JP3301866B2 - 高分子感温体、その製造方法および感熱ヒータ線 - Google Patents
高分子感温体、その製造方法および感熱ヒータ線Info
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- JP3301866B2 JP3301866B2 JP19077194A JP19077194A JP3301866B2 JP 3301866 B2 JP3301866 B2 JP 3301866B2 JP 19077194 A JP19077194 A JP 19077194A JP 19077194 A JP19077194 A JP 19077194A JP 3301866 B2 JP3301866 B2 JP 3301866B2
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- polymer
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に電気採暖器具の線
状温度センサとして用いられる高分子感温体およびその
製造方法に関するものである。この高分子感温体は、電
気カーペット、床暖房、電気毛布などの電気暖房器具の
温度センサや感熱ヒータ線に利用される。本発明は、ま
たそのような電気暖房器具の感熱ヒータ線に関する。
状温度センサとして用いられる高分子感温体およびその
製造方法に関するものである。この高分子感温体は、電
気カーペット、床暖房、電気毛布などの電気暖房器具の
温度センサや感熱ヒータ線に利用される。本発明は、ま
たそのような電気暖房器具の感熱ヒータ線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気毛布、電気カーペット等の電
気採暖器具に用いる温度制御方式には、可撓性線状の温
度検知線とヒータ線という別個の二本の線を用いる二線
式方式と、これらを一体化した感熱ヒータ線を用いる一
線式方式とがある。これらの温度制御方式は、高分子感
温体を温度センサ材料として用い、広い面積中の局所過
熱を優先的に検出する方法として、国内における布製電
気採暖器具のほとんどに採用されている。ここに用いる
温度センサは、スパイラル状にした一対の電極線間に高
分子感温体を配設して構成された可撓性電線で、その長
さ方向に一並列等価回路を持つセンサである。一方、ヒ
ータはその線の長さ方向に通電加熱されヒータとされて
いる。
気採暖器具に用いる温度制御方式には、可撓性線状の温
度検知線とヒータ線という別個の二本の線を用いる二線
式方式と、これらを一体化した感熱ヒータ線を用いる一
線式方式とがある。これらの温度制御方式は、高分子感
温体を温度センサ材料として用い、広い面積中の局所過
熱を優先的に検出する方法として、国内における布製電
気採暖器具のほとんどに採用されている。ここに用いる
温度センサは、スパイラル状にした一対の電極線間に高
分子感温体を配設して構成された可撓性電線で、その長
さ方向に一並列等価回路を持つセンサである。一方、ヒ
ータはその線の長さ方向に通電加熱されヒータとされて
いる。
【0003】これらの中でも一線式方式は、採暖機器内
に一本の感熱ヒータ線を配線すればよいという特徴を持
ち、それ一本で温度検知機能のほかヒータや保安用温度
ヒューズの機能も兼ねている。この一線式方式に用いる
高分子感温体には、上記の温度ヒューズ機能の他に、高
い耐熱性が要求され、高性能なセンサ材料が望まれてい
た。そこで、例えば、ヨウ化亜鉛を添加した高分子感温
体(特開昭58−215449号公報)、ヨウ化ニッケ
ル、ヨウ化コバルトなどを添加した高分子感温体(特開
昭60−106101〜106106号公報)などが提
案されている。
に一本の感熱ヒータ線を配線すればよいという特徴を持
ち、それ一本で温度検知機能のほかヒータや保安用温度
ヒューズの機能も兼ねている。この一線式方式に用いる
高分子感温体には、上記の温度ヒューズ機能の他に、高
い耐熱性が要求され、高性能なセンサ材料が望まれてい
た。そこで、例えば、ヨウ化亜鉛を添加した高分子感温
体(特開昭58−215449号公報)、ヨウ化ニッケ
ル、ヨウ化コバルトなどを添加した高分子感温体(特開
昭60−106101〜106106号公報)などが提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高分子感温体
には、1)優れた耐熱性のほか、2)高いサーミスタB
定数をもつこと、3)直流分極による経時変化をしない
こと、が要求されているが、上記引例はこれらの特性を
すべて満足する材料ではなく、より優れた材料が望まれ
ていた。本発明は、上記の要求を満たす優れた温度セン
サ材料を提供することを目的としている。また、本発明
は、低温特性の改善された高分子感温体を提供すること
を目的としている。さらに、本発明は、そのような優れ
た高分子感温体を用いた感熱ヒータ線を提供することを
目的としている。
には、1)優れた耐熱性のほか、2)高いサーミスタB
定数をもつこと、3)直流分極による経時変化をしない
こと、が要求されているが、上記引例はこれらの特性を
すべて満足する材料ではなく、より優れた材料が望まれ
ていた。本発明は、上記の要求を満たす優れた温度セン
サ材料を提供することを目的としている。また、本発明
は、低温特性の改善された高分子感温体を提供すること
を目的としている。さらに、本発明は、そのような優れ
た高分子感温体を用いた感熱ヒータ線を提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子感温体
は、酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有する熱安定
性ナイロン12組成物中に、難溶性ルイス酸金属イオン
発生剤と、前記ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付
与剤とを含み、前記ナイロン12組成物中で前記ルイス
酸金属イオンにアミド基が配位した構成を有する。ここ
で、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤は、金属カルボン
酸塩、金属水酸化物および燐酸金属塩よりなる群から選
ばれる化合物の粒径1μm以下の超微粒子よりなり、ナ
イロン12マトリクスとの界面でルイス酸金属イオンが
微量可溶化されるものが好ましい。また、相溶性導電付
与剤としては、フェノール化合物のルイス酸金属塩ある
いはルイス酸金属のヨウ化物であることが好ましい。
は、酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有する熱安定
性ナイロン12組成物中に、難溶性ルイス酸金属イオン
発生剤と、前記ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付
与剤とを含み、前記ナイロン12組成物中で前記ルイス
酸金属イオンにアミド基が配位した構成を有する。ここ
で、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤は、金属カルボン
酸塩、金属水酸化物および燐酸金属塩よりなる群から選
ばれる化合物の粒径1μm以下の超微粒子よりなり、ナ
イロン12マトリクスとの界面でルイス酸金属イオンが
微量可溶化されるものが好ましい。また、相溶性導電付
与剤としては、フェノール化合物のルイス酸金属塩ある
いはルイス酸金属のヨウ化物であることが好ましい。
【0006】さらに、本発明に用いる熱安定性ナイロン
12組成物は、ナイロン12よりガラス転移点が30℃
以上低いポリアミド変性体を10〜50重量%含んでな
ることが好ましい。そのポリアミド変性体は、ナイロン
n(n:8以上の数字)の繰り返し単位中にN−アルキ
ル置換アミド基あるいはN−アルコキシ置換アミド基を
有する重合体であることが好ましく、この置換基成分を
熱安定性ナイロン12組成物中に10〜50モル%(モ
ル%:置換基成分の全アミド基に対する%)含んでなる
ことが好ましい。また、熱安定性ナイロン12組成物
が、ヒドロキシ安息香酸エステル構造単位を有する化合
物を含有し、ナイロン12より30℃以上低いガラス転
移点を有することが好ましい。
12組成物は、ナイロン12よりガラス転移点が30℃
以上低いポリアミド変性体を10〜50重量%含んでな
ることが好ましい。そのポリアミド変性体は、ナイロン
n(n:8以上の数字)の繰り返し単位中にN−アルキ
ル置換アミド基あるいはN−アルコキシ置換アミド基を
有する重合体であることが好ましく、この置換基成分を
熱安定性ナイロン12組成物中に10〜50モル%(モ
ル%:置換基成分の全アミド基に対する%)含んでなる
ことが好ましい。また、熱安定性ナイロン12組成物
が、ヒドロキシ安息香酸エステル構造単位を有する化合
物を含有し、ナイロン12より30℃以上低いガラス転
移点を有することが好ましい。
【0007】本発明の感熱ヒータ線は、一方がヒータ線
を兼用する一対の金属線電極、および前記金属線電極間
に介在させた高分子感温体の層からなり、その高分子感
温体中のルイス酸金属イオンが、ニッケル、クロムおよ
び亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の
イオンであり、かつ正の電界が印加される側の金属線電
極は少なくともその表面が前記ルイス酸金属イオンと同
一の金属元素で構成されている。ここに用いる具体的な
好ましい金属線電極としては、亜鉛被覆銅線、ニッケル
被覆銅線、クロム被覆銅線、真鍮、Cu−Zn合金など
がある。
を兼用する一対の金属線電極、および前記金属線電極間
に介在させた高分子感温体の層からなり、その高分子感
温体中のルイス酸金属イオンが、ニッケル、クロムおよ
び亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の
イオンであり、かつ正の電界が印加される側の金属線電
極は少なくともその表面が前記ルイス酸金属イオンと同
一の金属元素で構成されている。ここに用いる具体的な
好ましい金属線電極としては、亜鉛被覆銅線、ニッケル
被覆銅線、クロム被覆銅線、真鍮、Cu−Zn合金など
がある。
【0008】本発明の高分子感温体の製造方法は、難溶
性ルイス酸金属イオン発生剤と、ルイス酸金属イオンを
含む相溶性導電付与剤との共沈粉体を前もって形成し、
次いでナイロン12と酸化防止剤の亜燐酸エステルと前
記共沈粉体とをミキサーにて混合した後、押し出し機に
て前記ナイロン12の溶融温度で混練して樹脂組成物ペ
レットを形成するものである。
性ルイス酸金属イオン発生剤と、ルイス酸金属イオンを
含む相溶性導電付与剤との共沈粉体を前もって形成し、
次いでナイロン12と酸化防止剤の亜燐酸エステルと前
記共沈粉体とをミキサーにて混合した後、押し出し機に
て前記ナイロン12の溶融温度で混練して樹脂組成物ペ
レットを形成するものである。
【0009】
【作用】上記構成よりなる本発明の高分子感温体は、極
めて優れた耐熱寿命特性を有するものである。酸化防止
剤としての亜燐酸エステルは、熱安定性をナイロン12
組成物に与える。本発明におけるルイス酸金属イオンと
は、ルイス酸の性質を有する金属イオンで、電子対受容
性を有し、ルイス塩基から不対電子を受容して配位結合
を形成する性質を有する。ルイス酸としては、一般にA
lCl3、ZnCl2、FeCl3、BF3、SnCl4な
どの金属ハロゲン化物が最もよく知られ、中心金属が電
子対を受容する性質を有する。トリメチルホウ素のよう
な有機金属のルイス酸も各種ある。本発明におけるルイ
ス酸金属イオンとしては、ニッケル、クロムおよび亜鉛
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオン
であることが好ましい。明確には解っていないが、ルイ
ス酸金属イオンの酸性度は強い方が好ましく、原子価は
混合原子価金属の方が好ましいと考えられる。
めて優れた耐熱寿命特性を有するものである。酸化防止
剤としての亜燐酸エステルは、熱安定性をナイロン12
組成物に与える。本発明におけるルイス酸金属イオンと
は、ルイス酸の性質を有する金属イオンで、電子対受容
性を有し、ルイス塩基から不対電子を受容して配位結合
を形成する性質を有する。ルイス酸としては、一般にA
lCl3、ZnCl2、FeCl3、BF3、SnCl4な
どの金属ハロゲン化物が最もよく知られ、中心金属が電
子対を受容する性質を有する。トリメチルホウ素のよう
な有機金属のルイス酸も各種ある。本発明におけるルイ
ス酸金属イオンとしては、ニッケル、クロムおよび亜鉛
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオン
であることが好ましい。明確には解っていないが、ルイ
ス酸金属イオンの酸性度は強い方が好ましく、原子価は
混合原子価金属の方が好ましいと考えられる。
【0010】ナイロン12組成物は、アミド基間の強い
水素結合により自己分子鎖間の凝集力の方が強く、これ
に相溶性を有するものは少ない。しかし、ナイロン12
マトリクスに相溶する塩をルイス酸金属イオンを含む相
溶性導電付与剤として選択することにより、ナイロン1
2に導電性を付与させ、好ましい高いインピーダンス温
度係数を得ることができる。この相溶性導電付与剤とし
ては、上記のようにフェノール化合物のルイス酸金属塩
あるいはルイス酸金属のヨウ化物が好ましく、これらは
アミド基に対して相溶性を有している。ヨウ化物は電気
陰性度の弱いヨウ素をアニオンとするため、その安定化
にはイオン性の高いルイス酸金属イオンの方が、安定化
作用は高いと考えられる。なかでも亜鉛イオンは、酸性
の強いルイス酸金属イオンとしての働きをする。アミド
基はこのルイス酸金属イオンに対して、親和性を有し配
位結合を形成する。ここでの導電性は、ルイス酸金属イ
オンを含む相溶性導電付与剤がポリアミドであるナイロ
ン12に良く相溶するのに加えて、ルイス酸金属イオン
にアミド基が配位して、プロトン伝導をうまく進めるた
めであると思われる。よってこのインピーダンス温度特
性は、直流成分電界下でも電解や分極による経時変化が
少ない優れた寿命特性を示す。
水素結合により自己分子鎖間の凝集力の方が強く、これ
に相溶性を有するものは少ない。しかし、ナイロン12
マトリクスに相溶する塩をルイス酸金属イオンを含む相
溶性導電付与剤として選択することにより、ナイロン1
2に導電性を付与させ、好ましい高いインピーダンス温
度係数を得ることができる。この相溶性導電付与剤とし
ては、上記のようにフェノール化合物のルイス酸金属塩
あるいはルイス酸金属のヨウ化物が好ましく、これらは
アミド基に対して相溶性を有している。ヨウ化物は電気
陰性度の弱いヨウ素をアニオンとするため、その安定化
にはイオン性の高いルイス酸金属イオンの方が、安定化
作用は高いと考えられる。なかでも亜鉛イオンは、酸性
の強いルイス酸金属イオンとしての働きをする。アミド
基はこのルイス酸金属イオンに対して、親和性を有し配
位結合を形成する。ここでの導電性は、ルイス酸金属イ
オンを含む相溶性導電付与剤がポリアミドであるナイロ
ン12に良く相溶するのに加えて、ルイス酸金属イオン
にアミド基が配位して、プロトン伝導をうまく進めるた
めであると思われる。よってこのインピーダンス温度特
性は、直流成分電界下でも電解や分極による経時変化が
少ない優れた寿命特性を示す。
【0011】熱劣化によるポリアミドの分解時には、ア
ミド基の分解で生成したカルボン酸がルイス酸金属イオ
ンと反応し塩を形成する。即ち、ルイス酸金属イオンは
カルボン酸に捕獲され、濃度低下を起こす。アミド基の
分解で生成した一方のアミノ基もルイス酸金属イオンに
配位結合してアンミン金属イオンを生成する。本発明の
高分子感温体では、このような原因で不足したルイス酸
金属イオンを補充するために、難溶性ルイス酸金属イオ
ン発生剤が一緒に混入されている。この難溶性ルイス酸
金属イオン発生剤は、ナイロン12マトリクスに対し難
溶性であり、アミドの熱分解によって徐々に生じるルイ
ス酸金属イオンの不足を補い、感温特性を高寿命に保
つ。
ミド基の分解で生成したカルボン酸がルイス酸金属イオ
ンと反応し塩を形成する。即ち、ルイス酸金属イオンは
カルボン酸に捕獲され、濃度低下を起こす。アミド基の
分解で生成した一方のアミノ基もルイス酸金属イオンに
配位結合してアンミン金属イオンを生成する。本発明の
高分子感温体では、このような原因で不足したルイス酸
金属イオンを補充するために、難溶性ルイス酸金属イオ
ン発生剤が一緒に混入されている。この難溶性ルイス酸
金属イオン発生剤は、ナイロン12マトリクスに対し難
溶性であり、アミドの熱分解によって徐々に生じるルイ
ス酸金属イオンの不足を補い、感温特性を高寿命に保
つ。
【0012】この難溶性ルイス酸金属イオン発生剤とし
ては、粒子状、ウイスカー状、フレーク状などの種々の
形状があるが、温度ヒューズ機能の要求から、高分子感
温体は熱溶融粘度が低いことが重要で、この点からでき
るだけ微粒状に分散されることが重要である。具体的な
材料として、この難溶性ルイス酸金属イオン発生剤には
上記の金属カルボン酸塩、金属水酸化物および燐酸金属
塩よりなる群から選ばれる化合物の粒径1μm以下の超
微粒子が好ましく、ナイロン12組成物中で難溶性であ
り微粒子状に分散され、微粒子とナイロン12マトリク
スとの界面でルイス酸金属イオンが不足すると微量可溶
化され、ルイス酸金属イオンを少しずつ発生する。この
難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としては、上記の金属
カルボン酸塩、金属水酸化物および燐酸金属塩などが、
ナイロンに難溶性でかつ耐熱安定効果を有することから
望ましい。金属酸化物は、一般に粒子表面が水酸基に覆
われており、金属水酸化物と同様の作用を有し、ナイロ
ン12マトリクスとの界面からルイス酸金属イオンを発
生する。
ては、粒子状、ウイスカー状、フレーク状などの種々の
形状があるが、温度ヒューズ機能の要求から、高分子感
温体は熱溶融粘度が低いことが重要で、この点からでき
るだけ微粒状に分散されることが重要である。具体的な
材料として、この難溶性ルイス酸金属イオン発生剤には
上記の金属カルボン酸塩、金属水酸化物および燐酸金属
塩よりなる群から選ばれる化合物の粒径1μm以下の超
微粒子が好ましく、ナイロン12組成物中で難溶性であ
り微粒子状に分散され、微粒子とナイロン12マトリク
スとの界面でルイス酸金属イオンが不足すると微量可溶
化され、ルイス酸金属イオンを少しずつ発生する。この
難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としては、上記の金属
カルボン酸塩、金属水酸化物および燐酸金属塩などが、
ナイロンに難溶性でかつ耐熱安定効果を有することから
望ましい。金属酸化物は、一般に粒子表面が水酸基に覆
われており、金属水酸化物と同様の作用を有し、ナイロ
ン12マトリクスとの界面からルイス酸金属イオンを発
生する。
【0013】本発明の高分子感温体はまた、温度ヒュー
ズ機能としての鋭い融点をを有するとともに、金属線電
極間が溶融時に容易に電気的に短絡することも必要とさ
れている。この点からも上記微粒子の粒径の細かさや分
散性が必要となる。ルイス酸金属イオンとして亜鉛イオ
ンは上記のように特に好ましい金属イオンであるが、作
用のアナロジーとして、生体内で亜鉛イオンは亜鉛酵素
触媒としてトリリン酸の縮重合体であるDNA、RNA
の重合触媒(DNAポリメラーゼ)として作用してお
り、一方リン酸はポリアミド・ポリペプチドの重合触媒
作用を有するという関係がある。これらの関係に類似し
て、この高分子感温体中でも同様の相互作用をして熱安
定性や導電性を高寿命にしているとも考えられる。
ズ機能としての鋭い融点をを有するとともに、金属線電
極間が溶融時に容易に電気的に短絡することも必要とさ
れている。この点からも上記微粒子の粒径の細かさや分
散性が必要となる。ルイス酸金属イオンとして亜鉛イオ
ンは上記のように特に好ましい金属イオンであるが、作
用のアナロジーとして、生体内で亜鉛イオンは亜鉛酵素
触媒としてトリリン酸の縮重合体であるDNA、RNA
の重合触媒(DNAポリメラーゼ)として作用してお
り、一方リン酸はポリアミド・ポリペプチドの重合触媒
作用を有するという関係がある。これらの関係に類似し
て、この高分子感温体中でも同様の相互作用をして熱安
定性や導電性を高寿命にしているとも考えられる。
【0014】一方、熱安定性ナイロン12組成物がナイ
ロン12よりガラス転移点が30℃以上低いポリアミド
変性体を10〜50重量%含む構成では、熱安定性ナイ
ロン12組成物中に含まれるポリアミド変性体が低温で
柔軟であるため、低温部(0〜30℃)のインピーダン
ス温度特性が高感度に改善される。好ましいポリアミド
変性体として、繰り返し単位中にN−アルキル置換アミ
ド基あるいはN−アルコキシ置換アミド基を有する重合
体ナイロンn(n:8以上の数字)は、吸湿性も低減さ
れ、湿度依存性が少なくなるというさらに好ましい効果
がある。この置換基成分の比率10〜50モル%は、ガ
ラス転移点と融点の関係より好ましい比率である。ま
た、熱安定性ナイロン12組成物がヒドロキシ安息香酸
エステル構造単位を有する化合物を含有する構成でも、
可塑化作用によりガラス転移点を下げると共に、上記と
同様吸湿特性も低減できる。
ロン12よりガラス転移点が30℃以上低いポリアミド
変性体を10〜50重量%含む構成では、熱安定性ナイ
ロン12組成物中に含まれるポリアミド変性体が低温で
柔軟であるため、低温部(0〜30℃)のインピーダン
ス温度特性が高感度に改善される。好ましいポリアミド
変性体として、繰り返し単位中にN−アルキル置換アミ
ド基あるいはN−アルコキシ置換アミド基を有する重合
体ナイロンn(n:8以上の数字)は、吸湿性も低減さ
れ、湿度依存性が少なくなるというさらに好ましい効果
がある。この置換基成分の比率10〜50モル%は、ガ
ラス転移点と融点の関係より好ましい比率である。ま
た、熱安定性ナイロン12組成物がヒドロキシ安息香酸
エステル構造単位を有する化合物を含有する構成でも、
可塑化作用によりガラス転移点を下げると共に、上記と
同様吸湿特性も低減できる。
【0015】さらに、本発明の高分子感温体は、上記の
ようにルイス酸金属イオンとしてニッケル、クロムおよ
び亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の
イオンであることが好ましく、前記高分子感温体に接触
し正の電界が印加される側の金属線電極としては、前記
ルイス酸金属と同一の金属元素を少なくともその表面に
有する構成によって、電極のイオン化による特性変化へ
の影響が調整され、これによって耐熱寿命特性はさらに
改善される。
ようにルイス酸金属イオンとしてニッケル、クロムおよ
び亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の
イオンであることが好ましく、前記高分子感温体に接触
し正の電界が印加される側の金属線電極としては、前記
ルイス酸金属と同一の金属元素を少なくともその表面に
有する構成によって、電極のイオン化による特性変化へ
の影響が調整され、これによって耐熱寿命特性はさらに
改善される。
【0016】本発明の高分子感温体の製造方法におい
て、前記難溶性ルイス酸金属イオン発生剤と、前記ルイ
ス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤との共沈粉体
は、その生成過程で微粒子が生成・沈降する際に共沈す
ることにより、非常に微粒状の難溶性ルイス酸金属イオ
ン発生剤を生成でき、この後の樹脂混練過程でナイロン
樹脂中での微粒状分散が容易に行われるという大きな特
徴がある。例えば、その一例の亜鉛塩として、ZnI2
・4Zn(OH)2のような化学量論的な化合物が知られ
ているが、このような化学量論組成でない共沈粉体も本
発明に用いる望ましい材料で、例えばZnOやZn(O
H)2をZnI2と共沈させた粉体は本発明に有効な材料
である。
て、前記難溶性ルイス酸金属イオン発生剤と、前記ルイ
ス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤との共沈粉体
は、その生成過程で微粒子が生成・沈降する際に共沈す
ることにより、非常に微粒状の難溶性ルイス酸金属イオ
ン発生剤を生成でき、この後の樹脂混練過程でナイロン
樹脂中での微粒状分散が容易に行われるという大きな特
徴がある。例えば、その一例の亜鉛塩として、ZnI2
・4Zn(OH)2のような化学量論的な化合物が知られ
ているが、このような化学量論組成でない共沈粉体も本
発明に用いる望ましい材料で、例えばZnOやZn(O
H)2をZnI2と共沈させた粉体は本発明に有効な材料
である。
【0017】
【実施例】次に、実施例を用いて本発明を説明する。本
発明の高分子感温体は、酸化防止剤として亜燐酸エステ
ルを含有する熱安定性ナイロン12組成物中に、難溶性
ルイス酸金属イオン発生剤と、前記ルイス酸金属イオン
を含む相溶性導電付与剤とを含み、前記ナイロン12組
成物中で前記ルイス酸金属イオンにアミド基が配位した
構成を有する。このナイロン12組成物100重量部中
に加えられる上記の各種添加剤は、それぞれおよそ15
重量部以下で、酸化防止剤は0.2〜3.0重量部程
度、導電付与剤は1〜8重量部程度である。無機金属化
合物のような添加剤にあっては、比重の大きさとポリマ
への溶解性ならびに粒度によって、添加量はその比重倍
程度あるいはそれ以上にしばしば必要になるが、その適
量は業界で一般的に良く知られている。
発明の高分子感温体は、酸化防止剤として亜燐酸エステ
ルを含有する熱安定性ナイロン12組成物中に、難溶性
ルイス酸金属イオン発生剤と、前記ルイス酸金属イオン
を含む相溶性導電付与剤とを含み、前記ナイロン12組
成物中で前記ルイス酸金属イオンにアミド基が配位した
構成を有する。このナイロン12組成物100重量部中
に加えられる上記の各種添加剤は、それぞれおよそ15
重量部以下で、酸化防止剤は0.2〜3.0重量部程
度、導電付与剤は1〜8重量部程度である。無機金属化
合物のような添加剤にあっては、比重の大きさとポリマ
への溶解性ならびに粒度によって、添加量はその比重倍
程度あるいはそれ以上にしばしば必要になるが、その適
量は業界で一般的に良く知られている。
【0018】この高分子感温体用の高分子組成物は、各
添加材料をナイロンペレットとミキサーにて混合した
後、二軸押し出し機によって混練され、添加剤がよく分
散された均一な組成のナイロン12組成物としてペレッ
ト状にて取り出される。これをシート状にして銀ペイン
トで電極を取り出し、そのインピーダンスー温度特性を
測定すると、図1に示すような体積固有インピーダンス
の温度依存性が得られる。図1で(a)は、酸化防止剤
として亜燐酸エステルを含有する熱安定性ナイロン12
組成物中に、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤と、前記
ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤とを含んで
なる高分子感温体の特性の一例である。一方(b)は、
ポリママトリクスであるナイロン12に上記のようにポ
リアミド変性体を加え、低温部の温度特性を改善した温
度特性の一例を示す図である。このポリアミド変性体の
具体的な材料として、ナイロン12、ナイロン11をベ
ースとしたN−アルキル置換アミド、エーテルアミド、
エステルアミドなどの共重合体が適している。
添加材料をナイロンペレットとミキサーにて混合した
後、二軸押し出し機によって混練され、添加剤がよく分
散された均一な組成のナイロン12組成物としてペレッ
ト状にて取り出される。これをシート状にして銀ペイン
トで電極を取り出し、そのインピーダンスー温度特性を
測定すると、図1に示すような体積固有インピーダンス
の温度依存性が得られる。図1で(a)は、酸化防止剤
として亜燐酸エステルを含有する熱安定性ナイロン12
組成物中に、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤と、前記
ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤とを含んで
なる高分子感温体の特性の一例である。一方(b)は、
ポリママトリクスであるナイロン12に上記のようにポ
リアミド変性体を加え、低温部の温度特性を改善した温
度特性の一例を示す図である。このポリアミド変性体の
具体的な材料として、ナイロン12、ナイロン11をベ
ースとしたN−アルキル置換アミド、エーテルアミド、
エステルアミドなどの共重合体が適している。
【0019】次に、この高分子感温体を用いて図2に示
すような感熱ヒータ線6が構成される。その構造の一例
として、図のように芯糸1上に、内巻金属線電極2、高
分子感温体層3、外巻金属線電極4、絶縁外被5が順次
形成されて構成される。内巻、外巻の金属線電極の何れ
かがヒータ線としても兼用され、一本で温度センサとヒ
ータの両機能を果たす。この金属線電極としては、ヒー
タ容量によりその導電率から材料が選択されるが、本発
明の金属線電極としては導電率の高い銅をコア材とし
て、アルミニウム被覆銅線、亜鉛被覆銅線、ニッケル被
覆銅線、クロム被覆銅線などの被覆銅線のほか、真鍮、
Cu−Zn合金などの材料が好ましい。次に本発明の具
体的実施例を示す。
すような感熱ヒータ線6が構成される。その構造の一例
として、図のように芯糸1上に、内巻金属線電極2、高
分子感温体層3、外巻金属線電極4、絶縁外被5が順次
形成されて構成される。内巻、外巻の金属線電極の何れ
かがヒータ線としても兼用され、一本で温度センサとヒ
ータの両機能を果たす。この金属線電極としては、ヒー
タ容量によりその導電率から材料が選択されるが、本発
明の金属線電極としては導電率の高い銅をコア材とし
て、アルミニウム被覆銅線、亜鉛被覆銅線、ニッケル被
覆銅線、クロム被覆銅線などの被覆銅線のほか、真鍮、
Cu−Zn合金などの材料が好ましい。次に本発明の具
体的実施例を示す。
【0020】[実施例1]ナイロン12(100重量
部)に対し、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラフォスファイトよりなる亜燐酸
エステル系酸化防止剤0.5重量部とフェノール系酸化
防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社製)
0.5重量部とを含有する熱安定性ナイロン12組成物
ペレットと、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としての
水酸化亜鉛とリン酸亜鉛の共沈微粒子(平均粒径600
ミリミクロン)3重量部と、ルイス酸金属イオンを含む
相溶性導電付与剤としてのヨウ化亜鉛粉末3.5重量部
とをヘンシルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて
混練し、添加剤がよく分散された均一な組成のナイロン
12組成物としてペレット状にて取り出した。これを大
きさ8cm×8cm、厚さ1mmのシート状に熱プレス
した後、アクリル樹脂系銀ペイントを塗布して電極を取
り出し、AC100V、50Hzの電界を印加してイン
ピーダンスー温度特性を測定した。これによって、図1
の曲線aに示す体積固有インピーダンスの温度依存性が
得られた。
部)に対し、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラフォスファイトよりなる亜燐酸
エステル系酸化防止剤0.5重量部とフェノール系酸化
防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社製)
0.5重量部とを含有する熱安定性ナイロン12組成物
ペレットと、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としての
水酸化亜鉛とリン酸亜鉛の共沈微粒子(平均粒径600
ミリミクロン)3重量部と、ルイス酸金属イオンを含む
相溶性導電付与剤としてのヨウ化亜鉛粉末3.5重量部
とをヘンシルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて
混練し、添加剤がよく分散された均一な組成のナイロン
12組成物としてペレット状にて取り出した。これを大
きさ8cm×8cm、厚さ1mmのシート状に熱プレス
した後、アクリル樹脂系銀ペイントを塗布して電極を取
り出し、AC100V、50Hzの電界を印加してイン
ピーダンスー温度特性を測定した。これによって、図1
の曲線aに示す体積固有インピーダンスの温度依存性が
得られた。
【0021】次に、この高分子感温体を用いて感熱ヒー
タ線を構成するために、図2のように1500デニール
の芳香族ポリエステル芯糸1上に、リボン銅線よりなる
内巻金属線電極2、上記の高分子感温体層3、亜鉛メッ
キ銅線よりなる外巻金属線電極4、耐熱ポリ塩化ビニル
よりなる絶縁外被5を順次形成して感熱ヒータ線6を構
成した。この感熱ヒータ線6を120℃にて、100V
半波の電界を印加しながら(金属線電極4側に正の電界
が印加される)耐熱寿命試験をしたところ、1000時
間後に初期の温度特性とのズレが4℃というきわめて優
れた耐熱特性が得られた。この感熱ヒータ線6を電気カ
ーペット本体内に配線・接着し、外巻金属線電極を発熱
線として用いて電気制御回路に接続し一線式の電気カー
ペットを動作させたところ、優れた温度制御ができた。
タ線を構成するために、図2のように1500デニール
の芳香族ポリエステル芯糸1上に、リボン銅線よりなる
内巻金属線電極2、上記の高分子感温体層3、亜鉛メッ
キ銅線よりなる外巻金属線電極4、耐熱ポリ塩化ビニル
よりなる絶縁外被5を順次形成して感熱ヒータ線6を構
成した。この感熱ヒータ線6を120℃にて、100V
半波の電界を印加しながら(金属線電極4側に正の電界
が印加される)耐熱寿命試験をしたところ、1000時
間後に初期の温度特性とのズレが4℃というきわめて優
れた耐熱特性が得られた。この感熱ヒータ線6を電気カ
ーペット本体内に配線・接着し、外巻金属線電極を発熱
線として用いて電気制御回路に接続し一線式の電気カー
ペットを動作させたところ、優れた温度制御ができた。
【0022】[実施例2]ナイロン12(70重量部)
と繰り返し単位中にN−ヘキシル置換アミド基を約40
モル%含むナイロン12変性体(30重量部)に対し、
トリス(2ーエチルヘキシル)フォスファイト0.3重
量部とトリフェニルフォスファイト0.3重量部とより
なる亜燐酸エステル系酸化防止剤、およびフェノール系
酸化防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社
製)とを含有する熱安定性ナイロン12組成物ペレット
と、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としての水酸化亜
鉛と安息香酸亜鉛との共沈粒子(共沈組成重量比:1/
1、平均粒径300ミリミクロン)2重量部と、ルイス
酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤としてのヒドロキ
シ安息香酸亜鉛3重量部とをヘンシルミキサーにて混合
し、二軸押し出し機にて混練し、添加剤がよく分散され
た均一な組成のナイロン12系組成物としてペレット状
にて取り出した。これを大きさ8cm×8cm、厚さ1
mmのシート状に熱プレスした後、アクリル樹脂系銀ペ
イントを塗布して電極を取り出し、そのインピーダンス
ー温度特性を測定した。これによって、図1の曲線bに
示す体積固有インピーダンスの温度依存性が得られた。
と繰り返し単位中にN−ヘキシル置換アミド基を約40
モル%含むナイロン12変性体(30重量部)に対し、
トリス(2ーエチルヘキシル)フォスファイト0.3重
量部とトリフェニルフォスファイト0.3重量部とより
なる亜燐酸エステル系酸化防止剤、およびフェノール系
酸化防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社
製)とを含有する熱安定性ナイロン12組成物ペレット
と、難溶性ルイス酸金属イオン発生剤としての水酸化亜
鉛と安息香酸亜鉛との共沈粒子(共沈組成重量比:1/
1、平均粒径300ミリミクロン)2重量部と、ルイス
酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤としてのヒドロキ
シ安息香酸亜鉛3重量部とをヘンシルミキサーにて混合
し、二軸押し出し機にて混練し、添加剤がよく分散され
た均一な組成のナイロン12系組成物としてペレット状
にて取り出した。これを大きさ8cm×8cm、厚さ1
mmのシート状に熱プレスした後、アクリル樹脂系銀ペ
イントを塗布して電極を取り出し、そのインピーダンス
ー温度特性を測定した。これによって、図1の曲線bに
示す体積固有インピーダンスの温度依存性が得られた。
【0023】次に、この高分子感温体を用いて感熱ヒー
タ線を構成するために、図2のように1500デニール
の芳香族ポリエステル芯糸1上に、リボン銅線よりなる
内巻金属線電極2、上記の高分子感温体層3、亜鉛メッ
キ銅線よりなる外巻金属線電極4、耐熱ポリ塩化ビニル
よりなる絶縁外被5を順次形成して感熱ヒータ線6を構
成した。この感熱ヒータ線6を120℃にて、100V
半波の電界を印加しながら(金属線電極4側に正の電界
が印加される)耐熱寿命試験をしたところ、1000時
間後に初期の温度特性とのズレが6℃というきわめて優
れた耐熱特性が得られた。この感熱ヒータ線6を電気カ
ーペット本体内に配線・接着し、外巻金属線電極を発熱
線として用いて電気制御回路に接続し一線式の電気カー
ペットを動作させたところ、優れた温度制御ができた。
タ線を構成するために、図2のように1500デニール
の芳香族ポリエステル芯糸1上に、リボン銅線よりなる
内巻金属線電極2、上記の高分子感温体層3、亜鉛メッ
キ銅線よりなる外巻金属線電極4、耐熱ポリ塩化ビニル
よりなる絶縁外被5を順次形成して感熱ヒータ線6を構
成した。この感熱ヒータ線6を120℃にて、100V
半波の電界を印加しながら(金属線電極4側に正の電界
が印加される)耐熱寿命試験をしたところ、1000時
間後に初期の温度特性とのズレが6℃というきわめて優
れた耐熱特性が得られた。この感熱ヒータ線6を電気カ
ーペット本体内に配線・接着し、外巻金属線電極を発熱
線として用いて電気制御回路に接続し一線式の電気カー
ペットを動作させたところ、優れた温度制御ができた。
【0024】[実施例3]湿式法により、難溶性ルイス
酸金属イオン発生剤としての水酸化亜鉛と、リン酸亜鉛
と、ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤として
のヨウ化亜鉛との3種混合の共沈粉体(共沈組成重量
比:3/1/4、平均粒径300ミリミクロン)を生成
させ、乾燥させた。次いで、ナイロン12(100重量
部)に対し、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラフォスファイトよりなる亜燐酸
エステル系酸化防止剤0.5重量部とフェノール系酸化
防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社製)
0.5重量部と上記共沈粉体(平均粒径600ミリミク
ロン)7重量部とをヘンシルミキサーにて混合し、二軸
押し出し機にて混練し、ナイロン12組成物としてペレ
ット状にて取り出した。そのペレットは、上記添加剤が
よく分散された押し出し特性のよい均一な組成であっ
た。この樹脂ペレット中の各種添加剤の分散状態を電子
顕微鏡により観察したところ、一次粒子にまで細かく分
散されていた。上記ペレットを大きさ8cm×8cm、
厚さ1mmのシート状に熱プレスした後、アクリル樹脂
系銀ペイントを塗布して電極を取り出し、AC100
V、50Hzの電界を印加してインピーダンスー温度特
性を測定した。その測定値は、60℃で7×108Ω・cm
で40〜100℃の温度範囲でサーミスタB定数は80
00Kであった。
酸金属イオン発生剤としての水酸化亜鉛と、リン酸亜鉛
と、ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤として
のヨウ化亜鉛との3種混合の共沈粉体(共沈組成重量
比:3/1/4、平均粒径300ミリミクロン)を生成
させ、乾燥させた。次いで、ナイロン12(100重量
部)に対し、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラフォスファイトよりなる亜燐酸
エステル系酸化防止剤0.5重量部とフェノール系酸化
防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー社製)
0.5重量部と上記共沈粉体(平均粒径600ミリミク
ロン)7重量部とをヘンシルミキサーにて混合し、二軸
押し出し機にて混練し、ナイロン12組成物としてペレ
ット状にて取り出した。そのペレットは、上記添加剤が
よく分散された押し出し特性のよい均一な組成であっ
た。この樹脂ペレット中の各種添加剤の分散状態を電子
顕微鏡により観察したところ、一次粒子にまで細かく分
散されていた。上記ペレットを大きさ8cm×8cm、
厚さ1mmのシート状に熱プレスした後、アクリル樹脂
系銀ペイントを塗布して電極を取り出し、AC100
V、50Hzの電界を印加してインピーダンスー温度特
性を測定した。その測定値は、60℃で7×108Ω・cm
で40〜100℃の温度範囲でサーミスタB定数は80
00Kであった。
【0025】次に、この高分子感温体を用いて、実施例
2と同様に感熱ヒータ線を構成した。この感熱ヒータ線
6を120℃にて、100V半波の電界を印加しながら
耐熱寿命試験をしたところ、1000時間後に初期の温
度特性とのズレが4℃というきわめて優れた耐熱特性が
得られた。また、この感熱ヒータ線6を20cmの長さ
に切断し、恒温炉内にセットし感熱ヒータ線を発熱させ
ながら1℃/分の昇温速度で温度上昇させて、温度ヒュ
ーズ機能を確かめる熱溶断テストをしたところ、炉内温
度160℃、感熱ヒータ線表面温度172℃にて、再現
性良く安定な溶断特性を示し、安全性が確認された。
2と同様に感熱ヒータ線を構成した。この感熱ヒータ線
6を120℃にて、100V半波の電界を印加しながら
耐熱寿命試験をしたところ、1000時間後に初期の温
度特性とのズレが4℃というきわめて優れた耐熱特性が
得られた。また、この感熱ヒータ線6を20cmの長さ
に切断し、恒温炉内にセットし感熱ヒータ線を発熱させ
ながら1℃/分の昇温速度で温度上昇させて、温度ヒュ
ーズ機能を確かめる熱溶断テストをしたところ、炉内温
度160℃、感熱ヒータ線表面温度172℃にて、再現
性良く安定な溶断特性を示し、安全性が確認された。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、1)優れ
た耐熱性のほか、2)高いサーミスタB定数、および
3)直流分極による経時変化をしない、というきわめて
高い要求を満たす優れた温度センサ材料としての高分子
感温体をうることができる。また、ポリアミド変性体を
ナイロン12と一緒にポリママトリクスとして用いるこ
とにより、高分子感温体の低温特性を改善することがで
きる。さらに、本発明によれば、耐熱寿命特性の改善さ
れた感熱ヒータ線を得ることができる。
た耐熱性のほか、2)高いサーミスタB定数、および
3)直流分極による経時変化をしない、というきわめて
高い要求を満たす優れた温度センサ材料としての高分子
感温体をうることができる。また、ポリアミド変性体を
ナイロン12と一緒にポリママトリクスとして用いるこ
とにより、高分子感温体の低温特性を改善することがで
きる。さらに、本発明によれば、耐熱寿命特性の改善さ
れた感熱ヒータ線を得ることができる。
【図1】本発明の実施例における高分子感温体の体積固
有インピーダンスの温度特性を示す図である。
有インピーダンスの温度特性を示す図である。
【図2】本発明の高分子感温体を用いた感熱ヒータ線の
構造の一例を示す図である。
構造の一例を示す図である。
1 芯糸 2 内巻金属線電極 3 高分子感温体層 4 外巻金属線電極 5 絶縁外被 6 感熱ヒータ線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−18996(JP,A) 特開 昭56−65043(JP,A) 特開 昭58−215449(JP,A) 特開 昭60−106104(JP,A) 特開 平2−305850(JP,A) 特開 平6−3198(JP,A) 特公 昭60−48081(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22
Claims (8)
- 【請求項1】 酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有
する熱安定性ナイロン12組成物中に、難溶性ルイス酸
金属イオン発生剤と、前記ルイス酸金属イオンを含む相
溶性導電付与剤とを含み、前記ナイロン12組成物中で
前記ルイス酸金属イオンにアミド基が配位してなること
を特徴とする高分子感温体。 - 【請求項2】 難溶性ルイス酸金属イオン発生剤が、金
属カルボン酸塩、金属水酸化物および燐酸金属塩よりな
る群から選ばれた化合物の粒径1μm以下の超微粒子よ
りなり、ナイロン12マトリクスとの界面でルイス酸金
属イオンが微量可溶化されてなる請求項1に記載の高分
子感温体。 - 【請求項3】 相溶性導電付与剤が、フェノール化合物
のルイス酸金属塩あるいはルイス酸金属のヨウ化物であ
る請求項1に記載の高分子感温体。 - 【請求項4】 熱安定性ナイロン12組成物が、ナイロ
ン12よりガラス転移点が30℃以上低いポリアミド変
性体を10〜50重量%含んでなる請求項1に記載の高
分子感温体。 - 【請求項5】 ポリアミド変性体が、ナイロンn(n:
8以上の数字)の繰り返し単位中にN−アルキル置換ア
ミド基あるいはN−アルコキシ置換アミド基を有する重
合体であり、この置換基成分を熱安定性ナイロン12組
成物中に10〜50モル%(モル%:置換基成分の全ア
ミド基に対する%)含んでなる請求項4に記載の高分子
感温体。 - 【請求項6】 熱安定性ナイロン12組成物が、ヒドロ
キシ安息香酸エステル構造単位を有する化合物を含有
し、ナイロン12より30℃以上低いガラス転移点を有
する請求項1に記載の高分子感温体。 - 【請求項7】 一方がヒータ線を兼用する一対の金属線
電極、および前記金属線電極間に介在させた高分子感温
体層からなり、前記高分子感温体層が請求項1記載の高
分子感温体からなり、その高分子感温体中のルイス酸金
属イオンが、ニッケル、クロムおよび亜鉛よりなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の金属のイオンであり、かつ
正の電界が印加される側の金属線電極は少なくともその
表面が前記ルイス酸金属イオンと同一の金属元素で構成
されている感温ヒータ線。 - 【請求項8】 酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有
する熱安定性ナイロン12組成物中に、難溶性ルイス酸
金属イオン発生剤と、前記ルイス酸金属イオンを含む相
溶性導電付与剤とを含有してなる高分子感温体の製造方
法であって、前記難溶性ルイス酸金属イオン発生剤と、
前記ルイス酸金属イオンを含む相溶性導電付与剤との共
沈粉体を前もって形成し、次いでナイロン12と前記亜
燐酸エステルと前記共沈粉体とをミキサーにて混合した
後、押し出し機にて前記ナイロン12の溶融温度で混練
して樹脂組成物ペレットを形成することを特徴とする高
分子感温体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19077194A JP3301866B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 高分子感温体、その製造方法および感熱ヒータ線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19077194A JP3301866B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 高分子感温体、その製造方法および感熱ヒータ線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0855707A JPH0855707A (ja) | 1996-02-27 |
JP3301866B2 true JP3301866B2 (ja) | 2002-07-15 |
Family
ID=16263457
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19077194A Expired - Fee Related JP3301866B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 高分子感温体、その製造方法および感熱ヒータ線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3301866B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1637562B1 (en) * | 2003-06-25 | 2011-08-31 | DIC Corporation | Organic-inorganic composite material and method for producing same |
CN103563236A (zh) * | 2011-03-09 | 2014-02-05 | 拜耳知识产权有限责任公司 | 电活性聚合物能量转换器 |
KR101309387B1 (ko) * | 2011-11-14 | 2013-09-17 | 길현수 | 발열선의 온도제어시스템 |
-
1994
- 1994-08-12 JP JP19077194A patent/JP3301866B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0855707A (ja) | 1996-02-27 |
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---|---|---|---|
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