JP3293507B2 - オイルポンプロータ - Google Patents

オイルポンプロータ

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JP3293507B2
JP3293507B2 JP00699597A JP699597A JP3293507B2 JP 3293507 B2 JP3293507 B2 JP 3293507B2 JP 00699597 A JP00699597 A JP 00699597A JP 699597 A JP699597 A JP 699597A JP 3293507 B2 JP3293507 B2 JP 3293507B2
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circle
external teeth
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克明 細野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インナーロータと
アウターロータとが噛み合って回転するとき、両ロータ
の歯面間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸
入、吐出するオイルポンプロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のオイルポンプは、n(nは自然
数)枚の外歯が形成されたインナーロータと、この外歯
に噛み合うn+1枚の内歯が形成されたアウターロータ
と、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出され
る吐出ポートが形成されたケーシングとを備えており、
インナーロータを回転させることによって外歯が内歯に
噛み合ってアウターロータを回転させ、両ロータ間に形
成される複数のセルの容積変化によって流体を吸入、吐
出するようになっている。
【0003】セルは、その回転方向前側と後側で、イン
ナーロータの外歯とアウターロータの内歯とがそれぞれ
接触することによって個別に仕切られ、かつ両側面をケ
ーシングによって仕切られており、これによって独立し
た流体搬送室を構成している。そして、各セルは外歯と
内歯との噛み合いの過程の途中において容積が最小とな
った後、吸入ポートに沿って移動するときに容積を拡大
させて流体を吸入し、容積が最大となった後、吐出ポー
トに沿って移動するときに容積を減少させて流体を吐出
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なオイルポンプロータを備えるオイルポンプにおいて
は、インナーロータおよびアウターロータの各端面とケ
ーシングとの間、アウターロータの外周とケーシングと
の間が常に摺接しており、さらに各セルの前後において
インナーロータの外歯とアウターロータの内歯とが常に
摺接している。これは、流体を搬送するセルの液密性を
保つために重要な条件であるが、この半面、各摺接部分
に生じる抵抗が大きいとオイルポンプの機械損失を著し
く増加させることになるので、各摺接部分に生じる抵抗
を小さくすることが課題とされていた。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、オイルポンプとしての耐久性、信頼性を確保し
つつ、機械効率を向上させることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明のオイルポンプロータにおいて
は、インナーロータの外歯を、基礎円に外接してすべり
なく転がる外転円によって創成される外転サイクロイド
曲線と、基礎円に内接してすべりなく転がる内転円によ
って創成される内転サイクロイド曲線とを交互に組み合
わせた複合サイクロイド曲線に沿って形成する。そして
この複合サイクロイド曲線を、外転円の直径をE(m
m)、内転円の直径をH(mm)としたときに下記式 0.5≦H/E≦0.8 を満たす範囲において創成する。これにより、アウター
ロータの内歯端面の面積が、内歯が欠損しやすくならな
い程度に小さくなり、アウターロータ全体としての摺動
面積が小さくなる。
【0007】ここで、インナーロータの外歯を、下記式 H/E>0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成すると、アウターロータの内歯の端面面積
がインナーロータの外歯の端面面積に対して大きくな
り、アウターロータのケーシングに対する摺動面積が大
きくなる。
【0008】また、インナーロータの外歯を、下記式 H/E<0.5 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成すると、アウターロータの内歯の端面面積
がインナーロータの外歯の端面面積に対して小さくな
り、アウターロータのケーシングに対する摺動面積が小
さくなるが、その半面、ロータの回転方向に沿う内歯の
幅が狭くなる。
【0009】また、このオイルポンプロータにおいて
は、インナーロータの外歯の回転方向前側に、アウター
ロータの内歯と接触をもたない逃げ部を設けることによ
り、セルが吸入ポートに沿って移動してその容積が増大
する過程においてインナーロータとアウターロータとが
接触しないようになる。
【0010】さらに、インナーロータの外歯の回転方向
後側にも、アウターロータの内歯と接触をもたない逃げ
部を設けることにより、セルが吸入ポートに沿って移動
しその容積が増大する過程およびセルが吐出ポートに沿
って移動し容積が減少する過程においてもインナーロー
タとアウターロータとが接触しないようになり、インナ
ーロータの外歯がアウターロータの内歯と噛み合う過
程、および容積最大となったセルが吸入ポート側から吐
出ポート側へ移動する過程においてのみ、インナーロー
タとアウターロータとが接触する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るオイルポンプロータ
の第1の実施形態を図に示して説明する。図1に示すオ
イルポンプロータは、n(nは自然数、本実施形態にお
いてはn=10)枚の外歯が形成されたインナーロータ
10と、各外歯と噛み合うn+1枚の内歯が形成された
アウターロータ20とを備えており、これらインナーロ
ータ10とアウターロータ20とがケーシング30の内
部に収納されている。
【0012】インナーロータ10は、回転軸に取り付け
られて軸心O1を中心として回転可能に支持されてい
る。インナーロータ10の外歯11は、図2に示すよう
に、インナーロータ10の基礎円Biに外接してすべり
なく転がる外転円Piによって創成される外転サイクロ
イド曲線と、基礎円Biに内接してすべりなく転がる内
転円Qiによって創成される内転サイクロイド曲線とを
交互に組み合わせた複合サイクロイド曲線Riに沿って
形成されている。そしてこの複合サイクロイド曲線Ri
は、外転円の直径をEi(mm)、内転円の直径をH
i(mm)としたときに 下記式 0.5≦Hi/Ei≦0.8 を満たす範囲において創成されている。(図1および図
2はHi/Ei=0.72のとき)
【0013】アウターロータ20は、軸心O2をインナ
ーロータ10の軸心O1に対して偏心(偏心量:e)さ
せて配置され、軸心O2を中心として回転可能に支持さ
れている。アウターロータ20の内歯21は、アウター
ロータ20の基礎円Boに外接してすべりなく転がる外
転円Poによって創成される外転サイクロイド曲線と、
基礎円Boに内接してすべりなく転がる内転円Qoによっ
て創成される内転サイクロイド曲線とを交互に組み合わ
せた複合サイクロイド曲線Roに沿って形成されてい
る。
【0014】インナーロータ10、アウターロータ20
の歯面間には、両ロータ10、20の回転方向に沿って
セルCが複数形成されている。各セルCは、両ロータ1
0、20の回転方向前側と後側で、インナーロータ10
の外歯11とアウターロータ20の内歯21とがそれぞ
れ接触することによって個別に仕切られ、かつ両側面を
ケーシング30によって仕切られており、これによって
独立した流体搬送室を構成している。そして、セルCは
両ロータ10、20の回転に伴って回転移動し、1回転
を1周期として容積の増大、減少を繰り返すようになっ
ている。
【0015】ケーシング30には、両ロータ10、20
の歯面間に形成されるセルCのうち、容積が増大過程に
あるセルCに沿って円弧状の吸入ポート31が形成され
ているとともに、容積が減少過程にあるセルCに沿って
円弧状の吐出ポート32が形成されている。
【0016】セルCは、外歯11と内歯21との噛み合
いの過程の途中において容積が最小となった後、吸入ポ
ート31に沿って移動するときに容積を拡大させて流体
を吸入し、容積が最大となった後、吐出ポート32に沿
って移動するときに容積を減少させて流体を吐出するよ
うになっている。
【0017】ところで、上記のように構成されたオイル
ポンプロータについて、両ロータ10、20の端面とケ
ーシング30との間に生じる摺動抵抗に抗して両ロータ
10、20を回転させたときの摩擦トルクTは、摺動面
積をS、回転中心から摺動部分までの距離をl、両ロー
タ10、20とケーシング30との間に働く単位面積あ
たりの摩擦力をMとすると、下記式 T=M・S・l で算出される。この式から、摩擦トルクTを小さくする
ための手段として、回転中心から遠くに位置する摺動部
分、すなわちアウターロータ20端面のケーシング30
との摺動面積を小さくすることが挙げられる。
【0018】このことをふまえたうえで、下記式 Hi/Ei>0.8 の範囲において創成された複合サイクロイド曲線に沿っ
て外歯11が形成されたインナーロータ10を備えるオ
イルポンプロータを図3および図4に示す。このオイル
ポンプロータにおいては、Hi/Eiの値を大きくとるほ
ど外歯11の端面Siの面積に対して内歯21の端面So
の面積が大きくなるためにアウターロータ20の摺動面
積が大きくなり、結果的に摩擦トルクTは増大してしま
う。(図3はHi/Ei=1.0のとき、図4はHi/Ei
=1.48のとき)
【0019】また、下記式 Hi/Ei<0.5 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って外歯11が形成されたインナーロータ10を備
えるオイルポンプロータを図5に示す。このオイルポン
プロータにおいては、外歯11の端面Siの面積に対し
て内歯21の端面Soの面積が小さくなるためにアウタ
ーロータ20の摺動面積も小さくなり、結果的に摩擦ト
ルクTは減少する。しかしながら、アウターロータ20
の回転方向に沿う内歯21の幅Wが狭くなるために、外
歯11との噛み合いによって内歯21が欠けやすくなる
等、内歯21の耐久性が低下してしまう。(図5はHi
/Ei=0.4のとき)
【0020】Hi/Eiの値を任意に選択した場合、その
値を採用して外歯11が形成されたインナーロータ10
を備えるオイルポンプの機械効率を図6に示す。まず、
i/Ei>0.8の範囲では、Hi/Eiの値を大きくと
るほどオイルポンプの機械効率が低下することがわか
る。0.5≦Hi/Ei≦0.8の範囲では、Hi/Ei
値を小さくとるほどオイルポンプの機械効率が向上する
ことがわかる。Hi/Ei<0.5の範囲では、オイルポ
ンプの機械効率は大きく向上せず、Hi/Eiの値を小さ
くとるほどアウターロータ20の回転方向に沿う内歯2
1の幅Wが狭くなり内歯21が欠損しやすくなる。な
お、図6のグラフ上の各点I、II、III、IVに対
応するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータは
それぞれ、図1、図3、図4、図5に既に示したもので
ある。
【0021】さらに、グラフ上の0.5≦Hi/Ei
0.8の範囲の境界にあたる各点V、VIに対応するオ
イルポンプに用いられるオイルポンプロータを図7、図
8にそれぞれ示す。図7に示されたオイルポンプロータ
は、Hi/Ei=0.8を満たして創成された複合サイク
ロイド曲線に沿って外歯11が形成されたインナーロー
タ10を備えるものである。このオイルポンプロータに
おいては、外歯11の端面Siの面積と比較して内歯2
1の端面Soの面積がやや大きめに構成されており、ア
ウターロータ20の耐久性の向上に重点がおかれたもの
といえる。これよりも内歯21の端面Soの面積が大き
くなると、摺動抵抗による機械損失が増大して機械効率
の十分な向上がみられなくなる。図8に示されたオイル
ポンプロータは、Hi/Ei=0.5を満たして創成され
た複合サイクロイド曲線に沿って外歯11が形成された
インナーロータ10を備えるものである。このオイルポ
ンプロータにおいては、外歯11の端面Siの面積と比
較して内歯21の端面Soの面積がやや小さめに構成さ
れており、摺動抵抗による機械損失の低減に重点がおか
れたものといえる。これよりも内歯21の端面Soの面
積が小さくなると、内歯21の幅Wが狭くなるために、
内歯21の耐久性が十分とはいえなくなる。
【0022】これらのことから、下記式 0.5≦Hi/Ei≦0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿ってインナーロータ10の外歯11が形成され、さ
らにこのインナーロータ10の形状によってアウターロ
ータ20の形状が決定されたオイルポンプロータによれ
ば、アウターロータ20の内歯21が欠損しやすくなら
ない程度にその端面Soの面積が小さくなっており、結
果としてアウターロータ20全体の摺動面積が小さくな
って駆動トルクTが減少するので、内歯21の耐久性が
確保されながらもアウターロータ20とケーシング30
との間に生じる摺動抵抗による機械損失の低減が図られ
る。したがって、オイルポンプとしての耐久性、信頼性
を確保しつつ、機械効率を向上させることができる。
【0023】本発明に係るオイルポンプロータの第2の
実施形態を図に示して説明する。なお、既に説明した構
成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。こ
のオイルポンプロータは、インナーロータ10の外歯1
1が前記第1の実施形態に示した式 0.5≦Hi/Ei≦0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成され、さらに各外歯11の回転方向前側と
後側とに、アウターロータ20の内歯21と接触をもた
ない逃げ部40が形成されたものである。
【0024】インナーロータ10の外歯11とアウター
ロータ20の内歯21との噛み合いの状態を図9に示
す。インナーロータ10の外歯11の歯先が内歯21の
歯溝に噛み合ってアウターロータ20を回転させると
き、外歯11が内歯21を押す力の向きを示す線を作用
線といい、図中にlで示す。外歯11と内歯21との噛
み合いは、この作用線lに沿って行なわれる。噛み合い
を開始する交点Ks、および噛み合いを終える交点Ke
形成する外歯11の歯面上の点は常に一定であり、これ
らの点を外歯11の噛み合い始点ks、終点keとみな
す。ひとつの外歯11について見れば、噛み合い始点k
sは回転方向後側に形成され、噛み合い終点keは回転方
向前側に形成される。
【0025】次に、セルCの容積が最大となるときのイ
ンナーロータ10の外歯11とアウターロータ20の内
歯21との接触の状態を図10に示す。セルCの容積が
最大となるのは、外歯11間の歯溝と内歯21間の歯溝
とが正対したときである。このとき、セルCmaxの前方
に位置する外歯11の歯先と内歯21の歯先とが接点P
1にて接するとともに、セルCmaxの後方に位置する外歯
11の歯先とが接点P2にて接する。セルCの容積が最
大となる接点P1、P2を形成する外歯11の歯面上の点
は常に一定であり、これら点を外歯11の前接触点
1、後接触点p2とみなす。ひとつの外歯11について
見れば、前接触点p1は回転方向後側に形成され、後接
触点p2は回転方向前側に形成される。
【0026】逃げ部40は、ひとつの外歯11について
回転方向前側に位置する噛み合い終点keと後接触点p2
との間の歯面、および回転方向後側に位置する噛み合い
始点ksと前接触点p1との間の歯面を切除した状態に形
成されており、この間の外歯11の歯面は内歯21との
接触を一切もたないようになっている。
【0027】上記のように構成されたオイルポンプロー
タについて、セルCの1サイクルにおける容積の増減と
インナーロータ10の外歯11とアウターロータ20の
内歯21との接触の状態とを以下に示す。
【0028】まず、外歯11と内歯21との噛み合いの
過程では、従来と同様に外歯11が内歯21に噛み合っ
てアウターロータ20を回転させている。
【0029】外歯11と内歯21との噛み合いを終え、
吸入ポート31に沿ってセルCの容積が増大する過程に
移ると、従来アウターロータの内歯と接触していたイン
ナーロータ10の外歯11の回転方向前側に逃げ部40
が設けられているために、セルCの前後において外歯1
1と内歯21とが接触しなくなる。
【0030】セルCの前方が吸入ポート31を通過する
と、まずセルCの前方に位置する外歯11の歯先と内歯
21の歯先とが接する。続いてセルCの後方が吸入ポー
ト31を通過すると、セルCの後方に位置する外歯11
の歯先と内歯21の歯先とが接し、吸入ポート31と吐
出ポート32との間で容積最大のセルCmaxが形成され
る。セルCの後方に位置する外歯11の歯先と内歯21
の歯先との接触は、この接触点が吐出ポート31に差し
掛かるまで保たれる。
【0031】吐出ポート31に沿ってセルCの容積が減
少する過程に移ると、アウターロータ20の内歯21と
接触していたインナーロータ10の外歯11の回転方向
後側に逃げ部40が設けられているために外歯11と内
歯21とが接触しなくなる。
【0032】ところで、セルCの容積が吸入ポート31
に沿って増大する過程、およびセルCの容積が吐出ポー
ト32に沿って減少する過程においては、隣り合うセル
Cどうしが、逃げ部40が設けられることによって連通
状態となるが、両過程において各セルCは吸入ポート3
1、もしくは吐出ポート32に沿って位置するためもと
もと連通状態であるので、このことがオイルポンプの搬
送効率を低下させる原因となるものではない。
【0033】この結果、外歯11と内歯21との噛み合
いの過程と、セルCの容積が最大となって吸入ポート3
1側から吐出ポート32側に移動する過程においてのみ
外歯11と内歯21とが接触し、セルCの容積が吸入ポ
ート31に沿って増大する過程と、セルCの容積が吐出
ポート32に沿って減少する過程においては外歯11と
内歯21とが接触せず、インナーロータ10とアウター
ロータ20との摺接箇所が減るので、歯面間に生じる摺
動抵抗が小さくなる。
【0034】これらのことから、このオイルポンプロー
タは下記式 0.5≦Hi/Ei≦0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿ってインナーロータ10の外歯11が形成され、さ
らに各外歯11の回転方向前側と後側とにアウターロー
タ20の内歯21と接触をもたない逃げ部40が形成さ
れており、前記第1の実施形態において述べた効果に加
えて、外歯11と内歯21との噛み合いの過程と、セル
Cの容積が最大となって吸入ポート31側から吐出ポー
ト32側に移動する過程においてのみ外歯11と内歯2
1とが接触し、セルCの容積が吸入ポート31に沿って
増大する過程と、セルCの容積が吐出ポート32に沿っ
て減少する過程においては外歯11と内歯21とが接触
せず、インナーロータ10とアウターロータ20との摺
接箇所が減り、歯面間に生じる摺動抵抗が小さくなるの
で、オイルポンプを駆動するために必要な駆動トルクを
低減させてオイルポンプとしての機械効率を向上させる
ことができる。さらに、外歯11の回転方向後側に逃げ
部40を設けることにより、実際のオイルポンプ使用下
においてオイルポンプが振動することによって発生する
インナーロータ10の外歯11とアウターロータ20の
内歯21との干渉を防止して機械損失を低減することが
できる。
【0035】なお、本実施形態においては外歯11の回
転方向前側と後側とにそれぞれ逃げ部40を設けてイン
ナーロータ10を構成したが、外歯11の回転方向前側
にのみ逃げ部40を設けたものであっても構わない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のオイルポ
ンプロータは、インナーロータの外歯が、基礎円に外接
してすべりなく転がる外転円によって創成される外転サ
イクロイド曲線と、基礎円に内接してすべりなく転がる
内転円によって創成される内転サイクロイド曲線とを交
互に組み合わせた複合サイクロイド曲線に沿って形成さ
れており、そしてこの複合サイクロイド曲線が、外転円
の直径をE(mm)、内転円の直径をH(mm)とした
ときに下記式 0.5≦H/E≦0.8 を満たす範囲において創成され、このインナーロータの
形状によってアウターロータの形状が決定されているこ
とから、アウターロータの内歯端面の面積が、内歯が欠
損しやすくならない程度に小さくなっており、結果とし
てアウターロータ全体の摺動面積が小さくなって駆動ト
ルクが減少するので、内歯の耐久性が確保されながらも
アウターロータとケーシングとの間に生じる摺動抵抗に
よる機械損失の低減が図られている。したがって、オイ
ルポンプとしての耐久性、信頼性を確保しつつ、機械効
率を向上させることができる。
【0037】さらに本発明のオイルポンプロータは、イ
ンナーロータの外歯の回転方向前側、もしくはそれに加
えて回転方向後側にも逃げ部が設けられていることか
ら、外歯と内歯との噛み合いの過程と、セルの容積が最
大となって吸入ポート側から吐出ポート側に移動する過
程においてのみ外歯と内歯とが接触し、セルの容積が吸
入ポートに沿って増大する過程と、セルの容積が吐出ポ
ートに沿って減少する過程においては外歯と内歯とが接
触せず、インナーロータとアウターロータとの摺接箇所
が減り、歯面間に生じる摺動抵抗が小さくなるので、オ
イルポンプを駆動するために必要な駆動トルクを低減さ
せてオイルポンプとしての機械効率を向上させることが
できる。加えて、外歯の回転方向後側に逃げ部を設ける
ことにより、実際のオイルポンプ使用下においてオイル
ポンプが振動することによって発生する外歯と内歯との
干渉を防止して機械損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るオイルポンプロータの第1の実
施形態を示す図であって、インナーロータの外歯が、下
記式 0.5≦Hi/Ei≦0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成されているオイルポンプロータを示す平面
図である。
【図2】 図1に示されたインナーロータを創成する要
領を示す平面図である。
【図3】 図1に示されたオイルポンプロータと対比さ
れる図であって、インナーロータの外歯が、下記式 Hi/Ei>0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成されているオイルポンプロータを示す平面
図である。(Hi/Ei=1.0)
【図4】 同じく、図1に示されたオイルポンプロータ
と対比される図であって、インナーロータの外歯が、下
記式 Hi/Ei>0.8 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成されているオイルポンプロータを示す平面
図である。(Hi/Ei=1.48)
【図5】 図1に示されたオイルポンプロータと対比さ
れる図であって、インナーロータの外歯が、下記式 Hi/Ei<0.5 を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線
に沿って形成されているオイルポンプロータを示す平面
図である。(Hi/Ei=0.4)
【図6】 Hi/Eiの値を任意に選択した場合、その値
を採用して外歯が形成されたインナーロータを備えるオ
イルポンプの機械効率を示すグラフである。
【図7】 インナーロータの外歯が、下記式 Hi/Ei=0.8 を満たして創成された複合サイクロイド曲線に沿って形
成されているオイルポンプロータを示す平面図である。
【図8】 インナーロータの外歯が、下記式 Hi/Ei=0.5 を満たして創成された複合サイクロイド曲線に沿って形
成されているオイルポンプロータを示す平面図である。
【図9】 本発明に係るオイルポンプロータの第2の実
施形態を示す図であって、インナーロータの外歯とアウ
ターロータの内歯との噛み合いの状態を示す要部平面図
である。
【図10】 同じく、セルの容積が最大となるときのイ
ンナーロータの外歯とアウターロータの内歯との接触の
状態を示す要部平面図である。
【符号の説明】
10 インナーロータ 11 外歯 20 アウターロータ 21 内歯 30 ケーシング 31 吸入ポート 32 吐出ポート e 偏心量 Pi 外転円 Qi 内転円 Bi 基礎円 Ri 複合サイクロイド曲線
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 2/10 321

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n(nは自然数)枚の外歯が形成された
    インナーロータと、該外歯と噛み合うn+1枚の内歯が
    形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポ
    ートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケ
    ーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するとき
    に両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により
    流体を吸入、吐出することによって流体を搬送するオイ
    ルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、 インナーロータの外歯は、基礎円に外接してすべりなく
    転がる外転円によって創成される外転サイクロイド曲線
    と、基礎円に内接してすべりなく転がる内転円によって
    創成される内転サイクロイド曲線とを交互に組み合わせ
    た複合サイクロイド曲線に沿って形成され、 該複合サイクロイド曲線は、外転円の直径をE(m
    m)、内転円の直径をH(mm)としたときに下記式 0.5≦H/E≦0.8 を満たす範囲において創成されていることを特徴とする
    オイルポンプロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたオイルポンプロー
    タにおいて、 前記インナーロータの外歯の回転方向前側に、前記アウ
    ターロータの内歯と接触をもたない逃げ部が設けられて
    いることを特徴とするオイルポンプロータ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されたオイルポンプロー
    タにおいて、 前記インナーロータの外歯の回転方向後側に、前記逃げ
    部が設けられていることを特徴とするオイルポンプロー
    タ。
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