JP3286802B2 - 無電解メッキ液のリサイクル使用方法 - Google Patents

無電解メッキ液のリサイクル使用方法

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JP3286802B2 JP25897194A JP25897194A JP3286802B2 JP 3286802 B2 JP3286802 B2 JP 3286802B2 JP 25897194 A JP25897194 A JP 25897194A JP 25897194 A JP25897194 A JP 25897194A JP 3286802 B2 JP3286802 B2 JP 3286802B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば無電解銅メッキ
液等の無電解メッキ液のリサイクル使用回数を高めるよ
うにした無電解メッキ液のリサイクル使用方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無電解メッキは、化学反応により金属を
被処理物表面に沈着させるメッキ方法であるが、例えば
磁器コンデンサの如きセラミック電子部品の外部電極、
プリント配線板の導体部やプラスチックの表面を銅等の
金属で覆う手段として用いられている。例えば、無電解
銅メッキは、銅イオン、還元剤及び錯化剤を主成分と
し、そのほかにpH調整剤、安定化剤等を含む無電解銅
メッキ液に被処理物を浸漬して処理するものであるが、
銅イオン供給源として硫酸銅、還元剤としてホルマリ
ン、錯化剤として酒石酸塩を用いた水酸化ナトリウム溶
液の無電解メッキ液を使用した場合には、次の反応によ
り銅イオンが還元されて金属銅が被処理物表面に沈着す
る。
【0003】CuSO4 +2HCHO+4NaOH=C
u+H2 +2H2 O+2HCOONa+Na2 SO4 この際、錯化剤はCu2+をCuに還元する還元電位を小
さくする触媒となるが、これは逆に言えばホルマリン
(還元剤)のアノード酸化反応を促進する触媒の機能を
営むものである。この反応によるメッキ処理により消費
されるのはCu2+、HCHO及びNaOHであるので、
メッキ液中に硫酸銅、ホルマリン及び水酸化ナトリウム
を補充しながらメッキ処理をすることが繰り返し行なわ
れている。ところが、メッキ処理が進み、メッキ浴中の
組成が変化してくると、次の副反応により副反応生成物
が発生し、メッキ浴の安定性が劣化する。 2Cu2++HCHO+5OH→Cu2 O+HCOO- +3H2 O a Cu2 O+H2 O→Cu+2OH- b Cu2 O+2HCHO+2OH- →2Cu+H2 +2HCOO- +H2 O c a式の反応で亜酸化銅(Cu2 O)が生成すると、b式
の不均化反応あるいはc式の反応で金属銅がその核とな
る溶液中の浮遊物に析出し、これがおこるとメッキ浴は
著しく不安定になり、甚だしい場合はメッキ浴中で金属
が析出する、いわゆる自己分解を起こす。このメッキ浴
の不安定化を抑えるために安定化剤を用いている。この
安定化剤は上記a〜c式の副反応で生じた金属銅に吸着
し、触媒毒作用を有するものや、第1銅イオン(C
+ )と安定な錯体を形成し亜酸化銅の生成を抑える働
きをするものがある。しかしながら、メッキ浴の使用の
繰り返し回数(リサイクル使用回数)が多くなると、メ
ッキ液中にギ酸ナトリウム(HCOONa)やボウ硝
(Na2 SO4)が蓄積する。また、被処理物の例えば
磁器コンデンサ等のセラミック素体には外部電極を形成
するために亜鉛(Zn)粉末やニッケル(Ni)粉末を
含有する導電性ペーストをその両側端面に塗布し、その
上に無電解銅メッキを施すことが行われるが、その際Z
nやNiがメッキ液に溶出したり、セラミック素体の材
料の成分にシリコン(Si)が含まれている場合にはこ
のシリコンもメッキ液に溶出して混入する、いわゆる被
処理物よりの汚染が生じる。そして、これらのメッキ液
中に蓄積されるギ酸ナトリウムやボウ硝、ZnやSiの
汚染物質のみならず、さらにはメッキ液中で生じた銅粒
子がメッキ液中に浮遊すると、これらが核となってその
表面に上記副反応による金属銅の析出が起こり、そのた
め被処理物に対する銅の析出速度を低下させ、所定の銅
メッキ膜が得られなくなるだけではなく、そのまま放置
するとメッキ浴中の浮遊物に対する銅の析出反応が相乗
的に進み、いわゆる自己分解を起こして被処理物に対す
るメッキ膜の形成を不可能にする。また、Niは逆に目
的とする被処理物表面以外の不活性な表面へのメッキ付
きの現象を起こさせて、いわゆるメッキノビという問題
を生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るために、定期的に使用中のメッキ液の一部を新鮮なメ
ッキ液に置き換える方法も行われているが、その場合に
は置き換えられる老化したメッキ液は廃棄されるので、
多量の廃液が発生し、その投棄は環境問題を引き起こす
ためその処理方法が新たな問題となる。また、ギ酸ナト
リウムやボウ硝の蓄積があってもその蓄積はなお所定の
メッキを行うには支障を生じるほど多くはない段階であ
りながら、ZnやSi等の被処理物からの溶出物により
メッキ液が所定の機能を果たせない場合に、そのメッキ
液からこれらの汚染物を除去し、メッキ液を再使用する
ために、汚染されたメッキ液をイオン交換膜を使用した
電気透析により再生することも検討された。この方法
は、陽極と陰極を備えた電気透析槽に一対の対向させた
カチオン交換膜のそれぞれを各電極側に配置して設け、
そのカチオン交換膜間に汚染されたメッキ液を入れて両
電極に電圧を印加し、これによりカチオン成分のZnや
Siイオン等を陰極側に移動させて外部に取り出し、カ
チオン交換膜間のアニオン成分の溶液を再度メッキ槽に
戻し、ホルマリンと硫酸銅をメッキ槽に補充して再使用
するものであるが、上述したように蓄積されたギ酸やボ
ウ硝、さらにこれを核にして析出したメッキ膜が再生処
理したメッキ液をメッキ槽に戻すための配管やイオン交
換膜に析出するため、その析出物を取り除いたり、これ
らの部材を新しいものと取り替えたりする必要があり、
その保守が容易でないという問題がある。
【0005】本発明の第1の目的は、無電解メッキ液の
リサイクル使用回数を高めることにある。本発明の第2
の目的は、リサイクル使用回数が増えても被処理物にメ
ッキ用金属の安定した析出速度を維持することができる
無電解メッキ液のリサイクル使用方法を提供することに
ある。本発明の第3の目的は、リサイクル使用回数が増
えても無電解メッキ液の安定性を損なわない無電解メッ
キ液のリサイクル使用方法を提供することにある。本発
明の第4の目的は、無電解メッキ液の廃液発生量を少な
くすることができる無電解メッキ液のリサイクル使用方
法を提供することにある。本発明の第5の目的は、被処
理物からの汚染物質をマスキングすることができる無電
解メッキ液のリサイクル使用方法を提供することにあ
る。本発明の第6の目的は、無電解メッキ液のリサイク
ル使用回数が増えても被処理物に対する材質、厚さの一
定なメッキ膜を形成できる無電解メッキ液のリサイクル
使用方法を提供することにある。本発明の第7の目的
は、メッキノビを防止することができる無電解メッキ液
のリサイクル使用方法を提供することにある。本発明の
第8の目的は、生産性が高く、低いコストの無電解メッ
キを行うことができる無電解メッキ液のリサイクル使用
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)、メッキ用金属イオン、還元剤及
び錯化剤を少なくとも含有する無電解メッキ液を繰り返
し使用し消費した必要な成分を補充しながら無電解メッ
キ処理を行う無電解メッキ液のリサイクル使用方法にお
いて、該無電解メッキ液のリサイクル使用の際被処理物
におけるメッキの金属析出速度が少なくとも所定の速度
以下のときに該無電解メッキ液に当初配合の錯化剤より
錯化力の強い錯化剤を0.2g/リットル以上13g/
リットル以下から選択された割合で混合する工程を有す
る無電解メッキ液のリサイクル使用方法を提供するもの
である。また、本発明は、(2)、メッキ用金属イオ
ン、還元剤及び錯化剤を少なくとも含有する無電解メッ
キ液を繰り返し使用し消費した必要な成分を補充しなが
ら無電解メッキ処理を行う無電解メッキ液のリサイクル
使用方法において、該無電解メッキ液のリサイクル使用
が非循環の無電解メッキ液の使用であり、そのリサイク
ル使用回数の内被処理物におけるメッキの金属析出速度
が少なくとも所定の速度以下である毎に該無電解メッキ
液に当初配合の錯化剤より錯化力の強い錯化剤を0.2
g/リットル以上13g/リットル以下から選択された
割合で混合する工程を有する無電解メッキ液のリサイク
ル使用方法、(3)、当初配合の錯化剤が酒石酸塩であ
り、リサイクル使用する際使用する錯化剤がニトリロ三
酢酸若しくはエチレンジアミン四酢酸であり、又は当初
配合の錯化剤がニトリロ三酢酸であり、リサイクル使用
する際使用する錯化剤がエチレンジアミン四酢酸である
上記(1)又は(2)の無電解メッキ液のリサイクル使
用方法を提供するものである。なお、(4)、上記
(1)中、「該無電解メッキ液のリサイクル使用の際」
を「該無電解メッキ液のリサイクル使用が該無電解メッ
キ液の循環使用であり、該無電解メッキ液のリサイクル
使用に際して時間間隔をおいて該無電解メッキ液の被処
理物におけるメッキの金属析出速度をチェックし、この
被処理物におけるメッキの金属析出速度が少なくとも所
定の速度以下であるときに」とすることもできる。
【0007】本発明において、錯化剤とは、錯体を形成
することができる物質をいうが、具体的には、例えば酒
石酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA
(ニトリロ三酢酸)、HEDTA(オキシエチルエチレ
ンジアミン三酢酸)、DHEDDA(ジヒドロキシエチ
ルエチレンジアミン二酢酸)、1,3PDTA(1,3
−プロペンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレント
リアミン五酢酸)、TTHA(トリエチレンテトラミン
六酢酸)、HIMDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢
酸)、アンモニア等の化合物であって、Zn、Cu、N
i、Siその他の金属、特に遷移金属と錯体を形成する
ことができる化合物が挙げられる。また、「当初配合の
錯化剤より錯化力の強い錯化剤」(以下、追加用錯化剤
という)とは、例えば酒石酸塩であるロッシエル塩(酒
石酸カリナトリウム)とEDTA又はNTAの組み合わ
せのように、金属に対する錯体を生成する能力が前者の
ロッシエル塩より大きいEDTA又はNTAのような場
合をいう。NTAに対するEDTAもこれに該当する。
このように錯体生成能力が大きいと、錯体生成能力の低
下した錯化剤に代わって錯化剤の機能を営むことができ
るのみならず、メッキ処理に有害な金属を捕捉してマス
キングを行うことができる。錯化剤の錯化力の強さは、
例えば一定濃度の錯化剤を一定濃度の一定金属に滴下
し、その錯体を生成する割合を調べる等により識別する
ことができるが、その反応系におけるpHその他の影響
によりその強さは一定であるとはいえない。
【0008】錯化剤の使用量としては、当初配合の錯化
剤は10g/リットル〜100g/リットルの濃度が好
ましく、追加用錯化剤は0.2g/リットル〜13g/
リットル、好ましくは0.4g/リットル〜13g/リ
ットルの濃度で使用する。当初配合の錯化剤の濃度が1
0g/リットルより少ないと、無電解メッキ膜の形成能
力が不足し、100g/リットルより多いと、メッキ液
中において金属の析出を生じることがある。また、追加
用錯化剤の濃度が0.2g/リットルより少ないと、不
安定化し被処理物に対するメッキ膜の生成能力が低下し
た、いわゆる老化したメッキ液の再生能力が不足し、1
3g/リットルより多いとメッキ液中において金属の析
出を生じ、自己分解を起こすことがある。追加用錯化剤
は、循環使用するメッキ液中に追加使用されることもで
き、非循環のメッキ液中で追加使用されることもできる
が、その追加時期は非処理物の仕込みを変える場合でも
良いが、間隔をおいた時間毎でもよい。被処理物の仕込
みを変える場合には、その仕込み回数の全てでも良い
が、その回数の一部でも良い。
【0009】本発明において、「メッキ用金属イオン」
とは、被処理物にメッキしようとする金属のイオンであ
り、例えば銅メッキをする場合には銅イオンであるが、
これに限らず、金(Au)の無電解メッキ、白金(P
t)の無電解メッキ等の無電解金属メッキも行うことが
でき、これらの場合にはAuイオン、Ptイオン等の金
属イオンをいう。これらの金属イオンの対イオンは、硫
酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン等の鉱酸イオン等が
挙げられるが、その供給を行うには、例えばCuイオン
の場合は硫酸銅、硝酸銅、塩化銅塩等の溶液があり、特
に第2銅塩が好ましいが、金属銅、銅の酸化物等他の銅
化合物を硫酸等の鉱酸溶液に溶解させて供給するように
しても良く、他の金属イオンの場合もこれに準じて行な
うことができる。無電解メッキ液中の金属イオンの濃度
としては、5g/リットル〜10g/リットルが好まし
い。これより多いと、メッキ液中で金属の析出を生じる
ことがあり、これより少ないと被処理物における十分な
メッキの金属析出速度が得られないことがある。
【0010】本発明において、「還元剤」とは、無電解
メッキ液のメッキしようとする金属イオンを還元してそ
の金属を被処理物表面に析出させ、金属膜を形成できる
化合物をいうが、具体的にはホルマリン、パラホルムア
ルデヒド、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸塩、ヒド
ラジン、グリオキシル酸、KBH4 、NaBH4 、ロッ
シェル塩等が挙げられる。これらは単独又は複数併用す
ることができる。無電解メッキ液中の還元剤の濃度とし
ては、0.1g/リットル〜20g/リットルが好まし
い。これより多いと、メッキ液中で金属の析出を生じる
ことがあり、これより少ないと被処理物における十分な
メッキの金属析出速度が得られないことがある。
【0011】本発明において、無電解メッキ液中にはア
ルカリ剤を添加し、pHを11.80〜13.00に調
整することが好ましいが、そのアルカリ剤としてはNa
OH、KOH、LiOH等のアルカル金属の水酸化物が
好ましい。また、メッキ液の安定化剤として、DDCN
(ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム)、KSCN
(チオシアン化カリウム)、2,2’−ビピリジル、
2,2’−ジピリジン、ニコチン酸、チオ尿素、テトラ
メチルチオ尿素、クプロン、クペロン、チアゾール、2
−メルカプトベンゾチアゾール、フェロシアン化カリウ
ム、フェリシアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピ
ロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリ
アゾール、1,2,4−ベンゾトリアゾール、チオフェ
ン、チオメリッド、ロダニン、ルベアン酸、ピリジン、
トリアジン、メチルオレンジ、ベンゾキノリン、2、
2’−ビキノリン、ジチゾン、ジフェニルカルバジド、
ネロクプロイン、2(2−ビリジル)イミダゾリン、
1,10−フェナンスロリン等のシアノ化合物、窒素系
有機化合物、イオウ系化合物等を添加することが好まし
く、これらは単独又は複数併用される。無電解メッキ液
中の安定化剤の濃度としては、0.01〜100ppm
が好ましい。これより多いと、被処理物におけるメッキ
の金属析出速度が低下し、これより少ないとメッキ液の
安定化をできないことがある。
【0012】無電解メッキ液の使用条件としては、当初
配合の無電解メッキ液の場合は30〜55℃、数十分
(例えは15分)であり、追加用錯化剤を配合した無電
解メッキ液の場合も同様の条件でもよいが、これと異な
っていても良い。
【0013】上記した発明の無電解メッキ液のリサイク
ル使用方法は電子部品を製造する際に電極や導体部を形
成する場合等に用いられるが、電子部品としては例えば
セラミックコンデンサや、積層セラミックコンデンサ、
ハイブリッドIC、積層LCフィルタ、多層基板、積層
部品表面に他の回路を形成した複合電子部品等の積層セ
ラミック電子部品等を例示することができる。
【0014】
【作用】当初配合の錯化剤より錯化力の強い錯化剤を追
加すると、この強い錯化剤がメッキ用金属イオンと新た
な錯イオンを形成し、これによりその金属イオンの還元
電位を低くくし、ホルマリン等の還元剤のアノード酸化
反応を促進することができ、被処理物に対する金属の析
出反応を高めることができるものと考えられる。また、
被処理物から溶出する汚染物をより強力な錯化剤により
マスキングすることができ、被処理物に対する所望のメ
ッキ反応を妨害することを避けることができるので、そ
のメッキ反応を高めることができる。また、錯化力の強
い錯化剤はメッキ液中における各成分の析出を抑制し、
その析出物が浮遊物となって金属イオンの析出をし易く
することを抑制し、メッキ液を安定化することができ
る。また、錯化剤の機能には、アルカリ性溶液における
金属イオンの水酸化物の沈澱の発生を防止し、金属イオ
ン濃度を調節してメッキ速度を調節し、メッキ液の自己
分解を防止する機能もあるので、使用済みの被処理物に
対するメッキ反応の衰えたメッキ液に追加される強い錯
化剤はこれらの機能を助長することも考えられる。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 実施例 1 下記各成分を秤量して得た配合物を1リットルのポリエ
チレン製ポットに仕込み、60rpm、15時間ボール
ミル法により湿式混合し、スラリーを得た。 セラミック粉末 88.65重量部 バインダー樹脂(ポリビニルブチラール樹脂) 9.85重量部 (ガラス転移点65℃) ジ−n−フタレート 1.50重量部 エタノール 100重量部 トルエン 100重量部
【0016】得られたスラリーを脱泡処理した後、表面
をシリコーン系離型剤処理を施した幅1mの長尺なポリ
エステル(PET)上に供給してドクターブレード法に
て厚さ200μmのグリーンシートを形成し、これを乾
燥した後剥離して100mm×100mmの寸法に切断
し、セラミック絶縁体グリーンシートを得た。このセラ
ミック絶縁体グリーンシートから多数のセラミック素体
用円形板を裁断により形成し、500℃に加熱して脱パ
インダー処理を行い、さらに1000℃で焼成してそれ
ぞれのセラミック円板素体(直径8mm、厚さ0.5m
m)を得た。
【0017】次に焼付型導電ペーストを下記配合物によ
り得る。 亜鉛粉末(粒径分布0.1〜30μ) 100重量部 ホウケイ酸鉛ガラス粉末 3重量部 (粒径44μ以下、325メッシュ通過) エポキシアクリレート 30重量部 (エポキシアクリレートの85% 2−エチルヘキシルアクリレート溶液) ベンゾイン 1重量部 なお、エポキシアクリレートはアクリル酸30%変性物
である。上記配合物を15時間撹拌混合して焼付型導電
ペーストを調製した。この焼付型導電ペーストを用いて
200メッシュのスクリーン印刷により、上記セラミッ
ク円板素体の表裏両面の中央部分に直径7mmの円形に
塗布し、ついで紫外線照射装置(2500〜4500
Å、強度80w−cm)を用いて塗膜に光源から20c
m離して20秒紫外線を照射した。次に空気流通雰囲気
の炉中で850℃で10分加熱し、焼き付けた。このよ
うにして焼付型亜鉛電極付きセラミック円板素体(セラ
ミックコンデンサ用素体)2万個を作製した。
【0018】これらの焼付型亜鉛電極付きセラミック円
板素体を次亜リン酸ナトリウム3%の溶液に浸漬する前
処理を行い、無電解銅メッキを施すべく下記の無電解メ
ッキ液を調製した。 硫酸銅5水塩 10g/リットル ロッセル塩(酒石酸カリウムナトリウム) 35g/リットル ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液)8ml/リットル 2,2−ジピリジン 1.0ppm これにNaOHを加えてpHを12.5に調整し、無電
解銅メッキ液とした。この無電解銅メッキ液30リット
ルをバレルメッキ槽に入れて温度を50℃に保持し、こ
れに上記焼付型亜鉛電極付きセラミック円板素体2万個
を入れて15分間バレル無電解銅メッキを行った。得ら
れた処理物の焼付型亜鉛電極上には銅メッキ膜が形成さ
れていることがその色により確認された。それから、処
理物を取り出した後、銅イオン濃度検出装置(発光分光
分析装置)によりC2+の濃度を測定してその測定値に基
づいてCu2 SO4 を当初のメッキ液のC2+濃度からの
不足分として補給するとともに、試薬Na2 SO3 とH
2Oを用いる滴定法によりホルムアルデヒドの濃度を測
定してその測定値に基づき当初のメッキ液のホルムアル
デヒド濃度からの不足分として35%HCHO液を補給
し、さらにEDTAを0.5g/リットルの割合で加
え、そしてNaOHを加えながら撹拌し、メッキ液のp
Hを13に調整した。この後、上記と同様にして、予め
作製しておいた焼付型電極付きセラミック円板素体2万
個について前処理を行い、上記と同様にして無電解銅メ
ッキ処理を行った。以下同様に処理物を取り出し、銅イ
オン濃度、ホルムアルデヒドの濃度を測定してその当初
配合量からの不足分を補給し、さらにEDTAを0.5
g/リットルの割合で加え、メッキ液のpHを13に調
整し、それから予め作製しておいた焼付型電極付きセラ
ミック円板素体2万個について前処理を行ったものにつ
いて無電解銅メッキ処理を行い、これらをさらに28回
繰り返し行って、全部で30サイクルの無電解銅メッキ
処理を行った。各サイクルのメッキ処理を行う毎に、無
作為に50個の処理物を抽出して螢光X線膜厚計によっ
て焼付型電極上の銅のメッキ膜の厚さを測定した。その
平均値を表1に示す。表中の数字は(μm/15分)の
値であり、メッキ析出速度を表す。
【0019】EDTAの添加量(g/リットル)を表1
の実施例の欄に示すように、1.0、5.0、10.
0、0.2の4段階に変え、それぞれの段階の添加量を
用いた以外は上記と同様にして各添加量段階毎の無電解
銅メッキ処理を行ない、上記と同様にして処理物の焼付
型電極上の銅のメッキ膜の厚さを測定し、各添加量段階
毎にその50個の平均値を表1に示す。なお、EDTA
の添加量(g/リットル)が0.2のときは、表1に
「停止」で示したように5サイクル目の無電解銅メッキ
処理では被処理物の焼付型電極付きセラミック円板素体
の焼付型電極上に対する銅の析出は停止し、それ以降の
無電解銅メッキ処理はできなかったが、次に述べる比較
例1よりはメッキサイクル数を多くすることができた。
【0020】比較例1 実施例1において、表1の比較例1の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を0にした以外は同
様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表1に「低
下」で示したように3サイクル目で被処理物の焼付型電
極付きセラミック円板素体の焼付型電極上に対する銅の
析出速度が低下し、4サイクル以上の無電解銅メッキ処
理はできなかった。
【0021】比較例2 実施例1において、表1の比較例2の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を15.0とした以
外は同様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表1に
「分解」で示したように4サイクル目の無電解銅メッキ
処理では無電解銅メッキ液中において銅が析出する自己
分解が起き、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
った。
【0022】
【表1】
【0023】実施例2 実施例1において、EDTAに代えてNTA(ニトリロ
三酢酸)を使用したことと、その添加量を表2の実施例
の各欄に記載したとおりにした以外は同様にして無電解
銅メッキ処理を30サイクル行ない、各サイクル毎に実
施例1と同様にして銅のメッキ膜の厚さを測定し、その
50個の平均値を表2に示す。なお、NTAの添加量
0.2のときは、表2に「停止」で示したように4サイ
クル目の無電解銅メッキ処理では被処理物の焼付型電極
付きセラミック円板素体の焼付型電極上に対する銅の析
出は停止し、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
ったが、次に述べる比較例3よりはメッキサイクル数を
多くすることができた。
【0024】比較例3 実施例2において、表2の比較例3の欄に示したように
NTAの添加量(g/リットル)を15.0とした以外
は同様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表2に
「分解」で示したように3サイクル目の無電解銅メッキ
処理では無電解銅メッキ液中において銅が析出する自己
分解が起き、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
った。
【0025】
【表2】
【0026】実施例3 実施例1において、焼付型亜鉛電極付きセラミック円板
素体を4万個作製し、この4万個を処理対象としたこ
と、当初配合の無電解銅メッキ液を下記の配合により調
製したこと、EDTAの添加量(g/リットル)を表3
の実施例の各欄に示すとおりにしたこと以外は同様にし
て無電解銅メッキ処理を30サイクル行ない、各サイク
ル毎に実施例1と同様にして銅のメッキ膜の厚さを測定
し、その50個の平均値を表に示す。 硫酸銅5水塩 10g/リットル NTA 45g/リットル ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液) 8ml/リットル ライネッケ塩(テトライソチオシアナトジアンミ 5.0ppm ンクロム(III )アンモニウム) これにNaOHを加えてpHを12.5に調整し、無電
解銅メッキ液とした。なお、EDTAの添加量を0.2
にした場合は、表3に「停止」で示したように10サイ
クル目の無電解銅メッキ処理では被処理物の焼付型電極
付きセラミック円板素体の焼付型電極上に対する銅の析
出は停止し、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
ったが、次に述べる比較例4よりはメッキサイクル数を
多くできた。
【0027】比較例4 実施例3において、表3の比較例4の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を0にした以外は同
様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表に「低
下」で示したように3サイクル目で被処理物の焼付型電
極付きセラミック円板素体の焼付型電極上に対する銅の
析出速度が低下し、4サイクル以上の無電解銅メッキ処
理はできなかった。
【0028】比較例5 実施例3において、表3の比較例5の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を15.0とした以
外は同様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表3に
「分解」で示したように3サイクル目の無電解銅メッキ
処理では無電解銅メッキ液中において銅が析出する自己
分解が起き、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
った。
【0029】
【表3】
【0030】実施例4 実施例3において、焼付型導電ペーストとして下記配合
のニッケル粉末ペーストを用いたことと、EDTAの代
わりにHEDTAを用いその添加量(g/リットル)を
表4の実施例の各欄に示すとおりにした以外は同様にし
て無電解銅メッキ処理を30サイクル行ない、各サイク
ル毎に実施例1と同様にして銅のメッキ膜の厚さを測定
し、その50個の平均値を表4に示す。 ニッケル粉末(粒径分布0.1〜30μ) 100重量部 ホウケイ酸鉛ガラス粉末 3重量部 (粒径44μ以下、325メッシュ通過) エポキシアクリレート 30重量部 (エポキシアクリレートの85% 2−エチルヘキシルアクリレート溶液) ベンゾイン 1重量部 なお、エポキシアクリレートはアクリル酸30%変性物
である。なお、HEDTAの添加量を0.2にした場合
は、表4に「停止」で示したように4サイクル目の無電
解銅メッキ処理では被処理物の焼付型電極付きセラミッ
ク円板素体の焼付型電極上に対する銅の析出は停止し、
それ以降の無電解銅メッキ処理はできなかったが、次に
述べる比較例6よりはメッキサイクル数を多くすること
ができた。
【0031】比較例6 実施例4において、表4の比較例6の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を0にした以外は同
様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表に「低
下」で示したように3サイクル目で被処理物の焼付型電
極付きセラミック円板素体の焼付型電極上に対する銅の
析出速度が低下し、4サイクル以上の無電解銅メッキ処
理はできなかった。
【0032】比較例7 実施例4において、表4の比較例7の欄に示したように
EDTAの添加量(g/リットル)を15.0とした以
外は同様にして無電解銅メッキ処理を行ったが、表
「分解」で示したように3サイクル目の無電解銅メッキ
処理では無電解銅メッキ液中において銅が析出する自己
分解が起き、それ以降の無電解銅メッキ処理はできなか
った。
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、無電解メッキ液を繰り
返し使用する際に、当初配合の錯化剤より強い錯化力を
有する錯化剤を追加するようにしたので、無電解メッキ
液の被処理物表面におけるメッキ反応とそのメッキ液の
安定性を維持することができ、その反応性とメッキ液の
安定性のバランスを保って、その繰り返し使用のサイク
ル数を高めることができ、メッキ液を有効に利用してそ
の廃棄量を少なくできる。また、その無電解メッキ液を
繰り返し使用しても、被処理物表面に対する金属の析出
速度が変わらないようにすることができるので、被処理
物へのメッキの不足やメッキノビを起こさせることな
く、メッキ液のリサイクル使用回数を多くした状態で
も、材質や厚さが均一なメッキ膜を形成できる。このよ
うにして、被処理物からの汚染物質がマスキングされメ
ッキ膜中に取り込まれることがないことと相まって、被
処理物に対するメッキの性能を向上することができると
ともに、無電解メッキの生産性を高めることができ、コ
ストを低減することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ用金属イオン、還元剤及び錯化剤
    を少なくとも含有する無電解メッキ液を繰り返し使用し
    消費した必要な成分を補充しながら無電解メッキ処理を
    行う無電解メッキ液のリサイクル使用方法において、該
    無電解メッキ液のリサイクル使用の際被処理物における
    メッキの金属析出速度が少なくとも所定の速度以下のと
    きに該無電解メッキ液に当初配合の錯化剤より錯化力の
    強い錯化剤を0.2g/リットル以上13g/リットル
    以下から選択された割合で混合する工程を有する無電解
    メッキ液のリサイクル使用方法。
  2. 【請求項2】 メッキ用金属イオン、還元剤及び錯化剤
    を少なくとも含有する無電解メッキ液を繰り返し使用し
    消費した必要な成分を補充しながら無電解メッキ処理を
    行う無電解メッキ液のリサイクル使用方法において、該
    無電解メッキ液のリサイクル使用が非循環の無電解メッ
    キ液の使用であり、そのリサイクル使用回数の内被処理
    物におけるメッキの金属析出速度が少なくとも所定の速
    以下である毎に該無電解メッキ液に当初配合の錯化剤
    より錯化力の強い錯化剤を0.2g/リットル以上13
    g/リットル以下から選択された割合で混合する工程を
    有する無電解メッキ液のリサイクル使用方法。
  3. 【請求項3】 当初配合の錯化剤が酒石酸塩であり、リ
    サイクル使用する際使用する錯化剤がニトリロ三酢酸若
    しくはエチレンジアミン四酢酸であり、又は当初配合の
    錯化剤がニトリロ三酢酸であり、リサイクル使用する際
    使用する錯化剤がエチレンジアミン四酢酸である請求項
    1又は2記載の無電解メッキ液のリサイクル使用方法。
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