JP3284821B2 - 電動回転機 - Google Patents

電動回転機

Info

Publication number
JP3284821B2
JP3284821B2 JP09650595A JP9650595A JP3284821B2 JP 3284821 B2 JP3284821 B2 JP 3284821B2 JP 09650595 A JP09650595 A JP 09650595A JP 9650595 A JP9650595 A JP 9650595A JP 3284821 B2 JP3284821 B2 JP 3284821B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grease
base oil
bearing
lubricating
mixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09650595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08294246A (ja
Inventor
豊翁 上松
茂樹 小松崎
良男 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP09650595A priority Critical patent/JP3284821B2/ja
Publication of JPH08294246A publication Critical patent/JPH08294246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3284821B2 publication Critical patent/JP3284821B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Motor Or Generator Frames (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大口径で高速回転に使
用されるころがり軸受又は軸受構成の一部又は全部にセ
ラミックスであるころがり軸受を用いた高速回転用の電
動回転機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】機械部品や電動機等に使用されるころが
り軸受の交換期間或いは寿命は、ころがり軸受に充填さ
れる潤滑グリースの性能に大きく影響される。このよう
な機械部品や電動回転機等の稼働部に使用される潤滑グ
リースには、増ちょう剤としてリチウム石鹸,リチウム
コンプレックス石鹸等の金属石鹸類,ジウレア等のウレ
ア化合物,ベース油として鉱油の他,ポリ−α−オレフ
ィン油,ポリオールエステル,ポリフェニルエーテル等
の合成油等を用い、更に、潤滑グリースの特性改良のた
めのアミン系,フェノール系など酸化防止剤,防錆剤、
また用途によっては極圧剤等の各種添加剤を配合したも
のが使用されている。特に、酸化防止剤については、潤
滑グリースの熱酸化安定性の向上のため必須の添加剤で
あり、殆どの潤滑グリースに添加されている。具体的に
は、フェニル−α−ナフチルアミンに代表されるアミン
系酸化防止剤、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t
−ブチルフェノール)に代表されるフェノール系酸化防
止剤等が使用される。酸化防止剤や防錆剤の添加効果
は、増ちょう剤,ベース油の種類の他、ころがり軸受材
料,使用温度,軸受のタイプ,軸受サイズ,使用条件等
によって大きく異なることが知られている。
【0003】近年、各種機器,電動回転機等の小型軽量
化,高速化に伴い潤滑グリースは高温,高荷重,高速と
いった過酷な条件で使用されると共にメンテナンスフリ
ー化への要望が一段と強くなっている。特に、車両の高
速化への対応のためインバータ制御,チョッパー制御に
よる高速回転の主電動機が多く採用されてきている。こ
のため主電動機は、ブラシや整流子等の保守管理が不要
となり、保守管理は専らころがり軸受のみが対象とな
り、メンテナンスフリーの信頼性が高い主電動機が要望
されている。主電動機のメンテナンスはころがり軸受に
使用される潤滑グリースの性能に大きく影響されるため
グリース交換期間の長い、いわゆる長寿命グリースが強
く要求されている。一方、車両用主電動機のころがり軸
受は、内径50mm以上の大口径で且つ、グリース潤滑の
許容回転速度dmN値40〜45×104〔ころがり軸
受のピッチ円径dm(mm)、回転数N(rpm)〕を大幅に
超える高速・荷重条件で使用されるため保守間隔は短く
ならざるをえず、高速回転に対応したより長寿命グリー
スを用いた高速主電動機が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、電動機の
回転速度は、グリース潤滑の許容回転速度を大幅に超え
るため高温で且つ、高荷重条件下で使用されるため軸受
温度は高くなり、従来の潤滑グリースでは酸化安定性や
潤滑寿命の点で満足できるものがなく電動機の保守間隔
は短かくなる。潤滑グリースが酸化劣化すると滴点,剪
断安定性,ちょう度,離油特性等の性状が大きく変化
し、軸受からグリースが漏洩し寿命は極端に低下させ
る。更に、潤滑の主役をなすベース油が酸化劣化すると
蒸発量増加によるベース油分の減少,スラッジの生成,
粘度の増加などによって潤滑機能が失われるのみなら
ず、酸化劣化によって生成した有機酸などによって軸受
の腐食などを引き起こす。従って、電動機のメンテナン
スフリー化を進めるには、潤滑グリースの酸化劣化を抑
制することは当然重要であるが、軟化せず軸受からのグ
リース自身の漏洩がなく、軸受内における潤滑グリース
の流動性を保ち、ベース油が軸受潤滑部へ充分供給され
ること等が重要課題となる。これらの改善に特開平1−2
59097号公報に記載される末端基が芳香族基主体のジウ
レア化合物を増ちょう剤とし、ベース油にアルキルジフ
ェニルエーテルを使用した潤滑グリースが有効である
が、この増ちょう剤を用いた潤滑グリースは、軸受内に
おけるグリースの流動性に劣り、高速条件では軸受潤滑
部への潤滑グリースの流動不足やベース油の供給不足か
ら比較的大口径のころがり軸受では、早期に軸受が焼き
付いてしまうといった問題がある。潤滑部への潤滑グリ
ースの流動不足や錆止め性の改善に、特開平5−98280号
公報にはアルキルジフェニルエーテルを必須成分とし、
かつ40℃の動粘度が90〜160mm2/s であるベー
ス油と末端基が芳香族系炭化水素の割合が70〜95モ
ル%からなるジウレア化合物を増ちょう剤とするグリー
ス組成物とこの配合成分に錆止め添加剤として有機スル
フォン酸塩,亜硝酸塩及びHLBが1.5〜9 の非イオ
ン界面活性剤からなるグリースが開示されている。ま
た、特開平5−140576 号公報では、高温耐久性と低温始
動時における異音発生,錆止め性を改善のため、ポリ−
α−オレフィンとアルキルジフェニルエーテルを混合ベ
ース油に脂肪族ジウレア化合物,錆止め添加剤にバリウ
ムスルホネートを配合したグリースが開示されている。
リチウムグリースに関しては特開昭63−162791号公報,
特開平5−86392号公報に高温下における耐酸化劣化特性
と寿命特性の改善が開示されている。これらの発明は、
いずれも軸受内径20〜30mm以下の小形軸受ではかな
り長寿命が期待できるものである。しかし、車両等の電
動機に使用されるような軸受内径50mm以上の大口径軸
受で、且つ高速回転では、潤滑グリースの流動性不足の
ため潤滑部への潤滑グリースの移動が充分でない。ま
た、遠心力による飛散が多く潤滑部へのベース油の供給
が不足や蒸発損失の増大等により早期に潤滑不良となり
主電動機を車両から取外し、軸受を交換すると言った多
大な労力と時間を必要とすると言う問題があった。
【0005】したがって、本発明の目的は、軸受内径5
0mm以上の大口径のころがり軸受で、グリース潤滑の許
容回転速度dmN値40〜45×104 の高速・荷重条
件に使用される電動回転機において潤滑グリースの流動
性,潤滑部へのベース油の供給性が良好で、油膜形成能
に優れ且つ、蒸発損失が少なく耐酸化劣化等に優れた潤
滑グリースを用いることにより、車両用電動機の長期メ
ンテナンスフリーを提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】車両等のように軸受内径
50mm以上の大口径軸受で高速回転となる主電動機の長
期メンテナンスフリーを達成すべく潤滑グリースの長寿
命化を鋭意研究を重ねた結果、2種類の特定合成油をブ
レンドしたベース油に2種類の特定の酸化防止剤を組み
合わせた混合酸化防止剤を添加することにより、高温で
の酸化安定性,潤滑性に優れた長寿命グリースが得られ
ることを見出し、本発明に到達したものである。
【0007】本発明の第一の要点は電動回転機のころが
り軸受の潤滑油に化学構造の異なる2種類の合成油をベ
ース油を使用することである。混合ベース油の一つの合
成油は、ネオペンタンの炭素骨格をもつの多価アルコー
ルと炭素数5〜18の脂肪酸から合成されるポリオール
エステル又は炭素数4〜10の脂肪族モノカルボン酸と
脂肪族ジカルボン酸の混合酸とトリメチロールエタン,
トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,ジペ
ンタエリスリトールの多価アルコールからなるコンプレ
ックス型ポリオールエステルである。脂肪酸の具体例と
しては酪酸,吉草酸,ヘキサン酸,ヘプタン酸,オクタ
ン酸、2−エチルヘキサン酸,イソオクタン酸,ノナン
酸,イソノナン酸,デカン酸,イソデカン酸,ステアリ
ン酸等が例示される。また、多価アルコールの具体例と
してはトリメチロールエタン,トリメチロールプロパ
ン,ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール等
が例示される。
【0008】もう一つの合成油は、置換基の炭素数10
〜22であるアルキルジフェニルエーテル又はアルキル
ポリフェニルエーテルのアルキルフェニルエーテル油で
ある。アルキルジフェニルエーテル又はアルキルポリフ
ェニルエーテルの性状は、置換基の炭素数及び付加モル
数によって異なる。本発明の電動回転機軸受に使用され
るポリオールエステル又はコンプレックス型ポリオール
エステルとアルキルフェニルエーテルは、80〜20:
20〜80の重量比で含有する混合ベース油である。グ
リース全量に対する混合ベース油の含有量は特に限定し
ないが、高速条件で用いる電動回転機で、且つ電動回転
機の長期間メンテナンスフリーを達成するためには80
〜90重量%が好ましい。
【0009】本発明の第二の要点は、電動回転機のころ
がり軸受の潤滑油に酸化劣化防止の作用効果が異なる酸
化防止剤の配合である。潤滑グリースの酸化安定性の大
幅な改善のための添加剤の組み合わせは、ジアルキルジ
チオカルバミン酸塩化合物と芳香族アミン系化合物を9
0〜10:10〜90の重量比の混合物を潤滑グリース
に含有するものである。
【0010】ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物の
具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛,ジ
エチルジチオカルバミン酸亜鉛,ジブチルジチオカルバ
ミン酸亜鉛,ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム,
ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム,ジブチルジチ
オカルバミン酸ナトリウム,ジエチルジチオカルバミン
酸ニッケル,ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル,ジ
メチルジチオカルバミン酸銅,ジエチルジチオカルバミ
ン酸鉄,ジエチルジチオカルバミン酸セレニウム,ジエ
チルジチオカルバミン酸テレニウム及びブチルキサント
ゲン酸亜鉛等が挙げられる。
【0011】芳香族アミン系化合物の具体例としては、
フェニル−α−ナフチルアミン,アルキル化フェニル−
α−ナフチルアミン,ブチル基,オクチル基,ノニル基
等を付加したアルキル化ジフェニルアミン、N,N′−
ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N′
−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が例示され
る。
【0012】混合酸化防止剤は潤滑グリース全量に対し
て0.2〜5 重量%添加が好ましい。0.2 重量%未満
の添加量では耐酸化劣化の改善は僅少であり、5重量%
を超えても耐酸化劣化はそれほど改善されない。
【0013】ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物
は、使用条件によっては銅或いは銅合金材を腐食や変色
させる場合がある。このような材料の共存下で使用する
場合には、必要に応じて腐食防止のための添加剤を配合
することが望ましい。腐食防止剤としてベンゾトリアゾ
ール,ベンゾトリアゾール系化合物が有効であり、その
配合量はグリース全量に対して0.01〜2 重量%が好
ましい。
【0014】本発明で使用する増ちょう剤としては、公
知のリチウム石鹸,リチウムコンプレックス石鹸及びジ
ウレア化合物である。増ちょう剤及びその配合量は潤滑
グリースの使用条件によって任意に選定すべきである
が、高速条件で大口径軸受を使用する電動回転機軸受用
としては10〜20重量%またはNLGIちょう度でN
o.2程度ものが好ましい。
【0015】さらに、電動回転機の使用条件によっては
必要に応じて防錆剤,油性剤,極圧剤及び固体潤滑剤な
どを潤滑グリースに添加することができる。
【0016】本発明は、特定の潤滑グリース組成物を備
えた電動回転機であるが、グリースに使用される本発明
の混合ベース油及び酸化防止剤からなる潤滑油は、ころ
がり軸受,滑り軸受等の潤滑にも適用でき各種機器や装
置等のメンテナンスフリーに大きく貢献できる。
【0017】
【作用】軸受内径50mm以上の大口径軸受で高速・高荷
重条件となる電動回転機の信頼性は軸受に充填される潤
滑グリースによって決まる。グリースのベース油をポリ
オールエステルとアルキルフェニルエーテルを所定の割
合で配合した混合ベース油とすることで耐熱性,酸化安
定性及び潤滑性の面で優れたものになる。また、ジアル
キルジチオカルバミン酸塩化合物と芳香族アミン系化合
物を組み合わせた混合酸化防止剤を配合することにより
銅及び銅合金材,鉄材の共存下においても混合ベース油
の蒸発損失,粘度,全酸価の変化を及び酸化防止剤の消
耗量が極めて少なく電動回転機のメンテナンスフリー化
が達成できる。
【0018】軸受口径が大きい場合、潤滑グリースから
分離する混合ベース油の分離特性が重要となる。混合ベ
ース油としては蒸発損失、酸化劣化及び粘度変化の少な
い基油を潤滑面に適量ずつ長期にわたって供給し続ける
ことである。このためには、増ちょう剤の熱酸化安定
性,剪断安定性と混合ベース油の保持性などが重要とな
る。これらの特性に優れたリチウム石鹸,リチウムコン
プレックス石鹸,ジウレア化合物の使用と酸化防止剤ジ
アルキルジチオカルバミン酸塩化合物と芳香族アミン系
化合物の混合酸化防止剤の添加によって、増ちょう剤の
耐酸化劣化を大幅に改善でき、長期にわたって混合ベー
ス油をころがり軸受の潤滑面に供給できたので潤滑グリ
ースの長寿命化によって電動回転機の長期メンテナンス
フリーを達成できたものである。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により詳
しく説明する。なお、評価試験方法は次の通りである。
【0020】評価試験方法 (1)蒸発量試験 グリースを約20gをガラス製ビーカ,黄銅製皿に秤量
し、150℃の恒温槽中に静置し加熱前後の重量変化か
ら蒸発量の経時変化を測定した。この試験での蒸発量
は、ベース油中の軽質分と酸化劣化によって生成する揮
発性物資の蒸発が含まれるが、酸化劣化が大なるほど揮
発性物資の生成が増加するため蒸発量は大きくなる。
【0021】(2)全酸価測定 ガラス板及び黄銅板(厚さ2mm×長さ50mm×幅40m
m)にグリースを3mmの厚さに塗布し、これを150℃
の恒温槽中に静置して加熱劣化試験後、グリースから抽
出したベース油をJIS K 2501の方法により全酸
価を測定し、加熱劣化試験前後の変化を求めた。
【0022】(3)電動回転機による高速回転試験 電動回転機に組み込んだ円筒ころ軸受(NU314)よ
り回転試験後のグリースを採取し、グリース中に混入し
た軸受の摩耗量(鉄分)及び抽出ベース油の全酸価,酸
化防止剤の消耗量を測定した。なお、試験条件は下記の
通りである。
【0023】回転数:8,000rpm 荷重:500kgf 軸受外輪温度:100℃ ・グリース中の軸受摩耗量(グリース鉄粉濃度計:日本
鋼管(株)製):回転試験後のグリースをシリンジに充填
し、電磁誘導法によりグリースの磁気抵抗率の変化をコ
イルのインピーダンス変化として検出して、間接的に鉄
粉濃度を測定する。
【0024】・酸化防止剤の消耗量:FI−IR測定に
より試験前後における酸化防止剤の特定波数の吸光度変
化から消耗量を求めた。
【0025】(実施例1〜13及び比較例1〜22)表
1に示すアルキルフェニルエーテル油とポリオールエス
テル油を50:50の重量比で配合した混合ベース油に
混合酸化防止剤として(A)ジアルキルジチオカルバミ
ン酸塩系化合物のジブチルジチオカルバミン酸ニッケル
(ノクラックNBC:大内新興化学(株)製)と(B)
芳香族アミン系化合物のフェニル−α−ナフチルアミン
(ノクラックPA:大内新興化学(株)製)を50:5
0の重量比で組み合わせた混合酸化防止剤を1重量%添
加した混合ベース油組成物である。比較例として表2に
示す酸化防止剤1重量%添加したベース油組成物であ
る。それぞれのベース油組成物及び該ベース油組成物に
酸化触媒として黄銅を浸漬し、温度150℃で1200
時間加熱した。熱劣化試験後の蒸発量,全酸価,粘度比
及び析出物(スラッジ)を測定し、酸化防止剤の添加効
果を評価した。表3に実施例1〜13の結果を表4に比
較例1〜22の結果を示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】(実施例14〜26及び比較例23〜4
4)表1の実施例1〜14及び表2の比較例1〜22に
示した酸化防止剤を添加したベース油を用いたリチウム
石鹸グリースである。このリチウム石鹸グリースをガラ
ス板及び黄銅板に塗布し、温度150℃で1200時間
加熱劣化試験後、抽出したベース油の全酸価,粘度比お
よび電動機による高速回転試験後、円筒ころ軸受(NU
314)よりグリースを採取し、グリース中に混入した
軸受の摩耗量(鉄分),抽出ベース油の全酸価および酸
化防止剤の消耗量を測定した。実施例14〜26及び比
較例23〜44の結果を表5に示した。
【0031】
【表5】
【0032】リチウム石鹸グリースの製造は、下記の方
法で行った。
【0033】アルキルジフェニル−テル油全量410g
中にステアリン酸180gを加え、撹拌しながら完全に
溶解する温度(80〜90℃)まで加熱した。この温度
で水酸化リチウム28gと熱水56gの混合物を添加
し、攪拌しながら95〜100℃で1時間ケン化反応さ
せた。次に、撹拌しながら約210℃まで加熱し5分間
保持した後、ポリオールエステル油410gを加え、撹
拌冷却した。これを基グリースとした。
【0034】この基グリース891gを取り、酸化防止
剤9gを添加し、撹拌しながら100℃まで加熱した後、
室温まで撹拌冷却した。次に、三本ロールミル機で2〜
3回混練し、NLGIちょう度グレードNo.2のリチウ
ム石鹸グリースを調整した。 (実施例27〜39及び比較例45〜49)表1及び表
6に示す比較例45〜49のベース油に用いたリチウム
コンプレックス石鹸グリースである。
【0035】
【表6】
【0036】リチウムコンプレックス石鹸グリースの製
造は、下記の方法で行った。
【0037】アルキルジフェニルエーテル油全量435
g中に12−ヒドロキシステアリン酸106.6gとア
ゼライン酸23.4gを加え、撹拌しながら80〜90
℃まで加熱溶解した。この温度で水酸化リチウム26.
1gと熱水52.2gの混合物を添加し、攪拌しながら
95〜100℃で1時間ケン化反応させた。次に、撹拌
しながら約210℃まで加熱し5分間保持し、ポリオー
ルエステル油435gを加え、撹拌冷却した。これを基
グリースとした。
【0038】この基グリース891gを取り、酸化防止
剤9gを添加し、撹拌しながら100℃まで加熱した後、
室温まで撹拌冷却した。次に、三本ロールミル機で2〜
4回混練し、NLGIちょう度グレードNo.2のリチウ
ムコンプレックス石鹸グリースを調整した。このリチウ
ムコンプレックス石鹸グリースを実施例14と同様の試
験を実施した。その結果を表7に示した。
【0039】
【表7】
【0040】(実施例40〜52及び比較例50〜5
4)表1及び表6と同じベース油を用いたジウレア系グ
リースである。
【0041】ジウレアグリースは次の方法で製造した。
【0042】アルキルジフェニルエーテル油420g中
に4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート78.
8g を加え、撹拌しながら70〜75℃まで加熱溶解
した。70〜75℃でポリオールエステル油420g中
で溶解したオクチルアミン81.2gの混合物を添加し、撹
拌しながら95〜100℃で1時間反応させた。次に、
撹拌しながら約170℃まで加熱し、30分間保持した
後、室温まで撹拌冷却した。これを基グリースとした。
【0043】この基グリース891gを取り、混合酸化
防止剤9gを添加し、撹拌しながら100℃まで加熱し
た後、室温まで撹拌冷却した。次に、三本ロールミル機
で2〜4回混練し、NLGIちょう度グレードNo.2の
ジウレアグリースを調整した。このジウレアグリースを
実施例14と同様の試験を実施した。実施例40〜52
及び比較例50〜54の結果を表8に示した。
【0044】
【表8】
【0045】(実施例53〜79)モノアルキルテトラ
フェニルエーテル((株)松村研究所社製:S−310
1)とペンタエリスリトールトリエステル(コンプレッ
クス型ポリオールエステル,CIBA−GEIGY社
製:レオルーブLPE602)を50:50の重量比で
配合した混合ベース油に酸化防止剤(A)ジアルキルジ
チオカルバミン酸塩系化合物と(B)芳香族アミン系化
合物を表9に示す混合比で組み合わせた混合酸化防止剤
1重量%添加し実施例27と同様の方法でリチウムコン
プレックス石鹸グリースを調整した。このグリースを黄
銅板に塗布し、温度150℃で1200時間の加熱劣化
を行った。加熱劣化グリースよりベース油を抽出して全
酸価及び粘度比を測定した。その結果を表9に併記し
た。
【0046】
【表9】
【0047】(実施例80)ペンタエリスリトールテト
ラエステル(コンプレックス型ポリオールエステル;ア
デカファインケミカル社製:エフコルーブ100Z)と
アルキルジフェニルエーテル((株)松村研究所社製:
モレスコハイルーブLB−100)を50:50の重量
比で配合した混合ベース油と表10に示す混合比の混合
酸化防止剤を0.1〜6wt% 添加したリチウムコンプ
レックス石鹸グリースを調整した。このグリースを黄銅
板に2mmの厚さ塗布し、温度150℃で1200時間の
加熱劣化を行った。加熱劣化グリースより混合ベース油
を抽出して全酸価及び粘度比を測定した。その結果を表
10に併記した。
【0048】
【表10】
【0049】(実施例81〜92)トリメチロールプロ
パントリカプリレート(Reolub LT3000),ペンタエリス
リトールテトラヘプタネート(Reolubu LP2800)およびペ
ンタエリスリトールテトラエステル(コンプレックス型
ポリオールエステル油;アデカファインケミカル社製:
エフコルーブ100Z)とアルキルジフェニルエーテル
((株)松村研究所社製:モレスコハイルーブLB−1
00)を表11に示す混合ベース油に混合酸化防止剤
(A)ジアルキルジチオカルバミン酸塩系化合物のジブ
チルジチオカルバミン酸ニッケルと(B)芳香族アミン
系化合物のアルキル化フェニル−α−ナフチルアミンを
50:50の重量比で1重量%添加したベース油を用
い、実施例13と同様な方法でリチウム石鹸グリースを
得た。このグリースを黄銅板に塗布し、温度150℃で
1200時間の加熱劣化を行った。加熱劣化グリースよ
り潤滑基油を抽出して全酸価及び粘度比を測定した。そ
の結果を表11に併記した。
【0050】
【表11】
【0051】実施例から明らかなように、ポリオールエ
ステル油とアルキルフェニルエーテル油を配合した混合
ベース油に(A)アルキルジチオカルバミン酸塩系化合
物と(B)芳香族アミン系化合物を組み合わせた混合酸
化防止剤を添加したベース油、及び上記ベース油を用い
たリチウム石鹸,リチウムコンプレックス石鹸及びジウ
レア化合物を増ちょう剤に用いたグリースは、比較例の
潤滑油及びグリースに比し高温の条件においても蒸発
量,全酸価及び粘度比の変化が少なく熱酸化安定性に優
れている。また、電動回転機による高速試験においても
全酸価,酸化防止剤の消耗量,軸受の摩耗量等が極めて
少なく、電動回転機の無保守期間を大幅に延長できる。
【0052】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明のベース油組成物及び潤滑グリース組成物を用いた電
動機は、従来のグリースを用いた電動機では対応できな
い高温・高速の使用条件においてもメンテナンスフリー
化を達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 105:38 C10M 105:38 105:42 105:42 115:08 115:08 117:02 117:02 133:12 133:12 135:18) 135:18) C10N 30:10 C10N 30:10 40:02 40:02 50:10 50:10 (56)参考文献 特開 平1−308496(JP,A) 特開 昭57−55997(JP,A) 特開 平6−313183(JP,A) 特開 昭52−26506(JP,A) 特開 平8−188788(JP,A) 特開 平8−188790(JP,A) 特開 平9−3468(JP,A) 国際公開94/3565(WO,A1) 国際公開95/7963(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 5/173 F16C 33/66 C10M 169/00 - 169/06 C10M 105/18 C10M 105/38 - 105/46 C10M 115/08 C10M 117/02 - 117/04 C10M 133/12 - 133/14 C10M 135/18 C10N 30:10 C10N 40:02 C10N 50:10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転がり軸受と、該転がり軸受に用いられる
    グリース組成物と、を備えた電動回転機であって、 前記グリース組成物は、 ポリオールエステル又はコンプレックス型ポリオールエ
    ステルとアルキルフェニルエーテルを80:20〜2
    0:80の重量比で配合した混合基油と、アルキルジチ
    オカルバミン酸塩と芳香族アミン系化合物を90:10
    〜10:90の重量比でかつ上記グリース組成物全重量
    の0.2 〜5重量%であるよう配合された混合酸化防止
    剤と、リチウム石鹸,リチウムコンプレックス石鹸,ジ
    ウレア化合物のいずれかと、を有するグリース組成物で
    あることを特徴とする電動回転機。
JP09650595A 1995-04-21 1995-04-21 電動回転機 Expired - Fee Related JP3284821B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09650595A JP3284821B2 (ja) 1995-04-21 1995-04-21 電動回転機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09650595A JP3284821B2 (ja) 1995-04-21 1995-04-21 電動回転機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08294246A JPH08294246A (ja) 1996-11-05
JP3284821B2 true JP3284821B2 (ja) 2002-05-20

Family

ID=14166980

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09650595A Expired - Fee Related JP3284821B2 (ja) 1995-04-21 1995-04-21 電動回転機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3284821B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5226506A (en) * 1975-08-27 1977-02-28 Nippon Oil Co Ltd Lubricating oil composition for compressor
JPS5755997A (en) * 1980-09-22 1982-04-03 Hitachi Ltd Rust-proofing lubricating grease composition
JP2572814B2 (ja) * 1988-06-06 1997-01-16 協同油脂株式会社 グリース組成物
DE4393753T1 (de) * 1992-08-05 1997-07-24 Koyo Seiko Co Schmierfett für ein Wälzlager und damit abgedichtetes Wälzlager
JP3608805B2 (ja) * 1993-04-30 2005-01-12 東燃ゼネラル石油株式会社 潤滑油組成物
EP0719313B1 (en) * 1993-09-13 1997-08-06 Exxon Chemical Patents Inc. Mixed antioxidant composition
JPH08188790A (ja) * 1995-01-13 1996-07-23 Hitachi Ltd 潤滑油組成物及びグリース組成物
JPH08188788A (ja) * 1995-01-13 1996-07-23 Hitachi Ltd 電動機
JP3370829B2 (ja) * 1995-04-21 2003-01-27 株式会社日立製作所 潤滑グリース組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08294246A (ja) 1996-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3370829B2 (ja) 潤滑グリース組成物
EP2489721B1 (en) Use of a grease composition for bearing of wind power generator
JP4883920B2 (ja) グリース組成物および軸受
EP2935539B1 (en) Grease composition
JP5531392B2 (ja) グリース組成物及び軸受
EP2264132B1 (en) Grease composition and bearings
JP5738712B2 (ja) グリース組成物
WO2003099973A1 (fr) Composition de graisse et palier a rouleaux
JP2020083994A (ja) 円すいころ軸受用グリース組成物
JP3727683B2 (ja) 転がり軸受用極圧グリース潤滑剤組成物及びその調製方法
EP2738242A1 (en) Grease composition for ev/hev driving motor bearing and ev/hev driving motor bearing
JP4342034B2 (ja) 潤滑油組成物
JP2572814B2 (ja) グリース組成物
JP2012087221A (ja) グリース組成物
JP7397629B2 (ja) グリース組成物
JP2004346120A (ja) グリース組成物及びそれを用いた転がり軸受
JPH08188790A (ja) 潤滑油組成物及びグリース組成物
JPH1017884A (ja) 鉄道車両用軸受
JP3284821B2 (ja) 電動回転機
JPH08188788A (ja) 電動機
US20140336090A1 (en) Grease composition and bearing
JP4112692B2 (ja) グリース組成物及び転がり軸受
JP4309637B2 (ja) ミシン用潤滑剤組成物
JP2001187891A (ja) 潤滑油組成物及び潤滑グリース組成物
JPH09255984A (ja) 潤滑性に優れた高滴点グリース組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090308

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090308

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100308

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110308

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110308

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120308

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130308

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130308

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140308

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees