JP3089577B2 - エンジンの過給装置 - Google Patents

エンジンの過給装置

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JP3089577B2
JP3089577B2 JP05021688A JP2168893A JP3089577B2 JP 3089577 B2 JP3089577 B2 JP 3089577B2 JP 05021688 A JP05021688 A JP 05021688A JP 2168893 A JP2168893 A JP 2168893A JP 3089577 B2 JP3089577 B2 JP 3089577B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クランク室内の容積変
化を利用して過給を行うエンジンの過給装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、クランク室を圧縮室として過給を
行うクランクケース過給方式の過給装置としては、エン
ジンのピストンを可動子としかつクランク室を圧縮室と
して容積型圧縮機を形成し、この圧縮機によって吸気を
吸気ポート側の吸気通路内に圧送するものがある。この
種の過給装置は、ピストンが上昇するときにクランク室
内に混合気を吸入し、ピストンが下降するときに吸気ポ
ート側の吸気通路に前記混合気を押出す構造になってい
た。
【0003】すなわち、クランク軸が1回転する間にそ
のエンジンの行程容積分だけ過給が行われることにな
り、このクランクケース過給方式の過給装置を4サイク
ルエンジンに適用すると、吸気行程で過給される量は2
倍となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上述したよ
うに構成された従来のクランクケース過給方式の過給装
置では、実際には数十パーセント程度しかエンジン出力
を向上させることができなかった。これは、クランク室
内の無駄容積や通路抵抗が大きいことや、過給される混
合気がエンジンの熱によって膨張して充填効率が低下す
ることに起因していた。
【0005】また、過給性能を高めてエンジン出力を高
めるには、クランク室内の無駄容積を小さくして一次圧
縮比を大きくすればよい。なお、この一次圧縮比は、ピ
ストンが下死点に位置しているときのケース容積Vcに
行程容積Vhを加算し、この加算値を前記Vcで除して求
められる。しかし、前記ケース容積Vcとしてはクラン
ク軸のウェブ間の容積が大きく占めているためそれを小
さくするにも限度があった。
【0006】さらに、クランクケース過給方式の過給装
置としては、上述したようにピストンを可動子とする他
に、特開平2−136513号公報に示されたようにク
ランクケース内にキニー型真空ポンプと同等の圧縮機を
形成したものもあった。
【0007】この公報に開示された過給装置は、クラン
クケース内にロータ室を設けると共に、このロータ室
に、クランク軸によって駆動されるロータが摺動自在に
装填されていた。そして、クランク軸が回転することに
よりロータが回動しつつ揺動して振り子運動を行い、ロ
ータとロータ室の内面との間に形成された圧縮室の容積
が変わることによって吸気が蓄圧室に圧送される構造に
なっていた。
【0008】しかしながら、このようにロータを用いて
吸気を圧送する構成を採ると、クランク軸にロータを連
結する構造が複雑になると共に、吸込側通路と吐出側通
路を閉塞するためのバルブをクランクケースに設けなけ
ればならない。このため、構造が複雑になると共に部品
点数が多くなってしまう。
【0009】本発明は上述したような問題点を解消する
ためになされたもので、部品点数が増えたり構造が複雑
になったりするのを抑えつつ一次圧縮比を大きくしてク
ランクケース過給の能力を大幅に増加させることを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエンジンの
過給装置は、クランクケースにコンロッドが摺接する内
周壁を形成し、上死点近辺を除いたクランク角度におい
てコンロッドによってクランクケース内を2つの気室に
仕切る構造とし、これらの気室のうち一方の気室を新気
導入部に連通させると共に、他方の気室を吸気通路を介
して燃焼室に連通させ、この燃焼室に連通された気室を
圧縮室としかつコンロッドを可動子とする容積型圧縮機
を形成してなり、前記吸気通路の上流端をクランクウエ
ブと対向する位置に開口させてクランクウエブによって
塞ぐ構造とし、このクランクウエブの外周部におけるコ
ンロッドが圧縮行程の終期にあるときに前記開口と対応
する部位に、前記圧縮室と吸気通路とを連通する切欠き
を形成したものである。
【0011】
【作用】クランク軸が1回転する毎にピストンの行程容
積とコンロッド収容部の容積分だけ新気が燃焼室に圧送
されることになるので、一次圧縮比を大きくすることが
できる。また、本発明に係る過給装置は、エンジンを構
成する部材だけで形成できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図15
によって詳細に説明する。図1は本発明に係る過給装置
が設けられた4サイクルエンジンの断面図、図2は図1
におけるII−II線断面図、図3は本発明に係る過給装置
に使用するクランク軸の概略構成を示す斜視図、図4は
同じくコンロッドの概略構成を示す斜視図、図5は同じ
くピストンの概略構成を示す斜視図、図6は同じくエン
ジンボディの概略構成を示す斜視図で、同図はエンジン
ボディを図2中のVI−VI線で破断した状態を示す。図7
は本発明に係る過給装置の概略構成を示す斜視図であ
る。
【0013】図8〜図15は本発明に係る過給装置の動
作を説明するための断面図で、図8はクランク軸が下死
点にあるときの状態を示し、図9はクランク軸が下死点
から約45度回った状態を示し、図10は90度回った
状態を示し、図11は約135度回った状態を示し、図
12は180度回った状態を示し、図13は約225度
回った状態を示し、図14は270度回った状態を示
し、図15は約315度回った状態を示す。
【0014】これらの図において、1は本発明に係る過
給装置が設けられた4サイクルエンジン(以下、単にエ
ンジンという)で、本実施例では理解し易いように構造
が単純な単気筒型のものを示す。このエンジン1は、ク
ランク軸2を回転自在に支持する下部ケース3aおよび
上部ケース3bとからなるクランクケース3と、ピスト
ン4が嵌挿されるシリンダ孔5を有し前記クランクケー
ス3上に固着されたシリンダブロック6と、前記クラン
ク軸2に前記ピストン4を連結するコンロッド7と、前
記シリンダブロック6上に固着されたシリンダヘッド8
等とから構成されている。
【0015】また、前記シリンダヘッド8には従来周知
の動弁機構が設けられている。すなわち、燃焼室9に開
口する吸気ポート10および排気ポート11が吸気弁1
2および排気弁13によってそれぞれ開閉される構造に
なっている。吸気ポート10における吸気流の上流側開
口端は、このエンジン1に隣接して設けられた吸気管1
4に連通されている。また、排気ポート11における排
気流の下流側開口端は、不図示の排気管が接続されて消
音器を介して大気に連通される構造になっている。前記
吸気管14に設けられた符号15で示すものは燃料供給
装置である。この燃料供給装置15は、従来周知の燃料
噴射装置や、燃料圧送ポンプを備えた気化器である。
【0016】16は前記吸気弁12および排気弁13を
各々の開閉時期通りに開閉させるためのカム軸で、この
カム軸16はシリンダヘッド8に回転自在に支持される
と共に、不図示の動力伝達手段を介してクランク軸2に
連結されている。
【0017】前記クランク軸2は、図3に示すように、
円板状に形成された一対のクランクウエブ17,17を
クランクピン18を介して連結して形成されている。2
aはクランクケース3に支持されるジャーナル部であ
る。そして、両クランクウエブ17は、互いに対向する
面(コンロッド側の端面)が平坦に形成され、後述する
コンロッド7が両クランクウエブ17どうしの間に介入
できる寸法をもって離間している。
【0018】また、両クランクウエブ17の外周部には
切欠き17aがそれぞれ形成されている。これらの切欠
き17a,17aは、両クランクウエブ17で同じ位置
に形成され、クランクウエブ17におけるコンロッド側
の端面と外周面とに開口している。そして、これらの切
欠き17aの形成位置はクランクピン18よりクランク
軸2の回転方向前側とされている。
【0019】このクランク軸2にピストン4を連結する
コンロッド7は、図4に示すように細長い板状に形成さ
れており、クランク軸2の軸方向を指向する端面を平坦
に形成することによってその面にシール面7aが設けら
れている。また、このコンロッド7における前記クラン
クピン18が貫通する大端部と、ピストンピン19が貫
通する小端部には、各々の外周面を円弧状に形成するこ
とによってシール面7b,7cが設けられている。さら
に、これらのシール面7b,7cに一連に形成されたコ
ンロッド側面7dは直線状に形成されている。
【0020】前記ピストン4は、図5に示すように形成
され、スカート部に開口するコンロッド挿入用凹部が設
けられている。この凹部は、コンロッド7の小端部が摺
動自在に嵌入するように構成されており、コンロッド7
のクランク軸方向端面のシール面7aが摺接する平坦面
からなる摺接面4aと、小端部外周面のシール面7cが
摺接する凹曲面からなる周壁面4bと、この周壁面4b
に連なる平坦面からなる側壁4cとが形成されている。
図5中4dはピストンピン19が嵌入されるピストンピ
ン孔である。
【0021】上述したように形成されたクランク軸2,
コンロッド7およびピストン4は、従来のエンジンと同
様に、コンロッド7の大端部をクランクピン18を介し
てクランク軸2のクランクウエブ17に連結すると共
に、コンロッド7の小端部をピストンピン19を介して
ピストン4に連結することによって組立てられる。この
クランク軸組立体では、コンロッド7のクランク軸方向
端面のシール面7aがクランク軸2のクランクウエブ1
7とピストン4の摺接面4aに摺接し、コンロッド7の
小端部外周面のシール面7cがピストン4の周壁面4b
に摺接することになる。
【0022】前記クランクケース3とシリンダブロック
6との組立体からなるエンジンボディ20には、図6に
示すように、クランク軸2のクランクウエブ17が回転
自在に嵌入する円形凹部21と、シリンダ孔5に連通さ
れかつコンロッド7が移動する空間となるコンロッド収
容部22と、このコンロッド収容部22に一連に設けら
れてコンロッド収容部22とエンジン外とを連通する吸
入通路23と、前記円形凹部21の周壁面とエンジンボ
ディ側面とに開口し円形凹部21内とエンジン外とを連
通する吐出通路24とが一連に形成されている。前記円
形凹部21の内径および深さ寸法は、クランクウエブ1
7の外径および厚み寸法より僅かに大きく設定され、円
形凹部21内にクランクウエブ17が微小間隙をおいて
挿入されるように構成されている。
【0023】図6中25はクランク軸2のジャーナル部
2aが挿通される軸受孔、図1中26は空気吸込管で、
この空気吸込管26は前記吸入通路23に嵌入されてク
ランクケース3に固着されている。
【0024】前記コンロッド収容部22の側壁22a
は、前記円形凹部21に前記クランク軸組立体のクラン
ク軸2を装着させてピストン4を往復動作させたときの
コンロッド7の外縁部分の移動軌跡と略対応するように
形成されている。そして、このコンロッド収容部22を
エンジンボディ20に形成することによって、エンジン
ボディ20にはコンロッド7のクランク軸方向端面のシ
ール面7aが摺接する平坦面からなる摺接面27と、コ
ンロッド7の大端部外周面のシール面7bが摺接する凹
曲面からなる周壁面28とが形成されている。
【0025】すなわち、エンジンボディ20にクランク
軸組立体を装着すると、ピストン4が下死点に位置する
ときにはエンジンボディ20内はコンロッド7およびピ
ストン4によって2室に仕切られ、図1に示すように、
吸入通路23側の気室Aと吐出通路24側の気室Bとが
設けられることになる。
【0026】前記吐出通路24は、図2に示すように二
股状に形成されており、一端が円形凹部21内に2つの
開口24a,24aを介して連通されると共に、他端が
クランクケース3の側面に開口している。そして、この
吐出通路24は、クランクケース3に取付けられた連通
管29を介して燃料供給装置15の吸気入口に連通され
ている。前記2つの開口24a,24aは、クランク軸
2に2つ設けられたクランクウエブ17の各々の外周面
と対向するようにクランク軸2の軸方向に並べて形成さ
れている。その形成位置は、円形凹部21の周方向に対
して同じ位置であって、図6に示すように、コンロッド
収容部22における側壁22aのクランク軸側端部と隣
接する位置とされている。
【0027】このように吐出通路24が形成されたエン
ジンボディ20にクランク軸組立体を装着させてクラン
ク軸2を回すと、吐出通路24はクランク軸2のクラン
クウエブ17によって開閉されることになる。すなわ
ち、図7に示すようにクランクウエブ17の外周面が開
口24aに対向している状態では、吐出通路24はクラ
ンクウエブ17によって閉塞される。そして、クランク
軸2が回って図1に示したようにクランクウエブ17の
切欠き17aが開口24aに対向するようになると、吐
出通路24はこの切欠き17aを介して気室B側に連通
するようになる。このときには、気室Bと燃料供給手段
15とが切欠き17a,吐出通路24および連通管29
を介して連通される。
【0028】このため、クランクウエブ17が実質的に
ロータリバルブとなり、クランクウエブ17によって吐
出通路24が開閉されることになる。
【0029】前記吐出通路24を燃料供給手段15に連
通する連通管29は、図1に示すように、燃料供給手段
15と吐出通路24のエンジン側部開口との間にバイパ
ス管30が設けられている。このバイパス管30は、連
通管29内とエンジンボディ20内の吸入通路23とを
開閉弁31を介して連通する構造になっている。また、
前記開閉弁31はエンジン1の負荷が予め定めた値より
小さいときに開き、大きいときに閉じるように構成され
ている。
【0030】上述したように構成されたエンジン1で
は、エンジンボディ20にクランク軸組立体を装着させ
てクランク軸2を回転させると、ピストン4がシリンダ
孔5内を往復すると共に、コンロッド7がコンロッド収
容部22内で揺動しつつ上下動して振り子運動するよう
になる。このときのコンロッド7の大端部中心が描く回
転軌跡を図1中に二点鎖線Cで示す。
【0031】そして、ピストン4が下死点近傍に位置す
るときに図1中に矢印で示すようクランク軸2が時計回
りに回転することによって、気室Bは容積が次第に減少
してその内部の空気が圧縮される。このとき、図1に示
すようにクランクウエブ17の切欠き17aが吐出通路
24の開口24aと対向するようになると、圧縮されて
いた気室Bの空気は吐出通路24へ押し出されると共
に、気室Aは容積が次第に増加してその内部には空気吸
込管26から新気が導入されるようになる。また、吐出
通路24に圧送された空気は、燃料供給手段15によっ
て燃料と混合され、吸気弁12が開くと同時に燃焼室9
内に押し込まれる。
【0032】すなわち、エンジン1内に、コンロッド収
容部22を圧縮室としかつピストン4およびコンロッド
7を可動子とし、クランクウエブ17を実質的に圧縮空
気逆流防止用ロータリバルブとして構成された積型圧縮
機が形成され、この圧縮機によって過給を行うことがで
きる。
【0033】ここで、上述したように構成された過給装
置の動作を図8ないし図15によってさらに詳細に説明
する。図8〜図15は、エンジン1の圧縮行程が開始さ
れるときから爆発行程が終了するまでの一連の動作を示
している。なお、エンジン1の負荷が予め定めた値より
大きく、開閉弁31が閉じている場合について説明す
る。
【0034】先ず、図8に示した状態からクランク軸2
が時計回りに回転すると、図9に示したように気室Bが
狭められると共に気室Aが拡張される。このときには、
コンロッド7の大端部と小端部のシール面7b,7cが
エンジンボディ20の周壁面28とピストン4の周壁面
4bにそれぞれ摺接しており、コンロッド7のクランク
軸方向端面のシール面7aがクランク軸2のクランクウ
エブ17,エンジンボディ20の摺接面27およびピス
トン4の摺接面4aに摺接しているために、気室Aと気
室Bとが連通されることはない。
【0035】さらに、図9に示したようにクランク軸2
が回転すると、クランクウエブ17に形成された切欠き
17aが吐出通路24の開口24aに対向するようにな
り、気室Bが切欠き17aを介して吐出通路24に連通
されることになる。このため、気室Bが狭められること
によって圧縮されたその部分の空気が切欠き17aおよ
び吐出通路24を通って連通管29へ圧送される。すな
わち、切欠き17aの形成位置は、コンロッド7が圧縮
行程の終期にあるときに前記開口24aと対応する位置
に設定されている。
【0036】一方、気室Aはコンロッド移動分とピスト
ン上昇分だけ容積が増えて減圧されるから、気室Aには
減圧分だけ空気吸込管26から新気が吸い込まれる。
【0037】気室Bの容積は、クランク軸2が回転する
ことによって次第に狭められ、図10に示すように、コ
ンロッド7の大端部外周面のシール面7bが開口24a
の下側開口縁に達したときに最も狭くなる。すなわち、
図10に示す状態になるまで連通管29に空気が圧送さ
れることになる。圧縮行程ではエンジン1の吸気弁12
は閉じており、しかも、このときには開閉弁31が閉じ
ている関係から、気室Bから吐出された空気は連通管2
9から吸気弁12の間に蓄えられることになる。
【0038】そして、図10の状態からさらにクランク
軸2が回って図11に示すようにシール面7bが周壁面
28から離間すると、クランクウエブ17の切欠き17
aが開口24aから離間すると共にこの開口24aがク
ランクウエブ17によって閉塞されるようになる。この
ため、連通管29内の圧力空気がコンロッド収容部22
内(気室A側に)逆流することはない。
【0039】一方、気室Aの容積は、気室Bが最も狭め
られてからも引き続き増え、図11の状態になるまで増
加される。このときには、ピストン上昇分に相当する容
積が主な容積増加分となる。
【0040】図11の状態からさらにクランク軸2が回
転し、図12に示すようにピストン4が上死点に達する
ことでエンジン1の圧縮行程が終了する。なお、燃料供
給手段15は図12の状態に達する以前に燃料を噴射す
る。そして、不図示の点火プラグが点火して燃焼室9内
で爆発が起こると、図13〜図14に示すようにピスト
ン4が下降してクランク軸2が回転する。
【0041】そして、図14に示すようにコンロッド7
の大端部外周面のシール面7bが周壁面28に摺接する
ようになると、コンロッド収容部22内が再びA,B2
気室に画成されるようになる。すなわち、気室Bには、
それまでコンロッド収容部22内に吸入された空気が入
ることになる。
【0042】図14の状態からクランク軸2が回転する
と、図15に示すように気室Bの容積が次第に減少する
と共に気室Aの容積が次第に増加するようになり、気室
B内の空気が圧縮されかつコンロッド収容室22内に新
気が吸い込まれることになる。図15の状態からさらに
クランク軸2が回転することによって図8に示した状態
となる。
【0043】また、エンジン1の負荷が予め定めた値よ
り小さいときには、開閉弁31が開いてバイパス管30
を介して連通管29内と吸入通路23内とが連通され
る。この状態では、吐出通路24に押し出された圧縮空
気を吸入通路23に戻すことができるから、低負荷時の
過給仕事が減少することになる。すなわち、低負荷時に
は過給するときの抵抗が小さくなって燃費を向上させる
ことができる。
【0044】上述したように構成された過給装置では、
クランク軸2が1回転する毎にコンロッド収容部22内
の空間の容積と、ピストンの行程容積とを加算した容積
の空気が連通管29に圧送されて蓄えられることにな
る。そして、エンジン1の吸入行程で吸気弁12が開く
ときには、前記クランク軸1回転分の圧送空気の2倍の
空気が燃焼室9内に供給される。
【0045】なお、本実施例ではコンロッド7のクラン
ク軸方向端面の全面にシール面7aを形成したが、同等
の機能を果たすことができればシール面7aの構造は適
宜変更することができる。また、クランク軸2のクラン
クウエブ17,コンロッド7,ピストン4およびエンジ
ンボディ20の各摺接部分には、摩擦抵抗を減らすと共
に気密を高めるために、ルーツ型過給装置のロータに採
用されているようにフッ素樹脂をコーティングすること
もできる。
【0046】また、本実施例では吐出通路24をクラン
クウエブ17の外周面と対向する位置に開口24aとし
て開口させた例について説明したが、この開口24aの
開口位置としては、クランクウエブ17の軸方向端面と
対向する部位に位置づけることもできる。このようにし
ても上記実施例と同等の効果が得られる。
【0047】さらに、本実施例ではシリンダ軸線が鉛直
方向を指向するエンジン1を使用したが、本発明を適用
するエンジンとしては、シリンダ軸線が水平方向を指向
するものを採用することができる。例えば、図1の紙面
を時計回りに90度回してシリンダ軸線を水平にしたよ
うなエンジンを用いることもできる。このようなエンジ
ンでは、気室Bが気室Aの上方に位置するようになる。
そして、クランクケース3内に漂うミスト状の潤滑油
(この潤滑油はシリンダや、クランクピン18部分に直
接給油されたもののことである)が気室B内に溜まり、
この潤滑油がコンロッド7の側面7dを伝ってピストン
ピン19側へ流れることになる。すなわち、潤滑し難い
ピストンピン19が給油されて耐久性を向上させること
ができる。
【0048】さらにまた、本実施例では4サイクルエン
ジン1に本発明を適用した例を示したが、本発明は2サ
イクルエンジンにも適用することができる。そのように
するときの構成としては、吐出通路24が掃気通路に直
接連通されたものとなる。この場合も通常の2サイクル
エンジンに較べて一次圧縮比を大きくとることができ、
過給装置として上記実施例と同様の効果が得られる。ま
た、クランク室上流側のリードバルブも不要となる。
【0049】加えて、本実施例では通常の形状のクラン
クによる構成を示したが、片側のみのジャーナル部2
a,同じく片側のみのクランクウエブ17およびクラン
クピン18により形成される片持ちクランクによって構
成することもできる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るエンジ
ンの過給装置は、クランクケースにコンロッドが摺接す
る内周壁を形成し、上死点近辺を除いたクランク角度に
おいてコンロッドによってクランクケース内を2つの気
室に仕切る構造とし、これらの気室のうち一方の気室を
新気導入部に連通させると共に、他方の気室を吸気通路
を介して燃焼室に連通させ、この燃焼室に連通された気
室を圧縮室としかつコンロッドを可動子とする容積型圧
縮機を形成してなり、前記吸気通路の上流端をクランク
ウエブと対向する位置に開口させてクランクウエブによ
って塞ぐ構造とし、このクランクウエブの外周部におけ
るコンロッドが圧縮行程の終期にあるときに前記開口と
対応する部位に、前記圧縮室と吸気通路とを連通する切
欠きを形成したため、クランク軸が1回転する毎にピス
トンの行程容積とコンロッド収容部の容積分だけ新気が
燃焼室に圧送されることになるので、一次圧縮比を大き
くすることができる。
【0051】このため、クランクケース過給を行うに当
たって一次圧縮比を大きくとれるので、過給性能を高め
ることができる。
【0052】また、本発明に係る過給装置は、エンジン
を構成する部材だけで形成できるから、従来の過給装置
に較べて構造が簡素化されると共に部品点数が減少す
る。特に、クランクウエブが実質的に圧縮空気逆流防止
用ロータリバルブとなるので、吸気系に逆止弁を別途に
設ける必要がなくなる。このため、従来の基本的なクラ
ンクケース過給装置に較べて吸気抵抗を減らすことがで
き、しかも、構造が簡単になる。
【0053】したがって、小型で高出力が得られる過給
装置を安価に得ることができる。
【0054】さらに、本発明に係る過給装置は、コンロ
ッドの幅とエンジンのボア,ストロークによって吐出量
が決まるので、吐出量設計の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る過給装置が設けられた4サイクル
エンジンの断面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明に係る過給装置に使用するクランク軸の
概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る過給装置に使用するコンロッドの
概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る過給装置に使用するピストンの概
略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る過給装置に使用するエンジンボデ
ィの概略構成を示す斜視図で、同図はエンジンボディを
図2中のVI−VI線で破断した状態を示す。
【図7】本発明に係る過給装置の概略構成を示す斜視図
である。
【図8】クランク軸が下死点にあるときの状態の要部の
断面図である。
【図9】クランク軸が下死点から約45度回った状態の
要部の断面図である。
【図10】クランク軸が下死点から90度回った状態の
要部の断面図である。
【図11】クランク軸が下死点から約135度回った状
態の要部の断面図である。
【図12】クランク軸が下死点から180度回った状態
の要部の断面図である。
【図13】クランク軸が下死点から約225度回った状
態の要部の断面図である。
【図14】クランク軸が下死点から270度回った状態
の要部の断面図である。
【図15】クランク軸が下死点から約315度回った状
態の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 4サイクルエンジン 2 クランク軸 3 クランクケース 6 シリンダブロック 7 コンロッド 7a シール面 7b シール面 7c シール面 9 燃焼室 17 クランクウエブ 17a 切欠き 20 エンジンボディ 23 吸入通路 24 吐出通路 24a 開口 27 摺接面 28 周壁面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクケースにコンロッドが摺接する
    内周壁を形成し、上死点近辺を除いたクランク角度にお
    いてコンロッドによってクランクケース内を2つの気室
    に仕切る構造とし、これらの気室のうち一方の気室を新
    気導入部に連通させると共に、他方の気室を吸気通路を
    介して燃焼室に連通させ、この燃焼室に連通された気室
    を圧縮室としかつコンロッドを可動子とする容積型圧縮
    機を形成してなり、前記吸気通路の上流端をクランクウ
    エブと対向する位置に開口させてクランクウエブによっ
    て塞ぐ構造とし、このクランクウエブの外周部における
    コンロッドが圧縮行程の終期にあるときに前記開口と対
    応する部位に、前記圧縮室と吸気通路とを連通する切欠
    きを形成したことを特徴とするエンジンの過給装置。
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