JP3290727B2 - 可撓管湾曲制御装置 - Google Patents

可撓管湾曲制御装置

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JP3290727B2
JP3290727B2 JP34730792A JP34730792A JP3290727B2 JP 3290727 B2 JP3290727 B2 JP 3290727B2 JP 34730792 A JP34730792 A JP 34730792A JP 34730792 A JP34730792 A JP 34730792A JP 3290727 B2 JP3290727 B2 JP 3290727B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気圧式人工筋や形状
記憶合金等のアクチュエータによって可撓管の湾曲を制
御する可撓管湾曲制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、内視鏡の挿入部や医療用カテ
ーテル等の可撓管の湾曲を制御する可撓管湾曲制御装置
としては様々なものが開発されている。例えば特開昭6
4−62154号公報には、可撓管としての内視鏡挿入
部の先端に設けられた湾曲部を湾曲させる湾曲制御装置
が開示されている。
【0003】この湾曲制御装置は、加圧空気の流入によ
って基準形状から外径寸法が拡大するとともに軸線方向
の長さ寸法が収縮する人工筋の収縮動作を利用して前記
湾曲部を湾曲させるものである。具体的には、湾曲部の
先端にこの湾曲部を複数方向に湾曲操作する4本の湾曲
操作ワイヤの各一端が連結され、さらに、内視鏡の挿入
部内に人工筋が4個配設されている。これらの人口筋に
は湾曲操作ワイヤの各他端が連結されており、各人工筋
内への加圧空気の供給によって人口筋が湾曲操作ワイヤ
を引張り操作して湾曲部を湾曲操作するようになってい
る。
【0004】ところで、例えば医療用内視鏡の挿入部を
大腸等にある湾曲角の大きい例えば脾湾曲部位を通過し
て挿入する場合、挿入部を押し込むだけでは挿入部先端
側が脾湾曲部位の体腔壁を押すばかりであり、挿入する
ことが困難である。さらに、挿入部の先端側が体腔壁に
押し戻されてしまう場合もある。このような状況で挿入
部を進めるためには、湾曲部の湾曲角を略ストレート状
態にすると同時に、挿入部を押し込む操作をする必要が
あり、操作に熟練を要するという問題点がある。 この
ような問題点を解決する手段として、本出願人は、例え
ば特願平2−86178号に示すように、湾曲部を所定
の湾曲角度に制御する第1の制御手段と、この第1の制
御手段を起動制御する第2の制御手段とを設けることに
より、湾曲部を略ストレート状態の湾曲角にすることを
提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記制
御手段を有する従来の内視鏡の挿入部を例えば体腔内に
挿入し、湾曲部を湾曲操作させながら、処置する部位に
導入していく場合、湾曲制御装置の故障や誤動作等によ
って前記第1の制御手段が正常な動作を行なえなくな
り、内視鏡の湾曲部が湾曲した状態でロックされてしま
うと、前記第2の制御手段をいくら操作しても湾曲部が
ストレート状態に復帰せず、挿入部を体腔内から抜去で
きない虞があった。
【0006】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、故障や誤動作によっ
て可撓管の湾曲部が湾曲状態にロックされても容易にそ
のロック状態を解除できる安全性の高い可撓管湾曲制御
装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る可撓管湾曲制御装置は、可撓管の先
端部に配設された複数のアクチュエータと、前記アクチ
ュエータを駆動する湾曲駆動手段と、前記可撓管の湾曲
量を設定入力する操作手段と、前記操作手段の出力に基
づいて所定の湾曲駆動手段の駆動を制御する第1の制御
手段と、前記アクチュエータの駆動に伴う前記可撓管の
湾曲状態が直線状態になるように指示する直線指示手段
と、前記直線指示手段の指示に応じて、前記アクチュエ
ータのうちの少なくとも一対のアクチュエータの駆動量
が等しくなるように、前記第1の制御手段の制御に優先
して、前記湾曲駆動手段を制御する第2の制御手段とを
具備している。また、請求項2に係る可撓管湾曲制御装
置は、可撓管の先端部に配設された複数のアクチュエー
タと、前記アクチュエータを駆動する湾曲駆動手段と、
前記可撓管の湾曲量を設定入力する操作手段と、前記操
作手段の出力に基づいて所定の湾曲駆動手段の駆動を制
御する第1の制御手段と、前記アクチュエータの駆動に
伴う前記可撓管の湾曲状態が直線状態になるように操作
して指示する直線指示手段と、前記直線指示手段の指示
に応じて、前記アクチュエータのうちの少なくとも一対
のアクチュエータの駆動量が等しくなるように、前記第
1の制御手段の制御に優先して、前記湾曲駆動手段を制
御する第2の制御手段とを具備している。 また、請求項
3に係る可撓管湾曲制御装置は、可撓管の先端部に配設
された複数のアクチュエータと、前記アクチュエータを
駆動する湾曲駆動手段と、前記可撓管の湾曲量を設定入
力する操作手段と、この操作手段からの入力に基づいて
前記湾曲駆動手段を制御する制御部とを備えた制御装置
とを具備し、前記制御部は、前記操作手段の出力に基づ
いて所定の湾曲駆動手段の駆動を制御する第1の制御手
段と、前記制御装置の装置状態を検出する装置状態検出
手段と、前記装置状態検出手段の検出結果に応じて、前
記可撓管の湾曲状態を解除させる解除指示信号を発生す
る解除指示手段と、前記解除指示手段が発生する前記解
除指示信号に基づいて、前記第1の制御手段の制御に優
先して、前記湾曲駆動手段を制御する第2の制御手段と
を備えていることを特徴とする。
【0008】
【作用】故障や誤動作によって可撓管の湾曲部が湾曲状
態にロックされても、前記第2の制御手段の制御によっ
て複数のアクチュエータの駆動量が等しくなり、前記湾
曲部のロック状態が解除される。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説
明する。図1ないし図6は本発明の第1の実施例を示す
ものである。本実施例の可撓管湾曲制御装置60は図3
に示す可撓管としての内視鏡1に設けられている。図3
に示すように、この内視鏡1は、例えば体腔内に挿入さ
れる挿入部2を有している。挿入部2は、可撓性を有す
る長尺な可撓部13と、この可撓部13の先端に接続さ
れた湾曲部14と、湾曲部14の先端に設けられた先端
構成部3とから構成されている。挿入部2はドラムユニ
ット4の巻取ドラム4bによって巻き取られるようにな
っている。つまり、ドラムユニット4は、支持部材4a
と、この支持部材4aによって回転自在に支持された巻
取ドラム4bとから構成されており、回転する巻取ドラ
ム4bに長尺な内視鏡1の挿入部2を繰出し自在に巻装
できるようになっているものである。
【0010】また、ドラムユニット4の巻取ドラム4b
にはケーブル5の一端部が連結されている。ケーブル5
内には後述する加圧チューブ7a,7b,7c,7dが
挿通されており、これらの加圧チューブ7a,7b,7
c,7dはそれぞれ、ケーブル5の他端部に設けられた
分岐部6を通じて分岐してケーブル5内から導出され、
制御装置本体8に設けられた加圧流体供給源としてのコ
ンプレッサ12に接続されている(図3では加圧チュー
ブ7dが省略して図示されている。)。また、各加圧チ
ューブ7a,7b,7c,7dの途中には、加圧流体の
流れを制御する電磁弁53が介装されている。また、図
示しないが、挿入部2内に内装された対物光学系や照明
光学系も分岐部6を通じてケーブル5内から導出され、
制御装置本体8のカメラコントローラ10と光源装置1
1とにそれぞれ接続されている。なお、制御装置本体8
にはカメラコントローラ10、光源装置11、コンプレ
ッサ12の他に空気圧制御部9などの構成器機が内蔵さ
れている。また、制御装置本体8には湾曲部14の湾曲
量を設定入力する操作部8aが接続されている。また、
カメラコントローラ10には図示しないビデオプロセッ
サおよびテレビモニタ等が接続されている。
【0011】図2に示すように、湾曲部14には略リン
グ状の複数の湾曲駒25…が軸線方向に沿って並設され
ている。これらの湾曲駒25…は回動ピン26…を介し
てそれぞれ回動可能に連結されており、湾曲部14を複
数方向、例えば左右方向と上下方向の4方向に湾曲動作
できるようになっている。さらに、湾曲部14の最先端
の湾曲駒25aの内周面には前記各湾曲方向に対応させ
た4本の湾曲操作ワイヤ27…(図2には4本の湾曲操
作ワイヤ27のうち2本しか図示していない。)の各先
端が固定されている。
【0012】また、湾曲操作ワイヤ27…の各後端は、
各湾曲操作ワイヤ27…を引張り操作するアクチュエー
タとしての人工筋30a,30b,30c,30d(図
2には人工筋30a,30bのみが図示されている。)
の先端部に固定されている。人工筋30a,30b,3
0c,30dはパイプ81を介して加圧チューブ7a,
7b,7c,7dにそれぞれ接続されており、制御装置
本体8内のコンプレッサ12からの加圧流体(高圧空気
等)を加圧チューブ7a,7b,7c,7dを通じて
工筋30a,30b,30c,30dの内部に供給でき
るようになっている。
【0013】また、各人工筋30a,30b,30c,
30d内への加圧流体の供給状態は湾曲操作部8aの操
作に応じて動作する空気圧制御部9によって適宜制御で
きるようになっている(後述する)。また、各人工筋3
0a,30b,30c,30dは、内部に加圧流体が供
給されていない通常の状態では、基準形状を保持したま
ま湾曲操作ワイヤ27…を牽引することなく湾曲部14
を直線形状に保持する。一方、加圧チューブ7a,7
b,7c,7dを通じて人工筋30a,30b,30
c,30d内に加圧流体が流入されると、人工筋30
a,30b,30c,30dは、外径寸法が拡大すると
ともに軸線方向に長さが収縮し、その収縮動作によって
湾曲操作ワイヤ27…を手元側に牽引してその牽引方向
に湾曲部14を湾曲させる。
【0014】人工筋30a,30b,30c,30dと
加圧チューブ7a,7b,7c,7dは前述したように
パイプ81を介して通気可能に連結されているが、図4
に拡大して示すように、人工筋30a,30b,30
c,30dの基端は挿入部2に固定された係止部材10
7によって軸方向に移動しないようになっている。
【0015】以下、図4および図5を参照しつつ係止部
材107を用いた人工筋30a…の基端部の固定方法に
ついて説明する。なお、以下の説明は、挿入部2内に2
つの人工筋30a,30bのみが配設されている場合に
ついての例であり、本実施例のように4つの人工筋30
a,30b,30c,30dを有する場合については説
明の最後に付記する。
【0016】図5の(a)に示すように、係止部材10
7は、円盤状の板材をひょうたん状に加工して形成され
た係止部本体107aと、扇型の板材の一部を切り欠い
た押え部107bとからなる。係止部本体107aの上
下2ケ所にはパイプ81を嵌合させる切り欠き部106
が設けられている。
【0017】係止部材107を用いて人工筋30a,3
0bの基端部を固定するには、まず、人工筋30a,3
0bと連結するパイプ81,81を係止部本体107a
の切り欠き部106,106に嵌合させた後、一部を切
り欠いた押え部107b,107bを図5の(a)に示
すようにパイプ81,81に嵌め込んで切り欠き部10
6,106からのパイプ81,81の抜けを防止する。
この状態で、内面に段差部109を有する円筒状のリン
グ98内に係止部材107を挿入するとともに前記段差
部109に係止部本体107aの先端面を突き当てて係
止部本体107aをリング98の内面に嵌合する。さら
に、樹脂チューブ99上にブレード94を被覆してなる
可撓管102をリング98上から覆せる。なお、可撓管
102の最も内側すなわち樹脂チューブ99の内面には
螺旋管93が嵌め込んだ状態で配設されており、この螺
旋管93はリング98を堺にして分断されている。ま
た、リング98は樹脂チューブ99に対して接着された
状態で糸巻き固定されている。なお、可撓管102内に
は内視鏡の構成要素であるライトガイドファイバ112
やCCD信号線111が通っており、これらのライトガ
イドファイバ112、CCD信号線111はそれぞれ、
係止部本体107aが位置する部位においては、係止部
本体107aの凹部105と可撓管102の内面とによ
って形成される隙間104に挿通されている(図4の
(b)参照)。
【0018】以上、挿入部2内に2つの人工筋30a,
30bのみが配設されている場合について述べたが、上
記係止部本体107aを2つ用いて人工筋30a,30
b,30c,30dの基端部を挿入部2に固定したり、
係止部本体107aの上下左右の4ヶ所にパイプ81を
嵌合させる切り欠き部を設けるなどして、リング98を
用いた上記固定方法を応用することにより、4つの人工
30a,30b,30c,30dを有する本実施例の
場合にも上記固定方法の理論を適用することができる。
【0019】次に、可撓管湾曲制御装置60の制御回路
について図1を参照しつつ説明する。図1の(a)に示
すように、操作部8aは第1の制御手段としての制御部
50に電気的に接続されている。また、制御部50は第
2の制御手段としての優先回路51を介して電磁弁53
を駆動させる駆動回路52に接続されている。また、優
先回路51には、電源スイッチ54とニュートラルスイ
ッチ55とコネクタ着脱検出部56と故障検出部57と
が電気的に接続しており、これらは湾曲部14の湾曲状
態を解除させる解除指示信号を発生する解除指示手段を
構成している。なお、前述したように、コンプレッサか
らの加圧流体は電磁弁53を介して人工筋30(30a
〜30d)に供給されるようになっている。
【0020】次に、上記構成の可撓管湾曲制御装置60
を用いて内視鏡1の湾曲部14の湾曲動作を制御する場
合について説明する。
【0021】内視鏡1の湾曲部14を湾曲させる場合に
は、操作部8aのジョイスティック55を操作する。湾
曲部14の湾曲量と湾曲方向はジョイスティック55の
操作量と操作方向とによって決定される。すなわち、操
作部8aはジョイスティック55の操作量と操作方向に
対応した出力信号を制御部50に入力する。
【0022】制御部50は、操作部8aからの出力信号
の大きさに応じて、PWM(パルス幅変調)信号を発生
し、この信号を駆動回路52に入力する。図1の(b)
に示すように、PWM信号のパルス幅tは操作部8aか
らの出力信号に比例して変化し、これによってデューテ
ィ比(t/T)が変化される。ただし、この場合、繰り
返し周期Tは一定である。
【0023】このPWM信号が駆動回路52を介して電
磁弁53に入力されると、電磁弁53の開放時間が変化
する。電磁弁53の開いている時間が長いほど人工筋3
0a〜30dに供給される加圧流体の圧力は高くなり、
人工筋30a〜30bの収縮量が大きくなる。このよう
に電磁弁53の開く時間を制御することにより湾曲部1
4の湾曲量が操作部8aからの出力の大きさに比例して
コントロールされる。一方、優先回路51に接続する電
源スイッチ54、ニュートラルスイッチ55、コネクタ
着脱検出部56および故障検出部57のうちの少なくと
も1つから湾曲部14の湾曲状態を解除させる解除指示
信号が入力されると、優先回路51は駆動回路52に対
して前記解除指示信号に伴う制御信号を送る。この制御
信号は制御部50から送られてくるPWM信号に優先し
て駆動回路52に入力される。たとえ、操作部8aから
出力信号が発信されていても優先回路51からの制御信
号の方が優先される。
【0024】優先回路51からの制御信号は、駆動回路
52を介して電磁弁53に入力され、その種類(電源ス
イッチ54、ニュートラルスイッチ55、コネクタ着脱
検出部56、故障検出部57の各部からの異なった解除
指示信号に伴う制御信号)によって後述するように電磁
弁53の開閉を制御して人工筋30への加圧流体の供給
を制御する。
【0025】以上説明した制御によって作動される電磁
弁53は図6に示す3ポート電磁弁であり、電磁弁53
の磁励回路に電圧を加えない状態では、弁の入口Pから
の加圧流体の供給が停止され、人工筋30に接続されて
いる弁の出口Aと排気口Rとが接続されて人工筋30内
の加圧流体が外部に排出されるものである。また、磁励
回路に電圧が印加されている状態では、コンプレッサー
12側と接続する弁の入口Pと人工筋30に接続されて
いる弁の出口Aとが接続し、加圧流体が人工筋30に供
給される。
【0026】電磁弁53が操作部8aからの出力信号に
基づいて開動作される通常の状態では、操作部8aのジ
ョイスティック55の操作方向に対応した人工筋30、
例えば人工筋30aに加圧チューブ7aを通じてコンプ
レッサ12からの加圧流体が供給される。
【0027】加圧流体が供給されるとこの人工筋30a
は基準形状から外径寸法が拡大する状態で径方向に膨脹
し、軸線方向の長さ寸法が収縮する弾性変化形状に変形
する。この時、人工筋30aの収縮力が係止部本体10
7aに働く。しかし、係止部本体107aはリング98
を介して可撓管102に固定されているので、人工筋3
0aの基端部は前方に移動しない。したがって、人工筋
30aは手元側に向かって収縮変形し、これによって人
工筋30aに連結された湾曲操作ワイヤ27が手元側に
引張り操作される。この操作によって、湾曲部14は、
引張り操作された湾曲操作ワイヤ27が位置するUP方
向(図1の(b)、図3参照)に湾曲操作される。
【0028】また、他方の人工筋30bに加圧チューブ
7bを通じて加圧流体が供給された場合には、加圧流体
が供給された人工筋30bが同様に弾性変形し、人工筋
30bに連結された湾曲操作ワイヤ27が引張り操作さ
れ、この湾曲操作ワイヤ27が位置するDOWN方向に
湾曲部14が湾曲操作される。
【0029】なお、以上説明した湾曲部14の湾曲操作
を行なう前の段階において、電源スイッチ54が押され
ると、優先回路51から各電磁弁53を閉じる命令がそ
れぞれに送られる。これによって、各人工筋30a〜3
0dは伸びた状態のまま保持され、内視鏡1の湾曲部1
4は非常に柔軟な状態にセットされる。したがって、挿
入部2を被検査対象部位に導入するに際に生体を傷付け
る虞はない。また、人工筋30a〜30dにそれぞれ均
等に低い圧力をかけて、湾曲部14をストレートな状態
に保つことにより、柔軟な湾曲部14が重力の影響で下
方に垂れることを防止してもよい。そして、このように
湾曲部14を保持した状態で、電源スイッチ54を投入
後、操作部8aを操作することにより、前述した動作に
よって湾曲部14を任意の方向に湾曲動作させればよ
い。
【0030】体腔内や配管内に挿入部2を挿入して検査
を行った後、挿入部2を前記体腔内や配管内から抜去す
る場合や、湾曲部14の湾曲状態がロックされて湾曲部
14が直線状態に戻らなくなった場合には、解除指示手
段の1つである直線指示手段としてのニュートラルスイ
ッチ55を押す(押し操作する)。ニュートラルスイッ
チ55からは各人工筋30a〜30dが均等に加圧され
るように電磁弁53を駆動制御して湾曲部14の湾曲状
態を解除させる解除指示信号が優先回路51に対して発
信される(図1の(b)参照)。これによって湾曲部1
4は直線状態に回復し、生体や配管を傷付けることなく
安全かつ迅速に挿入部2を抜去することができる。
【0031】また、上記制御においては、各人工筋30
a〜30dを均等に加圧することなく、駆動状態の人工
筋30の加圧動作を停止してこの人工筋30内の加圧流
体が全部もしくは一部抜きとられるように電磁弁53を
駆動制御しても良い。要は、生体や配管を傷付けること
なく安全かつ迅速に挿入部2を抜去できる状態に湾曲部
14がセットされれば良い。
【0032】また、図示しない各種のコネクタが正常に
着脱されているかどうか検出するコネクタ着脱検出部5
6は、コネクタが装着されていない場合に、駆動状態の
人工筋30内の加圧流体が一部または全部抜き取られる
ように電磁弁53を駆動制御して湾曲部14の湾曲状態
を解除させる解除指示信号を優先回路51に対して発信
する。これは、言い換えると、制御装置60の装置状態
を検出する装置状態検出手段を設け、この装置状態検出
手段の検出結果に応じて、湾曲部14の湾曲状態を解除
させる解除指示信号を発生することに相当する。これ
は、先の2つの要素54,55についても言えることで
ある。
【0033】また、ライトガイドファイバやイメージガ
イドファイバ、CCD等が故障して観察像が得られなく
なった場合には、故障検出部57は、故障を検知し、駆
動状態の人工筋30への加圧を停止するとともにこの人
工筋30内の加圧流体が所定量抜かれるように電磁弁5
3を駆動制御して湾曲部14の湾曲状態を解除する(フ
リーにする)解除指示信号を優先回路51に対して発信
する。これによって、湾曲部14はフリー状態となり、
盲目的な挿入部2の抜去を簡単かつ安全に行なうことが
できる。これも、言い換えると、制御装置60の装置状
態を検出する装置状態検出手段を設け、この装置状態検
出手段の検出結果に応じて、湾曲部14の湾曲状態を解
除させる解除指示信号を発生することに相当する。
【0034】なお、例えばUP方向の湾曲機構が故障し
た場合、UP−DOWN方向に対応する1対の人工筋3
0a,30bのみが同じ圧力になるように優先回路51
から制御信号を出力し、RIGHTーLEFT方向は自
在に操作できるようにしておいても良い。
【0035】以上説明したように、本実施例の湾曲制御
装置60は、操作部8aからの入力とは独立して優先的
各人工筋30a〜30dの加圧量を減らしたり、各人
工筋30a〜30d内の圧力を同じくしたりする優先回
路51を有しているため、故障や誤動作によって内視鏡
挿入部2の湾曲部14が湾曲状態にロックされても、前
記優先回路51によって容易に湾曲部14のロック状態
を解除でき、安全かつ容易に内視鏡挿入部2を挿入部位
から抜去することができる。また、本実施例の場合、挿
入部2を形成する可撓管102に対して人工筋30a〜
30dを固定するために、可撓管102内に嵌合される
係止部材107とリング98とを使用し、可撓管102
から突出してスペースを余計に取るねじなどは一切使用
していないため、挿入部2の細径化を図ることが可能で
ある。また、挿入部2内への人工筋30a〜30dの配
設は、人工筋30a〜30dと加圧チューブ7a〜7d
とを接続した後に可撓管102内に組み入れるという簡
単な作業によって果たされ、基本的には人工筋30a〜
30dと加圧チューブ7a〜7dとを接続するパイプ8
1を係止部本体107aの切欠き部106に嵌合させる
だけで良いため、挿入部2の組み立てが容易となる。な
お、本実施形態においては、図5の(b)に示すように
パイプ81に段差部81aを設ければ、押え部107b
が不要となる。
【0036】また、湾曲操作ワイヤ27…を牽引操作す
るアクチュエータとしてSMA(形状記憶合金)ワイヤ
を用いても良い。すなわち、図7に示すように、一端が
湾曲操作ワイヤ27に結合され他端がカシメ部材120
に固定されたSMAワイヤ121を絶縁性のシリコンチ
ューブ122内に挿通し、シリコンチューブ122を段
差付きのパイプ123に糸巻き固定する。カシメ部材1
20にはSMAワイヤ121に通電するためのリード線
124が固定されている。リード線124はSMAワイ
ヤ121冷却用のエアチューブ125内に挿通されてい
る。パイプ123は第1の実施例と同様に可撓管102
(図4参照)に固定される。
【0037】上記構成では、SMAワイヤ121を通電
加熱すると、SMAワイヤ121が軸方向に収縮する。
この時、カシメ部材120はパイプ123の基端面に係
止され、パイプ123は第1実施例と同様に可撓管10
2に対して固定されているため、SMAワイヤ121は
手元側に向かって収縮してアングルワイヤを手元側に牽
引する。
【0038】図8および図9は本発明の第2の実施例を
示すものである。なお、内視鏡1の構成については第1
の実施例と同一であるため説明を省略する。
【0039】本実施例の湾曲制御装置70には、コンプ
レッサ12と人工筋30との間に2つの電磁弁63、6
4が設けられている。操作部8aからの入力によって、
ジョイスティック55の操作量に応じたPWM信号が制
御部50から駆動回路61を介して第1電磁弁63に送
られる。第1電磁弁63の弁開度のみによって人工筋3
0への加圧流体の供給量が制御されるように、通常、第
2電磁弁64は最大に開いた状態でセットされている。
【0040】図9に示すように、コンプレッサ12から
供給される加圧流体の最大圧力はグラフAに示すように
Pmaxである。そして、第1電磁弁63の下流側で
は、制御部50からの入力に比例した第1電磁弁63の
弁開度によって、加圧流体の圧力がグラフBに示すよう
に変化する。
【0041】また、ライトガイドファイバやイメージガ
イドファイバが折れたり、CCD等が故障して観察像が
得られなくなった場合や、駆動回路61が故障した場合
には、故障検出部65は、故障を検知し、優先回路51
に解除指示信号を送る。優先回路51は、前記解除指示
信号に基づいて制御信号を第2電磁弁64に送り、第1
電磁弁63の作動状態に関係なく第2電磁弁64を閉じ
る。そして、図6の電磁弁53と同様の動作によって加
圧流体を外部に排出して人工筋30に供給された加圧流
体の圧力をグラフCのように低下させ、湾曲部14を直
線状かつ柔軟な状態にする。この時、各人工筋30の圧
力が均一であればよく、人工筋30内の加圧流体を全部
抜かなくても良い。
【0042】なお、本実施例で用いた電磁弁はノーマリ
ークローズ(通常の状態では弁が閉じられている)のタ
イプを用いておくと、万一の場合も加圧されることもな
く安全である。また、本実施例では、2重に電磁弁を設
けているので安全性が更に向上する。
【0043】また、上記各実施例では、人工筋を用いた
内視鏡を示したが、本発明は、人工筋だけでなく、SM
Aや静電アクチュエータ、圧電素子等のアクチュエータ
を内視鏡先端に設けたものにも適用できる。また、内視
鏡だけでなく、カテーテルやG/W等の湾曲機構に応用
してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可撓管湾
曲装置は、操作手段を通じてアクチュエータの駆動を制
御する第1の制御手段とは独立して動作するとともに第
1の制御手段に優先してアクチュエータの駆動を制御す
る第2の制御手段を有しており、故障や誤動作によって
可撓管の湾曲部が湾曲状態にロックされても、前記第2
の制御手段の制御によって複数のアクチュエータの駆動
量を等しくすることにより容易に前記湾曲部のロック状
態を解除して湾曲部を直線状態にすることができるた
め、可撓管を安全かつ容易に挿入部位から抜去すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例を示す可撓管湾
曲制御装置の制御回路のブロック図、(b)は制御回路
から電磁弁に送られる制御信号の波形図である。
【図2】図1の可撓管湾曲制御装置が設けられる内視鏡
挿入部内の概略構成図である。
【図3】図1の可撓管湾曲制御装置とこの可撓管湾曲制
御装置が設けられる内視鏡の全体構成図である。
【図4】(a)人工筋(アクチュエータ)と加圧チュー
ブとの接続部付近の拡大断面図、(b)は(a)のAー
A線に沿う断面図である。
【図5】(a)は人工筋(アクチュエータ)と加圧チュ
ーブとを可撓管に固定する固定方法の一例を示す説明
図、(b)はその固定方法の他の例を示す説明図であ
る。
【図6】図1の可撓管湾曲制御装置に使用される電磁弁
の概念図である。
【図7】アクチュエータとしてSMAワイヤを使用した
場合における湾曲機構の要部断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す可撓管湾曲制御装
置の制御回路のブロック図である。
【図9】人工筋に送られる加圧流体の圧力を段階的に示
したグラフ図である。
【符号の説明】
8a…操作部(操作手段)、30a,30b,30c,
30d…人工筋(アクチュエータ)、50…制御部(第
1の制御手段)、51…優先回路(第2の制御手段)5
2…駆動回路(湾曲駆動手段)、53…電磁弁(湾曲駆
動手段)、54…電源スイッチ(解除指示手段)、55
…ニュートラルスイッチ(解除指示手段)、56…コネ
クタ着脱検出部(解除指示手段)、57…故障検出部
(解除指示手段)、60,70…湾曲制御装置、121
…SMAワイヤ(アクチュエータ)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−139326(JP,A) 特開 昭55−158025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 1/00 - 1/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓管の先端部に配設された複数のアク
    チュエータと、 前記アクチュエータを駆動する湾曲駆動手段と、 前記可撓管の湾曲量を設定入力する操作手段と、 前記操作手段の出力に基づいて所定の湾曲駆動手段の駆
    動を制御する第1の制御手段と、前記アクチュエータの駆動に伴う前記可撓管の湾曲状態
    が直線状態になるように指示する直線指示手段と、 前記直線指示手段の指示に応じて 、前記アクチュエータ
    のうちの少なくとも一対のアクチュエータの駆動量が等
    しくなるように、前記第1の制御手段の制御に優先し
    て、前記湾曲駆動手段を制御する第2の制御手段と、 を具備したことを特徴とする可撓管湾曲制御装置。
  2. 【請求項2】 可撓管の先端部に配設された複数のアク
    チュエータと、 前記アクチュエータを駆動する湾曲駆動手段と、 前記可撓管の湾曲量を設定入力する操作手段と、 前記操作手段の出力に基づいて所定の湾曲駆動手段の駆
    動を制御する第1の制御手段と、 前記アクチュエータの駆動に伴う前記可撓管の湾曲状態
    が直線状態になるように操作して指示する直線指示手段
    と、 前記直線指示手段の指示に応じて、前記アクチュエータ
    のうちの少なくとも一対のアクチュエータの駆動量が等
    しくなるように、前記第1の制御手段の制御に優先し
    て、前記湾曲駆動手段を制御する第2の制御手段と、 を具備したことを特徴とする可撓管湾曲制御装置。
  3. 【請求項3】 可撓管の先端部に配設された複数のアク
    チュエータと、 前記アクチュエータを駆動する湾曲駆動手段と、 前記可撓管の湾曲量を設定入力する操作手段と、この操
    作手段からの入力に基づいて前記湾曲駆動手段を制御す
    る制御部とを備えた制御装置と、 を具備し、 前記制御部は、前記操作手段の出力に基づいて所定の湾
    曲駆動手段の駆動を制 御する第1の制御手段と、前記制
    御装置の装置状態を検出する装置状態検出手段と、前記
    装置状態検出手段の検出結果に応じて、前記可撓管の湾
    曲状態を解除させる解除指示信号を発生する解除指示手
    段と、前記解除指示手段が発生する前記解除指示信号に
    基づいて、前記第1の制御手段の制御に優先して、前記
    湾曲駆動手段を制御する第2の制御手段とを備えている
    ことを特徴とする可撓管湾曲制御装置。
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