JP3283480B2 - 乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置 - Google Patents

乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置

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JP3283480B2 JP35927098A JP35927098A JP3283480B2 JP 3283480 B2 JP3283480 B2 JP 3283480B2 JP 35927098 A JP35927098 A JP 35927098A JP 35927098 A JP35927098 A JP 35927098A JP 3283480 B2 JP3283480 B2 JP 3283480B2
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忠洋 谷田川
忠弘 根本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗客コンベアの移
動手摺の補修作業に好適な乗客コンベアの移動手摺の補
修釜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】乗客コンベアの移動手摺は、経年的に自
然発生す亀裂、及び継ぎ目の劣化などにより損傷を生じ
る。このように移動手摺が損傷を生じた場合に、作業者
は、この損傷を生じた移動手摺に、この移動手摺を新し
い移動手摺に交換するまでの所定の期間(2ヶ月程度)
の使用に耐え得るように応急処置を施すようにしてい
る。
【0003】上述のように損傷を生じた移動手摺の応急
処置を施す補修作業に用いられる従来の乗客コンベアの
移動手摺の補修釜装置を、以下、図に基づいて説明す
る。
【0004】図5は、従来の乗客コンベアの移動手摺の
補修釜装置を示す斜視図である。
【0005】図5に示すように、従来の補修釜装置は、
全長1000mmの補修釜1と、この補修釜1が収納さ
れ、全長1200mmの運搬ケース7と、補修釜1を制
御するコントロールボックス8から主に構成されてい
る。
【0006】補修釜1は、移動手摺にセットされる中型
3と、移動手摺とこの移動手摺にセットされた中型3と
をボルト6を締めて挟持する上型2及び下型4と、電力
を供給されるコネクタ5とを有する。
【0007】コントロールボックス8は、補修釜1の加
熱時の温度を調節するものであり、このコントローラボ
ックス8には、補修釜1のコネクタ5に接続されるコン
セント9と、乗客コンベアの機室に設けられる200
ボルト電源に接続されるコンセント11と、補修釜1の
加熱温度を確認するサーミスタ温度センサ10のそれ
ぞれがケーブル12,13,14を介して接続されてい
る。
【0008】このように構成される従来の補修釜装置で
は、乗客コンベア、例えばエスカレータの移動手摺の補
修作業に際し、作業者は、その補修作業を実施する前
に、移動手摺をガイドレールから取り外し、損傷部分付
近、例えば左右側部のそれぞれに湾曲形成される耳部の
うちの一方の耳部付近をカッターで削って補修箇所を作
製し、この補修箇所に化粧ゴムを埋め込み、後述のよう
に準備を終えた補修釜1にセットする。
【0009】補修釜1の準備にあたっては、作業者は、
補修釜1を補修対象の移動手摺付近のステップ上に載置
する。そして、作業者は、コントローラボックス8にケ
ーブル12を介して接続されるコネクタ9を補修釜1の
コネクタ5に接続し、コントローラボックス8に接続さ
れるサーミスタ温度センサ10を補修釜1にセットす
る。
【0010】また、作業者は、エスカレータの機械室内
の制御盤から200ボルトの動力電源を引き込むための
電気配線の工事を行い、これにより設けられる端子にコ
ントローラボックス8に接続されるコンセント11を接
続する。そして、コントローラボックス8の電源を入れ
て補修釜1を予熱する。
【0011】予熱完了後、作業者は、補修釜1の下型4
に、補修箇所を含む移動手摺を、ガイドレールに取り付
けられる状態とは表裏が逆の状態になるように収めて、
この移動手摺に中型3をセットし、その上に上型2を載
せる。そして、ボルト6を締めつけて、上型2と下型4
によって中型3及び移動手摺を挟持する。
【0012】次に、作業者は、補修釜1の温度をサーミ
スタ温度センサ10で確認しながらコントローラボック
ス8を操作し、補修釜1を135度前後に所定の時間保
持させ、加硫する。即ち、化粧ゴムを加熱して溶かし、
補修箇所になじませる加硫作業を実施する。
【0013】加硫作業終了後、作業者は、コントローラ
ボックス8の電源を切って、補修釜1の加熱を停止し、
この補修釜1を放熱させる。若しくは、水に濡らした清
潔な布などを補修釜1に掛けて冷却する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の補修釜装置は、図5に示すように、補修釜1の全長
が、1000mm、運搬ケース7の全長が1200mm
であり、重量は、一台当り50kg以上となっている。
なお、移動手摺の形状に対応させるために、このような
大型で重量が重い補修釜が予め数種類用意してあり、補
修現場で移動手摺の形状に迅速に対応させるために、こ
れら数種類の補修釜を全て持参するようにしている。し
たがって、補修釜を運搬するだけで、作業者にかなりの
負担が掛かる。なお、通常、補修釜一台当りの運搬に
は、3人の作業者を必要とする。
【0015】また、移動手摺に発生する亀裂などは、こ
の移動手摺の一方の耳部に発生する場合がほとんどであ
り、これに伴って、補修箇所が一方の耳部付近に作製さ
れることになる。しかし、従来では、一方の耳部に形成
される補修箇所に対して補修釜1が大き過ぎ、したがっ
てこの補修釜1の予熱、加熱、及び冷却の温度管理に時
間(約6時間)が掛かってしまう。
【0016】また、補修する箇所が複数ある場合であっ
て、夜間などの限られた時間内で補修作業を終了させる
ためには、それぞれの種類の補修釜を複数台用意しなけ
ればならず、作業者に対する運搬の負担がさらに増して
いた。
【0017】また、加熱範囲が大きいことから、移動手
摺の補修に失敗すると、移動手摺全体を早急に取り替え
なければならない事態が生じる。
【0018】本発明の目的は、小型軽量化を実現できる
とともに、補修釜の温度管理に要する時間を短縮させる
ことができる乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置を提
供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明は、左右側部のそれぞれに湾
曲形成される耳部を有する乗客コンベアの移動手摺
する補修釜と、この補修釜で挟持された前記移動手摺
を加熱するとともに、前記移動手摺の補習箇所に装着さ
れる化粧ゴムを加熱する加熱手段とを備える乗客コンベ
アの移動手摺の補修釜装置において、前記補修釜が、前
記移動手摺の前記耳部のうちの一方の側部に形成される
耳部の付近のみを挟持する型構造を有し、加熱された前
記移動手摺の前記補修個所を冷却するとともに、加熱さ
れた前記移動手摺の前記補修箇所に装着される化粧ゴム
を冷却する冷却手段と、前記加熱手段による前記補修釜
の過熱を防止するサーモスイッチとを具備する構成にし
てある。
【0020】このように構成される請求項1に係る発明
では、補修釜が、移動手摺の損傷が多く発生する一方の
耳部付近に形成した補修箇所の大きさに対応し、この補
修箇所のみを挟持する型構造であるので、所望した補修
作業を実現させることができるとともに、補修箇所の大
きさに対応した補修釜の小型軽量化を実現できる。
【0021】また、この小型軽量化の実現に伴い、補修
釜の加熱時に要する熱容量が少なくて済み、補修釜を短
時間で予熱、及び加熱することができる。また、補修釜
を冷却する冷却手段を備えているので、補修釜を短時間
で強制的に冷却することができる。したがって、補修釜
の温度管理に要する時間を短縮させることができる。
【0022】また、サーモスイッチの設定温度を、補修
釜の温度が所定の温度以上にならないように設定し、補
修箇所の加硫時における補修釜の過熱を自動的に防止で
きる。また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明において、水と、この水を通過させるために前記補修
釜に設けられる流水路と、この流水路に前記水を送る送
水手段とを含むことを特徴としている。
【0023】また、請求項3に係る発明は、請求項
係る発明において、前記送水手段が、前記補修釜に着脱
可能に設けられることを特徴としている
【0024】た、請求項4に係る発明は、請求項3に
係る発明において、前記送水手段が、前記水の蓄えられ
る容器に設置され、この容器内の前記水を循環させるポ
ンプを含むことを特徴としている。
【0025】また、請求項5に係る発明は、請求項
係る発明において、前記型構造が、前記耳部の外側を形
成する凸曲面に沿う凹曲面と、前記移動手摺の前記耳部
に連設される外側の平坦面に沿う平坦面とを備える外型
と、前記耳部の内側を形成する凹曲面に沿う凸曲面と、
前記移動手摺の前記耳部に連設される内側の平坦面に沿
う平坦面とを備える内型とを含み、前記流水路が、前記
外型及び内型に形成される複数の管状の孔と、これらの
孔を一条に連結する連結管とを含むことを特徴としてい
る。
【0026】また、請求項6に係る発明は、請求項
係る発明にいおいて、前記連結管が、前記外型及び前記
内型に形成される前記孔に着脱可能な着脱部を有する
とを特徴としている。
【0027】また、請求項7に係る発明は、請求項1〜
6のいずれかに係る発明において、前記補修釜に取り付
けられ、この補修釜の温度を表示する温度表示部を有す
ことを特徴としている。
【0028】また、請求項8に係る発明は、請求項
係る発明において、前記温度表示部が、サーモシールか
ら成ることを特徴としている
【0029】
【発明の実施の形態】下、本発明の乗客コンベアの移
動手摺の一実施形態を図に基づいて説明する。
【0030】図1は、本発明の乗客コンベアの移動手摺
の補修釜装置の一実施形態を示す斜視図、図2は、図1
に示す一実施形態の補修釜を示す斜視図、図3は、図1
に示す一実施形態の補修釜に設けられる流水路を示す斜
視図、図4は、図1に示す一実施形態の補修釜の側面図
である。
【0031】本実施形態は、主に補修釜15と、加熱手
段19と、冷却手段24とによって次のように構成して
ある。
【0032】即ち、図1〜4に示すように、移動手摺2
3の左右側部のそれぞれに湾曲形成される耳部のうちの
一方の耳部23aをボルト22の締結によって挟持する
外型16及び内型17を有する補修釜15と、この補修
釜15の外型16及び内型17に設けられ、補修釜15
を予熱及び加熱するとともに、この補修釜15を介して
移動手摺23に形成される補修箇所とその補修箇所に装
着された亀裂等の損傷を被覆する図示しない化粧ゴムを
加熱するニクロムヒータ19A,19B,19Cを有す
る加熱手段19と、補修釜15に設けられ、水25が流
れる流水路26、この水25を流水路26に送水する送
水手段29を有し、加熱された補修釜15を冷却すると
ともに、加熱された補修箇所とその補修箇所に装着され
た化粧ゴムを冷却する冷却手段24と、補修釜15に設
けられ、この補修釜15の温度を表示する温度表示部、
即ち補修釜15の複数箇所に貼り付けられるサーモシー
ル31とを備えた構成にしてある。
【0033】補修釜15の外型16には、図3,4に示
すように、移動手摺23の両側に設けられる2つの耳部
のうちの一方の耳部23aの外側を形成する凸曲面に沿
う凹曲面16aと、この耳部23aに連設される外側の
平坦面の一部に沿う平坦面16bとを形成してある。こ
の外型16には、ボルト22を挿通する貫通孔22aが
形成してある。また、例えば、図1,2に示すように、
外型16の上面の2箇所に、この外型16の温度を色の
変化によって表示する上述のサーモシール31が貼り付
けられる。このサーモシール31は、常温では黄色を表
示し、加硫時の温度では赤色を表示する。
【0034】補修釜15の内型17には、図,4に示
すように、移動手摺23の耳部23aの内側を形成する
凹曲面に沿う凸曲面17aと、この耳部23aに連設さ
れる内側の平坦面の一部に沿う平坦面17bとを形成し
てある。この内型17には、ボルト22が螺合するねじ
穴22bが形成してある。また、例えば、図1,2に示
すように、内型17には、外型16が配置される側とは
反対側の正面の2箇所に、この内型17の温度を表示す
る上述のサーモシール31が貼り付けられる。
【0035】補修釜15の外型16と内型17は、外型
16の貫通孔22aに挿通されたボルト22を、内型1
7のねじ孔22bに螺合して締結することにより、一方
の耳部23aに形成された補修箇所を挟持する型構造を
形成する。
【0036】なお、図1,2に示すように、補修釜15
の全長、即ち長手方向の寸法は、移動手摺23の一方の
耳部23aに形成される補習箇所の長手方向の寸法に対
応する寸法、例えば250mm程度に設定してある。補
修釜15の幅寸法は、移動手摺23の一方の耳部23a
に連設する平坦面に形成される補修箇所に対応する寸
法、例えば100mm程度に設定してある。また、この
補修釜15の重量は5kg程度にしてある。
【0037】加熱手段19は、図4に示すように、外型
16の内型17が配置される側とは反対側の面に取り付
けられるニクロムヒータ19Aと、内型17の外型16
が配置される側とは反対側の面に取り付けられるニクロ
ムヒータ19Bと、外型16の底面に取り付けられるニ
クロムヒータ19Cと、これらのニクロムヒータ19
A,19B,19Cのスイッチ21と、これらのニクロ
ムヒータ19A,19B,19Cを100Vの電灯電源
に接続するコンセント20とを備える。また、これらの
ニクロムヒータ19A,19B,19Cは、補修釜15
の外型16のニクロムヒータ19Aが設けられる面の下
部に設けられ、補修釜15の過熱を防止するバイメタル
から成るサーモスイッチ18に接続される。このサーモ
スイッチ18は所定の温度に設定され、補修釜15の加
熱時には、この補修釜15の温度が所定の温度に達する
と、このサーモスイッチ18が自動的に切れてニクロム
ヒータ19A,19B,19Cによる補修釜15の加熱
を停止し、補修釜15の過熱を防止する。
【0038】冷却手段24は、図1〜3に示すように、
補修釜25を冷却する水25と、補修釜15に設けら
れ、この水25が流れる流水路26と、この流水路26
に水25を送水する送水手段29とを有する。
【0039】流水路26は、図2,3に示すように補修
釜15の外型16及び内型17に形成される孔26A,
26B,26C,26Dと、固定連結管27,27A、
及び着脱連結管27Bとによって形成される。
【0040】即ち、図2,3に示すように、例えば内型
17には、内部の平坦面17b付近に、長手方向に沿っ
て設けられる孔26Aが形成される。また、外型16に
は、内部の平坦面16b付近に、長手方向に沿って設け
られる孔26B、外型16の内部の凹曲面16a付近
に、長手方向に沿って設けられる26C,26Dとが形
成される。
【0041】そして、このように外型16に形成される
孔26Bと孔26Cのそれぞれは、例えば黄銅製の固定
連結管27によって連結される。この固定連結管27の
両端は、孔26B及び孔26Cのそれぞれの同じ側の一
方の開口位置に固定される。孔26Cの他方の開口位置
は、この開口位置と同じ側の孔26Dの一方の開口位置
に、黄銅製の固定連結管27Aの両端を固定されて連結
される。
【0042】また、図1,2に示すように、内型17に
形成される孔26Aの一方の開口位置と、この開口位置
と同じ側の外型16の孔26Bの開口位置には、耐熱性
と可撓性を有する着脱連結管27B着脱部28を介し
て着脱可能に連結してある。
【0043】このように流水路26は、孔26A,26
B,26C,26Dと、黄銅製の固定連結管27,27
A、及び着脱可能な着脱連結管27Bとによって一条の
管になるように形成される。
【0044】送水手段29は、図1に示すように、水2
5を収容する容器30、この容器30に設置されるポン
プ32と、このポンプ32によって容器30から流水路
26へ送水される水25が流れる給水管29Aと、補修
釜15の流水路26から容器30へ排水される水25が
流れる排水管29Bとを具備する。
【0045】給水管29Aは、一方の端部がポンプ32
に接続され、他方の端部が内型17の孔26Aに着脱部
28を介して着脱可能に装着される。
【0046】排水管29Bは、一方の端部が容器30内
に配置され、他方の端部が外型16の孔26Dに着脱部
28を介して着脱可能に接続される。
【0047】着脱部28は、例えば図2に示すように、
着脱凸部28Aとこの着脱凸部28Aに装着される着脱
凹部28Bから成り、上述の着脱連結管27B、給水管
29A、及び排水管29Bに設けられる。即ち、これら
の着脱部28は、外型16の孔26Dの一方の開口位置
に設けられる着脱凸部28A、及びこの着脱部28A
に装着され、排水管29Bの一方の端部に設けられる着
脱凹部28Bと、外型16の孔26Bの一方の開口位置
に設けられる着脱凸部28A、及びこの着脱凸部28A
に装着され、固定連結管27Aの一方の端部に設けられ
る着脱凹部28Bと、内型17の孔26Aの一方の開口
位置に設けられる着脱凸部28A及び、この着脱凸部2
8Aに装着され、着脱連結管27Aの他方の端部に設け
られる着脱凹部28Bと、内型17の孔26Aの他方の
開口位置に設けられる着脱凸部28A、及びこの着脱凸
部に28Aに装着され、給水管29Aの一方の端部に設
けられる着脱凹部28Bの4箇所に配置される。
【0048】このように構成した本実施形態は、乗客コ
ンベア、例えばエスカレータの移動手摺23の補修作業
に際し、次のように用いられる。
【0049】即ち、作業者は、移動手摺23の補修作業
を実施する前に、移動手摺23をガイドレールから取り
外し、所定の位置、例えば上部階床と下部階床の中間部
分に位置するガイドレール上に作業台を固定する。作業
者は、この作業台上で、移動手摺23の損傷を生じてい
る一方の耳部23a付近をカッターで削って補修する領
域、即ち補修箇所を作製する。この耳部23a付近に作
製した補修箇所に図示しない化粧ゴムを装着する。即
ち、化粧ゴムを補修箇所に被覆し、溶着しやすいように
埋め込む。
【0050】補修釜15を準備するにあたり、作業者
は、例えば作業台から移動手摺23を外し、冷却手段2
4が取り付けられていない状態の補修釜15を、即ち給
水管29A、排水管29B、及び着脱連結管27Bが接
続されていない状態の補修釜15を上述の作業台に載置
する。そして、作業者は、図3に示す加熱手段19のニ
クロムヒータ19Aに接続されるコンセント20を10
0Vの電灯電源に差し込み、スイッチ21を入れ、補修
釜15を予熱する。このとき、サーモスイッチ18が作
動する。またこのとき、サーモシール31の色は黄色で
ある。
【0051】予熱終了後、作業者は、補修箇所を含む一
方の耳部23aを有する移動手摺23を、ガイドレール
に通常取り付けられている状態とは裏表が逆になる状態
にし、補修箇所を含む一方の耳部23aを外型16と内
型17との間に配置して挟持させる。
【0052】即ち、図4に示すように、作業者は、補修
箇所を含む耳部23aの凸曲面が外型16の凹曲面16
aに当接するとともに、この耳部23aの凸曲面に連設
する平坦面が外型16の平坦面16bに載置されるよう
に、補修箇所を含む耳部23aを配置する。また、作業
者は、耳部23aの内側を形成する凹曲面に、内型17
の凸曲面17aを当接させるとともに、この耳部23a
の凹曲面に連設する内側の平坦面に内型17の平坦面1
7bを当接させるように、内型17を配置する。そし
て、作業者は、外型16の貫通孔22aにボルト22を
挿通し、内型17のねじ孔22bに螺合させて締め付
け、補修箇所を含む耳部23aを外型16と内型17と
で挟持させる。
【0053】そして、加熱手段19のニクロムヒータ1
9Aで補修釜15を加熱し、これにより補修箇所に被覆
した化粧ゴム、及び補修箇所付近の移動手摺23を加熱
する。
【0054】補修釜15が、例えば175℃前後まで加
熱されたら、補修釜15の温度を175℃前後の状態で
所定の時間保持させて加硫する。即ち、化粧ゴムを加熱
して溶かし、補修箇所になじませる加硫作業を実施す
る。このとき、サーモシール31の色は、赤色に変化し
ている。なお、この加硫作業中に補修釜15の温度が上
がり過ぎ、その温度が所定の温度に達した場合には、サ
ーモスイッチ18が切れ、ニクロムヒーター19Aによ
る加熱が停止し、補修釜15の過熱が防止される。
【0055】加硫作業終了後、作業者は、加熱手段19
のスイッチ21を切り、ニクロムヒータ19Aによる加
熱を停止させる。
【0056】次に、加熱された補修釜15を冷却する冷
却作業を次のように実施する。
【0057】まず、作業者は、図1に示すように、冷却
手段24を取り付ける。
【0058】即ち、図2に示すように、内型17の孔2
6A及び外型16の孔26Bのそれぞれの同じ側の一方
の開口位置に設けられる着脱凸部18Aのそれぞれに、
着脱連結管27Bの両端に設けられる着脱凹部18Bを
装着する。このとき、着脱連結管27Bは、移動手摺2
3を避けるように配置される。また、ポンプ32に接続
される給水管29Aの着脱凹部28Bを、内型17の孔
26Aの着脱連結管27Bが装着された側とは反対側の
開口位置に設けられる着脱凸部28Aに装着する。ま
た、一端が容器30内に配置される排水管29Bの他端
に設けられる着脱凹部28Bを、外型16の孔26Dの
開口位置に設けられる着脱凸部28Aに装着する。
【0059】そして、ポンプ32の電源を入れ、容器3
0内の水25を給水管29Aを介して補修釜15の流水
路26に送水し、この流水路26から排出される水25
を排水管29Bを介して容器30内に収容して水25を
循環させる。
【0060】即ち、ポンプ32で吸い上げられた水25
は、給水管29Aから内型17の孔26Aに流入し、こ
の孔26Aから着脱連結管27Bを介して外型16の孔
26Bに流入する。そして、この水25は、この孔26
Bから固定連結管27を介して外型16の孔26Cに流
入し、この孔26Cから固定連結管27Aを介して外型
16の孔26Dに流入し、孔26Dから排水管29Bを
介して容器30に収容される。このようにして容器30
と補修釜15との間で水25を循環させることにより、
補修釜15を強制的に冷却する。
【0061】これにより、補修釜15を介して補修箇所
に装着した化粧ゴム、及び補修箇所付近の移動手摺23
が強制的に冷却される。
【0062】そして、補修釜15の温度が40℃前後ま
で冷却され、サーモシール31が黄色に変化したら補修
釜15の冷却作業は完了する。
【0063】冷却作業終了後、作業者は、移動手摺23
から補修釜15を取り外す。
【0064】即ち、図2に示すように、着脱連結管27
Bの両端のそれぞれに設けられる着脱凹部28Bのそれ
ぞれを、補修釜15の孔26A及び孔26Bの着脱凸部
28Aのそれぞれから取り外す。また、給水管29Aの
着脱凹部28B及び排水管29Bの着脱凹部28Bのそ
れぞれを、補修釜15の孔26A及び孔26Dの着脱凸
部28Aから取り外す。
【0065】そして、補修釜15のボルト22を緩め、
内型17を取り外し、移動手摺23を外型16から取り
外す。
【0066】次に、作業台をガイドレールから取り外
し、このガイドレールに移動手摺23を取り付ける。最
後に、エスカレータを試運転して異常のないことを確認
する。
【0067】このように本実施形態では、補修釜15の
構造が、移動手摺23の一方の耳部23a付近の補修箇
所のみを挟持するようにしたので、所望の補修作業を実
現させることができる。
【0068】また、補修釜15が、補修箇所の大きさに
対応した大きさ、例えば全長が250mm程度、幅寸法
が100mm程度の小さなものに設定できるとともに、
その重量が5kg程度に設定でき、小型化と軽量化を実
現することができる。したがって、作業者は、比較的容
易に、ガイドレール上に設置した作業台に配置でき、こ
の補修釜15の配置を1人で行うことができる。これに
より作業性を向上させることができる。
【0069】また、運搬も容易に行うことができ、重量
物運搬用の特別な車両を手配する必要がない。これによ
り、運搬作業の能率を向上させることができるととも
に、運搬費用を低減させることができる。
【0070】また、この補修釜15の小型化の実現にと
もない、補修釜15の加熱時に要する熱容量が少なくて
済み、補修釜15を短時間で予熱及び加熱することがで
きる。また、熱容量が少なくて済むことにより、ニクロ
ムヒータ19Aの電源に、100Vの電灯電源を使用す
ることができ、これによりエスカレータの機械室内で電
源を設ける電気配線の工事をする必要がない。したがっ
て、これらの点においても作業能率を向上させることが
できる。
【0071】また、使用する熱容量が少なくて済み、補
修釜15の加熱を少い電力で行うことができ、したがっ
て経済性に富む。
【0072】また、加熱手段24にサーモスイッチ18
を設け、補修箇所15の過熱が自動的に防止されるの
で、補修釜15の温度管理の精度を高く保つことがで
き、したがってこの点においても作業能率を向上させる
ことができる。また、移動手摺23の過熱によって生じ
る補修の失敗を防止することができ、作業者の精神的負
担を軽減させることができる。
【0073】また、補修釜15に水25を循環させる冷
却手段24を着脱可能に設けたので、補修釜15、移動
手摺23の補修箇所、及び補修箇所付近を、短時間で強
制的に冷却することができる。したがって、この点にお
いても補修釜15の温度管理に要する時間を短縮でき、
作業能率をさらに向上させることができる。
【0074】また、サーモシール31を補修釜15に貼
り付けたことにより、補修釜15の温度が容易に確認で
きる。
【0075】なお、補修釜15を、175℃前後まで加
熱するのに要する時間は8分程度で済み、また、40℃
前後冷却までに冷却するまでに要する時間は、10分程
度で済む。したがって、夜間などの限られた時間内で複
数の箇所を補修しなければならない場合でも、1台の補
修釜15によりそれらの複数の箇所を順次補修していく
ことができる。
【0076】
【発明の効果】以上のように、各請求項に係る発明は、
補修釜が移動手摺に形成した補修箇所の大きさに対応し
た大きさにすることができるとともに、その補修釜の大
きさは小型軽量化が実現できる。これにより、作業者は
補修現場で補修釜の配置を容易に行うことができ、1人
でも補修釜を補修現場に配置することが可能である。し
たがって、作業能率を向上させることができる。
【0077】また、小型軽量化にともない、補修釜の運
搬も容易に行うことができ、したがって運搬作業の能率
を向上させることができる。
【0078】また、補修釜の予熱、及び加熱を短時間で
行うことができるとともに、冷却手段により補修釜を短
時間で冷却することができ、これにより補修釜の温度管
理を短時間で行うことができる。したがって、この点に
おいても従来に比べて作業能率を向上させることができ
る。
【0079】また、使用する熱容量が少なくて済み、補
修釜の加熱を小さい電力で行うことができ、したがって
経済性に富む。
【0080】また、サーモスイッチによって補修箇所の
過熱が自動的に防止されるので、補修釜の温度管理の精
度を高く保つことができ、したがって、この点において
も作業能率を向上させることができる。また、移動手摺
の過熱によって生じる補修の失敗を防止することがで
き、作業者の精神的負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置
の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す一実施形態の補修釜を示す斜視図で
ある。
【図3】図1に示す一実施形態の補修釜に設けられる流
水路を示す斜視図である。
【図4】図1に示す一実施形態の補修釜の側面図であ
る。
【図5】従来の乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置を
示す斜視図である。
【符号の説明】
15 補修釜 16 外型 16a 凹部 16b 平坦面 17 内型 17a 凸部 17b 平坦面 18 サーモスイッチ 19 加熱手段 19A ニクロムヒータ 19B ニクロムヒータ 19C ニクロムヒータ 20 コンセント 21 スイッチ 22 ボルト 22a 貫通孔 22b ねじ孔 23 移動手摺 24 冷却手段 25 水 26 流水路 26A 孔 26B 孔 26C 孔 26D 孔 27 固定連結管 27A 固定連結管 27B 着脱連結管 28 着脱部 28A 着脱凸部 28B 着脱凹部 29 送水手段 29A 給水管 29B 排水管 30 容器 31 サーモシール 32 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−16743(JP,A) 特開 昭63−147795(JP,A) 特開 平11−246162(JP,A) 実開 昭61−105130(JP,U) 実開 平4−113872(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 21/00 - 31/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右側部のそれぞれに湾曲形成される耳
    部を有する乗客コンベアの移動手摺挟持する補修釜
    と、この補修釜で挟持された前記移動手摺を加熱すると
    ともに、前記移動手摺の補習箇所に装着される化粧ゴム
    を加熱する加熱手段とを備える乗客コンベアの移動手摺
    の補修釜装置において、 前記補修釜が、前記移動手摺の前記耳部のうちの一方の
    側部に形成される耳部の付近のみを挟持する型構造を有
    熱された前記移動手摺の前記補修個所を冷却するとと
    もに、加熱された前記移動手摺の前記補修箇所に装着さ
    れる化粧ゴムを冷却する冷却手段と、 前記加熱手段による前記補修釜の過熱を防止するサーモ
    スイッチとを具備する ことを特徴とする乗客コンベアの
    移動手摺の補修釜装置。
  2. 【請求項2】 前記冷却手段が、水と、この水を通過さ
    せるために前記補修釜に設けられる流水路と、この流水
    路に前記水を送る送水手段とを含むことを特徴とする請
    求項1記載の乗客コンベアの移動手摺の補修釜装置。
  3. 【請求項3】 前記送水手段が、前記補修釜に着脱可能
    に設けられることを特徴とする請求項記載の乗客コン
    ベアの移動手摺の補修釜装置。
  4. 【請求項4】 前記送水手段が、前記水の蓄えられる容
    器に設置され、この容器内の前記水を循環させるポンプ
    を含むことを特徴とする請求項3記載の乗客コンベアの
    移動手摺の補修釜装置。
  5. 【請求項5】 前記型構造が、前記耳部の外側を形成す
    る凸曲面に沿う凹曲面と、前記移動手摺の前記耳部に連
    設される外側の平坦面に沿う平坦面とを備える外型と、
    前記耳部の内側を形成する凹曲面に沿う凸曲面と、前記
    移動手摺の前記耳部に連設される内側の平坦面に沿う平
    坦面とを備える内型とを含み、 前記流水路が、前記外型及び内型に形成される複数の管
    状の孔と、これらの孔を一条に連結する連結管とを含む
    ことを特徴とする請求項記載の乗客コンベアの移動手
    摺の補修釜装置。
  6. 【請求項6】 前記連結管が、前記外型及び前記内型に
    形成される前記孔に 着脱可能な着脱部を有することを特
    徴とする請求項記載の乗客コンベアの移動手摺の補修
    装置。
  7. 【請求項7】 前記補修釜に取り付けられ、この補修釜
    の温度を表示する温度表示部を有することを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載の乗客コンベアの移動手
    摺の補修釜装置。
  8. 【請求項8】 前記温度表示部が、サーモシールから成
    ことを特徴とする請求項記載の乗客コンベアの移動
    手摺の補修釜装置。
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