を得る
ことができる合金製品の製造方法を提供することを目的
とし、他の発明は上記目的に加えて容易に合金製品の特
性を変えることのできる合金製品の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、上記目的を達成するために、合金原料を溶融炉で
融して不純物を除去し、そして前記溶融炉から溶融状態
の合金原料を、駆動装置によりスクリュが回転駆動され
ているシリンダの移送方向の略中間部に供給すると共
に、固体状の添加物をシリンダの移送方向の、合金原料
の供給位置よりも前記駆動装置寄りの、上流側に供給
し、前記シリンダの移送方向の略中間部から下流側を前
記合金原料の固相線温度以上で液相線温度以下に保持し
た状態で前記スクリュを回転駆動して、前記合金原料と
添加物とを混合・移送しながら剪断作用を加えて溶融シ
キソ状態の合金を得て、次いで成形型へ吐出して合金製
品を得るように構成される。また、請求項2に記載の発
明は、請求項1に記載の添加物が、固体状の破砕物、ペ
レット、粒体、粉体、繊維状体のいずれか、あるいは2
種以上で構成されている。
【0006】
【実施例】本発明の実施に供される合金原料としては、
例えば亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、鉛合金、
マグネシウム合金等を挙げることができる。そして添加
物にはその合金自体が選定され、また異種の添加物も選
ばれる。添加物が異種のときは、亜鉛合金に対しては、
例えばGFすなわちガラス繊維等がある。同様にアルミ
ニウム合金に対する添加物はシリコンカーバイトSiC
で、銅合金および鉛合金にはGF、マグネシウム合金に
対してはアルミナAIである。そしてこれらの添
加物は、固体状の破砕物、ペレット、粒体、粉体、繊維
状体のいずれかの種類あるいは2種以上で構成されてい
る。また添加物が混合物の場合は、予め混合しておく。
上記のような合金原料を用いて、あるいは合金原料と添
加物とから構成された合金材料を用いて合金製品を得る
ことができるが、以下代表して亜鉛合金と、アルミニウ
ム合金の成形品を得る例を説明する。
【0007】本発明の実施に供される合金製造装置は、
図1に示されているように、射出成形機1と、合金原料
供給装置20と、添加物供給装置30と、金型40とか
ら概略構成されている。射出成形機1は、周知のように
1軸または2軸のスクリュ2を備えている。そしてこの
スクリュ2は、減速歯車、射出ラム等からなる駆動装置
3により回転駆動され、また軸方向にも駆動されるよう
になっている。スクリュ2が内部に設けられているシリ
ンダ4は、所定長さを有し、その中央より駆動装置3側
に寄った位置には、合金原料が供給される第1の供給開
口部8が、また駆動装置3の近傍には固形状態の添加物
を供給するための第2の供給開口部9がそれぞれ形成さ
れている。そしてこれらの供給開口部8、9には、後述
する合金原料供給管22と添加物供給管33とがそれぞ
れ接続されている。シリンダ4の外周部には、その略全
長に渡って抵抗ヒータあるいは誘導ヒータ等からなる温
度調節装置5、5が設けられ、これらの温度調節装置
5、5によりシリンダ4の内部の温度が制御できるよう
になっている。またシリンダ4の一方の先端部には射出
孔7に連なったノズル6が設けられ、この射出孔7には
止め弁10が介装されている。シリンダ4の他方の端部
は駆動装置3のケーシングに接続されている。金型40
は、周知のように固定金型41と可動金型42とから構
成され、固定金型41にスプルー43が形成されてい
る。そしてこのスプルー43はキャビテイ44に連なっ
ている。
【0008】合金原料供給装置20は、溶融炉21から
構成されている。そして、この溶融炉21内の略中間高
さ位置に合金原料供給管22が下向きに開口している。
合金原料供給管22は、溶融炉21から外部に出てシリ
ンダ4の第1供給開口部8に接続されている。そして、
合金原料供給管22の外部に出ている部分の外周部に
は、加温装置23、23が、また溶融炉21寄りには止
め弁24がそれぞれ設けられている。なお溶融炉21に
は蓋体25が設けられ、炉内は不活性ガス雰囲気とする
ことができる。
【0009】添加物供給装置30は、添加物の供給量を
制御する例えばロータリフイーダを備えたホッパ31
と、ホッパ31から供給される添加物を移送するスクリ
ュコンベヤ32と、このスクリュコンベヤ32に一方端
が、そして他方の端部がシリンダ4の第2供給開口部9
に接続されている供給管33とから構成されている。ス
クリュコンベヤ32は、モータ34で駆動される。その
回転数が制御されて、添加物の供給量が制御される。
【0010】次に、上記製造装置により亜鉛合金を製造
する例を説明する。先ず溶融炉21において、合金原料
である亜鉛合金を液相線温度232℃以上で溶融する。
そうすると、亜鉛合金に含まれている、亜鉛合金より比
重の小さい不純物例えば酸化亜鉛は、ドロス26となっ
て浮上し、また比重の大きい不純物はスラッジ27とな
って溶融炉21の底に沈降する。したがって溶融炉21
の略中間高さ位置においては不純物を含まない溶融状態
の亜鉛合金が得られる。次に、スクリュ2をシリンダ4
の先端まで押し出した状態で、温度調節装置5を駆動し
てシリンダ4を亜鉛合金の固相線温度200℃以上に加
温し、加温後は亜鉛合金の固相線温度200℃以上、液
相線温度232℃以下に制御する。一方、合金原料供給
装置20の加温装置23を作動して、合金原料供給管2
2と止め弁24を亜鉛合金の液相線温度232℃以上に
加温する。止め弁24を開く。そうすると、合金原料供
給管22は溶融炉21の略中間高さ位置に開口している
ので、不純物を含まない溶融した亜鉛合金が、溶融炉2
1から合金原料供給管22により第1開口部8を経てシ
リンダ4の略中間部に供給される。そしてスクリュ2の
駆動によりシリンダ4内を先端部へ移送される。
【0011】亜鉛合金は、シリンダ4内を先端部へ移送
される間、固相線温度以上、液相線温度以下に保持され
て固液混合状態にあり、スクリュ2とシリンダ4との隙
間を充満して移送されるので、摩擦接触により激しく混
合撹拌される。その結果、亜鉛合金中にデンドライドが
発生することが阻止されて、シキソ状態になると共に、
均質に混合され親和力の大きい亜鉛合金となる。亜鉛合
金がスクリュ2の先端部に到達した時点で止め弁10を
閉止して射出孔7を閉鎖する。これにより溶融シキソ状
態の亜鉛合金は、シリンダ4の先端部空間11に貯留さ
れる。貯留量は連続的に送られてくる亜鉛合金により順
次増加する。増加量に応じてスクリュ2が後退する。次
に、射出成形機1のノズル6を、閉じた金型40のスプ
ルー43の開口部に密着させて、射出孔7とスプルー4
3とを連通状態にする。亜鉛合金の貯留量が製品の形成
必要量になった時点で止め弁10を開く。そして駆動装
置3を作動してスクリュ2を先端方向に押し出す。これ
により亜鉛合金が先端部空間11から射出孔7、止め弁
10およびスプルー43を通って固定金型41と可動金
型42とのキャビテイ44に射出される。金型40へ射
出された亜鉛合金は、キャビテイ44に充満し、シキソ
状態のままキャビテイ44の形状に冷却固化されて合金
製品となる。可動金型42を開いて合金製品を取り出
す。
【0012】この製造方法によると、溶融炉21におい
て不純物が除去されるので、均質で高品質の亜鉛合金の
製品が得られる。また亜鉛合金を射出成形機1に供給す
るために溶融するときに、不純物が取り除かれるので、
不純物を取り除くためのエネルギの損失がなく、また不
純物を除去する手間も少なくて済む効果がある。さらに
は従来は、合金原料の全量をスクリュの剪断エネルギ
と、シリンダの外部から加える熱とにより溶融していた
ので、スクリュの駆動トルクを大きくしなければなら
ず、製造装置が大きくなっていたが、本実施例による
と、駆動トルクを小さくし、シリンダを短くでき全体を
コンパクトに構成することができる。
【0013】次に、添加物を加えたアルミニウム合金製
品を製造する例について説明する。先ず溶融炉21にお
いて、アルミニウム合金を液相線温度660℃以上で溶
融する。そうすると、アルミニウム合金に含まれてい
る、アルミニウム合金より比重の小さい不純物は、ドロ
ス26となって浮上し、また比重の大きい不純物はスラ
ッジ27となって溶融炉21の底に沈降する。したがっ
て溶融炉21の略中間高さ位置においては不純物を含ま
ない溶融したアルミニウム合金が得られる。一方、添加
物供給装置30に、例えば SiC粉体を貯蔵する。ス
クリュ2をシリンダ4の先端まで押し出した状態で、温
度調節装置5、5を駆動してシリンダ4をアルミニウム
合金の固相線温度548℃以上に加温し、加温後はアル
ミニウム合金の固相線温度548℃以上、液相線温度6
60℃以下に制御する。一方、合金原料供給装置20の
加温装置23を作動して、合金原料供給管22と止め弁
24をアルミニウム合金の液相線温度660℃以上に加
温する。駆動装置3によりスクリュ2を回転駆動する。
一方、添加物供給装置30のモータ34によりスクリュ
コンベア32を駆動する。そうすると、SiCはホッパ
31から例えばロータリフーダによりアルミニウム合金
の供給量に対応した混合比になるように制御された量が
供給管33、第2開口部9を通ってシリンダ4内に供給
される。スクリュ2は回転駆動されているので、シリン
ダ4内を先端部の方へ移送される。添加物であるSiC
は、スクリュ2とシリンダ4との隙間を充満して先端部
の方へ移送されるので、摩擦接触による剪断作用が加え
られ表面が研磨され、活性化する。
【0014】SiCが、第1開口部8に到達する時期を
見計らい、合金原料供給管22の止め弁24を開く。そ
うすると、合金原料供給管22は溶融炉21の略中間高
さ位置に開口しているので、不純物を含まない溶融状態
のアルミニウム合金が、溶融炉21から合金原料供給管
22により第1開口部8を経てシリンダ4の略中間部に
供給される。そしてスクリュ2の駆動によりシリンダ4
内を添加物であるSiCと共に先端部へ移送される。な
お、溶融状態のアルミニウム合金は、SiCが移送され
ているので、一部はSiにしみこむが、逆流は阻止さ
れ、先端部へ移送される。以後連続的に供給する。
【0015】アルミニウム合金とSiCは、シリンダ4
内を先端部へ移送される間、固相線温度以上、液相線温
度以下に保持されて固液混合状態にあり、スクリュ2と
シリンダ4との隙間を充満して移送されるので、摩擦接
触による剪断作用が加えられ、激しく混合撹拌される。
その結果アルミニウム合金中にデンドライドが発生する
ことが阻止されてシキソ状態になると共に、均質に混合
され親和力の大きいアルミニウム合金材料となる。
【0016】アルミニウム合金材料がスクリュ2の先端
部に到達した時点で止め弁10を閉止して射出孔7を閉
鎖する。これにより溶融シキソ状態のアルミニウム合金
は、シリンダ4の先端部空間11に貯留され、連続的に
送られてくるアルミニウム合金により貯留量は順次増加
する。増加量に応じてスクリュ2は後退する。次に、射
出成形機1のノズル6を、閉じた金型40のスプルー4
3の開口部に密着させて射出孔7とスプルー43とを連
通状態にする。アルミニウム合金の貯留量が製品の形成
必要量になった時点で止め弁10を開いて駆動装置3を
作動してスクリュ2を先端方向に押し出す。これにより
アルミニウム合金が先端部空間11から射出孔7、止め
弁10およびスプルー43を通って固定金型41と可動
金型42とのキャビテイ44に射出される。金型40へ
射出されたアルミニウム合金は、キャビテイ44を充満
し、シキソ状態のままキャビテイ44の形状に冷却固化
されて合金製品となる。可動金型42を開いて合金製品
を取り出す。
【0017】本実施例によると、色々な効果が得られ
る。例えば前述の実施例の効果に加えて、駆動装置3側
に固形状態の添加物を供給するので、アルミニウム合金
を溶融状態でシリンダ2に供給しても駆動装置3が熱的
悪影響を受けない効果が得られる。また添加物の混合
量、質等を変えることにより、目的に合った所望の合金
製品を得ることができる。なお、添加物が合金自体であ
るときは、添加物に不純物を含むことがあるが、添加物
の量は少ないので、不純物の量も少なく、製品の品質を
落とすようなことはない。不純物の量が多いときは、溶
融炉21で精製したアルミニウム合金を固化し、そして
破砕して添加物とすることもできる。このとき添加物の
量は少ないので、添加物を得るために必要な仕事量は少
なくて済む。
【0018】次に、押出機を備えた合金製造装置の例
を、図2により説明し、そしてこの合金製造装置により
合金材料をアルミニウム合金と、添加物のSiCとから
構成して、アルミニウム合金製品を得る実施例について
説明する。本実施例に供される押出機は、構造的には従
来周知であり、スクリュが軸方向に押し出されない点で
図1に示されている射出成形機と相違する。したがっ
て、同じ部材には同じ参照数字あるいは同じ数字に「ダ
ッシュ」を付けて重複説明を省略する。また合金原料供
給装置20、添加物供給装置30、金型40等も図1に
示されている実施例と略同じであるので、説明しない。
プランジャ装置50は、押出機1’で生成された溶融状
態の合金材料を金型40へ押し出す装置であり、筒状の
シリンダ52を備えている。そしてこのシリンダ52は
図示されているように、縦方向に配置されている。シリ
ンダ52の略中間部には合金材料供給口54が、また先
端部には押し出し孔55が、そして外周には温度制御可
能な温度調節装置56、56がそれぞれ設けられてい
る。したがって、駆動装置53によりプランジャ51を
駆動すると、合金材料は、溶融状態に保たれて、押し出
し孔55から金型40に押し出される。
【0019】次に、上記合金製造装置によりアルミニウ
ム合金製品を製造する例について説明する。合金原料供
給装置20、添加物供給装置30では、前述したように
作用する。温度調節装置5、5を駆動してシリンダ4を
アルミニウム合金の固相線温度以上に加温し、加温後は
アルミニウム合金の固相線温度以上、液相線温度以下に
制御する。一方、合金原料供給装置20の加温装置23
を作動して、合金原料供給管22と止め弁24をアルミ
ニウム合金の液相線温度以上に加温する。次ぎに、駆動
装置3’によりスクリュ2’を回転駆動し、一方添加物
供給装置30のモータ34によりスクリュコンベヤ32
を駆動する。そしてアルミニウム合金とSiCをシリン
ダ4に供給する。そうすると、前述の実施例と同様にし
てアルミニウム合金とSiCは、シリンダ4内を先端部
へ移送される。その間、固相線温度以上、液相線温度以
下に保持されて固液混合状態にあり、スクリュ2とシリ
ンダ4との隙間を充満して移送されるので、摩擦接触に
よる剪断作用が加えられ、激しく混合撹拌される。その
結果アルミニウム合金中にデンドライドが発生すること
が阻止されてシキソ状態になると共に、均質に混合され
親和力の大きいアルミニウム合金材料となる。そしてシ
リンダ4から吐出管13、合金材料供給口54を経由し
てプランジャ51を引き下げた状態のシリンダ52の空
間57に順次供給され、そして貯留される。
【0020】次に、シリンダ52の押し出し孔55の先
端開口部を閉じた金型40のスプルー43の開口部と密
着させて、押し出し孔55とスプルー43とを連通状態
にする。そしてアルミニウム合金材料の貯留量が合金製
品の形成必要量に達した時点で、駆動装置53を作動し
てプランジャ51を押し上げる。そうすると、アルミニ
ウム合金材料はシリンダ52から押し出し孔55、スプ
ルー43を通って金型40のキャビテイ44へ押し出さ
れる。金型40へ射出されたアルミニウム合金は、前述
したように、キャビテイ44を充満しシキソ状態のまま
キャビテイ44の形状に冷却固化されて合金製品とな
る。可動金型42を開いて合金製品を取り出す。上記実
施例では、プランジャ装置50は垂直方向に配置されて
いるが、シリンダ52先端部から金型40の間に閉止弁
を設け、溶融合金材料が流れ落ちないようにすることに
より、水平方向に配置することもできる。また、金型4
0も垂直方向に型移動するように配置されているが、シ
リンダ52先端部から金型40の入り口を接続管で接続
することにより、水平方向に型締移動するように実施す
ることもできる。
【0021】前述した各製造方法において、射出成形機
1あるいは押出機1’のシリンダ4内部に不活性ガスを
供給して、第1開口部8と第2開口部9との間のシリン
ダ4の内部を不活性雰囲気とする。これにより第1、2
開口部8、9付近の溶融状態の合金材料および添加物の
酸化による不純物の発生が防止される。
【0022】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によると、合金原
料を溶融炉で溶融して不純物を除去し、そして前記溶融
炉から溶融状態の合金原料を、駆動装置によりスクリュ
が回転駆動されているシリンダの移送方向の略中間部に
供給するので、均質で高品質の合金の製品が得られると
いう本発明に特有の効果が得られる。また、合金をシリ
ンダに供給するために溶融するときに、不純物が取り除
かれるので、不純物を取り除くためのエネルギの損失が
なく、また不純物を除去する手間も少なくて済む効果も
ある。さらには、溶融状態で、スクリュが回転駆動され
ているシリンダに供給するので、スクリュの駆動トルク
は小さくて済み、本発明の実施に使用されるシリンダを
短くでき全体をコンパクトに構成することもできる。ま
た、本発明によると、固体状の添加物をシリンダの移送
方向の、合金原料の供給位置よりも前記駆動装置寄り
の、上流側に供給するので、合金原料を溶融状態でシリ
ンダに供給しても上流側の装置例えば駆動装置が熱的悪
影響を受け難い効果が得られる。さらには、添加物を押
し込んでも、溶融状態の合金原料の逆流の問題がないの
で、混合量、質等を任意に変えることにより、目的に合
った所望の合金製品を容易に得ることができる。また、
請求項2記載の発明によると、添加物が、固体状の破砕
物、ペレット、粒体、粉体、繊維状体のいずれか、ある
いは2種以上で構成されているので、溶融状態の合金
をシリンダに供給するときの熱的シール作用を得る上
で効果があり、また取扱いも便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供される合金製品の製造装置の
例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施に供される合金製品の製造装置の
他の例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形機 2 スクリュ 4 シリンダ 5 温度調節装置 20 合金原料供給装置 21 溶融炉 30 添加物供給装置 40 金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−252613(JP,A) 特開 平3−258452(JP,A) 特開 昭61−89821(JP,A) 特開 平5−285626(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/02 B22D 17/00 - 17/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合金原料を溶融炉で溶融して不純物を除去
    し、そして前記溶融炉から溶融状態の合金原料を、駆動
    装置によりスクリュが回転駆動されているシリンダの移
    送方向の略中間部に供給すると共に、固体状の添加物を
    シリンダの移送方向の、合金原料の供給位置よりも前記
    駆動装置寄りの、上流側に供給し、前記シリンダの移送
    方向の略中間部から下流側を前記合金原料の固相線温度
    以上で液相線温度以下に保持した状態で前記スクリュを
    回転駆動して、前記合金原料と添加物とを混合・移送し
    ながら剪断作用を加えて溶融シキソ状態の合金を得て、
    次いで成形型へ吐出して合金製品を得ることを特徴とす
    る合金製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の添加物が、固体状の破
    砕物、ペレット、粒体、粉体、繊維状体のいずれか、あ
    るいは2種以上で構成されている合金製品の製造方法。
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