JP3297326B2 - ディジタルフイルター装置 - Google Patents

ディジタルフイルター装置

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JP3297326B2
JP3297326B2 JP30175096A JP30175096A JP3297326B2 JP 3297326 B2 JP3297326 B2 JP 3297326B2 JP 30175096 A JP30175096 A JP 30175096A JP 30175096 A JP30175096 A JP 30175096A JP 3297326 B2 JP3297326 B2 JP 3297326B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、張力制御システム
などに利用されるディジタルフイルター装置に係わり、
特にノイズの低減化に用いられるフイルターの位相遅れ
を低減するディジタルフイルター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フイルターは、入力信号を取り込んで所
要のデータ処理を実行するアナログ計算機だけでなく、
ディジタル計算機にも広く用いられている。ここで、フ
イルターとは、入力信号のある特定の周波数成分を減衰
させずに通過させて出力するが、それ以外の周波数成分
の場合には減衰させて出力する機能をもつ装置をいう。
図5はかかるフイルター1に対する入力信号と出力信号
との関係を示す図である。
【0003】ところで、フイルター1には、入力信号の
低周波数成分を通過させ、高周波数成分を減衰させる低
域通過フイルター(ローパスフイルターともいう)、入
力信号の高周波数成分を通過させ、低周波数成分を減衰
させる高域通過フイルター(ハイパスフイルターともい
う)、ある特定の周波数範囲の成分を通過させる帯域通
過フイルター(バンドパスフイルターともいう)、さら
にある特定の周波数範囲の成分を減衰させる帯域阻止フ
イルターなどがある。
【0004】図6は低域通過フイルターの周波数応答例
を示す図である。このフイルターは、同図から明らかな
ように遮断周波数ωc より低い周波数領域の入力信号を
減衰させずに通過させるが、遮断周波数ωc より高い周
波数領域の入力信号を減衰させる周波数応答となる。
【0005】図7は高域通過フイルターの周波数応答例
を示す図である。このフイルターは、遮断周波数ωc
り高い周波数領域の入力信号を減衰させずに通過させる
が、遮断周波数ωc より低い周波数領域の入力信号を減
衰させる周波数応答となる。
【0006】図8は帯域通過フイルターの周波数応答例
を示す図である。このフイルターは、ある特定の周波数
帯域の入力信号を通過させ、それ以外の周波数領域の入
力信号を減衰させる周波数応答となる。
【0007】図9は帯域阻止フイルターの周波数応答例
を示す図である。このフイルターは、ある特定の周波数
帯域の入力信号を減衰させ、それ以外の周波数領域の入
力信号を通過させる応答となる。
【0008】一般に、フイルターは、抵抗,リアクタン
ス,コンデンサなどを用いたアナログ回路でも構成でき
るが、パラメータの変更が容易であるという利点から、
小電力信号やディジタル信号を取り扱うディジタル計算
機上でもフイルター機能をもったディジタルフイルター
が多く用いられている。また、計装制御システムでは、
入力信号に重畳されるノイズが高周波数であることか
ら、このノイズ成分を除去して適切な信号を取り込む必
要性から低域通過フイルターがよく使用される。
【0009】何れにせよ、ディジタル計算機や計装制御
システムでは、低域通過フイルターに限らず、ノイズが
重畳されている入力信号の種々の周波数成分のうち、高
域周波数成分の入力信号を分離して取り出す高域通過フ
イルター、ある特定の周波数範囲の入力信号を分離して
取り出す帯域通過フイルターなども使用される。その中
でも、一次遅れフイルター、二次遅れフイルターは構造
が簡単であって計算量も少ないことから、多くの分野で
使用されている。
【0010】ちなみに、一次遅れディジタルフイルター
は、下式のような一次遅れ系の伝達関数を、ディジタル
計算機で処理可能な離散値系に変換したものである。 1/(1+T1 ・s) …(3) また、二次遅れディジタルフイルターは、下式のような
二次共振系の伝達関数を、同じくディジタル計算機で処
理可能な離散値系に変換したものである。
【0011】 ωn 2 /(1+2ζωn ・s+ωn 2 ) …(4) 上式において、T1 :時定数、s:ラプラス演算子、
ζ:減衰係数、ωn :共振周波数である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、以上のように
フイルターは、ノイズを除去したり、不要な周波数成分
の信号を除去する意味から目的に合った機能のものが使
用されるが、ここで問題となるのは、フイルターの出力
信号の位相が入力信号の位相と比較して遅れるといった
不具合があり、これが特に計装制御システムなどで問題
となってくる。因みに、一次遅れフイルターでは位相が
最大90°、二次遅れフイルターでは位相が最大180
°遅れることになる。
【0013】図10は一次遅れフイルターの周波数応答
例を示す図である。そのうち、同図(a)はゲイン線
図、同図(b)は位相線図を示す。このゲイン線図は、
ゲインが遮断周波数10rad/s 付近から高い周波数で減
衰し、105 rad/s で−70dbまで減衰する。このと
き、遮断周波数より高い周波数で減衰すると同時に、同
図(b)に示すごとく高周波領域で位相が90°遅れと
なって表れる。
【0014】図11は二次遅れフイルターの周波数応答
例を示す図である。そのうち、同図(a)はゲイン線
図、同図(b)は位相線図を示す。このゲイン線図は、
ゲインが遮断周波数10rad/s 付近から高い周波数で減
衰し、104 rad/s で−100db付近まで減衰する。つ
まり、一次遅れフイルターよりも急激に減衰する。この
とき、同図(b)に示すように高周波数領域では、位相
が180°の遅れとなり、図10(b)に示す位相の遅
れよりも大きな遅れとなっている。
【0015】ここで、位相が180°遅れるということ
は、例えば180°遅れる周波数領域において入力信号
が+2と−2の交互の値をとっているとき、その出力信
号がその逆の値,すなわち−2と+2の値で出力される
ことに等しく、全く異なった意味をもつ信号となる。
【0016】なお、フイルターを抵抗,コンデンサーな
どのアナログ素子で構成しても、ディジタル計算機で処
理可能なディジタル素子で構成しても、ゲインの減衰、
位相遅れの傾向は変わらない。ただ、ディジタルフイル
ターの場合、ある演算周期T(秒)で入力信号を取り込
んで必要な演算を実行するので、周期Tより短かい周期
の信号の場合には自然に減少する。これは、低域通過フ
イルターにとって高周波領域の信号が自然に減衰するこ
とからも明らかである。
【0017】計装制御システムでは、センサー信号のノ
イズ低減などのためにフイルターが用いられるが、この
フイルターによる位相遅れが制御性能の劣化をもたら
し、ひいては制御動作が不安定となる心配がある。その
ためには、位相遅れは少ない方が望ましいが、フイルタ
ーを使用する限り位相遅れは必ず発生するといった相矛
盾する関係にあり、その位相遅れの改善が要望されてい
る。
【0018】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、位相遅れの低減化を実現するディジタルフイルター
装置を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、計装制御システムなど,実機の適用に際し、制御性
能の向上を図り、高性能制御および安定操業を実現可能
とするディジタルフイルター装置を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、上記課題を解決するために、特定の周波数以上の周
波数領域の入力信号または特定の周波数以下の周波数領
域の入力信号を、演算周期Tごとに減衰させるディジタ
ルフィルター装置において、フィルター装置出力を1演
算周期遅延させて得られる1演算周期前の出力y{(n
−1)T}に係数a1を乗算し出力する出力遅延手段
と、現在時刻nTの入力信号u(nT)に係数a2を乗
算し、出力する信号入力手段と、前記入力信号u(n
T)を1演算周期遅延させて得られる1演算周期前の入
力信号u{(n−1)T}に係数a3を乗算して出力す
る入力遅延手段と、これら各手段の出力を加算し補正ゲ
インKを乗じることにより、下式で表わされるn番目の
演算周期である現在時刻nTの出力y(nT)を取り出
手段とを備えたディジタルフィルター装置である
【0020】 y(nT)=K[a1・y{(n−1)T}+a2・u(nT) +a3・u{(n−1)T} … (5) なお、ラプラス演算子sを用いたアナログ系伝達関数で
ある K・{(1+T2s)/(1+T1s)}(T1≧0,T2≧0) … (6) と等しい性能を実現するために、前記係数a1は演算周
期Tと時定数T1とで表し、前記係数a2は演算周期Tと
時定数T1,T2とで表し、前記係数a3は演算周期Tと
時定数T1,T2とで表し、また前記(6)式のKと
1 ,T 2 との値は、入力信号における遮断周波数ωcよ
り高い周波数領域の周波数成分を減衰させるために、K
は1に設定し、T 1 は前記遮断周波数ωcの逆数1/ω
cに近い値を設定し、かつ、T 1 はT 2 より大きく設定
し、T 1 はT 2 の7倍以下に設定する。
【0021】従って、請求項1に対応する発明は、以上
のような手段を講じたことにより、ラプラス演算子sを
用いた伝達関数(6)式と等しい性能を実現するため
に、係数a1は演算周期Tと時定数T1とで表し、前記係
数a2は演算周期Tと時定数T1,T2とで表し、前記係
数a3は演算周期Tと時定数T1,T2とで表すととも
に、前記(5)式のように構成すれば、従来と同程度の
簡単な演算で所要のフィルター機能を実現でき、入力信
号に対する出力信号の位相遅れを低減化でき、さらに前
記T,時定数T 1 ,T 2 を前述するように設定することに
より、従来より位相遅れを少なくした低域通過フィルタ
ー装置を実現可能となる。
【0022】
【0023】請求項2に対応する発明は、請求項1に記
載されるKとT1,T2との値として、入力信号における
遮断周波数ωcより低い周波数領域の周波数成分を減衰
させるために、KはT1/T2に設定し、T1は前記遮断
周波数ωcの逆数1/ωcに近い値を設定し、かつ、T
2はT1より大きく設定し、T2はT1の7倍以下に設定す
る。
【0024】このような手段を講じることにより、従来
より位相遅れの少ない高域通過フィルターを実現可能で
ある。請求項3に対応する発明は、請求項1のKとT
1,T2の値をもつディジタルフィルター装置と請求項2
のKとT1,T2の値をもつディジタルフィルター装置と
を直列に組合せることにより、特定の周波数範囲の入力
信号を減衰または増幅する帯域通過または帯域阻止機能
をもったディジタルフィルター装置を実現できる
【0025】
【発明の実施の形態】以下、請求項1,2に係わるディ
ジタルフイルター装置の一実施形態について図1を参照
して説明する。同図に示すディジタルフイルター装置1
0は、特定の周波数以上の周波数領域の入力信号を演算
周期Tごとに減衰させる低域通過用フイルター機能や特
定の周波数以下の周波数領域の入力信号を演算周期Tご
とに減衰させる高域通過用フイルター機能をもつもので
ある。
【0026】具体的には、フイルター装置出力y(n
T)を1演算周期Tだけ遅延させる遅延要素11および
この遅延要素11で遅延されて得られる1演算周期前の
出力y{(n−1)T}に係数a1 を乗算出力する係数
手段12とからなる出力遅延手段と、現在時刻nTの入
力信号u(nT)に係数手段13の係数a2 を乗算し出
力する信号入力手段と、前記入力信号u(nT)を1演
算周期遅延する遅延要素14およびこの遅延要素14で
遅延されて得られる1演算周期前の入力信号u{(n−
1)T}に係数a3 を乗算する係数手段15からなる入
力遅延手段と、これら係数手段12,13,15の出力
を加算出力する加算手段16と、この加算手段16の出
力にフイルターの入出力ゲインを調整するための補正ゲ
インKを乗算しフイルター装置出力とする補正ゲイン手
段17とによって構成されている。
【0027】すなわち、このディジタルフイルター装置
は、第n番目の演算周期である現在時刻nTにおけるデ
ィジタルフイルター装置の出力y(nT)を取り出すた
めに、1演算周期前における出力y{(n−1)T}
と、ディジタルフイルター装置への入力信号の現在時刻
nTにおける値u(nT)と、1演算周期前における入
力信号の値u{(n−1)T}と、各係数手段12,1
3,15の係数a1 ,a2 ,a3 と、補正ゲイン手段1
7の補正ゲインKとを用いて、 y(nT)=K[a1 ・y{(n−1)T}+a2 ・u(nT) +a3 ・u{(n−1)T}] …(7) で表されるように構成する。
【0028】さらに、この(7)式で表すディジタルフ
イルター装置を構成する補正ゲイン手段17の補正ゲイ
ンKおよび係数手段12,13,15の係数a1 ,a
2 ,a3 は、ラプラス演算子sを用いたアナログ系(連
続系)の伝達関数となる K・{(1+T2 s)/(1+T1 s)}(T1 ≧0,T2 ≧0)…(8) と等しい性能を実現する観点から、次のような値を設定
する。つまり、a1 は演算周期Tと時定数T1 とで表
し、a2 は演算周期Tと時定数T1 ,T2 とで表し、a
3 は演算周期Tと時定数T1 ,T2 とで表すものとす
る。具体的には、 a1 =T1 /(T+T1 ) …(9) a2 =(T+T2 )/(T+T1 ) …(10) a3 =−T2 /(T+T1 ) …(11) で表す。
【0029】以下、前記(9)式〜(11)式を導出す
る手順について説明する。先ず、前記(8)式を変形す
ると、下式のようになる。 (1+T1 ・s)y=(1+T2 ・s)u …(12) ここで、ラプラス変換領域と時間領域との関係は以下の
ようになる。
【0030】Sy=dy/dt,Su=du/dt そこで、このような式をディジタル形で表現するため、
この時間微分を演算周期T[sec ]を用いて差分形で表
すと、次のようになる。
【0031】 dy/dt=[y(nT)・y{(n−1)T]/T …(13) du/dt=[u(nT)・u{(n−1)T]/T …(14) ここで、(13)式、(14)式を(12)式に代入す
ると、 y(nT)+T1 ・[y(nT)・y{(n−1)T}]/T =u(KT)+T2 ・[u(nT)・u{(n−1)T}]/T…(15) となる。従って、ディジタルフイルターは、次式で表す
ことができる。
【0032】 y(nT)={T1 /(T+T1 )}・y{(n−1)T} +{(T+T2 )/(T+T1 )}・u(nT) −{T2 /(T+T1 )}・u{(n−1)T} …(16) よって、この(16)式から、a1 =T1 /(T+T
1 )、a2 =(T+T2)/(T+T1 )、a3 =T2
/(T+T1 )を導出することができる。
【0033】また、1次遅れディジタルフイルターは、
(16)式においてT2 =0とすればよく、下記する
(17)式で表すことができる。 y(nT)={T1 /(T+T1 )}・y{(n−1)T} +{T/(T+T1 )}・u(nT) …(17) この(17)式のディジタルフイルターは、図1の要素
14,15をもたない構成である。
【0034】さらに、ディジタルフイルター装置の他の
実施の形態として、係数a1 ,a2,a3 を、演算周期
T、時定数T1 ,T2 を用いて次のように表すこともで
きる。
【0035】 a1 =(2T1 −T)/(T+2T1 ) …(18) a2 =(T+2T2 )/(T+2T1 ) …(19) a3 =−(2T2 −T)/(T+2T1 ) …(20) 以下、この(18)式〜(20)式の導出手順について
説明する。
【0036】連続系の記述方法であるラプラス演算子
s,つまり s=(2/T)・{(Z−1)/(Z+1)} …(21) を、離散値系の記述方法であるZ演算子に変換する双一
次変換を適用する。yのZ変換をY(Z)、uのZ変換
をu(Z)として、(21)式を(8)式に代入する。
【0037】 Y(Z)=[{(T+2T2 )+(T−2T2 )Z-1)}/{(T+2T1 ) +(T−2T1 )Z-1)}]・U(Z) …(22) ここで、 Y(Z)=y(nT) …(23) Y(Z)Z-1=y{(n−1)T} …(24) U(Z)=u(nT) …(25) U(Z)Z-1=u{(n−1)T} …(26) であるから、前記(22)式は次のように変換できる。
【0038】 y(nT)={(2T1 −T)/(T+2T1 )}・y{(n−1)T} +{(T+2T2 )/(T+2T1 )}・u(nT) −{(2T2 −T)/(T+2T1 )}・u{(n−1)T}…(27) また、1次遅れフイルターは、(27)式においてT2
=0とすればよく、下記する(28)式で表すことがで
きる。
【0039】 y(nT)={(2T1−T)/(T+2T1)}・y{(n−1)T} +{T/(T+2T1)}・u(nT) … (28)
【0040】なお、請求項1の実施の形態は、低域フィ
ルター装置を実現する例であって、KとT1,T2との値
は、入力信号における特定の周波数(遮断周波数ωc)
より高い周波数領域の周波数成分を減衰させるために、
Kは1に設定し、T1は前記遮断周波数ωcの逆数1/
ωcに近い値を設定し、かつ、T1はT2より大きく設定
し、T1はT2の7倍以下と設定する。
【0041】図2は前記(8)式のK,T1 ,T2 に以
上のような値を設定したときのアナログフイルター装置
の周波数特性例である。同図(a)のゲイン線図から明
らかなように、ゲインが遮断周波数10rad/sより高い
周波数領域で僅か−12db程度減衰し、この減衰に伴
って同図(b)に示すように位相がある一部の周波数領
域内で最大36°程度遅れるが、それ以外の領域では位
相の遅れがなくなる。このフイルターは、従来例を説明
する図10(b)と比較したとき、位相遅れがほぼ半分
以下に低減されている。例えば従来例の位相遅れ90°
よりも多少改善する程度であれば、T1 をT2 の7倍近
く,つまりT1 をT2 の7倍以下に設定しても、従来と
比較して位相遅れを改善できる。また、高周波数領域で
ゲインが余り減衰していないが、ディジタルフイルター
の場合には、サンプリング定理に基づき、演算周期Tで
記述できる周波数に限界(1/2T)があり、高周波領
域では自然に減衰する。つまり、(1/2T)以下の周
波数でサンプリングしないと、原信号を再現できないこ
とから、自ずと減衰することになる。
【0042】なお、請求項2の実施の形態は、高域フィ
ルター装置を実現する例であって、KとT1,T2との値
は、入力信号における特定の周波数,つまり遮断周波数
ωcより低い周波数領域の周波数成分を減衰させるため
に、KはT1/T2に設定し、T1は前記遮断周波数ωc
の逆数1/ωcに近い値を設定し、かつ、T2はT1より
大きく設定するが、T2はT1の7倍以下と設定する。
【0043】図3は前記(8)式のK,T1 ,T2 に以
上のような値を設定したときのアナログフイルター装置
の周波数特性例を示す図である。同図(a)のゲイン線
図から明らかなように、ゲインが遮断周波数800rad/
s より低い周波数領域で僅か−12db程度減衰し、こ
の減衰に伴って同図(b)に示すように位相がある一部
の周波数領域内で進んでいるが、それ以外の領域では位
相進みがない。これはT2 をT1 の7倍以下に設定する
ことで、位相進みを少なくすることができる。
【0044】さらに、請求項3に係わる発明の一実施の
形態について説明する。この実施の形態は、帯域通過フ
ィルター或いは帯域阻止フィルターを実現する例であっ
て、前述する請求項1に係わる低域フィルターと請求項
に係わる高域フィルターとを直列に組合わせることに
より、特定の周波数帯域の信号を通過させ、他の周波数
帯域の信号を減衰させるように構成できる。例えば K・{(1+T2s)/(1+T1s)}・{(1+T4s)/(1+T3s)} … (29) (T1≧0,T2≧0,T3≧0,T4≧0) することにより、帯域阻止フィルターを実現できる。
図4は帯域阻止フィルターの特性例である。
【0045】従って、以上のような実施の形態によれ
ば、従来使用されている一次遅れフイルターの演算と同
程度の演算により位相の進み、遅れを低減でき、従来の
フイルターより多少改善する程度であれば、例えば低域
通過フイルターではT1 はT2の7倍近い値まで設定可
能であり、同様に高域通過フイルターではT2 はT1
7倍近くまで設定可能である。
【0046】従来の制御システムにおいてノイズ除去等
のために一次遅れフイルターを設け、当該フイルター通
過後の位相遅れのある信号をフイードバックするなどし
て制御する場合、センサーで測定したフイルターを通す
前の信号より位相が遅れたフイルター通過後の信号を用
いて制御することになるので、制御量のハンチング現象
が発生しやすくなるため、制御ゲインを上げることがで
きない。制御ゲインを上げられないと、高速の制御性能
が得られないばかいか、操業が不安定となることもあ
る。
【0047】これに対し、本実施の形態のフイルター装
置を用いれば、位相遅れの少ない信号をフィードバック
制御に生かすことができ、ひいては制御装置のゲインを
上げることができ、装置全体の制御性能を向上できる。
【0048】なお、上記実施の形態では、ディジタルフ
イルターのパラメータを求めるに際し、2通りの離散値
化の方法を示したが、他の方法を用いて同様にパラメー
タを求めることができることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような種々の効果を奏する。請求項1,2の発明によ
れば、構成簡単にしてフィルター機能を実現でき、従来
と比較して入力信号に対する出力信号の位相の進み,遅
れを大幅に低減でき、制御システムに適用して高性能お
よび安定操業を確保できる。
【0050】また、簡単な演算を用いて従来のフィルタ
ーと同等の性能のものを実現できる。さらに、各種のパ
ラメータを所定の値に設定することにより、位相進み・
遅れを大幅に低減可能な低域通過フィルター、高域通過
フィルターを実現できる。
【0051】請求項3の発明によれば、請求項1の低域
通過フィルター構成と請求項2の高域通過フィルター構
成とを直列に接続することにより、特定帯域の信号を通
過させ、他の帯域の信号を減衰させる位相進み、遅れの
少ないフィルター装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるディジタルフイルター装置の
一実施形態を示す構成図。
【図2】 本発明のフイルター構成を用いた低域通過フ
イルターのゲイン線図および位相線図。
【図3】 本発明のフイルター構成を用いた高域通過フ
イルターのゲイン線図および位相線図。
【図4】 本発明のフイルター構成を用いた特定帯域の
信号を通過または減衰させるフイルターのゲイン線図お
よび位相線図。
【図5】 フイルター装置に対する入・出力関係を示す
図。
【図6】 低域フイルターの周波数応答例を示す図。
【図7】 高域フイルターの周波数応答例を示す図。
【図8】 帯域通過フイルターの周波数応答例を示す
図。
【図9】 帯域阻止フイルターの周波数応答例を示す
図。
【図10】 従来の一次遅れフイルターのゲイン線図お
よび位相線図。
【図11】 従来の二次遅れフイルターのゲイン線図お
よび位相線図。
【符号の説明】
10…ディジタルフイルター装置 11,14…遅延要素 12,13,15…係数手段 16…加算手段 17…補正ゲイン手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−72218(JP,A) 特開 平4−42607(JP,A) 特開 平2−250419(JP,A) M.E.VAN VALKENBUR G著/柳沢健、金井元訳,アナログフィ ルタの設計,日本,株式会社産業報知セ ンター,1985年3月25日,初版,p.82 −87 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 17/08 H03H 17/02 633

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定の周波数以上の周波数領域の入力信
    号または特定の周波数以下の周波数領域の入力信号を、
    演算周期Tごとに減衰させるディジタルフィルター装置
    において、 フィルター装置出力を1演算周期遅延させて得られる1
    演算周期前の出力y{(n−1)T}に係数a1を乗算
    し出力する出力遅延手段と、現在時刻nTの入力信号u
    (nT)に係数a2を乗算し出力する信号入力手段と、
    前記入力信号u(nT)を1演算周期遅延させて得られ
    る1演算周期前の入力信号u{(n−1)Tに係数a3
    を乗算して出力する入力遅延手段と、これら各手段の出
    力を加算し補正ゲインKを乗じることにより、下式で表
    わされるn番目の演算周期である現在時刻nTの出力y
    (nT)を取り出す手段とを備えたことを特徴とするデ
    ィジタルフィルター装置。 y(nT)=K[a1・y{(n−1)T}+a2・u(nT) +a3・u{(n−1)T} … (1) 但し、前記現在時刻nTにおける出力y(nT)を求めるための係数a1,a 2,a3は、ラプラス演算子sを用いたアナログ系伝達
    関数である K・{(1+T 2 s)/(1+T 1 s)}(T 1 ≧0,T 2 ≧0) … (2) と等しい性能を実現するために、前記係数a1は演算周
    期Tと時定数T 1 とで表し、前記係数a2は演算周期Tと
    時定数T 1 ,T 2 とで表し、前記係数a3は演算周期Tと
    時定数T 1 ,T 2 とで表し、また前記(2)式のKと
    1 ,T 2 との値は、入力信号における遮断周波数ωcよ
    り高い周波数領域の周波数成分を減衰させるために、K
    は1に設定し、T 1 は前記遮断周波数ωcの逆数1/ω
    cに近い値を設定し、かつ、T 1 はT 2 より大きく設定
    し、T 1 はT 2 の7倍以下に設定するものとする。
  2. 【請求項2】 特定の周波数以上の周波数領域の入力信
    号または特定の周波数以下の周波数領域の入力信号を、
    演算周期Tごとに減衰させるディジタルフィルター装置
    において、 フィルター装置出力を1演算周期遅延させて得られる1
    演算周期前の出力y{(n−1)T}に係数a1を乗算
    し出力する出力遅延手段と、現在時刻nTの入 力信号u
    (nT)に係数a2を乗算し、出力する信号入力手段
    と、前記入力信号u(nT)を1演算周期遅延させて得
    られる1演算周期前の入力信号u{(n−1)T}に係
    数a3を乗算して出力する入力遅延手段と、これら各手
    段の出力を加算し補正ゲインKを乗じることにより、下
    式で表わされるn番目の演算周期である現在時刻nTの
    出力y(nT)を取り出す手段とを備えたことを特徴と
    するディジタルフィルター装置。 y(nT)=K[a1・y{(n−1)T}+a2・u(nT) +a3・u{(n−1)T} … (1') 但し、前記 現在時刻nTにおける出力y(nT)を求め
    るための係数a1,a2,a3は、ラプラス演算子sを
    用いたアナログ系伝達関数である K・{(1+T2s)/(1+T1s)}(T1≧0,T2≧0) … (2' ) と等しい性能を実現するために、前記係数a1は演算周
    期Tと時定数T1とで表し、前記係数a2は演算周期Tと
    時定数T1,T2とで表し、前記係数a3は演算周期Tと
    時定数T1,T2とで表し、また前記(2')式のKと
    1 ,T 2 との値は、入力信号における遮断周波数ωcよ
    り低い周波数領域の周波数成分を減衰させるために、K
    はT 1 /T 2 に設定し、T1は前記遮断周波数ωcの逆数
    1/ωcに近い値を設定し、かつ、T 2 はT 1 より大きく
    設定し、T 2 はT 1 の7倍以下に設定するものとする。
  3. 【請求項3】 請求項1のKとT1,T2の値をもつディ
    ジタルフィルター装置と請求項2のKとT1,T2の値を
    もつディジタルフィルター装置とを直列に組合せること
    により、特定の周波数範囲の入力信号を減衰または増幅
    することを特徴とするディジタルフィルター装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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M.E.VAN VALKENBURG著/柳沢健、金井元訳,アナログフィルタの設計,日本,株式会社産業報知センター,1985年3月25日,初版,p.82−87

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