JP3301967B2 - 笠コンクリートブロック - Google Patents

笠コンクリートブロック

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JP3301967B2
JP3301967B2 JP19378698A JP19378698A JP3301967B2 JP 3301967 B2 JP3301967 B2 JP 3301967B2 JP 19378698 A JP19378698 A JP 19378698A JP 19378698 A JP19378698 A JP 19378698A JP 3301967 B2 JP3301967 B2 JP 3301967B2
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重一 畠中
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株式会社ケンチ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河岸、海岸等の護
岸工事等において、矢板壁上部に笠コンクリートを構築
する際に使用される笠コンクリートブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、河岸、海岸等を鋼製矢板を用いて
護岸する場合においては、一般的に河岸に沿って連続打
設された鋼矢板の上部の腐食防止、及び景観の向上を目
的として笠コンクリートが設けられる。
【0003】この笠コンクリートを鋼矢板の上部に構築
する方法としては、例えば図8、9に示されるような方
法がある。以下図面に基づいて説明すると、まず図8に
示されるように河岸に沿って連続打設された鋼矢板01
により形成される鋼矢板壁011の陸A側に、開口部0
3が形成された天板04と、該天板04の前端より垂下
された前側板05と、該前側板05の下端より水平後方
に突設し、先端が連接によって形成される鋼矢板01側
面の凹凸部に挿嵌可能な凹凸部06が形成された底板0
7とから構成される笠コンクリートブロック02の天板
04の後部を支持する後側板08を垂設するとともに、
鋼矢板01上端には支持手段010を設けておく。
【0004】次に前述のように構成される笠コンクリー
トブロック02を、図8のようにクレーン(図示略)等
によりを吊り下げ、支持手段010及び後側板08を介
して支持されるように鋼矢板壁011の上端部長手方向
にわたって敷設し、隣接する笠コンクリートブロック0
2同士、及び笠コンクリートブロック02の天板04の
後部と後側板08の上部とを連結する。このように笠コ
ンクリートブロック02が鋼矢板01の上端部に連設さ
れた後、笠コンクリートブロック02の開口部03から
生コンクリートが流し込まれ、これを養生させて鋼矢板
壁の笠コンクリートの施工が完了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな笠コンクリートブロックを用いて笠コンクリートを
構築する場合、笠コンクリートブロック02の内部に生
コンクリートが流し込まれると、鋼矢板01より川B側
に流入された生コンクリートの荷重が底板07に加わる
ことにより笠コンクリートブロックの重心が前側板側に
偏るため、笠コンクリートブロック02の天板04の後
部が押し上げられ、後側板08との接続部が開かれてし
まい、その部分から生コンクリートが洩れ出したり、あ
るいは笠コンクリートブロック02が鋼矢板壁011の
上端部より逸脱してしまう恐れがあった。
【0006】そこで、生コンクリートが養生されるまで
の間、底板07の下面を鋼矢板01に固着された支持金
具09(図9参照)等で下方から支持するといった方法
が考えられるが、底板07は鋼矢板01の川B側に位置
しているため、支持金具09の固設が難しく、また危険
であるばかりか、施工後に外部に露出して景観が損なわ
れるといった問題があった。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、鋼矢板壁の上端部に、容易に、かつ安全
に笠コンクリートを構築することが出来る笠コンクリー
トブロックを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の笠コンクリートブロックは、鋼矢板を連続
打設することにより構築される鋼矢板壁の上部周囲を囲
繞するように設けられ、内部に生コンクリートを打設す
ることにより、前記鋼矢板壁の上部に笠コンクリートを
形成出来る笠コンクリートブロックであって、前記笠コ
ンクリートブロックの上面部所定箇所には、内部と連通
する開口部が少なくとも1つ設けられており、該開口部
を介して内部に生コンクリートを流入できるようになっ
ているとともに、この開口部は、前記鋼矢板壁の陸側か
側に向かって先細り状に形成されていることを特徴
としている。この特徴によれば、生コンクリートの打設
時において、開口部を通過する生コンクリートの量は常
に陸側が多くなり、笠コンクリートブロック内の陸側か
ら先に充填されていくため、笠コンクリートブロックの
重心を陸側寄りに保持出来る。よって笠コンクリートブ
ロックは特に側に傾きにくくなり、鋼矢板壁の上端部
からの逸脱が防止されるため、安全である。
【0009】本発明の笠コンクリートは、前記開口部
が、前記上面部の天板における長手方向中心位置よりも
陸側寄りに形成されていることが好ましい。このように
することで、生コンクリートの流入位置が笠コンクリー
トブロックにおける陸側寄りになるため、重心がより陸
側寄りに保持される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の鋼矢板壁の笠コン
クリートの施工方法を図面に基づいて説明していくと、
まず図1には、河岸に沿って複数本の鋼矢板1が連続打
設されることにより形成された鋼矢板壁10の上部に笠
コンクリートブロック2が連設された状態が示されてお
り、図中笠コンクリートブロック2を挟んで左側が陸A
側、右側が川B側になっている。
【0011】本発明に適用される笠コンクリートブロッ
ク2は、図1及び図2に示されるように、複数の開口部
3が形成された天板4と、該天板4の前端より垂下され
た前側板5と、この前側板5の下端より鋼矢板壁10方
向に水平に突設され、先端が鋼矢板壁10の側面の凹凸
部6に嵌合可能な凹凸部7が形成された底板8と、天板
4の後端より垂下される後側板9とが一体形成されてな
るプレキャストコンクリート製のブロックである。
【0012】図2における符号11は、後述のように笠
コンクリートブロック2を鋼矢板壁10の上端に載置す
る際に天板4の下面を支持する支持手段であり、鋼矢板
1の上端に固着されるナット11aと、このナット11
a内に螺合するボルト11bとから構成されている。こ
のボルト11bは所定長さを有しており、高さ調節が出
来るようになっているため、河岸に沿って連続打設され
た鋼矢板1の上端の高さ位置がそれぞれ異なっていて
も、複数のボルト11bをもって笠コンクリートブロッ
ク2を前後左右方向略水平な状態で載置することが出来
るようになっている。
【0013】本実施例における開口部3は、川B側に向
かって先細る略三角形状に形成されており、長手方向に
複数形成されている。さらに開口部3は、天板4におけ
る長手方向中心位置よりもやや陸A側寄りに形成されて
いる。
【0014】また、本実施例においては、図2に示され
るように笠コンクリートブロック2の底板8の先端面8
aに予めゴム製等のスペーサ12が固着されている。そ
して敷設時にこのスペーサ12を鋼矢板壁10の側面に
当接させることで、先端面8aと鋼矢板壁10の側面と
の間の間隙からのコンクリートの流出が防止されるとと
もに、当接による衝撃を吸収して笠コンクリートブロッ
ク2の破損が防止されるようになっている。
【0015】次に、上述のように構成された笠コンクリ
ートブロック2を用いた鋼矢板壁の笠コンクリートの施
工手順を図面に基づいて説明する。
【0016】先ず、従来の技術において説明したよう
に、河川敷等の護岸工事に際し、複数の鋼矢板1を、相
互に連接されるように河岸に沿って連続打設し、鋼矢板
壁10を構築する。
【0017】次に、所定の鋼矢板1の上端部に、各笠コ
ンクリートブロック2の天板4の下面を支持すべく支持
手段11が笠コンクリートブロック2に対応して取付け
られ、各ボルト11bの上端が予め所定高さ位置に設定
される。なお、本実施例においてナット11aは鋼矢板
1の上端部に対して溶接にて固着されるが、固着方法は
溶接以外の方法により行われてもよい。
【0018】そして笠コンクリートブロック2は、該ブ
ロック2の単体毎に牽引ロープにより吊上げられ(例え
ば従来の図5参照)、連設された鋼矢板壁10の上端
に、支持手段11を介して敷設される。
【0019】そして図3に示されるように生コンクリー
トが開口部3を介して笠コンクリートブロック2内に流
し込まれる。この時、生コンクリートは鋼矢板壁10の
陸A側、川B側にそれぞれ流入されるが、前述のように
開口部3の開口面積は陸A側より川B側が小さくなって
いるため、川B側への生コンクリートの流入量が絞ら
れ、陸A側には川B側より多くの生コンクリートが流入
される。
【0020】よって生コンクリートは笠コンクリートブ
ロック2内における鋼矢板壁10の川B側よりも陸A側
に先に多く充填されていくため、底板8に生コンクリー
トの荷重が加わっても、重心は川B側に偏りにくくなっ
ている。このように笠コンクリートブロック2内の陸A
側と川B側とに流入される生コンクリートの流量が開口
部3により調整されることにより、生コンクリートの流
入時、もしくは生コンクリートの養生時において、笠コ
ンクリートブロック2が特に川B側に傾きにくく、鋼矢
板壁10の上端部からの逸脱等が防止される。
【0021】最後に図4に示されるように、笠コンクリ
ートブロック2内に生コンクリートが充填された後、開
口部3内の生コンクリートをならし、生コンクリートを
養生する。そして生コンクリートが硬化された後、陸A
側には笠コンクリートブロック2の天板4上面とほぼ同
高さ位置まで土砂が積層され、その上面にコンクリート
を打設してコンクリート層等を形成することで、笠コン
クリートの施工が完了する。
【0022】また、図5〜7には本発明の他の実施例と
しての笠コンクリートブロック2が示されている。これ
ら図面に示されるように、開口部3の形状は、陸A側か
ら川B側に向かって先細り形状に形成されていれば、前
述の実施例の開口部3と同様の作用・効果を奏するた
め、その形状は略三角形状に限定されるものではなく、
種々に変形可能である。
【0023】以上、本発明の実施形態を図面によって説
明してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られ
るものではなく、例えば「川B側」と説明してある部分
は、海岸等の護岸工事等においては「海側」を意味する
ことは当然であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
ける変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0024】例えば、1つの笠コンクリートブロック2
内に形成される開口部3の大きさ、数等は任意であり、
1つ、もしくは複数形成されていてもよい。
【0025】また、笠コンクリートブロック2の形状等
も限定されるものでなく、種々の形状のものを使用して
もよい。
【0026】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
【0027】(a)請求項1の発明によれば、生コンク
リートの打設時において、開口部を通過する生コンクリ
ートの量は常に陸側が多くなり、笠コンクリートブロッ
ク内の陸側から先に充填されていくため、笠コンクリー
トブロックの重心を陸側寄りに保持出来る。よって笠コ
ンクリートブロックは特に川もしくは海側に傾きにくく
なり、鋼矢板壁の上端部からの逸脱が防止されるため、
安全である。
【0028】(b)請求項2の発明によれば、生コンク
リートの流入位置が笠コンクリートブロックにおける陸
側寄りになるため、重心がより陸側寄りに保持される。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての笠コンクリートブロッ
クを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の笠コンクリートブロック内に生コンクリ
ートが流し込まれている状態を示す断面図である。
【図4】施工完了後の笠コンクリートを示す断面図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例としての笠コンクリートブ
ロックを示す平面図である。
【図6】同じく本発明の他の実施例としての笠コンクリ
ートブロックを示す平面図である。
【図7】同じく本発明のさらに他の実施例としての笠コ
ンクリートブロックを示す平面図である。
【図8】従来の笠コンクリートブロックの施工状態を示
す斜視図である。
【図9】従来の笠コンクリートブロックが鋼矢板壁の上
端部に敷設された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼矢板 2 笠コンクリートブロック 3 開口部 4 天板(上面部) 5 前側板 6、7 凹凸部 8 底板 8a 先端面 9 後側板 10 鋼矢板壁 11 支持部材 11a ナット 11b ボルト 12 スペーサ A 陸側 B 川側(壁側)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02B 3/06 E02D 5/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼矢板を連続打設することにより構築さ
    れる鋼矢板壁の上部周囲を囲繞するように設けられ、内
    部に生コンクリートを打設することにより、前記鋼矢板
    壁の上部に笠コンクリートを形成出来る笠コンクリート
    ブロックであって、 前記笠コンクリートブロックの上面部所定箇所には、内
    部と連通する開口部が少なくとも1つ設けられており、
    該開口部を介して内部に生コンクリートを流入できるよ
    うになっているとともに、この開口部は、前記鋼矢板壁
    の陸側から側に向かって先細り状に形成されているこ
    とを特徴とする笠コンクリートブロック。
  2. 【請求項2】 前記開口部が、前記上面部の天板におけ
    る長手方向中心位置よりも陸側寄りに形成されている請
    求項1に記載の笠コンクリートブロック。
JP19378698A 1998-06-24 1998-06-24 笠コンクリートブロック Expired - Lifetime JP3301967B2 (ja)

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