JP2004197670A - 内接型オイルポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内歯を有するアウターロータ12と、内歯よりも1枚少ない外歯を有するインナーロータ13とが噛み合い、その歯面間に形成されたセルRの容積変化により流体を吸入・吐出するロータ11と、このロータ11を収容する収容スペース14aを有するケーシング14とを備えた内接型オイルポンプ10を、ロータ11の軸線方向に沿う外寸(歯幅)hが、収容スペース14aの軸線方向に沿う内寸lよりも小さく、
0.180≧l−h≧0.03[mm]
の関係を満たすよう構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯数差が1枚のアウターロータとインナーロータとが内接して噛み合い、両ロータの歯面間に形成されたセルの容積変化によって流体を吸入・吐出する内接型オイルポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内接型オイルポンプでは、キャビテーションや脈動による騒音の発生、効率の低下が問題となることがある。これに対して、ロータの端面に歯溝を連通させる連通路を設け、吐出側セルと吸入側セルとを連通させることにより、吸入側セルの吸入負圧を緩和するとともに、吐出側セルの圧力上昇を緩和し、キャビテーションや脈動を緩和させる内接型オイルポンプが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の内接型オイルポンプでは、連通路を長く設けることにより、この連通路を流通する流体の流路抵抗を大きくして、吐出側セルから吸入側セルへの流体の漏洩を少量に抑え、ポンプ効率の低下を防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−232855号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の内接型オイルポンプは、より小型の装置で高い吐出量を得るために、高回転で駆動することが求められている。しかしながら、ロータを高速回転させると、吸入側セルの吸入負圧の増大および吐出側セルの圧力上昇によってキャビテーションや脈動が大きくなり、騒音の発生、効率の低下等の問題が生じる。このため、内接型オイルポンプの高回転域での使用はあまり好ましいものではなかった。
【0006】
これに対して、上述の特許文献1に記載の内接型オイルポンプのように、キャビテーションや脈動を抑制する構成のロータを用いることが考えられる。
しかしながら、ロータの回転が高速になると、吸入側セルの吸入負圧および吐出側セルの吐出圧が極めて大きくなる。このため、吸入側セルと吐出側セルとが直接連通していると、高圧の吐出側セルから負圧の吸入側セルへと流体が移動してしまうので、吐出効率が大きく低下してしまうという問題がある。
【0007】
また、このように吸入側セルと吐出側セルとが直接連通していると、低速回転では油圧が上昇しにくく、ポンプとして十分な吐出量が得られにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたもので、高回転域および低回転域のいずれにおいても良好な効率での流体搬送が可能なオイルポンプを実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係る内接型オイルポンプは、内歯を有するアウターロータと、内歯よりも1枚少ない外歯を有するインナーロータとが噛み合い、その歯面間に形成されたセルの容積変化により流体を吸入・吐出するロータと、このロータを収容する収容スペースを有するケーシングとを備えた内接型オイルポンプであって、ロータの軸線方向に沿う外寸hが、収容スペースの軸線方向に沿う内寸lよりも小さく、
0.180≧l−h≧0.03[mm]
であることを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、ロータの端面と、ケーシングの収容スペースの内面とのクリアランス(サイドクリアランス)が大きいので、高回転域で駆動されるときのキャビテーションや脈動の発生による効率の低下を抑制でき、低騒音で吐出効率が良好なオイルポンプを実現することができる。
【0011】
請求項2の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1の内接型オイルポンプにおいて、アウターロータの歯数がZo枚であって、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成され、インナーロータの歯数がZi枚であって、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、アウターロータの基礎円Doの直径φDo、外転円Aoの直径φAo、内転円Boの直径φBo、インナーロータの基礎円Diの直径φDi、外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBi、両ロータの径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)とするとき、
φAo=φAi
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)
φBo=φBi+t・(Zo+1)
を満たしていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1のオイルポンプロータにおいて、アウターロータの歯数がZo枚であって、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成され、インナーロータの歯数がZi枚であって、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、アウターロータの基礎円Doの直径φDo、外転円Aoの直径φAo、内転円Boの直径φBo、インナーロータの基礎円Diの直径φDi、外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBi、両ロータの径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)とするとき、
φBo=φBi
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)
φAo=φAi+t・(Zo+1)
を満たしてインナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴としている。
【0013】
これらの発明によれば、円滑な回転のために設けられる両ロータの歯先頂点同士あるいは歯先頂点と歯底とが径方向に対向するときの歯面間のクリアランス(チップクリアランス)の大きさに対して、周方向に対向する歯面間のクリアランスが小さく形成されるので、バックラッシが小さく吐出効率の高いロータが得られる。したがって、このロータ形状の工夫により低回転域および高回転域のいずれにおいても高い吐出効率が実現できるとともに、歯幅方向のクリアランスすなわちサイドクリアランスを大きく設けることにより高回転域でのキャビテーションや脈動を抑えることができるので、低騒音かつ高効率の内接型オイルポンプの実現が可能となる。
【0014】
請求項4の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から3の内接型オイルポンプにおいて、容積が最小となっているセルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをa、容積が拡大する過程にあるセルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをb、容積が最大となっているセルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦b≦cかつa<c
であって、さらに、容積が拡大する過程にあるセルにおけるクリアランスbは、回転方向後方側のセルにおけるクリアランスの大きさをb1、これよりも回転方向前方側のセルにおけるクリアランスの大きさをb2として、
b1≦b2
を満たすことを特徴としている。
【0015】
また、請求項5の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項4の内接型オイルポンプにおいて、容積が減少する過程にあるセルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをd、容積が最大となっているセルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦b≦cかつa<cかつa≦d≦c
であって、さらに、容積が減少する過程にあるセルにおけるクリアランスdは、回転方向後方側のセルにおけるクリアランスの大きさをd1、これよりも回転方向前方側のセルにおけるクリアランスの大きさをd2として、
d1≧d2
を満たすことを特徴としている。
【0016】
また、請求項6の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から3の内接型オイルポンプにおいて、容積が最小から最大に拡大する過程にあるセルを形成する両ロータの歯面間のクリアランスが、セルの回転移動に伴い漸次増大することを特徴としている。
【0017】
また、請求項7の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項6の内接型オイルポンプにおいて、容積が最大から最小に減少する過程にあるセルを形成する両ロータの歯面間のクリアランスが、セルの回転移動に伴い漸次縮小することを特徴としている。
【0018】
これらの発明によれば、両ロータの歯面間のクリアランスが、効率のよいトルク伝達が行われる噛み合い影響部では小さく、効率のよいトルク伝達が行われない部分では大きく設けられるので、噛み合い影響部でのバックラッシが小さく、噛み合いに影響しない部分でのクリアランスは確保される。したがって、このロータ形状により効率の向上が実現できるとともに、サイドクリアランスを大きく設けることによりキャビテーションや脈動を抑えることができるので、低騒音で効率がよい内接型オイルポンプを実現することができる。
【0019】
請求項8の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から7の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータの回転位置θにおけるセルの容積V、このセルを軸線方向に投影した面積S、両ロータの軸線方向の歯幅hとして、
γ=dV/dθ/S/h
で算出される、セルを出入りする流体の単位歯幅当たりの流速変化γの最大値γmaxが、
0.0200≦γmax≦0.0250[mm/°degree/mm]
であることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、セルを出入りする流体の速度変化の最大値が小さいことにより高回転域においても脈動が抑制され、効率のよい流体搬送が可能となる。したがって、サイドクリアランスを大きく設けてキャビテーションや脈動を抑えることにより、高効率と低騒音を両立できる内接型オイルポンプが実現できる。
【0021】
請求項9の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項8の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータの回転速度[回毎分]の最大値が、9000[回毎分]以上であることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、流速変化の最大値が小さいロータを備え、サイドクリアランスが大きいオイルポンプにおいてインナーロータが高速回転されることにより、吐出量が大きくても脈動やキャビテーションが小さく、小型かつ低騒音で高効率での流体搬送が可能となる。
【0023】
請求項10の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から9の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータおよびアウターロータが粉末冶金法により製造され、オープンポアを有する焼結肌を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項11の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項10の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータの少なくとも軸方向端面が焼結肌であることを特徴としている。
【0025】
これらの発明によれば、サイドクリアランスが大きいことに加えて、ロータの両端面の平行度が良好なことから、研削等の機械加工を施されずオープンポアを有する焼結肌のロータを備えた内接型オイルポンプが実現できる。つまり、ロータがオープンポアを有することにより保油性が高い内接型オイルポンプが実現できるとともに、機械加工工程の省略により迅速かつ安価に製造可能な内接型オイルポンプを提供することができる。
【0026】
請求項12の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から9の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータおよびアウターロータが粉末冶金法により製造され、焼結肌にスチーム処理されたスチーム被膜層を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されていることを特徴としている。
【0027】
請求項13の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項12の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータの少なくとも軸方向端面にスチーム被膜層が形成されていることを特徴としている。
【0028】
これらの発明によれば、サイドクリアランスが大きいことに加えて、ロータの両端面の平行度が良好なことから、オープンポアを封孔させる研削等の機械加工を施されずスチーム処理により形成されたスチーム被膜層を有するロータを備えた内接型オイルポンプが実現できる。つまり、オープンポアを有し保油性が高いだけでなく、スチーム被膜層により表面強度が高いロータを備えるとともに、機械加工工程の省略により迅速かつ安価に製造可能な内接型オイルポンプを提供することができる。
【0029】
請求項14の発明に係る内接型オイルポンプは、請求項1から13の内接型オイルポンプにおいて、インナーロータの外歯が、基礎円に外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円に内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として、前記外転サイクロイド曲線と内転サイクロイド曲線とを交互に組み合わせて形成され、インナーロータの外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBiとすると、
0.5≦φBi/φAi≦0.8
を満たしていることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、0.5≦φBi/φAi≦0.8とすることにより、アウターロータ歯先の端面面積が、内歯が欠損しやすくならない程度に小さくなり、アウターロータ全体としての摺動面積が小さくなる。
これに対して、上記条件を満たさずにφBi/φAi>0.8を満たしてインナーロータが構成されると、アウターロータ内歯の端面面積がインナーロータ外歯の端面面積に対して大きくなり、アウターロータのケーシングに対する摺動面積が大きくなる。
また、0.5>φBi/φAiである場合、アウターロータ内歯の端面面積がインナーロータ外歯の端面面積に対して小さくなり、アウターロータのケーシングに対する摺動面積が小さくなるが、その反面、ロータの回転方向に沿うアウターロータの内歯の幅が小さくなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)および(b)に本発明の実施形態に係る内接型オイルポンプ10を示す。この内接型オイルポンプ10は、Zo枚(本実施形態では7枚)の内歯を有するアウターロータ12と、内歯よりも1枚少ないZi枚(本実施形態では6枚)の外歯を有するインナーロータ13とが噛み合い、その歯面間に形成された各セルRの容積変化により流体を吸入・吐出するロータ11と、このロータを収容する円筒内面状の収容スペース14aを有するケーシング14とを備えている。
【0032】
ケーシング14の収容スペース14aに収容されているロータ11は、アウターロータ12の軸線Ooとインナーロータ13の軸線Oiとが偏心した状態で配置されており、インナーロータ13に固定されたドライブシャフト15が軸線Oiと同軸に回転することによりインナーロータ13が回転されて、このインナーロータ13に噛み合うアウターロータ12が回転される。
【0033】
そして、両ロータ12,13が互いに噛み合って回転することにより、両ロータ12,13間に形成されたセルRは、容積が増大・減少しながら軸線Oo,Oi周りに移動する。このロータ11の軸線方向端面に面するケーシング14には、セルRが容積増大する範囲に開口する吸入ポート14bと、セルRが容積減少する範囲に開口する吐出ポート14cとが設けられていて、オイル(流体)はセルRの容積が増大するときに吸入ポート14bからセルR内に吸入された後、セルRの容積が減少するときに吐出ポート14cへ吐出される。このように吸入ポート14b・吐出ポート14cから吸入・吐出を行うことにより、内接型オイルポンプ10は流体の搬送を行うことができる。
【0034】
ロータ11が収容スペース14a内で円滑にするために、ロータ11が収容される収容スペース14aの軸線方向に沿う内寸lは、ロータ11の軸線方向に沿う外寸(歯幅)hよりも大きく設定されている。この内寸lと歯幅hのと差は一般にサイドクリアランスsと呼ばれ、従来は吐出効率の向上のために可能な限り小さくすることが好ましいとされていたが、本発明では
0.180≧サイドクリアランスs=l−h≧0.03[mm]
としている。
このようにサイドクリアランスsを大きく設けることにより、内接型オイルポンプ10は高速回転域においてもキャビテーションや脈動が生じにくく、静粛性が高く良好なポンプ効率での運転が可能となる。
【0035】
つぎに、この内接型オイルポンプ10に用いるロータ11に好適な第1の実施形態として、ロータ20について図2を参照して説明する。
図2に示すアウターロータ21は、Zo(本実施形態では11)枚の内歯を有し、基礎円Do(直径φDo)に外接して滑りなく転がる外転円Ao(直径φAo)によって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Bo(直径φBo)によって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成されている。
また、図2に示すインナーロータ22は、Zi(=Zo−1、本実施形態では10)枚の外歯を有し、基礎円Di(直径φDi)に外接して滑りなく転がる外転円Ai(直径φAi)によって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Bi(直径φBi)によって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成されている。
【0036】
このアウターロータ21およびインナーロータ22について、それぞれ外転円Ao,Aiおよび内転円Bo,Biの転がり距離が1周で閉じなければならないことから、
φDo×π=Zo×(φAo+φBo)×π・・・(1)
φDi×π=Zi×(φAi+φBi)×π・・・(2)
が成立しなければならない。
【0037】
ここで、このアウターロータ21およびインナーロータ22は、
φAo=φAi・・・(3)
と設定される。この式(3)が成立することにより、ロータ20は、アウターロータ21の歯溝とインナーロータ22の歯先との間の隙間が小さく、バックラッシが小さい形状となる。
【0038】
この式(3)を満たして両ロータ21,22が噛み合うためには、両ロータ21,22の径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)として、
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)・・・(4)
が成立しなければならない。
【0039】
また、アウターロータ21について、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離が1周で閉じるためには、
φBo=φBi+t/(Zo+1)・・・(5)
が成立しなければならない。
【0040】
なお、歯面間クリアランスtは一般にはチップクリアランスと呼ばれ、軸線Ooおよび軸線Oiを通る直線z上において歯先同士あるいは歯先と歯底とが対向するときの、この直線z上の両ロータ21,22の歯面間クリアランスの総量を指している。したがって、アウターロータ21およびインナーロータ22がケーシングに収容された状態では、直線z上の両ロータ21,22の歯面間の隙間は、理想的には図2に示すように、直線z上の2カ所についてそれぞれt/2ずつとなる。
【0041】
このチップクリアランスtを、
0.03[mm]≦t
とすることにより、圧力脈動やキャビテーション騒音、歯面の摩耗を効果的に防止することができる。また、
t≦0.25[mm]
とすることにより、容積効率の低下を効果的に防止することができる。
【0042】
上記式(1)〜式(5)を満たすロータ20は、バックラッシが小さいことから、静粛性およびトルク伝達効率が高く、高効率の流体搬送を可能とするものである。このロータ20を用いることにより、上述したサイドクリアランスsが大きい内接型オイルポンプ10において、低回転域でも良好なポンプ効率を得るとともに、高回転域での駆動によるキャビテーションおよび脈動の抑制と、より高効率の流体搬送とを両立することが可能となる。
【0043】
上記式(1)〜式(5)を満たすロータ20の一例を以下に示す。
アウターロータ21
基礎円Doの直径φDo=57.31[mm]
外転円Aoの直径φAo=2.50[mm]
内転円Boの直径φBo=2.71[mm]
歯数Zo=11枚
インナーロータ22
基礎円Diの直径φDi=52.00[mm]
外転円Aiの直径φAi=2.50[mm]
内転円Biの直径φBi=2.70[mm]
歯数Zi=10枚
チップクリアランスt=0.12[mm]
偏心量e=2.6[mm]
【0044】
つぎに、本発明の内接型オイルポンプ10に用いるロータ11に好適な第2の実施形態として、ロータ30について、ロータ20と同じく図2を参照して説明する。
ロータ30を構成するアウターロータ31およびインナーロータ32の歯形は、ロータ20と同じく、それぞれ基礎円Do(直径φDo)、基礎円Di(直径φDi)に外接して滑りなく転がる外転円Ao(直径φAo)、外転円Ai(直径φAi)によって創成される外転サイクロイド曲線と、基礎円Do、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Bo(直径φBo)、内転円Bi(直径φBi)によって創成される内転サイクロイド曲線とを歯形として形成されている。
【0045】
このアウターロータ31およびインナーロータ32について、それぞれ外転円Ao,Aiおよび内転円Bo,Biの転がり距離が1周で閉じなければならないことから、ロータ20と同様に、
φDo×π=Zo×(φAo+φBo)×π・・・(6)
φDi×π=Zi×(φAi+φBi)×π・・・(7)
が成立しなければならない。
【0046】
ここで、このアウターロータ31およびインナーロータ32は、ロータ20とは異なり
φBo=φBi・・・(8)
と設定される。この式(8)が成立することにより、ロータ30は、アウターロータ31の歯先とインナーロータ32の歯溝との間の隙間が小さく、バックラッシが小さい形状となる。
【0047】
この式(8)を満たして両ロータ31,32が噛み合うためには、両ロータ31,32の径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)として、ロータ20と同様に、
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)・・・(9)
が成立しなければならない。
【0048】
そして、アウターロータ31について、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離が1周で閉じるためには、
φAo=φAi+t/(Zo+1)・・・(10)
が成立しなければならない。
【0049】
なお、ここでも歯面間クリアランス(チップクリアランス)tは、軸線Ooおよび軸線Oiを通る直線z上において歯先同士あるいは歯先と歯底とが対向するときの、この直線z上の両ロータ31,32の歯面間クリアランスの総量を指しており、アウターロータ31およびインナーロータ32がケーシング14に収容された状態では、理想的には図2に示すように、直線z上の2カ所についてそれぞれt/2ずつの隙間として形成される。
【0050】
このチップクリアランスtを、
0.03[mm]≦t
とすることにより、圧力脈動やキャビテーション騒音、歯面の摩耗を効果的に防止することができる。また、
t≦0.25[mm]
とすることにより、容積効率の低下を効果的に防止することができる。
【0051】
上記式(6)〜式(10)を満たすロータ30は、バックラッシが小さいことから、静粛性およびトルク伝達効率が高く、高効率の流体搬送を可能とするものである。このロータ30を用いることにより、上述したサイドクリアランスsが大きい内接型オイルポンプ10において、低回転域でも良好なポンプ効率を得るとともに、高回転域での駆動によるキャビテーションおよび脈動の抑制と、より高効率の流体搬送とを両立することが可能となる。
【0052】
上記式(6)〜式(10)を満たすロータ30の一例を以下に示す。
アウターロータ31
基礎円Doの直径φDo=57.31[mm]
外転円Aoの直径φAo=2.51[mm]
内転円Boの直径φBo=2.70[mm]
歯数Zo=11枚
インナーロータ32
基礎円Diの直径φDi=52.00[mm]
外転円Aiの直径φAi=2.50[mm]
内転円Biの直径φBi=2.76[mm]
歯数Zi=10枚
チップクリアランスt=0.12[mm]
偏心量e=2.6[mm]
【0053】
つぎに、本発明の内接型オイルポンプ10に用いるのに好適なロータ11の第3の実施形態として、ロータ40について図3から図5を参照して説明する。なお、図3と図4とは、ロータ40が回転したことにより異なる形状のセルRが形成されている状態を示している。
【0054】
ロータ40は、図3に示すように、アウターロータ41とインナーロータ42との間に形成されるセルRのうち、容積が最小となっているセルRaにおける両ロータ41,42の歯面間のクリアランスの大きさをa、容積が拡大する過程にあるセルRbにおける両ロータ41,42の歯面間のクリアランスの大きさをb、図4に示すように容積が最大となっているセルRcにおける両ロータ41,42の歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦b≦cかつa<c
を満たしている。
【0055】
さらに、容積が拡大する過程にあるセルRbにおけるクリアランスbは、回転方向後方側のセルRbにおけるクリアランスの大きさをb1、これより回転方向前方側のセルRbにおけるクリアランスの大きさをb2として、
b1≦b2
を満たしている。
【0056】
換言すると、このロータ40は、容積が最小から最大に拡大する過程にあるセルRを形成する両ロータ41,42の歯面間のクリアランスが、セルRの回転移動に伴い漸次増大する構成となっている。
【0057】
また、このロータ40は、容積が減少する過程にあるセルRdにおける両ロータ41,42の歯面間のクリアランスの大きさをd、容積が最大となっているセルRcにおける両ロータ41,42の歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦d≦c
を満たしている。
【0058】
さらに、容積が減量する過程にあるセルRdにおけるクリアランスdは、回転方向後方側のセルRdにおけるクリアランスの大きさをd1、これより回転方向前方側のセルRdにおけるクリアランスの大きさをd2として、
d1≧d2
を満たしている。
【0059】
換言すると、このロータ40は、容積が最大から最小に減少する過程にあるセルRを形成する両ロータ41,42の歯面間のクリアランスが、セルRの回転移動に伴い漸次縮小する構成となっている。
【0060】
ロータ40では、容積が最小のときのセルRaを閉じる部分(噛み合い影響部)では、インナーロータ42の回転により両ロータ41,42の歯面間に略法線方向の力が生じて、アウターロータ41が回転される。
そして、セルRの容積が拡大するにつれ、このセルRを閉じるポイントでの力の伝達方向は徐々に斜め方向となって歯面間の摩擦が大きくなり、容積が最大となるセルRcでは、図4に示すように、力の伝達が行われない略接線方向となる。
また、容積が最大となるセルRを閉じるポイントはポンプの吸入側と吐出側とを分け、ここ(性能影響部)での歯面間クリアランスの大きさは流体搬送性能に影響する。
【0061】
つまり、セルRの容積が最小から最大へと拡大する過程において、セルRを閉じるポイントの1つを追って考えると、回転に伴いこのポイントでの伝達方向が法線方向から漸次接線方向に近づき、歯面間の摩擦が大きくなる。
一方、セルRの容積が最大から最小へと減少する過程においては、伝達方向が接線方向から漸次法線方向に近づき、歯面間の摩擦が小さくなる。
【0062】
歯面間クリアランスとインナーロータの回転角との関係について、図5に示す。この図に示すように、容積拡大過程における歯面間クリアランスが回転に応じて漸次増大するとともに、容積減少過程における歯面間クリアランスが回転に応じて漸次縮小するように構成したロータ40では、トルクは主に噛み合い影響部で法線方向に伝達され、摩擦が大きくなる性能影響部では両ロータ41,42の歯面同士が接触しにくく摩擦が生じにくいので、機械効率に優れ、低騒音での駆動が可能となる。
【0063】
また、歯面間クリアランスが漸次増大・縮小しているので、両ロータ41,42のバックラッシが小さいだけでなく、インナーロータ42に対してアウターロータ41が位置決めされやすくなり、アウターロータ41の暴れが小さく、低騒音かつ高効率での駆動が可能となる。
【0064】
したがって、このロータ40を用いることにより、上述したサイドクリアランスsが大きい内接型オイルポンプ10において、高回転域でもロータ同士の衝突が生じにくく安定して駆動することができ、キャビテーションおよび脈動の抑制と、低騒音かつ高効率の流体搬送とを両立することが可能となる。
【0065】
つぎに、本発明の内接型オイルポンプ10に好適なロータ11の第4の実施形態として、ロータ50について図6および図7を参照して説明する。
まず、アウターロータ51とインナーロータ52との間に形成されるセルRにおいて、容積変化によりセルRへ吸入あるいはセルRから吐出される流体の単位歯幅当たりの流速変化γは、ある位置でのセルRの容積をV、軸線方向に投影した面積をS、両ロータ51,52の軸線方向の歯幅をhとして、
γ=dV/dθ/S/h[mm/°degree/mm]
で算出される。この流速変化γとインナーロータ52の回転角度θとの関係を図7に示す。なお、流速変化γの正負は、セルRが容積減少過程にあり流体を吐出するときに負、セルRは容積増大過程にあり流体を吸入しているときに正となっている。
【0066】
このロータ50では、この単位歯幅当たりの流速変化γの最大値γmaxが、
0.0200≦γmax≦0.0250[mm/°degree/mm]
の範囲にあるγmax=0.0214に設定されている。
この値はロータ50と同等の理論吐出量を有する従来の一般的なロータと比較して1/2程度であり、ロータ50により吸入・吐出される流体の流速変化が緩やかで平均化されていることを示す。なお、上述したγmaxの好適な範囲は、0.025[mm/°degree/mm]を越えると脈動特性が急激に上昇して騒音特性も上昇すること、0.0200を下回ると吸入・吐出量が極度に減少しポンプとして実用的でなくなることから決定した。
【0067】
このロータ50では、流速変化γの最大値γmaxが小さいことにより、吸入側のセルRでの吸入負圧および吐出側のセルRでの急激な圧力上昇が抑えられるので、キャビテーションおよび脈動の発生が抑えられ、低騒音かつ高効率での流体搬送が可能となる。
【0068】
また、高回転で駆動したときの流速も小さく抑えられるので、セルR内の圧力の急変が抑えられ、キャビテーションおよび脈動の小さい高効率の流体搬送が可能となる。
【0069】
ここで、ロータ50の回転速度の上限値(限界回転数)Nmax[回毎分]は流体の許容ポート内流速Umax[mm/sec.]により算出され、許容ポート内流速Umax[mm/sec.]は流速変化の最大値γmax[mm/°degree/mm]に応じて設定される。これらの値は、
Nmax=Umax/γ・h×60[min.]/360[°]
という関係を有している。許容ポート内流速Umaxは最大値γmaxが小さいほど大きく設定できるので、0.020≦γmax≦0.025と小さくすることによりロータ50の限界回転数Nmaxを9000[回毎分]以上とすることができる。
【0070】
したがって、このロータ50を用いることにより、上述したサイドクリアランスsが大きい内接型オイルポンプ10において、高回転域でもキャビテーションおよび脈動を小さくでき、低騒音かつ高効率で吐出量を多くすることができる。
【0071】
つぎに、本発明の内接型オイルポンプ10に好適なロータ11の第5の実施形態として、ロータ60について図8から図12を参照して説明する。
図8に示すロータ60を構成するアウターロータ61は、基礎円Doに外接する外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接する内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として、これら外転サイクロイド曲線および内転サイクロイド曲線を組み合わせた複合サイクロイド曲線に沿って内歯61aが形成されている。そして、このアウターロータ61に噛み合うインナーロータ62は、基礎円Diに外接する外転円Ai(直径φAi)によって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接する内転円Bi(直径φBi)によって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として、これら外転サイクロイド曲線および内転サイクロイド曲線を組み合わせた複合サイクロイド曲線に沿って外歯62aが形成されている。
【0072】
このように構成されたロータ60では、両ロータ61,62の端面とケーシング14との間に生じる摺動抵抗に抗して両ロータ61,62を回転させたときの摩擦トルクTは、摺動面積をG、回転中心から摺動部分までの距離をm、両ロータ61,62とケーシング14との間に働く単位面積当たりの摩擦力をMとすると、T=M・G・mで算出される。
【0073】
この式から、摩擦トルクTを小さくするための手段として、回転中心から遠くに位置する摺動部分、すなわちアウターロータ61端面のケーシング14との摺動面積を小さくすることが挙げられる。
【0074】
このことをふまえた上で、φBi/φAi>0.8を満たす範囲において創成されたインナーロータ72を備えるロータ70を図9に示す。図9(a)はφBi/φAi=1.0、図9(b)はφBi/φAi=1.48である。このように、φBi/φAiの値を大きくとるほど外歯72aの端面Siの面積に対して内歯71aの端面Soの面積が大きくなるため、アウターロータ71の摺動面積が大きくなり、結果的に摩擦トルクTが増大してしまう。
【0075】
また、φBi/φAi<0.5の範囲を満たす範囲(φBi/φAi=0.4)において創成されたインナーロータ82を備えるロータ80を図10に示す。このロータ80では、外歯82aの端面Siの面積に対して内歯81aの端面Soの面積が小さくなるため、結果的に摩擦トルクTは減少する。しかしながら、アウターロータ81の回転方向に沿う内歯81aの幅Wが狭くなるため、外歯82aとの噛み合いによって内歯81aが欠けやすくなる等、内歯81aの耐久性が低下してしまう。
【0076】
φBi/φAiの値を任意に選択した場合、その値を採用して外歯が形成されたインナーロータを備えるオイルポンプの機械効率を図11に示す。
【0077】
まず、φBi/φAi>0.8の範囲では、φBi/φAiの値を大きくとるほどオイルポンプの機械効率が低下する事がわかる。
0.5≦φBi/φAi≦0.8の範囲では、φBi/φAiの値を小さくとるほどオイルポンプの機械効率が向上することがわかる。
φBi/φAi<0.5の範囲では、オイルポンプの機械効率は大きく向上せず、φBi/φAiの値を小さくとるほどアウターロータの回転方向に沿う内歯61aの幅が狭くなり、内歯61aが欠損しやすくなる。
なお、図11のグラフ上の各点I,II,III,IVに対応するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータはそれぞれ図8,図9(a),図9(b),図10に示したものである。
【0078】
さらに、グラフ上の0.5≦φBi/φAi≦0.8の範囲の境界にあたる各点V,VIに対応するオイルポンプロータ60を図12(a),(b)にそれぞれ示す。
【0079】
図12(a)に示されたオイルポンプロータ60は、φBi/φAi=0.8を満たして創成された複合サイクロイド曲線に沿って外歯62aが形成されたインナーロータ62を備えるものである。このオイルポンプロータでは、外歯62aの端面Siの面積と比較して内歯61aの端面Soの面積がやや大きめに構成されており、アウターロータ61の耐久性の向上に重点がおかれたものといえる。これよりも内歯61aの端面Soの面積が大きくなると、摺動抵抗による機械損失が増大して機械効率の十分な向上がみられなくなる。
【0080】
図12(b)に示されたオイルポンプロータ60は、φBi/φAi=0.5を満たして創成された複合サイクロイド曲線に沿って外歯62aが形成されたインナーロータ62を備えるものである。このオイルポンプロータ60では、外歯62aの端面Siの面積と比較して内歯61aの端面Soの面積がやや小さめに構成されており、摺動抵抗による機械損失の低減に重点がおかれたものといえる。これよりも内歯61aの端面Soの面積が小さくなると、内歯61aの幅Wが狭くなるため、内歯61aの耐久性が十分とはいえなくなる。
【0081】
これらのことから、0.5≦φBi/φAi≦0.8を満たす範囲において創成された複合サイクロイド曲線によってインナーロータ62の外歯62aが形成され、さらにこのインナーロータ62の形状によってアウターロータ61の形状が決定されたオイルポンプロータ60では、アウターロータ61の内歯61aが欠損しやすくならない程度にその端面Soの面積が小さくなっており、結果としてアウターロータ61全体の摺動面積が小さくなって駆動トルクTが減少するので、内歯61aの耐久性が確保されながらもアウターロータ61とケーシング14との間に生じる摺動抵抗による機械損失の低減が図られる。
【0082】
したがって、このロータ60を用いることにより、サイドクリアランスsが大きい内接型オイルポンプ10において、オイルポンプとしての耐久性、信頼性を確保しつつ、機械効率をさらに向上させることができる。
【0083】
ところで、一般には内接型オイルポンプでは、従来、流体の搬送効率を向上させるためにサイドクリアランスを小さくすることが求められ、そのためにロータの歯幅(外寸)の寸法精度が厳しく、粉末の圧縮成形および焼結により製造されたロータでは、その軸線方向端面を研削することが必要とされていた。しかしながら、端面に研削加工が施されたロータは、オープンポアが目つぶしされているため保油性が低く、たとえば長期間の放置後には油ぎれを起こすこともあった。
【0084】
これに対して、本発明の内接型オイルポンプ10ではサイドクリアランスsが大きいので、ロータの歯幅寸法を厳密に製造する必要がない。
そこで、アウターロータおよびインナーロータが粉末冶金法により製造され、焼結肌を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されているロータを用いることが可能となる。研削による目つぶしのない焼結肌を有するロータでは、オープンポアを多く有しているので保油性が高く、油ぎれをおこしにくくなる。このロータは、従来から機械加工を施されない歯面に加えて、少なくとも軸方向端面を焼結肌とすることにより、高い保油性を有することができる。
【0085】
さらに、アウターロータおよびインナーロータが粉末冶金法により製造され、スチーム処理が研削面ではなく焼結肌に施されたスチーム被膜層を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されているロータを用いることが可能となる。スチーム処理が研削による目つぶしのない焼結肌に施されたロータでは、オープンポア内までスチーム被膜層が形成されているので、保油性の低下が抑えられるとともに、耐食性および耐摩耗性が高い。
このロータは、従来から機械加工を施されない歯面に加えて、少なくとも軸方向端面にスチーム被膜層を有することにより、良好な保油性、耐食性および耐摩耗性を有することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の発明に係る内接型オイルポンプによれば、ロータの端面と、ケーシングの収容スペースの内面とのクリアランス(サイドクリアランス)が大きいので、ロータが高速で回転されるときのキャビテーションや脈動の発生による効率の低下を抑制でき、低騒音で吐出効率が良好な内接型オイルポンプを実現することができる。
【0087】
請求項2または3の発明に係る内接型オイルポンプによれば、バックラッシが小さく吐出効率の高いロータが得られるので、サイドクリアランスを大きく設けることにより高回転域でのキャビテーションや脈動を抑えるとともに、低回転域においてもロータ歯面形状の工夫により高い吐出効率が実現できるので、高回転域および低回転域のいずれにおいても低騒音かつ高効率、高吐出量の内接型オイルポンプの実現が可能となる。
【0088】
請求項4から7の発明に係る内接型オイルポンプによれば、両ロータの歯面間のクリアランスが、トルク伝達を行う噛み合い影響部では小さく、トルク伝達を行わない部分では大きく設けられるので、噛み合い影響部でのバックラッシが小さく、噛み合いに影響しない部分でのクリアランスは確保される。したがって、サイドクリアランスを大きく設けることによりキャビテーションや脈動を抑えるとともに、ロータ形状により効率の向上が実現できるので、回転速度の高低にかかわらず低騒音で効率がよい内接型オイルポンプを実現することができる。
【0089】
請求項8の発明に係る内接型オイルポンプによれば、セルを出入りする流体の速度変化の最大値が小さいことにより脈動が抑制され、効率のよい流体搬送が可能となる。したがって、キャビテーションや脈動を抑えるためにサイドクリアランスを大きく設け、高効率と低騒音を両立できる内接型オイルポンプが実現できる。
【0090】
請求項9の発明に係る内接型オイルポンプによれば、サイドクリアランスが大きいオイルポンプにおいて、流速変化の最大値が小さいロータが備えられることにより、高速回転され吐出量が大きくても脈動やキャビテーションが小さく、低騒音で高効率での流体搬送が可能となる。
【0091】
請求項10または11の発明に係る内接型オイルポンプによれば、サイドクリアランスが大きいことに加えて、ロータの両端面の平行度が良好なことから、研削等の機械加工を施されずオープンポアを有する焼結肌のロータを備えたオイルポンプが実現できる。つまり、オープンポアを有することにより保油性が高いオイルポンプが実現できるとともに、機械加工工程の省略により迅速かつ安価に内接型オイルポンプを提供することができる。
【0092】
請求項12または13の発明に係る内接型オイルポンプによれば、サイドクリアランスが大きいことに加えて、ロータの両端面の平行度が良好なことから、研削等の機械加工を施されずスチーム被膜層を有するロータを備えたオイルポンプが実現できる。つまり、機械加工工程の省略により、より迅速かつ安価に内接型オイルポンプを提供することができる。
【0093】
請求項14の発明に係る内接型オイルポンプによれば、サイドクリアランスが大きいためロータとケーシングとの摩擦が生じにくいだけでなく、アウターロータ歯先の端面面積が内歯が欠損しやすくならない程度に小さくなり、アウターロータ全体としての摺動面積が小さくなるので、駆動時の摺動抵抗を大幅に低減することができ、より機械効率に優れた内接型オイルポンプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内接型オイルポンプの一実施形態を示す平面図(a)と、(a)のI−I線に沿う断面図(b)である。
【図2】本発明の内接型オイルポンプに用いるロータの第1の実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の内接型オイルポンプに用いるロータの第2の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3に示すロータが回転した状態を示す平面図である。
【図5】図3におよび図4示す内接型オイルポンプにおけるインナーロータの回転角度と歯面間クリアランスとの関係を示す図である。
【図6】本発明の内接型オイルポンプに用いるロータの第3の実施形態を示す平面図である。
【図7】図6に示す内接型オイルポンプにおけるインナーロータの回転角度と流速変化との関係を示す図である。
【図8】本発明の内接型オイルポンプに用いるロータの第5の実施形態を示す平面図である。
【図9】(a)φBi/φAi=1.0、(b)φBi/φAi=1.48を満たして構成され、図8に示すロータと対比されるロータを示す図である。
【図10】(a)φBi/φAi=0.4を満たして構成され、図8に示すロータと対比されるロータを示す図である。
【図11】φBi/φAiとオイルポンプの機械効率との関係を示す図である。
【図12】(a)φBi/φAi=0.8、(b)φBi/φAi=0.5を満たして構成されたロータを示す図である。
【符号の説明】
10 内接型オイルポンプ
11,20,30,40,50,60 ロータ
12,21,31,41,51,61 アウターロータ
13,22,32,42,52,62 インナーロータ
14 ケーシング
14a 収容スペース
Claims (14)
- 内歯を有するアウターロータと、前記内歯よりも1枚少ない外歯を有するインナーロータとが噛み合い、その歯面間に形成されたセルの容積変化により流体を吸入・吐出するロータと、
該ロータを収容する収容スペースを有するケーシングとを備えた内接型オイルポンプであって、
前記ロータの軸線方向に沿う外寸hが、前記収容スペースの軸線方向に沿う内寸lよりも小さく、
0.18≧l−h≧0.03[mm]
であることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1に記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記アウターロータの歯数がZo枚であって、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成され、
前記インナーロータの歯数がZi枚であって、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、
アウターロータの基礎円Doの直径φDo、外転円Aoの直径φAo、内転円Boの直径φBo、インナーロータの基礎円Diの直径φDi、外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBi、両ロータの径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)とするとき、
φAo=φAi
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)
φBo=φBi+t・(Zo+1)
を満たしていることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1に記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記アウターロータの歯数がZo枚であって、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成され、
前記インナーロータの歯数がZi枚であって、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、
アウターロータの基礎円Doの直径φDo、外転円Aoの直径φAo、内転円Boの直径φBo、インナーロータの基礎円Diの直径φDi、外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBi、両ロータの径方向の歯面間クリアランスをt(≠0)とするとき、
φBo=φBi
φDo=φDi・Zo/Zi+t・Zo/(Zo+1)
φAo=φAi+t・(Zo+1)
を満たして前記インナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
容積が最小となっている前記セルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをa、容積が拡大する過程にある前記セルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをb、容積が最大となっている前記セルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦b≦cかつa<c
であって、さらに、容積が拡大する過程にある前記セルにおける前記クリアランスbは、回転方向後方側のセルにおけるクリアランスの大きさをb1、これよりも回転方向前方側のセルにおけるクリアランスの大きさをb2として、
b1≦b2
を満たすことを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項4に記載の内接型オイルポンプにおいて、
容積が減少する過程にある前記セルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをd、容積が最大となっている前記セルにおける両ロータの歯面間のクリアランスの大きさをcとして、
a≦b≦cかつa<cかつa≦d≦c
であって、さらに、容積が減少する過程にある前記セルにおける前記クリアランスdは、回転方向後方側のセルにおけるクリアランスの大きさをd1、これよりも回転方向前方側のセルにおけるクリアランスの大きさをd2として、
d1≧d2
を満たすことを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
容積が最小から最大に拡大する過程にある前記セルを形成する両ロータの歯面間のクリアランスが、前記セルの回転移動に伴い漸次増大することを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項6に記載の内接型オイルポンプにおいて、
容積が最大から最小に減少する過程にある前記セルを形成する両ロータの歯面間のクリアランスが、前記セルの回転移動に伴い漸次縮小することを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から7のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータの回転位置θにおける前記セルの容積V、該セルを軸線方向に投影した面積S、両ロータの軸線方向の歯幅hとして、
γ=dV/dθ/S/h
で算出される、前記セルを出入りする流体の単位歯幅当たりの流速変化γの最大値γmaxが、
0.0200≦γmax≦0.0250[mm/°degree/mm]
であることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項8に記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータの回転速度[回毎分]の最大値が、9000[回毎分]以上であることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から9のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータおよびアウターロータが粉末冶金法により製造され、オープンポアを有する焼結肌を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されていることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項10に記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータの少なくとも軸方向端面が焼結肌であることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から9のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータおよびアウターロータが粉末冶金法により製造され、焼結肌にスチーム処理されたスチーム被膜層を有し、両端面の平行度が0.09mm以下に形成されていることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項12に記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータの少なくとも軸方向端面に前記スチーム被膜層が形成されていることを特徴とする内接型オイルポンプ。 - 請求項1から13のいずれかに記載の内接型オイルポンプにおいて、
前記インナーロータの外歯が、基礎円に外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円に内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として、前記外転サイクロイド曲線と内転サイクロイド曲線とを交互に組み合わせて形成され、
前記インナーロータの外転円Aiの直径φAi、内転円Biの直径φBiとすると、
0.5≦φBi/φAi≦0.8
を満たしていることを特徴とする内接型オイルポンプ。
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