JP3301619B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents

磁気軸受装置

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JP3301619B2
JP3301619B2 JP00494491A JP494491A JP3301619B2 JP 3301619 B2 JP3301619 B2 JP 3301619B2 JP 00494491 A JP00494491 A JP 00494491A JP 494491 A JP494491 A JP 494491A JP 3301619 B2 JP3301619 B2 JP 3301619B2
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弘行 篠崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転軸及びロータを含
む回転体とステータとを有する回転機械の前記回転軸を
磁気的に支承し、永久磁石を備えてステータに対するロ
ータの軸方向位置を一定に保持するための受動形磁気軸
受と、回転軸の半径方向位置を検出する変位センサと、
電磁石を備えて変位センサの出力に基づいて半径方向に
回転軸を制御する能動形磁気軸受と、該能動形磁気軸受
に供給する電流の制御を行う制御装置とを含む磁気軸受
装置であって、所謂「2軸制御」タイプの磁気軸受装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から種々のタイプの磁気軸受装置が
提案されている。そして、2軸制御タイプのものは、回
転体とステータとの軸方向相対位置を永久磁石で構成さ
れた受動形磁気軸受で保持し、半径方向(或いは水平面
のX−Y方向)の位置制御を電磁石から成る能動形磁気
軸受で行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし2軸制御タイプ
の磁気軸受装置においては、従来、振れ回りの抑制が困
難であるという問題があった。
【0004】図10を参照してその問題を説明すると、
図示しないロータと一体化されている回転軸1は能動形
磁気軸受2、2により半径方向位置を制御されている。
ここで、従来の2軸制御タイプのものでは、能動形磁気
軸受2、2の作用中心と回転体の重心Gとが一致してい
るので、何等かの不安定力が作用した場合に、回転軸1
の重心G近傍の半径方向位置は変化しないが、その両端
部は重心Gを中心に矢印SRで示すように回動して、振
れ回り運動が生じてしまう。従って、能動形磁気軸受
2、2で磁気的な吸引力を発生しても、振れ回り運動の
回動中心に作用することとなり、振れ回りを減衰、抑制
することが出来ない。
【0005】これに対して能動形磁気軸受やその他のア
クチュエータを軸方向の異なる位置に複数設ければ振れ
回り運動の抑制や減衰が可能である。しかし、アクチュ
エータの個数を増加すれば部品点数が増加し、構造が複
雑となるので、製造コストや保守コストも増加し、さら
に消費電力が増加するので省エネルギという要請にも反
することになる。そのため、アクチュエータの個数を増
加させることは許されない。
【0006】本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑
みて提案されたもので、アクチュエータの個数を増加さ
せること無く、回転軸の振れ回りを効果的に減衰させる
ことが出来る磁気軸受装置の提供を目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、垂直方
向に延びる回転軸(16)及びロータ(12)を含む回
転体とステータ(14)とを有する回転機械(10)の
前記回転軸(16)を磁気的に支承し、永久磁石(3
2)を備えてステータ(14)に対するロータ(12)
の軸方向位置を一定に保持するための受動形磁気軸受
(20)と、回転軸(16)の半径方向位置を検出する
変位センサ(24、26)と、電磁石(20)を備えて
変位センサ(24、26)の出力に基づいて半径方向に
回転軸を制御する1つのみの能動形ラジアル磁気軸受
(22)と、該能動形ラジアル磁気軸受(22)に供給
する電流の制御を行う制御装置(40)とを含む磁気軸
受装置において、該1つの能動形ラジアル磁気軸受(2
2)の作用中心(9)と前記回転体の重心(G)とが軸
方向に偏寄量(e)だけ偏寄しており、前記変位センサ
(24、26)は軸方向の異なる位置に少なくとも2つ
設けられており、前記制御装置(40)は、変位センサ
(24、26)からの傾きに関する出力信号を演算処理
する傾き信号演算回路(58)と、該傾き信号演算回路
(58)からの出力信号の位相を遅らせる位相遅れ回路
(62)と、ラジアル信号演算回路(52、54、5
6)及び位相遅れ回路(62)の出力信号が入力され且
つ信号の位相を進める位相進み回路(44)と、該異相
進み回路(43)からの出力の電流増幅器(48)とを
含み、前記回転軸(16)の半径方向変位及び振れ回り
を効果的に減衰するように、能動形ラジアル磁気軸受
(22)へ供給される電流を制御する様に構成されてい
る。
【0008】また、本発明の磁気軸受装置によれば、前
記制御装置は、変位センサからの傾きに関する出力信号
を演算処理する傾き信号演算回路と、該傾き信号演算回
路からの出力信号の位相を遅らせる位相遅れ回路と、ラ
ジアル信号演算回路及び位相遅れ回路の出力信号が入力
され且つ信号の位相を進める位相進み回路と、電流増幅
器とを含んでいる。
【0009】ここで前記受動形磁気軸受としては、永久
磁石と磁性材料とを積層したタイプのものが好ましい
が、一般的な永久磁石を用いた受動形磁気軸受であれ
ば、全て適用可能である。
【0010】本発明の実施に際して、前記位相遅れ回路
及び位相進み回路は周知の構成の回路を適用可能であ
る。
【0011】
【作用】上記のように構成された本発明の磁気軸受装置
では、能動形磁気軸受の磁気的な吸引力を適宜制御する
に際して、制御装置の作用により、能動形磁気軸受に供
給される電流の位相が好適に制御され、半径方向変位及
び振れ回りに対する減衰特性が良好となる。
【0012】そして本発明によれば、前記位相遅れ回路
及び位相進み回路を制御装置内へ組み込むことにより、
位相平面における特性根の配置を最も減衰の良好な位置
に近接することが出来る。すなわち、位相遅れ回路のゲ
インを調整することにより、特性根の配置を減衰が良好
な領域に治め、そして、ゲイン調整の如何によっては、
位相平面上で左斜45度線上に特性根が並ぶという理想
的な配置が達成できるのである。
【0013】これに加えて本発明によれば、前記回転体
の重心と能動形磁気軸受の作用中心とが軸方向に偏寄し
ているので、振れ回り運動が発生したとしても能動形磁
気軸受の磁気的な吸引力が作用するのは重心ではないた
め、該磁気的な吸引力を適宜制御することにより、振れ
回り運動を減衰、抑制することが可能である。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0015】図1は本発明の磁気軸受装置を適用した回
転機械を示している。全体を符号10で示す回転機械
は、ロータ12、ステータ14、ロータ12と一体に構
成された垂直方向に延びる回転軸16を含んでいる。そ
してステータ14の内側には、回転軸16及びロータ1
2を回転するためのモータ18と、回転軸16の半径方
向位置を制御するための電磁石20を含む能動形磁気軸
受22と、軸方向の異なる位置に設けた上下の変位セン
サ24、26と、回転検出器28とが設けられている。
【0016】ステータ14の外周面とロータ12の内周
面には、受動形磁気軸受30が形成されている。図1で
明確に示されている様に、受動形磁気軸受30のステー
タ14側には永久磁石32と磁性材料34とを複数積層
したユニットが形成され、一方、ロータ12側には磁性
材料から成るユニットが形成されている。但し、受動形
磁気軸受30の構成はこれに限定されるものではなく、
その他の構成のものであっても勿論適用可能である。
【0017】回転軸16の上端部及び下端部には、それ
ぞれ非常用玉軸受36、38が設けられている。なお、
ロータ12及び回転軸16から成る回転体13の重心
は、符号Gで示され、能動形磁気軸受22の作用中心は
符号Cで示されており、重心Gと作用中心Cは軸方向に
寸法eだけ偏寄している。
【0018】能動形磁気軸受22の電磁石20には、図
示しない制御装置を介して電流が供給される。この制御
装置の構成は、例えば図2に示す様になっている。
【0019】図2において、この制御装置は全体を符号
40で示してあり、変位センサ24、26の出力が入力
されるラジアル信号演算回路42、該回路42からの出
力が入力される位相進み回路44、該回路44からの出
力を増幅して電磁石20のコイル46へ供給する増幅器
48を含んでいる。
【0020】次に図3、4をも参照して、図2に示す制
御装置40を用いた実施例の作用を説明する。
【0021】まず変位センサ24、26からの出力がラ
ジアル信号演算回路42に入力される(図4のステップ
S1)。
【0022】ここで、変位センサ24、26は軸方向
(図3の符号V方向)に離隔して配置されており、その
離隔寸法は一定である。回転軸16が一点鎖線で示す状
態16Aの様に傾いた場合には、それぞれの変位センサ
24、26から回転軸16までの距離が異なるため、そ
の出力も相違する。従って、変位センサ24、26の偏
寄量e(図1)を考慮して、変位センサ24、26の出
力の差から回転軸16の傾き角度φ(図3)を演算する
ことが出来る。そしてラジアル信号演算回路42におい
てはこの様な処理が為されるのである(ステップS
2)。
【0023】回転軸16の傾き角度φを演算したなら
ば、それをゼロとするべく電磁石20において好適な磁
気的吸引力を発生せしめる必要がある。図3を参照すれ
ば明らかな様に、電磁石20の磁気的吸引力の作用中心
と重心Gとは軸方向Vについて偏寄している。換言すれ
ば、電磁石20の磁気的吸引力は振れ回り運動の回動中
心ではない箇所に作用する。従って、電磁石20へ供給
される電流の位相を適宜制御すれば振れ回り運動が減衰
されるのである。
【0024】ステップS3において、位相進み回路44
はその様な電流の好適な位相を実現する作用を奏してい
るのである。そして、位相進み回路44で位相を調整さ
れた電流は、電磁石20のコイル46へ供給され、回転
軸16の振れ回りを減衰、抑制する。
【0025】図5はこの実施例の特性を示すものであ
る。制御軸変位信号は略“0”を示しており、ラジアル
運動(半径方向運動)の制御が良好に行われていること
がわかる。また、傾き運動の制御は比較的緩やかであ
る。振れ回りの抑制は、あまり期待出来ない。
【0026】図6は図2で示す制御装置40とは別の構
成を有する制御装置50を示している。この構成につい
て図7をも参照しつつ以下に説明する。但し、図2に示
すのと同一の部材には同一の符号を付けて図示或いは説
明してある。
【0027】先ず、変位センサ24、26から半径方向
変位量を示す信号が出力される(ステップS10)。こ
の信号はラインL1、L2及び定数回路52、54を経
て、加算回路56を通過する。なお、定数回路52、5
4及び加算回路56により、ラジアル信号演算回路が構
成されている。
【0028】これにより、変位センサ24、26からの
出力は、半径方向変位量の差異を示す信号に変換される
(ステップS11)。そして該変換された信号は、位相
進み回路44に入力される(ステップS12)。
【0029】一方、変位センサ24、26からの出力の
一部は分岐して、ラインL3、L4を介して傾き信号演
算回路58、定数回路60を通過することにより、回転
軸16の傾きを示す信号に変換される(ステップS1
3)。
【0030】半径方向変位量の差異を示す信号及び傾き
を示す信号は、位相進み回路44において合成される。
そして、電磁石20(図1)へ供給される電流の位相
を、該電磁石の磁気的吸引力により回転軸16の振れ回
り運動が効果的に減衰するような位相に調節するのであ
る(ステップS15)。
【0031】位相進み回路44で位相が調節された信号
は、増幅器48を介して、供給電流として電磁石20へ
送られる(ステップS16)。
【0032】制御装置50を設けることにより、位相平
面上における特性根の配置は図8の様になる。ここで、
特性根の配置が左斜45度線L45−1、L45−2に
挟まれた領域にあれば振れ回りは減衰し、特性根が左斜
45度線L45−1、L45−2上にあるときに減衰特
性が最も良好となる。
【0033】図8から明らかな様に、制御装置50を設
けた場合の特性根は左斜45度線L45−1、L45−
2に挟まれた領域内に存在し、且つ該左斜45度線に非
常に近接した位置にあるため、極めて減衰特性が良好で
ある。この事は、図9で示す減衰特性からも明らかであ
る。図9から明らかなように、振れ回りによる半径方向
変位量は速やかに減衰して、ゼロとなる。
【0034】
【発明の効果】以上の通り本発明によれば、下記のすぐ
れた効果を奏する。 (a) 傾き信号演算回路からの信号を位相遅れされ、
ラジアル信号演算回路と位相遅れ回路からの出力信号の
位相を進めるようにしたので、図9に示すように好適な
減衰特性が得られ、1つのみの能動形ラジアル磁気軸受
を用いて細長い回転体の変位を充分に制御できる。 (b) 1つのみの能動形ラジアル磁気軸受の作用点を
重心からずらし、静的な傾き支持力は受動形磁気軸受で
発生させ、動的な支持力は能動形磁気軸受で発生させる
ので、能動形ラジアル磁気軸受は1つなのに4つの運
動、すなわち2つのラジアルXY軸方向の並進運動、2
つのXY軸回りの傾き運動の自由度を能動制御すること
ができる。 (c) 従来は複数のラジアル磁気軸受を必要とした
が、本発明では1つのみなので、制御装置がX.Y方向
を制御すればよく、制御装置が簡単化できる。
【0035】そして少なくとも2つの変位センサを用
い、回転体に振れ回り運動や不安定力に起因する半径方
向変位が生ずると、それによる半径方向変位量を上下の
センサで検出し、該センサの出力に基づいて能動形磁気
軸受に供給する電流の位相を制御する。そして能動形磁
気軸受の磁気的な吸引力により半径方向変位及び振れ回
りが減衰できる。従って、アクチュエータ数を増加する
ことなく、半径方向変位及び振れ回りの減衰、抑制が自
動的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した回転機械を示す断面正面図。
【図2】本発明の第1実施例で用いられる制御装置のブ
ロック図。
【図3】第1実施例の作用を簡略化して示す正面図。
【図4】図2の制御装置のフローチャートを示す図。
【図5】第1実施例の作用を示す特性図。
【図6】本発明の第2実施例で用いられる制御装置のブ
ロック図。
【図7】図6の制御装置のフローチャートを示す図。
【図8】第2実施例における特性根の位相平面上の配置
を示す図。
【図9】第2実施例の作用を示す特性図。
【図10】従来技術を簡略化して示す正面図。
【符号の説明】
10…回転機械 12・・・ロータ 13・・・回転体 14・・・ステータ 16・・・回転軸 20・・・電磁石 22・・・能動形磁気軸受 24、26・・・変位センサ 30・・・受動形磁気軸受 40、50・・・制御装置 42・・・ラジアル信号演算回路 44・・・位相進み回路 62・・・位相遅れ回路
フロントページの続き (72)発明者 篠崎 弘行 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 白尾 祐司 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社荏原総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭55−65719(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 32/00 - 32/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直方向に延びる回転軸(16)及びロ
    ータ(12)を含む回転体とステータ(14)とを有す
    る回転機械(10)の前記回転軸(16)を磁気的に支
    承し、永久磁石(32)を備えてステータ(14)に対
    するロータ(12)の軸方向位置を一定に保持するため
    の受動形磁気軸受(20)と、回転軸(16)の半径方
    向位置を検出する変位センサ(24、26)と、電磁石
    (20)を備えて変位センサ(24、26)の出力に基
    づいて半径方向に回転軸を制御する1つのみの能動形ラ
    ジアル磁気軸受(22)と、該能動形ラジアル磁気軸受
    (22)に供給する電流の制御を行う制御装置(40)
    とを含む磁気軸受装置において、該1つの能動形ラジア
    ル磁気軸受(22)の作用中心(9)と前記回転体の重
    心(G)とが軸方向に偏寄量(e)だけ偏寄しており、
    前記変位センサ(24、26)は軸方向の異なる位置に
    少なくとも2つ設けられており、前記制御装置(40)
    は、変位センサ(24、26)からの傾きに関する出力
    信号を演算処理する傾き信号演算回路(58)と、該傾
    き信号演算回路(58)からの出力信号の位相を遅らせ
    る位相遅れ回路(62)と、ラジアル信号演算回路(5
    2、54、56)及び位相遅れ回路(62)の出力信号
    が入力され且つ信号の位相を進める位相進み回路(4
    3)と、該異相進み回路(43)からの出力の電流増幅
    器(48)とを含み、前記回転軸(16)の半径方向変
    位及び振れ回りを効果的に減衰するように、能動形ラジ
    アル磁気軸受(22)へ供給される電流を制御する様に
    構成されている事を特徴とする磁気軸受装置。
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