JP3291158B2 - 光ファイバの非線形屈折率の測定方法およびその装置 - Google Patents

光ファイバの非線形屈折率の測定方法およびその装置

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JP3291158B2 JP11775595A JP11775595A JP3291158B2 JP 3291158 B2 JP3291158 B2 JP 3291158B2 JP 11775595 A JP11775595 A JP 11775595A JP 11775595 A JP11775595 A JP 11775595A JP 3291158 B2 JP3291158 B2 JP 3291158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバの非線形屈
折率の測定方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、光を直接増幅するエルビウムドー
プファイバ増幅器(EDFA:Erbium-doped Fiber Amp
lifier)の実用化によって、波長1.55μm帯では非常に
高い強度の光信号が得られるようになった。これによっ
て光ファイバの伝送損失が補償され、数千kmにもおよぶ
無中継伝送が可能となっている。光ファイバの屈折率は
光強度に依存しているが、光強度が比較的小さい場合
は、一定波長の光に対して屈折率を一定と見なして差し
支えない。しかし、EDFAを用いた伝送を行う場合に
は、光強度が大きく、光ファイバの伝送距離が長くな
り、これに伴い、光と光ファイバとの相互作用長も長く
なるため、光ファイバの微小な屈折率変化が顕在化し、
非線形効果として自己位相変調(SPM)や相互位相変
調(XPM)等が発生し、伝送品質に悪影響を及ぼすと
いう問題がある。
【0003】その一方では、光ファイバの非線形性を積
極的に利用して、長距離大容量伝送を可能にする光ソリ
トン通信が、次世代の通信として注目されている。この
ように、最近では、光ファイバの非線形性を考慮しなけ
れば記述できない状況が発生している。非線形効果の大
きさは光ファイバの非線形屈折率によって決まるため、
光通信網を構築する等の場合にはその値を高い精度で測
定する方法が必要とされている。非線形屈折率の測定法
としては、パルス光源を用いて光ファイバに光パルスを
入射し、自己位相変調によって光信号に引き起こされる
パワスペクトル波形の変化から、位相変位を測定し非線
形屈折率を求める方法が報告されている(R.H.Stolen a
nd Chinlon Lin,Physical Review A,vol.17,no.4,pp.14
48-1453(1978) )。この方法は一般に自己位相変調法
(SPM法)と呼ばれている。
【0004】また、プローブ光と特定周波数で正弦波変
調されたポンプ光とを光ファイバに入射し、プローブ光
を遅延自己ヘテロダイン検波することにより、ポンプ光
がプローブ光にもたらす位相変位を求めて非線形屈折率
を計算する方法も報告されている(A.Wada et al.,ECOC
92,p.42(1992) )。この方法は一般に相互位相変調法
(XPM法)と呼ばれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】SPM法では、出射光
のパワスペクトル波形を理論的な波形と比較して得られ
る、最大位相変位ΔΦmax と光パルスのピークパワの関
係から非線形屈折率を求めている。しかし、理論的なパ
ワスペクトル波形は、図3のパルスピークに対する位相
変位Φmax =0の波形のように、入射光パルスの時間波
形がガウシアンであり、周波数チャープがなく、かつ、
光ファイバの群速度分散の効果が無視できるという条件
を仮定して求められている。そのため、理想に近い光パ
ルスを発生するために煩雑な調整作業が必要となる。
【0006】ここで、周波数チャープとは、図5に示す
ように、光ファイバを伝搬する光パルスの内部におい
て、光パルスの進行方向に対して、前端側の周波数密度
が粗となり、後端側の周波数密度が密となるという如
く、光パルス内で、光の瞬時周波数が一定でなく、光パ
ルス内での位置に依存することを指す。実際に発生させ
られる光パルスには一般に周波数チャープがあり、完全
に理想的な光パルスが発生できないため、理論的なパワ
スペクトル波形との差異が生じ、測定精度を高めること
が困難である。
【0007】XPM法は、理想的な光パルスの発生とい
うSPM法の困難を回避するための間接的な方法であ
る。しかし、XPM法では、位相変位がポンプ光とプロ
ーブ光の相対的な偏光状態に依存するため、偏光状態を
保持しない通常の光ファイバの測定においては、精度を
高めるために数多くの偏光状態について平均化する等の
操作が必要である。また、2つの波長の光を用いた間接
的な測定法であるため、装置構成や測定データの解析が
複雑である。また、SPM法と同様に光ファイバの群速
度分散の効果を無視しているため、実際には光ファイバ
の群速度分散が測定結果に影響を与える可能性がある。
実際、この2つの方法は同一の光ファイバに対して一致
した測定結果を与えないことが指摘されている。
【0008】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、その目的は、光ファイバを伝搬する光パ
ルスの群速度分散や周波数チャープ特性の影響を考慮し
て、光ファイバの非線形屈折率を高精度でもって測定す
ることができる信頼性の高い光ファイバの非線形屈折率
の測定方法およびその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次のように構成されている。すなわち、第
1の発明は、光ファイバの非線形屈折率の測定方法に関
し、被測定光ファイバに光パルスを入射し、入射光パル
スの時間波形と周波数チャープ特性のデータ、および出
射光パルスの時間波形と周波数チャープ特性のデータを
測定し、光ファイバ中を伝搬する光パルスの時間波形の
変化を表す、群速度分散と非線形屈折率の項を含む非線
形シュレディンガ方程式に前記入射光パルスの時間波形
と周波数チャープ特性の測定データおよび非線形屈折率
の暫定値を用いた数値計算手法によって計算上の出射光
パルスの時間波形と周波数チャープ特性のデータを計算
し、この計算によって得られた時間波形および周波数チ
ャープ特性の計算データと、前記出射光パルスの時間波
形および周波数チャープ特性の測定データとを比較し、
両者が許容範囲を越えて不一致のときには一致する方向
に非線形屈折率の暫定値を可変して前記同様に計算デー
タを求めて前記測定データと比較し、両者が許容範囲内
で一致したときの非線形屈折率の暫定値を被測定光ファ
イバの非線形屈折率として定めることを特徴として構成
されている。
【0010】第2の発明は、同じく光ファイバの非線形
屈折率の測定方法に関し、前記第1の発明における出射
光パルスの時間波形と周波数チャープ特性の計算上のデ
ータを求める数値計算手法はスプリット−ステップフー
リエ法(Split-Step Fourier法)であることを特徴とし
て構成されている。
【0011】第3の発明は、光ファイバの非線形屈折率
の測定装置に関し、被測定光ファイバに光パルスを入射
する光パルス入射手段と;入射光パルスの時間波形と周
波数チャープ特性、および出射光パルスの時間波形と周
波数チャープ特性を測定する特性測定部と;光ファイバ
中を伝搬する光パルスの時間波形の変化を表す、群速度
と非線形屈折率の項を含む非線形シュレディンガ方程式
が与えられ、この方程式に前記特性測定部で測定された
入射光パルスの時間波形と周波数チャープ特性の測定デ
ータおよび非線形屈折率の暫定値を用いた数値計算手法
によって計算上の出射光パルスの時間波形と周波数チャ
ープ特性の計算上のデータを求める特性演算部と;この
特性演算部により求められた時間波形および周波数チャ
ープ特性の計算データと前記特性測定部で測定された出
射光パルスの時間波形および周波数チャープ特性の測定
データとを比較し両者が許容範囲内で一致したときの非
線形屈折率の暫定値を被測定光ファイバの非線形屈折率
として定める屈折率確定部と;を有することを特徴とし
て構成されている。
【0012】
【作用】光ファイバ中を伝搬する光パルスの電界振幅E
を時間座標tとファイバ長手方向座標zの関数とし、
【0013】 E(z,t)=φ(z,t)exp [i(ωt−βz)]・・・・・(1)
【0014】と表す。ωは光の角周波数、βはz方向へ
の伝搬定数、φ(z,t)は位置z、時刻tにおける時
間波形を表す。ここで、パルスの群速度で動く座標系で
の時間
【0015】 τ=t−z(dβ/dω)・・・・・(2)
【0016】を導入する。また、光の瞬時周波数の揺ら
ぎを考慮するため、光パルスの時間波形を一般に絶対値
と位相変位の項を用いて
【0017】 φ(z,τ)=|φ(z,τ)|exp [iΘ(z,τ)]・・・・・(3)
【0018】と書く。この(3)式で、位相変化が図5
に示すような周波数チャープを表し、周波数チャープの
波形のピークを結ぶ包絡線(例えば図5の周波数チャー
プ波形のピークを結ぶ破線で示す曲線)が時間波形を表
している。前記(3)式で、光の瞬時周波数の中心周波
数からのずれδωは、位相変位Θ(z,τ)のτによる
微分
【0019】 δω=∂Θ(z,τ)/∂τ・・・・・(4)
【0020】で与えられる。このような光の瞬時周波数
のτへの依存性を前述の周波数チャープ特性と呼ぶ。時
間波形φ(z,t)は周波数チャープまで含むため、一
般に複素数となる。また、光ファイバの非線形屈折率n
2
【0021】 n=n0 +n2 |E|2 ・・・・・(5)
【0022】で定義する。|E|2 は電界強度、nは屈
折率、n0 は屈折率の光強度に依存しない成分である。
このとき、光ファイバ中を伝搬する光パルスの時間波形
の変化は、非線形シュレディンガ方程式
【0023】 ∂φ/∂z=(i/2)β2 (∂2 φ/∂τ2 )+(1/6)β3 (∂3 φ/ ∂τ3 )−αφ−ikn2 |φ|2 φ・・・・・(6)
【0024】によって記述される(G.P.Agrawal,"Nonli
near Fiber Optics",Academic Press(1989) )。この式
中で、β2 は群速度分散、β3 は高次の群速度分散、α
は単位長さ当りの光損失、kは真空中での光の波数であ
る。つまり、右辺第1項は群速度分散、右辺第2項は高
次の群速度分散、右辺第3項は光損失、右辺第4項は非
線形屈折率が、それぞれ光パルスに与える影響を表して
いる。なお、電界強度|E|2 は、測定可能な量である
光パワPと
【0025】 P=(cε0 n/2)Aeff |E|2 ・・・・・(7)
【0026】なる関係式で結びついている。ここで、c
は真空中の光の速度、ε0 は真空の誘電率、Aeff は光
ファイバの有効コア断面積である。
【0027】ところで、(7)式に(5)式のnを代入
することにより、直接的に測定不可能な電界強度|E|
2 は直接的に測定可能な光パワPの値と、予め測定によ
って得られるn0 と、有効コア断面積Aeff と、求めよ
うとするn2 等を含む式として与えられる。電界強度|
E|2 は時間波形φ(z,τ)の絶対値|φ(z,τ)
|に相当する量として関係付けられることから、この|
φ(z,τ)|を(3)式に代入することで、時間波形
φ(z,τ)は光パワPや被測定ファイバの有効コア断
面積Aeff の項を含む式となり、この光パワPや有効コ
ア断面積Aeffの項を含む時間波形φ(z,τ)の式が
(6)式に使用されている。
【0028】なお、時間波形φ(z,τ)は、周波数領
域でのパワスペクトル波形Ψ(z,ω)と(数1)のフ
ーリエ変換で結びついている。
【0029】
【数1】
【0030】Ψ(z,ω)は一般に複素数になるが、実
際に測定できるのはこれの絶対値である。従来のSPM
法とXPM法における問題は、群速度分散の影響、つま
り上記非線形シュレディンガ方程式の右辺第1項および
第2項、を無視して、つまり、
【0031】β2 =β3 =0・・・・・(8)
【0032】とし、さらに、SPM法では入射光パルス
の時間波形がガウシアンで、かつ、周波数チャープがな
【0033】 φ(0,τ)=φ0 exp {−τ2 /(2Δτ2 )}・・・・・(9)
【0034】という特殊な状況を仮定して理論を構築し
たために非線形屈折率を精度よく測定することができな
いという不具合が起こっている。φ0 は入射光パルスの
ピーク電界強度である。本発明は、この2つの仮定を排
除し、群速度分散の影響と入射光パルスの理想からのず
れを考慮に入れて、非線形シュレディンガ方程式に入射
パルスの時間波形および周波数チャープ特性の測定デー
タと、非線形屈折率の暫定値を代入して数値的に解き、
出射光パルスの時間波形および周波数チャープの計算デ
ータを求める。そして、この計算データと出射光パルス
の時間波形および周波数チャープの測定データとを比較
し、両者が一致するまで、非線形屈折率の暫定値を可変
して繰り返し計算を行い、出射パルスの計算上のデータ
と測定データが許容範囲内で一致したときの非線形屈折
率の暫定値を被測定光ファイバの非線形屈折率として確
定するようにしたことにより、正確にファイバの非線形
屈折率が測定できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1には本発明に係る光ファイバの非線形屈折率
の測定装置の一実施例の構成が示されている。本実施例
の装置は、光パルス入射手段1と、特性測定部2と、特
性演算部3と、演算データ入力部4と、屈折率確定部5
と、外部表示手段6と、屈折率暫定値自動可変入力部9
とを有して構成されている。
【0036】光パルス入射手段1は、パルス光源7と、
エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)8と、光
バンドパスフィルタ10と、高出力EDFA11と、可変ア
ッテネータ12とを有して構成されている。
【0037】パルス光源7は信号発生器13と、DFBレ
ーザ14を有し、信号発生器13は、300 MHzの正弦波でD
FBレーザ14を駆動する。この信号発生器13の駆動によ
り、DFBレーザ14は、中心波長λが1552.3nm(λ=15
52.3nm)の光パルスを出力する。EDFA8は、この光
パルスを増幅し、光バンドパスフィルタ10に加える。
【0038】光バンドパスフィルタ10は、Δλ=0.05nm
の幅で光パルスのスペクトルの一部を切り出し、光パル
スを整形し、この光パルスを高出力EDFA11に加え
る。高出力EDFA11は光バンドパスフィルタ10から加
えられる光パルスを増幅し、高ピークパワの光パルス列
を発生出力する。可変アッテネータ12は光パワを予め設
定される一定の入射レベルに減衰して被測定ファイバ15
の入射端に入射する。
【0039】特性測定部2は光オシロスコープ16と分光
分析装置17とを備えており、これら光オシロスコープ16
および分光分析装置17は被測定ファイバ15の入射光パル
ス測定点と出射光パルス測定点にそれぞれ光カプラ18を
介して着脱接続可能となっている。光オシロスコープ16
は被測定ファイバ15の入射パルスと出射パルスの時間波
形を測定するものであり、分光分析装置17は、入射パル
スと出射パルスの周波数チャープ特性とパワスペクトル
波形を測定するものである。
【0040】特性演算部3は、演算回路とメモリを内蔵
し、メモリには前述した(6)式の非線形シュレディン
ガ方程式の解法が記憶されており、演算データ入力部4
等から入力されるデータと、特性測定部2で測定される
入射パルスの時間波形およびチャープ周波数特性データ
に基づき、前記(6)式の非線形シュレディンガ方程式
を用いて出射パルスの計算上の時間波形と周波数チャー
プ特性のデータを算出する。
【0041】演算データ入力部4は、特性演算部3の演
算に必要なデータである、入射光パワP、被測定ファイ
バ15のファイバ長z、群速度分散β2 、高次分散β3
被測定ファイバ15の光損失α、真空中での光の波数k、
被測定ファイバ15のコアの有効断面積Aeff および被測
定ファイバ15のコアの実効屈折率n0 の値をキーボード
操作等により入力する。これらの各入力データは、予め
実験等により求めて与えられる。その一方で、演算デー
タ入力部4は、特性演算部3へ非線形屈折率n2 の初期
の暫定値を同様に入力する。
【0042】屈折率確定部5は前記特性測定部2で測定
された出射パルスの時間波形および周波数チャープ特性
のデータと、前記特性演算部3で算出された計算上の出
射パルスの時間波形および周波数チャープ特性の計算デ
ータとを比較し、予め与えられている許容範囲内で一致
するか否かを判定する。
【0043】測定データと計算データが許容範囲を外れ
て不一致のときには、不一致信号を出力する。この不一
致信号を受けて屈折率暫定値自動可変入力部9は、非線
形屈折率n2 の暫定値を微小量可変して特性演算部3に
変更出力する。この屈折率n2 の暫定値の変更は、出射
パルス時間波形および周波数チャープ特性の計算データ
が測定データに一致する方向(近づく方向)に変更され
る。
【0044】屈折率n2 の変更により、再び特性演算部
3で出射パルスの時間波形および周波数チャープ特性の
データが算出され、その算出された計算データと出射パ
ルスの前記測定データが再び屈折率確定部5で比較さ
れ、両者が許容範囲を越えて不一致のときには、前記屈
折率n2 の変更入力と特性演算部3による出射パルスの
時間波形および周波数チャープ特性データの演算と、そ
の計算データと測定データとの比較が繰り返し行われ
る。そして、出射パルスの時間波形および周波数チャー
プ特性の測定データと計算データが許容範囲内で一致し
たときに、屈折率確定部5は、そのときの屈折率n2
暫定値を被測定ファイバ15の非線形屈折率n2 の値とし
て確定する。
【0045】外部表示手段6は、前記屈折率確定部5で
確定された被測定ファイバ15の非線形屈折率n2 を表示
器に表示したり、プリンタでプリントアウトする等、適
宜の手段により表示する。
【0046】本実施例の装置は上記のように構成されて
おり、次に、その装置を用いた光ファイバの非線形屈折
率の測定方法を図2のフローチャートに基づき説明す
る。まず、ステップ101 で被測定ファイバ15の入射パル
スの時間波形と周波数チャープ特性の測定がそれぞれ行
われる。また、必要に応じ、入射パルスのパワスペクト
ル波形の測定も同時に行われる。
【0047】次のステップ102 ,103 で、これらの入射
パルスの時間波形と周波数チャープ特性の測定データ
と、出射パルスの時間波形および周波数チャープ特性を
計算により算出するために必要な入射光パワP、ファイ
バ長z、群速度分散β2 、高次分散β3 、ファイバの光
損失α、コアの有効断面積Aeff 、コアの実効屈折率n
0 の各データと非線形屈折率n2 の暫定値とが特性演算
部3にそれぞれ加えられる。
【0048】これらの各入力データに基づき、ステップ
104 において、特性演算部3は(6)式の非線形シュレ
ディンガ方程式を用いたスプリット−ステップフーリエ
法(Split-Step Fourier法)によって出射光パルスの時
間波形および周波数チャープ特性のデータを求める演算
を行い、ステップ105 で、演算により求められた出射パ
ルスの時間波形および周波数チャープ特性のデータを屈
折率確定部5に加える。また、ステップ106 で、出射パ
ルスの時間波形および周波数チャープ特性のデータが測
定され、その測定データは同じく屈折率確定部5に加え
られる。この場合も必要に応じ出射パルスのパワスペク
トル波形の測定が同時に行われる。
【0049】屈折率確定部5では、ステップ107 で、出
射光パルスの時間波形および周波数チャープ特性の計算
データと測定データを比較し、予め与えられている許容
範囲内で一致するか否かを比較する。許容範囲を外れて
不一致のときには、ステップ108 で非線形屈折率n2
暫定値が変更され、再び変更された非線形屈折率の暫定
値を用いて出射パルスの時間波形および周波数チャープ
特性のデータの算出が行われる。この非線形屈折率n2
の暫定値変更と出射パルスの時間波形および周波数チャ
ープ特性のデータ算出は計算データと測定データが許容
範囲内で一致するまで繰り返し行われる。ステップ108
での非線形屈折率n2 の暫定値の変更は、出射パルスの
時間波形および周波数チャープ特性の計算データが測定
データに一致する方向に(近づく方向に)変更するの
で、非線形屈折率n2 の暫定値を変更して繰り返し演算
を行うことにより、計算データは測定データに近づき、
必ず計算データは測定データと許容範囲内で一致する。
【0050】出射パルスの時間波形および周波数チャー
プ特性の計算データが許容範囲内で測定データに一致し
たときに、両者が十分な精度で一致したものと判断し、
この一致した計算データの算出に用いた非線形屈折率n
2 の暫定値を被測定ファイバ15の非線形屈折率n2 とし
て確定し、被測定ファイバ15の非線形屈折率の測定を終
了する。
【0051】ところで、非線形屈折率の測定を正しく行
い、非線形屈折率n2 の暫定値に真の値を与えた場合に
は、出射光パルスの時間波形と周波数チャープ特性とパ
ワスペクトル波形の計算データと測定データは全て一致
するはずである。しかし、周波数チャープを含む時間波
形とパワスペクトル波形とは前記の(数1)の式で結び
付いており、このことを考慮すれば、特にパワスペクト
ルのデータは考慮しなくてもよく、出射パルスの時間波
形と周波数チャープ特性のデータを用いれば十分であ
る。
【0052】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
とはなく様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実
施例では非線形屈折率n2 の暫定値を屈折率暫定値自動
可変入力部9により自動的に可変するようにしたが、こ
れを手動により可変入力するようにしてもよい。
【0053】また、実施例では出射パルスの時間波形と
周波数チャープ特性データを算出する場合、高次分散β
3 を演算入力データとして入力したが、実際の群速度分
散が大きく、高次分散の影響が無視できる場合は、
(6)式の高次分散の項を無視して(β3 =0とし
て)、出射光の時間波形と周波数チャープ特性のデータ
算出を行う場合もあり得る。
【0054】
【発明の効果】本発明は、群速度分散や周波数チャープ
特性の影響を考慮して、光ファイバの非線形屈折率を求
めるようにしたので、光パルスが光ファイバを伝搬する
ことにより生じる群速度分散や周波数チャープの測定結
果への影響を解消し、正確に光ファイバの非線形屈折率
を測定することができる。
【0055】また、光ファイバの非線形屈折率を測定す
る際に、周波数チャープが全くない理想的な光パルスの
入射を行わなくてもよいので、従来のSPM法による非
線形屈折率の測定に際し要求される細心の注意を払って
の光パルス発生の煩雑な調整作業から解放されるので、
測定調整作業の大幅な簡素化が達成できる。
【0056】前記の如く、本発明によれば、高精度で高
信頼性の非線形屈折率の測定が可能となるので、エルビ
ウムドープファイバ増幅器を用いた光強度の高い無中継
長距離光伝送や光ファイバの非線形性を積極的に利用し
て、長距離大容量伝送を可能にする光ソリトン通信等の
通信網を構築する上で大きな寄与が期待され、その利用
価値は頗る大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの非線形屈折率測定装
置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明における光ファイバの非線形屈折率測定
方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】従来の測定法(SPM法)に用いられるパルス
ピークの位相変位が0、3/2π,7/2πの理想波形
を示すパワスペクトル波形図である。
【図4】実際の出射光パルスのパワスペクトル波形の一
例を示す説明図である。
【図5】光パルスにおける周波数チャープの一例を示す
説明図である。
【符号の説明】
1 光パルス入射手段 2 特性測定部 3 特性演算部 4 演算データ入力部 5 屈折率確定部 9 屈折率暫定値自動可変入力部 15 被測定ファイバ 16 光オシロスコープ 17 分光分析装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光ファイバに光パルスを入射し、
    入射光パルスの時間波形と周波数チャープ特性のデー
    タ、および出射光パルスの時間波形と周波数チャープ特
    性のデータを測定し、光ファイバ中を伝搬する光パルス
    の時間波形の変化を表す、群速度分散と非線形屈折率の
    項を含む非線形シュレディンガ方程式に前記入射光パル
    スの時間波形と周波数チャープ特性の測定データおよび
    非線形屈折率の暫定値を用いた数値計算手法によって計
    算上の出射光パルスの時間波形と周波数チャープ特性の
    データを計算し、この計算によって得られた時間波形お
    よび周波数チャープ特性の計算データと、前記出射光パ
    ルスの時間波形および周波数チャープ特性の測定データ
    とを比較し、両者が許容範囲を越えて不一致のときには
    一致する方向に非線形屈折率の暫定値を可変して前記同
    様に計算データを求めて前記測定データと比較し、両者
    が許容範囲内で一致したときの非線形屈折率の暫定値を
    被測定光ファイバの非線形屈折率として定めることを特
    徴とする光ファイバの非線形屈折率の測定方法。
  2. 【請求項2】 出射光パルスの時間波形と周波数チャー
    プ特性の計算上のデータを求める数値計算手法はスプリ
    ット−ステップフーリエ法(Split-Step Fourier法)で
    ある請求項1記載の光ファイバの非線形屈折率の測定方
    法。
  3. 【請求項3】 被測定光ファイバに光パルスを入射する
    光パルス入射手段と;入射光パルスの時間波形と周波数
    チャープ特性、および出射光パルスの時間波形と周波数
    チャープ特性を測定する特性測定部と;光ファイバ中を
    伝搬する光パルスの時間波形の変化を表す、群速度と非
    線形屈折率の項を含む非線形シュレディンガ方程式が与
    えられ、この方程式に前記特性測定部で測定された入射
    光パルスの時間波形と周波数チャープ特性の測定データ
    および非線形屈折率の暫定値を用いた数値計算手法によ
    って計算上の出射光パルスの時間波形と周波数チャープ
    特性の計算上のデータを求める特性演算部と;この特性
    演算部により求められた時間波形および周波数チャープ
    特性の計算データと前記特性測定部で測定された出射光
    パルスの時間波形および周波数チャープ特性の測定デー
    タとを比較し両者が許容範囲内で一致したときの非線形
    屈折率の暫定値を被測定光ファイバの非線形屈折率とし
    て定める屈折率確定部と;を有する光ファイバの非線形
    屈折率の測定装置。
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