JP3301867B2 - 高分子感温体および感熱ヒ−タ線 - Google Patents

高分子感温体および感熱ヒ−タ線

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に電気採暖器具の線
状温度センサとして用いられる高分子感温体に関するも
のである。この高分子感温体は、電気カーペット、床暖
房、電気毛布などの電気暖房器具の温度センサや感熱ヒ
ータ線に利用される。本発明は、またこれら電気暖房器
具に用いられる感熱ヒータ線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気毛布、電気カーペット等の電
気採暖器具に用いる温度制御方式には、可撓性線状の温
度検知線とヒータ線という別個の二本の線を用いる二線
式方式と、これらを一体化した感熱ヒータ線を用いる一
線式方式とがある。これらの温度制御方式は、高分子感
温体を温度センサ材料として用い、広い面積中の局所過
熱を優先的に検出する方法として、国内における布製電
気採暖器具のほとんどに採用されている。ここに用いる
温度センサは、スパイラル状にした一対の電極線間に高
分子感温体を配設して構成された可撓性電線で、その長
さ方向に一並列等価回路を持つセンサである。一方、ヒ
ータはその線の長さ方向に通電加熱されヒータとされて
いる。
【0003】これらの中でも一線式方式は、採暖機器内
に一本の感熱ヒータ線を配線すればよいという特徴を持
ち、それ一本で温度検知機能のほかヒータや保安用温度
ヒューズの機能も兼ねている。この一線式方式に用いる
高分子感温体には、上記の温度ヒューズ機能の他に、高
い耐熱性が要求され、高性能なセンサ材料が望まれてい
た。そこで、例えば、ヨウ化亜鉛を添加した高分子感温
体(特開昭58−215449号公報)、ヨウ化ニッケ
ル、ヨウ化コバルトなどを添加した高分子感温体(特開
昭60−106101〜106106号公報)などが提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高分子感温体は、1)
優れた耐熱性のほか、2)高いサーミスタB定数をもつ
こと、3)直流分極による経時変化をしないこと、が要
求されているが、上記引例はこれらの特性をすべて満足
する材料ではなく、より優れた材料が望まれていた。本
発明は、上記の要求を満たす優れた高分子感温体を提供
することを目的としている。本発明は、また耐熱寿命の
改善された感熱ヒータ線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子感温体
は、ポリアミド組成物中に、ルイス酸金属のオキシヨウ
化物を含むものである。ここで、ポリアミド組成物とし
ては、酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有する熱安
定性ナイロン12組成物であることが望ましく、この組
成物中にルイス酸金属のオキシヨウ化物とともに、前記
ルイス酸金属と同じルイス酸金属のヨウ化物を含む構成
が望ましい。
【0006】また、本発明の高分子感温体は、酸化防止
剤として亜燐酸エステルを含有する熱安定性ナイロン1
2組成物中に、ルイス酸金属のヨウ化物と、前記ルイス
酸金属と同一金属の塩基性金属塩とを含むものである。
ここに用いる塩基性金属塩は、ルイス酸金属イオンとカ
ルボン酸あるいはフェノール性水酸基を有する有機酸と
の塩基性有機金属塩であることが望ましい。また、ルイ
ス酸金属は、ニッケル、クロムおよび亜鉛よりなる群か
ら選ばれる一種の金属であることが望ましい。
【0007】本発明の感熱ヒータ線は、一方がヒータ線
を兼用する一対の金属線電極、および前記金属線電極間
に介在させた高分子感温体の層からなり、かつ正の電界
が印加される側の金属線電極は少なくともその表面が前
記ルイス酸金属と同一の金属元素で構成されている。な
かでも高分子感温体中のルイス酸金属が亜鉛であり、か
つ正の電界が印加される側の金属線電極は、亜鉛被覆銅
線、ニッケル被覆銅線、または真鍮線よりなることが望
ましい。
【0008】
【作用】上記構成よりなる本発明の高分子感温体におい
て、ポリアミド組成物中に添加したルイス酸金属のオキ
シヨウ化物が、高分子感温体の優れた導電性付与剤とな
る。ここで、ルイス酸金属とは、ルイス酸の性質を有す
る金属塩の金属元素で、電子対受容性を有し、ルイス塩
基から不対電子を受容して配位結合を形成する性質を有
する。ルイス酸としては、一般にAlCl3、ZnC
2、FeCl3、BF3、SnCl4などの金属ハロゲン
化物が最もよく知られ、中心金属が電子対を受容する性
質を有する。トリメチルホウ素のような有機金属のルイ
ス酸も各種ある。本発明におけるルイス酸金属は、ニッ
ケル、クロムおよび亜鉛よりなる群から選ばれる一種で
あることが望ましい。明確には解っていないが、ルイス
酸金属イオンの酸性度は強い方が好ましく、原子価は混
合原子価金属の方が好ましいと考えられる。
【0009】一方、オキシヨウ化物とは、塩基性ヨウ化
物ともいわれ、二価のルイス酸金属をMとすると、Mの
オキシヨウ化物は分子式MO・MI2で表される。この
化合物は、金属酸化物と金属ヨウ化物とによって構成さ
れる化合物で、ポリアミド樹脂中に添加したとき、非常
に高い分散性を有するという特徴がある。ポリアミド中
で経時的あるいは熱的にこの化合物の分解が進むと、M
2成分はポリアミド中に分子状に分散され導電性付与
に寄与し、MO成分は超微粒子状に分散されルイス酸金
属イオンの補充の働きをすると考えられる。
【0010】本発明のポリアミド組成物として、亜燐酸
エステルよりなる酸化防止剤を含有する熱安定性ナイロ
ン12組成物を用いることが望ましく、上記のルイス酸
金属のオキシヨウ化物に加えて、前記ルイス酸金属と同
じルイス酸金属のヨウ化物を添加してなる構成では、ヨ
ウ化物を任意の量加えることができるため、高分子感温
体のインピーダンスー温度特性を自由に調製できる。ま
た本発明の、ルイス酸金属のヨウ化物と、前記ルイス酸
金属と同一金属の塩基性金属塩とを添加してなる高分子
感温体の構成では、塩基性金属塩が上記と同様に超微粒
状MOと同様の作用をする。ここで用いる塩基性金属塩
として、カルボン酸あるいはフェノール性水酸基を有す
る有機酸との塩基性有機金属塩が好ましく、この化合物
はポリアミドへの分散性が高い。
【0011】ナイロン12組成物は、アミド基間の強い
水素結合により自己分子鎖間の凝集力の方が強く、これ
に対して相溶性を有するものは少ない。しかし、ルイス
酸金属のヨウ化物を選択することにより、ナイロン12
マトリクスに相溶して導電性を付与し、好ましい高いイ
ンピーダンス温度係数を得ることができる。ヨウ素化物
は、電気陰性度の弱いヨウ素をアニオンとするため、そ
の安定化にはイオン性の高いルイス酸金属イオンの方
が、安定化作用は高いと考えられる。なかでも亜鉛イオ
ンは、酸性の強いルイス酸金属イオンとしての働きをす
る。アミド基はこのルイス酸金属イオンに対して、親和
性を有し配位結合を形成する。ここでの導電性は、ルイ
ス酸金属のヨウ化物がポリアミドであるナイロン12に
良く相溶するのに加えて、ルイス酸金属イオンにアミド
基が配位して、プロトン伝導をうまく進めるためである
と思われる。よってこのインピーダンス温度特性は、直
流成分電界下でも電解や分極による径時変化が少ない優
れた寿命特性を示す。
【0012】熱劣化によるポリアミドの分解時には、ア
ミド基の分解で生成したカルボン酸がルイス酸金属イオ
ンと反応し塩を形成する。即ち、ルイス酸金属イオンは
カルボン酸に捕獲され、濃度低下を起こす。アミド基の
分解で生成した一方のアミノ基もルイス酸金属イオンに
配位結合してアンミン金属イオンを生成する。本発明の
高分子感温体では、このような原因で不足したルイス酸
金属イオンを補充するために、MO成分や塩基性有機塩
成分が含まれている。この成分は、ナイロン12マトリ
クスに対し難溶性であり、アミドの熱分解によって徐々
に生じるルイス酸金属イオンの不足を補い、感温特性を
高寿命に保つ。本発明の高分子感温体はまた、温度ヒュ
ーズ機能としての鋭い融点をを有するとともに、金属線
電極間が溶融時に容易に電気的に短絡することも必要と
されている。この点からも上記MO超微粒子の粒径の細
かさや分散性が必要となる。
【0013】ルイス酸金属として亜鉛は上記のように特
に好ましい金属イオンであるが、作用のアナロジーとし
て、生体内で亜鉛イオンは亜鉛酵素触媒としてトリリン
酸の縮重合体であるDNA、RNAの重合触媒(DNA
ポリメラーゼ)として作用しており、一方リン酸はポリ
アミド・ポリペプチドの重合触媒作用を有するという関
係がある。これらの関係に類似して、この高分子感温体
中でも同様の相互作用をして熱安定性や導電性を高寿命
にしているとも考えられる。さらに、本発明の高分子感
温体は、上記のようにルイス酸金属としてニッケル、ク
ロムおよび亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも一種
であることが好ましく、前記高分子感温体に接触し正の
電界を印加される金属線電極としては、前記ルイス酸金
属と同一の金属元素を少なくともその表面に有する構成
によって、電極のイオン化による特性変化への影響が調
整され、これによって耐熱寿命特性はさらに改善され
る。
【0014】
【実施例】次に、実施例を用いて本発明を説明する。本
発明の高分子感温体は、ポリアミド組成物中にルイス酸
金属のオキシヨウ化物を添加してなる構成を有する。熱
安定性のきわめて高い高分子感温体を構成するには、ポ
リアミド組成物としては亜燐酸エステルよりなる酸化防
止剤を含有する熱安定性ナイロン12組成物を用いるこ
とが望ましく、上記のルイス酸金属のオキシヨウ化物に
加えて、前記ルイス酸金属と同じルイス酸金属のヨウ化
物を添加してなる構成が望ましい。上記オキシヨウ化物
としては、多種の化合物があるが、例えばオキシヨウ化
亜鉛を例にとれば、ZnI2・5ZnO・11H2OやZ
nI2・9ZnO・24H2Oなどの化合物がある。亜燐
酸エステルよりなる酸化防止剤は、一般の樹脂用添加剤
として多く知られており、その優れた熱安定化効果は例
えば特公昭60−48081号公報に開示されている。
【0015】本発明に用いる塩基性金属塩には、塩基性
硫酸塩、塩基性亜燐酸塩、塩基性珪酸塩などの塩基性無
機金属塩と、塩基性有機金属塩とがあり、それぞれ一塩
基性から三塩基性までの塩を形成する。例えば、塩基性
硫酸塩、塩基性亜燐酸塩には、それぞれ一塩基性塩Zn
O・ZnSO4や二塩基性塩2ZnO・ZnHPO3・H
2Oなどがある。本発明にはなかでもカルボン酸あるい
はフェノール性水酸基を有する有機酸との塩基性有機金
属塩が、ナイロン樹脂への分散性が良く好ましい。具体
的な塩基性有機金属塩としては、塩基性フタル酸塩、塩
基性マレイン酸塩、塩基性サリチル酸塩、塩基性オキシ
安息香酸塩(例えばZnO・(オキシ安息香酸)2Zn)
などが好ましい。
【0016】このナイロン12組成物100重量部中に
加えられる上記の各種添加剤は、それぞれおよそ15重
量部以下で、酸化防止剤は0.2〜3.0重量部程度、
導電付与剤は1〜8重量部程度である。無機金属化合物
のような添加剤にあっては、比重の大きさとポリマへの
溶解性ならびに粒度によって、添加量はその比重倍程度
あるいはそれ以上にしばしば必要になるが、その適量は
業界で一般的に良く知られている。本発明におけるルイ
ス酸金属は、上記のように種々選択できるが、ニッケ
ル、クロムおよび亜鉛よりなる群から選ばれた一種であ
ることが望ましい。この高分子感温体用の高分子組成物
は、各添加材料をナイロンペレットとミキサーにて混合
した後、二軸押し出し機によって混練され、添加剤がよ
く分散された均一な組成のナイロン12組成物としてペ
レット状にて取り出される。本発明に用いるポリアミド
としては、ナイロン12、ナイロン11のほか、これら
のナイロン12、ナイロン11をベースとしたN−アル
キル置換アミド、エーテルアミド、エステルアミドなど
の共重合体が適している。
【0017】次に、この高分子感温体を用いて図1に示
すような感熱ヒータ線6が構成される。その構造の一例
として、図のように芯糸1上に、内巻金属線電極2、高
分子感温体層3、外巻金属線電極4、絶縁外被5が順次
形成されて構成される。内巻、外巻の金属線電極の何れ
かがヒータ線としても兼用され、一本で温度センサとヒ
ータの両機能を果たす。この金属線電極としては、ヒー
タ容量によりその導電率から材料が選択されるが、本発
明の金属線電極としては導電率の高い銅をコア材とし
て、アルミニウム被覆銅線、亜鉛被覆銅線、ニッケル被
覆銅線、クロム被覆銅線などの被覆銅線のほか、真鍮、
Cu−Zn合金などの材料が好ましい。この金属線電極
表面の被覆は、メッキなどの工程のよって容易に形成で
きる。本発明の構成としてなかでも特に、高分子感温体
中のルイス酸金属に亜鉛を用い、前記高分子感温体に接
して正(陽極成分)電界が印加される金属線電極を、亜
鉛被覆銅線、ニッケル被覆銅線、真鍮により構成すると
き、きわめて高い寿命性能を得ることができる。
【0018】[実施例1]ナイロン12(100重量
部)に対し亜燐酸エステル系酸化防止剤のテトラフェニ
ルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフ
ォスファイト0.5重量部とフェノール系酸化防止剤
(イルガノックス1010、チバガイギー社製)1.0
重量部とを含有させた熱安定性ナイロン12組成物ペレ
ットと、オキシヨウ化ニッケル5重量部とをヘンシルミ
キサーにて混合し、二軸押し出し機にて混練し、添加剤
がよく分散された均一な組成のナイロン12組成物とし
てペレット状にて取り出した。これを大きさ8cm×8
cm、厚さ1mmのシート状に熱プレスした後、アクリ
ル樹脂系銀ペイントを塗布して電極を取り出し、常温か
ら120℃の温度範囲でAC50V、60Hzの電界を
印加し、そのインピーダンスー温度特性を測定した。6
0℃におけるインピーダンスは1×109Ω・cmで、40
〜100℃の温度範囲におけるサーミスタB定数は65
00Kであった。
【0019】次に、この高分子感温体を用いて感熱ヒー
タ線を構成するために、図1のように1500デニール
の芳香族ポリエステル芯糸1上に、リボン銅線よりなる
内巻金属線電極2、上記の高分子感温体層3、ニッケル
メッキ銅線よりなる外巻金属線電極4、耐熱ポリ塩化ビ
ニルよりなる絶縁外被5を順次形成して感熱ヒータ線6
を構成した。この感熱ヒータ線6を120℃にて、10
0V半波の電界を印加しながら(電極線4側に正の電界
が印加される)耐熱寿命試験をしたところ、1000時
間後に初期の温度特性とのズレが5℃というきわめて優
れた耐熱特性が得られた。この感熱ヒータ線6を電気カ
ーペット本体内に配線・接着し、外巻金属線電極を発熱
線として用いて電気制御回路に接続し一線式の電気カー
ペットを動作させたところ、優れた温度制御ができた。
【0020】[実施例2]ナイロン12(100重量
部)に対し亜燐酸エステル系酸化防止剤のテトラフェニ
ルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフ
ォスファイト0.5重量部とフェノール系酸化防止剤
(イルガノックス1010、チバガイギー社製)1.0
重量部とを含有させた熱安定性ナイロン12組成物ペレ
ットと、ヨウ化亜鉛5重量部と塩基性オキシ安息香酸亜
鉛3重量部とをヘンシルミキサーにて混合し、二軸押し
出し機にて混練し、添加剤がよく分散された均一な組成
のナイロン12組成物としてペレット状にて取り出し
た。これを大きさ8cm×8cm、厚さ1mmのシート
状に熱プレスした後、アクリル樹脂系銀ペイントを塗布
して電極を取り出し、実施例1と同様に常温から120
℃の温度範囲でAC50V、60Hzでそのインピーダ
ンスー温度特性を測定した。60℃におけるインピーダ
ンスは7×108Ω・cmで、40〜100℃の温度範囲に
おけるサーミスタB定数は7500Kであった。次に、
この高分子感温体を用いて実施例1と同様に感熱ヒータ
線を構成した。内巻金属線電極2および外巻金属線電極
4には亜鉛メッキ銅線を用いた。この感熱ヒータ線6を
120℃にて、100V半波の電界を印加しながら耐熱
寿命試験をしたところ、1000時間後に初期の温度特
性とのズレが6℃というきわめて優れた耐熱特性が得ら
れた。
【0021】[実施例3]ナイロン12(100重量
部)と繰り返し単位中にN−ヘキシル置換アミド基を約
40モル%含むナイロン12変性体(30重量部)に対
し、トリス(2ーエチルヘキシル)フォスファイト0.
3重量部とトリフェニルフォスファイト0.3重量部と
よりなる亜燐酸エステル系酸化防止剤、およびフェノー
ル系酸化防止剤(イルガノックス1010、チバガイギ
ー社製)0.5重量部とを含有させた熱安定性ナイロン
12組成物ペレットと、オキシヨウ化亜鉛3重量部とヨ
ウ化亜鉛3重量部とを、ヘンシルミキサーにて混合し、
二軸押し出し機にて混練し、添加剤がよく分散された均
一な組成のナイロン12系組成物としてペレット状にて
取り出した。これを大きさ8cm×8cm、厚さ1mm
のシート状に熱プレスした後、アクリル樹脂系銀ペイン
トを塗布して電極を取り出し、常温から120℃の温度
範囲でAC50V、60Hzの電界を印加しそのインピ
ーダンスー温度特性を測定した。60℃におけるインピ
ーダンスは8×108Ω・cmで、40〜100℃の温度範
囲でサーミスタB定数は7000Kであった。次に、こ
の高分子感温体を用いて実施例1と同様に感熱ヒータ線
を構成した。内巻金属線電極2および外巻金属線電極4
には亜鉛メッキ銅線を用いた。この感熱ヒータ線6を1
20℃にて、100V半波の電界を印加しながら耐熱寿
命試験をしたところ、1000時間後に初期の温度特性
とのズレが5℃というきわめて優れた耐熱特性が得られ
た。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、1)優れ
た耐熱性のほか、2)高いサーミスタB定数、および
3)直流分極による経時変化をしない、というきわめて
高い要求を満たす優れた温度センサ材料としての高分子
感温対を得ることができる。また、ポリアミド変性体を
ナイロン12と一緒にポリママトリクスとして用いるこ
とにより、低温特性の改善された高分子感温体が得られ
る。さらに、本発明によれば、耐熱寿命特性の改善され
た感熱ヒータ線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子感温体を用いた感熱ヒータ線の
構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 芯糸 2 内巻金属線電極 3 高分子感温体層 4 外巻金属線電極 5 絶縁外被 6 感熱ヒータ線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−18996(JP,A) 特開 昭56−65043(JP,A) 特開 昭58−215449(JP,A) 特開 昭60−106104(JP,A) 特開 平2−305850(JP,A) 特開 平6−3198(JP,A) 特公 昭60−48081(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド組成物中に、ルイス酸金属の
    オキシヨウ化物を含むことを特徴とする高分子感温体。
  2. 【請求項2】 ポリアミド組成物が酸化防止剤として亜
    燐酸エステルを含有する熱安定性ナイロン12組成物で
    あり、この組成物中にルイス酸金属のオキシヨウ化物と
    ともに、前記ルイス酸金属と同じルイス酸金属のヨウ化
    物を含む請求項1に記載の高分子感温体。
  3. 【請求項3】 酸化防止剤として亜燐酸エステルを含有
    する熱安定性ナイロン12組成物中に、ルイス酸金属の
    ヨウ化物と、前記ルイス酸金属と同一金属の塩基性金属
    塩とを含むことを特徴とする高分子感温体。
  4. 【請求項4】 塩基性金属塩が、ルイス酸金属イオンと
    カルボン酸あるいはフェノール性水酸基を有する有機酸
    との塩基性有機金属塩である請求項3に記載の高分子感
    温体。
  5. 【請求項5】 ルイス酸金属が、ニッケル、クロムおよ
    び亜鉛よりなる群から選ばれる一種の金属である請求項
    2、3または4に記載の高分子感温体。
  6. 【請求項6】 一方がヒータ線を兼用する一対の金属線
    電極、および前記金属線電極間に介在させた高分子感温
    体層からなり、前記高分子感温体層が請求項2、3また
    は4に記載の高分子感温体からなり、かつ正の電界が印
    加される側の金属線電極は少なくともその表面が前記ル
    イス酸金属と同一の金属元素で構成されている感温ヒー
    タ線。
  7. 【請求項7】 高分子感温体中のルイス酸金属が亜鉛で
    あり、かつ正の電界が印加される側の金属線電極は、亜
    鉛被覆銅線、ニッケル被覆銅線、または真鍮線よりなる
    請求項6に記載の高分子感温体。
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