JP3287757B2 - 無限軌道帯における保護具構造 - Google Patents

無限軌道帯における保護具構造

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JP3287757B2
JP3287757B2 JP05669896A JP5669896A JP3287757B2 JP 3287757 B2 JP3287757 B2 JP 3287757B2 JP 05669896 A JP05669896 A JP 05669896A JP 5669896 A JP5669896 A JP 5669896A JP 3287757 B2 JP3287757 B2 JP 3287757B2
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武 平井
富士夫 坂根
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新キャタピラー三菱株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル、ブ
ルドーザ等の作業用走行機械に装備される無限軌道帯に
おける保護具構造の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種作業用走行機械のなかに
は、覆板(トラックシュー)をエンドレスに連結した無
限軌道帯(クローラ型走行体)を装備した走行装置を設
けたものがある。そして、このような走行機械の搬送移
動をする場合や、舗装路面で作業させたりする場合、移
動用のトラック荷台や船底、舗装路面等の走行路面が無
限軌道帯によって傷付けられないように配慮することが
要求され、そこで、無限軌道帯の覆板表面に保護具を取
付けることが提唱される。
【0003】この様な保護具としては、従来、図1
(A)、(B)に示すように、長板状の鉄板を側面視で
略U字形に折曲してベースプレート21を形成し、該ベ
ースプレート21に覆板取付け用のボルト22を溶着す
ると共に、凹溝部にゴム材等の弾性材からなるパッド材
23を焼き付ける等してベースプレート21に固着して
形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのもので
は、ベースプレート21を、取付けられる覆板形状に対
応させてU字形に加工することが要求され、加工誤差が
あった場合に覆板との間に隙間を生じ、その隙間から砂
等の異物が噛み込まれて保護具等を損傷する問題があ
る。しかもこの加工誤差は、平板状の鉄板を曲げ加工す
る際に生じる加工歪も加わって必然的なものとなり、こ
れを補修するための工程がさらに必要で、作業性に劣る
という問題がある。さらに、ベースプレート21とパッ
ド材23との固着端面Eが露出しているため、作業負荷
が働いた場合に、この負荷が固着端面に働いてここから
剥離してしまうという問題もあり、これらに本発明が解
決しようとする課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実
情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作
されたものであって、無限軌道帯の覆板表面に走行路面
を保護するため着脱自在に取付けられる保護具であっ
て、該保護具を、長板状の芯金と、保護具の覆板取付け
位置で芯金の裏面に固着されるボス部と、該ボス部裏面
から突出するようにして芯金に回り止めされる螺子軸
と、芯金表面から芯金端縁を越えて芯金裏面をボス部裏
面は少なくとも露出させる状態で一体に被覆するパッド
材とで構成するにあたり、芯金からの螺子軸の突出位置
は、ブレード作業機の前進作業方向に対して接地状態の
パッド材における前進作業方向側の前後幅が後進作業方
向側の前後幅よりも大きくなるよう偏寄していることを
特徴とする無限軌道帯における保護具構造である。そし
てこのようにすることにより、芯金の曲げ加工が必要な
くなり、精度の良いものを簡単に提供できながら、作業
負荷として大きい泥押し作業を伴う場合において、この
大きい作業負荷を受ける側の方が螺子軸に近い状態で覆
板に緊着されるから、パッド材の芯金からの剥離防止に
一段と寄与できる。このものにおいて、保護具には、覆
板に形成の泥抜き孔と連通するようにして泥抜き孔が形
成されていることを特徴とすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図面において、1は油圧ショベル
であって、該油圧ショベル1は、下部走行体2、下部走
行体2の上方に旋回自在に支持される上部旋回体3、下
部走行体2の前部に取付けられるブレード作業機4、上
部旋回体3の前部に取付けられるバケット作業機4a等
の各部から構成されており、そしてこれら各部はエンジ
ンの動力で油圧作動せしめられるが、これらの基本的構
成は何れも従来通りである。
【0007】5は前記下部走行体2を構成する無限軌道
帯(クローラ)であって、起動輪5aと遊動輪5bとの
あいだに懸回されるものであるが、該無限軌道帯5は、
複数の覆板(トラックシュー)6、該覆板6の裏面に一
体的に溶着されるリンク7、隣設するリンク7同志を揺
動自在に軸支するピン8等の各種部材装置を用いてエン
ドレス状態に形成されている。また、覆板6の表面に
は、左右方向(幅方向)に長くなる状態で突出する一対
の突条6aが前後に二本並列状に形成されていて側面視
で凹溝状になっており、これら突条6aのあいだに後述
するように保護具9が着脱自在に取付けられるが、覆板
6には、保護具9を取付けるための取付け孔6bが左右
に一対と、起動輪5aのスプロケットが噛合する部位に
対応して泥抜き孔6cが穿設されている。
【0008】一方、前記保護具9は、左右方向に長い平
板状の芯金10と、前記取付け孔6b位置に対応して芯
金10の裏面に固着(溶着)されるボス部11と、芯金
10とボス部11とを貫通する状態でボス部11の裏面
から突出するようにして芯金10に回り止め状に固着
(溶着)される螺子軸12とからなる金属材を用い、こ
のものに、芯金10の表面全体から芯金10の端縁を越
え、ボス部11裏面を残す状態で芯金10の裏面に至る
までをゴム弾性を有したパッド材13を一体に被覆する
ことで形成されるが、ここで芯金10は、その周縁につ
いて、コーナー部および表裏面間が何れもR状に面取り
されていて、パッド材13が埋没状に被覆する部分には
角状部分がないように配慮されている。また、芯金10
には前記泥抜き孔6cに対応して孔10aが穿設され、
パッド材13は、この孔10aを塞ぐことがないよう肉
盛りされており、これによって保護具9は泥抜き孔6c
に対応する泥抜き孔9aが形成されるようになってい
る。尚、14は螺子軸12を覆板6に緊締取付けするた
めのナット、14aはバネ座金である。さらにこの保護
具9には次の配慮もなされている。つまり、前記芯金1
0から突出する螺子軸12は、その突出位置が前後方向
中央位置よりも後方に偏寄していて、パッド材13にお
けるブレード作業機4の前進作業方向側の前後幅Mが後
進作業方向側の前後幅Nよりも大きくなる(M>N)と
なるように設定されている。
【0009】叙述の如く構成された本発明の実施の形態
において、保護具9は、覆板6の凹溝状部に当てがい、
取付け孔6bから突出する螺子軸12をナット14で緊
締することにより着脱自在に取付けられることになる
が、その場合に、保護具9は、平板状の芯金10の表裏
面にパッド材13を被覆して形成したものであるから、
U字形に曲げ加工されたベースプレートを用いたものの
ように、面倒な曲げ加工や該加工に伴い発生した歪の補
修工程が必要になってしまうことがなく、加工が簡単な
平板状の芯金10を用いて成形することができ、精度の
よいものを簡単に提供できる。このものにおいて、パッ
ド材13の覆板6に面接触する部位を若干大きめ(肉
厚)の寸法に設定しておけば、保護具9をナット14を
用いて緊締する場合に、パッド材13が覆板6に弾圧状
に密嵌合して面接触することになって、ここに隙間が生
じて異物が浸入してしまうことを防止するのに役立つ。
【0010】しかも保護具9は、パッド材13が芯金1
0の裏面までを被覆し、覆板6に取付けた場合に、芯金
10やボス部11とパッド材との固着端面が外部に露出
することがなく、このため、固着端面からのパッド材1
3の剥離を防止できる。
【0011】そのうえこのものでは、芯金10から突出
する螺子軸12は、その突出位置が前後方向中央位置よ
りも後方に偏寄していて、パッド材13におけるブレー
ド作業機4の前進作業方向側の前後幅Mが後進作業方向
側の前後幅Nよりも大きくなる(M>N)ように設定さ
れている。ところで、ブレード作業する場合において、
パッド材13には機体重量と走行力から作業負荷が働く
が、その作業負荷は、機体走行方向がブレード作業機4
で泥押し作業をする矢印F方向(下部走行体2の前進方
向)である場合には矢印Xに働き、反矢印F方向では矢
印Y方向に働くことになるが、その作業負荷は、泥押し
作業を伴う場合の方が大きく、この大きい作業負荷を受
ける側の方が螺子軸12に近い状態で覆板6に緊着され
るから、パッド材13の芯金10からの剥離防止に一段
と寄与することになる。
【0012】また、この保護具9には、覆板6に形成さ
れる泥抜き孔6cに対応して泥抜き孔9aが形成されて
いるため、覆板6の泥押し孔6c部位において起動輪5
aのスプロケットにより泥押しされた泥土の出口が保護
具9によって塞がれてしまうことがなく、円滑な外部へ
の泥土排出ができる。さらに、保護具9は、螺子軸12
に頭部がない構成にし、しかも覆板6の略全域に亘る状
態で芯金10が覆う構成になっているから、芯金10の
表面側は頭部のあるボルトを用いた場合のようにパッド
材13の肉厚が厚薄変化してしまうことがなく略一定の
肉厚のものにでき、保護具9の表面全体に亘って略同一
のクッション性を確保できることになる。これによっ
て、パッド材13は、裏面側から部分的に押されるよう
なことがなく、その表面全体に均等的に分散する状態で
負荷を受けることができて、ボルト7a頭対応部位のパ
ッド材13の摩耗が促進されてしまうような不具合を回
避でき、汎用性が高く、またパッド材13の肉薄化にも
寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保護具を取付けた油圧ショベルの概略側面図で
ある。
【図2】無限軌道帯の一部分解斜視図である。
【図3】保護具を取付けた無限軌道帯の一部側面図であ
る。
【図4】保護具の取付け状態を示す要部の側面図であ
る。
【図5】保護具の取付け状態を示す要部の分解側面図で
ある。
【図6】保護具を取付けた覆板の平面図である。
【図7】保護具の平面図である。
【図8】図8(A)、(B)はそれぞれ図7のA−A断
面図、B−B断面図である。
【図9】覆板の平面図である。
【図10】(A)、(B)はそれぞれ従来例の保護具の
要部断面図である。
【符号の説明】
5 無限軌道帯(クローラ) 6 覆板 9 保護具 9a 泥抜き穴 10 芯金 10a 孔 11 ボス部 12 螺子軸 13 パッド材 13a 凹穴 14 ナット
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−332979(JP,A) 実開 昭57−5383(JP,U) 実開 平4−54787(JP,U) 実開 昭54−111035(JP,U) 特表 昭59−500559(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 55/26 B62D 55/088 B62D 55/275

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無限軌道帯の覆板表面に走行路面を保護
    するため着脱自在に取付けられる保護具であって、該保
    護具を、長板状の芯金と、保護具の覆板取付け位置で芯
    金の裏面に固着されるボス部と、該ボス部裏面から突出
    するようにして芯金に回り止めされる螺子軸と、芯金表
    面から芯金端縁を越えて芯金裏面をボス部裏面は少なく
    とも露出させる状態で一体に被覆するパッド材とで構成
    するにあたり、芯金からの螺子軸の突出位置は、ブレー
    ド作業機の前進作業方向に対して接地状態のパッド材に
    おける前進作業方向側の前後幅が後進作業方向側の前後
    幅よりも大きくなるよう偏寄していることを特徴とする
    無限軌道帯における保護具構造。
  2. 【請求項2】 請求項において、保護具には、覆板に
    形成の泥抜き孔と連通するようにして泥抜き孔が形成さ
    れている無限軌道帯における保護具構造。
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