JP3289451B2 - 水解性剥離紙 - Google Patents

水解性剥離紙

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着テープ、粘着ラベ
ル等の粘着面保護等に使用される剥離紙において、水中
で速やかに分散し、そのまま水に流すことのできる水解
性剥離紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より粘着テープ、粘着ラベル等の粘
着面保護等には剥離紙が使用されている。これら剥離紙
の多くは粘着面からの剥離を容易にするためにシリコー
ン系樹脂やフッ素系樹脂等を主体とする剥離剤層を紙基
材表面に設けている。これらの剥離剤はいずれも基材に
浸透しやすいため、剥離性を得るのに充分な剥離剤層を
形成するためには、塗工時に剥離剤の紙基材への浸透を
抑制する必要がある。
【0003】そのために剥離紙の基材紙としてグラシン
紙のように叩解度の高い原料を用いた表面密度の高い紙
を用いるか、紙基材の表面にポリビニルアルコール(以
下PVA)やアクリルエマルジョン等を塗布するか、ま
たはポリオレフィン等の合成樹脂をラミネートすること
により溶剤バリア層を設けた後に剥離剤を塗布するなど
の手段をとっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようにし
て製造される剥離紙は、剥離剤の持つ耐水性や、溶剤バ
リア層の存在により水中においては容易に分散せず、そ
のため、生理用品吸収部材に使用する場合には水に流す
ことができないという問題が生じていた。また、これら
の問題点に対して特公昭57−23720号にはある特
定範囲のPVAフィルムを使用した水溶性剥離フィルム
が開示されている。しかし、このような水溶性剥離フィ
ルムには、フィルム特有の腰のなさのため剥離作業が困
難であり、また水溶性樹脂を使用するためにコスト的に
も非常に高くなるという欠点が存在した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、下記の構成をとる。即ち、本発明は基材の
表面に剥離剤層を設けてなる剥離紙において、該基材が
水解紙であり、なおかつ該紙基材表面に易水溶性の溶剤
バリア層を設け、その上に剥離剤層を設けることを特徴
とする水解性剥離紙である。詳しくは、基材の表面に剥
離剤層を設けてなる剥離紙において、該基材がパルプ繊
維と繊維状もしくは粒子状の水溶性樹脂から構成され、
該水溶性樹脂を10%〜90%含有する水解紙であるこ
とを特徴とする水解性剥離紙である。
【0006】本発明における基材として用いる水解紙
は、パルプ繊維を低密度で抄紙したものや、繊維状もし
くは粒子状のカルボキシメチルセルロース(以下CM
C)やPVAといった水溶性樹脂を10%〜90%、好
ましくは20%〜40%配合して抄紙したものが適宜用
いられる。
【0007】また、本発明において使用する易水溶性の
溶剤バリア層に使用する樹脂としては、剥離剤及びその
溶液が基材へ浸透することを防止し、かつ水中で容易に
分散するものであればどのようなものでも良く、PV
A、特には鹸化度90mol%以下の部分鹸化型PVA
を含む樹脂の使用が好適である。他にはアクリル樹脂を
含有するエマルジョン等も使用することができる。
【0008】溶剤バリア層を基材の表面に設ける方法と
しては、サイズプレスコーター、ゲートロールコータ
ー、バーコーター、グラビアコーター等通常のコーティ
ング方法を用いて塗布する方法や、溶融押出しラミネー
トする方法、若しくは樹脂をフィルム状に形成してウェ
ットラミネート、ドライラミネート等の方法が適宜用い
られる。
【0009】また、溶剤バリア層を設けるに先立って、
必要に応じ、基材に弱いサイズ性を付与しておいてもよ
い。
【0010】
【作用】本発明は、前述したように、基材として水解紙
を使用し、なおかつ該紙基材表面に易水溶性の溶剤バリ
ア層を設け、その上に剥離剤層を設けることにより、基
材が水解性をもち、しかもその表面に設けられた溶剤バ
リア層も易水溶性樹脂を使用している剥離紙である。詳
しくは、該基材がパルプ繊維と繊維状もしくは粒子状の
水溶性樹脂から構成され、該水溶性樹脂を10%〜90
%、好ましくは20〜40%含有する水解紙である剥離
紙である。
【0011】このような構成により剥離紙は水中で容易
に分散するため、生理用品吸収部材に使用した場合にも
何等問題なく水に流すことができ、しかも水溶性フィル
ムを基材として使用した水溶性剥離フィルムと異なり、
基材に腰があるため剥離作業が容易であり、またコスト
的にも有利である。
【0012】
【実施例】以下、本発明の水解性剥離紙の具体的な構成
を説明する。 (実施例1〜4、比較例5,6)パルプ繊維(LBK
P、Fr480ml/3g)とCMC繊維(ニチリン科
学工業製)を配合して抄紙したのちにカレンダー処理
し、部分鹸化型PVA(ゴーセノールGH−20:日本
化学工業製)6%溶液を乾燥重量で0.9g/m2塗工
して乾燥させた後、シリコーン樹脂(KS776A:信
越化学工業製)を0.9g/m2塗工し130℃で1分
間キュアリングを行なって剥離紙を得た。ただし、パル
プ繊維に対するCMC繊維の重量比率は、10%、30
%、60%、90%、0%、100%とし、各々実施例
1〜4、比較例5、6とした。
【0013】実施例1〜4及び比較例5,6につき、以
下の方法で水解性の評価を行った。 (試験方法)300mlビーカーに300mlの水を入
れ、平型マグネチックスターラーで渦の先がスターラー
に接する程度の強さで撹拌する中へ5×5cmの試料を
投入し、水解するまでに要する時間を測定した。水解性
の評価は、目視により水解したと判断されるまでの時間
を測定し、30秒以内に水解したものを○、そうでない
ものを×とした。
【0014】以上の結果を表1に示す。 <表1> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (実施例) (比較例) No. 1 2 3 4 5 6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− CMC配合率(%) 10 30 60 90 0 100 水解時間(秒) 19 11 22 28 5分以上 45 水解性 ○ ○ ○ ○ × × −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0015】以上の実施例1〜4、比較例5,6より明
らかなように、水解紙を基材とし、なおかつ該基材表面
に易水溶性の溶剤バリア層を設け、その上に剥離剤層を
設けることによって、良好な水解性を有する剥離紙を得
ることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によって、粘着テープ、粘着ラベ
ル等の粘着面保護等に使用される剥離紙として充分な剥
離性能を有するにかかわらず、剥離剤の撥水性や溶剤バ
リア層の存在により基材の水解性が損なわれる事なく水
中で容易に分散するため、生理用品吸収部材に使用した
場合にも何等問題なく水に流すことができ、しかも水溶
性フィルムを基材として使用した水溶性剥離フィルムと
異なり、基材に腰があるため剥離作業が容易であり、ま
たコスト的にも有利である水解性剥離紙を得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−320595(JP,A) 特開 平3−180585(JP,A) 特開 平3−167400(JP,A) 特開 平6−145612(JP,A) 特開 平6−280199(JP,A) 実開 平5−10438(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42 C09J 7/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面に剥離剤層を設けてなる剥離紙
    において、該基材が水解紙であり、なおかつ該基材表面
    に易水溶性の溶剤バリア層を設け、その上に剥離剤層を
    設けることを特徴とする水解性剥離紙。
  2. 【請求項2】基材の表面に剥離剤層を設けてなる剥離紙
    において、該基材がパルプ繊維と繊維状もしくは粒子状
    の水溶性樹脂から構成され、該水溶性樹脂を10%〜9
    0%含有する水解紙であることを特徴とする請求項1記
    載の水解性剥離紙。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の水解性剥離紙であ
    って、300mlビーカーに300mlの水を入れ、平
    型マグネチックスターラーで渦の先がスターラーに接す
    る程度の強さで攪拌する中へ5×5cmの試料を投入
    し、水解するまでに要する時間が30秒以内であること
    を特徴とする水解性剥離紙。
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