JP3287541B2 - 金型用快削鋳鋼及び金型 - Google Patents

金型用快削鋳鋼及び金型

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家庭電化
製品、農機具等に使用される鋼板の打抜、曲げ、絞り、
トリミング用の金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金型メーカーや自動車メーカー等では金
型の製造コスト低減のため、プレスで製造される製品の
製作工程の短縮や金型製作数の削減、加工方法や工具の
開発、改善等、種々のコスト低減施策を実施してきた。
また、鋼板の打抜、曲げ、絞り、トリミング等に使用さ
れる金型で、三次元的に変化している被打抜品の形状を
成形する金型では、鋼材に比べて加工代が少ない鋳鋼品
をCADデータや倣い方式等を利用して機械加工を実施
しているが、NC化、CAD/CAM化等で無人による
加工等も採用されだした。一方、鋳造技術においては、
最近の技術進歩により特に少量生産では木型や金型を必
要としない消失模型鋳造法を用いて鋳鋼品を製造するこ
とも可能となってきたが、このような状況のもと、最近
では更に金型加工費の低減、工期の短縮がより追求さ
れ、鋳鋼品の被削性改善ニーズが強くなってきた。
【0003】従来、このような金型材にはAISIO−
7、O−2のごとく低Cr−Mo含有の高炭素鋳鋼
(C:1.2〜1.8%)や1.0%C−3.5%Cr系冷間工具
鋼、低C−低Cr−Mo系工具鋼(C:0.6〜0.95%、
Cr:1.0〜2.7%、Mo:0.10〜0.8%)が使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低Cr
−Mo含有の高炭素鋳鋼では溶接補修が困難であり、1.
0%C−3.5%Cr系冷間工具鋼では耐摩耗性には優れて
いるが高価である。一方特公昭56−31869号公報
記載のごとき低C−低Cr−Mo系の工具鋼も開発され
ているが、焼入れは容易であるが被削性に劣ることが問
題である。更に、三次元的に変化した形状を、圧延等で
得られた画一的な形状の工具鋼の材料を用いて機械加工
で形状出しすることは加工代が多く、加工に長時間を要
して原価高となる問題がある。
【0005】また、消失模型鋳造法を用いて鋳鋼品を製
造すると、消失模型が溶湯で消失置換された時に分解未
燃焼カーボンが金属組織中に浸炭し炭化物を生じるた
め、被削性を著しく悪化させる問題がある。
【0006】このように、従来材には各々一長一短があ
る。更に、工具鋼にSを添加させて被削性を改善させる
方法も考えられるが、この場合は製作工程の途中で圧延
作業が実施されるため、組織中に生じた硫化物系介在物
が圧延方向に延伸され細長く延ばされた形状の介在物と
なる。そのため、圧延方向の材質の機械的性質に比べて
圧延方向に直角方向の機械的性質が劣る問題があり、金
型として使用する場合はこの異方性は好ましくない。鋭
意研究の結果、本発明はこの機械的性質の異方性をなく
し、耐摩耗性に優れ、更に被削性が良好でしかも加工量
の少ない鋳鋼で金型を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ため、本発明者達は誠意研究の結果、Sを添加すること
により硫化物系介在物を基地組織中に粒状に分散させる
とともに、上述した浸炭現象が起こり易い製造法、つま
り、消失模型鋳造法によって鋳鋼を製造する場合にはS
を僅かに添加することにより、溶湯金属とカーボンとの
濡れ性が抑制されることを見出し、被削性の改善に要求
される基本条件を見直すことにより、成分にSを添加し
て被削性を改善しても、硫化物系介在物を延伸した形状
にせず方向性の無い均質な機械的性質を得ることがで
き、更に、消失模型鋳造法を用いても被削性を害しない
本発明のプレス金型用快削鋼及び金型に想達した。
【0008】本発明による金型用快削鋳鋼は、重量比で
C:0.5〜1.0%、Si:0.25〜1.5%、Mn:1.0〜1.85
%、Cr:0.6〜5.0%、MoとWの1種または2種を、
(Mo+W/2)で0.06〜0.80%含み、更にS:0.10〜0.
40%、残部Fe及び不純物よりなる成分である。Wの原
子量はMoの約2倍であるため、Mo1%の含有量はW
2%の含有量と等しい効果を有し、(Mo+W/2)量で
その効果を表すことができる。そのため、MoはWに置
き換え使用してもよい。つまり、Moの全含有量を2倍
のW含有量で置き換え使用してもよく、Moの一部をそ
れに相当するW量に置き換え使用してもよい。
【0009】そして、前記成分に基づき消失模型を用い
鋳造をおこない、硫化物系介在物が基地組織中に粒状
に分散した金型用快削鋳鋼とする。粒状の形は機械的性
質に影響を及ぼす片状のごとき細長い形状でなければ塊
状でもよく、粒自体の形状を詳細に限定するものではな
い。
【0010】また金型は通常多種少量生産されるもので
あるから、その都度模型を木型、樹脂型、金型などで製
作すると模型費が割高となり原価高となる。よって消失
模型の使用が好ましい。
【0011】本発明の金型は、Sを添加することにより
硫化物系介在物を基地組織中に粒状に分散させた鋼を鋳
物で製作するとともに、消失模型鋳造法において溶湯金
属とカーボンとの濡れ性が抑制され、浸炭による炭化物
の生成を防止することにある。即ち、S添加により、浸
炭が抑制され被削性が改善される。また、鋳鋼で製作す
るので要求される最終製品形状に近い形状で素材を鋳造
可能であり、圧延鋼材に比べて加工代が僅かで済む。更
に、鋼材に比べて圧延作業が不要であり、基地組織中に
分散した硫化物系介在物は粒状のままで凝固を完了す
る。粒状であるが故に基地組織には方向性がない。つま
り圧延された鋼材の延伸された硫化物系介在物と異な
り、機械的性質には方向性がなくいずれの方向も安定し
て均一である。このため、焼入焼き戻し等の熱処理時の
変形も少なく研削仕上げ時の仕上げ代も少なくできる。
また硫化物系介在物が粒状であるため、鋼材のS添加量
に比べて、鋳鋼では機械的性質を低下させない限度いっ
ぱいまでSを添加させて被削性を改善することができ
る。
【0012】次ぎに本発明の成分限定理由について述べ
る。 1)C Cは材料に強度と耐摩耗性を持たせるための主要元素で
あり、0.5%未満では焼入れ硬さが不足し、十分な強度
を確保できない。またCはCr、Mo、Vと炭化物を形
成し耐摩耗性に寄与する。1.0%を越えると焼入温度の
高い領域で焼入後に体積収縮を起こしたり、巨大炭化物
の生成原因となり、靭性を劣化させるため0.5〜1.0%と
した。 2)Si Siは通常脱酸剤と鋳造性改善の目的で添加するが、効
果を得るためには少なくとも0.25%以上が必要である。
また、1.5%を越えると被削性が阻害される。このため
Siの添加量は0.25〜1.5%とした。 3)Mn Mnは焼入れ性向上のため添加するが、1.0%未満では
焼入れ硬さを安定して得るためには不十分である。一
方、多すぎると残留オーステナイトが多量に発生して、
焼入れ硬さが飽和状態となったり、逆に焼入れ硬さが低
下する原因となる。また、MnはSとの化合物(硫化物
系介在物)を形成させ、被削性を改善させるためにも必
要であり、1.0〜1.85%とした。 4)Cr CrはCと結合して炭化物を生成し耐摩耗性を向上する
と共に、焼入れ性を増す効果がある。しかし、少なすぎ
るとMnと同様にその効果が不足する。また、多すぎる
とマルテンサイト変態点が低下し、高い焼入れ温度で残
留オーステナイトの量が増加し、焼入れ硬さが低下する
ので、0.6〜5.0%とした。経済性を考慮すると上限を約
3.0%にとどめるのが望ましい。 5)Mo,W MoおよびWは焼入性を向上し、炭化物に固溶して炭化
物の硬さを高め耐摩耗性を向上させる。Wの原子量はM
oの約2倍であるために、Mo1%の含有量はW2%の
含有量と等しい効果を有し、本発明ではMoとWの1種
または2種を含有させることができ、(Mo+W/2)量
で硬さに対する効果を表すことが可能である。MoとW
のどちらを優先して使用するかは経済性を考慮して判断
してもよい。なお、MoやWはMnやSi等に比べて高
価であるので(Mo+W/2)で0.06〜0.80%とした。 6)S SはMnS等の硫化物系介在物となって材料の被削性を
向上させるが、多すぎると機械的性質が低下するので、
0.10〜0.40%とした。
【0013】一般に、消失模型鋳造法を用いて鋳鋼品を
製造すると、消失模型が溶湯で消失置換された時に分解
未燃焼カーボンが金属組織中に浸炭し炭化物を生じるた
め、被削性を悪化させる問題がある。本発明者達は誠意
研究の結果、この様な浸炭現象が起こり易い製造法、つ
まり、消失模型鋳造法によって鋳鋼を製造する場合には
Sを僅かに添加することにより、溶湯金属とカーボンと
の濡れ性が抑制されることを見出した。S添加で浸炭に
よる炭化物の生成を防止して被削性が悪化するのを改善
するのである。S添加は0.10%で効果が認められ、0.40
%を越えると機械的性質の低下が認められるので、0.10
〜0.40%とした。作業性を考慮すると上限を0.25〜0.30
%程度にすることが望ましい。このようにして被削性に
優れた快削鋳鋼を製造することにより、強度、靭性、硬
さ、被削性に優れた金型を得ることができる。
【0014】更に、前記の成分を含有し、硫化物系介在
物が基地組織中に粒状に分散した快削鋳鋼製の金型とす
る。硫化物系介在物が粒状であるため組織に方向性がな
く、圧延鋼材よりも優れた金型を得ることが出来る。更
に、硫化物系介在物の粒径は3〜30μmである。粒径
は大きいほど被削性をよくするが、3μmよりも小さい
と被削性の改善効果が少なく、30μmを越えると表面
キズの様になり、面精度が悪くなり易い。5〜15μm
であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何等限定される
ものではない。
【0016】表は本発明の化学成分の実施例である。
の材料を使用して、消失模型を用いて鋳造した場合
の溶湯と黒鉛の濡れ性に付いて評価試験を行った。
【0017】
【表1】
【0018】木型や金型を用いない消失模型鋳造法で鋳
造を実施した。まず、1ton高周波炉を使用して材料
を溶解し、消失模型が埋め込まれた鋳型(フラン砂型)
へ溶湯を1560℃で注湯した。更に鋳型内で凝固冷却
後、試験片を鋳型から取り出し、砂落し後押湯と湯道を
切断除去した。試験片の大きさは105mm×205m
m×105mmHの板状試験片である。熱処理はバッチ
タイプ焼鈍炉を使用して780℃で4時間保持の焼鈍を
実施した。熱処理完了後の試験片は常温でショットブラ
ストにてスケール落しを実施した。
【0019】次に、帯鋸盤を用いて試験片の底面中央部
で、かつ鋳放し面の近傍から5mm角の立方体形状の試
料を切りだした。該試料をアセトンに浸し、超音波洗浄
機で十分脱脂した後、乾燥した。更に、該試料を内径1
5mmの黒鉛坩堝に入れ、不活性ガス雰囲気中で140
0℃から1500℃の温度で約30秒間保持し、溶融さ
せた。溶融完了後直ちに冷却し、黒鉛坩堝内に凝固した
ボタン状の試料の直径と盛り上がり高さを測定した。
【0020】図5は溶湯と黒鉛の濡れ性評価試験方法の
模式図である。黒鉛坩堝内に凝固したボタン状の試料の
直径をDとし、盛り上がり高さをHとし、H/Dを測定
比較することにより黒鉛の面上の溶湯の濡れ性を評価し
た。
【0021】表は溶湯と黒鉛の濡れ性測定結果であ
る。H/Dの値が大きいほど濡れ性が抑制され、これに
より溶湯への炭素侵入が阻止され易いことが判断でき
る。
【0022】
【表2】
【0023】更に、炭化物生成におよぼすSの影響を調
査するために、表の化学成分で発明材と比較材
試験片を木型や金型を用いない消失模型鋳造法で鋳造し
た。まず、1ton高周波炉を使用して材料を溶解し、
消失模型が埋め込まれた鋳型(フラン砂型)へ溶湯を1
560℃で注湯した。更に鋳型内で凝固冷却後、試験片
を鋳型から取り出し、砂落し後押湯と湯道を切断除去し
た。試験片の大きさは直径50mm、高さ100mmの
円柱形状の試験片である。熱処理はバッチタイプ焼鈍炉
を使用して780℃で4時間保持の焼鈍を実施した。熱
処理完了後の試験片は常温でショットブラストにてスケ
ール落しを実施した。
【0024】本発明では消失模型鋳造法で懸念されてい
る浸炭現象が生じず、炭化物の生成も認められなかっ
た。比較材では鋳放しの表面近傍で浸炭により生成した
炭化物が認められた。
【0025】実施の形態の試験結果を基にして発明材
の化学成分で消失模型を使用して金型を製作した。こ
の場合も結果は試験結果と同様に被削性に優れた金型を
得ることが出来、浸炭現象や炭化物の生成は認められな
かった。
【0026】(参考例) 1ton高周波炉を使用して材料を溶解した。つぎに成
分調整後、取鍋を使用して溶湯を鋳型(フラン砂型の試
験片鋳造用)へ1560℃で注湯した。更に鋳型内で凝
固冷却後、試験片を鋳型から取り出し、砂落し後押湯と
湯道を切断除去した。試験片の大きさは105mm×2
05mm×105mmHの板状試験片である。次に、熱
処理はバッチタイプ焼鈍炉を使用して780℃で4時間
保持の焼鈍を実施した。また、熱処理完了後の試験片は
常温でショットブラストにてスケール落しを実施した。
【0027】表は本発明の金型用快削鋳鋼に関する参
考材の化学成分(重量%)の一例である。
【0028】
【表3】 化 学 成 分 (重量%) C Si Mn S Cr Mo W 参考材1 0.64 0.98 1.00 0.10 1.17 0.15 − 参考材2 0.60 0.91 1.25 0.16 1.14 0.10 − 参考材3 0.63 1.00 1.28 0.14 1.33 0.22 − 参考材4 0.66 0.95 1.12 0.19 1.18 0.15 − 参考材5 0.64 1.01 1.25 0.28 1.16 0.16 − 参考材6 0.61 0.98 1.41 0.39 1.20 0.15 − 参考材7 0.65 0.94 1.32 0.21 1.19 − 0.32 参考材8 0.63 0.96 1.47 0.23 1.25 0.10 0.12 参考材9 0.70 1.01 1.07 0.01 1.18 0.11 − 参考材10 0.68 0.97 0.95 0.05 1.17 0.15 − 参考材11 0.68 0.95 0.98 0.01 1.13 0.10 − 参考材12 0.67 0.98 1.06 0.01 1.15 0.10 −
【0029】図1は参考材4の顕微鏡による倍率300
0の組織写真である。硫化物系介在物が基地組織中に粒
状に生成しているのが認められた。粒径は7〜13μm
であった。図2は、図1に生成した粒状の硫化物系介在
物をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)により
分析した結果である。SとMnの含有量が多く、MnS
の形で硫化物系介在物を形成しているのが明らかであ
る。
【0030】次に、参考材1及び参考材910
試験片を鋳放し面除去のためフライス盤で加工し、10
0mm×200mm×100mmHの大きさとし、エン
ドミル被削性試験に供した。表はこの被削性試験に採
用した切削条件である。
【0031】図3は、表の切削条件で加工したエンド
ミル被削性試験の結果を切削距離と工具の摩耗量で示し
たものである。参考材1(S:0.10%)及び参考材3
(S:0.14%)では参考材9(S:0.01%)と参考材1
(S:0.05%)に比べて被削性が大幅に改善されてい
ることが認められた。また、S含有量が0.10%を越える
とその効果が顕著である。
【0032】
【表4】 エンドミル切削条件 エンドミル:ハイス直径10二枚刃 回転数:800 (rpm) オーバーハング:35 (mm) 送 り:100 (mm/min) 切 削 方 向:アップカット 切込み:1.5W×10H (mm)
【0033】また、参考材2と4及び参考材11を10
0mm×200mm×100mmHの大きさに加工した
後で、フライス被削性試験を実施した。表はこの被削
性試験に採用した切削条件である。
【0034】
【表5】 フライス切削条件 チップ :スローアウエイ超硬チップ 回 転 数:266(rpm) チップ数:一枚刃/ボデイ 切削速度:108(m/min) 切削方向:ダウンカット 送 り : 34(mm/min) 切削油 :なし(乾式) 切 込 み: 2(mm/rev)
【0035】図4は、表の切削条件で加工したフライ
ス被削性試験の結果を切削距離と工具の摩耗量で示した
ものである。参考材2(S:0.16%)と参考材4(S:
0.19%)では参考材11(S0.01%)に比べて被削性が
大幅に改善されていることが認められた。特に、S含有
量が0.19%である参考材4では参考材11に比べてその
効果が顕著である。図3、図4の結果からも明確なよう
に、被削性を向上させるためにはSを少なくとも0.10%
以上、望ましくは0.20%以上含有させることが望まし
い。
【0036】表は、参考材4(S:0.19%)、
(S:0.28%)、(S:0.39%)、および(S:0.
23%)と参考材12(S:0.01%)の機械的性質であ
る。引張試験はJIS4号試験片(直径10mm)を用
い、50tonアムスラー万能試験機にてクロスヘッド
速度10m/minで実施した。本発明材の耐力と引張
強さ、曲げ応力、シャルピー衝撃値共にS含有量の増加
に従い僅かに低下傾向にある。また、本発明材を比較材
と比べた場合、耐力と引張強さと曲げ応力は十分でてい
るがシャルピー衝撃値が若干低下傾向にあるので、本金
型用快削鋳鋼の機械的諸性質を考慮するとS含有量は0.
40%以下が望ましい。
【0037】
【表6】 機械的性質 耐力 引張強さ 曲げ応力 シャルピー衝撃値 N/mm2 N/mm2 N/mm2 J/cm2 参考材4 398 811 1854 33.9 〃 408 794 1833 36.8 参考材5 397 799 1813 30.9 〃 395 797 1833 26.3 参考材6 387 762 1650 28.9 〃 371 732 1599 23.3 参考材8 403 796 1840 31.6 〃 396 802 1831 32.8 参考材12 368 691 1507 33.6 〃 377 705 1529 32.9
【0038】曲げ試験は直径5mm、長さ70mm、ス
パン50mmの試験片を用いて、50tonアムスラー
万能試験機にてクロスヘッド速度5m/minで実施し
た。S含有量の増加に従い曲げ応力が僅かに低下傾向に
ある。
【0039】シャルピー衝撃試験の試験片は、10mm
×10mm×55mm長さで、中央部に2mm深さで半
径10mmの円弧状ノッチを付けた形状とし、容量10
9Jのシャルピー衝撃試験機にて実施した。S含有量の
増加に伴いシャルピー値も低下する。
【0040】本参考例の試験結果を基にして参考材4
化学成分で金型を製作した。結果は試験結果と同様に被
削性に優れた金型を得ることが出来た。
【0041】
【発明の効果】以上、本発明によれば、基地組織中に硫
化物系介在物が粒状に分散され、機械的性質の異方性を
なくし、耐摩耗性に優れ、更に被削性が良好でしかも加
工量の少ない快削鋳鋼製金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考材4の顕微鏡による倍率3000の組織写
真。
【図2】FE−SEMによる粒状の硫化物系介在物の分
析結果。
【図3】エンドミル加工による被削性試験の結果。
【図4】フライス加工による被削性試験の結果。
【図5】溶湯と黒鉛の濡れ性評価試験方法の模式図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−199341(JP,A) 特開 平2−179845(JP,A) 特開 昭60−174854(JP,A) 特開 昭54−56912(JP,A) 特公 昭58−2585(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 B21D 37/01 C22C 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消失模型を用いて鋳造し、重量比でC:
    0.5〜1.0%、Si:0.25〜1.5%、Mn:1.0〜1.85%、
    Cr:0.6〜5.0%、MoとWの1種または2種を(Mo
    +W/2)で0.06〜0.80%含み、更にS:0.10〜0.40
    %、残部Fe及び不純物よりなり、硫化物系介在物が基
    地組織中に粒状に分散したことを特徴とする金型用快削
    鋳鋼。
  2. 【請求項2】 請求項記載の快削鋳鋼であることを特
    徴とする金型。
  3. 【請求項3】 硫化物系介在物の粒径が3〜30μmで
    あることを特徴とする請求項記載の金型。
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