JP3296368B2 - プラズマcvd装置 - Google Patents

プラズマcvd装置

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JP3296368B2
JP3296368B2 JP23776592A JP23776592A JP3296368B2 JP 3296368 B2 JP3296368 B2 JP 3296368B2 JP 23776592 A JP23776592 A JP 23776592A JP 23776592 A JP23776592 A JP 23776592A JP 3296368 B2 JP3296368 B2 JP 3296368B2
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暢之 寺山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマCVD法によ
り被処理物である基板上に反応膜を生成するための装置
に関するものであり、特に基板を例えば200℃以下の
低温に保ちつつ反応膜を形成するプラズマCVD装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は従来のプラズマCVD装置の主要
部の構造を示す図である。同図で、31はプラズマ源、
32は該プラズマ源に結合された真空槽である。プラズ
マ源31には熱陰極フィラメント(以下では熱陰極と称
す)33、陽極34、およびガスノズル35が設けられ
ている。熱陰極33はTa、Mo、W等の高融点材料で
作られ、例えば20V、50A程度の電力容量をもった
熱陰極加熱電源36により赤熱される。陽極34には陽
極電源37により、熱陰極33の電位を基準として0V
〜+100V、通常+50Vの電圧が印加される。ま
た、熱陰極33にはバイアス電源38によりアース電位
を基準として0V〜−100V、通常は−45V程度の
バイアス電圧が印加されている。
【0003】真空槽32は排気管39を通して真空ポン
プ(図示せず)に結合されている。また、真空槽32は
接地されている。真空槽32内には、プラズマ源31と
対向して放電領域内に基板支持台40が設けられてお
り、該基板支持台上に被処理物である基板41が配置さ
れている。基板41は、基板電源42により基板支持台
40を介して0〜−1000V、通常は−100V程度
にバイアスされている。43は加熱ヒータで、基板41
を所定の温度に加熱する。
【0004】図2の従来のプラズマCVD装置におい
て、ガスノズル35からAr、N2 、H2 、He 等の放
電用ガスと所定の材料ガス、例えばシランガス(SiH
4 )を導入する。また、真空ポンプを動作させて真空槽
内の圧力を10-3〜10-5Torr台、例えば7×10
-4Torrに維持する。さらに、プラズマ源31の周囲
に配置された磁場発生コイル44に通電してプラズマ源
内部に磁束密度が50〜300ガウスの磁界を発生させ
る。
【0005】プラズマ源31で生成されたプラズマは、
コイル44によって発生された磁界によって真空槽32
に向けてφ方向に流出する。ガスノズル35から導入さ
れた材料ガスはプラズマにより分解、解離されて、基板
41上に反応膜が堆積される。
【0006】上記のような従来のプラズマCVD装置で
は、基板41をプラズマ源31と対向して放電領域内に
配置して反応膜を堆積しているため、基板41は常に直
接プラズマにさらされている。このため、プラズマ内に
存在する高エネルギー電子の衝撃により、基板41の温
度上昇は避けられず、基板41として例えばアルミ板を
使用した場合、数分で溶融温度(約660℃)以上にな
る。このような理由から、図2に示すような従来のプラ
ズマCVD装置では高温に耐えられる基板に対してしか
反応膜を形成することができなかった。
【0007】成膜中、基板温度が上昇する主たる原因が
プラズマ内に存在する高エネルギー電子の衝撃によるも
のであることを見極めるために、ファラデーカップ(荷
電粒子を捕集する検知器)を基板41の近くに設置し、
基板に入射するプラズマ電子のエネルギーを測定した。
測定は次の条件で実施した。
【0008】ファラデーカップの荷電粒子が通過する穴
の直径D=5.0mm(従って、穴の面積S≒0.2c
2 )、真空槽32中のN2 のガス圧PN2=7×10-4
Torr、陽極電圧VA =55V、放電電流Id =50
A、コイル44の電流I44=1.4A、バイアス電圧−
50V。測定の結果、図2の従来のプラズマCVD装置
では、図3の曲線Aに示すように、基板41には最大4
8eVもの高エネルギーの電子が入射していることが判
った。因みに後程詳細に説明する本発明の装置では、曲
線Bに示すように、基板に入射する電子のエネルギーは
2eVである。この測定結果から、成膜中に基板の温度
を上昇させる主な要因はプラズマ中の高エネルギー電子
の衝撃によるものであることが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のプ
ラズマCVD装置では、プラズマ中の高エネルギー電子
の衝撃による基板温度の上昇がはなはだしく、成膜すべ
き基板材料が著しく制限されるという点である。
【0010】本発明は、収束用磁場発生コイルによりプ
ラズマを収束してビーム状に閉じ込め、成膜される基板
をビーム状プラズマの径方向の外周部で放電領域外に配
することにより、上記基板がプラズマ中に存在する高
エネルギー電子で衝撃されるのを抑え、基板の温度が上
昇するのを防止して、従来は、成膜が殆ど不可能であっ
た200℃前後でなまるSK材や樹脂のような耐熱性の
低い材質の基板に対しても成膜できるプラズマCVD装
置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるプラズマC
VD装置は、減圧され且つ接地された真空槽と、該真空
槽に結合され、熱電子を放出する熱陰極と、該熱陰極の
電極を基準として正電圧が印加される陽極とを含むプラ
ズマ源と、上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向
して配置され、前記熱陰極の電位若しくはフローティン
グ電位(絶縁電位)のいずれかに維持されたプラズマ反
射電極と、少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置され
て該プラズマ源内にアーク放電を助長する磁場を発生す
る第1のコイルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近く
に配置されて上記プラズマ源と反射電極との間でプラズ
マをビーム状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイル
とを具備している。基板は上記ビーム状プラズマの径方
向の外周部で且つ放電領域外に配置される。
【0012】
【作用】本発明のプラズマCVD装置では、第2のコイ
ルが発生する磁場の作用により、プラズマはプラズマ源
と反射電極との間でビーム状に閉じ込められ、基板はビ
ーム状プラズマの径方向の外周部で且つ放電領域外に配
置されるから、該基板がプラズマ中の高エネルギーの電
子で衝撃されるのが抑えられ、成膜中に基板の温度が上
昇するのが防止される。更に、反射電極が熱陰極の電位
若しくはフローティング電位のいずれかに維持されてい
るので、プラズマ源からの熱電子が、プラズマ源と反射
電極との間で往復し、電界振動するので、大きなプラズ
マ密度が得られ、皮膜の堆積速度を向上させることがで
きる。
【0013】
【実施例】以下、図を参照しつつ本発明のプラズマCV
D装置を説明する。図1は本発明のプラズマCVD装置
の一実施例の主要部の構造を示す図で、1はプラズマ
源、2は真空槽で、両者は絶縁物15を介して電気的に
絶縁された状態で結合されている。プラズマ源1には熱
陰極3、陽極4、減速電極16、およびAr、N2 、H
2 、He 等の放電用ガスをプラズマ源1に導入するため
のガスノズル5が設けられている。
【0014】熱陰極3はTa、Mo、W等の高融点材料
で作られ、熱陰極加熱電源6により赤熱される。熱陰極
加熱電源6としては、20V、100A程度の電力容量
をもったものが使用される。熱陰極加熱電源6は直流電
源、交流電源のいずれでもよいが、図示の実施例では直
流電源が使用される。陽極4は熱陰極3と同様にTa、
Mo、W等の高融点材料で作られ、陽極電源7により、
熱陰極3の電位を基とし0〜+100V、好ましくは+
50Vの電圧が印加される。減速電極16は同様にT
a、Mo、W等の高融点材料で作られ、接地されてい
る。また、減速電極16は減速電源8により熱陰極3の
電位を基準として0〜+100V、好ましくは+45V
の正電圧にバイアスされる。ガスノズル5からは前述の
ようにプラズマ源1にAr、N2 、H2 、He 等の放電
用ガスのみが供給される。
【0015】真空槽2は排気管9を通して真空ポンプ
(図示せず)に結合されている。また真空槽2は通常接
地されている。真空槽2内にはプラズマ源1と対向して
反射電極17が設置されており、該反射電極17は熱陰
極3と同電位か、あるいは絶縁電位(フローティング電
位)に保たれている。10は基板支持台、11は該基板
支持台上に取付けられた被処理物である基板である。基
板支持台10は、基板11がプラズマ源1と反射電極1
7との間に形成されるビーム状プラズマの径方向の外周
部で、放電領域外に配置されるような位置に設置されて
いる。基板11には基板電源18により基板支持台10
を介して0〜−1000V、好ましくは−100Vの負
電圧が印加される。基板11を0〜負電圧にバイアスす
ると、基板に到着するイオンエネルギーが制御され、密
着性、緻密性の高い被膜が形成される。
【0016】基板11に形成される被膜が導電性である
場合は、基板11は図示の実施例のように直流電源によ
り負のバイアスが与えられるが、基板11に絶縁性被膜
を形成する場合は、工業上の使用条件に適合した例えば
13.56MHzの高周波を印加するのが望ましい。基
板11に高周波を印加すると、周知のようにプラズマの
作用により基板11に負の自己バイアス電圧が生じるこ
とから、基板11の電位はこの負の自己バイアス電圧を
中心として13.56MHzで振動し、チャージアップ
を防いで絶縁性被膜を形成することができる。
【0017】12は加熱用ヒータで、基板11を所定の
温度に維持するために使用される。13は材料ガスを導
入するガスノズルで、該ガスノズル13は材料ガスの有
効消費効率を向上させるために基板11の近傍に直接材
料ガスを供給するような位置に配置されている。
【0018】プラズマ源1の周囲には放電を助長する磁
場発生用の主コイル14が配置されており、該主コイル
14には5A以下、通常2A程度の電流が供給され、プ
ラズマ源1中にφ方向に磁束密度が50〜300ガウス
の磁界を発生する。この磁界の存在により熱陰極3から
放出された熱電子は上記磁界にまとわりつくように螺旋
運動を行い、これによって実効飛行距離が伸びて、動作
圧力の10-3〜10-5Torrの低圧(分子流領域)にお
いても安定した放電を維持することができる。
【0019】主コイル14だけでは、プラズマ源1から
真空槽2に流出するプラズマは図4に示すように主コイ
ル14の磁界分布に従ってプラズマ流21で示すように
発散する。発散したプラズマは基板11に直接ふりそそ
ぐため、図2に示す従来の装置と同様に基板11は高エ
ネルギー電子の衝撃を受けて、基板温度が上昇する。本
発明の装置では、反射電極17の周囲に収束用磁場を発
生する補助コイル20が設けられている。補助コイル2
0には主コイルと同様に5A以下、通常2A以下の電流
が供給されて、例えば100〜200ガウスの磁束密度
の磁界を発生する。この磁界によりプラズマは図5の2
2で示すように収束されてプラズマ源1と反射電極17
との間でビーム状に閉じ込められる。この場合、電子は
収束用磁場の影響を強く受けて収束されるが、電子の数
千倍も重いイオンは収束用磁場の影響を殆ど受けず、拡
散によって基板11に向かう。
【0020】上記の本発明のプラズマCVD装置におい
て、基板11に窒化ケイ素膜を形成する例について説明
する。熱陰極3として直径が0.8mmのタングステン
線を使用し、これに熱陰極加熱電源6により16V、4
5Aの電力を供給して、該熱陰極3を2000℃以上に
赤熱させる。また、陽極電源7により陽極4に熱陰極3
の電位を基準として+50Vの電圧を印加し、減速電源
8により減速電極16に熱陰極3の電位を基準として+
45Vの電圧を印加する。さらに、主コイル14に1.
4A、補助コイル20に1.0Aの電流を流して、それ
ぞれ約150ガウス、約100ガウスの磁界を発生させ
る。基板11として、SK−3を10mm×10mm×
40mmに切断した角材を使用した。
【0021】放電用ガスノズル5から窒素ガスを50s
cc/分、材料ガスノズル13からシランガス(SiH
)を40scc/分の割合で供給する。このときの真
空槽2内の圧力は7×10−4Torrである。以上の
条件で、陽極4により0.5〜1mA程度の熱電子電流
のエミッションが得られ、このエミッションによりプラ
ズマ源1内に導入された窒素ガスを電離して、1〜10
0Aのアーク放電電流、好ましくは50A程度のビーム
状プラズマがプラズマ源1と反射電極17との間の軸上
に形成される。約1時間の成膜作業により、基板11上
に約3μmの窒化ケイ素(Si)膜が形成され
た。成膜作業中、基板11の温度は180℃以下に維持
され、高温による母材硬度の下といったような基板の
熱的損傷は全く見られなかった。供給されるガスの種類
を適宜変更することにより、Si被膜の他にSi
C、TiN、TiC、BN、カーボン等の被膜を形成す
ることができる。
【0022】本発明のプラズマCVD装置で、従来の装
置と同様に基板11の近傍にファラデーカップを設置
し、基板11に入射するプラズマ電子のエネルギーを測
定した。測定は、図2に示す従来の装置に関する測定条
件と同じ条件で行った。但し、減速電極16の電圧V
DEC =50V、主コイル14の電流I14=1.4A、補
助コイル20の電流I20=1.0Aとした。その結果、
図3の曲線Bに示すように、基板11に入射する電子の
エネルギーは2eVで、従来装置に比して1/20以下
に減少することが確かめられた。なお、基板11に入射
するイオンエネルギーは、図示していないが、図1の本
発明の装置、図2の従来装置とも数eVで大差はなかっ
た。このことから、本発明のプラズマCVD装置によれ
ば、基板を180〜200℃以下の低温に維持しつつこ
れに成膜することができる。
【0023】本発明のプラズマCVD装置で使用される
減速電極16は接地電位に維持され、従って熱陰極3は
接地電位を基準として−45Vの負電圧が印加されてい
るから、熱陰極3から放出された熱電子の一部は該減速
電極16に流入して接地点に流れる。これによってアー
ク放電によるプラズマ内に電子が注入され、プラズマ電
位を引下げてイオンを減速させることができる。また、
反射電極17の存在により、熱電子をプラズマ源1と反
射電極17との間で往復させて電界振動させることによ
り、効率良く度の高いプラズマを生成することができ
る。
【0024】図6は放電電流に対するイオン電流密度
を、反射電極の有無について測定した結果を示す。測定
条件は、放電用ガスとしてArを導入し、ガス圧PAr
4.5×10-4Torr、陽極電圧VA =60V、減速
電極電圧VDEC =50V、反射電極17の電位は熱陰極
3と同電位とした。同図から明らかなように、同じ大き
さの放電電流であっても、反射電極が存在すれば濃いプ
ラズマが得られ、多量のイオンが被処理物である基板に
入射することが判る。これは、前述のように、熱電子を
プラズマ源と反射電極との間で往復運動させ、熱電子を
電界振動させることにより高密度のプラズマを生成でき
ることによる。
【0025】図7はイオン電流密度と補助コイル20に
供給される電流I20との関係を示す図である。測定条件
は、放電用ガスとしてN2 を導入し、ガス圧PN2=7×
10-4Torr、陽極電圧VA =60V、放電電流Id
=8A、減速電極電圧VDEC=55V、主コイル電流I
14=4.0Aとした。同図から明らかなように、補助コ
イル20の電流I20を増大させることによりプラズマは
収束されて高密度プラズマが得られ、イオン電流密度が
大きくなることが判る。しかし、補助コイル電流密度I
20を1.5A以上に増大させてもイオン電流密度はそれ
程増大しないことから、補助コイル20の電流I20は1
〜2Aが適当である。
【0026】補助コイル20は上記のようにプラズマを
収束してビーム状に閉じ込める作用を有するものであ
り、図8のように、主コイル14と補助コイル20との
間に第2の補助コイル24を設けてもよい。また、図9
に示すように、大形の1個のコイル25で主コイルと補
助コイルの作用を持たせるようにしてもよい。
【0027】本願発明の装置では、材料ガスはガスノズ
ル13を通して直接基板11の近傍に供給されるが、動
作中に陽極4、減速電極16にも被膜が付着する。形成
される被膜が例えばSiのような絶縁物である場
合は、陽極および減速電極に被膜が付着するにつれて放
電電流が減少し、ついには放電が停止してしまう。この
ような事態の発生を防止するために、これらの電極とし
て図10あるいは図11に示す構造のものを使用するの
が望ましい。図10、図11で、(a)は断面図、
(b)は正面図を示す。陽極4について言えば、図10
では陽極4それ自体を加熱用電源28で通電加熱し、陽
極4を1800℃以上の高温に加熱するようにしたもの
である。図11は、陽極4のプラズマ22が通過する部
分に高融点材料で作られた熱容量が小さい線材29を張
り、この線材29をプラズマ22で叩いて加熱し、線材
29を1800℃以上に加熱するようにしたものであ
る。いずれの例も陽極4および線材29に付着する被膜
を再蒸発させることにより陽極面および線材面を露出さ
せることができ、放電電流を安定化することができる。
減速電極16についても図10または図11に示す構造
のものを使用するのが望ましい。
【0028】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、被処理物である基板は、上記プラズマの径方向外
周部で放電領域外に配置されていることにより、基板が
高エネルギーの電子で衝撃されるのが防止され、例えば
基板を180°C〜200°Cの低温に保ったままでこ
れに反応膜を形成することができる。更に、反射電極
が、熱陰極と同電位または絶縁電位とされているので、
プラズマ源からの電子及びプラズマ電子を反射させ、プ
ラズマ源と反射電極との間で往復させて、電界振動させ
るので、大きなプラズマ密度が得られ、被膜の堆積速度
を向上させることができる。また、請求項2記載の発明
によれば、プラズマ源の内部に、減速電極を有している
ので、例えば絶縁被膜を形成する際に、減速電極への絶
縁被膜堆積を極力抑えることができ、しかも減速電極は
接地電位であるので、真空槽内壁に絶縁膜が堆積されて
も、プラズマ源の内部に接地電位である減速電極が存在
するので、プラズマは、この減速電極の電位を基準とし
て常に安定に、形状を維持することができ、安定な成膜
が得られる。また、プラズマ源は、絶縁電位に維持さ
れ、その内部に陽極を有しているので、放電経路を維持
することができ、プラズマ源そのものの熱衝撃を和らげ
る効果があり、陰極から放出された熱電子はプラズマ源
内で消滅することがなく、熱電子の走行距離を長くで
き、効率よくイオン化することができる。請求項3記載
の発明によれば、請求項1、2記載の発明を併せた効果
を生じる。請求項4、5記載の発明によれば、例えば形
成される被膜が絶縁物である場合でも、放電電流の減少
を防止し、放電を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマCVD装置の一実施例の主要
部の構造を示す図である。
【図2】従来のプラズマCVD装置の構造を示す図であ
る。
【図3】従来のプラズマCVD装置において基板に入射
する電子のエネルギーの大きさと、本発明のプラズマC
VD装置において基板に入射する電子のエネルギーの大
きさを比較して示した図である。
【図4】従来のプラズマCVD装置におけるプラズマ流
の状態を示す図である。
【図5】本発明のプラズマCVD装置におけるプラズマ
流の状態を示す図である。
【図6】反射電極17が有る場合と無い場合の放電電流
とイオン電流密度との関係を示した図である。
【図7】本発明のプラズマCVD装置で補助コイル20
に供給する電流とイオン電流密度との関係を示す図であ
る。
【図8】本発明のプラズマCVD装置の他の実施例の概
略構成図である。
【図9】本発明のプラズマCVD装置のさらに他の実施
例の概略構成図である。
【図10】本発明のプラズマCVD装置で使用される陽
極および減速電極の一例を示す概略図である。
【図11】本発明のプラズマCVD装置で使用される陽
極および減速電極の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 プラズマ源 2 真空槽 3 熱陰極 4 陽極 5 放電用ガスノズル 6 熱陰極加熱電源 7 陽極電源 8 減速電源 9 排気管 10 基板支持台 11 基板 12 加熱用ヒータ 13 材料ガスノズル 14 主コイル 15 絶縁物 16 減速電極 17 反射電極 18 基板電源 20 補助コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56 H01L 21/205 H01L 21/31 H05H 1/46

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧され且つ接地された真空槽と、 該真空槽に結合され、熱電子を放出する熱陰極と、該熱
    陰極の電極を基準として正電圧が印加される陽極とを含
    むプラズマ源と、 上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向して配置さ
    れ、前記熱陰極の電位若しくはフローティング電位(絶
    縁電位)のいずれかに維持されたプラズマ反射電極と、 少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置されて該プラズ
    マ源内にアーク放電を助長する磁場を発生する第1のコ
    イルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近くに配置され
    て上記プラズマ源と反射電極との間でプラズマをビーム
    状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイルとを 具備し、 基板は上記ビーム状プラズマの径方向の外周部で且つ放
    電領域外に配置されるプラズマCVD装置。
  2. 【請求項2】 減圧され且つ接地された真空槽と、 該真空槽に結合され、熱電子を放出する熱陰極と、該熱
    陰極の電極を基準として正電圧が印加される陽極とを含
    むプラズマ源と、 上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向して配置さ
    れたプラズマ反射電極と、 少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置されて該プラズ
    マ源内にアーク放電を助長する磁場を発生する第1のコ
    イルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近くに配置され
    て上記プラズマ源と反射電極との間でプラズマをビーム
    状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイルとを 具備し、 基板は上記ビーム状プラズマの径方向の外周部で且つ放
    電領域外に配置され、上記プラズマ源が絶縁電位に維持
    され、かつ上記プラズマ源は上記熱陰極の電位を基準と
    して正電圧が印加され且つ接地電位に維持された減速電
    極を、有していることを特徴とする請求項1記載のプラ
    ズマCVD装置。
  3. 【請求項3】 減圧され且つ接地された真空槽と、 該真空槽に結合されたプラズマ源と、 上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向して配置さ
    れたプラズマ反射電極と、 少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置されて該プラズ
    マ源内にアーク放電を助長する磁場を発生する第1のコ
    イルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近くに配置され
    て上記プラズマ源と反射電極との間でプラズマをビーム
    状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイルとを、 具備し、基板は上記ビーム状プラズマの径方向の外周部
    で且つ放電領域外に配置され、プラズマ源と反射電極は
    上記プラズマ源が有する熱陰極の電位もしくはフローテ
    ィング電位(絶縁電位)のいずれかに維持され、基板に
    は接地電位を基準として0乃至負電圧が印加されるプラ
    ズマCVD装置。
  4. 【請求項4】 減圧され且つ接地された真空槽と、 該真空槽に結合されたプラズマ源と、 上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向して配置さ
    れたプラズマ反射電極と、 少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置されて該プラズ
    マ源内にアーク放電を助長する磁場を発生する第1のコ
    イルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近くに配置され
    て上記プラズマ源と反射電極との間でプラズマをビーム
    状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイルとを、 具備し、基板は上記ビーム状プラズマの径方向の外周部
    で且つ放電領域外に配置され、前記プラズマ源は、 熱電子を放出する熱陰極と、該熱陰極の電位を基準とし
    て正電圧が印加される陽極と、上記熱陰極の電位を基準
    として正電圧が印加され、かつ接地電位に維持された減
    速電極とを、有し、 上記陽極及び減速電極には、これ自体を通電加熱する電
    源が設けられており、該電源により各電極を高温に加熱
    することでこれらの各電極に付着する被膜を再蒸発させ
    てその表面を露出させ、これによって放電を維持するよ
    うにしたことを特徴とするプラズマCVD装置。
  5. 【請求項5】 減圧され且つ接地された真空槽と、 該真空槽に結合されたプラズマ源と、 上記真空槽内の端部に上記プラズマ源と対向して配置さ
    れたプラズマ反射電極と、 少なくとも上記プラズマ源の周囲に配置されて該プラズ
    マ源内にアーク放電を助長する磁場を発生する第1のコ
    イルおよび上記プラズマ反射電極の周囲近くに配置され
    て上記プラズマ源と反射電極との間でプラズマをビーム
    状に閉じ込める磁場を発生する第2のコイルとを、 具備し、基板は上記ビーム状プラズマの径方向の外周部
    で且つ放電領域外に配置され、前記プラズマ源は、 熱電子を放出する熱陰極と、該熱陰極の電位を基準とし
    て正電圧が印加される陽極と、上記熱陰極の電位を基準
    として正電圧が印加された、かつ接地電位に維持された
    減速電極とを、有し、 前記陽極および減速電極のプラズマが通過する部分に高
    融点材料で作られ且つ熱容量の小さい線材が張られてお
    り、該線材をプラズマで叩いて加熱することによりこれ
    らの各電極を加熱して、これらの各電極に付着する被膜
    を再蒸発させてその電極の表面を露出させ、これによっ
    て放電を維持するようにしたことを特徴とするプラズマ
    CVD装置。
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