JP3283902B2 - 燃料集合体および可燃性毒物棒 - Google Patents

燃料集合体および可燃性毒物棒

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JP3283902B2
JP3283902B2 JP11474392A JP11474392A JP3283902B2 JP 3283902 B2 JP3283902 B2 JP 3283902B2 JP 11474392 A JP11474392 A JP 11474392A JP 11474392 A JP11474392 A JP 11474392A JP 3283902 B2 JP3283902 B2 JP 3283902B2
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉に使用す
る燃料集合体およびその可燃性毒物棒に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、従来の沸騰水型原子炉の燃料集
合体1は図25に示すごとく構成されている。すなわち、
燃料集合体1は核燃料物質を含む複数の燃料棒11と、1
本または複数本のウォーターロッド5と、これら燃料棒
11とウォーターロッド5を一定の間隔をおいて保持する
スペーサー16および上部タイプレート12と下部タイプレ
ート13により構成される燃料束3をチャンネルボックス
2で包んだ構造をしている。
【0003】この燃料集合体1は横断面が十字形の制御
棒の周囲に4体配置されて単位格子を構成し、この単位
格子を多数格子状に配列して炉心を構成している。これ
ら燃料集合体1は炉心内で3〜6サイクルの間燃焼さ
れ、1サイクル毎に全装荷体数の約1/4〜1/3の燃
料集合体が新燃料集合体と交換される。
【0004】1サイクルは約9ヵ月から13ヵ月である
が、近年これを15ヵ月ないし18ヵ月まで引き延ばすこと
も検討されている。
【0005】ところで、燃料集合体は燃焼が進むにつれ
て内蔵している燃料ウラン235 またはプルトニウム239
の濃度が低下していき、無限増倍率が低下していく。こ
のため、燃焼末期では原子炉の反応度が低下して必要な
出力が得られなくなる。
【0006】したがって、燃料のウラン235 またはプル
トニウム239 の濃度を高くしておく必要がある。燃料の
ウラン235 またはプルトニウム239 の濃度を高くする
と、燃焼初期においては反応度が過大となり、必要な炉
心の停止余裕が少なくなる不具合を生じる。
【0007】このため、従来の燃料集合体は一部の燃料
中に可燃性毒物、例えばガドリニアを混入し、燃焼初期
において無限増倍率が低くなるように構成され、燃焼初
期において反応度が過大となるのを防止している。そし
て、図19(a)に示すごとくこのガドリニアを含んだ燃
料棒11(図19(a)中符号Gを付して示す)は燃料集合
体の外周から2層目またはさらに内部に配置される。
【0008】また、燃料集合体のチャンネルボックス2
内を流れる冷却材(軽水)は蒸気すなわちボイドを含ん
でおり、見かけ上の比重が小さい。これに対してチャン
ネルボックス2の外側の冷却材にはボイドが含まれてい
ない。沸騰水型原子炉ではこの冷却材が中性子の減速材
を兼ねているので、燃料集合体の周辺部では中性子の減
速作用が大きく、中心部では減速作用が小さい。
【0009】このため、燃料集合体の周辺部の燃料棒11
は出力が大きく、また中心部の燃料棒は出力が低くな
り、燃料集合体内での出力分布が不均一となる。そこ
で、燃料集合体の中心部には燃料棒の代わりにウォータ
ーロッド5(図19(a)中符号WRを付して示す)が配
置されている。このウォーターロッド5は中空管状をな
し、上端部および下端部には冷却材が流れる流入孔5
a,流出孔5bが形成されている。
【0010】そして、ボイドを含まない冷却材(軽水)
がウォーターロッド5内に流入し、ウォーターロッド5
内に存在するボイドを含まない冷却材によって中性子の
減速がなされ、燃料集合体の中心部の燃料棒11の出力を
増加し、燃料集合体内の出力分布を均一化する。
【0011】可燃性毒物は中性子を吸収して燃焼初期に
は燃料集合体の無限増倍率を抑制し、燃焼の進行ととも
に中性子の吸収により可燃性毒物の中性子吸収能力が低
下していき、無限増倍率抑制効果が減少していく。
【0012】この可燃性毒物による燃料集合体の無限増
倍率の変化は図23に破線で示すごとく燃焼度が約1サイ
クル経過するまでの間は燃焼の進行とともに無限増倍率
の抑制効果が減少して無限増倍率を増加させ、約1サイ
クルで完全に可燃性毒物は燃焼する。その後は燃料のウ
ラン235 またはプルトニウム239 の濃度の低下により無
限増倍率が低下していく特性が好ましい。
【0013】このような特性により、原子炉の定期点検
時に炉心に装荷されている全燃料集合体数の約1/4〜
1/3の最も燃焼の進んだ燃料集合体を新燃料集合体と
交換して運転すると、この新燃料集合体の無限増倍率の
増加によって、他の旧燃料集合体の無限増倍率の減少を
補償する。そして1サイクルの間、すなわち定期点検時
の燃料交換から次の定期点検時の燃料交換までの間、炉
心全体の無限増倍率の平均値をほぼ一定に維持し、炉心
全体の反応度がほぼ一定に維持される。
【0014】ところで、燃料の中に可燃性毒物としてガ
ドリニアを添加すると、その添加濃度が高い程燃料ペレ
ットの熱伝導度および融点が低下してくる。その結果、
ガドリニア添加燃料ペレットの温度が高くなり、ペレッ
ト内の核分裂生成ガス(FPガス)の放出が増加し、燃
料棒内に設けられたガスプレナム内へのガス蓄積が増加
し、燃料棒の内圧が増加する。
【0015】このため、燃料棒の機械的設計に当たって
はガドリニア添加燃料棒をガドリニア非添加燃料棒の内
圧および燃料ペレットの熱膨脹によるペレットと被覆管
の干渉の度合いを同程度にするため、ガドリニア添加燃
料棒のウラン235 濃縮度またはプルトニウム富化度をガ
ドリニア非添加燃料棒より下げたり、またはガスプレナ
ムの容量をより大きくしている。
【0016】運転サイクルの期間の拡大(従来の9ヵ月
ないし13ヵ月運転から15ヵ月ないし18ヵ月運転への運転
期間の長期化計画)とか燃料取り出し燃焼度の向上によ
る燃料サイクルコストの低減のために、燃料集合体平均
のウラン235 濃縮度またはプルトニウム富化度を従来よ
り高める最近の燃料集合体設計では、燃料集合体の初期
反応度を抑制するための可燃性毒物の添加は添加燃料棒
の本数の増加と添加濃度の増加で対処されている。
【0017】その結果、前述のようにガドリニア添加燃
料棒に対するガスプレナム容量増加と濃縮または富化度
低下の要求がさらに強くなってくる。これはつまり、燃
料集合体へのウラン235 またはプルトニウム239 の装荷
量の増加制限になっている。
【0018】このような高燃焼度向け燃料における可燃
性毒物添加燃料棒の前記問題を改善し、燃焼初期におけ
る反応度抑制の特性に優れた燃料集合体の提供と、それ
に適した可燃性毒物の製造法に関連した技術としては特
公昭58-16712号公報「可燃性毒物棒」に記載されたPW
Rにおける可燃性毒物棒の技術が知られている。それを
以下に説明する。
【0019】可燃性毒物棒は燃料集合体内のロッド・ク
ラスタ型制御棒(RCC)の制御棒案内鞘の空位置に据
え付け、燃料集合体内に組み込む使用法が通例である。
燃料集合体中の可燃性毒物の濃度、本数および可燃性毒
物を組み込む燃料集合体数は諸種出力条件に対して、減
速材の温度係数が負であることを保証するに足りるまで
可溶性ホウ素濃度が低下するよう定められている。
【0020】原子炉運転中、これらの可燃性毒物中の毒
物質含量が減損し、したがって、正の反応度が増して燃
料の減損および核分裂生成物の蓄積による負の反応度を
幾分か打ち消す。サイクル末期の諸条件で若干の残留毒
物が残っている場合があり、これは炉心の正味寿命の短
縮となる。
【0021】その他、可燃性毒物棒が減速材を押しの
け、可燃性毒物棒の寄生的構造材料が中性子を吸収し
て、炉心の利用可能な反応度寿命をさらに短縮する。可
燃性毒物棒は反応度制御に加えて、炉心の半径方向に好
ましい出力分布を得るために計画的に配置される。
【0022】米国特許第3,510,350 号明細書には、二重
円筒状金属管の環状空間内にホウケイ酸塩ガラス製管を
挿入した可燃性毒物棒が記載されている。内側の金属管
内部には軸方向のボイドがあって、このボイドによって
形成されるガスプレナムは、ホウ素が中性子を吸収して
生じるヘリウムガスのような反応ガス生成物を受け入れ
る。
【0023】この可燃性毒物棒の炉心寿命末期における
構造物による寄生的中性子吸収の多い点を改善するた
め、細長い外管と、この外管内に同心的に配置される内
管と、外管および内管に取り付けられる上側および下側
の端栓と、外管および内管の間に画定された環状空間内
に可燃性毒物からなる環状ペレットとを設けている。
【0024】このように構成された可燃性毒物棒は中性
子減速機能を有する原子炉冷却材が内管内を貫流して冷
却材含量を増大するように、上側および下側の端栓に内
管の内側孔に連通する軸方向の通路を有する。
【0025】この従来例では可燃性毒物棒の外管および
内管ともにジルコニウム合金でつくることができ、可燃
性毒物製環状ペレットは炭化ホウ素−酸化アルミニウム
(B4 C−Al2 3 )、ホウ化ジルコニウム(ZrB
2 )などのようなホウ化物、酸化ガドリニウム(Gd2
3 )などのような酸化物等の可燃性毒物で構成されて
いる。
【0026】特公昭58-40158号公報「原子炉で使用する
可燃性毒物質棒」には、炉心寿命末期に残留する可燃性
毒物量を低減し、同時に可燃性毒物ペレットを炭化ホウ
素−酸化アルミニウム(B4 C−Al2 3 )の形でホ
ウ素の含有量を低減するために酸化アルミニウムで希釈
する場合、酸化アルミニウムの吸湿性により湿分管理が
難しい問題点があるので、この問題点を改良すべく可燃
性毒物棒が開示されている。
【0027】この可燃性毒物棒では、可燃性毒物ペレッ
トは炭化ホウ素からなり、これに使用されるホウ素は天
然ホウ素の中に含まれるB10の量18.6wt%よりも化学的
にB10の濃度を劣化させた1%〜8%のものを使用する
のが特徴である。希釈ホウ素の化合物の形態としては炭
化ホウ素の他に窒化ホウ素、二ホウ化ジルコニウムを挙
げている。
【0028】特公平3-37717 号公報「原子炉燃料集合体
用焼結可燃性中性子吸収材ペレット」には、特公昭58-1
6712号公報「可燃性毒物棒」に開示された可燃性毒物ペ
レット、つまり炭化ホウ素−酸化アルミニウム(B4
−Al2 3 )の形でホウ素の含有量を低減するために
酸化アルミニウムで希釈する場合の、酸化アルミニウム
の吸湿性により湿分管理が難しい問題点を改善する方法
として、湿気の吸着を制限するための焼結用添加剤を加
えることが開示されている。
【0029】焼結添加剤としてはケイ酸、酸化マグネシ
ウム、タルク、ケイ酸ナトリウムおよびシリカが、酸化
アルミニウムで希釈される可燃性毒物としてはホウ素、
ガドリニウム、サマリウム、カドミウム、ユウロピウ
ム、ハフニウム、またはインジウムから選ばれた化合物
が例示されている。
【0030】特公平1-45037 号公報「環状の可燃性吸収
棒」には可燃性毒物ペレットの吸湿性をなくし、可燃性
毒物棒の構造体積をできるだけ薄くし、可燃性毒物棒に
よる減速材の排除量を低減するために、環状のスペース
内に設けたニオブ製の支持管を用い、その支持管表面の
少なくとも1部に、炭化ホウ素、窒化ホウ素または二ホ
ウ化ジルコニウムを含むホウ素化合物のグループから選
択された可燃性中性子吸収材の厚さ0.05〜0.25mmの層を
有する可燃性吸収棒が開示されている。
【0031】特公平3-11674 号公報「核反応炉用の燃料
装置」には、上下端が上下ノズルにそれぞれ連結された
制御棒案内管の外周面に嵌合するように可燃性中性子毒
物を含有したスリーブを設ける可燃性毒物を使用した燃
料集合体が開示されている。このスリーブはジルコニウ
ム合金に炭化ホウ素の粒子またはガドリニウムを含有さ
せたものである。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】PWR用可燃性毒物棒
はBWR用におけるホウ素に比較して高い中性子吸収断
面積を有するガドリニウムを可燃性毒物として可燃性毒
物棒内で使用する場合の、燃料集合体内における燃料濃
縮度分布設計、燃料ペレットに添加する可燃性毒物ガド
リニアの濃度分布設計の特殊な要求との組み合わせを考
えていない。
【0033】すなわち、BWRにおいては、チャンネル
ボックスの外側に減速材として主に作用する非沸騰の軽
水が流れており、燃料集合体の外側で熱中性子束が高
く、燃料集合体内部では少ない点を改善するために、燃
料集合体の中央に1本または複数のウォーターロッドを
有している。
【0034】しかしながら、この位置に特公昭58-16712
号公報「可燃性毒物棒」に記載されたPWR可燃性毒物
棒の技術を適用すると、燃料集合体外側の燃料棒の局所
出力ピーキングが大きくなりすぎる課題がある。また、
BWRでは軸方向にボイド分布を有するため、その対策
が必要である。さらに環状の可燃性毒物棒の径がPWR
の場合よりも2倍以上に大きくなるため、セラミックス
製の環状可燃性毒物材の製造性が悪くなる課題がある。
【0035】また、PWRにおける可燃性毒物棒の使用
は、サイクル初期における炉心の余剰反応度を冷却水中
の可溶性ホウ素濃度で制御するとホウ素濃度が高くなり
すぎ、減速材温度係数がサイクル初期において正になる
のを防ぐためである。
【0036】したがって、可燃性毒物棒内の可燃性中性
子吸収物質の効果は、サイクルの前半における冷却水の
可溶性ホウ素濃度を抑制する程度の薄さだけあればよ
く、サイクル末期まで残留するのはむしろ炉心のサイク
ル寿命を短くして燃料経済性を悪化させるだけであり、
可能な限り薄い濃度の設計とすることが原則である。
【0037】特にガドリニアの濃度が高いペレットの場
合の濃度調整手段として希釈用のセラミックスを考えた
場合、酸化アルミニウムでは前述したように吸湿性の課
題、万一の原子炉冷却水の可燃性毒物充填室内へのリー
ク時の高温水との反応の課題がある。
【0038】特に、PWR用可燃性毒物棒は1サイクル
後に抜き出されて、流量制限ロッドまたは制御棒が挿入
される。
【0039】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、サイクルの大半の期間、燃料の過剰反応を抑
制し、可燃性中性子吸収物質の量が少なくでき、高燃焼
度向け燃料における可燃性毒物添加燃料棒を改良して燃
焼初期における反応度抑制特性に優れた燃料集合体と、
それに適した可燃性毒物棒を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】第1の発明は外管と、こ
の外管に同心的に配置される内管と、前記外管と前記内
管との間に形成される空間の上下端を封止する上部環状
端栓および下部環状端栓と、前記外管と前記内管との間
に形成される空間に配置され可燃性毒物を含有する可燃
性毒物部材と、前記下部環状端栓に接続され冷却材入り
口孔を有する下部端管と、前記上部環状端栓に接続され
冷却材漏洩孔を有する上部端管とを具備する可燃性毒物
棒において、前記可燃性毒物部材は軸方向および周方向
に分布する複数の孔を有することを特徴とする。
【0041】第2の発明は、外管と、この外管に同心的
に配置される内管と、前記外管と前記内管との間に形成
される空間の上下端を封止する上部環状端栓および下部
環状端栓と、前記外管および前記内管との間に形成され
る空間に配置された可燃性毒物保持母材と、前記可燃性
毒物保持母材の軸方向および周方向に分布して設けられ
た孔にはめ込まれ可燃性毒物を有する複数の可燃性毒物
部材と、前記下部環状端栓に接続され冷却材入り口孔を
有する下部端管と、前記上部環状端栓に接続され冷却材
漏洩孔を有する上部端管とを具備することを特徴とす
る。第3の発明は、冷却材流路を形成する角筒状のチャ
ンネルボックス内に、上端部が上部タイプレートに保持
され、下端部が下部タイプレートに保持され、複数の燃
料ペレットを充填した複数の燃料棒を有し、内部を冷却
材が貫流する可燃性毒物棒を少なくとも1本有する燃料
集合体において、前記可燃性毒物棒は請求項1または請
求項2に記載の可燃性毒物棒であることを特徴とする。
【0042】
【作用】第1の発明においては、可燃性毒物部材に設け
た孔の形状または孔の分布密度により可燃性毒物の軸方
向を調整することができる。これにより、反応度抑制の
期間と抑制の度合を容易に調整できる。また、可燃性毒
物部材の製造種類が低減でき、さらに可燃性毒物量が孔
の密度などから目視判定できる。第2の発明において
は、可燃性毒物部材のはめ込み面積を変えることによっ
て可燃性毒物量を変えることができる。また、可燃性毒
物の濃度は高いが、その量が低い可燃性毒物の実現が容
易である。第3の発明においては、第1および第2の発
明の作用効果に準じるものである。
【0043】第の発明においては可燃性毒物棒の二重
円筒状金属管の環状空間に挿入するガドリニウム添加ジ
ルコニウム合金、またはガドリニアを含有したジルコニ
ウム・サーメットは板材から曲げ加工して円筒状に形成
し、環状空間内に積み上げるようにして挿入し充填す
る。
【0044】この場合、板材の段階で適切に調整した円
形または長円形の打ち抜き孔を加工して、可燃性毒物の
量を制御することもできる。この円筒状の部材の軸方向
長さは炉心の軸方向燃料有効部長を複数の区間に分割し
て核計算を行っている設計に適合するように選ぶ。
【0045】ジルコニウム合金、ジルコニウム・サーメ
ットに含有されるガドリニウムまたはガドリニアの濃度
または量を変えたものを複数用意し二重円筒状管内に充
填する場合軸方向にガドリニア濃度または量の空間分布
を実現する。可燃性毒物棒に添加する可燃性毒物の濃度
は燃料集合体が装荷されるサイクル長さを単位として約
1.0〜 1.5サイクルに亘って反応度抑制効果をもたせる
濃度にすることが望ましい。
【0046】また、燃料集合体の外周部の一層目または
二層目に配置されている燃料棒の燃料ペレットにガドリ
ニアを添加する場合、3%以下に抑制し、これ以上の濃
度の高いガドリニアは燃料ペレットには添加しないこと
が望ましい。
【0047】
【実施例】本発明に係る燃料集合体の第1の実施例を図
1から図11を参照しながら説明する。図1は燃料集合体
10の立面図、図2は図1のA−A矢視方向を切断した断
面を拡大して示している。
【0048】図1において、燃料集合体10はこの実施例
では図2に示したように9×9格子であり、標準長燃料
棒(以下、燃料棒と記す)11、上部タイプレート12、下
部タイプレート13、燃料スペーサー16a,16b、チャン
ネルボックス2、可燃性毒物棒19および部分長燃料棒20
からなっている。
【0049】燃料棒11の上下端部は上部タイプレート12
および下部タイプレート13で保持される。可燃性毒物棒
19も両端が上部タイプレート12および下部タイプレート
13に保持される。燃料スペーサー16a,16bは燃料集合
体10の軸方向に複数配置され、燃料棒11および可燃性毒
物棒19の相互間の間隙を適切に保持する。
【0050】燃料スペーサー16a,16bの軸方向の位置
は可燃性毒物棒19のタブ(図示せず)によって保持され
る。また、燃料棒11より長さが短く構成された短尺の部
分長燃料棒20が8本配置されており、この部分長燃料棒
20の上端はスペーサー16aから少し上方に突き出た形で
保持されている。
【0051】チャンネルボックス2は上部タイプレート
12にネジ(図示せず)によって取り付けられ、燃料スペ
ーサー16a,16bで保持された燃料棒11,部分長燃料棒
20、可燃性毒物棒19の束の外周を取り囲み、燃料集合体
を構成する。
【0052】下部タイプレート13は炉心支持板に固定さ
れた制御棒案内管にはめ込まれた燃料支持金具(図では
省略)の上に載置され、上端部に燃料棒支持部14を有
し、しかも燃料棒支持部14の下方に空間15(図1では省
略。図17参照)を有している。燃料棒支持部14が燃料棒
11,部分長燃料棒20および可燃性毒物棒19の下端部を支
持している。
【0053】図3に燃料棒11と部分長燃料棒20を比較し
て示す。図3(a)は図1における燃料棒11で、図3
(b)は部分長燃料棒20をそれぞれ示している。燃料棒
11,部分長燃料棒20は図3(a),(b)に示すように
上部端栓46,46’および下部端栓47で両端が密封された
被覆管45内に多数の燃料ペレット48を充填したもので、
ガスプレナム49が被覆管45内の上端部に設けられてい
る。このように、両者は構造は類似しており、異なるの
は寸法と上部端栓である。
【0054】可燃性毒物棒19の直径は燃料棒11,部分長
燃料棒20の外径より大きく、燃料棒11の束の中央部に配
置されている。
【0055】可燃性毒物棒19について図4および図5に
より説明する。図4は可燃性毒物棒19が燃料棒11と同じ
長さで長尺のため、上下半分ずつを左右に分割して記載
しているが、実際には1本の連続した棒状体となってい
る。
【0056】可燃性毒物棒19は外管21と、この外管21内
の内管22と、この外管21と内管22との間に形成される環
状空間内に充填する可燃性毒物部材23、環状空間の上下
両端を封止する上部環状端栓25および下部環状端栓26、
上下部環状端栓25,26に接続する上部端管27および下部
端管28、上下部端管27,28を閉塞する上部端栓31および
下部端栓32からなっている。
【0057】すなわち、細長い外管21と、この外管21内
に同心に配置される内管22と、外管21および内管22の上
下端に取り付けられる上部環状端栓25および下部環状端
栓26と、外管21と内管22との間に画定された環状空間
と、この環状空間内に充填された可燃性毒物部材23とか
らなっている。
【0058】可燃性毒物としてはガドリニウムまたはガ
ドリニアである。可燃性毒物部材23はガドリニウムまた
はガドリニアを含有するジルコニウム合金またはジルコ
ニウム・サーメットでその厚さが約1〜2mmで、平板を
曲げ加工によって円筒状に形成したものである。
【0059】前記下部環状端栓26は下部端栓32を有する
一重の下部端管28に連なり、前記上部環状端栓25は上部
端栓31を有する一重の上部端管27に連なっている。上部
端管27,下部端管28は冷却材の流れに対する抵抗が小さ
くなるよう滑らかに成形されている。下部端管28には冷
却材入り口孔29が形成され、上部端管27には2つの冷却
材漏洩孔30,30aが設けられている。
【0060】下部端管28に設けられた冷却材入り口孔29
から中性子減速機能を持つ原子炉冷却材を燃料束内の燃
料棒間の冷却材流路から取り込み、前記内管22内を貫流
し、前記上部端管27に設けられた漏洩孔30,30aから前
記内管22を貫流する原子炉冷却材を燃料束内の燃料棒間
の冷却材流路に放出する。
【0061】図2に示した前記可燃性毒物棒19のうち、
少なくとも1本は燃料棒11,20および他の可燃性毒物棒
19を水平方向に間隔を保持するために燃料束の軸方向に
複数配されたスペーサー16a,16bの軸方向の位置を保
持するタブを有する。このタブは前記可燃性毒物棒19の
外表面に、燃料スペーサー16a,16bが位置する各箇所
に燃料スペーサー16a,16bの高さ分の間隔を設けて長
方形の金属片を2個溶接したものである。
【0062】前記可燃性毒物棒19の可燃性毒物を含有す
る金属、サーメットの可燃性毒物部材23の充填領域は燃
料棒11の燃料ペレット充填部(燃料有効長)の上下端そ
れぞれ燃料有効長の1/24ないし1/12の長さ部分を除
いて設ける。
【0063】また、可燃性毒物充填領域において、軸方
向に可燃性毒物濃度分布またはその密度分布を有し、燃
料有効長の下方から1/3ないし1/2の位置を境とし
て上方の可燃性毒物濃度、またはその密度を下方より小
さくする。
【0064】さらに、燃料有効長の下方から1/3ない
し1/2の位置に第1の区切れ目、燃料有効長の下方か
ら5/8ないし5/6の位置に第2の区切れ目を有し、
可燃性毒物濃度またはその密度が第1の区切れ目より下
方の領域で最も高く、第1と第2の区切れ目に挟まれた
領域が次いで高く、第2の区切れ目より上方の領域が最
も低い分布とする。
【0065】これらの区切れ目は燃料棒11の軸方向濃縮
度分布の区切れ目または可燃性毒物添加燃料棒の可燃性
毒物量の軸方向分布の区切れ目と同一とするとよい。
【0066】次に、可燃性毒物を含有した円筒状可燃性
毒物部材の3つの例を図5から図7に示す。図5(b)
はガドリニウムを含有するジルコニウム合金またはガド
リニアを含有するジルコニウム・サーメットを円筒状に
形成した可燃性毒物部材23であり、図6(b)は図5
(b)において細長い空孔36を打ち抜いた可燃性毒物部
材23aを示し、図7(b)は図5(b)において多数の
小径空孔36aを打ち抜いた可燃性毒物部材23bを示して
いる。
【0067】すなわち、可燃性毒物部材23aに長円形ま
たは円形の打ち抜き孔をあけて可燃性毒物量を調整し、
その孔形状または孔分布密度の差を有するそれぞれの可
燃性毒物部材を前記のように可燃性毒物棒の環状空間内
に充填する。これによって可燃性毒物の軸方向分布をつ
け、孔の大きさ、分布は板材の厚さとガドリニウムまた
はガドリニアの添加濃度に合わせて調整する。
【0068】例えば、外径約24mm、厚さ約2mmの状可燃
性毒物部材として、ジルコニウムに約15%体積密度のガ
ドリニアを含有したサーメットを使えば、約11mm径の燃
料棒4本に含有される約 4.5wt%のガドリニアに相当す
る量がほぼ含有されることになる。この濃度は燃料集合
体の寿命初期からサイクル長さで約 1.0〜 1.5サイクル
の長さに相当する濃度に設定すると、燃料集合体の径方
向出力分布および炉停止余裕上都合がよい。
【0069】従来のガドリニア含有燃料棒において、下
部で 4.5wt%、上部で 3.0wt%の燃料ペレットを使用し
た場合、上部を4本分の可燃性毒物入り燃料棒と同等の
量とするためには可燃性毒物部材に約33.3%体積の空孔
をあければよいことになる。
【0070】図2および図11に示すように可燃性毒物棒
19は燃料束の中央に配置され、可燃性毒物棒19に面した
燃料棒のうち、少なくとも可燃性毒物棒19によって占め
られている燃料棒セルの数だけは可燃性毒物を含まない
燃料棒とし、燃料束の最外周または最外周から2層目に
複数の可燃性毒物を含む燃料棒は、3wt%以下の濃度の
可燃性毒物とする。
【0071】次に上記第1の実施例の作用を説明する。
本実施例の燃料集合体をBWRの炉心に装荷して原子炉
を運転する。冷却水の大部分は下部タイプレート13の燃
料棒支持部14に設けられた貫通口(図1中では省略)を
通って燃料棒11,部分長燃料棒20の間の冷却水流路に導
かれる。下部タイプレート13の空間15に流入した冷却水
の残りの一方は、図4に示したように可燃性毒物棒19の
冷却材入り口孔29から冷却材流路24内に流入し、漏洩孔
30,30aから上部タイプレート12より下方の位置の冷却
水流路に吐出される。
【0072】この結果、可燃性毒物棒19の環状空間内に
充填された可燃性毒物(ここではガドリニウムまたはガ
ドリニア)を含有したジルコニウム金属製の円筒状可燃
性毒物部材23が燃料集合体の寿命初期からサイクル長さ
で約 1.0〜 1.5サイクルまで中性子を吸収して、燃料の
過剰な反応度を抑制する。
【0073】燃料ペレットに添加されたガドリニアの場
合、ウランとガドリニウムの熱中性子吸収効果が強いの
で図22(b)に示すように燃料ペレットの外側で大半の
熱中性子が吸収されて燃料ペレット内部の熱中性子束は
大きく低下する(これを遮蔽効果という)。その結果、
図22(a)に示すように燃料ペレットに添加したガドリ
ニウムは外側から速く核変換して中性子吸収能力を失っ
ていく。
【0074】そのため、実効的にガドリニウムの熱中性
子に曝される表面積が燃焼が進むにしたがって徐々に小
さくなる。反応度抑制効果はガドリニウムが熱中性子に
曝される実効的な表面積に比例すると近似できるので、
従来の技術では燃焼が進むと急速に反応度抑制効果が低
下する。
【0075】これに対し実施例における可燃性毒物棒の
場合、高速および中速中性子束は可燃性毒物棒の内部お
よび周囲では熱中性子ほど大きな径方向分布を持たず、
可燃性毒物棒19の冷却材流路24において十分な減速材が
用意されているので熱中性子が円筒状可燃性毒物部材23
の内面から十分供給される。
【0076】また、図11の燃料集合体の燃料濃縮度分布
およびガドリニア添加燃料棒配置の本実施例からわかる
ように、本発明では可燃性毒物棒19の周囲に可燃性毒物
添加の燃料棒が少ないので(ほとんど設けない)円筒状
薄板の可燃性毒物部材の外側からも十分な熱中性子が燃
料棒間の冷却水流路内の水によって減速され供給され
る。
【0077】本実施例では約15体積%のガドリニア濃度
を例示しているが、これによって可燃性毒物を 4.5wt%
添加の燃料棒約4本分の可燃性毒物を保有でき、表面積
も燃料棒の約4本分の値を実現している。この結果、ほ
ぼ等価な中性子吸収能力が得られる。
【0078】このように比較的高濃度に可燃性毒物濃度
が設定でき、円筒形板材の内外から熱中性子が吸収され
て表面からガドリニウムの核変換が進むが実効的な熱中
性子吸収に寄与する表面積が変化しない。したがって、
燃焼が進んでも急速には反応度抑制効果を失わない。
【0079】特に長い期間反応度を抑制しながら、目標
の時期にはガドリニウムの熱中性子吸収効果を失うよう
に調整するには、円筒形のジルコニウムに添加するガド
リニウムまたはガドリニアの濃度ガドリニウムが燃焼
し尽くす時期で設定して、円筒状可燃性毒物部材に図6
および図7に示したような空孔36、36aをあけて反応度
抑制効果を調整することにより反応度抑制の期間と抑制
の度合を容易に調整実現できる。
【0080】次に本発明に係る燃料集合体の第1の実施
例における可燃性毒物燃料の配置例を従来例と比較して
図11によって説明する。図11(a)は従来例で、図11
(b)は本発明である。この例は図10に示す軸方向にお
ける濃縮度が最大の中央部の水平断面の濃縮度、可燃性
毒物分布の例である。
【0081】従来例では、最大ペレット濃縮度 5.0wt%
以下の設計条件で燃料集合体の断面平均濃縮度約 4.2wt
%の燃料の場合、サイクルの余剰反応度抑制および炉停
止余裕の制限から、ガドリニア濃度約 4.5wt%の可燃性
毒物添加燃料棒が約14本必要となる(図11(a)参
照)。
【0082】これに対して、本実施例では中央部の6本
の可燃性毒物添加燃料棒が最大濃縮度の燃料棒に置き代
えることができ、これにより水平断面の平均の濃縮度が
約 0.1wt%増加するので、従来例と同様の取り出し燃焼
度に調整すると、各燃料棒の濃縮度を従来例より約 0.1
wt%ずつ低減できる。
【0083】ところで、本実施例における可燃性毒物棒
による反応度抑制作用は燃料集合体の中央に位置してい
る中性子吸収効果によるため、燃料集合体外周部の燃料
棒に出力ピーキングが生じ易い。特に燃料集合体の4隅
の燃料棒とそれに隣接する最外周の燃料棒の出力ピーキ
ングがBWRでは特に大きい。
【0084】このため、燃料寿命初期の 0.5〜 0.8サイ
クル以下の期間の余剰反応度の抑制とその期間の前記燃
料集合体外周部の燃料棒の局所出力ピーキングの抑制を
兼ねて、最外周または最外周から二層目の位置の燃料棒
に燃料寿命初期の 0.5〜 0.8サイクル以下の期間で中性
子吸収能力が失われるような例えば約3wt%以下のガド
リニアを添加した燃料棒を使用する。
【0085】この結果、新燃料として炉心に装荷された
本発明の燃料は図23の実線に示すように期間“B”にお
いて無限中性子増倍率が従来より高い値をもって、かつ
可燃性毒物添加の燃焼棒の燃焼によって急速に増加する
が、それが燃え尽きると以後は“A”の間、本発明の可
燃性毒物棒の効果が残り、無限中性子増倍率は緩やかに
増加し、ピーク値は従来よりなだらかで低い値となる。
【0086】これに対し、図11(a)の従来例では可燃
性毒物添加の燃料棒の本数も多く、その濃度もほぼ同じ
で約 4.5wt%と燃料寿命の約 1.0サイクルの時点で燃え
尽きるように濃度が設定されているので、ほぼ直線的に
無限増倍率が増加する。
【0087】この結果、従来例では可燃性毒物の燃え尽
きた時期における中性子無限増倍率のピークが高くな
り、径方向出力分布が大きくなる特性がある。この対策
としては燃料棒に添加するガドリニアの濃度をさらに増
やすことが考えられる。
【0088】しかしながら、寿命初期の中性子無限増倍
率が 0.9程度まで近づきサイクル初期の余剰反応度が不
足する問題と、燃料棒にガドリニアを高濃度で添加すれ
ばするほどペレットの温度が高くなり核分裂性ガスがペ
レットから放出される量が増し、燃料棒の内圧が増加す
るので、その低減のため当該燃料棒のウラン濃縮度を下
げることが必要となる。
【0089】また、図24から明らかなように、可燃性毒
物添加燃料棒は燃焼初期においてはガドリニウムの強い
熱中性子吸収効果により、燃料棒出力が極めて低く、そ
の分他の可燃性毒物が添加されていない燃料棒の局所出
力ピーキングが高くなる。特に、燃料集合体の最外周の
4隅近傍の燃料棒の局所出力ピーキングが高くなる。
【0090】したがって、従来例において、ガドリニア
の添加濃度をさらに増加させることは、寿命初期の局所
出力ピーキングをさらに増大させることとなり、その対
策として燃料集合体水平断面の濃縮度分布設計を濃縮度
の数を増して複雑化することになる。
【0091】図24に本発明と従来例の運転中の燃料集合
体の局所出力ピーキングの燃焼変化を示す。本発明で
は、従来例に比較してガドリニア添加燃料棒が6本少な
い、つまり高出力ピーキングの燃料棒が6本多いので、
燃焼初期における局所出力ピーキングが従来より少なく
とも10%は緩和される。
【0092】また、ガドリニア添加燃料棒も従来より薄
い添加濃度であり、ガドリニウムの燃焼につれ従来より
急速に出力が増加し、寿命初期の燃焼が進んだ時点にお
ける局所出力ピーキング係数の低減に寄与する。
【0093】図10に示すような燃料棒の軸方向濃縮度分
布および可燃性毒物量分布、可燃性毒物棒の軸方向可燃
性毒物量分布設計を行うことによって、部分長燃料棒を
有する燃料集合体の場合の、軸方向にボイド分布を有す
るBWRにおける出力分布特性に適合した、軸方向の中
性子の漏れが少ない出力分布で、またサイクル運転中の
軸方向出力分布が安定して平坦化され、サイクル末期に
おいても炉心軸方向出力分布が中央ピークないしやや下
方ピークの出力分布を実現し、良好なスクラムカーブ特
性を実現できる。
【0094】燃料有効長の上部、天然ウランまたは劣化
ウランを装填する区画のすぐ下方の領域において、可燃
性毒物の燃え残りによる反応度損失を低減するため従来
からこの領域の可燃性毒物の濃度、量を低減してきたが
本発明の実施例でも容易に実施できる。図10に示すよう
に燃料棒に添加するガドリニアはもともと薄いので、可
燃性毒物棒の方だけ可燃性毒物の濃度を薄くすることが
考えられ、逆にすることもできる。
【0095】可燃性毒物棒の軸方向毒物量分布を図6,
図7のような空孔36,36aの分布密度を変えることによ
って実現する場合、円筒部材の軸方向に接する部分も含
めて軸方向、周方向に一様に空孔をあけることによっ
て、中性子吸収効果の空間的片寄りを防止できる。
【0096】可燃性毒物棒を毒物量の異なる2種類を用
意し、炉心の中央領域に装荷する新燃料集合体は可燃性
毒物量の多い可燃性毒物棒を、外周部領域に装荷する新
燃料集合体には可燃性毒物量の少ない可燃性毒物棒を組
み込むことによって、炉心の径方向出力分布を平坦化す
ることができる。
【0097】次に上記実施例の効果を説明する。本実施
例によれば、燃料ペレットに低濃度の可燃性毒物を添加
し、高濃度の可燃性毒物を可燃性毒物棒に燃料ペレット
と分離して被覆管内に挿入している。したがって、低濃
度の可燃性毒物を添加した燃料ペレットの温度は従来の
4.5wt%の可燃性毒物を添加した燃料ペレットの温度に
比較して増加量が小さくなり、また可燃性毒物を添加し
ていない燃料棒のガスプレナムの容量とほとんど同一に
製作できる。
【0098】その結果、可燃性毒物添加燃料棒に対する
ガドリニアの添加されていない標準長燃料棒に比べ
料の濃縮度の低下要求量は極めて小さくなる。この場合
は、5%程度の出力ピーキング低下に相当する濃縮度低
減で十分であり、従来例の10〜20%出力ピーキングの低
下要求に相当する濃縮度低減に比べて大幅に小さい。つ
まり可燃性毒物添加燃料棒の濃縮度を従来例より増加さ
せることができる。
【0099】可燃性毒物を添加された燃料棒が最高濃縮
度の燃料棒に置き代えられると、燃料集合体平均の濃縮
度が増加し、高燃焼度化燃料集合体が容易に得ることが
できる。燃料集合体内の高出力燃料棒の数が増加し、燃
料集合体内水平断面の出力分布が平坦化され最外周の燃
料棒の局所出力ピーキングが低下する。この結果、ガド
リニアを添加しない燃料ペレットおよびガドリニア添加
燃料ペレットの両方の種類が従来例より減少するので燃
料集合体の製造が単純になる。
【0100】燃料棒に添加されている可燃性毒物(ガド
リニア)の濃度が低いので、FPガス放出の増加による
燃料棒内圧の増加対策である、燃料棒被覆管の肉厚増加
あるいはガスプレナムの容量増加対策が大幅に緩和され
る。
【0101】本実施例における可燃性毒物棒は軸方向に
可燃性毒物の濃度または量を変えた円筒形のジルコニウ
ム合金またはジルコニウムサーメットを積み重ねたもの
であり、その濃度または量の区切りは原子炉のシミュレ
ーションコードにおける核計算メッシュと整合するよう
容易に製造できる。
【0102】従来PWRの可燃性毒物棒で使用されてい
る環状の炭化ホウ素含有酸化アルミニウムの焼結ペレッ
トは肉厚が 0.5〜 1.0mm、外径が約10mmで高さが約50mm
の環状と小さい。しかし、本実施例における形状は外径
が約24〜32mmと大型であるため、従来例のようにセラミ
ックスを使用するには大型で、かつ製造性が悪く不都合
である。ガドリニアをこの例のように高濃度で希釈材の
セラミックス母材に混合すると焼結上、技術的に難しく
なる。その点、円筒状の薄いジルコニウム板材の中にガ
ドリニアの形でも約 40vol%まで添加可能である。
【0103】可燃性毒物の量を燃料集合体軸方向に分布
させるにおいて、燃料棒に添加する分は燃料ペレットを
同一ウラン濃縮度、同一ガドリニア濃度とすることによ
り、可燃性毒物含有燃料ペレットの種類が1種類です
み、燃料ペレット製造が合理化できる。
【0104】可燃性毒物棒の軸方向ガドリニウムまたは
ガドリニア量分布調整の手段として、母材のジルコニウ
ムに添加する濃度を変える以外に、部材に空孔をあけ、
空孔の密度で調整する手段を合わせ持つことにより、部
材の製造を合理化できる。
【0105】つまり、ガドリニウムまたはガドリニアの
濃度一定の部材から、プレス加工、レーザー加工等によ
って空孔を設けることによって、可燃性毒物添加部材の
製造種類が低減でき、毒物の量も空孔の密度から容易に
目視によって判別ができ品質保証作業が容易になる。ま
たジルコニウムに含有されたガドリニウムの量はガドリ
ニウムまたはガドリニアの常磁性体の特性を利用して容
易に可燃性毒物棒に組立後に、検査できる。
【0106】酸化アルミニウムの場合、吸湿性があるの
で製造管理上の問題があるが、本実施例ではその問題は
ない。本実施例における毒物を含有した部材は燃料とは
分離し、かつ炉水からも隔離されているので、耐食性と
か燃料ペレットおよび高温の被覆材との両立性等を考え
る必要がなく、緩やかな環境条件である。
【0107】従来の可燃性毒物含有燃料ペレットでは高
々約10wt%程度の含有濃度が燃料ペレットの燃焼挙動、
燃結性からの上限であるが、本発明の円筒部材では高濃
縮度、高燃焼度化要求の燃料設計に対して、より高濃度
の可燃性毒物まで実現することができる。
【0108】燃料棒に可燃性毒物を添加する場合、燃料
ペレットの濃縮度が増加すると、中性子スペクトルが硬
くなって中性子吸収効果が低下するが、本実施例におい
て可燃性毒物添加燃料棒はスペクトルの軟らかい燃料集
合体外周部に近い領域に元々薄いガドリニア添加燃料棒
を配置していることと、内部に十分な量の減速材である
水領域を有した可燃性毒物棒を用いているので、その影
響は小さい。
【0109】可燃性毒物棒は内部に減速材の流路を有し
ているので可燃性毒物の中性子吸収能力がある場合は中
性子フラックス・トラップ型の効率の良い中性子吸収材
の役割を果たす。可燃性毒物棒に含有されている可燃性
毒物が燃焼し尽くすと、その後はウォーターロッドとし
ての働きをして、燃料集合体の中心部領域の熱中性子束
を増加させて燃料集合体水平断面での出力分布平坦化の
作用をする。
【0110】図8は環状空間内に充填する可燃性毒物部
材23cの第3の例を説明するもので、図8(b)におけ
る可燃性毒物部材23cはジルコニウムの可燃性毒物保持
母材35に円形または長円形の打ち抜き孔を設け、この孔
に可燃性毒物を含有した可燃性毒物部材37例えばガドリ
ニア焼結体、ガドリニウム−ジルコニウム合金、ガドリ
ニア−ジルコニウム・サーメットをはめ込んだものであ
り、このはめ込み面積を変えることによって可燃性毒物
量を変えることができる。
【0111】この場合、ガドリニア焼結体、ガドリニウ
ム−ジルコニウム合金、ガドリニア−ジルコニウム・サ
ーメットを円筒部材の軸方向にも周方向にも均一に配置
し、特に円筒部材の上下端部の接続部においても均一に
なるよう工夫してある。これによって中性子吸収効果の
偏りを防止している。
【0112】この第3の例によれば、初装荷燃料のよう
な可燃性毒物の濃度は高いが、その量を低い設計とする
場合に、ジルコニウム母材の体積が大きい部分を占める
可燃性毒物含有円筒部材が実現し易い。
【0113】図9は可燃性毒物部材23dの第4の例を示
したもので、セラミックスでガドリニウム−ジルコニウ
ム、またはガドリニア−ジルコニウム・サーメット円筒
部材と同様の可燃性毒物含有材を形成したものである。
【0114】すなわち、図9(b)における可燃性毒物
部材23dは二つ割りの半円筒部材を焼結セラミックスで
形成し、両者を合わせて円筒体にして使用する。この第
4の例では2分割で示したが、さらに多くの分割した形
状でもよい。
【0115】このように複数に分割することにより約15
cm程度の大型のセラミックスが容易に成形できる。セラ
ミックスとしてはガドリニア焼結体、ガドリニア−ジル
コニア焼結体、ガドリニア−アルミナ焼結体などが考え
られる。
【0116】さらに、ガドリニアの量を調整するために
セラミックス成形段階で、揮発成分を混合して焼結過程
で密度を調整したり、図6および図7のように円形また
は長円形の空孔36,36aを設けることが容易にできる。
またセラミックス成形後に、レーザー加工で前記空孔3
6,36aを設けることもできる。
【0117】図12(b)は本発明の第2の実施例で、図
10の実施例(燃料集合体平均濃縮度約 3.7wt%)よりも
濃縮度が高くて、ガドリニア添加燃料棒本数が22本にも
及ぶ従来例(燃料集合体平均濃縮度約 4.5wt%)の場合
に対応している。
【0118】この第2の実施例では、従来技術よりもガ
ドリニア添加燃料棒の本数が6本減少できる。また、こ
のような高濃縮度燃料集合体は従来燃料棒へのガドリニ
アの添加濃度を約5〜6wt%にまで増加するが、本実施
例により3wt%以下に低減できる。なお、図12(a)は
本実施例に対応した従来の第2の例を示している。
【0119】図13(b)は本発明の第3の実施例で図10
の実施例の燃料集合体(燃料集合体平均濃縮度約 3.7wt
%)に相当する互換性のあるMOX燃料集合体の従来例
に対応している。なお、図13(a)は本実施例に対応し
た従来の第3の例を示している。
【0120】MOX燃料においてはスペクトルが硬くな
るので可燃性毒物であるガドリニウムの中性子吸収効果
が小さくなり、ウラン燃料集合体より可燃性毒物添加燃
料棒の本数がより多く必要になる。
【0121】ところが、MOX燃料ペレットにガドリニ
アを添加するとプルトニウムの熱中性子吸収断面積が大
きいので、ガドリニウムの中性子吸収効果が大きく減殺
されて燃料集合体の過剰反応度抑制能力が不足する。
【0122】そこで、多くのMOX燃料設計においては
ガドリニア添加燃料棒についてはMOX燃料ペレットを
使用しないで、ウラン燃料ペレットを使用している。そ
の結果、図13(a)に示すように22本ものウラン燃料棒
が使用され、それだけ燃料集合体へのプルトニウムの装
荷量が減じることになる。
【0123】これに対し、図13(b)のような本発明の
第3の実施例では6本もの可燃性毒物添加ウラン燃料棒
が最高プルトニウム富化度のMOX燃料棒に置き代わっ
ているので、それだけプルトニウム装荷量を増加するこ
とができる。
【0124】図14は本発明に係る燃料集合体10aの第4
の実施例を水平断面図で示したものである。すなわち、
本実施例は図14から明らかなように9×9格子燃料集合
体10aの中央に3×3燃料棒セル分の大型可燃性毒物棒
を有し、部分長燃料棒なしの構造になっている。
【0125】図15に第4の実施例における軸方向濃縮度
分布、可燃性毒物入り燃料棒の軸方向ガドリニウム添加
量の分布、可燃性毒物棒内のガドリニウム量の軸方向分
布を示す。部分長燃料棒がない分だけ下端の天然ウラン
または劣化ウラン領域のすぐ上の領域の出力ピーキング
が少ないので、この領域の可燃性毒物棒内のガドリニウ
ムの量が減少している。その他の構造は原則として図11
に示した燃料集合体と同じ考え方である。図16(b)に
本実施例の燃料集合体の水平断面の濃縮度分布およびガ
ドリニア添加燃料棒配置例を、図16(a)に従来例を示
している。
【0126】図17から図19は本発明に係る第5の実施例
の燃料集合体10bを説明するためのもので、図17、図1
8、図19に8×8格子燃料集合体の中央に2×2燃料棒
セル分の大型の可燃性毒物棒19を有している。この実施
例では部分長燃料棒が存在していない。
【0127】図19(b)は第4の実施例における燃料集
合体10bの水平断面の濃縮度分布およびガドリニア添加
燃料棒配置例を示している。図19(a)は従来例を示し
ている。
【0128】図20および図21(b)は本発明に係る第6
の実施例の燃料集合体10cを説明するためのもので、図
20および図21に10×10格子燃料集合体中央にウォーター
クロス6を有し、ウォータークロス6で区画された4個
の小燃料束の中央に1燃料棒セル分の小型可燃性毒物棒
を有している。この実施例では部分長燃料棒は存在して
いない。図21(a)は従来例を示している。
【0129】図21(b)は第6の実施例における燃料集
合体10cの水平断面の濃縮度分布およびガドリニア添加
燃料棒の配置例を示している。この第6の実施例では3
wt%以下の低濃度ガドリニア添加燃料棒を小燃料束の最
外周または最外周から2層目の小燃料束の4隅の燃料棒
に近い位置に配し、原則として本実施例の可燃性毒物棒
には隣接させない。この実施例のような小型の可燃性毒
物棒でも可燃性毒物棒の反応度抑制効果は可燃性毒物添
加燃料棒の場合の2本分の効果がある。その結果、本実
施例では8本の可燃性毒物燃料棒が最高濃縮度のウラン
燃料棒に置き代わる。
【0130】このように、本実施例の可燃性毒物棒は燃
料集合体の燃料格子の構成が変わっても適用できる。例
えば、六角格子の燃料集合体、新型転換炉で使用してい
る円管環状配列格子燃料集合体にも適用できる。
【0131】なお、これまでの説明では可燃性毒物とし
てガドリニウム、ガドリニアを用いた例を示した。ガド
リニウムは中性子吸収による核変換を生じてもガドリニ
ウム同位体であり化学特性が変わらないことと、ボロン
−10のようにガスを生成しないこと、ボロン−10よりも
熱中性子吸収断面積が大きいことから都合がよい。しか
し、本発明においてホウ素または炭化ホウ素を利用して
もよい。
【0132】本発明の実施態様を要約すれば次のとおり
である。 (1) 上部タイプレートと、下部タイプレートと、上端部
が上部タイプレートに保持され下端部が下部タイプレー
トに保持され内部に複数の燃料ペレットを充填した複数
の燃料棒を有し、冷却材流路を構成する角筒状のチャン
ネルボックス内に収容されている燃料集合体において、
燃料棒間に配置された可燃性毒物棒を1本または複数本
有し、可燃性毒物棒は、細長い外管と、この外管内に同
心に配置される内管と、外管および内管に取り付けられ
る上部および下部環状端栓と、外管および内管の間に形
成された環状空間に充填された可燃性毒物を含有する金
属、セラミックス、またはサーメットを有し、下部環状
端栓が下部端栓を有する1重の下部端管に連なり、下部
端管に設けた流入孔から中性子減速機能を持つ原子炉冷
却材を燃料束内の燃料棒間の冷却材流路から取り込み内
管内を貫流し、上部環状端栓が上部端栓を有する1重の
上部端管に連なり、上部端管に設けた漏洩孔から前記内
管を貫流する原子炉冷却材を燃料束内の燃料棒間の冷却
材流路に放出し、可燃性毒物棒のうち少なくとも1本は
燃料棒および可燃性毒物棒を水平方向に間隔を保持する
ため、燃料束の軸方向に複数配されたスペーサーを保持
するタブを有し、可燃性毒物棒の可燃性毒物を含有する
金属、セラミックスまたはサーメットの充填領域が燃料
棒の燃料ペレット充填部(燃料有効長)の上下端それぞ
れ燃料有効長の1/24ないし1/12の長さ部分を除いて
設けられている。
【0133】(2) 可燃性毒物棒の可燃性毒物を含有する
金属、セラミックスまたはサーメットの充填領域は燃料
棒の燃料有効長の上下端それぞれ燃料有効長のl/24な
いし1/12の長さ部分を除いて設けられ、さらに、前記
可燃性毒物充填領域において、軸方向に可燃性毒物濃度
または密度分布を有し、燃料有効長の下方から1/3な
いし1/2の位置を境として上方の可燃性毒物濃度また
は密度を下方より小さくしている。
【0134】(3) 可燃性毒物棒の可燃性毒物を含有する
金属、セラミックスまたはサーメットの充填領域は燃料
棒の燃料有効長の上下端それぞれ燃料有効長の1/24な
いし1/12の長さ部分を除いて設けられ、さらに、可燃
性毒物充填領域において、軸方向に可燃性毒物濃度また
は密度分布を有し、燃料有効長の下方から1/3ないし
1/2の位置に第1の区切れ目、燃料有効長の下方から
5/8ないし5/6の位置に第2の区切れ目を有し、可
燃性毒物濃度または密度が第1の区切れ目より下方の領
域が最も高く、第1と第2の区切れ目に挟まれた領域が
次いで高く、第2の区切れ目より上方の可燃性毒物濃度
または密度が最も低い。
【0135】(4) 可燃性毒物棒は燃料束中央に配置さ
れ、可燃性毒物棒に面した位置に配された燃料棒本数
うち、少なくとも可燃性毒物棒によって占められている
燃料棒セルの数だけは可燃性毒物を含まない燃料棒で
ある。
【0136】(5) 燃料束の最外周または最外周からの2
層目の可燃性毒物を含む燃料棒の可燃性毒物濃度は3wt
%以下である。
【0137】(6) 可燃性毒物棒に充填された可燃性毒物
含有材は多孔質のガドリニア焼結体であり、円筒形の一
部をなす分割環状型である。
【0138】(7) 可燃性毒物棒に充填された可燃性毒物
含有材はガドリニア−ジルコニア焼結体またはガドリニ
ア−アルミナ焼結体であり、円筒形の一部をなす分割環
状型である。
【0139】(8) 可燃性毒物棒に充填された可燃性毒物
含有材はガドリニウムを含有したジルコニウム合金の円
筒、またはガドリニアを含有したジルコニウムのサーメ
ットの円筒である。
【0140】(9) 可燃性毒物棒に充填された可燃性毒物
含有材はガドリニウムを含有したジルコニウム合金の円
筒、またはガドリニアを含有したジルコニウムのサーメ
ットの円筒であり、規則的に円形、または長円形等の打
ち抜き孔を有する。
【0141】(10)可燃性毒物棒に充填された可燃性毒物
含有材はジルコニウム金属またはジルコニウム合金の円
筒に規則的に円形、縦長円形等の打ち抜き孔をあけ、ガ
ドリニウムを含有したジルコニウム合金、ガドリニアを
含有したジルコニウムのサーメット、ガドリニア焼結
体、ガドリニア−ジルコニア焼結体、またはガドリニア
−アルミナ焼結体を打ち抜き孔にはめ込んでなる。
【0142】
【発明の効果】本発明の燃料集合体によれば燃料ペレッ
トには低濃度の可燃性毒物を添加し、高濃度の可燃性毒
物は可燃性毒物棒に核燃料ペレットとは分離して装荷し
ているので、低濃度の可燃性毒物を添加した燃料ペレッ
トの温度は従来の4〜5wt%の可燃性毒物を添加した燃
料ペレットの温度に比較して増加量は小さく、可燃性毒
物を添加していない燃料棒のガスプレナムの容量とほと
んど同一に設計できる。
【0143】その結果、可燃性毒物添加燃料棒に対する
ガドリニアの添加されていない標準長燃料棒に比べて核
燃料の濃度(ウラン−235 濃縮度またはPu富化度)の
低下要求量、または、燃料棒被覆管の肉厚を増加させる
か、あるいは燃料棒のガスプレナム部を従来より延長し
た分だけ燃料集合体の全長を従来より長くするといった
対策が大幅に軽減される。
【0144】また、可燃性毒物を添加した燃料棒が最高
濃縮度または最高富化度の燃料棒に置き代るので、燃料
集合体平均の濃縮度またはプルトニウム富化度が増加
し、高燃焼度化燃料集合体が容易に実現される。
【0145】さらに、燃料集合体内の高出力燃料棒の数
が増加し、燃料集合体内の水平断面の出力分布が平坦化
され、最外周の燃料棒の局所出力ピーキングが低下す
る。この結果、ガドリニアを添加しない燃料ペレットお
よびガドリニア添加燃料ペレットの両方の種類が従来例
より減少するので燃料製造が単純になる。
【0146】本発明の可燃性毒物棒によれば軸方向に可
燃性毒物の濃度または量を変えた円筒形のジルコニウム
合金またはジルコニウム・サーメットを積み重ね、また
は円筒形の一部をなす分割環状片のセラミックスで有
り、その可燃性毒物濃度または量の区切りは原子炉のシ
ミュレーションコードにおける核計算メッシュと整合す
るよう容易に製造できる。
【0147】また、可燃性毒物棒は内部に減速材の流路
を有しているので、可燃性毒物の中性子吸収能力を有す
る場合は中性子フラックス・トラップ型の効率の良い中
性子吸収材の役割を果たす。可燃性毒物棒に含有されて
いる可燃性毒物が燃焼し尽くすと、その後はウォーター
ロッドとしての働きをして、燃料集合体の中心部領域の
熱中性子束を増加させて燃料集合体の水平断面での出力
分布平坦化の作用をする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料集合体の第1の実施例を示す
立面図。
【図2】図1のA−A矢視方向切断面を拡大して示す横
断面図。
【図3】(a)は図1における標準長燃料棒を一部切欠
して示す正面図、(b)は図1における部分長燃料棒を
一部切欠して示す正面図。
【図4】図1における可燃性毒物棒を示す縦断面図。
【図5】(a)は図4における可燃性毒物棒を示す横断
面図、(b)は(a)の可燃性毒物部材を一部切欠して
示す斜視図。
【図6】(a)は図4における可燃性毒物棒の他の第1
の例を示す横断面図、(b)は(a)における円筒状可
燃性毒物部材を一部切欠して示す斜視図。
【図7】(a)は図4における可燃性毒物棒の第2の例
を示す横断面図、(b)は(a)における円筒状可燃性
毒物部材を一部切欠して示す斜視図。
【図8】(a)は図4における可燃性毒物棒の第3の例
を示す横断面図、(b)は(a)における円筒状可燃性
毒物部材を一部切欠して示す斜視図。
【図9】(a)は図4における可燃性毒物棒の第4の例
を示す横断面図、(b)は(a)における可燃性毒物部
材を縦方向に2分して分離し一部切欠した状態で示す斜
視図。
【図10】(a)は本発明の第1の実施例における燃料
集合体の標準長(標準)と部分長(短尺)燃料棒の長さ
を示す概略図、(b)は(a)における軸方向濃縮度分
布図、(c)は同じく可燃性毒物添加燃料棒の可燃性毒
物量軸方向を示す分布図、(d)は同じく可燃性毒物棒
の軸方向毒物含有量を示す分布図。
【図11】(a)は従来の第1例の燃料集合体の水平断
面濃縮度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第1の実施例における可燃性毒物燃料棒などを
示す配置図。
【図12】(a)は従来の第2例の燃料集合体の水平断
面濃縮度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第2の実施例の可燃性毒物燃料棒などを示す配
置図。
【図13】(a)は従来の第3例の燃料集合体の水平断
面富化度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第3の実施例の可燃性毒物燃料棒などを示す配
置図。
【図14】本発明に係る燃料集合体の第4の実施例を示
す水平断面図。
【図15】(a)は本発明に係る燃料集合体の第4の実
施例における標準長燃料棒を示す概略図、(b)は
(a)の燃料集合体の軸方向濃縮度分布図、(c)は
(a)における可燃性毒物添加燃料棒の可燃性毒物量の
軸方向の分布図、(d)は(a)における可燃性毒物棒
の軸方向毒物含有量を示す分布図。
【図16】(a)は従来の第4例の燃料集合体の水平断
面濃縮度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第4の実施例の可燃性毒物燃料棒などを示す配
置図。
【図17】本発明に係る燃料集合体の第5の実施例を示
す縦断面図。
【図18】図17のおけるB−B矢視方向を切断し拡大し
て示す断面図。
【図19】(a)は従来の第5例の燃料集合体の水平断
面濃縮度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第5の実施例の可燃性毒物燃料棒などを示す配
置図。
【図20】本発明に係る燃料集合体の第6の実施例を示
す水平断面図。
【図21】(a)は従来の第4例の燃料集合体の水平断
面濃縮度分布を示す配置図、(b)は本発明に係る燃料
集合体の第6の実施例の可燃性毒物燃料棒などを示す配
置図。
【図22】(a)はガドリニア添加燃料ペレット内の径
方向のガドリニウム燃焼を示す模式図、(b)は燃料ペ
レット内の径方向熱中性子束分布を示す曲線図。
【図23】BWRで用いられている代表的な燃料集合体
について、横軸に燃焼度、縦軸に中性子の無限増倍率を
とって、本発明例と従来例とを比較して示す特性図。
【図24】BWRで用いられている代表的な燃料集合体
について、横軸に燃焼度、縦軸に局所出力ピーキングを
とって、本発明例と従来例とを比較して示す特性図。
【図25】従来のBWRに装荷される燃料集合体の第1
例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2,2’…チャンネルボックス、3…
燃料束、5…ウォーターロッド、5a…流入孔、5b…
流出孔、6…ウォータークロス、10,10a,10b,10c
…燃料集合体、11…燃料棒(標準長燃料棒)、12…上部
タイプレート、13…下部タイプレート、14…燃料棒支持
部、15…燃料棒支持部下方空間、16,16a,16b…燃料
スペーサー、19…可燃性毒物棒、20…部分長燃料棒(短
尺燃料棒)、21…外管、22…内管、23,23a,23b,23
c,23d…可燃性毒物部材、24…冷却材流路、25…上部
環状端栓、26…下部環状端栓、27…上部端管、28…下部
端管、29…冷却材入り口孔、30,30a…冷却材漏洩孔、
31,46,46’…上部端栓、32,47…下部端栓、35…可燃
性毒物保持母材、36…細長い空孔、36a…小径空孔、37
…可燃性毒物部材、45…被膜管、48…燃料ペレット、49
…ガスプレナム。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外管と、この外管に同心的に配置される
    内管と、前記外管と前記内管との間に形成される空間の
    上下端を封止する上部環状端栓および下部環状端栓と、
    前記外管と前記内管との間に形成される空間に配置され
    可燃性毒物を含有する可燃性毒物部材と、前記下部環状
    端栓に接続され冷却材入り口孔を有する下部端管と、前
    記上部環状端栓に接続され冷却材漏洩孔を有する上部端
    管とを具備する可燃性毒物棒において、前記可燃性毒物
    部材は軸方向および周方向に分布する複数の孔を有する
    ことを特徴とする可燃性毒物棒。
  2. 【請求項2】 外管と、この外管に同心的に配置される
    内管と、前記外管と前記内管との間に形成される空間の
    上下端を封止する上部環状端栓および下部環状端栓と、
    前記外管および前記内管との間に形成される空間に配置
    された可燃性毒物保持母材と、前記可燃性毒物保持母材
    の軸方向および周方向に分布して設けられた孔にはめ込
    まれ可燃性毒物を有する複数の可燃性毒物部材と、前記
    下部環状端栓に接続され冷却材入り口孔を有する下部端
    管と、前記上部環状端栓に接続され冷却材漏洩孔を有す
    る上部端管とを具備することを特徴とする可燃性毒物
    棒。
  3. 【請求項3】 冷却材流路を形成する角筒状のチャンネ
    ルボックス内に、上端部が上部タイプレートに保持さ
    れ、下端部が下部タイプレートに保持され、複数の燃料
    ペレットを充填した複数の燃料棒を有し、内部を冷却材
    が貫流する可燃性毒物棒を少なくとも1本有する燃料集
    合体において、前記可燃性毒物棒は請求項1または請求
    項2に記載の可燃性毒物棒であることを特徴とする燃料
    集合体。
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