JP3296092B2 - 窒素酸化物センサ - Google Patents

窒素酸化物センサ

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JP3296092B2 JP13738294A JP13738294A JP3296092B2 JP 3296092 B2 JP3296092 B2 JP 3296092B2 JP 13738294 A JP13738294 A JP 13738294A JP 13738294 A JP13738294 A JP 13738294A JP 3296092 B2 JP3296092 B2 JP 3296092B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒素酸化物センサに関
し、さらに詳しくは、高温安定性が要求される燃焼排ガ
ス中の窒素酸化物の検知に適用される窒素酸化物センサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属イオン導電性を有する固体電
解質と、該固体電解質に一対の電極を設け、該電極の一
方を硝酸塩で被覆した構造の窒素酸化物センサが提案さ
れている(特願平2ー266048号公報、特開平4ー
297862号公報、特開平5ー288710号公報、
G,Hotzel et al. Sensors a
nd Actuators 12(1987)44
9)。前記の金属イオン導電性の固体電解質としては、
Na+ 導電体のNaβAl2 3 やNASICON(N
1+x Zr2 3 -xSix 12;0≦x≦3)をはじ
め、Li+ 導電体、Ag + 導電体等の各種公知の金属イ
オン導電体を用いられる。前記の硝酸塩としては、固体
電解質の導電種である金属の硝酸塩を用いることが一般
的であるが、必ずしも固体電解質の導電種金属の硝酸塩
に限られない。
【0003】この型のセンサ、例えば固体電解質として
Na+ 導電体、硝酸塩としてNaNO3 を用いた場合に
は、硝酸塩被覆側(検知極)で Na+ +NO2 +1/2O2 +e- =NaNO3 … 反対側の電極(対極)で 1/2Na2 O=Na+ +1/4O2 +e- … の反応が生じ、全反応は次の通りとなる。
【0004】 1/2Na2 O+NO2 +1/4O2 =NaNO3 … 従って、両電極間に次のようなネルンストの式に基づく
起電力Eを生じる。 E=Econst +2.3(RT/F)logP(NO2 )… 但し、Econst は定数、Rは気体定数、Tは絶対温度、
Fはファラデー定数、P(NO2 )はNO2 濃度であ
る。
【0005】つまりNO2 濃度P(NO2 )の対数に比
例した起電力変化が得られるので、この起電力変化から
窒素酸化物濃度を求めることができる。対極はNaの活
量が一定の参照極であるのに対し、検知極ではNO2
度に応じてNaの活量が変化し、この検知極の単極電位
が変化する。硝酸塩は上式のように雰囲気NO2 濃度
と固体電解質の導電イオン濃度との間に平衡(解離平
衡)をつくる役割をしており、被覆層または電極相とよ
ばれる。
【0006】この型のセンサは、抵抗変化式等、他の検
出方式の窒素酸化物センサと比較して定量性、選択性、
応答性に優れる特徴がある。しかし、この型のセンサは
機能部の被覆層が水溶性で低融点の硝酸塩で形成されて
いるために、水蒸気(H2 O)が多量に存在する自動車
等の高温排気ガス中での高精度検知は困難であり、耐熱
性も低い。これに対し、H2 Oが存在する排気ガス中で
も使用できるセンサとして、上記の硝酸塩をNaNO3
とBa(NO3 2 のような2成分の金属硝酸塩の溶融
化物を用いたものが提案されている(前記特開平4ー2
97862号公報)。しかし、硝酸塩の融点は最も高い
Ba(NO3 2 で592℃であるため、600℃を越
える高温に曝されると硝酸塩が融解してセンサ特性が変
化する問題がある。実際に自動車のエンジン排気ガスは
運転条件によって700〜800℃の高温になるため、
融点の低い硝酸塩を用いたセンサは使用が困難である。
【0007】また、水蒸気には安定でも冷却時に水蒸気
が結露した場合には、硝酸塩が水溶性のため徐々に溶出
し、NOx 検知機能が失われる問題もある。さらに、エ
ンジンの燃焼排気ガス中に含まれるNOx は、NOとN
2 の平衡上、大部分がNOであるのに対し、上記の硝
酸塩を用いたセンサはNO2 には感度が高いがNOに対
する感度が低い。
【0008】NOにも感度が高いセンサとして、上記硝
酸塩の代わりにNaNO2 等の亜硝酸塩を用いたセンサ
が考案されている(前記特開平5ー288710号公
報)。しかし、亜硝酸塩も水溶性であり、硝酸塩よりも
融点が低いため、自動車排気ガス中でのNOx 検知を高
精度に行うことは困難である。また、酸化物イオン導電
体に一対の電極を設け、一方の電極を多孔質の一酸化窒
素の酸化触媒で被覆した構造の窒素酸化物センサも提案
されている(特開昭61−264250号公報)。この
センサは、イオン導電性を有する固体電解質として、公
知のY2 3 、Yb2 3 、CaO、MgO等を固溶し
たZrO2 等を用いている。多孔質の一酸化窒素酸化触
媒としては窒素酸化物吸着能の高いFe 3 4 、Fe2
3 、V2 3 等の遷移金属酸化物を主成分とする酸化
物を用いている。
【0009】この型のセンサでは、窒素酸化物(NO)
が触媒層中で酸化されるために、触媒層で覆われた酸化
物イオン導電体表面は、他方の触媒層で覆われていない
酸化物イオン導電体表面に比べて酸素分圧が低下する。
従って酸化物イオン導電体の両側に酸素濃度の濃淡が発
生し、酸素濃淡電池が形成され、両極間にネルンストの
式に基づく起電力が発生する。
【0010】 E=2.3(RT/4F)log(PO2 (I)/PO2 (II))… 但し、PO2 (I)は触媒層で覆われていない側の酸素
分圧、PO2 (II)は触媒層で覆われた側の酸素分圧で
ある。この起電力を検出することによって間接的に窒素
酸化物濃度を測定することができる。この方式のセンサ
は、NOを検出対象にしているが、NO濃度変化に対す
る酸素分圧変化が著しく小さいのでこれに基づく起電力
変化がμVオーダーときわめて微小であるため、エンジ
ンの様なノイズ発生の可能性の高い環境では、窒素酸化
物検出精度が低くなるという問題がある。
【0011】その他窒素酸化物センサとしてチタンを含
み、特定の酸素欠陥を有する金属酸化物を用いた抵抗変
化式の窒素酸化物センサが開示されている(特開平3ー
13854号公報)。このセンサは上記のセンサとは原
理が根本的に異なるもので、半導体へのNOxの吸着に
伴う抵抗変化を利用したものであるが、燃焼ガス中で使
用でき、NO 2 よりもNOに感度が高いセンサという点
で本発明センサと共通点がある。
【0012】しかし、このセンサは使用温度域で抵抗が
1MΩ以上あるため、エンジンの様なノイズ発生の可能
性の高い環境での測定が困難であるうえに、NOに対す
る抵抗変化も小さく、十分な検出精度が得られないとい
う問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたもので、水蒸気を多量に含む高温燃焼排
気ガス中でも安定であるとともに、NOの選択性の高い
窒素酸化物センサを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の窒素酸化物セン
サは、酸化物イオン導電体よりなる固体電解質と、該固
体電解質の表面に形成された一対の電位導出用の電極
と、該電極の一方の表面を金属酸化物で被覆して形成さ
れた被覆層とで構成される窒素酸化物センサであって、
該金属酸化物は、アルカリ土類金属から選ばれるバリウ
ム、ストロンチウムのうちの少なくとも一種の金属と、
遷移金属から選ばれるバナジウム、クロム、マンガン、
鉄、コバルト、ニッケル、銅のうちの少なくとも一種の
金属との複合酸化物を含むことを特徴とする。
【0015】本発明の窒素酸化物センサは、NOの吸放
出平衡に基づく起電力の変化を検出原理としたものであ
る。すなわち、固体電解質として、排気ガス中での化学
的安定性に優れた酸化物イオン導電体を用い、被覆層と
して気相中のNOを可逆的に吸放出する複合酸化物を用
い、被覆層に含まれる複合酸化物とNOとの間に平衡を
形成して、NO濃度に対応した起電力変化を得ることに
より、NO感度の高いセンサとして機能をさせるもので
ある。
【0016】本発明の窒素酸化物センサは、被覆層に金
属酸化物を用いるので、低融点で水溶性材料の硝酸塩の
センサと異なり耐水性、耐熱性が向上し、700〜80
0℃の燃焼排気ガス雰囲気中でも耐えることが可能とな
る。上記の固体電解質としては、イオン導電性を有する
固体が利用できる。たとえば、Y2 3 、Yb2 3
CaO、MgO等を固溶した酸化ジルコニウム、La2
3 、CaO等を固溶した酸化セリウム、WO3 を固溶
した酸化ビスマス等の酸化物イオン導電体、β−Al2
3 やNASICON等の金属イオン導電体が挙げられ
る。特に、酸化ジルコニウムをベースとする酸化物イオ
ン導電体を用いた場合に化学的安定性に優れ、応答も速
くなる。
【0017】電極は、電子の授受が行なわれ、起電力を
導出する役割をする。電極としては、電子伝導性を有す
るAu、Pt等の貴金属、あるいは、電子伝導性を有す
る金属酸化物を用いることができる。上記の電極の表面
を被覆する被覆層は、アルカリ土類金属から選ばれるバ
リウム、ストロンチウムのうちの少なくとも一種の金属
元素と、遷移金属から選ばれるバナジウム、クロム、マ
ンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅のうち少なくとも
一種の金属元素からなる二元系複合酸化物で形成するこ
とができる。
【0018】また、被覆層は、さらにイットリウムを含
み、アルカリ土類金属から選ばれるバリウム、ストロン
チウムのうちの少なくとも一種の金属元素と、遷移金属
から選ばれるバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅のうち少なくとも一種の金属元素か
らなる三元系複合酸化物で形成することができる。この
ような複合酸化物は気相中のNOを可逆的に吸放出する
酸化物として選ばれたものであり、気相のNOとの間に
平衡をつくる役割をする。この酸化物中に含まれるバリ
ウム、ストロンチウムは、安定な硝酸塩をつくる金属と
して選択されたものであり、気相中のNO吸収する際に
NOを酸化物中に硝酸根として固定する機能を有する。
【0019】バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅は価数の変化し易い遷移金属として
選択されたものであり、NOの吸収に際しては高酸化状
態から低酸化状態に変化し、NOの放出に際しては低酸
化状態から高酸化状態に変化することでNOの吸放出を
起こりやすくする機能を有する。イットリウムは、上記
アルカリ土類金属と上記遷移金属の共存下でNOの吸収
能の高いペロブスカイト型構造の酸化物をつくる機能を
有する。
【0020】上記酸化物の中で、特にクロム、コバル
ト、鉄または銅を含む系は、NO吸放出能が高く、NO
検出特性の優れた耐久性の高い窒素酸化物センサを構成
することができる。特にバリウムと銅の複合酸化物(B
aCuO2+X )と酸化銅(CuO)との混合酸化物を用
い、バリウムと銅の元素比が1:1〜1:10の範囲の
ものがより好ましい。
【0021】さらに、電極および被覆層を含む固体電解
質の表面を酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、またはその化合物のうちの少なくとも一種を主成
分とする耐熱性多孔質セラミックス層で被覆することが
できる。被覆法には、デッピングやプラズマ溶射法、ス
クリーン印刷法が適用できる。この多孔質セラミックス
層は、ガスを透過し、電気絶縁性、高耐熱性を有するも
のである。自動車、ボイラー等の燃焼排気ガス中には、
燃料不純物成分や種々の添加物成分、あるいは炭素粒子
等の異物が存在する。これらは、被覆層や電極と反応
し、あるいは表面を覆うことによってセンサの検出機能
を低下させる。しかし、耐熱性多孔質のセラミックス層
で被覆層を被覆することにより、これら異物の電極への
侵入を低減することができる。
【0022】本発明の窒素酸化物センサは、酸素センサ
を共存させることができる。適用可能な酸素センサとし
ては起電力型あるいは、限界電流型センサが使用でき
る。共存の方式として、窒素酸化物センサと酸素センサ
を同一酸化物イオン導電性基体上に構成することも可能
である。本発明の窒素酸化物センサは、固体電解質とし
て酸化物イオン導電体を用いているために酸素濃度変化
に対しても起電力が変化する。そこで酸素センサを共存
させて酸素濃度変化の影響を補償することができる。窒
素酸化物センサと酸素センサの電極を同一酸化物イオン
導電体上に構成すると、両電極が同一の雰囲気に曝され
るために酸素センサとしての出力はキャンセルできる。
その結果、窒素酸化物センサは、酸素濃度依存性がなく
なり、エンジン排気ガスのような酸素濃度が変化する雰
囲気での特性が安定し、エンジン燃焼制御が可能とな
る。
【0023】
【作用】本発明の窒素酸化物センサは、固体電解質と、
一対の電極と、一方の電極の表面を含む固体電解質の一
部を被覆した被覆層とからなり、被覆層に特定の複合酸
化物を使用している。この特定の複合酸化物は気相中の
NOを可逆的に吸放出が可能であり、かつNOの間に平
衡を形成する。このため被覆層にこの特定の複合酸化物
を使用した本発明の窒素酸化物センサは、NO濃度に対
応した起電力変化をもたらす。また、その起電力は前記
ネルンストの式にほぼ合致している。
【0024】その結果、本発明の窒素酸化物センサはN
Oの吸放出平衡にのみに依拠する電池系を実現し、NO
に感度の高いセンサとして機能させることができる。ま
た、この複合酸化物は低融点、水溶性でないので、70
0〜800℃の燃焼排気ガス雰囲気中での使用に耐え
る。さらに、排気ガス中の窒素酸化物の約9割を占める
NOに感度が高くなり、排気ガス中の窒素酸化物の検知
が従来のセンサよりも容易になる。また被覆層は、水溶
性かつ低融点の硝酸塩を含まないので、高温燃焼排ガス
中での安定性が従来のセンサよりも高くなる。
【0025】また、本発明の窒素酸化物センサの起電力
変化は、被覆層でのNOの酸化による酸素濃度低減に基
づく酸素濃淡電池の起電力変化の千倍を超える値であ
り、従来のNOの酸化による酸素濃度低減を式によっ
て検出する型のセンサ(特開昭61−2642号)とは
全く異なるものでありNOを高感度、高性能で検知でき
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)実施例1の窒素酸化物センサの要部断面図
を図1に示す。この窒素酸化物センサは、酸化物イオン
導電体よりなる円盤状の固体電解質片10と、固体電解
質片10が一端側に配置され筒管内を閉塞して保持する
磁製円筒管15と、固体電解質片10の両面側に形成さ
れた一対の電位導出用の電極22、24と、一方の電極
22の表面を被覆して形成された金属酸化物の被覆層2
0とで構成されている。固体電解質片10と磁製円筒管
15との接合部は無機接着剤16を用いて気密に封止し
筒管内に標準ガスが封入される。
【0027】固体電解質片10としては、Y2 3 を6
mol%固溶したZrO2 の直径17mm、厚さ1mm
の丸板状焼結体を用いた。電極22は、固体電解質片1
0の磁製円筒管15との接合面と反対側の面に金スパッ
タ法で形成し、これに金メッシュを密着させた。この電
極22と金メッシュとで一方の集電体を構成し、金メッ
シュにリード線17としての白金線が接続されている。
この電極22の全表面と電極22の周縁の固体電解質片
10の表面には、バリウムと銅の複合酸化物で形成され
た被覆層20が固体電解質片10面上に形成されてい
る。
【0028】この被覆層20は、硝酸バリウム(Ba
(NO3 2 )と酸化銅(CuO)をバリウムと銅の元
素比で1:2の割合で混合し、大気中650℃で12時
間焼成して形成してえた粉末をさらに粉砕し、ペースト
状にして、電極22を覆うように固体電解質片10の上
に塗布し、焼付けた。この被覆層20の混合酸化物粉末
はX線回折の結果から、バリウムと銅の比が1:1の複
合酸化物(BaCuO2+ X )と酸化銅(CuO)が含ま
れていた。
【0029】固体電解質片10の磁製円筒管15の内側
面には白金の電極24と白金メッシュからなる集電体が
配置され、白金メッシュにはリード線17の白金線が接
続されている。この窒素酸化物センサの動作は、白金の
リード線17をエレクトロメータに接続し、磁製円筒管
15の内部に基準ガスとして20%の酸素を含む酸素と
窒素の標準混合ガス入れ、磁製円筒管15をNOまたは
NO2 ガスを含む酸素と窒素の混合ガス雰囲気中に配置
し、両電極間の電位差を測定した。なお、測定の際はセ
ンサ素子を一定温度に加熱した。
【0030】図3は縦軸に起電力を横軸に時間をとり、
窒素酸化物センサに450℃でNOまたはNO2 を含む
酸素と窒素の混合ガスを、21/minの流速で接触さ
せ、時間の経過と共に段階的にNOまたはNO2 ガス濃
度を0〜300ppmまで高くしたときの起電力の変化
を示したグラフである。その結果、図3に示すように横
軸上のNOの濃度増加と対応して起電力が変化してい
る。したがって、この窒素酸化物センサはNO濃度変化
に対応した起電力変化を示すことがわかる。一方NO2
に対する起電力は、NO2 の濃度が変化してもグラフは
横軸に平行で殆ど変化せず感度が低いことを示してい
る。このようにNOに対する選択性をもつものは従来に
例がなく、本発明の窒素酸化物センサに特有の性質であ
る。
【0031】図4は、窒素酸化物センサの測定温度45
0℃で上記の条件での起電力変化のNO濃度依存性を示
すグラフである。この窒素酸化物センサの起電力変化
は、前記の式に基づきNO濃度の対数にほぼ比例する
ことがわかる。この結果は、本センサではNOの吸放出
平衡のみに依存する電池系が構成され、起電力が発生し
ていることを示している。また、起電力変化の値は、N
O100ppmに対して60μV程度あり、NO酸化に
よる酸素濃度低減を式によって検出する型のセンサ
(特開昭61−2642号)の千倍を超えるあたいとな
っている。 (実施例2)本発明の第2の実施例における窒素酸化物
センサの断面模式図を図2に示す。この窒素酸化物セン
サは、実施例1の窒素酸化物センサと同様の構造である
が、固体電解質片10の磁製円筒管15の接合面と反対
側の面にさらに被覆層で覆われていない第3の電極26
を設けたものである。なお、この窒素酸化物センサの被
覆層20は、硝酸バリウムBa(NO3 2 と酸化銅
(CuO)をバリウムと銅の元素比で1:1の割合で混
合し、大気中650℃で12時間焼成して形成したもの
である。 この窒素酸化物センサを用い、実施例1と同
様に標準ガスを磁製円筒管15に封入し、NOガスを含
む酸素と窒素の混合ガス中の酸素濃度を変えた3種の被
検出ガス雰囲気で、NOの濃度を50〜300ppmま
で変化させながら電極22と電極24間のNOに対する
起電力変化を測定したグラフを図5に示した。図5のグ
ラフは窒素酸化物センサの電極22と電極24間のNO
の起電力の出力が酸素濃度(実線20%、破線5%、一
点破線1%)により異なることをしめしている。しか
し、NOの濃度変化に対応して起電力はそれぞれ変化し
ている。
【0032】図6は、同じ窒素酸化物センサを用い、同
様の条件で、電極22と電極24間の起電力から電極2
6と電極24間の起電力を差し引いて得た起電力の出力
を示したグラフである。電極26と電極24間の起電力
はジルコニア固体電解質を用いた酸素センサとしての出
力に対応している。この結果、本発明の窒素酸化物セン
サの酸素濃度依存性を、第3の電極26を設けることで
補償できることをしめしている。したがって、同一酸化
物イオン導電性基体上で窒素酸化物センサと第3の電極
に基づく酸素センサを配置することで被検知ガスの酸素
濃度に影響を受けない窒素酸化物センサとすることがで
きる。 (実施例3)この窒素酸化物センサは、実施例1の磁製
円筒管の代わりにU字形断面を持つ管形状の酸化物イオ
ン導電性の固体電解質21を用い、この管の表面にそれ
ぞれ独立した電極30、32を設けた例である。その窒
素酸化物センサの断面模式図を図7に示す。
【0033】この窒素酸化物センサは、U字形断面を持
つ管形状の固体電解質21と、該管形状の固体電解質2
1の外側面にそれぞれ独立した電極32、第3の電極3
6および該管形状の固体電解質21の内側面の対電極3
4とを有し、電極32の表面は金属酸化物の被覆層20
が形成され、U字管形状の固体電解質21の外周側面
は、電極36面および被覆層20を保護する多孔質のセ
ラミックス層(γ−アルミナ層)40で覆われて構成さ
れている。そして、図7に示すようにに被検出ガス導入
側に酸素センサ用の第3の電極36を、反対側に窒素酸
化物センサの電極32を配置した。固体電解質21のU
字形断面をもつ管の内側には対電極34を設け標準ガス
を封入する構成である。そして多孔質のセラミックス層
40部を被検出ガス流中に挿入して電極36と電極34
との間の起電力で酸素濃度を出力し、電極32と電極3
4との間の起電力でNOx の濃度を出力し、酸素濃度の
変動を補償して窒素酸化物の濃度を安定して検知するも
のである。この構成とすると流速を持つ排気ガス中の窒
素酸化物の濃度を検出部の汚れを防いで検知することが
できる。 (実施例4)本実施例の窒素酸化物センサは、耐熱性絶
縁基板上に固体電解質を配置し平面上に被覆層20で覆
われた電極42と、第3の電極46とを設け、両電極を
多孔質セラミックス層40で覆った構成である。図8に
その断面模式図を示す。
【0034】この窒素酸化物センサは、アルミナの絶縁
基板50と、絶縁基板50の一方の面に積層した酸化物
イオン導電性の固体電解質(実施例1と同じ材質)10
と、電極42と、電極42を覆う被覆層20と、電極4
2と間隔をおいて第3の電極46と、電極44の表面、
被覆層20の表面および両者の周縁の固体電解質10の
表面とを保護する多孔質セラミックス層40とからな
る。さらに基板の裏面にはヒータ51が配置され基板を
介して固体電解質10を所定温度に保持する構成であ
る。
【0035】このように窒素酸化物センサと第3の電極
の酸素センサを同一の酸化物イオン導電体表面上に設け
ると電極が同一のガス雰囲気に曝されるので酸素センサ
としての出力がキャンセルされ、両電極46、42間に
は窒素酸化物センサとしての起電力のみを出力させるこ
とができる。本実施例の構成とすることで、窒素酸化物
センサは基準電極を必要としないため構造が簡単とな
り、センサを小型化することも可能となる。また、小型
化に伴い、加熱ヒータの消費電力の低減、暖機時間の短
縮も可能となる。 (実施例5)実施例1の窒素酸化物センサと同一の構造
のセンサを用い、実施例1と同様の方法により被覆層2
0がイットリウムとバリウムと銅の3元系複合酸化物で
ある窒素酸化物センサのNO検知特性を評価した。
【0036】被覆層20は、酸化イットリウム(Y2
3 )、炭酸バリウム(BaCO3 )、酸化銅(CuO)
をイットリウムとバリウムと銅の元素比が1:2:3と
なるように混合し、1080℃で5時間焼成して得た複
合酸化物を粉砕し、焼付けたものである。図9は縦軸に
起電力、横軸に時間をとり窒素酸化物センサに450℃
でNOを含む酸素と窒素の混合ガスを2リットル/分の
流速で接触させ、時間の経過と共に段階的にNO濃度を
0〜300ppmまで高くしたときの起電力の変化を示
したグラフである。その結果、NOの濃度変化に対応し
た起電力の変化が見られた。したがって、被覆層が3元
系複合酸化物の場合でもこの窒素酸化物センサはNO濃
度変化に対応した起電力変化を示すことがわかる。
【0037】
【効果】本発明の窒素酸化物センサは、被覆層を硝酸塩
に変えて特定のアルカリ土類金属と遷移金属の金属酸化
物からなる被覆層を用いたことにより、水蒸気および水
による溶解や、700〜800℃の高温排気ガス中での
被覆層の融解を防ぐことができる。また、NO2 よりも
NOに対する感度が高くなるので、NO2 よりもNOが
多量に存在するような内燃機関の排気ガス中の窒素酸化
物検知に幅広く適用することができ、排気ガス中のNO
x をより高精度に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、実施例1の窒素酸化物センサの断面
模式図である。
【図2】この図は、実施例2の窒素酸化物センサの断面
模式図である。
【図3】この図は、実施例1の窒素酸化物センサのNO
x の検知特性を示すグラフである。
【図4】この図は、実施例1の窒素酸化物センサの起電
力とNO濃度との関係を示すグラフである。
【図5】この図は、実施例2の窒素酸化物センサのNO
検知特性の酸素濃度依存性を示すグラフである。
【図6】この図は、実施例2の窒素酸化物センサのNO
検知特性の酸素濃度を補償した時のグラフである。
【図7】この図は、実施例3の窒素酸化物センサの断面
模式図である。
【図8】この図は、実施例4の窒素酸化物センサの断面
模式図である。
【図9】この図は、実施例5の窒素酸化物センサのNO
x の検知特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10、21:固体電解質片、 20:被覆層、22、
24、26、32、34、36:電極 15:磁製円筒管、 50;絶縁基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−148131(JP,A) 特開 平5−296971(JP,A) 特開 平4−297862(JP,A) 特開 平4−142455(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 G01N 27/409 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物イオン導電体よりなる固体電解質
    と、該固体電解質の表面に形成された一対の電位導出用
    の電極と、該電極の一方の表面を金属酸化物で被覆して
    形成された被覆層とで構成される窒素酸化物センサであ
    って、 該金属酸化物は、アルカリ土類金属から選ばれるバリウ
    ム、ストロンチウムのうちの少なくとも一種の金属と、
    遷移金属から選ばれるバナジウム、クロム、マンガン、
    鉄、コバルト、銅のうちの少なくとも一種の金属との複
    合酸化物を含むことを特徴とする窒素酸化物センサ。
  2. 【請求項2】前記金属酸化物は、バリウムと銅との複合
    酸化物と酸化銅の混合酸化物からなり、該バリウムと該
    銅の元素比が1:1〜1:10の範囲であることを特徴
    とする請求項1に記載の窒素酸化物センサ。
  3. 【請求項3】前記窒素酸化物センサの表面は、酸化アル
    ミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムまたは
    それらを含む化合物のうち少なくとも一種を主成分とす
    る耐熱性多孔質セラミック層で被覆されていることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の窒素酸化物センサ。
  4. 【請求項4】前記固体電解質の表面に形成された第3の
    電極をもち、前記一対の電極の他方と該固体電解質とで
    酸素センサを構成する請求項1に記載の窒素酸化物セン
    サ。
  5. 【請求項5】窒素酸化物センサと酸素センサとを、酸化
    物イオン導電性基体上に構成することを特徴とする請求
    項4に記載の窒素酸化物センサ。
  6. 【請求項6】前記金属酸化物に含まれる複合酸化物は、
    イットリウムを含む請求項1記載の窒素酸化物センサ。
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