JP3303470B2 - 蛍光方法、蛍光装置、表示装置、スイッチング装置、蛍光記録方法、蛍光記録媒体、蛍光記録読み出し方法、蛍光記録読み出し装置及び蛍光記録消去方法 - Google Patents

蛍光方法、蛍光装置、表示装置、スイッチング装置、蛍光記録方法、蛍光記録媒体、蛍光記録読み出し方法、蛍光記録読み出し装置及び蛍光記録消去方法

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JP3303470B2 JP24857793A JP24857793A JP3303470B2 JP 3303470 B2 JP3303470 B2 JP 3303470B2 JP 24857793 A JP24857793 A JP 24857793A JP 24857793 A JP24857793 A JP 24857793A JP 3303470 B2 JP3303470 B2 JP 3303470B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光を用いた蛍光方
法、蛍光を用いた表示装置,スイッチング装置,記録装
置に使用される蛍光装置及び蛍光記録媒体、また、蛍光
記録媒体を利用した蛍光記録方法,蛍光記録読み出し方
法,蛍光記録消去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光色素薄膜を利用した表示素子として
は、有機EL素子が提案されている(Appl.Phys.Lett,5
1 (1987) 913)。この有機EL素子は、整流性を有する
素子構成中に有機蛍光色素薄膜を置き、この膜の両側か
ら電子と正孔を注入することにより蛍光分子を電気的に
励起し、この励起状態から基底状態に戻る時に発せられ
る光(エレクトロルミネッセンス)を表示に利用してい
る。上記有機EL素子は、例えば図22(a)に示すよ
うに、蛍光性の色素を含む発光層73を陰極74と基板
70上に形成された透明性の陽極(例えばITO)71
とで挟むように構成し、発光層73と陽極71との間に
は、陰極74から注入された電子が陽極71にまで達し
ないようにして陽極71からの正孔の注入の効率を上げ
るために正孔輸送層72を介在させている。また、発光
層73の性質によっては、陰極74と発光層73との間
に電子輸送層75を介在させた構造も提案されている
(図22(b)及び図22(c))。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】上記のような構造の
有機EL素子においては、蛍光性の色素を含む発光層7
3で電子とホールとが効率良く再結合する構成が必要で
ある。更に、発光層73の発光効率を高めるためには、
それぞれの電極からの電荷の注入性を高める必要があ
り、電極材料、電荷輸送材料は発光層73の蛍光色素の
性質により制限を受ける。従って、陰極材料としては、
できるだけ仕事函数の小さな電気材料を用いなければな
らない。仕事函数の小さな電気材料としては、例えば、
マグネシウム、銀合金のように活性が高く不安定な材料
が多い。また、これらの電極材料の多くは透明性がない
ために、陽極71は透明性の良好な電極、例えばITO
が一般的に用いられている。更に、最適の素子構成で理
想的に発光層73で電子と正孔とが効率良く再結合した
としても、色素分子の電気的な励起過程は光学的な励起
過程に比較してはるかに効率が低く、このため過剰な電
気エネルギーを素子に供給する必要があり、この過剰な
エネルギー供給が有機EL素子の寿命を著しく低下させ
ているという問題点があった。
【0004】一方、表示装置や記録装置において、光励
起により有機色素膜から発生する蛍光を利用すると、明
暗比の良好な信号を低エネルギーの供給で駆動すること
ができる。蛍光を利用した表示素子としては、例えば図
23に示すカラー液晶表示装置が提案されている。この
装置は、二色性色素81を含む液晶層80を共通透明電
極(ITO)82と個別電極83とで挟み、前記液晶層
80の一方側に形成したカラーフィルタ層84に蛍光性
色素膜を使用し、電圧を印加した部位のみ反射型の蛍光
85が観察されるように構成したもので、明るくコント
ラストの良好な表示素子を実現している(特開平4−1
23020号公報参照)。しかしながら、上記構成によ
れば、蛍光のON−OFFは励起光のON−OFFを用
いているため、カラーフィルタ層84として用いた蛍光
性色素膜がスイッチング作用を行なうものでないため、
蛍光性色素膜が全く能動的な作用を持たず、余分な素子
構成が必要であるという問題点がある。
【0005】また、蛍光を使用した記録媒体としては、
例えば図24に示すように、基板90上に反射層91を
形成し、この反射層91上にホトクロミック性等の有機
色素等から成る記録層92を設けた構成が提案されてい
る。この記録媒体は、紫外線によるホトクロミック反応
若しくは光学的な蛍光性色素の変性の有無を、記録媒体
からの蛍光から読み出す記録信号再生方法に使用でき、
低レベルの書き込みでも良好な再生信号が得られるとい
う効果がある(特開昭62−16763号公報参照)。
しかしながら、上記記録媒体の記録方法によれば、分子
構造の変化をともなう固相で可逆的に起こすことが困難
なホトクロミック反応若しくは完全に不可逆的な変性を
利用しており、また、記録の書き込みには分子結合にダ
メージを与えることが予想される高エネルギーの紫外線
を利用しているため、可逆性及び繰り返し安定性に問題
がある。
【0006】また、Thin Solid Films 210/211(1992)28
3には、有機導電性高分子LB膜(ラングミュア・プロ
ジェット膜)を用いた薄膜トランジスタにおいて、ゲー
ト電極に約100Vの電圧を印加することにより導電性
高分子LB膜に電荷が誘起され、高分子LB膜からの蛍
光の強度が減少することが示されている。しかし、LB
膜の厚み(200〜300オングストローム)に比べて
ソース・ドレイン電極間隔がはるかに大きい(1〜10
μm)ため、ほとんどの電界が有機高分子薄膜のない空
間に存在してしまい、電気的に効率が低いだけでなく有
機薄膜にもある程度高い導電性が要求される。更に、用
いた有機導電性高分子膜の蛍光強度は減少する方向にの
み変化するとしており、また比較的蛍光の発光効率が低
いため、蛍光の信号を得るためには強力な励起光源を用
いなければならない。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、有機色素薄膜に比較的低い電圧を印加することによ
り、有機色素薄膜に損傷を与えることがない駆動で、高
効率且つ高コントラストな蛍光強度の増減を可逆的に得
るとともに、簡単な構成で実現可能な蛍光装置及び蛍光
記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解
消するため本発明の蛍光装置は、有機色素薄膜と、該有
機色素薄膜に電圧を印加するよう配置された一対の電極
と、前記有機色素薄膜を励起して蛍光を発生させる光源
とを具備し、前記電極間に印加される電圧により前記蛍
光の効率を増減させることを特徴としている。上記構成
による一対の電極は、有機色素薄膜に電圧を印加するよ
う配置すればよいので、例えば図1に示すように、電極
基板11上に有機色素薄膜12を形成し、有機色素薄膜
12上に別の電極13を配置した構造、また図2に示す
ように、電極基板21上に絶縁膜22を形成し、絶縁膜
22上にメッシュ状電極23を形成し、メッシュ状電極
23を有機色素薄膜24で覆うような構造となってい
る。
【0009】有機色素薄膜を電極間で挟んだ図1の前記
蛍光装置の構成は、電極基板上に形成した有機色素薄膜
と、該有機色素薄膜の上方に配置した電極と、前記有機
色素薄膜を励起する光源とを具備し、前記電極のうち少
なくとも一方の電極が前記光源から有機色素薄膜に照射
される励起光に対して透過性を有するとともに、少なく
とも一方の電極が前記有機色素薄膜から発する蛍光に対
して透過性を有し、前記電極間に印加される電圧により
前記蛍光の効率を増減させることを特徴としている。
【0010】上記構成において、電極基板上に形成した
有機色素薄膜と、有機色素薄膜の上方に配置する上部電
極との位置関係は、図3に示すように、薄膜を成膜して
形成される上部電極13aと有機色素薄膜12とが接触
している場合と、図4及び図5に示すように有機色素薄
膜12と平型形状の上部電極13b若しくは針型形状の
上部電極13cとが非接触である場合とが考えられ、電
極基板11と上部電極13との間に電圧を印加した場合
に、有機色素薄膜12の蛍光強度変化が引き起こされる
構成となっている。
【0011】また、電極基板11及び上部電極13は、
光源からの励起光及び有機色素薄膜から発する蛍光に対
して透過性を有することが必要であり、図3に示した有
機色素薄膜12と上部電極13とが接触している構造の
蛍光装置の場合、励起光の入射方向や蛍光の取り出し方
向により図6(a)ないし(d)に示す4種類の構成が
存在する。すなわち、励起光及び蛍光が電極基板11か
上部電極13のどちらかを透過するかによって、各電極
に求められる透過性が変化する。
【0012】図6(a)は、励起光源30と有機色素薄
膜12との間に上部電極13を存在させ、上部電極13
を通して有機色素薄膜12からの蛍光41を観察する構
造であり、有機色素薄膜12への励起光31、有機色素
薄膜12からの蛍光41のいずれもが上部電極13を透
過するため、上部電極13は有機色素薄膜12の励起光
31及び蛍光41の両方の波長に対してある程度の透過
性を有することが必要となる。図6(b)は、励起光源
30と有機色素薄膜12との間に上部電極13を存在さ
せ、電極基板11を通して有機色素薄膜12からの蛍光
41を観察する構造であり、有機色素薄膜12への励起
光31は上部電極13、有機色素薄膜12からの蛍光4
1は電極基板11を透過するため、上部電極13は有機
色素薄膜12の励起光31の波長に対して透過性を有
し、電極基板11は蛍光41の波長に対して透過性を有
することが必要となる。図6(c)は、励起光源30と
有機色素薄膜12との間に電極基板11を存在させ、上
部電極13を通して有機色素薄膜12からの蛍光41を
観察する構造であり、有機色素薄膜12への励起光31
は電極基板11、有機色素薄膜12からの蛍光41は上
部電極13を透過するため、電極基板11は有機色素薄
膜12の励起光31の波長に対して透過性を有し、上部
電極13は蛍光41の波長に対して透過性を有すること
が必要となる。図6(d)は、励起光源30と有機色素
薄膜12との間に電極基板11を存在させ、電極基板1
1を通して有機色素薄膜12からの蛍光41を観察する
構造であり、有機色素薄膜12への励起光31、有機色
素薄膜12からの蛍光41のいずれもが電極基板11を
透過するため、電極基板11は有機色素薄膜12の励起
光31及び蛍光41の両方の波長に対して透過性を有す
ることが必要となる。上述した条件はもちろん必要条件
であって、上部電極13及び電極基板11の両方が励起
光31及び蛍光41の両方に透過性を有しているもので
あっても構わない。
【0013】一方、図4及び図5に示したように、有機
色素薄膜12と上部電極13とが非接触である構造の蛍
光装置においては、上部電極13と有機色素薄膜12の
間の隙間を利用して励起光を照射し、同様に隙間を利用
して蛍光を取り出すことが可能であるので、上部電極1
3及び電極基板11の両方が励起光及び蛍光に対して透
過性を有していなくても、構成上励起光を有機色素薄膜
12に照射でき、出射した蛍光を観察あるいは検出でき
ればよい。
【0014】更に、図7(a),(b),(c)に示す
ように、電極基板11中を励起光31又は/及び蛍光4
1が導波するようにして、有機色素薄膜12に励起光3
1を照射させたり蛍光41を出射させる構成とすること
ができる。すなわち、端面入射あるいはプリズムによる
カップリングにより、励起光31を導波させたり端面出
射により蛍光41を観察可能とする。この場合、電極基
板11は、全体として導電性と励起光31又は/及び蛍
光41に対して導波性とを有しているものか、導電性層
と導波層とが積層されたものが使用される。
【0015】すなわち、以上に述べた透過性の電極と
は、励起光あるいは蛍光の波長の光に対して透過性を有
することであり、全体として透過性を有するもの、全体
では透過性が低いが薄くすることである程度の透過性を
持たせたもの、あるいは、くし状、メッシュ状の構成に
より部分的に透過性を持たせたもの等を含む意味であ
る。
【0016】本発明の蛍光記録媒体は、上述した蛍光装
置から有機色素薄膜の励起光源を除いたものであり、電
極基板上に形成した有機色素薄膜と、該有機色素薄膜に
電圧を印加可能に配置した電極とで構成され、前記電極
間に印加される電圧により前記有機色素薄膜から発する
蛍光の効率を増減させることにより記録を行なうことを
特徴としている。蛍光記録媒体においては、情報の書き
込みには図3,図4,図5のように電極間に電圧を印加
する構成が、また、情報の読み出しには図6,図7のよ
うに励起光源30を設けた構成が利用される。従って、
記録の書き込み時及び記録の消去時には上部電極13が
不可欠であるが、再生時には上部電極13は構成上不可
欠のものでない。
【0017】前記蛍光装置及び蛍光記録媒体で使用され
る蛍光性色素を含む有機色素薄膜12は、支持体である
電極基板11上に形成される。この有機色素薄膜12
は、前記電極間に電圧を印加することにより、いずれか
一方若しくは両方の電極により電子状態が変化する性質
を有し、例えば、電極からの電荷の注入にともない、有
機色素薄膜12の色素分子が注入された電荷との相互作
用により電子状態の変化を引き起こし、蛍光強度が可逆
的に変化するものが使用される。従って、有機色素薄膜
12は、電荷注入の可逆性を高め、その効率を向上させ
るために、できるだけ薄く形成して抵抗値を低くするこ
とが望まれる。このように、電荷と相互作用する有機色
素薄膜は半導性を有しており、その特性はp型とn型と
では異なる。また、有機色素薄膜12の蛍光性色素につ
いては、注入された電荷により大きく電子状態が変化す
るばかりでなく、化学的、電気的、熱的において安定性
の高いものが望まれる。
【0018】本発明の有機色素薄膜12の膜厚は、電荷
の注入・放出の可逆性や速度、充分な蛍光強度変化を起
こすための電圧を実用上制御可能なレベルにするため
に、10〜5000オングストローム程度であることが
望ましい。有機色素薄膜12に使用できる蛍光性色素分
子としては、一般に有機π-電子共役系色素、例えば、
スクエアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニ
ン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色
素、アゾ系色素、キノン系色素、アクリジン系色素、ロ
ーダミン系色素、フルオレセイン系色素、アントラセン
系色素、ピレン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色
素等、様々な蛍光を発する色素分子があげられる。その
際の条件としては、前記したように、化学的に安定であ
ること、十分に強い蛍光あるいはりん光を発生するこ
と、薄膜化が可能であることが必要である。
【0019】また、蛍光性色素分子は、一般に溶液の状
態では蛍光を強く発生するにもかかわらず、固体薄膜に
することによって、蛍光が非常に弱くなったり全く発し
なくなったりする場合がある。従って、本発明に使用す
る前記色素分子は、固体での凝集状態を制御し膜の安定
化を図る上で、置換基の導入やマトリクス材料との混合
膜の形で使用する場合もある。
【0020】例えば、置換基の導入は、色素分子が近接
する際の規則性を制御する効果があり、特定の色素会合
体を効率よく形成させることができる。特に、会合体と
しては、蛍光強度が強く波長幅が狭いJ−会合体が適し
ている。そして、前記規則性の向上により、蛍光強度に
よる変化の割合を大きくして発光及び消光効率を向上さ
せることができる。J−会合体のような会合体内で励起
子が非局在化している集合状体を利用すると、蓄積され
た電荷量と蛍光発光効率変化の比率を極度に高めること
ができる。
【0021】一方、マトリクス材料には、長鎖脂肪酸,
長鎖アルコール類,長鎖アミン類,長鎖アミド類,長鎖
スルフィド類等の室温で固体状態の界面活性材料、ポリ
エチレン系,ポリエステル系,ポリカーボネート系,ポ
リアクリル系,ポリアミド系,ポリイミド系等の比較的
透明性の高い高分子材料が色素分子の製膜性を高める上
で使用される。更に、電荷の注入性を制御するために、
ポリチオフェン系,ポリフェニレンビニレン系,ポリピ
ロール系等の導電性高分子やジアミン系,トリフェニル
アミン系,カルバゾール系,ポリシラン系の電荷輸送性
材料をマトリクス本体あるいは他のマトリクス材料と混
合して使用される。これらのマトリクス材料の導入は、
集合体の規則的な配置をより安定に固定して薄膜化する
ことができる。いずれの場合においても、基本的には、
全体の固体薄膜状態で十分観測可能な強度の蛍光を発生
することが必要である。
【0022】電極間に設けた有機色素薄膜12は、基本
的には均質の単層薄膜が使用されるが、使用する電極材
料や色素分子の半導性に依存して、有機色素薄膜12と
電極基板11の界面に間に有機色素を含まない薄膜層1
4を形成したり(図8(a))、有機色素薄膜12と上
部電極13の界面に間に有機色素を含まない薄膜層14
を形成したり(図8(b))、有機色素薄膜12の両方
の界面に有機色素を含まない薄膜層14を形成したり
(図8(c))、また、有機色素薄膜層12と有機色素
を含まない薄膜層14とを交互に設けて(図 (d)
(e))電荷との相互作用や濃度を制御することによ
り、更に効率的に蛍光強度変化を達成することができる
場合がある。この際に使用される有機色素を含まない薄
膜層14としては、前記マトリクス材料やSiO2 ,S
iN等の有機・無機絶縁材料、前記導電性高分子や電荷
輸送性材料、及びそれらをマトリクス材料と混合した薄
膜が使用される。
【0023】有機色素薄膜12に使用する色素分子は、
基本的には1種類のものが使用されるが、必要に応じて
複数種の色素分子を用いてもよい。この際、色素分子間
の励起エネルギー移動や電荷移動を積極的に使用すれ
ば、更に強力な蛍光を使用したり、容易に電荷の制御を
することができる。数種類の色素分子を用いる場合は、
各色素分子を単一層内に混合して薄膜化するか、別々の
層に形成し2つの電極から印加される電場の方向、エネ
ルギー移動の方向及び電極の透明性を考慮した積層構造
で構成する。
【0024】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体の電極
基板11としては、上部電極13に不透明な電極を用い
る場合には、金,銀,アルミ,クロム等の金属材料又は
シリコン等の半導体材料を半透明の厚さに、又はくし
状,メッシュ状に形成したガラス,石英若しくはプラス
チック等の透明性基板、透明性の半導体を形成したガラ
ス基板、利用する波長範囲で光透過性のある半導体基板
等を使用する。上部電極13に半透明な電極を用いる場
合又は空気を介して電界を印加する場合には、電極基板
11は励起波長や蛍光波長に対して透過性の必然性はな
く、各種の金属,半導体材料を使用することができる。
【0025】上部電極13としては金属膜や半導体膜等
の薄膜が用いられ、有機色素薄膜12と接触し且つ電極
基板11が不透明の場合には、半透明の厚さ又はくし
状,メッシュ状に形成した金,銀,アルミ,クロム等の
金属材料、利用する波長範囲で光透過性のある半導体材
料を使用する。利用する波長範囲で光透過性のある材料
を電極基板11に用いた場合は、上部電極13としては
光透過性を具備する必要がないので、各種の金属膜,半
導体膜を使用することができる。また、上部電極13と
して薄膜を利用することにより、パターン形成時の微細
化を容易に行なうことができる。
【0026】一方、上部電極13が有機色素薄膜12と
接触しない構造の場合、上部電極13は、平板型や針型
に加工した各種の金属,半導体材料を使用することがで
きる。この際、上部電極13と有機色素薄膜12との間
隔は、有機色素薄膜12に十分電荷が誘起される程度で
よいが、より高い分解能又はより低エネルギーで蛍光強
度の面内分布を得ようとする場合は、前記間隔を小さく
することが望まれる。特に、針型の上部電極13cを使
用してnmオーダーの記録を行なう高密度の蛍光記録媒
体とする場合には、針型上部電極13cの位置制御とし
て、走査型トンネル顕微鏡に用いられるような原子オー
ダーに尖った電極とnmオーダーの電極間隔、更に電極
位置を制御するピエゾ素子を用いた位置および走査制御
系が利用される。
【0027】本発明の蛍光装置において、有機色素薄膜
12から蛍光を発生させるための励起光源30として使
用する発光素子としては、半導体レーザー,気体レーザ
ー,LED及びフィルターや回折格子等で分光した白色
光等を使用することができる。特に、励起光源30から
の励起光31に有機色素薄膜12から発生する蛍光41
と同じ波長の光が混じっている場合には、励起光源30
と有機色素薄膜12の間に必要に応じて分光フィルター
を配置すれば、蛍光強度測定のノイズ低減を図ることが
できる。
【0028】
【作用】本発明によれば、有機色素薄膜と二次元的に配
置された電極及び光源により構成され、電気信号により
引き起こされる蛍光の効率変化を蛍光強度分布として像
を表示する蛍光表示素子、電気信号により引き起こされ
る蛍光の効率変化を励起光照射により蛍光強度変化つま
り光信号変化に変換して出力するスイッチング素子、ま
たはそれを二次元的に作動させる空間変調器など、電気
信号を高いS/N比の光信号に変換して出力する表示素
子、スイッチング素子及び装置を実現することができ
る。更に、有機色素薄膜と電極の構成を、有機色素薄膜
に電荷が蓄積し保持する構造とすることにより、任意の
蛍光発光効率をメモリし、光源と蛍光受光素子とにより
高いS/N比でアナログ的に多値記録でき、読み出しに
対しても全く記録状態が変化することのない高密度の蛍
光記録媒体及び装置を実現することができる。
【0029】すなわち、上記構成の蛍光装置及び蛍光記
録媒体によれば、図1の電極基板11と上部電極13と
の間、図2の電極基板21とメッシュ状電極23との間
に電圧を印加すると、電極から有機色素薄膜12,24
に電荷が注入され薄膜内の分子間で電荷のやり取りが行
なわれ、薄膜内の有機色素分子の電子状態が変化し、そ
の一つの効果として、有機色素分子の励起エネルギーが
通常の蛍光を発生する過程とは異なる過程、例えばフォ
ノン・熱や他の波長の光を発光する過程で放出される。
このため、電極間への電圧印加によって蛍光強度の減少
(蛍光消光)が観測される。更に、薄膜内に色素分子が
高濃度に分布し、分子間の励起エネルギー移動が起るよ
うな会合体が形成されている場合には、蛍光消光は電荷
と電子的相互作用を行なっている分子が他の色素分子の
励起エネルギーに対するトラッピングサイトとして作用
し、相互作用を行なっている分子だけでなく回りの分子
の蛍光発光効率も減少するため前記効果が増幅される。
【0030】一方、吸着ガス(酸素等)や不純物、電極
との界面や色素分子とマトリクス分子、色素分子と他の
色素分子等にかかる内部電場によって、有機色素薄膜内
には、電極間への電圧を印加する以前から荷電性のトラ
ッピングサイトが形成されている場合がある。このよう
な荷電性のトラッピングサイトに逆にその荷電を中和す
る電荷(−荷電に正孔、+荷電に電子)が作用すると、
励起エネルギーのトラッピングサイトとしての効果が消
失する。この場合には、薄膜全体として蛍光発光効率が
増加する。以上説明したように、本発明の蛍光装置及び
蛍光記録媒体によれば、電極間への電圧印加によって、
蛍光の強度変化が引き起こされる。
【0031】蛍光の強度変化は、電極間に印加される電
圧の正負や色素の半導性の違いによって異なる方向に観
察される。電極からの電圧印加によって、有機色素を含
む薄膜内に空間的な電荷分布の変化が引き起こされる
時、薄膜内の色素分子にp型半導性の色素分子を用いて
いた場合は、正孔の濃度が高まり、より色素分子との相
互作用が顕著になると蛍光強度は減少し、逆に電子の濃
度が高まると蛍光強度はかえって増大する。一方、薄膜
内の色素分子にn型半導性の色素分子を用いた場合は、
電子の濃度が高まると蛍光強度は減少し、逆に正孔の濃
度が高まると蛍光濃度はかえって増大する。つまり、p
型半導性の色素分子を用いた有機色素薄膜内では、正孔
と色素分子が相互作用をもつことにより励起エネルギー
に対するトラッピングサイトが形成され、電子の増加に
より励起エネルギーに対するトラッピングサイトが中和
される。一方、n型半導性の色素分子を用いた有機色素
薄膜内では、電子と色素分子が相互作用をもつことによ
り励起エネルギーに対するトラッピングサイトが形成さ
れ、正孔の増加により励起エネルギーに対するトラッピ
ングサイトが中和されることを示している。従って、バ
イアス電圧の方向と蛍光色素の半導性の関係が蛍光強度
の変化の方向を決定する。
【0032】電極への電圧印加については、図9(a)
ないし(d)の4つの駆動状態がある。有機色素薄膜1
2にp型半導性の色素分子を用いた場合は、色素分子に
正孔15が注入あるいは誘起される(a)及び(c)の
状態で蛍光強度の減少が起こり、また、色素分子に電子
16が注入あるいは誘起される(b)及び(d)の状態
では蛍光強度の増大が起こる。有機色素薄膜にn型半導
性の色素分子を用いた場合は、色素分子に正孔が注入あ
るいは誘起される(a)及び(c)の状態で蛍光強度の
増大が起こり、また、色素分子に電子16が注入あるい
は誘起される(b)及び(d)の状態で蛍光強度の減少
が起こる。図9においては、電極から有機色素薄膜12
へ電荷が注入するとしたが、逆に電荷が有機色素薄膜1
2から電極へ注入したとしても現象としては同じであ
る。実際には、図9(a)及び(b)のように、上部電
極13を+バイアスにして電圧を印加したときには、図
9(a)の状態になるか図9(b)の状態になるか又は
両方が同時に起こるかは、有機色素薄膜12のバンド構
造,各電極のバンド構造(金属の場合は仕事函数)及び
バイアス電圧の大きさに依存する。従って、利用したい
現象や色素分子の性質を考慮した上で構成する電極の材
料を選択する必要がある。また、蓄積された電荷は逆バ
イアスをかけるか放電することによって、電荷を注入し
た電極に電子が、又は他方の電極から逆の電荷が注入さ
れることによって元に戻る。
【0033】このような電荷の注入による有機色素膜内
での電荷量変化が顕著に且つ均一に発生するためには、
有機色素薄膜の抵抗があまり高くなく、厚み方向の分布
ができないように、膜の厚さとして10〜5000オン
グストローム程度であることが望ましい。更に、有機色
素薄膜が上記膜厚の範囲におさまる薄膜であることによ
り、電荷の注入・放出の可逆性や速度、充分な蛍光強度
変化を起こすための電圧を実用上制御可能なレベルにす
ることができる。
【0034】また、前記図8に示したように、色素を含
まない薄膜層14を絶縁膜として電子あるいは正孔のい
ずれか一方の電荷のみを選択的に輸送する電荷輸送層と
して利用し、どちらかの電荷のみを選択的に注入させる
よう構成してもよい。すなわち、色素を含まない薄膜層
14として絶縁性の材料を用いれば、どちらかの電極か
ら注入される電荷のみをブロックすることができ、色素
を含まない薄膜層14に電子又は正孔輸送性の材料を用
いれば、その電荷を積極的に注入したり、逆の電荷をブ
ロックすることができる。同様のことは逆バイアスをか
けた図9(c)及び(d)の場合にも適用される。ま
た、上部電極13が有機色素薄膜12に接触していない
図4及び図5に示す構成の場合、上部電極13と有機色
素薄膜12とのギャップ間隔と電圧の関係および蛍光装
置が置かれている環境(大気中か不活性ガス中か真空中
か)によって前記ギャップが電気を通す(コロナ放電や
トンネル電流等)か通さないかを制御できる。従って、
この場合においても、上部電極13が有機色素薄膜12
に接触している構成である図9と同様に4つの駆動(記
録書き込み)状態があり、電極基板11と有機色素薄膜
12のバンド構造の関係、色素を含まない薄膜層14の
利用、上部電極11とのギャップと電圧の関係からどの
状態で駆動するかを選択することができる。
【0035】本発明は、表示装置,スイッチング装置,
記憶装置における蛍光装置及び記録媒体として利用する
ことができるが、その用途によって求められる性能が異
なる。従って、構成する電極の形態,材料及び有機色素
薄膜の構成及び材料を用途によって選択する必要があ
る。以下、それぞれの用途に適した構成について説明す
る。
【0036】本発明の蛍光装置を、比較的高速で駆動す
る表示・スイッチング素子として利用する場合は、電荷
の注入並びに放出が可逆的にかつ速やかに行なわれるこ
とが必要とされる。すなわち、上記素子の場合、電極と
有機色素薄膜の界面における電荷のやりとりが速やかで
あること、更に有機色素薄膜内での電荷の移動が速やか
であることが必要とされる。従って、電荷を注入する電
極と有機色素薄膜との界面においては、注入される電荷
に対する障壁が小さくなるように電極材料並びに有機色
素薄膜材料を選択すること、また、注入された電荷の薄
膜内での移動度が高くなるように薄膜の構成並びに有機
色素分子・マトリクス材料を選択することが必要であ
る。有機色素薄膜に電子を注入する電極から速やかに電
子が注入されるようにするためには、有機色素分子の伝
導帯と電極基板の伝導帯(金属の場合は仕事函数)との
ギャップを小さくすることが有効である。
【0037】また、有機色素薄膜に正孔を注入する電極
から速やかに正孔が注入されるようにするためには、有
機色素分子の価電子帯と電極基板の価電子帯(金属の場
合は仕事函数)とのギャップを小さくすることが有効で
ある。更に、有機色素薄膜での利用したい電荷の移動が
速やかに起こるように色素分子の濃度を高めたり薄膜の
膜厚をできるだけ薄くすることや、目的の電荷の輸送性
の良いマトリクス材料を選択したり薄膜内に電荷輸送材
料を添加することが速やかな駆動に関係する。この場
合、有機色素分子のバンド構造と電極のバンド構造の間
のギャップを調整する意味で、その間に電荷輸送層を設
けることを有効である。つまり、単一のバイアス方向で
は、両電極界面での電荷注入に対するギャップが大きく
ない時には、それぞれのギャップのバランスや電極材料
の電荷密度及びバイアス電圧の大きさによって、どちら
の電荷が優先的に注入されるかが決まる。従って、駆動
電圧あるいは注入電気量に依存して過度的に蛍光強度が
増大したり減少したりする。一方、いずれかの電極界面
での電荷注入のギャップが大きい場合や、片方の電極と
有機色素薄膜との間に電荷の注入をブロックする構成に
なっている場合には、注入される電荷によって決定され
る蛍光強度の変化方向にのみ蛍光強度の変化が観測され
る。更に、逆方向にバイアスをかけた時には、逆の条件
が適用される。従って、どのように作動させたいかによ
って構成を選択する必要がある。
【0038】本発明の蛍光装置及び記録媒体を、メモリ
性の表示やスイッチング素子、又は記録装置として利用
する場合には、注入された電荷が、外部回路を通じて放
出、電極からの逆電荷の注入による中和、又は逆バイア
ス印加・加熱による放出を行なわない限り保持されるこ
とが必要とされる。つまり、外部回路が開放あるいは一
定電圧が印加されている時には、電極と有機色素薄膜と
の界面における電荷のやり取りがないこと、更に有機色
素薄膜内での電荷の移動がないことが望まれる。また、
メモリ性を発揮する素子構成では、基本的に単一のバイ
アス方向では、一方の電極界面からのみ電荷注入を行な
って駆動させる。すなわち、他方の電極からは逆の電荷
が注入されないような素子構成をとる。電荷を注入する
電極と有機色素薄膜との界面においては、注入される電
荷に対する障壁が小さく放出に対しては大きくなるよう
電極材料並びに有機色素薄膜材料を選択すること、ま
た、注入された電荷の薄膜内での保持性が高いように薄
膜の構成並びに有機色素分子,マトリクス材料を選択す
ることが必要である。
【0039】有機色素薄膜に電子を注入する電極からの
電子の注入は速やかに、一方、電極への戻りは妨げられ
るようにするためには、有機色素分子の伝導帯より電極
基板の伝導帯(金属の場合は仕事函数)の方を低く(真
空準位に対するエネルギー差を大きく)することが有効
である。また、反対側の電極側は、有機色素薄膜にホー
ルが注入しないように電極基板の価電子帯(金属の場合
は仕事函数)の方を有機色素分子の価電子帯より低く
(真空準位に対するエネルギー差を大きく)することが
有効である。有機色素薄膜に正孔を注入する電極からの
正孔の注入は速やかに、一方、電極への戻りは妨げられ
るようにするためには、有機色素分子の価電子帯より電
極基板の価電子帯(金属の場合は仕事函数)の方を高く
(真空準位に対するエネルギー差を小さく)することが
有効である。また、反対側の電極側は、有機色素薄膜に
電子が注入しないように電極基板の伝導帯(金属の場合
は仕事函数)の方を有機色素分子の価電子帯より高く
(真空準位に対するエネルギー差を小さく)することが
有効である。
【0040】更に、有機色素膜内での利用したい電荷の
保持性が高まるように、色素分子の濃度や薄膜の膜厚を
調整すること、目的の電荷がよりトラップあるいは保持
されるマトリクス材料の利用や、電極との間に電荷の放
出をブロックするブロック層を設けることも有効であ
る。このブロック層としては、完全に絶縁性のものでも
よいが、例えばマトリクス材料にポリビニルカルバゾー
ルやポリパラフェニレンなど有機色素分子の励起波長に
比べて短波長の光照射によって導電性を発現する光導電
性高分子を混入させておくと、通常状態では記録が保持
されるが、300〜400nmの紫外線を照射すること
によって、有機色素薄膜内に蓄積した電荷が中和あるい
は放出され記録状態を消失することができる。また、ブ
ロック層を介さない側の電極に光半導性電極を用いるこ
とによっても、同様の効果を実現させることができる。
以上説明したように、本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒
体によれば、電極や有機色素薄膜の材料及びそれらの配
置や構造によって様々な作動状態を実現することができ
る。
【0041】
【実施例】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体の一実施
例について、図10ないし図16を参照しながら説明す
る。電極基板11上に、一部にその表面が露出する露出
面11aを設けるように有機色素薄膜12を形成する。
有機色素薄膜12上には上部電極13が形成され、電極
基板11,有機色素薄膜12及び上部電極13により蛍
光素子10を構成している。前記露出面11aには端子
51が形成され、この端子51と前記上部電極13との
間に、蛍光装置として利用する場合には駆動を行なうた
めの、また、記録媒体として使用するためには記録書き
込み及び消去のための電源52を接続し、電極基板11
と上部電極13間に駆動電圧が印加されるように構成す
る。また、駆動の状態をモニターするため、電源52と
直列に電流計53を、電源52と並列に電圧計54をそ
れぞれ接続している。電流計53及び電圧計54の測定
値は、それぞれフィードバック用の通信ケーブル55を
介して前記電源52にフィードバックされ、電源52内
において一定値を保持するように制御が行なわれる。図
10において上部電極13は一つとしたが、この上部電
極13は表示装置又は記録媒体の各ビットに対応するも
のであるため、同時に複数の情報を表示若しくは記録す
る場合には、離散的に形成された複数の上部電極が必要
である。また、複数の上部電極を形成する場合には、各
上部電極13と電源52との間に電圧印加を選択するた
めのスイッチ(図示せず)を設けて制御を行なうように
する。
【0042】電極基板11と上部電極13により駆動電
圧が印加されている有機色素薄膜12の部位に電極基板
11を透過して励起光31が照射されるように、励起光
源30が配置されている。励起光源30の出射方向前方
には、有機色素薄膜12が発する蛍光波長と同じ波長成
分を励起光31から除くため、分光フィルター32が配
置されている。前記励起光31は、常時照射する必要は
ないが、蛍光装置を表示装置とする場合には、表示状態
時において励起光31が有機色素薄膜12に照射される
ように構成する。また、蛍光記録媒体として使用する場
合においては、記録時においては励起光源30は必要で
なく、再生時のみ必要となる。有機色素薄膜12から発
生する蛍光41は、電極基板11を透過して外部に出射
するように構成され、出射方向前方には、蛍光41に含
まれる励起光31の波長成分を除くため、分光フィルタ
ー42が配置されている。従って、前記電極基板11
は、励起光31及び蛍光41に対して透光性を有するよ
うに構成されている。分光フィルター42前方には光フ
ァイバー43が設置され、励起光31の波長成分を除い
た蛍光41は前記光ファイバー43を介して受光装置4
4に導かれるようになっている。
【0043】次に、前記蛍光装置及び蛍光記録媒体の各
構成要素について詳細に説明する。電極基板11は、ガ
ラスや石英等の透明性の絶縁基板上に金属や有機,無機
半導体を半透明の膜厚に形成したり、透明性の絶縁基板
上に透明性の半導体を形成したり、利用する波長範囲で
透明性を有する半導体基板により構成され、励起光31
及び蛍光41に対して透光性を有している。絶縁基板上
への金属又は半導体の形成方法としては、真空蒸着法,
MBE法,イオンビーム法,CVD法等の各種の真空成
膜法を適用することができる。また、溶液から成膜する
方法としては、各種のキャスト法やスピンコート法等が
適用できる。また、図8(a)に示されるように、電極
基板11と有機色素薄膜12との間に有機色素を含まな
い薄膜14として無機物から成る絶縁層を介在させる場
合には、SiO2 等の絶縁層を予めエピタキシャルに成
長させた単結晶Si等の基板を利用すればよい。
【0044】電極基板11に形成された端子51は、で
きるだけ電極基板11との間に電気的な抵抗のないもの
が望ましく、端子の部材としては主に金属材料が用いら
れる。例えば、電極基板11に半導体を用いた場合、金
属端子51との間に接触抵抗が発生する場合があるが、
その際には金属端子材料の仕事函数をオーミック接触に
なるようにしたり、熱アニールすることにより接触抵抗
を低減させることができる。
【0045】電極基板11上に形成される有機色素薄膜
12は、真空蒸着法,MBE法,イオンビーム法,CV
D法等の各種の真空成膜法、並びに溶液,融液から成膜
する各種キャスト法やスピンコート法等により行なわれ
る。特に、有機色素薄膜12の会合状態を制御し且つ非
常に薄く均質な薄膜を成膜する方法として、有機溶剤溶
液から生成される水面上単分子膜を基板上に移しとるラ
ングミュア・ブロジェット(LB)法が適している。ま
た、図8に示されるような、有機色素を含まない薄膜1
4を成膜する場合についても、同様の成膜方法で行なわ
れる。
【0046】上部電極13は、金属や各種有機及び無機
半導体から成り、有機色素薄膜13上に成膜又は接触配
置されている。また、前記電極基板11の作製と同様
に、ガラス,石英,雲母等の絶縁性基板上又は金属,半
導体基板上に、金属や半導体を成膜した基板電極を、成
膜された金属,半導体側が有機色素薄膜12側となるよ
うに接触配置して構成してもよい。また、前記上部電極
13が形成された基板を、有機色素薄膜12に対して間
隔を置いて配置し、図4に示したように、上部電極13
bが有機色素薄膜12に接触しない非接触構造としても
よい。上部電極13bを有機色素薄膜12から間隔を置
いて配置する際の位置制御には、有機色素薄膜12を含
めた電極基板11か上部電極13のいずれか一方又は両
方についてピエゾ素子を利用した位置制御系を使用する
のが適している。また、上部電極13に関しても、必要
に応じて電極基板11に設けた端子を形成してもよい。
【0047】電源52、電流計53、電圧計54、フィ
ードバック用通信ケーブル55から構成される電気駆動
系による蛍光装置の駆動方法としては、定電圧,定電流
及び定電荷駆動法が用いられる。特に、電極基板11,
有機色素薄膜12,上部電極13が比較的電気抵抗の低
い状態においては、定電流駆動が適している。また、図
8に示したように、電極基板11と有機色素薄膜12と
の間に絶縁層14を設けて素子構成がコンデンサーとな
っていたり、比較的電気抵抗の高い状態においては、定
電圧駆動が適している。駆動の際には、電源52の電圧
に対して電流計53、電圧計54の値を用いてフィード
バックをかけることにより前記電源52の電圧を制御す
る。また、非駆動時には、電気駆動系が開放若しくは短
絡した状態で使用される。更に、蛍光装置を速やかに駆
動させるためには、予め計算された函数に従って電圧を
過度的に変化させたり、逆方向の戻りを速くするために
逆バイアスを印加することが好ましい。
【0048】励起光源30及び分光フィルター32によ
り蛍光装置の励起光源系が構成されるが、励起光源30
としては、半導体レーザー,ガスレーザー,固体レーザ
ー,色素レーザー並びにその高調波等を利用したレーザ
ー光源、LED等の半導体発光素子、水銀ランプ等の紫
外線ランプ等の単色性の強い光源や、ハロゲン,キセノ
ンあるいは真空管を利用した白色性の光源が利用され
る。また、分光フィルター32には、色ガラスフィルタ
ー,干渉膜フィルター又は分光器等が使用される。励起
光源30にレーザーを用い、分光フィルターに平板のフ
ィルターを用いている場合は、分光フィルター32の反
射光が励起光源30に戻らないように、分光フィルター
32の面は励起光31の出射方向に対し垂直よりわずか
に角度をつけて配置することが望ましい。励起光源30
は、駆動している有機色素薄膜12の部位のみに励起光
31を照射する構成でもよく、また、蛍光素子全体を照
射する構成であってもよい。いずれの場合においても、
状況に応じて励起光源30の形態を選択し、蛍光素子と
同面積の平板光源やミラーを使ったスキャン光学系、レ
ンズやミラーを使った光学系も必要に応じて使用され
る。また、励起光31をスポット光に絞り込むため、レ
ンズやミラーを使った光学系を使用してもよい。
【0049】分光フィルター42、光ファイバー43及
び受光装置44により蛍光装置の受光光学系が構成され
るが、表示装置として使用する場合にはこれらの光学系
は必要としない。蛍光素子10と受光装置44との間の
光ファイバー43は、ノイズを少なく蛍光強度を測定す
るためのもので、光ファイバー43を介在させることな
く直接受光装置44を配置してもよい。分光フィルター
42は、励起光源30からの励起光31が受光装置44
の受光素子に入射するのを防止するために配置されるも
ので、その特性としては、励起光波長を吸収あるいは反
射し、蛍光波長を透過するものが使用され、具体的に
は、色ガラスフィルター,干渉膜フィルター又は分光器
等が使用される。受光装置44には、フォトダイオー
ド,フォトマル等一般的な受光素子を有するものが使用
される。また、必要に応じて、分光器を有するフォトダ
イオードアレイや、蛍光装置の情報を二次元で取り込む
ような二次元センサを適用することができる。また、受
光装置44において、励起光源30と同期させて光を測
定することにより、室内光による雑音を除去してより高
いS/N比で測定をすることができる。また、電気制御
系にフィードバックをかける制御を行なうことにより、
より正確な駆動を行なうことができる。
【0050】次に、上記蛍光装置及び蛍光記録媒体にお
ける具体的な蛍光素子の構成について説明する。有機色
素薄膜(色素LB膜)12は、化1の化学式で示される
スクエアリリウム色素と、アラキン酸(C1939COO
H)をクロロホルム中にモル比1:1で溶解して約8×
10-4Mの濃度の溶液を調整し、この溶液を2.5×1
-4Mの塩化カドミウムと3.0×10-5Mの炭酸水素
カリウムを含む20〜5℃の純水上に展開することによ
り、スクエアリリウム色素J−会合体を含む単分子膜を
電極基板11上に移し取って形成される。電極基板11
には、n型GaP基板にインジウム端子51を形成した
ものを用い、通常のLB膜作成法によって30mN/m
の条件下で1〜41分子層累積して使用した。電極基板
11に用いたn型GaP基板は、キャリア濃度1.0〜
6.4×1017 /cm3 のものを使用した。インジウム
端子51は、1mmφの高純度インジウムワイヤーを長さ
2mmに切断したものをGaP基板上に載せ、窒素雰囲
気中450℃で15分間アニールすることによりオーミ
ック接触をとったもので、接触抵抗は100〜10Ωの
範囲であった。
【0051】
【化1】
【0052】色素LB膜(有機色素薄膜12)を形成し
たGaP基板電極(電極基板11)のLB膜側に、上部
電極13として精製した30μlの水銀を面積4mm2
の開口部を有するマスクを通して接触させることにより
配置し、スクエアリリウム色素J会合体からの蛍光を利
用する蛍光素子10を得た。前記GaP基板は570n
m以上の波長の光を透過するので、スクエアリリウム色
素LB膜の励起光源30として2mWのHe−Neレー
ザーを使用し、分光フィルター32としては700nm
以上の波長をカットするものを使用した。前記分光フィ
ルター32を通過した光は、電極基板11と上部電極1
3(水銀)とによって挟まれているスクエアリリウム色
素LB膜の部位に、図10に示すように、励起光31の
電極基板11面での反射防止を考慮し、電極基板11側
から電極基板に対して垂直から約45℃の角度から照射
させている。He−Neレーザーによる照射面積は約2
mm2 とした。スクエアリリウム色素LB膜からの蛍光
は、電極基板11側から電極基板に対し垂直方向に出射
され、700nm以上の波長をカットする分光フィルタ
ー42及びバンドル型光ファイバー43を通過して受光
装置44に導かれる。バンドル型光ファイバー43から
の光を、フォトダイオードアレイを有する分光光度計に
より観察したところ、スクエアリリウム色素J−会合体
に特徴的な約760〜775nmをピークとするスペク
トル幅の狭い強力な蛍光が観察された。
【0053】上部電極13(水銀)とインジウム端子5
1との間に、前記上部電極13が+となるように、1分
間ずつ0Vと1,2,3,…10Vを交互に、すなわ
ち、0V,1V,0V,2V,0V,3V,…10Vを
それぞれ1分間、順次スクエアリリウム色素LB膜(有
機色素薄膜12)に印加したところ、一例として11分
子層のLB層を累積したものでは、図11に示すよう
に、75%に達する顕著で且つ可逆的な蛍光消光が4〜
7Vの電圧印加により引き起こされることが観察され
た。図11は、蛍光強度としてのピーク波長である76
2nmの強度の時間変化を示している。同時に観測され
た蛍光スペクトル変化においては、図12に示すよう
に、駆動時において蛍光スペクトルのピーク波長は変化
しないことが確認された(これら蛍光強度変調は、累積
するLB膜の層数によって多少異なるが、80%を越え
る蛍光消光と200%を越える蛍光強度の増大が2〜2
0Vのバイアス電圧の範囲においてその駆動電圧に依存
して観測された。)。更に、同様の蛍光強度変化は、逆
バイアス時にも観察された。蛍光素子の構成における仕
事函数の関係並びに電極基板11としてn型半導体を用
いていることから、逆バイアス時にはより大きなバイア
ス電圧を必要とした。
【0054】また、上記蛍光装置及び蛍光記録媒体の蛍
光素子において、一定電流を流しながら蛍光強度を測定
したところ、10-8〜10-2Aの範囲で蛍光強度は電流
値に依存して変化した。更に、電流値が大きくなるとそ
の値に応じて注入される電荷の種類が過度的に変化し、
蛍光消光から蛍光の増大へと過度的に変化する現象も確
認された。蛍光素子の素子構成によってそのバイアス値
は異なるが、定常的にある程度のバイアス電流あるいは
電圧をかけた状態から電流値や電圧値を変化させると、
更に大きな蛍光強度の変化を引き起こすことも可能であ
った。一例として、スクエアリリウム色素J−会合体を
含む有機色素薄膜の層数を21層とした素子における、
電流値一定による駆動結果を図13に示す。図13によ
れば、各電流値に依存して蛍光強度がコントロールさ
れ、更に過度的に蛍光消光に引き続く蛍光の増大が10
mAを越える電流値によって観察される。また、10m
Aを基準とし、更に10mA(全体で20mA)流す
と、0mAからの変調よりも大きな変化が得られること
が確認された。
【0055】また、上記蛍光装置及び蛍光記録媒体の蛍
光素子において、前記した図8(a)のように、予め1
〜31層のアラキン酸カドミウムLB膜(有機色素を含
まない薄膜14)を累積したGaP電極基板(電極基板
11)上に10層のスクエアリリウム色素J−会合体を
含む有機色素LB膜(有機色素薄膜12)を形成して蛍
光素子10を形成し、上記蛍光装置と同様の駆動状態で
電圧を印加しながら蛍光強度変化を測定した。アラキン
酸LB膜の累積は、アラキン酸(C1939COOH)を
クロロホルム中に溶解して約8×10-4Mの炭酸水素カ
リウムの濃度の溶液を調整し、この溶液を2.5×10
-4Mの塩化カドミウムと3.0×10-5Mを含む純水上
に展開して、スクエアリリウム色素との混合膜と同様に
通常のLB膜作成法によって30mN/mの条件下で累
積した。
【0056】その結果、アラキン酸カドミウムLB膜の
層数に依存して同じバイアス電圧下での電流値が減少
し、GaP基板電極11側からの電荷注入が抑制される
ことが確認された。水銀上部電極13を+として電圧を
印加して水銀上部電極13からの正孔を注入することに
より、アラキン酸カドミウムLB膜を設けないものに比
べて多少バイアス電圧は高くなったものの10-12〜1
-17Aというはるかに小さな電流値において、より顕
著な蛍光の消光が観測された。すなわち、アラキン酸カ
ドミウムLB膜を設けないものに比べて、より有効に注
入電荷を作用させることができた。また、アラキン酸カ
ドミウムLB膜の層数が多くなると、バイアス電圧の印
加を止めても蛍光強度が元の強度に戻らず、蛍光消光さ
れた状態が記憶されることが確認された。そして、この
状態は、蓄積された電荷を逆バイアスによる中和あるい
はより大きな電流を流して放出させないかぎり保存さ
れ、更にその蛍光強度の変化率は注入された電荷量に依
存してアナログ的に変化し、安定で可逆的な多値の記録
媒体として利用できることを確認した。一例として、図
14に21層のアラキン酸カドミウム上に10層のスク
エアリリウム色素J−会合体を含む有機色素LB膜を形
成した蛍光素子における応答特性を示す。
【0057】また、上記蛍光装置及び蛍光記録媒体の蛍
光素子において、前記した図8(b)のようにGaP基
板電極(電極基板11)上に11層のスクエアリリウム
色素J−会合体を含む有機色素LB膜(有機色素薄膜1
2)を形成した後に、1〜31層のアラキン酸カドミウ
ムLB膜(有機色素を含まない薄膜14)を累積した蛍
光素子10を形成し、上記蛍光装置と同様の駆動状態で
電圧を印加しながら蛍光強度変化を測定した。その結
果、アラキン酸カドミウムLB膜の層数に依存して同じ
バイアス電圧下での電流値が減少し、水銀上部電極13
側からの電荷注入が抑制されることを確認した。水銀上
部電極13を+として電圧を印加してGaP基板電極
(電極基板11)側からの電子を注入することにより、
顕著な蛍光の増大が、非常に低い電荷注入により観測さ
れ、アラキン酸カドミウムLB膜のない蛍光素子構成に
比べ、より有効に注入した電荷が色素の蛍光強度変調に
利用されることを確認した。
【0058】また、アラキン酸カドミウムLB膜を設け
ていない蛍光素子では、高電圧印加あるいは高電流注入
時に過渡的に蛍光消光を経て蛍光の増大が観測されたの
に対し、この構成では直接蛍光増大が起っており、水銀
上部電極13からの正孔の注入が抑制され、GaP基板
電極(電極基板11)からの電子の注入によってのみ蛍
光強度変化が引き起こされた。更に、アラキン酸カドミ
ウムLB膜の層数が多くなると、電圧の印加を止めても
蛍光強度が元の強度に戻らず、蛍光増大した状態が記憶
されることを確認した。そして、この状態は、蓄積され
た電荷を逆バイアスによる中和あるいはより大きな電流
を流したり約60度に加熱して放出させないかぎり保存
され、更にその蛍光強度の変化率は注入された電荷量に
依存してアナログ的に変化し、安定で可逆的な多値の記
録媒体として利用できることを確認した。また、アラキ
ン酸カドミウムLB膜内に光導電性のポリビニルカルバ
ゾール10%を混入させておくと、紫外線を照射するこ
とによりアラキン酸カドミウム・ポリビニルカルバゾー
ル混合LB膜が導電性となり、電荷が中和された。一例
として、図15に11層のスクエアリリウム色素J−会
合体を含む有機色素LB膜上に21層のアラキン酸カド
ミウムを形成した蛍光素子における応答特性を示す。
【0059】また、上記蛍光装置及び蛍光記録媒体の蛍
光素子において、前記した図8(d)及び(e)のよう
にGaP電極基板(電極基板11)上に、スクエアリリ
ウム色素J−会合体を含む有機色素LB膜と色素を含ま
ないアラキン酸カドミウムLB膜を交互に1分子層ずつ
全体で5〜41層累積した蛍光素子10を形成し、上記
蛍光装置と同様の駆動状態で電圧を印加しながら蛍光強
度変化を測定した。その結果、スクエアリリウム色素J
−会合体を含む有機色素LB膜のみによる蛍光素子に比
べて、より低い電荷注入のレベルにおいてより顕著な蛍
光強度変化を実現した。すなわち、色素分子を含む層間
に絶縁性の層を設けることにより、過渡的に存在する全
体の空間電荷量が増価し、透過する電荷に対する色素分
子と相互作用する電荷の比率が向上し、より顕著な蛍光
強度変化が引き起こされる。
【0060】一例として、GaP基板電極(電極基板1
1)上に累積する第1層をスクエアリリウム色素J−会
合体を含む有機色素LB膜とし、11層のスクエアリリ
ウム色素J−会合体を含む有機色素LB膜と、10層の
アラキン酸カドミウムLB膜とを1分子層ずつ交互に形
成した蛍光素子10において、水銀上部電極13を+と
して15mAの電流を流した時の応答特性を図16に示
す。図16において、電流を流した時と流さない時とで
は、蛍光強度が3倍以上の差があり、非常に大きな変調
が実現された。また、上記例とは逆に、GaP基板電極
(電極基板11)上に累積する第1層をアラキン酸カド
ミウムLB膜とし、11層のアラキン酸カドミウムLB
膜と、10層のスクエアリリウム色素J−会合体を含む
有機色素LB膜とを1分子層ずつ交互に形成した蛍光素
子において、水銀上部電極を+として15mAの電流を
流したところ、15mAの電流で約50%の蛍光消光が
観測された。
【0061】図17は蛍光素子の他の実施例を示すもの
で、ガラス基板60上に酸化インジウム・スズ膜を積層
してITO電極61を形成し、ITO電極61上に0.
1μmの膜厚のSiO2から成る絶縁膜62を形成し、
絶縁膜62上に上述したスクエアリリウム色素J−会合
体を含む有機色素LB膜63を累積し、この有機色素L
B膜63上に水銀電極から成る上部電極64を形成して
構成されている。この蛍光素子を用いて図10のような
蛍光装置により、電極間に電圧を印加して蛍光強度を測
定した。一例として、11層のスクエアリリウム色素J
−会合体を含む有機色素LB膜63を絶縁膜62上に累
積した蛍光素子について、ITO電極61に対して上部
電極64を−1〜4V及び+1〜7V印加した時の蛍光
強度変化を図18に示す。上部電極64に+バイアスを
かけたときには有機色素LB膜63に正孔が蓄積される
ために蛍光消光が、また、−バイアスをかけたときには
有機色素LB膜63に電子が蓄積されるために蛍光強度
の増大が電圧印加時に可逆的に観測された。
【0062】また、上記図17の構成において、化2の
化学式に示すn型半導性のペリレン色素を含む有機色素
LB63膜とした場合には、ITO電極61に対して上
部電極64に+バイアスをかけたときには有機色素LB
膜63に正孔が蓄積されてp型半導性のスクエアリリウ
ム色素とは逆に蛍光強度の増大が、また、−バイアスを
かけたときには有機色素LB膜63に電子が蓄積される
ために蛍光消光が電圧印加時に可逆的に観測された。こ
の際、ペリレン色素の励起光源として488nmのアル
ゴンレーザーを使用し、蛍光強度としてはペリレン色素
の蛍光のピークである690nmを測定した。
【0063】
【化2】
【0064】図19及び図20は蛍光素子の一対の電極
を絶縁層を介して配置するとともに、この一対の電極の
一方の電極上に前記有機色素薄膜を形成した実施例を示
すもので、Si電極基板21上にSiO2 から成る絶縁
膜22を形成し、この絶縁膜22上に格子状パターンの
薄膜から成る金属電極23を形成し、金属電極23をス
クエアリリウム色素のみから成るJ−会合体を含む有機
色素薄膜24で被覆して構成されている。金属電極23
には、電圧を印加するための端子パターン23aが形成
されている。この蛍光素子を用いて蛍光装置とする場合
には、駆動系については図10に示した構成が適用でき
るが、金属電極23の開口部23bから励起光が入射し
蛍光が出射する構造であるので、光源及び受光素子を含
む光学系は、Si電極基板21に対して金属電極23側
に配置する。Si電極基板21と金属電極23との間に
±10〜100Vの電圧を印加すると、Si電極基板2
1と格子状金属電極23のエッジとの間の電界によっ
て、格子状金属電極23に囲まれた領域に対応する有機
色素薄膜部分24aに電荷が誘起され、これによって蛍
光強度が変化する。
【0065】一例として、Si電極基板21上に0.1
μmの膜厚のSiO2 絶縁膜22を形成し、ライン幅2
μm,ライン間隔2μmの格子状パターン膜から成る金
属電極23を絶縁膜22上に形成し、10分子層のスク
エアリリウム色素のみから成るJ−会合体を含む有機色
素薄膜24で金属電極23を被覆した構成の蛍光素子に
ついて、Si電極基板21に対して金属電極23を+5
0V及び−50V印加した時の蛍光強度変化を図21に
示す。この時、金属電極23に+バイアスをかけたとき
には有機色素薄膜24に正孔が蓄積されるために蛍光消
光が、また、−バイアスをかけたときには有機色素薄膜
24に電子が蓄積されるために蛍光強度の増大が電圧印
加時に可逆的に観測された。上記蛍光素子の構成によれ
ば、Si基板21のように光透過性のない基板を利用で
きるという効果がある。
【0066】上述した各実施例で説明したように、本発
明の蛍光装置及び蛍光記録媒体は、有機色素薄膜14の
構成を変えることにより、蛍光素子の駆動状態や変調効
率を容易に変更することが可能である。従って、電極材
料や有機色素材料を変更することにより、様々な用途に
使用することができ、更に、従来の素子との組み合わせ
により高機能なシステムを構築することができる。
【0067】上述した各実施例の蛍光素子を利用した蛍
光装置及び蛍光記録媒体によれば、有機色素を含む薄膜
への電圧印加による有機色素薄膜14の電子状態の変
化、すなわち、色素分子と正孔及び電子との相互作用の
変化が引き起こす蛍光強度変化を利用しているので、コ
ントラストが高く視野角の大きな光学信号を、一対の電
極と有機色素薄膜という非常に簡単な構成で且つ高い可
逆性の下で駆動させることができる。
【0068】更に、有機色素薄膜14中の色素分子と相
互作用する電荷の量に依存して、蛍光の発光効率は連続
的に変化するので、情報量の大きなアナログ値にも対応
する多値の表示処理及び記録が可能である。また、複数
の蛍光色素を用いることにより、複数の波長の蛍光強度
を同時にあるいは独立に変化させるような多重化も実現
可能である。
【0069】蛍光素子の駆動原理は、蛍光を発する色素
分子集合体の単位で成立し、これは数〜数十分子の範囲
での過程なので、各蛍光素子の微細化はnmオーダーで
実現するので、超高密度化を可能とすることができる。
【0070】
【発明の効果】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体によ
れば、電極間に電圧を印加すると、電極から有機色素薄
膜に電荷が注入され薄膜内の分子間で電荷のやり取りが
行なわれ、薄膜内の有機色素分子の電子状態が変化する
ことにより、可逆的な蛍光強度の変化が生じる。従っ
て、前記現象を利用すれば、簡単な構成で記録媒体とし
て利用でき、また、励起光を照射させれば、表示装置又
はスイッチング素子として利用することができる。更
に、電荷と色素分子との電気的な相互作用により蛍光強
度を変化させているので、有機色素薄膜に損傷を与える
ことがなく繰り返し安定性に優れ且つ高効率な蛍光装置
及び蛍光記録媒体とすることができる。
【0071】また、有機色素分子に会合体を導入するこ
とにより、蛍光強度の変化の割合を大きくすることがで
き、よりコントラストの高い蛍光装置及び蛍光記録媒体
とすることができる。
【0072】また、有機色素薄膜のいずれか一方又は両
方の界面に有機色素を含まない薄膜層を形成したり、有
機色素を含む薄膜層と有機色素を含まない薄膜層とを交
互に積層することにより、蛍光強度の変化方向や強度変
化を単調増加若しくは減少させることができ、様々な使
用形態に適した蛍光装置及び蛍光記録媒体を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体における
蛍光素子の電極配置の一例を示す断面説明図である。
【図2】 本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体における
蛍光素子の電極配置の他の例を示す断面説明図である。
【図3】 蛍光素子の上部電極を薄膜とした場合の断面
説明図である。
【図4】 蛍光素子の上部電極を平板電極とした場合の
断面説明図である。
【図5】 蛍光素子の上部電極を針型電極とした場合の
断面説明図である。
【図6】 蛍光装置及び蛍光記録媒体における光学配置
を示す説明図であり、(a)は有機色素薄膜の励起光及
び蛍光が上部電極を透過する構造を示し、(b)は有機
色素薄膜の励起光が上部電極を透過し蛍光が電極基板を
透過する構造を示し、(c)は有機色素薄膜の励起光が
電極基板を透過し蛍光が上部電極を透過する構造を示
し、(d)は有機色素薄膜の励起光及び蛍光が電極基板
を透過する構造を示している。
【図7】 蛍光装置及び蛍光記録媒体において電極基板
を導波路とした場合の光学配置を示す説明図であり、
(a)は励起光を電極基板に導波させた構造を示し、
(b)は蛍光を電極基板に導波させた構造を示し、
(c)は励起光及び蛍光を電極基板に導波させた構造を
示している。
【図8】 (a)ないし(e)は蛍光素子の有機色素薄
膜の構造例を示すもので、有機色素薄膜の一方又は両側
面に色素を含まない膜を形成した構造や、有機色素薄膜
と色素を含まない膜とを交互に積層した構造をそれぞれ
示している。
【図9】 (a)ないし(d)は蛍光素子において駆動
又は記録書き込み消去時の電荷注入の状況を示す概念説
明図である。
【図10】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体の一実施
例を示す構成説明図である。
【図11】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に9分子層のスクエアリリウ
ム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成した
蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板との間に定電圧
を印加した駆動状態における蛍光強度変化を示す特性図
である。
【図12】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に11分子層のスクエアリリ
ウム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成し
た蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板との間に定電
圧を印加した状態と電圧を印加しない状態における蛍光
スペクトル変化を示す特性図である。
【図13】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に21分子層のスクエアリリ
ウム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成し
た蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板との間に一定
電流を流した駆動状態における蛍光強度変化を示す特性
図である。
【図14】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に21分子層のアラキン酸カ
ドミウムLB膜を形成し、更に10分子層のスクエアリ
リウム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成
した蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板との間に定
電圧を印加した駆動状態における蛍光強度変化を示す特
性図である。
【図15】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に11分子層のスクエアリリ
ウム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成
し、更に21分子層のアラキン酸カドミウムLB膜を形
成した蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板との間に
定電圧を印加した駆動状態における蛍光強度変化を示す
特性図である。
【図16】図10の蛍光装置及び蛍光記録媒体におい
て、n型GaP電極基板上に11分子層のスクエアリリ
ウム色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜と、10
分子層のアラキン酸カドミウムLB膜とを一分子層毎に
交互に形成した蛍光素子を使用し、上部電極と電極基板
との間に定電圧を印加した駆動状態における蛍光強度変
化を示す特性図である。
【図17】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体に使用さ
れる蛍光素子の他の実施例を示す断面説明図である。
【図18】図17の蛍光素子において、ITO電極上に
SiO2 絶縁膜を介して11分子層のスクエアリリウム
色素とアラキン酸カドミウムの混合LB膜を形成し、上
部電極とITO電極との間に定電圧を印加した駆動状態
における蛍光強度変化を示す特性図である。
【図19】本発明の蛍光装置及び蛍光記録媒体に使用さ
れる蛍光素子の他の実施例を示す平面説明図である。
【図20】図19の蛍光素子におけるX−X線断面説明
図である。
【図21】図19及び図20の蛍光素子において、Si
電極基板上にSiO2 絶縁膜,格子状の金属電極,10
分子層のスクエアリリウム色素LB膜を順次形成し、金
属電極とSi電極基板との間に定電圧を印加した駆動状
態における蛍光強度変化を示す特性図である。
【図22】従来の有機EL素子の基本構成を示す構成説
明図であり、(a)は発光層と陽極との間に正孔輸送層
を設けた構造を示し、(b)は発光層と陰極との間に電
子輸送層を設けた構造を示し、(c)は正孔輸送層と電
子輸送層の両方を設けた構造を示している。
【図23】従来のカラー液晶表示装置の構造を示す構成
説明図である。
【図24】従来の記録媒体の断面説明図である。
【符号の説明】
10…蛍光素子、 11…電極基板、 12…有機色素
薄膜、 13…上部電極、 14…有機色素を含まない
薄膜、 15…正孔、 16…電子、 21…電極基
板、 22…絶縁膜、 23…金属電極(メッシュ状電
極)、 24…有機色素薄膜、 30…励起光源、 3
1…励起光、 32…分光フィルター、41…蛍光、
42…分光フィルター、 43…光ファイバー、 44
…受光装置、 52…電源、 60…ガラス基板、 6
1…ITO電極、 62…絶縁膜、 63…有機色素L
B膜、 64…上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−241273(JP,A) 特開 平4−25823(JP,A) 特開 平5−3080(JP,A) 特開 昭63−161552(JP,A) 特開 平3−245490(JP,A) 特開 平3−263633(JP,A) 特開 平3−119536(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28 G11B 9/14 G09F 9/30

Claims (38)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極間に印加される電圧により有
    機色素薄膜内の電荷量を変化させ、光源により前記有機
    色素薄膜を励起して発生する蛍光の効率を、前記電荷量
    の変化に応じて増減させることを特徴とする蛍光方法。
  2. 【請求項2】 有機色素薄膜と、該有機色素薄膜に電圧
    を印加するように配置された一対の電極と、前記有機色
    素薄膜を励起して蛍光を発生させる光源とを具備し、 前記電極間に印加される電圧による前記有機色素薄膜内
    の電荷量の変化に応じて前記蛍光の効率を増減させるこ
    とを特徴とする蛍光装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記一対の電極間に
    前記有機色素薄膜を配置してなる蛍光装置。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記一対の何れか一
    方の電極が、有機色素を含まない薄膜を介して配置され
    るとともに、前記一対の電極の一方の電極上に前記有機
    色素薄膜を形成してなる蛍光装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記一対の電極の一
    方の電極を格子状電極とし、この格子状電極に囲まれた
    領域に対応する前記有機色素薄膜に電圧を印加する蛍光
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし請求項5において、有機
    色素薄膜の膜厚が10〜5000オングストロームであ
    る蛍光装置。
  7. 【請求項7】 請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜が有機π-電子共役系色素からなる蛍光装置。
  8. 【請求項8】 請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がJ−会合体を形成した有機π-電子共役系色
    素からなる蛍光装置。
  9. 【請求項9】 請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がp型有機半導性色素からなる蛍光装置。
  10. 【請求項10】請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がスクエアリリウム色素からなる蛍光装置。
  11. 【請求項11】請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がJ−会合体を形成したスクエアリリウム色素
    からなる蛍光装置。
  12. 【請求項12】請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がn型有機半導性色素からなる蛍光装置。
  13. 【請求項13】請求項2ないし請求項6において、有機
    色素薄膜がペリレン色素からなる蛍光装置。
  14. 【請求項14】請求項2ないし請求項5において、有機
    色素薄膜は該有機色素を含まない薄膜上に形成してなる
    蛍光装置。
  15. 【請求項15】請求項2ないし請求項5において、有機
    色素薄膜上に該有機色素を含まない薄膜を形成してなる
    蛍光装置。
  16. 【請求項16】請求項14又は請求項15において、有
    機色素薄膜と有機色素を含まない薄膜とを交互に積層し
    てなる蛍光装置。
  17. 【請求項17】請求項14又は請求項15において、有
    機色素を含まない薄膜は絶縁性薄膜で形成される蛍光装
    置。
  18. 【請求項18】請求項17において、絶縁性薄膜を10
    〜5000オングストロームの膜厚のアラキン酸カドミ
    ウムで形成した蛍光装置。
  19. 【請求項19】請求項17において、絶縁性薄膜を50
    〜10000オングストロームの膜厚のSiO2で形成
    した蛍光装置。
  20. 【請求項20】請求項14ないし請求項16において、
    有機色素を含まない薄膜は電荷輸送性薄膜で形成される
    蛍光装置。
  21. 【請求項21】請求項2ないし請求項5において、前記
    一対の電極の少なくとも一方の電極から注入された電荷
    によって前記有機色素薄膜内の電荷量を変化させる蛍光
    装置。
  22. 【請求項22】請求項2ないし請求項5において、前記
    一対の電極の少なくとも一方の電極から注入された電荷
    によって前記有機色素薄膜内の電荷量を変化させ、他方
    の電極から注入された電荷によって前記有機色素薄膜内
    の電荷量を戻す蛍光装置。
  23. 【請求項23】請求項2ないし請求項5において、電極
    から注入された一方の極性の電荷の蓄積によって前記蛍
    光の効率を増減させる蛍光装置。
  24. 【請求項24】請求項9おいて、p型半導性色素を含む
    有機色素薄膜に負電荷を蓄積させることにより蛍光の効
    率を増大させ、p型半導性色素を含む有機色素薄膜に正
    電荷を蓄積させることにより蛍光の効率を減少させる蛍
    光装置。
  25. 【請求項25】請求項10又は請求項11おいて、スク
    エアリリウム色素を含む有機色素薄膜に負電荷を蓄積さ
    せることにより蛍光の効率を増大させ、スクエアリリウ
    ム色素を含む有機色素薄膜に正電荷を蓄積させることに
    より蛍光の効率を減少させる蛍光装置。
  26. 【請求項26】請求項12おいて、n型半導性色素を含
    む有機色素薄膜に正電荷を蓄積させることにより蛍光の
    効率を増大させ、n型半導性色素を含む有機色素薄膜に
    負電荷を蓄積させることにより蛍光の効率を減少させる
    蛍光装置。
  27. 【請求項27】請求項13おいて、ペリレン色素を含む
    有機色素薄膜に正電荷を蓄積させることにより蛍光の効
    率を増大させ、ペリレン色素を含む有機色素薄膜に負電
    荷を蓄積させることにより蛍光の効率を減少させる蛍光
    装置。
  28. 【請求項28】請求項2ないし請求項27の蛍光装置を
    用いた表示装置。
  29. 【請求項29】請求項2ないし請求項27の蛍光装置を
    用いたスイッチング装置。
  30. 【請求項30】光源により有機色素薄膜を励起したとき
    の蛍光強度を制御するために、一対の電極間に印加され
    る電圧により前記有機色素薄膜内の電荷を蓄積させ、前
    記有機色素薄膜の蛍光の効率を前記電荷の蓄積に応じて
    変化させて記録を行うことを特徴とする蛍光記録方法。
  31. 【請求項31】光源により励起して蛍光を生じさせるこ
    とにより記録が読み出される蛍光記録媒体であって、前
    記蛍光を生ずる有機色素薄膜と、該有機色素薄膜に電圧
    を印加するように配置された一対の電極とを具備し、 前記電極間に印加される電圧により前記有機色素薄膜内
    の電荷を蓄積して有機色素薄膜の蛍光の効率を変化させ
    ることを特徴とする蛍光記録媒体。
  32. 【請求項32】請求項31において、有機色素薄膜が電
    極基板上に形成された蛍光記録媒体。
  33. 【請求項33】請求項31の蛍光記録媒体を励起して蛍
    光を発光させる光源を用いることにより、有機色素薄膜
    内に蓄積した電荷による蛍光の変化を、前記光源によっ
    て励起し、蛍光の強度を検出することにより蛍光記録媒
    体に記録された記録状態を読み出すことを特徴とする蛍
    光記録読み出し方法。
  34. 【請求項34】請求項31の蛍光記録媒体と、該蛍光記
    録媒体を励起して蛍光を発光させる光源とを有する蛍光
    記録読み出し装置。
  35. 【請求項35】光源により励起して蛍光を生ずる有機色
    素薄膜と、該有機色素薄膜に電圧を印加するように配置
    された一対の電極とを具備し、前記蛍光による蛍光強度を制御するために 前記電極間に
    印加される電圧により前記有機色素薄膜内に蓄積された
    電荷を、前記電極間に印加された電圧と逆バイアスの電
    圧を印加することにより消失させることを特徴とする蛍
    光記録消去方法。
  36. 【請求項36】光源により励起して蛍光を生ずる有機色
    素薄膜と、該有機色素薄膜に電圧を印加するように配置
    された一対の電極とを具備し、前記蛍光による蛍光強度を制御するために 前記電極間に
    印加される電圧により前記有機色素薄膜内に蓄積された
    電荷を、加熱することにより消失させることを特徴とす
    る蛍光記録消去方法。
  37. 【請求項37】光源により励起して蛍光を生ずる有機色
    素薄膜と、該有機色素薄膜に電圧を印加するように配置
    された一対の電極とを具備し、前記蛍光による蛍光強度を制御するために 前記電極間に
    印加される電圧により前記有機色素薄膜内に蓄積された
    電荷による有機色素薄膜の蛍光の効率の変化を、有機色
    素分子の励起波長より短波長の光を照射する光源により
    励起させることにより消失させることを特徴とする蛍光
    記録消去方法。
  38. 【請求項38】請求項31又は請求項32において、前
    記有機色素薄膜は、21分子層のアラキン酸カドミウム
    からなる薄膜上に形成された10分子層のスクエアリリ
    ウム色素J−会合体で形成された蛍光記録媒体。
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