(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明によって形成された内燃シリンダエンジンは、2サイクル動作原理で適切に動作する。本発明のエンジンは、各2連シリンダハウジング9に対して1つの2連シリンダ1が使われていることから現在入手可能なエンジンと区別される。2連シリンダの中心にシリンダジャーナルピン2が通っている。シリンダジャーナルピン2は、シリンダ内で(ローラーまたは他の)ベアリング上に適切に配置されている。シリンダジャーナルピン2は回転可能である。連結棒は存在しない。
排気ポート3および吸気ポート4は、シリンダ内径の両端に位置している。図11に見られるとおり、排気ポート3および吸気ポート4は垂直方向に間隔を置いて配置されている。この配置は、公知の2サイクルエンジンの直径に沿って対向する位置にある吸気ポートと排気ポートとは異なっている。
吸気ポート4は、シリンダの全周縁に置くことができる。排気ポート3は、シリンダの直径の両側に置くことができる。
図5および8を参照すると、排気ポート3は、シリンダハウジング9の両側に置かれている。排気ポートは、中央に置かれており、シリンダが下死端位置にあるとき、2連シリンダの両方の排気ポート3によって交互に共用される。
エンジンは、またピストン6を含む。ピストン6は、静止しており、エンジンの可動部品ではない。ピストン6は、圧縮比を変えるように調節することができる。
ピストン6は、点火プラグまたは噴射装置穴8およびピストンリング7を含む。噴射装置穴8は、ディーゼルエンジンなど別のエンジンの好ましい実施形態に適している。
今から図6を参照すると、ピストン6の終端は、少なくとも1つのピストンリング7を含む。ピストン6のこの終端の直径は、実質上シリンダの直径と等しい。ピストンの長手方向の他の部分は、都合よくより小さい直径を有することができる。ピストン6の中心は、点火プラグや噴射装置穴8を利用することができるように部分的に中空である。
2連シリンダ8の開放端は、その開放端に取り付けられた環状与圧プレート13を含む。与圧プレート13およびピストンリング7は、シリンダ壁と係合し、それらの間の密封を定義することができる。各与圧プレート13は、各シリンダに緊密に固定されて、ピストン6の上を上死点と下死点の間で摺動する。
与圧プレート13は、主に吸気サイクルのさまざまな役割を担っている。
今から図11を参照すると、2連シリンダハウジング9は、吸気室17を含む。吸気室17は、シリンダハウジングプレート15によって封鎖されている。シリンダハウジングプレート15は、主リード弁組立品14およびピストン6を保持している。
各2連シリンダハウジング9は、シリンダの各側面に置かれた長穴18を有する。各長穴18は、シリンダ口径の線に沿った中央部にある。長穴18は、2連シリンダハウジング9を通って延在するシリンダジャーナルピン2がシリンダジャーナルピンのストローク長全体にわたって自由に摺動するような方向に作られている。
さらに図11を参照すれば、2つの2連シリンダハウジング9は、90度の角度で互いに連結されている。対になった2連シリンダハウジング9は、図1に見られるとおり、長穴18が同じ角度で互いに面し、同じ中心点を有するように配置されている。
図11および12に戻り参照すると、2つのシリンダジャーナルピン2は、それらの中心線が1/2ストローク長離れているようなクランクシャフト型態様で相互に偏心連結されている。シリンダジャーナルピン2の両端には、出力取出し(「PTO」)ジャーナル111によってピン2に連結されている出力取出しシャフト12がある。PTOジャーナル11の中心は、連結されているシリンダジャーナルピン2の2つの中心線の間の中間にある線上に位置している。
PTOジャーナル11は、PTOシャフト12内に置かれたベアリング10内に固定することができる。PTOシャフト12の中心線は、図2に見られるとおり、モーター組立品の中心線と一致する。
シリンダジャーナルピン2は、ストローク長を直線的に移動し、2連シリンダ組立品、長穴18、および90度の角度で連結されたシリンダハウジング9によって誘導される。全シリンダピン組立品は、同時にシリンダピン組立品自体の中でPTOシャフト12の中心線の周りを回転する。したがって、シリンダジャーナルピン組立品は、2つの回転軸を有する。第1回転軸は、シリンダジャーナルピン組立品の延長方向に沿って延在する長手方向軸によって定義される。第2回転軸は、シリンダのストローク長の両端間の中間に定義される点に対して垂直に定義される。
直線運動の回転運動への変換は、以下に基付いている。
図1において、同じ長さを有する2つの線ABおよびCDは、各線の中間点Eにおいて直角(90度)に相互に交差している。ABまたはCDの長さの半分に等しい線ABが、線CD上にある線ABの点aとともに点Cから点Dおよび点Dから点Cへ移動している。同時に、点bが線AB上をAからBおよびBからAへ移動している。この図は、連結されたシリンダジャーナルピン2の直線運動を表している。その結果として、線abの中間点に位置する点Xは、回転運動している。この図は、PTOジャーナル11の円運動を表している。PTOジャーナル11は、PTOシャフト12を回転させる。
空気または空気/燃料の混合気は、燃焼ストロークの間、主リード弁組立品14を通って吸気室17に入る。吸気室17は、実際のシリンダ排気量より大きいことが望ましい。
2連シリンダ1に取り付けられた与圧プレート13は、圧縮ストロークの間、与圧プレート13内にある第2リード弁組立品16を通して空気または空気/燃料の混合気を与圧室の中へ移送する。
同様の移送が、図11に見られるとおり、シリンダハウジング内にある移送口21およびピストンシャフトによって行われる。燃焼ストロークにおいて、空気/混合気は、下死点位置近くで吸気ポート4を通って、シリンダ室20の中に入る。その混合気は、下死点位置でシリンダハウジング9内に配置された排気ポートと一致して、すでに開いているシリンダ排気ポート3を通って燃焼後の残留ガスを押出す。
シリンダ1が圧縮ストロークを開始するにつれて、吸気ポート4は閉じられ、排気ポート3は一致するために中止して、シリンダ室20は密閉される。過大な吸気室17の結果として、シリンダ室20は、過給すなわちターボチャージ式エンジンの給気に匹敵する給気を得ることになる。スロットルを全開するとすぐに、シリンダ室は、最低rpmでこの過給をもうすでに得ている。
連結棒および連結棒に対応するクランクシャフト周りの可動部が無いので、シリンダ壁の摩擦が低減される。ピストン速度、本明細書においてはシリンダ速度のグラフは、すべてのrpmにおいて良好に変化する。
燃焼圧力もまたより優れており、機械動力へのエネルギーの変換効率もより高いものがある。
図12は、標準的なピストンとシリンダの機構と同じ動作原理を示している。
図13は、少し寸法を変えた状態の図2と同じものを示している。
図14においては、過圧弁22が第2リード弁組立品16のリード弁の間に配置されている。ある一定の与圧に到達した後、調節にもよるが、空気/燃料の混合気の余分の与圧は吸気室17へ逃がされる。
エンジンの動作またはrpmの高さとは無関係に、調節済み与圧が達成されている限り、エンジンは、そのエンジンのすべての馬力およびトルクの範囲を出力していることになる。
与圧室19の底には、1つ以上のシリンダハウジング通気孔21がある。通気孔21は、圧縮機リード弁23を越えてエンジンまたはエンジンが据え付けられた車両のどこかに設置されたエアホース接合部に通じている。ディーゼルエンジンでは、エンジンの通常動作の間、どれか1つまたはすべてのシリンダからの余剰空気が圧縮機のために使われる場合がある。
ガソリンエンジンでは、一部のシリンダだけが必要に応じてその余剰空気を圧縮機のために使われる場合がある。この状況では、これら特定のシリンダ用空気には、気化器を迂回させる必要がある。
燃料噴射式ガスエンジンでは、シリンダ用噴射装置が遮断されている限り、迂回は不必要である。
この遮断により、空気だけが圧縮されることが保証される。
ガスエンジンの一部は動作し続け、切り換えれば圧縮機側に動力を供給する。圧縮機が不要になり、エアホースまたは他の器具が取り外された後、通気孔は自動的に閉止され、エンジンはすべてのシリンダの通常動作に戻るよう切り換えられる。
図13を参照すると、ギア24がPTOジャーナル11に取り付けられている。ギア24は、PTOジャーナル11と同じように回転し、シリンダジャーナルピン2は、PTOジャーナル11の周りを回転する。同時に、PTOジャーナル11の中心線が、内歯ギアリング25が取り付けられた出力取出しシャフトの中心線のまわりを回転する状態で、PTOジャーナルが回転する。
ギア25が360度回転するとき、PTOジャーナルは、PTOジャーナルの歯をギアリング25の歯と2回かみ合わせする必要がある。
関連する歯の直径および可能な数量の操作によって、所望のPTOシャフト12rpmに対する実際のエンジンrpmのさまざまな減速比が可能である。図13の例では、PTOジャーナル11上のギア24は30歯を有する。PTOシャフト12上のギアリング25は40歯を有する。シリンダピン組立品の1回の360度回転において、ギア24はギア24の中心線のまわりを回転し、ギア24はギアリング25において60歯かみ合わせする必要がある。ギアリング25はわずか40歯しか備えていない、したがって、ギアリングは、この工程中に20歯の距離を回転する必要があり、この20歯は、結果的にPTOシャフト12の180度回転になる。2対1のrpm減速比が達成される。
図16および17は、4シリンダエンジンのわずか3つの主可動部品を示している。2つの2連シリンダ1と、2つのシリンダピン2およびPTOジャーナル11を備えたシリンダピン組立品とである。ステップ1から8は、1/4ストローク刻みで1回の360度回転を表している。4つより多いまたは4つより少ないシリンダを備えたエンジンの製造が可能である。
気化、燃料噴射またはターボチャージャーの追加使用、圧縮機、およびブロワなどのすべての公知システムは、必要に応じて、このエンジンに使用可能である。また、点火システム、潤滑システム、冷却システム、排気制御システム、および他のエンジン関連の公知システムについてのすべての公知形式は、適応可能であり、したがって、本発明の範囲内である。
図18〜65は、本発明によって形成された往復動内燃エンジン1010の別の好ましい実施形態を示す。対向して対になっている「実質上静止している」ピストン1012aおよび1012b、ならびに1012cおよび1012dそれぞれの間で、相互に対して直交するように配向された2つのシリンダライナ1014aおよび1014bをエンジン1010は往復直線運動させているという点で、エンジン1010は、従来の往復動内燃エンジンとは異なっている。本明細書内で使われているとおり、語句「実質上静止している」は、いくらか動く機能はあるが、従来エンジンのピストン、カムシャフト、連結棒、またはバルブの動作のように、エンジンのクランクシャフトやアナログ構成部品に従った動作をしない部品を表すことを意図している。換言すれば、実質上静止している部品の動作は、エンジンのクランクシャフトまたはアナログ構成部品に対して切り離されており、独立して動かすことができる。
図18〜65に示された好ましい実施形態においては、多くの構成部品は、ピストン1012a、1012b、1012c、および1012d、ならびに2つのシリンダライナ1014aおよび1014bなど互いに同一である。したがって、同一構造の構成部品には、それら構成部品をそれらの同等品から区別するために選んだ文字を後に付けた共通の参照番号を割り当てる番号方式が採用されている。状況が許す場合、同等品を有する1つの構成部品の要素に次の説明で言及するとき、同等品の対応する要素にも言及しているものと理解されるべきである。
今から図18〜20を参照して、本発明によって形成された1つの好ましい実施形態を描いたエンジンブロック1013および関連の外側構成部品を説明する。エンジンブロック1013は、下面端表面1148に対向する上面端表面1146を有する正に八角ブロック構造体であり、下面端表面と上面端表面との間には、ピストン、シリンダ、および他の関連構成部品を収容する内部空洞が備わっている。エンジンブロック1013は、鋼鉄、鋳鉄、またはアルミニウムなどの剛性材料で、機械加工および/または鋳造などの技術分野の公知の技術によって形成される。2つの吸気マニホールド1138および4つの四角い取り付けプレート1136がエンジンブロック1013の側面に固定されている。取り付けプレート1136のそれぞれにハウジング取り付けプレート1144が連結されており、そのハウジング取り付けプレートのそれぞれの上にはコントロールプレートハウジング1320が連結されている。
今から図18および21を参照して、ハウジング取り付けプレート1144を説明する。ハウジング取り付けプレート1144は、絶縁体として機能し、エンジンブロック1013内で発生した熱が圧縮比および出力設定制御システム1300のさまざまな構成部品へ伝達するのを遅らせる。絶縁体については、以下でさらに詳細に説明する。熱伝達を防ぐために、ハウジング取り付けプレート1144は、内部空洞1324を含む。内部空洞1324は、圧縮比および出力設定制御システム1300の構成部品と取り付けプレート1136との間の接触を制限することにより熱伝達を防いでいる。さらに、ハウジング取り付けプレート1144は、内部空洞1324と外部環境とを流体連絡する4つの冷却口1326を含み、熱せられた空気が外部の冷気と入れ換わることができるようになっている。
再び図18〜20を参照すると、ピストン1012のそれぞれの遠位端面と、圧縮比および出力設定制御システム1300に対応する上部室配管1312とがコントロールプレートハウジング1320から突き出ている。また、圧縮比および出力設定制御システム1300に対応する下部室配管1314も、ハウジング合わせプレート1144から突き出ている。場合によっては、排気ポート1142は、コントロールプレートハウジング1320の上方または下方に配置される。排気ポート1142は、エンジンブロック1013の内部に設置された排気ガス通路1037(図27参照)と流体連絡されており、エンジン1010の燃焼室内で発生した燃焼の生成物を大気中に排出することができる。公知の排出ガス収集、処理、および/または消音器システム(図示せず)は、排気ポート1142に流体連絡で連結することが望ましい。各吸気マニホールド1138は、2つの吸気ポート1140を含む。気化器および/またはフィルタのような構成部品を含むことができる公知の吸気システムを各吸気ポート1140に連結することが望ましい。
図21を参照して、今から主に内燃エンジン1010の内部構成部品に注目すると、エンジン1010は、2つの2連シリンダライナ1014aおよび1014bを含み、各シリンダライナは、シリンダライナ1014aおよび1014bの対向する両端に、それぞれ2つの実質上静止している対向するピストン1012aおよび1012b、ならびに1012cおよび1012dを収容している。シリンダライナ1014aおよび1014bは、エンジンブロック1013の内部で相互に対して垂直に並置されている。シリンダライナ1014aおよび1014bは、第1伸張位置と第2伸張位置との間で交互に往復直線運動する。さらに詳細に述べると、シリンダライナ1014aについては、図21に示されているとおり、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aが第1ピストンbに対して上死点(TDC)位置にあり、第2ピストン1012aに対して下死点(BDC)位置にある第1伸張位置と、シリンダライナ1014aが第1ピストンbに対してBDC位置にあり、対向する第2ピストン1012aに対してTDC位置にある第2伸張位置との間で往復直線運動する。第2シリンダライナ1014bも、同様に第1伸張位置と第2伸張位置との間で往復直線運動する。しかしながら、第2シリンダライナ1014bは、第1シリンダライナ1014aの位相と180度ずれて往復直線運動し、それによって、第1シリンダライナ1014aが伸張位置にあるとき、第2シリンダライナ1014bはストローク中間位置にある。シリンダライナ1014は、クランクカム1016によって相互に連結されている。クランクカム1016は、以下でさらに詳細に説明しているとおり、シリンダライナ1014の直線運動を回転運動に変換する。
図22を参照して、本発明によって形成された4つの実質上静止しているピストン1012の中の1つの物理的構造を今から説明する。ピストン1012は相互に実質上同一であるので、状況が許す場合、図22に示されたピストン1012aに言及するとき、対応する他の3つのピストン1012b、1012c、および1012d(図21参照)にも言及しているものと理解されるべきである。ピストン1012aは、シャフト1020に同心円状にかつ垂直に取り付けられたピストンヘッド1018を有する中空の円筒形プランジャである。ピストンヘッド1018およびシャフト1020は、両方とも位置合わせされた内径を有し、ピストン1012の中心を通って軸方向に伸びる通路を形成している。通路1022は、ピストン1012の重量を実質上減少させることができる一方、ピストンヘッド1018内に配置された点火プラグ1024および/または燃料噴射装置(図示せず)に対する作業も可能にする。ピストン1012は、点火プラグまたは噴射装置用穴1023を含み、その穴の中に点火プラグ1024および/または燃料噴射装置を取り付けることができる。
ピストンヘッド1018の周囲に2つのコンプレッションリング1030が取り付けられている。技術分野では公知のとおり、コンプレッションリング1030は、主に熱力学サイクルの圧縮および膨張部分の間に、燃焼ガスや生成物がピストンヘッド1018を通り越して吹き抜けるのを防ぐ。示されていないが、技術分野では公知のとおり、ピストンヘッド1018は、またオイルコントロールリングも含むことができる。コンプレッションリング1030の付近では、ピストンヘッド1018の直径は、シリンダライナ1014の直径と実質上等しい。ピストンヘッド1018の直径は、ピストンヘッド1018の全長に沿ってその後先細りさせることができ、結果的にコンプレッションリングから間隔を置いたピストンヘッド1018の部分は、相対的により小さい直径を有することになる。
シャフト1020の周囲には、圧縮比コントロールプレート1026が取り付けられている。圧縮比コントロールプレート1026は、プレート1026の上部および下部の環状表面1025および1027上にコントロール液の圧力を受けるようになっている。環状表面1025および1027の両端に異なる圧力を選択的に与えることによって、ピストン1012aの軸方向位置をエンジンブロックに対して調節して、以下でさらに詳細に説明するとおり、エンジンの出力設定および圧縮比を調節することができる。2つのオイルコントロールリング1028が圧縮比コントロールプレート1026の円周上に取り付けられており、このリングによってあらゆるコントロール液の漏れが防がれている。
図23を参照しながら、2つの前述の実質上静止しているピストン1012とともに動作する2連往復動シリンダライナ1014aを今から説明する。2連シリンダライナ1014は実質上相互に同一であるので、状況が許す場合、図23に示されたシリンダライナ1014aに言及するとき、他のシリンダライナ1014b(図21参照)にも言及しているものと理解されるべきである。2連シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aの上部遠位端部に形成された第1軸方向に同心円状に位置合わせされた内径を有する全体として細長い円筒構造であり、それによってピストン1012a(図21参照)を収容して往復直線運動する第1シリンダ1032aが形成されている。シリンダライナ1014a内に形成された第2軸方向に同心円状に位置合わせされた内径が、シリンダライナ1014aの対向する下部遠位端部に配置され、それによって第2ピストン1012b(図21参照)を収容して往復直線運動する第2シリンダ1032bが形成されている。シリンダ1032aおよび1032bは、技術分野の公知であるとおり、すきまばめの関係にあるピストン1012aおよび1012bを収容することができる形状および大きさに作られている。
今から図21、23、および24を参照すると、シリンダ1032の内側すなわち底端には、排気バルブシート1034がある。排気バルブシート1034は、技術分野の公知技術によって形成され、そのバルブシート内に排気バルブを収容することができる。4つの排気ガス通路1036は、排気バルブシート1034と流体連絡されて、排気ガスをシリンダ1032から排出することができる。シリンダライナ1014aの中心を通る内径は、バルブステム内径1038である。バルブステム内径1038は、排気バルブ1052のステムを収容」することができる大きさに作られている。バルブスプリングハウジング1040は、バルブステム内径1038に連通している。バルブステムハウジング1040は、排気バルブを閉位置に付勢するスプリングを収容できる大きさと構造に作られている。クランクカムハウジング1042は、バルブスプリングハウジング1040に連通している。クランクカムハウジング1042は、クランクカム1016を収容し、そのハウジング内でクランクカムが回転できるような大きさと構造に作られている。
今から図23および28を参照すると、クランクカムハウジング1042は、シリンダライナの両端から等距離の位置においてシリンダライナ1014aを垂直に貫通する円筒形状の内径1150によって形成されている。内径1150の半径は、クランクカム1016の中心線からクランクカム1016クランクジャーナル1072の外面まで測った距離に実質上等しい。この寸法の半径により、クランクジャーナルは、動作中、クランクカムハウジング1042の内径1150内で自由に回転することができる。内径1150の直径は、内径1150の中央において突然外側に向けて段が付いており、ローブ逃げ内径1152が形成されている。ローブ逃げ内径1152の半径は、クランクカムの中心線からクランクカム1016のローブ1054の遠位端または頂点まで測った距離以上である。この寸法の半径により、ローブ1054は、クランクカムハウジング1042内で自由に回転することができる十分な隙間を得る。
シリンダライナ1014aの両遠位端には、環状与圧プレート1044が配置されている。環状与圧プレート1044は、以下でさらに詳細に説明するとおり、燃焼ガスを圧縮し、圧縮された燃焼ガスをシリンダ1032へ送り出すために使われる。環状与圧プレート1044の付近には、吸気ポート1046がある。例示の好ましい実施形態においては、吸気ポート1046は、シリンダ1032の周囲に60度置きに間隔を空けて置かれている。しかしながら、技術分野の当業者には明らかなように、他の構成が適用可能である。動作中、吸気ポート1046によって、燃焼ガスは、シリンダ1032の中に入り、シリンダ1032の掃気および給気を行うことができる。環状与圧プレートの内面および外面には、内面および外面燃焼ガス/オイルシール1048が配置されている。シール1048は、以下でさらに詳細に説明するとおり、シールによって流体の通過を防いでいる。
今から図24を参照しながら、2連往復動シリンダライナ1014および実質上静止しているピストン1012についての上の説明に照らして、熱力学サイクルの重要事象の間のシリンダライナおよびピストンと、シリンダライナおよびピストンの関連構成部品との相互関係を今から説明する。本発明の往復動内燃エンジン1010の例示の好ましい実施形態は、2ストロークサイクルで動作する。したがって、クランクカム1016の回転ごとに、各ピストン1012が2ストロークで熱力学サイクルを完了するために、単一ストロークは、シリンダライナ1014内に含まれる実質上静止しているピストン1012に対するTDC位置からBDC位置(またはその逆)までのシリンダライナ1014の挙動によって定義される。したがって、シリンダライナ1014のことごとくのストロークは、各ピストン1012に対して、膨張ストロークとして公知の出力ストロークか、圧縮ストロークかである。この場合、各出力ストロークの終わりおよび引き続いて起こる圧縮ストロークの前に急速に行われる吸排気機能、すなわち掃気が要求される。例示の好ましい実施形態においては、各ピストンは、クランクカム1016の各回転あたり1回の出力ストロークを経験するので、結果として出力ストロークは、所与のRPMに対して同じように設計された4ストロークサイクルエンジンの出力ストロークの2倍の数になる。
さらに図24を参照すると、シリンダライナ1014は、熱力学サイクルの圧縮部分の開始の状態が示されている。さらに詳細に述べると、シリンダライナ1014は、シリンダライナのBDC位置からピストン1012に向かって上の方へ動くときが示されている。シリンダライナ1014が上の方へ動くにつれて、ピストン1012は吸気ポート1046を完全に覆い、それによってシリンダ1032は密封される。図示の位置においては、クランクカム1016上の排気ローブ1054は、バルブステム1066が排気ローブ1054からちょうど離れたときの向きになっており、その結果バルブスプリング1056は、排気バルブ1052を閉位置に付勢することができる。閉位置においては、排気バルブ1052は、シリンダライナ1014内の排気バルブシート1034と密封状態で係合し、その結果シリンダ1032からのあらゆる燃焼ガスの排出は防止される。述べたとおり構成された場合、燃焼ガスは、シリンダ1032の側面および底面の周囲壁と、端面すなわちピストンヘッド1018の頭頂部1019とによって定義される燃焼室内に密封状態で封じ込められる。
シリンダライナは、引き続きピストンに近付き、ピストン1012に対するシリンダライナのBDC位置からTDC位置へ接近して行くので、燃焼室1033の容積はそれに応じて減少し、その結果燃焼室内に封じ込められた燃焼ガスは圧縮される。今から図25を参照すると、シリンダライナ1014がピストン1012に対するシリンダライナのTDC位置に到達したときまたはその少し前に、高電圧火花1058が公知の手段によって点火プラグ1024(図22)から放出され、その結果燃焼ガスが発火する。燃焼ガスが燃えると、その結果燃焼膨張が発生し、シリンダライナ1014はピストン1012から遠くへ押しやられる。今から図26を参照すると、排気バルブ1054が排気バルブシート1034からずらされ、吸気ポート1046の覆いが取られるサイクル点まで、シリンダライナ1014は、燃焼生成物の膨張によって引き続き下へかつピストン1012から遠くへ押しやられ、それと共に燃焼室1033からの燃焼生成物の掃気が開始される。
しかしながら、燃焼室1033から燃焼生成物が掃気される前に、新しい大量の燃焼ガスが加圧され、燃焼室1033の掃気を支援する。本発明の例示の好ましい実施形態においては、この掃気支援は、環状与圧プレート1044が吸気室1064中をさっと動くことによって達成される。さらに詳細に述べれば、シリンダライナ1014が図24に示された位置から図25に示された位置まで上向きに移動するにつれて、環状与圧プレート1044は、円筒形状の吸気室1064中を強制的にさっと動かされる。環状与圧プレート1044が吸気室1064中を上向きにさっと動くにつれて、吸気室1064内に真空が発生し、その真空によって、新しい燃焼ガスが吸気室1064の中に引き込まれる。公知の一方向リードチェックバルブ(図示せず)によって、燃焼ガスは吸気室1064の中に流入することができる一方、どんな燃焼ガスまたは燃焼生成物も吸気室1064から外へ通過することは防止される。
シリンダライナ1014が図25に示された位置から図26に示された位置まで、すなわち、TDC位置からBDC位置まで下向きに移動するにつれて、吸気ポート1046はピストン1012によって密封され、吸気室1064からの燃焼ガスの排出は、一方向リードチェックバルブによって防止されるので、吸気室1064は密封圧力容器になる。与圧プレート1044が吸気室1064中を下向きにさっと動くにつれて、吸気室1064内に封じ込められた燃焼ガスは圧縮され、吸気ポート1046の蓋が取られることによって、はじめて燃焼室1033の中へ放出される。
吸気室1064は、燃焼室1033の最大排気量より大きい容量からなることが望ましい。例示の好ましい実施形態において、吸気室1064は、燃焼室の最大排気量の3倍の大きさであるとはいえ、技術分野の当業者には明らかなように、1対1という低さおよび3対1以上の高さまでといった吸気室容量対最大燃焼室容量の比は、本発明での使用に適している。燃焼室1033に対して吸気室1064の容量を比較的大きくすることによって、燃焼ガスを高圧力で供給することができる。したがって、吸気室1064の相対規模を選択することによって、過給機すなわちターボチャージ式従来エンジンが達成する高圧とほぼ同等の高圧燃焼ガスを実現することができる。一般に低RPMにおいては燃焼ガスに十分な加圧を与えることができず、その結果エンジンは、十分に加圧された燃焼ガスを供給することができる高RPMにエンジンが到達するにつれて、エンジン性能に遅滞を招くことになる従来の過給機すなわちターボチャージ式エンジンとは異なって、低RPMにおいてでも燃焼ガスの加圧は行われる。
燃焼室1033の掃気は、出力ストロークの終盤において開始される。出力ストロークの終盤は、吸気ポート1046と排気バルブ1052が開放することに特徴がある。この掃気は、図26に示されるとおり、シリンダライナ1014が下へ、実質上静止しているピストン1012から離れて、吸気ポート1046の蓋が最初に取られ、排気バルブ1052が排気バルブシート1034から最初に持ち上げられる点まで移動したとき行われる。吸気ポート1046の蓋が最初に取られるにつれて、与圧プレート1044の下の吸気室1064内に封じ込められた加圧燃焼ガスは、燃焼室1033の中に放出される。ほぼ同時に、クランクカム1016のローブ1054がバルブステム1066と係合し、それによって排気バルブ1052は実質上静止しているピストン1012の方へ押しやられるので、排気バルブ1052は、バルブシート1034から最初に持ち上げられる。こうして、吸気室1064内に封じ込められた加圧燃焼ガスが吸気室1064から吸気ポート1046を通って燃焼室1033へ放出されるにつれて、燃焼室1033内に封じ込められていた燃焼生成物は、燃焼室1033から掃気され始める。加圧燃焼ガスが燃焼室1033の中に入って来ることによって、シリンダライナ1014内の排気ガス通路1036がエンジンブロック1013内に配置された排気ガス通路1037と一直線に並ぶにつれて、燃焼生成物はシリンダライナ1014内の排気ガス通路1036から強制的に外に出される。
排気ガス通路1037は、エンジンブロック1013内の中央に配置されており、シリンダライナ1014の位置によって、シリンダライナ1014内の排気ガス通路1036aと第1の対になり、また排気ガス通路1036bと第2の対になって流体連絡して交互に一直線になる。さらに詳細に述べれば、シリンダライナ1014が第1ピストン1012aに対してBDC位置にあるとき、第1ピストン1012aに対応付けられた第1対の排気ガス通路1036aは、エンジンブロック1013内の排気ガス通路1037に流体連絡する。シリンダライナが第1ピストンに対向する第2ピストンに対してBDC位置に移動するとき、第2ピストンに対応付けられた第2対の排気ガス通路1036bは、エンジンブロック1013内の排気ガス通路1037に流体連絡する。
今からエンジンの動作に戻ると、シリンダライナ1014は、シリンダライナ1014がBDCに到達するまで実質上静止しているピストン1012aから遠くへ移動し続ける。BDCにおいては、図27に示されるとおり、吸気ポート1046および排気バルブは完全に開かれる。この時点では、加圧燃焼ガスは、高速で燃焼室1033の中へ流入し、このようにして、燃焼生成物は燃焼室1033から追い出され、燃焼室1033は新しい燃焼ガスで再給気される。クランクカム1016が引き続き右回転してBDC位置を過ぎるにつれて、ローブ1054がバルブステム1066から外れるので、排気バルブ1052は閉位置に引っ込み、シリンダライナ1014は、実質上静止しているピストン1012の方へ移動し、それによって吸気ポート1046は封鎖される。したがって、燃焼室1033は完全に密封され、燃焼室内に封じ込められた燃焼ガスは圧縮され始め、このようにして、サイクルは図24に示された位置へ戻る。
図29〜32を参照しながら、本発明によって形成されたクランクカム1016をさらに詳細に説明する。本発明の例示の好ましい実施形態のクランクカム1016は、従来の往復動内燃エンジン内のクランクシャフトとカムシャフトの両機能を果たしている。クランクカム16は、3つの円形クランクウエブ1070と、2つのクランクジャーナル1072aおよび1072bと、2つのクランクカムローブ1054とを含む。クランクカム1016は、鋼鉄または他の適切な剛性材料で一体鍛造するか、または、たとえば、個別に鍛造したクランクジャーナル1072を鋳造したクランクウエブ1070に焼きばめすることによって作ることができる。クランクウエブ1070は相互に対して同心円状に位置合わせされているが、クランクジャーナル1072は、ストローク長の半分に等しい距離だけ相互に対して中心線がずれており、クランクウエブ1070の中心線1074に対しても中心線がずれている。
今から図21および29〜32を参照すると、クランクジャーナル1072aおよび1072bは、第1シリンダライナ1014aが1つのピストン1012bに対してTDC関係にあり、対向する第2ピストン1012aにはBDC関係にあるとき、第2シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの対向するピストン1012cおよび1012dから等距離のところにあるように相互に対して配置されている。同様に、各クランクジャーナル1072それぞれのクランクカムローブ1054は、反対方向に面しているので、第1クランクカムローブ1054aによって、排気バルブ1052がピストン1012aに対して排気バルブ1052の全開位置に位置付けられたとき、他のクランクカムローブ1054bは、対向する実質上静止しているピストン1012cおよび1012dから等距離のところにあり、したがって、どちらの排気バルブのバルブステムとも係合しないので、各排気バルブは閉位置に置かれている。
技術分野の当業者には明らかなように、第1ピストン1012aに対応付けられた燃焼ガスの圧縮は、対向するピストン1012bに対するガスの膨張によって強制的に行われる。したがって、技術分野の当業者には明らかなように、クランクジャーナル1072a上に作用する力は、燃焼ガスの膨張によって発生した膨張力から対向するピストンに対して燃焼ガスを圧縮するために要する圧縮力を差し引いた結果の力である。さらに、圧縮力および膨張力は同一線上にあるので、圧縮力および膨張力の同時作用によってクランクカム1016上にモーメントがかかることはない。したがって、本発明のクランクカム1016は、同一線上の圧縮力で膨張力を打ち消さない従来のエンジンのクランクシャフトと比べて大きさを低減することができる。
今から図29〜32および33〜48を参照しながら、動作中のクランクカム1016に対するシリンダライナ1014aおよび1014b間の関係を説明する。図33および34を参照すると、図34は図33に示された構成部品の側面図であり、第1シリンダライナ1014aは、第1クランクジャーナル1072a上に垂直に取り付けられている。第2シリンダライナ1014bは、第1シリンダライナ1014aに対して垂直に、したがって水平に第2クランクジャーナル1072b上に取り付けられている。第1シリンダライナ1014aは、参照番号1100によって特定される線によって表されたエンジンブロックによって垂直往復移動経路に限定されている。同様に、第2シリンダライナ1014bも参照番号1098によって特定される線によって表されたエンジンブロックによって水平往復移動経路に限定されている。
シリンダライナ1014aおよびシリンダライナ1014bの往復直線運動は、クランクカム1016を介して回転運動に変換される。さらに詳細に述べれば、クランクカム1016は2つの回転軸上を回転する。第1回転軸1074はクランクカム1016のほぼ中心線である。さらに詳細に述べれば、第1回転軸1074は、クランクジャーナル1072aおよび1072bそれぞれの中心線1076aおよび1076bから等距離にあり、同一平面上の平行な線によって定義される。動作中、クランクカム1016は、第1回転軸1074の周りを回転する一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078の周りを円軌道1080を描いてさらに回転する。第2回転軸1078は、シリンダライナ1014aおよび1014bそれぞれのストロークの中心点と交差し、シリンダライナ1014aおよび1014bの両中心線に対して垂直な線として定義される。第2回転軸1078から円軌道1080の半径は、ストローク長の4分の1に等しい。
さらに図33および34を参照すると、シリンダライナ1014aが伸張位置で示されており、この伸張位置においては、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aの2つの対向するピストンに対してTDCおよびBDC位置にあり、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの対向するそれぞれのピストンから等距離のところにある。この構成においては、第2回転軸1078は、クランクジャーナル1072bの中心線と同一線上にあり、かつシリンダライナ1014bのストローク長の中間点と交差する。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って左方向へ直線移動する。同様に、クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路100に沿って下向きに直線移動し、図35および36に示された構成になる。
図35および36を参照すると、クランクカムが第1回転軸1074の周りを30度回転した後の、シリンダライナ1014aおよび1014bが取り付けられた状態のクランクカムが示されている。したがって、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aが図33および34に示されたシリンダライナ1014aの伸張位置から遠くへ、下方向へ直線移動された状態が示されており、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bが図35および36に示された中間位置から左方向へ移動された状態が示されている。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、クランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って左方向へ直線移動する。同様に、クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路1100に沿って下向きに直線移動し、図37および38に示された構成になる。
今から図37および38を参照すると、クランクカムが第1回転軸1074の周りを90度回転した後の、シリンダライナ1014aおよび1014bが取り付けられた状態のクランクカムが示されている。したがって、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの2つの対向するピストンに対して伸張位置で示されている一方、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aがシリンダライナ1014aのそれぞれの対向するピストンから等距離にある中間位置で示されている。この構成においては、第2回転軸1078は、クランクジャーナル1072aの中心線1076aと同一線上にあり、かつシリンダライナ1014aのストローク長の中間点と交差する。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、方向を変え、今からシリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って右方向へ直線移動する。クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路1100に沿って下向きに直線移動を続け、図39および40に示された構成になる。
今から図39および40を参照すると、クランクカムが第1回転軸1074の周りを150度回転した後の、シリンダライナ1014aおよび1014bが取り付けられた状態のクランクカムが示されている。したがって、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aが図37および38に示されたシリンダライナ1014aの中間位置から下方向へ直線移動された状態が示されており、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bが図37および38に示されたシリンダライナ1014bの伸張位置から右方向へ移動された状態が示されている。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って右方向へシリンダライナ1014bの中間位置まで直線移動する。同様に、クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路1100に沿って下向きに直線移動し、図41および42に示された構成になる。
さらに図41および42を参照すると、シリンダライナ1014aが伸張位置で示されており、この伸張位置においては、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aの2つの対向するピストンに対してTDCおよびBDC位置にあり、一方、シリンダライナ1014bは、中間位置で示されており、この中間位置においては、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの対向するそれぞれのピストンから等距離のところにある。この構成においては、第2回転軸1078は、シリンダライナ1014bのクランクジャーナルの中心線と同一線上にあり、かつシリンダライナ1014bのストローク長の中間点と交差する。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って右方向へ直線移動する。同様に、クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路100に沿って上向きに直線移動し、図43および44に示された構成になる。
図43および44を参照すると、クランクカムが第1回転軸1074の周りを210度回転した後の、シリンダライナ1014aおよび1014bが取り付けられた状態のクランクカムが示されている。したがって、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aが図41および42に示されたシリンダライナ1014aの伸張位置から上方向へ遠く直線移動された状態が示されており、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bが図41および42に示されたシリ中間位置から右方向へ移動された状態が示されている。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回る一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って右方向へ直線移動する。同様に、クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路1100に沿って上向きに直線移動し、図45および46に示された構成になる。
今から図45および46を参照すると、クランクカムが第1回転軸1074の周りを270度回転した後の、シリンダライナ1014aおよび1014bが取り付けられた状態のクランクカムが示されている。したがって、シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの2つの対向するピストンに対して伸張位置で示されている一方、シリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014bがシリンダライナ1014bのそれぞれの対向するピストンから等距離にある中間位置で示されている。この構成においては、第2回転軸1078は、クランクジャーナル1072bの中心線と同一線上にあり、かつシリンダライナ1014bのストローク長の中間点と交差する。クランクカムが第1回転軸1074の周りを時計方向に回り続ける一方、第1回転軸1074は、第2回転軸1078に芯合わせされた円軌道1080に沿って反時計方向に第2回転軸のまわりを同時に回転するので、クランクジャーナル1072bおよびクランクジャーナル1072bに関連するシリンダライナ1014bは、方向を変え、今からシリンダライナ1014bの水平移動経路1098に沿って左方向へ直線移動する。クランクジャーナル1072aおよびクランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aは、クランクジャーナル1072aに関連するシリンダライナ1014aの垂直移動経路1100に沿って上向きに直線移動を続け、図47および48に示された構成になる。このようにして、エンジンは、図33および34に示された構成に戻り、各ピストンに対して単一の熱力学サイクルが完結することが明確にわかる。
今から図28を参照しながら、クランクカム1016と、シリンダライナ1014aおよび1014bとの間の相互関係をさらに詳細に今から説明する。図28は、本発明によって形成された往復動内燃エンジン1010の部分断面を示している。断面は、実質上クランクカム1016の長手方向長さに沿って切り取られている。このように切り取られた断面の場合、垂直方向に向いたシリンダライナ1014aは、シリンダライナ1014aの中心線に沿って切り取られている。シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014aに対して垂直に、したがった、水平方向に向けられているので、断面は、シリンダライナ1014bの両端の間の中間でシリンダライナ1014bを横断している。シリンダライナ1014aは、ピストン1012a(図示せず)に対してBDC構成で、ピストン1012bに対してTDC構成で示されている。
シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bの対向する両ピストンから等距離にあることが示されている。このように構成されたクランクカム1016の場合、クランクジャーナル1072aに対応付けられたローブ1054aは、ピストン1012aに対応付けられた排気バルブ1052のバルブステム1066aに係合し、バルブ1052は、バルブ1052のシート1034から持ち上げられる。シリンダライナ1014bのクランクジャーナル1072bに対応付けられたローブ1054bは、対向する実質上静止している両ピストンのバルブステムの間で等距離のところにあることが示されている。シリンダライナ1014bは、シリンダライナ1014bに対応付けられた対向する両ピストン間の中間にあるので、シリンダライナ1014bは、現在掃気を受けていない。したがって、エンジンブロック1013内の排気ガス通路1037は、まだシリンダライナ1014bの排気ガス通路1036(図23参照)と流体連絡が構成されていない。
今から図49を参照しながら、アウトドライブシステム1094の構成部品を今から説明する。アウトドライブシステム1094は、クランクカム1016の往復回転運動を出力取出しシャフト1084の中心線の周りの回転運動に変換する。アウトドライブシステム1094は、アウトドライブ減速ギア1082およびアウトドライブギア1086を含む。アウトドライブ減速ギア1082は、アウトドライブギア受け入れ溝1096の周辺円筒形壁に沿って配置された内歯1090をさらに含む。アウトドライブ減速ギア1082は、締め具などの公知の手段によって出力取出し駆動フランジ1080に強固に連結されている。出力取出しシャフト1084は、出力取出し駆動フランジ1080に垂直かつ同心円状に取り付けられている。出力取出しシャフト1084の中心線は、第2回転軸1078と同一線上にある。アウトドライブギア1086は、アウトドライブ減速ギア1082の内歯1090と伝達することができる形状と大きさに作られた外歯1088を有する。アウトドライブギア1086は、円形状クランクウエブ1070を受け入れることができる形状と大きさに作られたクランクウエブ1070受け入れ溝1092を有する。クランクウエブ1070は、締め具などの技術分野の公知の手段によってアウトドライブギア1086の受け入れ溝1092に強固に連結される。
アウトドライブシステム1094の構成部品についての上記の説明の見地から、アウトドライブシステム1094の動作を今から説明する。図50〜55を参照すると、文字Aは、アウトドライブギア1086上で任意選択された基準点として使われ、文字Bは、アウトドライブ減速ギア1082上で任意選択された基準点として使われている。文字Cは、クランクジャーナル1072b、したがって、シリンダライナ1014b(図示せず)の中心点を表し、文字Dは、クランクジャーナル1072a、したがって、シリンダライナ1014a(図示せず)の中心点を表している。
今から図50を参照すると、アウトドライブギア1086は、アウトドライブ減速ギア1082の内側に配置され、そのためアウトドライブギア1086の外歯1088は、アウトドライブ減速ギア1082の内歯1090とかみ合っている。アウトドライブ減速ギア1082およびアウトドライブギア1086がかみ合いながら時計方向に回転するにつれて、アウトドライブギア1086上の基準点Dは、水平基準線1098に沿って往復直線運動する。基準線1098は、シリンダライナ1014b(図示せず)の直線経路を表しており、図33〜48に示された基準線と同一である。同様に、基準点Cも垂直基準線1100に沿って往復直線運動する。垂直基準線1100は、シリンダライナ1014a(図示せず)の直線経路を表しており、図33〜48に示された基準クラインと同一である。アウトドライブ減速ギア1082およびアウトドライブギア1086が時計方向に回転するにつれて、アウトドライブ減速ギア1082およびアウトドライブギア1086の基準線1098および1100それぞれに沿って、基準点Dは右へ移動し、基準点Cは上の方へ移動する。
今から図51を参照すると、図50に示された構成から、アウトドライブギア1086は、8分の1回転時計方向に回転し、一方、アウトドライブ減速ギア1082は、16分の1回転時計方向に回転している。図51を参照して明らかなとおり、基準点CおよびDは、まだ基準点CおよびDそれぞれの基準線1100および1098上にあり、その結果、クランクジャーナル、したがって、それらクランクジャーナルに取り付けられたシリンダライナの中心の直線移動経路は保持されている。
図52を参照すると、図50に示された構成から、アウトドライブギア1086は、今や4分の1回転時計方向に回転し、一方、アウトドライブ減速ギア1082は、8分の1回転時計方向に回転している。図52を参照して明らかなとおり、図51に示された基準点CおよびDそれぞれの位置から、基準点Cは、基準直線1100に沿って垂直に上の方へ移動し、一方、基準点Dは、水平基準線1098に沿って右へ水平移動している。基準点Dは、目下基準点Dの「頂点」にあり、したがって、シリンダライナがシリンダライナに対応付けられた実質上静止している対向するピストンに関してTDCおよびBDC位置にある状態で、各シリンダライナは伸張位置にある。アウトドライブギア1082がさらに時計方向に回転するにつれて、基準点Dは、基準線1098に沿って右向き方向の移動から左向き方向の移動へ移行する。
今から図53を参照すると、アウトドライブギア1086は、2分の1回転回転し、アウトドライブ減速ギア1082は、4分の1回転回転している。基準点Cは、目下基準点Cの「頂点」にあり、したがって、シリンダライナがシリンダライナに対応付けられた2つの実質上静止している対向するピストンに関してシリンダライナのTDCおよびBDC位置にある状態で、対応するシリンダライナは伸張位置にある。アウトドライブギア1082がさらに時計方向に回転するにつれて、基準点Cは、基準線1100に沿って上向き方向の移動から下向き方向の移動へ移行する。
今から図54を参照すると、アウトドライブギア1086は、4分の3回転回転している。アウトドライブ減速ギア1082は、8分の3回転回転している。基準点Cは、目下基準経路1100の中央にある。この中央位置は、基準点Cに対応付けられたシリンダライナが目下シリンダライナに対応付けられた実質上静止しているピストンから等距離にあることを意味している。それに対応して、基準点Dは、目下「頂点」にある。したがって、基準点Dに対応付けられたシリンダライナは、伸張位置に、したがって、シリンダライナに対応付けられた実質上静止している対向するピストンに関してTDCおよびBDC位置にある。
今から図55を参照すると、基準点AおよびBの相対位置によって示されるとおり、アウトドライブギア1086は完全に1回転回転し、一方、アウトドライブ減速ギア1082は2分の1回転回転している。アウトドライブギア1086が完全1回転したとき、個々のピストンそれぞれは、完全に1熱力学サイクルを完了している。技術分野の当業者には明白なように、関係するギアの可能な歯数および直径を操作することによって、出力取出しシャフト1084RPMに対してさまざまなエンジンRPMの減速比が可能である。図50〜55に示された例示の好ましい実施形態においては、アウトドライブギア1086は30歯を有し、アウトドライブ減速ギア1082は40歯を有する。アウトドライブギア1086の360度1回転において、アウトドライブギア1086は、アウトドライブ減速ギア1082の60歯とかみ合う。アウトドライブ減速ギア1082は40歯を有し、したがって、アウトドライブ減速ギアはその工程で20歯の距離回転し、その結果アウトドライブ減速ギア1082およびアウトドライブ減速ギアに連結されたシャフトは、180度回転することになる。そのため、2対1のRPM減速比が達成される。
エンジンすなわち、さらに詳細に述べれば、クランクカムRPMと同じRPMで回転するダイレクトアウトドライブシャフトを有することが望ましい場合もある。ダイレクトアウトドライブシャフトは、ディストリビュータなどの付属品の駆動に使うことができる。図56〜58を参照すると、本発明によって形成され、本発明とともに使用することに適したダイレクトアウトドライブシステム1102が示されている。ダイレクトアウトドライブシステム1102は、ダイレクトアウトドライブアダプタ1104、ダイレクトアウトドライブ1106、ダイレクトアウトドライブシャフト1108、およびグライドブロック1110を含む。これらの構成部品を組み合わせて動作させることによって、クランクカムの回転および往復直線運動をダイレクトアウトドライブ出力シャフト1108の回転運動に変換することができる。
ダイレクトアウトドライブアダプタ1104の構成を今から説明する。ダイレクトアウトドライブアダプタ1104は、内側(エンジンに面している)および外側(エンジンから向きがそれている)環状面1114および1116それぞれを有する円板状部材である。内側環状面1114に隣接してクランクウエブ受け入れ溝1118が形成されており、クランクウエブ受け入れ溝には、クランクウエブ1070(図31参照)の1つが受け入れられ、その溝の中に強固に固定される。ドライブシャフト1112は、外側環状面1116に対して垂直かつ同心円状に取り付けられている。ドライブシャフト1112は、グライドブロック1110内に配置された内径1120内に収容される。
今からグライドブロック1110の構成を説明する。グライドブロック1110は、ダイレクトアウトドライブ1106の円形外周に合致するように形成された弓形端部1122を有する一般的な矩形状のブロック構造である。グライドブロック1110の長さおよび幅をダイレクトアウトドライブ1106内に形成された溝1124の長さおよび幅に合致するように選択し、それによってグライドブロック1110を溝1124の内側に収容可能にする。グライドブロック1110と、グライドブロック1110がダイレクトアウトドライブ1116の溝1124の内側に乗っているダイレクトアウトドライブ1116の溝1124との両方の接触面に研磨仕上げを施し、摩擦と摩耗を低減させることが望ましい。
ダイレクトアウトドライブ1106は、内側(エンジンに面している)および外側(エンジンから向きがそれている)円形平面1126および1128それぞれを有する円板状部材である。グライドブロック1110を収容する溝1124は、内側平面1126上に形成されている。ダイレクトアウトドライブシャフト1108は、外側平面1128上に垂直かつ同心円状に取り付けられている。
図59〜62を参照しながらダイレクトアウトドライブシステム1102の動作を説明する。今から図59を参照すると、ダイレクトアウトドライブシステム1102の端部平面図が示されており、クランクカムが取り外されたダイレクトアウトドライブアダプタ1104と、ダイレクトアウトドライブ1106の内側円形平面1126とが示されている。アダプタ1104のドライブシャフト1112が想像線で示されている。グライドブロック1110が示されているが、グライドブロック1110の大部分はアダプタ1104によって覆われている。文字Aは、ダイレクトアウトドライブ1106の外側円周上に任意に選択された基準点であり、文字Bは、ダイレクトアウトドライブアダプタ1104上に任意に選択された基準点である。
さらに、図59を参照すると、ダイレクトアウトドライブアダプタ1104の中心は、参照番号1130で表されている。ダイレクトアウトドライブ1106の中心は、参照番号1132で表されている。ダイレクトアウトドライブアダプタ1104は、ダイレクトアウトドライブアダプタの中心1130の周りを回転すると同時に、円形軌道1134に沿ってダイレクトアウトドライブ1106の中心1132の周りを回転しており、円形軌道1134は、ストローク長の4分の1に等しい半径を有している。
図60は、図59に示されたダイレクトアウトドライブシステム1102から4分の1回転反時計方向に回転したダイレクトアウトドライブシステムを示している。図61は、図59に示されたダイレクトアウトドライブシステム1102から2分の1回転反時計方向に回転したダイレクトアウトドライブシステムを示している。図62は、図59に示されたダイレクトアウトドライブシステム1102から4分の3回転反時計方向に回転したダイレクトアウトドライブシステムを示している。参考文字AおよびBは、図59〜62に示されたとおり、ダイレクトアウトドライブアダプタ1104およびダイレクトアウトドライブ1106の回転の間中、半径方向に一直線に並んだままであるので、技術分野の当業者には明白なように、ダイレクトアウトドライブアダプタ1104およびダイレクトアウトドライブ1106は、同一速度で回転している。したがって、ダイレクトアウトドライブ出力シャフト1108(図58参照)は、エンジンRPMで回転する回転入力を必要とする構成部品の駆動に使うことができる。
図59〜62の考察から、スライドブロック1110は動作中動かないことが分かる。この動かないことは、エンジン部品がゼロ寸法公差を有するように構成された場合正しいはずであろう。しかしながら、穴が選択された寸法公差以内になるように構成されている場合、一般的には、スライドブロック1110は、溝1124の内側でわずかな変動を受けることになるであろう、それによって部品の寸法公差は「吸収」され、振動は軽減され、部品がひっかかる可能性も低減されることになる。
今から図63を参照しながら、本発明による例示の好ましい実施形態の圧縮比および出力設定コントロールシステム1300を今から説明する。コントロールシステム1300によれば、動作中にエンジンの圧縮比および出力設定を同時に調節することができる。さらに詳細に述べれば、低ブースト条件下においては、コントロールシステム1300によって、高出力設定(フルスロットル)では、10対1といった低圧縮比を、また、低出力設定(アイドリング)では、15対1といった高圧縮比を有するようにエンジンを選択的に構成することができる。高ブースト条件下においては、コントロールシステム1300によって、高出力設定(フルスロットル)では、5.6対1といった低圧縮比を、また、低出力設定(アイドリング)では、15対1といった高圧縮比を有するようにエンジンを選択的に構成することができる。コントロールシステム1300においては、以下でさらに完全に説明するとおり、エンジンの実質上静止しているピストン1012の軸方向位置を選択的に操作することによって、エンジンの圧縮比および出力設定が制御される。例示の好ましい実施形態においては、ピストンの軸方向位置は、ピストン1012の周辺に取り付けられたコントロールプレート1026の上部環状表面1025か下部環状表面1027のいずれかに加圧流体を選択的に与えることによって調節され、その結果ピストン1012は、ピストンの軸に沿って軸方向に強制移動される。
コントロールシステム1300の主要構成部品は、油圧ポンプ1302、コントロールバルブ1304、コントロールプレート1026、およびコントロールプレートハウジング1320を含む。油圧ポンプ1302は、フィードライン1308およびリターンライン1310によってコントロールバルブ1304と流体連絡で連結されている。油圧ポンプ1302は、加圧制御流体を供給するために技術分野で公知のどんな適切な装置であってもよい。動作中、油圧ポンプ1302によって、油圧オイルなどの加圧制御流体はフィードライン1308を通ってコントロールバルブ1304へ吐出される。同様に、リターンライン1310によって、使用済み制御流体は再加圧のために油圧ポンプ1302へ戻される。
コントロールバルブ1304によって、コントロールプレートハウジング1320への制御流体の流れが選択的に制御され、それによって実質上静止しているピストン1012の軸方向位置が選択的に操作可能になる。コントロールバルブ1304は3位置間で作動することができる。第1位置においては、油圧ポンプ1302からフィードライン1308を経由して得られた加圧制御流体は、第1ポート1311へ送り出される一方、第2ポート1313は、油圧ポンプ1302のリターンライン1310と流体連絡されるように構成される。第2位置においては、流れは逆になり、油圧ポンプ1302からフィードライン1308を経由して得られた加圧制御流体は、第2ポート1313へ送り出される一方、第1ポート1311は、油圧ポンプ1302のリターンライン1310と流体連絡されるように構成される。第3の位置においては、コントロールバルブ1304は、流量停止位置に置かれ、制御流体は、ポート1311および1313から流入または流出することが阻止される。コントロールバルブは、レバー1306などの技術分野で公知のあらゆる適切な手段によって3位置間で作動される。レバー1306の位置は、スロットルまたはアクセルペダルなどの出力設定装置の位置に直接連結して制御されることが望ましい。
コントロールプレートハウジング1320は、コントロールプレート1026を収容する円筒形空洞1322を含む。コントロールプレートによって、空洞1322は、上部室1316および下部室1318に二分されるので、コントロールプレート1026の端部周囲に配置されたオイルコントロールリング1028によって、上部室1316および下部室1318は、独立して加圧することができる。増設オイルコントロールリング1323によって、空洞内に含まれているどんな加圧流体もその空洞から漏れないようになっている。上部室配管1312は、コントロールバルブ1304の第1ポート1311と流体連絡して、各ピストン1012に対応付けられた上部室1316に連結されている。下部室配管1314は、コントロールバルブ1304の第2ポート1313と流体連絡して、各ピストン1012に対応付けられた下部室1316に連結されている。
圧縮比および出力設定コントロールシステム1300の部品の上記説明に照らして、今からその動作を説明する。さらに図63を参照すると、コントロールバルブ1304が第1位置に置かれているとき、油圧ポンプ1302から得られた加圧流体は、上部室1316の中に向けられる。加圧流体は、コントロールプレート1026の上部環状表面1025上に作用し、その結果コントロールプレート1026および強固に取り付けられたピストン1012は、図64に示された位置までピストン1012の軸に沿って下方へ強制的に押し付けられる。逆に、コントロールバルブ1304が第2位置に置かれているとき、油圧ポンプ1302から得られた加圧流体は、下部室1318の中に向けられる。加圧流体は、コントロールプレート1026の下部環状表面1027上に作用し、その結果コントロールプレート1026および強固に取り付けられたピストン1012は、ピストン1012の軸に沿って上方へ強制的に押し付けられ、ピストンは、図64に示された構成から図63に示された構成へ移行される。
ピストン1012の軸方向位置を操作することによって、エンジンの圧縮比が調整される。さらに詳細に述べれば、シリンダライナ1014のストローク長は、一定のままである。したがって、ピストン1012の軸方向位置を調節することによって、ピストン1012の頂部とシリンダライナ1014の対向する内側表面との間の距離がTDCにおいて短縮される。したがって、実質上同量の燃焼ガスは、シリンダライナがピストンに対してTDC位置に到達したとき、相対的に少ない最終量に圧縮され、その結果、技術分野の当業者には明らかなように、圧縮比が上昇する。たとえば、図25と比較して図64を参照すると、両図とも例示のピストンに対してTDC位置の状態を示しており、技術分野の当業者には明らかなように、図64の燃焼室の最終容量は、図25と比較したとき、実質上縮小されている、そのため、図64の圧縮比は高く、図25の圧縮比は相対的に低い結果となる。
図65を参照すると、ピストン1012の軸方向位置を操作することによって、エンジンの出力設定も同時に調節される。さらに詳細に述べれば、ピストン1012の軸方向位置を調節することによって、吸気ポート1046が燃焼室1033と流体連絡されるピストンの軸方向位置の度合いが、持続時間および表面積の両方の面で選択的に制御される。吸気ポート1046が燃焼室1033と流体連絡されるピストンの軸方向位置の度合いを制御することによって、従来の自然吸気式エンジンの気化器内のバタフライバルブと類似の方式で、燃焼室1033へ送り込まれる燃焼ガスの量が制御される。
図27と比較して図65を参照すると、ピストン1012の軸方向位置の操作によって達成される出力設定すなわちスロットル効果は、技術分野の当業者には容易に理解されるところである。図65を参照すると、シリンダライナ1014がBDC位置で示された状態で、ピストン1012が高圧縮、低出力設定構成になっていることが示されている。図65に示されているとおり、ライナがBDCにあるとき、吸気ポートは、ピストン1012によって部分的にふさがれている。今から図27を参照すると、シリンダライナ1014もまたBDCにある。しかしながら、吸気ポート1046は目下全開であり、その理由は、ピストン1012が図65に示されたピストン1012に対してシリンダライナ1014から遠く軸方向に移動されているからである。ピストン1012を下向へ移動させ、吸気ポート1046を部分的にふさぐことによって、吸気ポート1046の表面積と、吸気ポート1046が燃焼室1033と流体連絡される経過時間との両方が実質上減少する。吸気ポート1046が燃焼室1033と流体連絡される度合いを減少させることによって、燃焼室1033の中に引き込まれる燃焼ガスの量はそのため減少する、したがって、エンジンは低出力設定に絞られる。技術分野の当業者には明らかなように、吸気ポート1046が完全に閉鎖されると、エンジンは停止する場合がある。技術分野の当業者には明らかなように、ピストンの軸方向位置の調整によっても、また吸気工程のタイミングを操作することができる。
コントロールシステム1300の上記の詳細な説明によって、ピストン1012の動作を開始させる油圧システムが説明されているが、技術分野の当業者には明らかなように、ピストン1012を作動させる他の方法が本発明とともに使われることが適切である。たとえば、ピストン1012は、電磁システムによって、またはカムを回転させてピストン1012を選択的に位置付けることができる機械的手段によって作動させてもよい。
すべての内燃エンジンと同じように、例示の往復動内燃エンジン1010は、動作中大量の熱を、その熱のほとんどは燃焼行程の結果として発生し、さらなる熱は、シリンダライナ内のガスの圧縮、およびエンジン1010の可動部品間の摩擦によって発生される。エンジン1010内の温度は、冷却剤がエンジンブロック内および重要部品の周りの通路を通って循環し、過剰な熱を取り除き、熱によって生じるひずみを補正する冷却システムによって制御下に保持される。内燃エンジン冷却システムの設計および構成部品は、技術分野で公知であるので、エンジン内の冷却通路および冷却システム構成部品は、分かりやすくするために示されていない。
図66〜70は、本発明によって形成された往復動内燃エンジン2000の別の好ましい実施形態を示している。エンジン2000は、適切にディーゼル燃料源で動くようになっている4ピストン内燃エンジンである。図66を参照すると、内燃エンジン2000は、前述の好ましい実施形態と多くの態様で実質上類似であり、したがって、簡潔にするために、前述の好ましい実施形態から離れたエンジン2000の態様に詳細な説明を集中させることにする。
エンジン2000は、燃料噴射装置2002(図67参照)およびピストンライナ組立品2034(図67参照)の増設を含む。エンジン2000はまた、排気ガス内に存在する圧力と熱を使用可能なエネルギー、すなわち馬力に変換できるようになっている排気回収システム2004も含む。エンジン2000は、対になった排気逃し弁組立品2006を含み、各排気逃し弁組立品は排気逃し弁2008の動作を制御する機能がある。
図66〜70に示された好ましい実施形態においては、多くの構成部品がエンジン2000の内部または上の複数の場所に見られる。したがって、1つの構成部品しか詳細に説明しないことが多い。技術分野の当業者には明らかなように、実質上同一グループの構成部品の中の1つについての説明は、そのグループのすべての構成部品に適用される。
図66を参照しながら、今から排気ガス回収駆動システム2010をさらに詳細に説明する。排気ガス回収駆動システム2010は、出力をクランクカム2012(図67参照)からロータリバルブ2014(図67参照)へ移すことができるようになっている。クランクカム2012には、下部プーリー2014および上部プーリー2016が連結されている。下部および上部プーリー2014および2016から間隔を空けて第1および第2ロータリバルブドライブプーリー2018および2020が配置されている。
第1ベルト2022が下部プーリー2014と第1ロータリバルブドライブプーリー2018との間に延在する一方、第2ベルト2024は、第2ロータリバルブドライブプーリー2020との間に延在している。下部および上部プーリー2014および2016それぞれの直径は、第1および第2ロータリバルブドライブプーリー2018および2020の直径のちょうど半分である。したがって、第1および第2ロータリバルブドライブプーリー2018および2020の回転速度は、下部および上部プーリー2014および2016の回転速度の半分であり、また下部および上部プーリー2014および2016が連結されているクランクカム2012の回転速度の半分である。周知のカバープレート2030は、下部および上部プーリー2014および2016の下に配置されている。
例示の好ましい実施形態では、ベルトとプーリーを使った排気ガス回収駆動システム2010によってロータリバルブと連通しているクランクカム2012が示されているが、技術分野の当業者には明らかなように、クランクカム2012をロータリバルブと連通連結させる別のシステムが可能である。限定されない例として、ギア、チェーンなどは、クランクカムの動きをロータリバルブの動きに連係して機能するように使うことができる。交互に、(複数の)独立したドライブモータをロータリバルブの駆動に使うことにより、ロータリバルブの回転をクランクカム2012に物理的に連結する必要を無くすことができる。したがって、そのような機構もまた本発明の範囲内である。
また、エンジン2000の外側には、対になった外部排気マニホールド2026が連結されている。外部排気マニホールド2026それぞれは、適切に4排気ポート2027、各ピストン当たり2排気ポートを含む。各外部排気マニホールド2026は、また排気逃し弁2008(図70参照)と連通連結している排気逃し弁排気ガスポート2028を含む。エンジンの排気背圧を下げることが望ましくなったとき、排気逃し弁排気ガスポート2028によって、エンジン2000から排気ガスを排出することができる。エンジン2000の外側に配置された残りの構成部品は、前述の好ましい実施形態で説明した部品と実質上同一であり、したがって、簡潔にするためにここではこれ以上の説明はしない。
図67を参照すれば最もよくわかるとおり、エンジン2000は、4つのピストンライナ組立品2032を含む。ピストンライナ組立品2032それぞれは、ピストンライナ2036に連結されたベースプレート2034を含む。この説明を詳細にするために、ベースプレート2034は、エンジン2000のハウジング2068の一部分と考える。ピストンライナ2036は、ピストン2038を滑らかに収容できるようになっている内径と、シリンダ2040内に滑らかに収容されるようになっている外径とを有することができる。ピストンライナ2036は、ピストンライナ2036をピストン2036およびシリンダ2040に密封することができるようになっているシール2042を含む。同様に、ピストン2038は、ピストン2038をピストンライナ2036に密封することができるシール2046を含むことができる。
ピストン2038の内部には、公知の燃料噴射装置2002が配置される。燃料噴射装置2002は、前述の好ましい実施形態の点火プラグと同じ方法でピストン2038内に配置される。技術分野の当業者には明らかなように、燃料噴射装置2002は、燃焼サイクルの間、所定の間隔で、選択された量の加圧燃料を供給する公知の燃料システムへ連結することができる。燃料噴射装置2002は、放出された燃料を排気バルブ2048にまたはその上に向けるように適切に配置される。放出された燃料は、排気バルブ2048に衝突し、動作中、排気バルブを冷却することができる。
図67および70を参照すれば、排気回収システム2004をよく理解することができる。排気回収システム2004は、前述の排気回収駆動システム2010、排気ガス通路網、本好ましい実施形態においては4つである適切な数のロータリバルブ2014、および本好ましい実施形態においては4つである適切な数の排気ガス回収室2066を含む。
排気ガス通路網は、複数の燃焼室通路2056、回収室通路2058、排気ポート通路2060、回収バルブマニホールド2088、および排気逃し弁通路2062を含む。全体としては、燃焼室通路2056、回収バルブマニホールド2088、および排気逃し弁通路2062は、一括して内部排気マニホールド2087を形成する。燃焼室通路2056は、ロータリバルブ2014をシリンダ2040の燃焼室2064に流体連絡して連結する。回収室通路2058は、ロータリバルブ2014を一連の排気ガス回収室2066に流体連絡して連結する。排気ポート通路2060は、ロータリバルブ2014を排気ポート2027に流体連絡して連結する。排気逃し弁通路2062は、ロータリバルブ2014を対になった排気逃し弁2008に流体連絡して連結する。
内部排気マニホールド2087は、燃焼室2064に対応付けられた排気バルブ2048の開放時、一連の燃焼室2064からの排気ガスを収容する貯蔵所としての役割を果たしている。ロータリバルブ2014は、内部排気マニホールド2087内に封じ込められている排気ガスを貯蔵所から交互に選択的に引き込んだり排出したりする。さらに、ロータリバルブ2014は、燃焼サイクル中の選択された時機に、排気ガスを内部排気マニホールドから一連の排気ガス回収室2066へ選択的に導き、排気ガス回収室において、排気ガスは、第2膨張(第1膨張は燃焼室2064で受けている)を受ける。第2膨張の間、排気ガスに含まれている圧力と熱は、シリンダ2040の駆動に使われる。さらに、ロータリバルブ2014は、また、排気ガス回収室2066を排気ガスポート2027と選択的に連通させることによって、排気ガス回収室2066内に封じ込められている排気ガスを大気中に排出する制御も行う。
動作中、内部排気マニホールド2087は、排気逃し弁2008の動作によって選択された圧力に保持することができる。1つの好ましい実施形態において、内部排気マニホールド2087は、約40psiに保持されるが、技術分野の当業者には明らかなように、この圧力は、エンジン設計者が選択した任意の圧力または圧力範囲に保持することができる。
図70を参照しながら、今から典型的なロータリバルブ2014を説明する。ロータリバルブ2014は、エンジン2000のハウジング2068内に配置されている。ロータリバルブ2014は、全体として細長い円筒形構造である。ロータリバルブ2014のドライブシャフト2070は、ハウジング2068の外側へ延在している。第2ロータリバルブドライブプーリ2020は、ドライブシャフト2070に連結され、クランクカム2012(図67参照)の半分の速度でロータリバルブを回転させるために使われる。ドライブシャフト2070は、シール2074によってスリーブ2072に密封されている。対になっているベアリング2076の補助によって、ロータリバルブ2014の回転摩擦は低減されている。
2つのバルブプレート2078および2080は、同心円状にロータリバルブ2014の中心軸上に位置合わせされている。バルブプレート2078および2080は、全体として矩形状であり、バルブプレート2078および2080の外側表面2082は、図67ではっきり分かるように内側向き/凹面形状に曲がっている。その結果、バルブプレート2078および2080の幅は、バルブプレート2078および2080の外周部に対してロータリバルブ2014の中心軸へ向かって狭くなっている。シール2084は、バルブプレート2078および2080と、バルブプレート2078および2080に対応付けられた通路との間で排気ガスが流れないように防いでいる。上部バルブプレート2078(図70に示されている1つ)は、上部シリンダ2040A(図67参照)と流体連絡して、上部ロータリバルブ2014Aおよび2014B(図67参照)を形成している。下部バルブプレート2080(図70に示されている1つ)は、下部シリンダ2040B(図67参照)と流体連絡して、下部ロータリバルブ2014Cおよび2014D(図67参照)を形成している。バルブプレート2078および2080は、相互に45度の角度をつけて配置することができる。
図67を参照すると、排気ガス回収室2066は、シリンダ2040のそれぞれの与圧プレート2086の上方に配置されている。排気ガス回収室2066は、与圧プレート2086と、ピストンライナ組立品2032のベースプレート2034を含むハウジング2068とによって定義される容量を有する。排気ガス回収室2066の中へ排出された排気ガスは、与圧プレート上に作用し、それによって与圧プレート2086上に力が加えられ、さらに以下で詳細に説明するとおり、排気ガス回収室2066から遠くへシリンダ2040は押しやられる。
図66および70を参照しながら、排気逃し弁組立品2006をさらに詳細に説明する。排気逃し弁組立品2006は、排気ガスマニホールド2088に連結された排気逃し弁2008を含む。例示の好ましい実施形態においては、排気逃し弁2008は、公知のバタフライバルブであり、作動システム2090に連結されている。
作動システム2090は、圧力センサー2092に連結することができる。圧力センサー2092は、内部排気ガスマニホールド2087などの内部排気ガスマニホールド2087内に存在する排気ガスの圧力を検知し、排気ガスの圧力を表す信号を作動システム2090へ伝送できるようになっていてもよい。検知された圧力次第で、作動システム2090は、排気逃し弁2008を選択的に開閉し、内部排気ガスマニホールド2087内の排気ガスの圧力を制御することができる。たとえば、内部排気ガスマニホールド2087内の排気ガス圧力が40psiなどの所定値を超えたとき、作動システム2090は、排気逃し弁2008を開放し、内部排気ガスマニホールド2087から排気ガスを放出させることができる。
交互に、作動システム2090は、毎分回転数(RPM)センサー2094に連結され、RPMセンサー2094は、エンジンの動作速度を検知し、エンジンの動作速度を表す信号を作動システム2090へ伝送できるようになっていてもよい。検知されたエンジン動作速度次第で、作動システム2090は、排気逃し弁2008を選択的に開閉し、内部排気ガスマニホールド2087内の排気ガスの圧力を制御することができる。
交互に、作動システム2090は、エンジンの出力設定を検知し、出力設定を表す信号を作動システム2090へ伝送できるようになっている出力設定センサー2096に連結されてもよい。検知されたエンジン出力設定次第で、作動システム2090は、排気逃し弁2008を選択的に開閉し、内部排気ガスマニホールド2087内の排気ガスの圧力を制御することができる。
技術分野の当業者には明らかなように、センサー2092、2094、および2096は、個別にまたはセンサー2092、2094、および2096のどれかの組み合わせで、作動システム2090に連結することができる。1つの好ましい実施形態においては、RPMセンサー2094と出力設定センサー2096が組み合わされて作動システム2090に連結されている。作動システム2090は、排気逃し弁2008の設定を、したがって、センサー2094および2096の両方から受けた信号に基づくエンジンの排気背圧を制御する。
エンジンは、動力測定して、排気逃し弁2008の好ましい位置を決定することが望ましい。さらに詳細に述べれば、エンジンは、一連の出力設定およびRPMと、その一連の出力設定およびRPMの中の各点において決定された排気逃し弁2008の最適位置とで作動する。さらに全動作条件における排気逃し弁2008の最適位置を表すデータセットは、作動システム2090内で作成保存され、使用中の排気逃し弁2008の位置制御に使われる。技術分野の当業者には明らかなように、この種の試験様式は、個別のセンサー2092、2094、または2096、あるいはセンサー2092、2094、および/または2096からの信号のあらゆる組み合わせに対する排気逃し弁2008の最適位置の相互関係を示すために適している。
図68を参照しながら、吸気システム2098に的を絞って詳細に説明する。吸気システム2098は、複数のリード2102を備えたリード弁2100を含む。燃焼サイクルの吸気部分の間、与圧プレート2086が吸気室2116中をさっと動くことによって作り出される低圧によって、吸気室2116内に低圧/真空状態が作り出される。真空によって空気は強制的にリード弁2100を通り、リード2102を各リード弁座から持ち上げるので、空気は吸気室2116内に流入することができる。真空がなくなると、リード2102が元に戻るので、リード弁2100からの流出は防止される。
今から図67に戻り、圧縮比制御システム2200を説明する。圧縮比制御システム2200は、前述の好ましい実施形態で説明した圧縮比および出力設定制御システムと実質上同一である。図66〜70の好ましい実施形態においては、ピストン2038の動きによって、吸気ポート2114開口継続時間または吸気ポート2114の面積は著しく変化されない。したがって、エンジン2000の圧縮比は、吸気ポート2114に著しい影響を与えることなく調節することができる。したがって、エンジン2000の圧縮比は、エンジンの出力設定に著しい影響を与えることなく調節することができる。
さらに詳細に述べれば、ピストン2038がピストンそれぞれのピストンライナ2036内でクランクカム2012に向かって内方へ移動されたとき、ピストンライナ2036によってピストン2038は、シリンダ2040から遠くずらされているので、吸気ポート2114は、継続時間または開口部の大きさには実質上影響を受けることはない。前述の好ましい実施形態においては、ピストンは、圧縮比および出力設定制御システムによって移動されたとき、直接的に燃焼室の壁に沿ってすべり、そのため、ピストンの位置を調節することによって部分的にまたは完全に吸気ポートが閉止される可能性があった。本好ましい実施形態においては、ピストンは、燃焼室2064の壁からライナ2036によってずらされているので、ピストン2038の動きは、吸気ポート2114の開口継続時間にも吸気ポートの面積にも実質上ほとんど影響を与えない。したがって、吸気ポート2114は、エンジンの全出力設定および圧縮比の間、全開位置のままになる。エンジン2000の出力設定は、動作中の燃焼室2064の中に噴射される燃料の量によって決まる。さらに詳細に述べれば、噴射される燃料が多いほど、出力設定は高くなり、噴射される燃料が少ないほど、出力設定は低くなる。
例示の好ましい実施形態においては、圧縮比制御システム2200は、エンジン2000の動作速度/RPMおよび/または出力設定に基づいて自動的にエンジン2000の圧縮比を調整できるようにすることができる。1つの好ましい実施形態においては、圧縮比制御システムの動作速度/RPMが第1の選択されたRPMよりも下降したとき、エンジン2000の圧縮比を増大させるようになっている。さらに、第1の選択されたRPM以上である第2の選択されたRPMを上回ってエンジンの動作速度/RPMが上昇したとき、圧縮比制御システム2200は、エンジン2000の圧縮比を増大させるようにすることができる。
さらに詳細に述べれば、圧縮比を調整することによって、各燃焼室内に一定の圧縮圧を保持することができる。圧縮圧は吸気速度に作用される。そして次に、吸気速度はエンジンのRPMに作用される。それに加えて、低RPMにおいては、吸気速度が低すぎるため、燃焼室を最適に満たすことができなくなるという結果になり、それだけ圧縮圧は最適値以下に低下する。高RPMにおいては、吸気速度が高すぎるため、燃焼室を最適に満たすことができなくなるという結果になり、それだけ圧縮圧は最適値以下に低下する。したがって、一定の圧縮圧を保持するために、圧縮比制御システム2200を選択的に使うことによって、エンジンの圧縮比を変えることができる。例示の好ましい実施形態においては、吸気速度が最適吸気速度から(上昇するか下降するか)それるにつれて、圧縮比が選択的にかつ徐々に増大されることが望ましい。
技術分野の当業者には明らかなように、出力設定およびRPMのさまざまな組み合わせに対する好ましい圧縮比は、動力計などでの試験または流量の机上試験によって容易に決定することができる。さらに、技術分野の当業者の技量と知識の範囲内において、さまざまなエンジンRPMおよび出力設定に対する好ましい圧縮比を決定し、その圧縮比に応じて圧縮比制御システム2200を作動させて、好ましい圧縮圧を得ることができる位置へピストン2038を動かすことができる。さらに、技術分野の当業者には明らかなように、エンジン2000の出力設定を検知し、エンジンの検知された動作速度/RPMと個別にまたは組み合わせて使うことによって、好ましい圧縮比を決定することができる。
エンジン2000の構成部品の上記の説明に照らし合わせて、エンジン2000の動作を説明する。図67を参照すると、第1ピストン2038Aに対して上死点(TDC)位置にあり、第2ピストン2038Bに対して下死点(BDC)位置にある第1シリンダ2040Aが示されている。第2シリンダ2040B(想像線で示す)は、第3ピストン2038Cおよび第4ピストン2038Dから等距離の中間位置に示されている。サイクル中のこの時点においては、ディーゼル燃料は、シリンダ2040Aと第1ピストン2038Aとの間に配置された燃焼室2064Aの中へ噴射される。圧縮空気の熱によって、ディーゼル燃料は発火し、燃焼室2064A内で燃料と空気の混合気が急速な膨張を引き起こす。燃料と空気の混合気の急速な膨張によって、シリンダ2040Aは矢印2108の方向へ動かされる。
シリンダ2040Aが矢印2108の方向へ動かされるにつれて、ロータリバルブ2014は、反時計方向に回転しているクランクカム2012の半分の速度で時計方向に回転する。排気バルブカム2110によって、第2排気バルブ2048Bは全開位置に動かされている。排気ガス2112は、燃焼室2064Bから飛び出し、内部排気マニホールド2087を加圧する。図67に示された位置においては、燃焼室2064Bを出た排気ガス2112は、燃焼室通路2056Bを通って回収バルブマニホールド2088Bの中へ流入する。排気ガス2112は、回収バルブマニホールド2088Bを通って、ロータリバルブ2014Bの真下に配置されており、かつ図67において想像線で示されているロータリバルブ2014Dへ下向きに(紙の中へ)流れる。ロータリバルブ2014Dは、燃焼室2064Bから出た排気ガス2112をピストン2038Dに対応付けられた排気ガス回収室2066Dの中へ向けるように構成されている。排気ガスが排気ガス回収室2066D内で膨張することによって、シリンダ2040Bはピストン2038Cの方へ移動される。
排気ガス回収室2066B内に存在する排気ガスをエンジン2000から排出することができるように、排気ガス回収室2066Bが排気ポート通路2060Bと流体連絡に置かれるように回転される直前のロータリバルブ2014Bが示されている。
燃焼室通路2056Aが回収室通路2058Aと流体連絡に置かれるように回転される直前のロータリバルブ2014Aが示されている。ロータリバルブ2014Aがさらに時計方向に回転された後、燃焼室通路2056Bの中に流入する排気ガス2112は、流れが燃焼室通路2056Aの中に向け直されるにつれて、減少することになる。さらに詳細に述べれば、ロータリバルブ2014Aがさらに時計方向に回転するにつれて、排気ガス2112は、排気ガス回収室2066Aの中に流れ込み、排気ガス回収室2066Aは、高圧排気ガス2112で充満される。高圧排気ガス2112は、与圧プレート2086A上に作用し、その結果シリンダ2040Aは、矢印2108の方向へ動かされる。シリンダ2040Aが矢印2108の方向へ動かされるにつれて、与圧プレート2086Aは、吸気室2116A中をさっと動き、その結果吸気室2116A内に存在する空気は、圧縮(過給)されることになる。
図67に示されるとおり、ロータリバルブ2014Aの真下に配置されており、かつ図67において想像線で示されているロータリバルブ2014Cは、排気排出位置にある状態が示されている。さらに詳細に述べれば、排気ガス回収室2066Cが排気ガスポート2027に流体連絡して連結されているロータリバルブ2014Cが示されており、それによって排気ガス回収室2066C内に存在する排気ガスはエンジンから排出可能になる。
さらに、図67を参照すると、シリンダ2040Aは、ピストン2038Bに対してBDC位置に置かれている。このBDC位置においては、吸気ポート2114Bは全開位置になり、与圧プレート2086Bによって加圧された新鮮な空気2118が燃焼室2064B内に給気流入する。前述のとおり、排気バルブ2048Bもまた、全開位置になり、燃焼室2064B内に存在する排気ガスは、燃焼室2064Bを出て、内部排気ガスマニホールド2087の加圧を開始することができる。
シリンダ2040Aが図68に示された構成になるまで矢印2108の方向に動くにつれて、吸気ポート2114Bはピストンライナ2036Bによって覆われ/閉止される。排気バルブ2048Bが閉止し、燃焼室2064B内の吸気空気は、燃焼室2064Bの容量が減少するにつれて、次第に加圧され始める。与圧プレート2086Bが吸気室2116B中をさっと動き、それによって吸気室2116B内に真空の発生が引き起こされる。この真空によって、リード弁2100Bのリード2102は、それらのリード弁シートから持ち上げられ、その結果吸気空気は吸気室2116Bの中へ急速に流入することが可能になる。
図68において最もよく分かるとおり、シリンダ2040Aは、等距離または中間点位置近くにあり、この位置において、シリンダ2040Aは、各ピストン2038Aおよび2038Bからほぼ同じ距離離れている。燃焼生成物は、燃焼室2064A内で急速に膨張するので、シリンダ2040Aは、矢印2108の方向へ強制的に押しやられる。さらに、排気ガスは、排気ガス回収室2066A内でも膨張するので、シリンダ2040Aは、矢印2108の方向へ強制的に押しやられる。
シリンダ2040Aが矢印2108の方向へ強制的に押しやられるにつれて、与圧プレート2086Aは、吸気室2116A中をさっと動き、吸気室内に存在する吸気空気が圧縮される。与圧プレート2086Aによって吸気空気が加圧されることによって、リード弁2100Aのリード2102はリード弁座にぴったりはまり、実質上吸気室2116Aは外部へのガスの流れから密封される。リード2102を一時的に弁座にぴったりはめることによって、吸気室2116Aを圧力容器に形成することができ、シリンダ2040Aの動きによって、吸気空気を過給し、後に燃焼室2064Aの中に噴射することができる。
今からピストン2038Bに注目すると、燃焼室2064Bの容量は、急速に減少する。排気バルブ2048Bおよび吸気ポート2114B(図67参照)は、閉止位置にあり、燃焼室2064Bは、実質上密封された圧力容器になる。燃焼室2064Bの容量が減少することによって、実質上その燃焼室内に封じ込められた吸気空気の圧力と温度の上昇が引き起こされる。ロータリバルブ2014Bが回転し、それによって、回収室通路2058Bは、排気ポート通路2060Bと流体連絡される。
ロータリバルブ2014Bが例示の位置にある場合、排気ガス2113は、排気ガス回収室2066Bから外部大気へ排出可能になる。排気ガス2113は、排気ガス2113の圧力と温度が著しく低下する点まで膨張させてしまうことが望ましい。1つの好ましい実施形態においては、排気ガス2113は、約3psiといった大気圧よりわずかに上の圧力で排出される。
図69を参照すると、シリンダ2040Aは、実質上中間位置から矢印2108の方向に図69に示された位置まで移動している。図69に示された構成においては、第1ピストン2038Aに対してはBDC位置に、また第2ピストン2038Bに対してはTDC位置にあるシリンダ2040Aが示されている。
ピストン2038Aに注目すると、掃気工程が始まったところである。排気バルブ2048Aは、開位置にあり、高圧排気ガスは、内部排気ガスマニホールド2087に入ることができる。シリンダ2040Aは、十分矢印2108の方向へ往復直線運動して吸気ポート2114Aをあらわにし、過給された吸気空気は、吸気室2116Aから燃焼室2064Aの中に急速に入り込むことができる。クランクカム2112が図69に示された位置から反時計方向にさらに回転するにつれて、シリンダ2040Aは、矢印2108の方向の動きから矢印2108に対向する方向の動きへと方向を変えることになる。
シリンダ2040Aが矢印2108に対向する方向に移動するにつれて、吸気ポート2114Aは、ピストンライナ2036Aによって閉じられ/おおわれ、かつ排気バルブ2048Aは、弁座にぴったりはまり、実質上燃焼室2064Aは密封されることになり、それによって燃焼サイクルの圧縮段階が開始される。ロータリバルブ2014Aが時計方向に回転し、排気ガス回収室2066A内に存在する排気ガスは、回収室通路2058Aおよび排気ポート通路2060Aを通って大気へ逃げることができるようになる。与圧プレート2086Aは、吸気室2116A中をさっと動き、新鮮な空気を吸気室2116Aの中に引き込むことになる。
ピストン2038Bに注目すると、膨張行程が始まったところである。燃料噴射装置2002が選択された量のディーゼル燃料を燃焼室2064Bの中に噴射する。燃料噴射装置2002は、ディーゼル燃料が少なくとも部分的に排気バルブ2048B上に当るように向けられているので、排気バルブは冷却される。燃焼室2064B内に存在する高圧および高温の吸気ガスの中に燃料を投入することによって、ディーゼル燃料の発火が発生し、その結果燃焼室2064B内に存在する燃料と空気の混合気の急速な膨張が引き起こされる。燃料と空気の混合気が急速に膨張することによって、シリンダ2040Aは、矢印2108に対向する方向に動かされる。
シリンダ2040Aが矢印2108に対向する方向に動かされるにつれて、ロータリバルブ2014Bは、時計方向に回転され、第1ピストン2038Aの燃焼室2064A内および内部排気ガスマニホールド2087内にある排気ガスは、第2ピストン2038Bの排気ガス回収室2066Bに入ることができる。燃焼室2064B内に存在する燃料と空気の混合気の膨張と、排気ガス回収室2066B内の排気ガスの膨張とによって、シリンダ2040Aは、矢印2108に対向する方向へ強制的に押しやられる。吸気室2116B内に存在する吸気空気は、与圧プレート2086Bが吸気室2116B中をさっと動くことによって、圧縮され、吸気空気は過給され、後に燃焼室2064Bの中に噴射される。
熱力学サイクルを完結するためには、シリンダ2040Aは、図68に示された位置まで矢印2108に対向する方向へ動き続け、さらに、熱力学サイクルが完結している図67に示された位置に到達するまで矢印2108に対向する方向へ動き続ける。図67に戻ると、技術分野の当業者には明らかなように、前述の工程が動作中無限ループ状態で続く。技術分野の当業者には明らかなように、第2シリンダ2040Bは、第1シリンダ2040Aのための説明と実質上同じ態様で動作するが、第1シリンダ2040Aと90度位相がずれている。さらに詳細に述べれば、第1シリンダ2040Aがピストン2038Aおよび2038Bに対してTDCおよびBDC位置にあるとき、第2シリンダ2040Bは、ピストン2038Cと2038Dとの間の中間位置にある。
図71を参照すると、本発明によって形成された往復動内燃エンジンの別の好ましい実施形態の断面図が提供されている。別の好ましい実施形態は、ガソリンで動作するように変更された図66〜70のディーゼル往復動内燃エンジンである。図66〜70のディーゼル往復動内燃エンジンをガソリンで動作するように改造するためには、いくつかの段階が実行されるであろう。図67を参照すると、シリンダ2040、ピストン2038、ピストンライナ組立品2032、および圧縮比制御システム2200が取り除かれている。さらに、前の好ましい実施形態には存在していなかったピストンライナ組立品2032を除いて、これらの取り除かれた要素は、図18〜65からの対応する要素によって置き換えが可能である。
さらに、エンジン3000は、2〜3の例外を除いて、図66〜70に示された好ましい実施形態と実質上類似の態様で動作させることができる。図67の燃料噴射装置2002は、点火プラグ3002に置き換えられる。ガソリンは、燃焼室3064への燃料直接放出とは対照的に、技術分野で公知のとおり気化器または燃料噴射システムを通って入ってくる吸気空気内に混入させることができる。図71に示された好ましい実施形態の圧縮比は、図66〜70に示された好ましい実施形態に対して引き下げることによって、技術分野で公知のとおり、ガソリンの使用に合わせることが望ましい。
さらに、図66〜70の好ましい実施形態ピストンライナ組立品2032は、図71のガソリンエンジン内では削除されているので、圧縮比および出力設定制御機構3200によるピストン3038の動きによって、エンジン3000の圧縮比と出力設定は同時に調節される。エンジン3000のすべての構成部品については、前述しており、またエンジン3000の動作については、前述した好ましい実施形態の動作説明から技術分野の当業者には明らかである以上、図71の好ましい実施形態の構成部品および動作については、簡略のためにこれ以上本明細書においては説明しないものとする。
本発明の往復動内燃エンジンの例示の好ましい実施形態は、また潤滑システムを含む。潤滑システムによって、エンジンの可動部品間の摩擦および摩耗が低減される。内燃エンジン潤滑システムの設計および構成部品は、技術分野の公知であるので、分かりやすくするために、エンジン内のオイル経路および潤滑システム構成部品は示さない。
例示の好ましい実施形態は、ガソリンベースの燃料源用またはディーゼルベースの燃料源用として説明されているが、技術分野の当業者には明らかなように、例示の好ましい実施形態は、ガソリン用と説明されていてもディーゼルを、またガソリン用と説明されていてもディーゼルを使うことができるように変更が可能である。たとえば、ガソリン用と説明されている上の好ましい実施形態の場合、エンジンは、たとえば、点火プラグを燃料噴射装置に置き換えることによって、また、エンジンの圧縮比を上昇させて、圧縮燃焼ガスの温度を使用検討中のディーゼル燃料の発火温度より高い温度にまで上昇させることによって、ディーゼルで動作するように変更することができる。
技術分野の当業者には明らかなように、気化器、燃料噴射装置、またはターボチャージャーと、コンプレッサと、ブロアとを増設使用するすべての公知システムは、本発明によって形成されたエンジンに使用することができる。また、技術分野で既知の点火システム、潤滑システム、冷却システム、排気ガス制御システム、およびエンジン関連システムのすべての公知機種は、本発明によって形成されたエンジン用に適しており、したがって、本発明の範囲内にある。
また、技術分野の当業者には明らかなように、例示の好ましい実施形態は、本発明の4シリンダ変形体を示しているが、別の数のシリンダを有するエンジンが本発明を用いた使用に適しており、したがって、本発明の範囲内にある。また、4ストロークエンジンも本発明の範囲内にある。
例示の好ましい実施形態は、クランクカムの半分の速度で回転する対になったロータリバルブを示しているが、技術分野の当業者には明らかなように、ロータリバルブは、クランクカムの半分の速度より大きいまたは小さい速度で回転することができる。さらに、ロータリバルブは、エンジンの動作中排気ガスを誘導することができることが示されているが、技術分野の当業者には明らかなように、別の排気ガス誘導装置が本発明の精神と範囲内において、かつその精神と範囲を用いた使用に適している。
本発明の例示の好ましい実施形態を図示し説明してきたが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その好ましい実施形態内でさまざまな変更が可能であることは明らかである。
排他的所有権または特権が請求されている本発明の好ましい実施形態は、添付の請求の範囲のとおり定義される。