JP3303611B2 - 2サイクル内燃機関用燃料供給装置 - Google Patents

2サイクル内燃機関用燃料供給装置

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JP3303611B2
JP3303611B2 JP17920095A JP17920095A JP3303611B2 JP 3303611 B2 JP3303611 B2 JP 3303611B2 JP 17920095 A JP17920095 A JP 17920095A JP 17920095 A JP17920095 A JP 17920095A JP 3303611 B2 JP3303611 B2 JP 3303611B2
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徹也 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2サイクル内燃機
関に燃料を供給する燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2サイクル内燃機関においては、ピスト
ンが下死点付近にあるときに排気ポートと掃気ポートと
が共に開いた状態になるため、吸気された混合気の一部
は掃気ポートから直接排気ポートに流れる。これは2サ
イクル内燃機関の吹き抜け現象と呼ばれており、排気ガ
ス中のHCを増加させたり、機関の燃費を悪化させたり
する原因となる。そこで、この吹き抜け現象を防ぐため
に色々な提案がされており、その1つとして、ピストン
が上死点に向けて変位する過程で排気ポートがピストン
により塞がれる直前に、または塞がれたときに直接気筒
内(燃焼室内)に燃料を噴射する直接噴射方式が考えら
れている。この方式では、圧力が上昇している燃焼室内
に燃料を噴射するため、燃料の噴射圧力を高めることが
必要である。また点火が行われるまでの短い時間内に燃
料を気化させる必要があるため、燃料を微粒化すること
が特に求められる。
【0003】圧縮行程において燃焼室内に直接燃料を噴
射する直接噴射方式は更に、高圧噴射方式と混合噴射方
式とに分けられる。高圧噴射方式は、燃料を圧縮して高
圧で噴射させる機械式の燃料噴射ポンプ(ディーゼル機
関に用いられるものと類似のもの)を用いて、気筒内に
燃料のみを高圧で噴射することにより微粒化させる方式
である。
【0004】また混合噴射方式は、圧縮空気をアシスト
ガス(燃焼室内への燃料の噴射を補助するためのガス)
として用いて、電気信号により駆動されるインジェクタ
から噴射させた燃料を圧縮空気と混合して燃焼室内に供
給するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】内燃機関の気筒内に燃
料のみを高圧で噴射する高圧噴射方式では、機械的に操
作される燃料噴射ポンプを用いる必要があるが、機械的
に操作される燃料噴射ポンプは、電気信号により燃料の
噴射量を緻密に制御する必要がある場合には不向きであ
る。
【0006】混合噴射方式では、電気式のインジェクタ
を用いるため、燃料の噴射量を緻密に制御することがで
きる。しかしながらこの方式では、圧縮空気の圧力を圧
縮行程における燃焼室内の圧力に打ち勝つ高さまで高め
る必要があり、最低5〜7[Kg/cm]程度の圧力の
圧縮空気を必要とする。2サイクル内燃機関において、
その回転数を制御する際の基本空気量はスロットルバル
ブの開度により決まる空気量であることが必要である
が、上記のように高圧の圧縮空気をアシストガスとして
燃焼室内に吹き込むと、燃料と同時に燃焼室内に多量の
空気が流入することになるため、空燃比を決定する基本
空気量がスロットルバルブの開度のみでは決まらないこ
とになり、回転数の制御を精密に行うことが困難にな
る。スロットルバルブの開度に応じて回転数を適確に制
御するためには、燃料と同時に燃焼室内に流入する空気
の量を、スロットルバルブの開度により決まる空気量
(掃気ポートを通して供給される空気の量)の10%以
内に抑えることが必要であるが、高圧の圧縮空気の流量
を厳密に管理することは容易ではない。
【0007】また2サイクル3気筒内燃機関に対して
は、ある気筒の爆発行程で発生した気筒内圧を次に点火
時期を向える気筒の噴射ノズルに与えることにより、燃
焼室内への燃料の直接噴射を可能にする提案(特開平5
−248324号)があるが、この提案は単気筒内燃機
関には適用することができない。またこのような構成を
とると、燃焼室内に燃料を供給するための孔の外に、燃
焼室内の圧力を取り出すための孔を設けることが必要に
なるため、気筒に設ける孔の数が多くなり、小形の内燃
機関には適用することが困難になる。
【0008】本発明の目的は、燃料の噴射量を緻密に制
御できる電気式のインジェクタを用いて燃焼室内に直接
燃料を供給できるようにした2サイクル内燃機関用燃料
供給装置を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、スロットルバルブの
開度により決まる基本空気量に基づいて機関の回転数を
適確に制御することができるようにした2サイクル内燃
機関用燃料供給装置を提供することにある。
【0010】本発明の更に他の目的は、燃料の気化を容
易にすることができる2サイクル内燃機関用燃料供給装
置を提供することにある。
【0011】本発明の更に他の目的は、燃料の噴射と燃
焼室内の圧力の取り出しとを1つの孔を通して行うこと
ができるようにして小形の機関にも適用し得るようにし
た2サイクル内燃機関用燃料供給装置を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、2サイクル内
燃機関1の燃焼室内に直接燃料を供給する燃料供給装置
に係わるもので、燃料溜め空間3aを内部に有する燃料
溜め部3と、蓄圧空間を内部に有する蓄圧部4と、電気
信号により駆動されて燃料溜め空間に燃料を噴射するイ
ンジェクタ5と、内燃機関の回転と同期して動作するよ
うに設けられて、内燃機関の爆発行程で燃焼室Aと蓄圧
空間とを連通させて燃焼室内の高圧ガスの一部を蓄圧空
間に流入させた後該蓄圧空間を密封して該蓄圧空間内の
圧力を保持し、内燃機関のピストンが上死点に向けて変
位する過程で設定位置に達した時に燃料溜め空間3aと
燃焼室A内とを連通させるとともに燃料溜め空間3aと
蓄圧空間とを連通させるバルブ機構とを備えたことを特
徴とする。
【0013】上記のように構成すると、爆発行程で生じ
た高圧の燃焼ガスが蓄圧空間に取り込まれて該蓄圧空間
に蓄圧される。燃焼室内に燃料を噴射するタイミングが
到来すると、燃料溜め空間が燃焼室に連通するととも
に、蓄圧空間が燃料溜め空間に連通するため、蓄圧室内
の高圧ガスが燃料溜め空間に流入し、該高圧ガスが燃料
溜め空間内のガスを押し出して、該燃料溜め空間に溜っ
た燃料を燃焼室内に流入させる。
【0014】このように本発明においては、爆発行程で
燃焼室内に生じる高圧燃焼ガスの圧力を蓄えておいて、
蓄えておいた高圧燃焼ガスをアシストガス(燃焼室内へ
の燃料の噴射を補助するためのガス)として燃料溜め空
間内に噴射された燃料を燃焼室内に供給するため、燃焼
室内への直接噴射を容易に行わせることができる。
【0015】本発明においては、燃料溜め空間3aへの
燃料の噴射を、電気信号により噴射量が決まるインジェ
クタ5を用いて行わせるため、燃料の噴射量を緻密に制
御することができる。
【0016】更に、上記のように構成すると、燃料溜め
空間3aに供給されるアシストガスは爆発行程において
生じた燃焼ガスであり、実質的に酸素を含まないため、
燃焼室内に供給される新気の量はほぼスロットルバルブ
の開度により決めることができる。そのため、実質的な
空燃比をスロットルバルブの開度により決めることがで
き、スロットルバルブの開度に応じて機関の回転数を適
確に制御することが可能になる。また、燃料溜め空間3
aに供給されるアシストガスは実質的に酸素を含まない
ため、アシストガスの量は厳密に管理する必要がない。
【0017】更に、上記のように、燃料溜め空間に燃焼
ガスをアシストガスとして供給するようにすると、燃料
溜め空間内の温度を高い値に維持できるため、燃料の気
化を容易にすることができる。
【0018】ピストンが上死点に向けて変位する過程で
燃料溜め空間3aと燃焼室A内とを連通させる設定位置
は、ピストンが排気ポートを閉じる位置の前後一定の範
囲に設定する。この設定位置を適当に設定しておけば、
吹き抜けを防止することができるため、燃料消費量を少
なくすることができる上に、排気ガス中のHCやNOx
を少なくすることができる。
【0019】上記のように、本発明においては、内燃機
関1の燃焼室A内に燃料(厳密にいえば燃料と高圧ガス
との混合気)を直接噴射するに当たり、他の燃焼室内の
圧力を利用することなく、その同じ燃焼室内で生じた燃
焼ガスの圧力を利用するので、単気筒の内燃機関にも適
用することができる。
【0020】上記バルブ機構は、燃料溜め空間に連通し
た通路と蓄圧空間に連通した通路と内燃機関の燃焼室に
連通した通路とを有するステータ601と、内燃機関と
同期回転するように駆動されて回転する過程で燃料溜め
空間と燃焼室との間、燃焼室と蓄圧空間との間及び蓄圧
空間と燃料溜め空間との間をそれぞれ連通させたり遮断
したりするロータ602とを備えたロータリバルブ6に
より構成できる。
【0021】上記ロータリバルブは、内燃機関の爆発行
程で燃焼室と蓄圧空間とを連通させて燃焼室内の高圧ガ
スの一部を蓄圧空間に流入させた後該蓄圧空間を密封し
て該蓄圧空間内の圧力を保持し、内燃機関のピストンが
上死点に向けて変位する過程で設定位置に達した時に燃
料溜め空間と燃焼室内とを連通させるとともに燃料溜め
空間と蓄圧空間とを連通させるように構成される。
【0022】本発明の好ましい態様では、上記ロータリ
バルブ6が、燃焼室に連通したガス流出入通路G1 と蓄
圧空間に連通した高圧ガス取込み用通路G2 と蓄圧空間
に連通した高圧ガス流出通路G3 と燃料溜め空間3aに
連通した高圧ガス流入通路G4 と燃料溜め空間3aに連
通した燃料流出通路G5 とを有するステータ601と、
ガス流出入通路G1 と高圧ガス取込み用通路G2 との
間、高圧ガス流出通路G3 と高圧ガス流入通路G4 との
間、燃料流出通路G5 とガス流出入通路G1 との間をそ
れぞれ連通させる連通路602a,602bを有して内
燃機関と同期回転するように駆動されるロータ602と
を備えている。
【0023】この場合、ロータリバルブ6は、内燃機関
の爆発行程でガス流出入通路G1 と高圧ガス取込み用通
路G2 とを連通させて燃焼室内の高圧ガスの一部を蓄圧
空間に流入させた後該蓄圧空間を密封して該蓄圧空間内
の圧力を保持し、内燃機関のピストンが上死点に向けて
変位する過程で設定位置に達した時に燃料流出通路G5
とガス流出入通路G1 とを連通させるとともに高圧ガス
流出通路G3 と高圧ガス流入通路G4 とを連通させるよ
うに構成される。
【0024】上記のように構成すると、1つのガス流出
入通路G1 が、燃焼室内に燃料を供給するための通路
と、燃焼室内の高圧ガスを蓄圧室に取り込むための通路
とを兼ねることになるため、機関の気筒にあける孔の数
を少なくすることができ、小形の機関にも容易に適用す
ることができる。
【0025】本発明の更に好ましい態様では、上記ロー
タリバルブ6が、ロータ嵌合孔601aを有するステー
タ601と、ステータのロータ嵌合孔601aに回転自
在に嵌合されて内燃機関と同期回転するように駆動され
るロータ602とを備えている。
【0026】この場合ステータ601には、一端がロー
タ嵌合孔601aの内周に開口し、他端が内燃機関の燃
焼室に連通したガス流出入通路G1 と、ガス流出入通路
G1の一端よりもロータ602の回転方向の前方側の位
置で一端がロータ嵌合孔601aの内周に開口し、他端
が蓄圧空間に連通した高圧ガス取込み用通路G2 と、一
端が高圧ガス取込み用通路G2 の一端よりもロータ60
2の回転方向の前方側の位置でロータ嵌合孔601aの
内周に開口し、他端が蓄圧空間に連通した高圧ガス流出
通路G3 と、高圧ガス流出通路G3 の一端よりもロータ
の回転方向の前方側の位置で一端がロータ嵌合孔601
aの内周に開口し、他端が燃料溜め空間3aに連通した
高圧ガス流入通路G4 と、高圧ガス流入通路G4 の一端
よりもロータの回転方向の前方側の位置で一端がロータ
の内周に開口し、他端が燃料溜め空間3aに連通した燃
料流出通路G5 とを設けておく。
【0027】またロータ602には、内燃機関のピスト
ンが上死点に向けて変位する過程で設定位置に達した時
に燃料流出通路G5 の一端とガス流出入通路G1 の一端
とを連通させ、内燃機関の爆発行程ではガス流出入通路
G1 の一端と高圧ガス取込み用通路G2 の一端とを連通
させる第1の連通路602aと、第1の連通路602a
が燃料流出通路G5 の一端とガス流出入通路G1 の一端
とを連通させた時に高圧ガス流出通路G3 の一端と高圧
ガス流入通路G4 の一端とを連通させる第2の連通路6
02bとを設けておく。
【0028】インジェクタ5から燃料溜め空間3a内に
燃料を噴射するためには、インジェクタ5に与える燃料
の圧力(燃圧)が燃料溜め空間内の圧力よりも高い必要
があり、燃圧を一定とした場合、インジェクタ5からの
燃料の噴射量は、燃圧と燃料溜め空間3a内の圧力との
差が小さくなるにつれて減少していく。
【0029】上記のロータリバルブ6を用いた場合、燃
焼室内への燃料の噴射が行われた後、燃焼室内への次の
噴射が行われるまでの間は、燃料溜め空間が閉鎖された
状態に保持される。インジェクタ5から閉鎖された燃料
溜め空間に燃料を噴射すると、該燃料溜め空間内の圧力
が上昇していくため、インジェクタからの燃料の噴射量
が減少していく。従って、インジェクタ5からの燃料の
噴射量を多くするためには、噴射開始時における燃料溜
め空間の圧力をできるだけ低くしておくことが好まし
い。
【0030】一般にインジェクタ5からの燃料の噴射量
を制御する場合には、インジェクタ5に与える燃圧を一
定として、インジェクタ5に電気信号(噴射指令信号)
を与える時間(インジェクタのバルブを開く時間=噴射
時間)をコントロールすることにより、燃料の噴射量を
制御する方法がとられる。上記のように、インジェクタ
5からの燃料の噴射量は燃料溜め空間内の圧力の影響を
受けるため、上記のように噴射時間により燃料の噴射量
を制御する方法をとるためには、燃料の噴射を開始する
時点での燃料溜め空間3a内の圧力(燃料溜め空間の残
留圧力)を一定にしておく必要がある。
【0031】そのため、上記ロータリバルブ6のステー
タ601には、燃料流出通路の一端よりもロータ602
の回転方向の前方側の位置でロータ嵌合孔601aの内
周に一端が開口し、他端が前記内燃機関のクランク室内
に連通した残留圧力開放用ガス通路G6 を更に設けるの
が好ましい。この場合、ロータ602には、第1の連通
路602aが燃料流出通路の一端とガス流出入通路の一
端とを連通させた後に燃料流出通路G5 の一端と残留圧
力開放用ガス通路G6 の一端とを連通させる第3の連通
路602cを設けておく。
【0032】ロータの第2の連通路602bが燃料流出
通路G5 と残留圧力開放用ガス通路G6 とを連通させな
いようにするため、燃料流出通路G5 及び残留ガス開放
用ガス通路G6 のロータ側の開口部と、高圧ガス流出通
路G3 及び高圧ガス流入通路G4 のロータ側の開口部と
をステータの軸線方向に位置をずらして設けるのが好ま
しい。
【0033】上記のように、残留圧力開放用ガス通路G
6 を設けて、燃料流出通路G5 の一端とガス流出入通路
G1 の一端とを連通させた直後に燃料流出通路G5 の一
端と残留圧力開放用ガス通路G6 の一端とを連通させる
ようにしておくと、燃料溜め空間3a内に溜った燃料を
燃焼室A内に噴射させた後に、クランク室内の負圧によ
り燃料溜め空間3a内に残留した圧力を除去して、該燃
料溜め空間3a内の圧力をほぼ一定のレベルまで下げる
ことができるため、燃料溜め空間内への燃料の噴射を容
易にすることができる。また、燃料噴射開始時の残留圧
力をほぼ一定とすることができるため、燃料噴射量の制
御を容易にすることができる。
【0034】上記蓄圧部には、高圧ガスを取込んだ際に
伸張するベローズ402と該ベローズを収縮方向に付勢
するバネ403とを備えて、ベローズ402の内側の空
間を蓄圧空間とした蓄圧室4aを設けるのが好ましい。
【0035】本発明に係わる燃料供給装置において、蓄
圧部は、燃料溜め空間の容積よりも充分に大きな容積を
有する蓄圧空間を備えていればよいが、上記のようにベ
ーローズを備えた蓄圧室を設けると、蓄圧空間を容易に
確保することができる。
【0036】本発明においては、ロータリバルブ6を密
封構造のハウジング8内に収納して、該ハウジング内に
オイル20を充填するのが好ましい。
【0037】このようにロータリバルブを収納したハウ
ジング内にオイルを充填する構造にすると、ロータとス
テータとの間の隙間に油膜を形成できるため、ロータと
ステータとの間のシールを良好にすることができる。ま
たバルブの熱をオイルを通して放散させることができる
ため、バルブの温度が過度に上昇するのを防ぐことがで
きる。
【0038】ロータリバルブ6を密封構造のハウジング
8内に収納する場合、ステータの軸線方向の両端面及び
ロータの軸線方向の両端面にそれぞれ摺動自在に面接触
する対の押え板11,14を設けて、該対の押え板1
1,14を、ロータ602とともに回転させるように、
該ロータに結合する構造にするのが好ましい。またこの
ように対の押え板を設ける場合、対の押え板とステータ
及びロータとの間に作用する接触圧力を適値に保つため
に、該対の押え板の少なくとも一方をステータ601の
端面に向けて付勢するバネを設けておく。
【0039】上記のように、ステータ601の両端面に
対の押え板を摺動接触させて、該対の押え板をボルト1
5を介してロータ602に結合する構造をとった上で、
ハウジング8内にオイルを充填すると、バルブ6のロー
タとステータとの間のシールを更に良好にすることがで
きる。
【0040】上記のロータリバルブをロータ嵌合孔60
1aを有するステータ601と該ステータのロータ嵌合
孔に嵌合したロータ602とにより構成する場合、ロー
タ嵌合孔601aとロータ602との間の隙間を数ミク
ロン〜数十ミクロンの単位で厳密に管理する必要があ
る。この隙間が大き過ぎると気密が保たれないことにな
り、小さ過ぎると高速回転時にロータ602が焼付くこ
とになる。ところが、このようにロータとステータとの
嵌め合いの公差を小さくした場合、ロータと該ロータを
駆動する回転軸との嵌め合いの公差をも小さくすると、
両者の嵌め合い公差の偏りによっては、ロータを回転さ
せることができなくなることがある。
【0041】そこで、上記のロータリバルブ6において
は、ロータと回転軸とをギャップを介して結合する構造
にして、ロータと回転軸との結合をある程度ルーズにし
ておくのが好ましい。
【0042】またステータ及びロータの軸線方向の両端
面に対の押え板を面接触させる場合には、該対の押え板
の少なくとも一方に内燃機関と同期回転する回転軸をギ
ャップを介して結合する構造にするのが好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】図1ないし図6は本発明の好まし
い実施の形態を示したもので、これらの図は、2気筒2
サイクル内燃機関に本発明を適用した例を示している。
図1ないし図5は、本発明に係わる燃料供給装置の動作
の異なる過程を示した断面図であり、図6は同燃料供給
装置の要部を示す断面図である。
【0044】図1において、1は2サイクル2気筒内燃
機関で、図には該機関の1つの気筒の部分のみを示して
いる。内燃機関1は、シリンダ101aを有するシリン
ダブロック101と、該シリンダブロックの上端を閉鎖
するシリンダヘッド102とを備え、シリンダブロック
101の側壁部には、掃気通路103及び排気通路10
4が形成されている。掃気通路103の一端はシリンダ
101aの内周に開口して掃気ポート103aを構成し
ており、該掃気通路の他端は吸気ポート103bとなっ
ている。吸気ポート103bには、吸気マニホールド1
05が接続され、該吸気マニホールド105内にはスロ
ットルバルブ106が取り付けられている。吸気マニホ
ールド105の吸気ポート103b側の端部にはリード
バルブ107が取り付けられ、該リードバルブによりシ
リンダ側から吸気マニホールド側へのガスの逆流が阻止
されている。また排気通路104の一端がシリンダの内
周に開口して排気ポート104aを構成しており、該排
気通路の他端には図示しない排気管が接続される。
【0045】シリンダ101aにはピストン110が嵌
合され、ピストン110はコネクティングロッド111
を介して図示しないクランク軸に連結されている。
【0046】シリンダヘッド102には点火プラグ11
2が取り付けられ、該点火プラグは図示しない点火装置
に接続されている。シリンダヘッド102にはまたロー
タリバルブ接続用の孔が設けられていて、該孔にロータ
リバルブを接続するためのコネクタ113が嵌着されて
いる。
【0047】2は本発明に係わる燃料供給装置で、この
燃料供給装置は、燃料溜め空間3aを内部に有する燃料
溜め部3と、蓄圧空間を内部に有する蓄圧部4と、電気
信号(噴射指令信号)により駆動されて燃料溜め空間に
燃料を噴射するインジェクタ5と、ロータリバルブ6と
からなっている。
【0048】ロータリバルブ6は、ロータ嵌合孔601
aを有するステータ601と、ステータ601のロータ
嵌合孔601aに回転自在に嵌合されたロータ602と
を備えている。ロータ602は内燃機関により駆動され
て、図1に矢印で示したように、同図において反時計方
向に回転する。
【0049】ステータ601は、全体がほぼ円環状を呈
するように構成されていて、その軸線をほぼ水平方向に
向けて配置されている。ステータ601の上部には中心
軸線が垂直方向に向いた燃料溜め取付け穴601bが形
成され、該穴601b内の下部にスリーブ603が嵌着
されている。
【0050】ステータ601内には、一端6a1がロータ
嵌合孔601aの内周の最下部の位置に開口し、他端6
a2が該ステータの外周部の最下部の位置に開口した第1
の孔6aと、第1の孔6aの一端6a1よりもロータの回
転方向の前方側の位置で一端6b1がロータ嵌合孔601
aの内周に開口し、他端6b2が該ステータの外周部に開
口した第2の孔6bと、一端6c1が第2の孔6bの一端
よりもロータの回転方向の前方側の位置でロータ嵌合孔
601aの内周に開口し、他端6c2がステータの外周部
に開口した第3の孔6cと、第3の孔6cの一端6c1よ
りもロータの回転方向の前方側の位置で一端6d1がロー
タ嵌合孔601aの内周に開口し、他端6d2が燃料溜め
取付け穴601bに連通した第4の孔6dと、第4の孔
6dの一端よりもロータの回転方向の前方側の位置で一
端6e1がロータ嵌合孔601aの内周に開口し、他端6
e2が燃料溜め取付け穴601bに連通した第5の孔6e
と、第5の孔6eの一端6e1よりもロータの回転方向の
前方側の位置で一端6f1がロータ嵌合孔601aの内周
に開口し、他端6f2がステータの外周部に開口した第6
の孔6fとが設けられている。
【0051】図示の例では、第1の孔6a内にガス流出
入管604が嵌合固定されていて、該ガス流出入管60
4の下端がシリンダヘッド102に取り付けられたコネ
クタ113に接続されている。ガス流出入管604の下
端はノズルとなっていて、該ノズルがコネクタ113の
内側を通して燃焼室(ピストン110とシリンダヘッド
102との間のシリンダ内空間)A内に開口させられて
いる。
【0052】ステータの第2の孔6bには高圧ガス導入
管605が嵌合固定され、該導入管605の外端部に蓄
圧室4aが接続されている。蓄圧室4aは、ケース40
1内にベローズ402と該ベローズを収縮方向に付勢す
るバネ403とを収納したもので、ベローズ402が高
圧ガス導入管605に気密に接続されている。高圧ガス
導入管605の途中に設けられた分岐部に蓄圧管4bの
一端が気密に接続され、該蓄圧管の他端はステータの第
3の孔6cの他端6c2に気密に接続されている。この例
では、高圧ガス導入管605内の空間と、蓄圧室4a内
の空間と、蓄圧管4b内の空間と、第3の孔6c内の空
間とが蓄圧空間を構成しており、これらの空間に燃焼室
A内から取り込んだ高圧ガスが蓄積されるようになって
いる。
【0053】ステータの燃料溜め取付け用穴601bに
は燃料溜め部3が取り付けられている。燃料溜め部3
は、上部及び下部にそれぞれ大径部301a及び小径部
301bを有して、大径部と小径部との間をテーパ部に
より連結した形状を有するケーシング301を備え、該
ケーシング301の内側に燃料溜め空間3aが形成され
ている。ケーシング301は、その小径部301bをス
リーブ603に圧入することによりステータ601に取
り付けられ、該ケーシング内の燃料溜め空間はステータ
に設けられた第5の孔6eに連通させられている。
【0054】ケーシング301の大径部301aの内周
にインジェクタ5が嵌着され、該インジェクタ5の下端
に設けられたノズル5aがケーシング301内に形成さ
れた燃料溜め空間3aに開口させられている。
【0055】インジェクタ5は、ニードルバルブ等のバ
ルブと該バルブを駆動する電磁石とを備えたもので、こ
のインジェクタの燃料供給口には図示しない燃料ポンプ
から配管5bを介して燃料が供給されている。インジェ
クタ5は、その電磁石の励磁コイルに噴射指令信号が与
えられている間バルブを開いて燃料を噴射する。インジ
ェクタに与えられる燃料の圧力は一定に保たれているた
め、燃料溜め空間3a内の圧力の影響を無視すると、該
インジェクタから噴射される燃料の量は噴射指令信号を
与える時間に比例する。燃料溜め部を構成するケーシン
グ301の大径部301aの側壁には孔が設けられてい
て、この孔がステータ601の第4の孔6dの他端6d2
に接続されている。ケーシング301の孔と第4の孔6
dとの接続部は適宜の手段によりガス漏れがないように
シールされている。
【0056】ステータの第6の孔6fには、残留圧力排
出管7の一端が気密に接続され、該排出管7の他端は掃
気通路103内の空間を通してクランク室に連通させら
れている。
【0057】この例では、ステータの第1の孔6a内に
嵌合されたガス流出入管604の内側にガス流出入通路
G1 が形成され、高圧ガス導入管605の内側に高圧ガ
ス取込み用通路G2 が形成されている。また第3の孔6
cにより高圧ガス流出通路G3 が構成され、第4の孔6
dにより高圧ガス流入通路G4 が構成されている。更
に、第5の孔6eにより燃料流出通路G5 が構成され、
第6の孔6fにより残留圧力開放用ガス通路G6 が構成
されている。
【0058】ロータ602には、内燃機関のピストン1
10が上死点に向けて変位する過程で設定位置に達した
時に燃料流出通路G5 の一端とガス流出入通路G1 の一
端とを連通させ、内燃機関の爆発行程でガス流出入通路
G1 の一端と高圧ガス取込み用通路G2 の一端とを連通
させる第1の連通路602aと、第1の連通路602a
が燃料流出通路G5 の一端とガス流出入通路G1 の一端
とを連通させた時に高圧ガス流出通路G3 の一端と高圧
ガス流入通路G4 の一端とを連通させる第2の連通路6
02bとを備えている。
【0059】図示の例で用いられているロータリバルブ
6においては、ガス流出入通路G1がステータの径方向
に延びるように設けられている。またガス流出入通路G
1 の一端(ロータ側開口部)と燃料流出通路G5 の一端
との間の角度間隔と、ガス流出入通路G1 の一端と高圧
ガス取込み用通路G2 の一端との間の角度間隔が等しく
設定され、ガス流出入通路G1 の一端と高圧ガス流出通
路G3 の一端との間の角度間隔と、ガス流出入通路G1
の一端と高圧ガス流入通路G4 の一端との間の角度間隔
とが等しく設定されている。
【0060】ロータ602に設けられた第1の連通路6
02aは、ロータの内部を貫通した孔から成っていて、
ロータ602を軸線方向から見た場合にヘの字形を呈す
るように設けられている。そして、内燃機関1のピスト
ン110が上死点に向けて変位する過程で設定位置に達
した時に第1の連通路602aの両端が図1に示したよ
うにステータ601の燃料流出通路G5 の一端とガス流
出入通路G1 の一端とに対向してこれらの通路G5 及び
G1 を連通させ、内燃機関の爆発行程では、図4に示し
たように、第1の連通路602の両端がガス流出入通路
G1 の一端と高圧ガス取込み用通路G2 の一端とに対向
して、これらの通路G1 及びG2 を連通させるように、
第1の連通路602aの両端の開口部間の角度間隔が設
定されている。また第2の連通路602bは、ピストン
が上死点に向けて変位する過程でガス流出入通路G1 の
一端に対向する第1の連通路602aの一方の開口部か
ら180度離れたロータの外周位置に設けられた溝から
なっていて、第1の連通路602aが燃料流出通路G5
とガス流出入通路G1 とを連通させる状態になったとき
に第2の連通路602bが高圧ガス流出通路G3 の一端
と高圧ガス流入通路G4 の一端とに同時に対向して、両
通路G3 及びG4 を連通させるように、第2の連通路6
02bの長さが設定されている。
【0061】また図示の例では、第1の連通路602の
一端側(ロータの回転方向の後方側に位置する端部側)
の開口部付近をロータの回転方向の後方側に拡大するこ
とにより、第1の連通路602が燃料流出通路G5 の一
端とガス流出入通路G1 の一端とを連通させた直後に燃
料流出通路G5 の一端と残留圧力開放用ガス通路G6の
一端とを連通させる第3の連通路602cが設けられて
いる。
【0062】燃料流出通路G5 の一端がロータの第1の
連通路602aに対向したときに残留圧力開放用ガス通
路G6 を通してガスが漏れるのを防ぐために、残留圧力
開放用ガス通路G6 は、燃料流出通路G5 に対してステ
ータの軸線方向に位置をずらした位置に設けて、燃料流
出通路G5 の一端と残留圧力開放用ガス通路G6 の一端
との間の実質距離を長くしておくのが好ましい。
【0063】上記のステータ及びロータにおいては、ロ
ータ602の第1の連通路602aが、燃料流出通路G
5 とガス流出入通路G1 との間、及びガス流出入通路G
1 と高圧ガス取込み用通路G2 との間のみを連通させ得
るように(ステータの他の通路間がロータの第1の連通
路により連通させられることがないように)第1の連通
路602aの両端の開口部間の角度間隔、及びステータ
の通路G1 〜G6 の一端側の開口部の位置を設定してお
く。
【0064】また、ロータの第2の連通路602bが燃
料流出通路G5 と残留圧力開放用ガス通路G6 とを連通
させないように、高圧ガス流出通路G3 及び高圧ガス流
入通路G4 の一端側の開口部と、燃料流出通路G5 及び
残留圧力開放用ガス通路G6の一端側の開口部とをステ
ータの軸線方向に位置をずらして設けるとともに、第2
の連通路602bと第3の連通路602cとをロータの
軸線方向に位置をずらして設けるのが好ましい。
【0065】本発明に係わる燃料供給装置は、内燃機関
の各気筒に対して設けられる。図に示した実施の形態に
おいては、適用する内燃機関が2気筒であるため、図6
に示すように、燃料供給装置2が2個設けられて、該2
個の燃料供給装置の要部が共通のハウジング8内に収納
されている。ハウジング8は、円筒状の本体801と、
該本体801の両端を閉じるカツプ状のエンドカバー8
02,802とを備えていて、本体801の両端に設け
られたフランジとエンドカバー802,802にそれぞ
れ設けられたフランジとがスペーサ803,803を介
して対向させられている。本体801の両端の内側にそ
れぞれロータリバルブ6,6のステータ601,601
が嵌合され、これらのステータ601,601の一端が
本体801の内周に形成された段部に当接されて、ロー
タリバルブ6,6が軸線方向に対して位置決めされてい
る。ステータ601,601の他端はスペーサ803,
803に当接され、ハウジングの本体801の端部に設
けられたフランジとエンドカバー802,802の端部
に設けられたフランジとがスペーサ803,803を貫
通した図示しないボルトにより連結されている。これに
より、本体801とエンドカバー802,802とが締
結され、スペーサ803,803と本体801の内周に
形成された段部との間にロータリバルブ6,6のステー
タ601,601が挟持された状態で保持されている。
【0066】この例では、ロータリバルブ6のロータ6
02をステータのロータ嵌合孔601a内に嵌合させた
状態で、ステータとロータの軸線方向の各端面に同時に
切削加工を施すことにより、ステータの軸線方向寸法と
ロータの軸線方向寸法とを等しくするとともに、ステー
タ及びロータの軸線方向の各端面を完全な平面とし、こ
れにより、ステータのロータ嵌合孔601a内にロータ
602を嵌合させた状態で、ロータ602の軸線方向の
各端面とステータ601の軸線方向の各端面とを同一の
平面上に位置させるようにしている。
【0067】ハウジングの本体801の内周には1対の
軸受9,9が支持され、これらの軸受により回転軸10
が支持されている。図7(A)に示したように、回転軸
10の両端は円板状の押え板11,11の中心部に設け
られた貫通孔11aに緩く嵌合され、押え板11,11
はロータリバルブ6のステータ601,601の一方の
端面とロータ602,602の一方の端面とに摺動自在
に面接触させられている。図示の例では、回転軸10の
両端が押え板11,11を貫通してロータ602,60
2側に突出させられていて、ロータ602,602から
突出した回転軸10の両端がロータ602,602の中
心部に設けられた凹部602A,602A内に緩く嵌合
されている。各押え板11に設けられた貫通孔11aの
内径及び凹部602Aの内径は、回転軸10の外径より
も僅かに大きく設定され、回転軸10と貫通孔11aの
内周との間、及び回転軸10と凹部602Aの内周との
間にはそれぞれ僅かなギャップgが形成されている。図
7(A)に示したように、回転軸10の端部を径方向に
貫通させてピン12が取り付けられ、該ピン12の両端
が押え板11の貫通孔11aの内周に形成された溝11
bに緩く嵌合されている。
【0068】ハウジング8のエンドカバー802,80
2の内側にはそれぞれ軸受23,23が嵌合保持され、
これらの軸受により回転軸13,13が支持されてい
る。回転軸13,13は、それぞれの一端がエンドカバ
ー802,802を貫通して外部に突出するように設け
られ、回転軸13,13のそれぞれの他端に円板状の押
え板14,14が結合されている。押え板14,14は
ロータリバルブ6,6のステータ601,601の他方
の端面とロータ602,602の他方の端面とに摺動自
在に面接触させられている。
【0069】なお、図面には、押え板14が回転軸13
と一体に形成されているように図示されているが、押え
板14と回転軸13とを別体に形成して、両者を適宜の
手段により接続する構造にしてもよい。
【0070】各ロータリバルブ6の両側に配置されてそ
れぞれステータ601の端面に摺動接触した対の押え板
11,14は、押え板11に設けられた貫通孔11c
(図7A参照)とロータ602に設けられた貫通孔とを
緩く(ギャップを介して)貫通して押え板14に設けら
れたネジ孔にねじ込まれた複数のボルト15により結合
されている。図示の例では、4本のボルト15が90度
間隔で設けられていて、各ボルト15の頭部15aと押
え板11との間にバネ16が配置され、このバネ16に
より、押え板11,14とロータ602との間に作用す
る接触圧力が適値に調整されている。
【0071】上記のように、回転軸10は、該回転軸1
0と押え板11との間に形成されたギャップgを介して
ロータ602に結合されている。また回転軸13は、ボ
ルト15と該ボルトを貫通させるために設けられた孔と
の間に形成されたギャップを介してロータ602に結合
されている。これは次の理由による。
【0072】ロータとステータとの間のシールを良好に
するためには、ロータ602とステータ601との間の
隙間を十分に小さくするように、ロータとステータとの
嵌め合いの公差を十分に小さくする必要があるが、ロー
タとステータとの間の嵌め合いの公差を小さくした上
で、回転軸10,13とロータ602との結合部の嵌め
合いの公差をも小さく設計すると、公差の偏りによって
はロータ602が円滑に回転することができなくなるお
それがある。そこで、上記のように、ロータと回転軸と
をギャップを介してルーズに結合する構造にしておく
と、ロータの回転性能を損なうことなく、ロータ嵌合孔
とロータとの間の隙間を数ミクロン〜数十ミクロンの単
位で厳密に管理して、ロータとステータとの間のシール
を良好にすることができる。
【0073】本体801の両端のフランジとスペーサ8
03,803´との間、スペーサ803,803´とエ
ンドカバー802,802´のフランジとの間にそれぞ
れOリング17が配置され、またエンドカバー802,
802からの回転軸13,13の導出部にオイルシール
18が配置されている。これらOリング17及びオイル
シール18によりハウジング内の油密及び気密が保持さ
れている。ハウジングの本体801の中央部の上部を貫
通させてネジ孔からなる注油口801aが設けられ、該
注油口801aは、外周にネジを有する栓19により閉
じられている。ハウジング8内には、注油口801aを
通してオイル20が充填され、各ロータリバルブ6のス
テータ601の内周寄りの部分と、ロータ602と、押
え板11,14とがオイル20中に配置されている。
【0074】ハウジングの本体801の下部には各ロー
タリバルブ6のステータ601に設けられた第1の孔6
aに連通する開口部801bが設けられていて、図1に
示したガス流出入管604が開口部801bを通して第
1の孔6a内に挿入されるようになっている。
【0075】図6には図示してないが、ハウジング本体
801の上部には、燃料溜め部3のケーシング301を
取り付けるための開口部が設けられていて、ケーシング
301は、該開口部を油密に貫通した状態でロータリバ
ルブ6のステータに取り付けられる。
【0076】また図示してないが、ハウジングの本体8
01の周壁部には、高圧ガス導入管605を接続するた
めの開口部と、蓄圧管4bを接続するための開口部と、
残留圧力排出管7を接続するための開口部とが設けられ
ている。
【0077】ハウジング8内に配置された2つのロータ
リバルブ6,6は、それぞれのロータ602,602が
180度位置をずらした状態で配置されていて、両ロー
タリバルブ6,6が180度の位相差を持って動作する
ようになっている。
【0078】図示の例では、ハウジング8の軸線方向の
一端側から導出された回転軸13が駆動軸として用いら
れ、該駆動軸として用いられる回転軸13に歯付きプー
リ21が取り付けられている。図示しない内燃機関のク
ランク軸にも歯付きプーリが取り付けられ、該クランク
軸側のプーリとプーリ21とにタイミングベルト22が
掛け渡されている。従って、内燃機関のクランク軸が回
転すると、該クランク軸の回転に同期して各ロータリバ
ルブ6のロータ602が回転し、該ロータの回転により
蓄圧動作と、燃焼室内への燃料の噴射動作とが所定のタ
イミングで行われるようになっている。
【0079】次に図1ないし図5を参照して本発明に係
わる燃料供給装置の動作を説明する。内燃機関を始動さ
せるため、クランク軸を回転させると、ロータリバルブ
6のロータ602が機関と同期して回転する。インジェ
クタ5は、ロータの第3の連通路602cが燃料流出通
路G5 と残留圧力開放用ガス通路G6 とを連通させて、
燃料溜め空間3a内の圧力を下げた後に、図3及び図4
に示したように、所定の時間(噴射時間)の間燃料溜め
空間3a内に燃料を噴射する。燃料の噴射時間は、空燃
比を適値に保つように、スロットルバルブ105の開度
や、大気圧などの各種の制御条件に応じて制御される。
インジェクタ5から燃料が噴射されることにより、燃料
溜め空間3a内に燃料が溜る。
【0080】ピストン110が上死点に向って移動する
過程で燃焼室内の圧力が上昇する。
【0081】ピストンが上死点を過ぎると、ロータ60
2の第1の連通路602aがガス流出入通路G1 と高圧
ガス取込み用通路G2 とを連通させるため、燃焼室内の
圧縮された空気がガス流出入通路G1 と第1の連通路6
02aとを通して蓄圧室4aと蓄圧管4bとに流入す
る。ガス流出入通路G1 は短時間で閉じられるため、蓄
圧室4a及び蓄圧管4b内に蓄圧される。クランク軸が
更に回転してピストンが下死点を過ぎ、上死点に向って
変位する過程で設定位置(ピストンが排気ポート104
aを閉じる寸前の位置ないしは閉じた直後の位置)に達
すると、図1に示したように、ロータ602の第1の連
通路602aが燃料流出通路G5 とガス流出入通路G1
とを連通させ、第2の連通路602bが高圧ガス流出通
路G3 と高圧ガス流入通路G4 とを連通させるため、蓄
圧部4に蓄積された高圧ガスが燃料溜め空間3a内に流
入し、該空間3a内に溜った燃料を燃料流出通路G5 と
第1の連通路602aとガス流出入通路G1 とを通して
燃焼室A内に噴出させる。これにより燃焼室A内に燃料
が供給される。燃焼室A内への燃料の噴射が行われた
後、図2のように、ロータの第3の連通路602cが燃
料流出通路G5 と残留圧力開放用ガス通路G6 とを連通
させて、燃料溜め空間3a内の残留ガスを掃気通路10
3を通してクランク室内に逃がし、燃料溜め空間3a内
の圧力を下げる。ロータの第3の連通路602cが燃料
流出通路G5 と残留圧力開放用ガス通路G6とを連通さ
せる際には、ピストンが上死点に向けて変位する過程に
あって、クランク室内が負圧になっているため、残留圧
力の開放は短時間で行わせることができる。また燃料溜
め空間に残留しているガス中には燃料が含まれている
が、上記のように残留ガスを機関のクランク室内に逃が
すようにすれば、何等問題は生じない。
【0082】このように、燃焼室A内への燃料の噴射が
行われた後に、燃料溜め空間3a内の残留圧力を開放し
て該燃料溜め空間3a内の圧力を下げるようにすると、
インジェクタ5に与える燃料の圧力を低くすることがで
き、インジェクタに燃料を供給する燃料ポンプとして小
形のものを用いることができる。
【0083】ピストンが上死点前の適当な位置に設定さ
れた点火位置に達すると、図示しない点火装置から点火
プラグ12に高電圧が与えられるため、該点火プラグ1
2が火花を発生する。これにより爆発行程が開始され
る。爆発行程においては、図4に示したようにロータ6
02の第1の連通路602aがガス流出入通路G1 と高
圧ガス取込み用通路G2 とを連通させるため、燃焼室内
の高圧の燃焼ガスが蓄圧部4内に流入し、該蓄圧部内に
蓄圧される。次にピストンが上死点に向けて変位してい
く過程で設定位置に達すると、ロータ602の第1の連
通路602aが燃料流出通路G5 とガス流出入通路G1
とを連通させ、第2の連通路602bが高圧ガス流出通
路G3 と高圧ガス流入通路G4 とを連通させるため、蓄
圧部4に蓄積された高圧の燃焼ガスがアシストガスとし
て燃料溜め空間3a内に流入し、該空間3a内に溜った
燃料を燃料流出通路G5 と第1の連通路602aとガス
流出入通路G1 とを通して燃焼室A内に噴出させる。以
下同様の動作が繰り返され、機関の回転が維持される。
【0084】上記のように本発明においては、爆発行程
で燃焼室内に生じる高圧燃焼ガスの圧力を蓄えておい
て、蓄えておいた高圧燃焼ガスをアシストガスとして燃
料溜め空間3a内に溜った燃料を燃焼室内に噴出させる
ため、燃焼室内への直接噴射を容易に行わせることがで
きる。アシストガスは高温の燃焼ガスであるため、燃料
の気化を促進することができ、燃料を気化させるために
許容される時間(インジェクタから燃料を噴射してから
着火されるまでの時間)が短くなる機関の高速回転時に
も、燃料の気化を良好に行わせることができる。
【0085】なお機関の高速回転時には、ロータ602
の第1の連通路602aがガス流出入通路G1 と高圧ガ
ス取込み用通路G2 とを連通させる時間が短くなり、蓄
圧部に取込まれる燃焼ガスの量が減少するが、高速回転
時には燃焼ガスの圧力が上昇しているので問題はない。
【0086】上記のように、燃焼ガスを蓄圧部4内に取
込むようにすると、蓄圧部の温度が上昇するが、蓄圧部
に水冷や空冷などによる冷却手段を講じて、蓄圧部から
の放熱を促進させるようにしておけば、蓄圧部の温度が
過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0087】本発明においては、燃料溜め空間3aへの
燃料の噴射を電気信号により噴射量が決まるインジェク
タを用いて行わせるため、燃料の噴射量を緻密に制御す
ることができる。
【0088】また、燃料溜め空間3aに供給されるアシ
ストガスは爆発行程において生じた燃焼ガスであり、実
質的に酸素を含まないため、燃焼室内に供給される新気
の量はほぼスロットルバルブ106の開度により決める
ことができる。そのため、実質的な空燃比をスロットル
バルブの開度により決めることができ、スロットルバル
ブ106の開度に応じて機関の回転数を適確に制御する
ことが可能になる。また、燃料溜め空間に供給されるア
シストガス(燃焼ガス)は実質的に酸素を含まないた
め、アシストガスの量は厳密に管理する必要がない。
【0089】ピストンが上死点に向けて変位する過程で
燃料溜め空間と燃焼室内とを連通させる設定位置は、ピ
ストンが排気ポートを閉じる位置の前後一定の範囲に設
定する。ピストンが排気ポートを閉じた後に燃料溜め空
間と燃焼室内とを連通させて燃焼室内への燃料の噴射を
行わせると、燃料の吹き抜けは完全に防止することがで
きるが、燃焼室内に燃料を噴射するタイミングが遅れる
と、燃料の気化が完全に行われないおそれがある。また
燃焼室内に噴射された燃料が排気ポートに達するまでに
はある程度の時間がかかるため、ピストンが排気ポート
を完全に閉じる位置よりも前の位置で燃焼室内に燃料を
噴射するようにしても、その噴射タイミングを適当に設
定しておけば、吹き抜けが生じることはない。燃焼室内
への燃料の噴射タイミング(燃焼室内と燃料溜め空間と
を連通させるタイミング)は上記の点を勘案して、実質
的に吹き抜けを生じさせない範囲の適宜のタイミングに
設定する。本発明によれば、このようにして吹き抜けを
防止することができるため、燃料消費量を少なくするこ
とができる上に、排気ガス中のHCやNOx を少なくす
ることができる。
【0090】上記のように、本発明においては、内燃機
関の燃焼室内に燃料(厳密にいえば燃料と高圧ガスとの
混合気)を直接噴射するに当たり、その同じ燃焼室内で
生じた燃焼ガスの圧力を利用するので、単気筒の内燃機
関にも適用することができる。
【0091】上記の例のように、1つのガス流出入通路
G1 が、機関の燃焼室A内に燃料を供給するための通路
と、燃焼室内の高圧ガスを蓄圧室に取り込むための通路
とを兼ねるようにすると、機関の気筒にあける孔の数を
少なくすることができるため、シリンダヘッド部分の構
成が複雑になるのを防ぐことができ、小形の機関にも容
易に適用することができる。
【0092】また上記のように、1つのガス流出入通路
G1 を通して、燃料の噴射と燃焼ガスの取込みとを行わ
せると、燃焼ガスを取込んだ際に通路G1 に付着した燃
焼汚物を燃料の噴射時に洗い流すことができるため、燃
焼ガスを取込む通路の汚損が進行するのを防ぐことがで
きる。
【0093】上記の例のようにベーローズを備えた蓄圧
室4aを設けると、蓄圧空間を容易に確保することがで
きるが、本発明は、このようにベローズを備えた蓄圧室
を設ける場合に限定されるものではなく、例えば図8に
示したように、ある程度の内部容積を有する蓄圧管40
1を設けて、該蓄圧管401の内部空間と、該蓄圧管4
01につながる管路の内部空間とを蓄圧空間として蓄圧
部4を構成することもできる。蓄圧部4は、燃料溜め空
間3aの容積よりも大きな容積を有する蓄圧空間を有す
るものであればよい。
【0094】上記のようなロータリバルブ6を用いる場
合、ロータ嵌合孔601aとロータ602との間の隙間
は、数ミクロン〜数十ミクロンの単位で厳密に管理する
必要がある。この隙間が大き過ぎると気密が保たれない
ことになり、小さ過ぎると高速回転時にロータ602が
焼付くことになる。ロータ嵌合孔601aの内周の加
工、及びロータ602の外周面の加工は円加工であるた
め、それぞれの加工精度を高めることは容易である。
【0095】なお図7(A)に示した例では、回転軸1
0を径方向に貫通させて1つのピン12を取り付けて、
該ピンの両端を溝11bに緩く嵌合させる構造にした
が、図7(B)に示したように、回転軸10の外周に4
個のピン12´を固定して、これらのピンを押え板11
の内周に設けた4個の溝に緩く嵌合させるようにしても
よく、また図7(C)に示すように、ピンに代えてキー
25を用いることもできる。
【0096】上記の例では、回転軸10と押え板11と
をギャップgを介して結合し、回転軸13とロータ60
2とを、ボルト15と該ボルトを貫通させるための孔と
の間に形成したギャップを介して結合する構造にした
が、ボルト15とロータ602との間のギャップをなく
し、回転軸13と押え板14とをギャップを介して結合
する構造にしてもよい。
【0097】また回転軸とロータとの結合構造は上記の
例に限定されるものではなく、例えば、押え板11と回
転軸10及び押え板14と回転軸13をそれぞれギャッ
プを介することなく緊密に結合し、ボルト15を貫通さ
せるためにロータ602に設ける貫通孔の内径を該ボル
トの外径よりも僅かに大きく設定して、ボルト15をロ
ータ602にギャップを介して結合する構造にすること
もできる。
【0098】更に、上記の例では、押え板11,14を
ロータ602に結合するために通しボルト15を用いて
いるが、押え板11と14とをそれぞれ別のボルトによ
りロータに結合する構造にしてもよい。この場合には、
押え板11と14とのそれぞれに対して接触圧力を調整
するためのバネを設ける。
【0099】図6に示した例では、ハウジング8の両端
からそれぞれ回転軸13,13を突出させて、一方の回
転軸13を駆動軸としているが、駆動軸として用いる回
転軸のみをハウジングから導出させる構造にすることも
できる。
【0100】また図6に示した例では、押え板11と1
4との双方に回転軸を結合しているが、対の押え板1
1,14のうちの一方のみに回転軸を結合する構造にし
てもよい。
【0101】上記のようにロータリバルブ6を収納した
ハウジング8内にオイル20を充填する構造にすると、
ロータ602とステータ601との間のシールを良好に
することができる。またバルブ6の熱をオイルを通して
放散させることができるため、バルブの温度が過度に上
昇するのを防ぐことができる。
【0102】また上記の例のように、ステータ601の
両端面に対の押え板11,14を摺動接触させて、該対
の押え板をボルト15を介してロータ602に結合する
構造をとった上で、ハウジング8内にオイルを充填する
と、バルブ6のロータとステータとの間のシールを更に
良好にすることができる。
【0103】上記の例で用いたロータリバルブ6におい
ては、ステータ601のガス流出入通路G1 が常時機関
の燃焼室A内に連通しているため、ロータ602により
ステータ601の各通路が閉じられている状態でも、燃
焼室内の圧力がロータとステータとの間の隙間を通して
ある程度漏洩する。ロータ602とステータ601との
間の隙間を充分に小さくしておけば、この圧力の漏洩を
支障を来さない程度に少なくすることができるが、ロー
タとステータとの間の隙間を余り小さくするとロータの
焼付きが生じるおそれがあり、また該隙間を厳密に管理
することが必要になって加工のコストが上昇する。
【0104】そこで、上記のようにロータリバルブ6を
密封構造のハウジング8内に収納して、該ハウジング内
に充填したオイル20内にロータリバルブを配置するこ
とにより、ロータとステータの少なくともロータ寄りの
部分とを常にオイル中に配置する構造にすると、ロータ
602とステータ601との間の隙間にオイルが浸入し
て油膜を形成するため、該油膜によりロータとステータ
との間のシールを図ることができ、ガスの漏洩を少なく
することができる。
【0105】なおロータリバルブをオイル中に配置する
ことなく、ロータとステータとの間の隙間にオイルを注
入して油膜を形成することも考えられるが、このように
した場合には、燃焼室A内の圧力が上昇したときにロー
タとステータとの間に形成された油膜が押し出されるた
め短時間でシール効果が減少してしまう。
【0106】これに対し、上記の例のように、オイル2
0が充填された密封構造のハウジング8内にロータリバ
ルブ6を収納して、ロータ602とステータ601の少
なくともロータ寄りの部分とをオイル中に浸漬した状態
にしておくと、シール効果を維持することができる。
【0107】即ち、ロータ602とステータ601の少
なくともロータ寄りの部分とをオイル中に浸漬しておく
と、ロータとステータとの間の隙間内にオイルが浸透し
て油膜を形成する。機関の爆発行程において燃焼室内の
圧力が上昇すると、ロータとステータとの間の隙間の油
膜を押し出そうとするが、このときハウジング8内の圧
力が上昇してオイルの流出を抑制するため、ロータとス
テータとの間の隙間から油膜が失われることはない。機
関の排気行程において燃焼室内の圧力が低下すると、ハ
ウジング内の圧力により周囲のオイルが押されてロータ
とステータとの間の隙間に浸入するため、該隙間内の油
量が増大する。このように、ロータとステータの少なく
ともロータ寄りの部分とを密封されたハウジング内に充
填したオイル中に配置しておくと、ロータとステータと
の間の隙間内に油膜が維持されるため、シール効果を持
続させることができる。
【0108】上記のように、ロータとステータとの間に
油膜を維持するようにすると、ロータとステータとの間
の隙間をある程度大きくしても圧力の漏れを抑制するこ
とができるため、ロータ及びステータの加工を容易にす
ることができる。
【0109】上記のようにロータリバルブ6のロータと
ステータの少なくともロータ寄りの部分とをオイル中に
配置した場合、機関の燃焼室A内の圧力が低下したとき
に、燃焼室A内にオイルが浸入するおそれがある。上記
の例では、燃焼室A内へのオイルの浸入を防止するため
に、ロータリバルブ6の両側に押え板11,14を配置
して、各押え板をステータの軸線方向端面とロータの軸
線方向端面とに面接触させるとともに、ステータ及びロ
ータとともにオイル中に浸漬する構造にしている。この
ように構成すると、燃焼室A内の圧力が低下して、ステ
ータとロータとの間の隙間にオイルが浸入しようとした
ときに、ハウジング内のオイルの圧力により押え板1
1,14がステータ及びロータの端面に押し付けられる
ため、押え板11,14とステータ601及びロータ6
02との間の隙間が縮小される。そのため、ロータとス
テータとの間の隙間へのオイルの浸入が抑制され、燃焼
室内の圧力が低下したときにロータとステータとの間の
隙間にオイルが過度に流入するのが防止される。
【0110】このように、ステータ及びロータの両端面
に押え板を接触させておくと、機関の燃焼室内の圧力が
低下したときにステータとロータとの間の隙間にオイル
が過度に流入するのを防ぐことができるため、ロータと
ステータとの間の隙間に適度の油膜を維持してシール効
果を維持することができるだけでなく、燃焼室A内にオ
イルが浸入するのを防ぐことができる。
【0111】上記の例では、2サイクル2気筒内燃機関
に燃料を供給する装置に本発明を適用したが、3気筒以
上の2サイクル内燃機関や、単気筒の2サイクル内燃機
関に燃料を供給する装置にも本発明を適用することがで
きる。
【0112】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、爆発行
程で燃焼室内に生じる高圧燃焼ガスの圧力を蓄えておい
て、蓄えておいた高圧燃焼ガスをアシストガスとして燃
料溜め空間内に噴射された燃料を燃焼室内に供給するよ
うに構成したため、燃焼室内への直接噴射を容易に行わ
せることができる。
【0113】また本発明によれば、、燃料溜め空間への
燃料の噴射を、電気信号により噴射量が決まるインジェ
クタを用いて行わせることができるため、燃料の噴射量
を緻密に制御することができる。
【0114】更に、本発明によれば、実質的に酸素を含
まない燃焼ガスをアシストガスとして燃料溜め空間に供
給して燃焼室内への燃料の噴射を行わせるため、燃焼室
内に供給される新気の量をほぼスロットルバルブの開度
により決めることができる。従って、実質的な空燃比を
スロットルバルブの開度により決めることができ、スロ
ットルバルブの開度に応じて機関の回転数を適確に制御
することができる。
【0115】また本発明によれば、温度が高い燃焼ガス
をアシストガスとして用いるため、燃料溜め空間内の温
度を高い値に維持して燃料の気化を容易にすることがで
きる。
【0116】更に、本発明によれば、内燃機関の燃焼室
内に燃料を直接噴射するに当たり、他の燃焼室内の圧力
を利用することなく、その同じ燃焼室内で生じた燃焼ガ
スの圧力を利用するので、単気筒の内燃機関においても
燃焼室内への直接燃料噴射を容易に行わせることができ
る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態において、燃焼室内
に燃料を噴射する際の状態を示した断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態において、燃焼室内
に燃料を噴射した後燃料溜め空間の残留圧力を開放する
際の状態を示した断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態において、機関の点
火が行われる際の状態を示した断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態において、燃焼室内
の燃焼ガスをロータリバルブを通して蓄圧部に取込む際
の状態を示した断面図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態において、機関のピ
ストンが排気ポートを開いた際の状態を示した断面図で
ある。
【図6】本発明に係わる燃料供給装置の要部の構造をハ
ウジング部も含めて示した断面図である。
【図7】(A)は図6の例において回転軸と押え板との
結合部の構造を示した正面図である。(B)及び(C)
はそれぞれ回転軸と押え板との結合部の回転軸側の構造
の異なる変形例を示した正面図である。
【図8】本発明の実施形態において、蓄圧部の構成を異
ならせた例を示した断面図である。
【符号の説明】
1 2サイクル内燃機関 2 燃料供給装置 3 燃料溜め部 4 蓄圧部 5 インジェクタ 6 ロータリバルブ 601 ステータ 602 ロータ G1 ガス流出入通路 G2 高圧ガス取込み用通路 G3 高圧ガス流出通路 G4 高圧ガス流入通路 G5 燃料流出通路 G6 残留圧力開放用ガス通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 67/04 F02M 67/06 F02M 67/08 F02M 67/10 F02M 67/12 F02M 69/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2サイクル内燃機関の燃焼室内に直接燃
    料を供給する燃料供給装置において、 燃料溜め空間を内部に有する燃料溜め部と、 蓄圧空間を内部に有する蓄圧部と、 電気信号により駆動されて前記燃料溜め空間に燃料を噴
    射するインジェクタと、 前記燃料溜め空間に連通した通路と蓄圧空間に連通した
    通路と内燃機関の燃焼室に連通した通路とを有するステ
    ータと、前記内燃機関と同期回転するように設けられて
    回転する過程で前記燃料溜め空間と燃焼室との間、燃焼
    室と蓄圧空間との間及び蓄圧空間と燃料溜め空間との間
    をそれぞれ連通させたり遮断したりするロータとを備え
    たロータリバルブとを具備し、 前記ロータリバルブは、内燃機関の爆発行程で前記燃焼
    室と蓄圧空間とを連通させて燃焼室内の高圧ガスの一部
    を蓄圧空間に流入させた後該蓄圧空間を密封して該蓄圧
    空間内の圧力を保持し、前記内燃機関のピストンが上死
    点に向けて変位する過程で設定位置に達した時に前記燃
    料溜め空間と燃焼室内とを連通させるとともに前記燃料
    溜め空間と蓄圧空間とを連通させるように構成されてい
    ることを特徴とする2サイクル内燃機関用燃料供給装
    置。
  2. 【請求項2】 2サイクル内燃機関の燃焼室内に直接燃
    料を供給する燃料供給装置において、 燃料溜め空間を内部に有する燃料溜め部と、 蓄圧空間を内部に有する蓄圧部と、 電気信号により駆動されて前記燃料溜め空間に燃料を噴
    射するインジェクタと、 前記燃焼室に連通したガス流出入通路と前記蓄圧空間に
    連通した高圧ガス取込み用通路と前記蓄圧空間に連通し
    た高圧ガス流出通路と前記燃料溜め空間に連通した高圧
    ガス流入通路と前記燃料溜め空間に連通した燃料流出通
    路とを有するス テータと、前記ガス流出入通路と高圧ガ
    ス取込み用通路との間、前記高圧ガス流出通路と高圧ガ
    ス流入通路との間、前記燃料流出通路とガス流出入通路
    との間をそれぞれ連通させる連通路を有して内燃機関と
    同期回転するように駆動されるロータとを備えて、前記
    燃焼室と蓄圧空間との間、蓄圧空間と燃料溜め空間との
    間及び燃料溜め空間と燃焼室との間をそれぞれ連通させ
    たり遮断したりするロータリバルブとを具備し、 前記ロータリバルブは、内燃機関の爆発行程で前記ガス
    流出入通路と高圧ガス取込み用通路とを連通させて燃焼
    室内の高圧ガスの一部を蓄圧空間に流入させた後該蓄圧
    空間を密封して該蓄圧空間内の圧力を保持し、前記内燃
    機関のピストンが上死点に向けて変位する過程で設定位
    置に達した時に前記燃料流出通路とガス流出入通路とを
    連通させるとともに前記高圧ガス流出通路と高圧ガス流
    入通路とを連通させるように構成されていることを特徴
    とする2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  3. 【請求項3】 2サイクル内燃機関の燃焼室内に直接燃
    料を供給する2サイクル内燃機関用燃料供給装置におい
    て、 燃料溜め空間を内部に有する燃料溜め部と、 蓄圧空間を内部に有する蓄圧部と、 電気信号により駆動されて前記燃料溜め空間に燃料を噴
    射するインジェクタと、 ロータ嵌合孔を有するステータと、前記ステータのロー
    タ嵌合孔に回転自在に嵌合されて前記内燃機関と同期回
    転するように駆動されるロータとを備えたロータリバル
    ブとを具備し、 前記ステータは、一端が前記ロータ嵌合孔の内周に開口
    し、他端が前記内燃機関の燃焼室に連通したガス流出入
    通路と、前記ガス流出入通路の一端よりもロータの回転
    方向の前方側の位置で一端が前記ロータ嵌合孔の内周に
    開口し、他端が前記蓄圧空間に連通した高圧ガス取込み
    用通路と、一端が前記高圧ガス取込み用通路の一端より
    もロータの回転方向の前方側の位置でロータ嵌合孔の内
    周に開口し、他端が前記蓄圧空間に連通した高圧ガス流
    出通路と、前記高圧ガス流出通路の一端よりもロータの
    回転方向の前方側の位置で一端が前記ロータ嵌合孔の内
    に開口し、他端が前記燃料溜め空間に連通した高圧ガ
    ス流入通路と、前記高圧ガス流入通路の一端よりもロー
    タの回転方向の前方側の位置で一端が前記ロータ嵌合孔
    の内周に開口し、他端が前記燃料溜め空間に連通した燃
    料流出通路とを備え、 前記ロータは、前記内燃機関のピストンが上死点に向け
    て変位する過程で設定位置に達した時に前記燃料流出通
    路の一端とガス流出入通路の一端とを連通させ、前記内
    燃機関の爆発行程では前記ガス流出入通路の一端と高圧
    ガス取込み用通路の一端とを連通させる第1の連通路
    と、前記第1の連通路が前記燃料流出通路の一端とガス
    流出入通路の一端とを連通させた時に前記高圧ガス流出
    通路の一端と高圧ガス流入通路の一端とを連通させる第
    2の連通路とを備えていることを特徴とする2サイクル
    内燃機関用燃料供給装置。
  4. 【請求項4】 前記ステータは前記燃料流出通路の一端
    よりもロータの回転方向の前方側の位置で前記ロータ嵌
    合孔の内周に一端が開口し、他端が前記内燃機関のクラ
    ンク室内に連通した残留圧力開放用ガス通路を更に備
    え、 前記ロータは、前記第1の連通路が燃料流出通路の一端
    とガス流出入通路の一端とを連通させた後に前記燃料流
    出通路の一端と残留圧力開放用ガス通路の一端とを連通
    させる第3の連通路を更に備えている請求項3に記載の
    2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  5. 【請求項5】 前記燃料流出通路及び残留圧力開放用ガ
    ス通路のロータ側の開口部と、前記高圧ガス流出用通路
    及び高圧ガス流入用通路のロータ側の開口部とが、前記
    ステータの軸線方向に位置をずらして設けられている請
    求項4に記載の2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  6. 【請求項6】 前記蓄圧部は高圧ガスを取込んだ際に伸
    張するベローズと該ベローズを収縮方向に付勢するバネ
    とを備えて該ベローズの内側の空間を蓄圧空間とした蓄
    圧室を備えている請求項1ないし5のいずれか1つに記
    載の2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  7. 【請求項7】 前記ロータリバルブは密封構造のハウジ
    ング内に収納されていて、該ハウジング内にオイルが充
    填されていることを特徴とする請求項1ないし6のいず
    れか1つに記載の2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  8. 【請求項8】 前記ステータの軸線方向の両端面とロー
    タの軸線方向の両端面とにそれぞれ摺動自在に面接触す
    る対の押え板が更に設けられて、該対の押え板が前記ロ
    ータとともに回転するように該ロータに結合され、 前記対の押え板を前記ステータ及びロータの端面に向け
    て付勢するバネが設けられている請求項7に記載の2サ
    イクル内燃機関用燃料供給装置。
  9. 【請求項9】 前記ロータリバルブのロータは、内燃機
    関と同期回転する軸にギャップを介して結合されている
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記
    載の2サイクル内燃機関用燃料供給装置。
  10. 【請求項10】 前記対の押え板の少なくとも一方が内
    燃機関と同期回転する軸にギャップを介して結合されて
    いる請求項8に記載の2サイクル内燃機関用燃料供給装
    置。
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