JP3282264B2 - 磁性酸化物粉体の製造方法 - Google Patents

磁性酸化物粉体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、磁性酸化物粉体の製
造方法に関し、詳しくは、表面活性が高く、易焼結性
で、均質かつ微細な磁性酸化物粉体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
磁性酸化物粉体、例えば、Ni−Znフェライトの製造
方法としては、 フェライトを構成する成分元素の酸化物もしくは炭酸
塩の粉体を別々に秤量し、それらを混合粉砕した後、高
温で仮焼してNi−Znフェライト粉体を得る乾式の方
法、 フェライトを構成する成分元素の水溶性化合物の混合
溶液にNaOHを添加して強アルカリ性にすることによ
り、フェライトを構成する成分元素を水酸化物として沈
殿させた後、100℃近くに加温しながら酸素あるいは
空気を吹込んで酸化処理を行うことにより部分スピネル
化を行い、生成した沈殿を仮焼してNi−Znフェライ
トを得る方法、 FeのアルコキシドとNi及びZnのアセチルアセト
ネート化合物を有機溶剤に溶解して混合溶液を調製し、
この混合溶液を加熱しながら有機アミン化合物を添加し
て加水分解を行い、生成したゲルを仮焼してNi−Zn
フェライトを得る方法、 などの種々の方法がある。
【0003】しかし、上記の乾式の製造方法において
は、出発原料がフェライトを構成する元素の酸化物ある
いは炭酸塩の粉体であるため、各々の粉体を原子レベル
で均一に分散することが困難であるという問題点があ
る。
【0004】また、上記の乾式の製造方法の出発原料
である各粉体は、湿式法により合成した沈殿物を混合し
て仮焼することによっても製造することができる。しか
し、湿式合成(反応)工程で生成する沈殿物が非常に微
細であっても、使用時、すなわち仮焼工程に供給する段
階では、微細な粒子が凝集して粒径が大きくなり、表面
活性が低下するため、スピネルフェライトにするために
は、900℃以上の温度で仮焼することが必要になる。
しかし、フェライトを構成する元素間の混合が不十分で
あることから、900℃以上の高温で仮焼しても部分的
に組成のずれが生じることを防止することができず、均
質な混合粉体を得ることができないという問題点があ
る。
【0005】さらに、高温で仮焼することから、仮焼粉
体が強固な凝集体となって表面活性が低くなり、焼結性
が低下するため、焼結温度を一段と高くしなければなら
ないという問題点がある。
【0006】このような問題点を解決するために、焼結
助剤を添加して焼結温度を低下させる方法が提案されて
いるが、焼結助剤は磁性酸化物粉体の磁気特性を悪化さ
せるという欠点があり、焼結温度を下げるための根本的
な解決策にはなっていないのが実情である。
【0007】さらに、焼結後の粒径の大きい粉体を微細
化するための粉砕工程が必要になるため、粉砕工程にお
いて不純物が混入し、磁気特性が劣化するという問題点
がある。
【0008】また、前記の方法は、乾式法におけるフ
ェライト構成元素の分散の問題を解決するために提案さ
れた方法であって、構成元素の均一分散性については、
従来の乾式法よりも優れている。
【0009】しかし、この方法は、NaOHを添加して
溶液のpHを高くし、水酸化物を沈殿させる方法を採用
しているため、水酸化物が沈殿するpHが各元素により
異なり、pHが高くなるにつれて、各元素が解離定数の
大きさに応じて、pHの小さいものから順に沈殿する。
したがって、すべての元素を同時に沈殿させることがで
きず、厳密に原子レベルで均一に分散させることができ
ないという問題点がある。
【0010】また、100℃近くに加熱しながら酸素あ
るいは空気を吹込んで酸化処理を行うが、完全にスピネ
ルフェライト化することができず、仮焼を行ってスピネ
ルフェライト化することが必要である。
【0011】さらに、この方法により得られた沈殿は水
酸化物に近い化合物であるため、洗浄脱水後の乾燥ケー
キが緻密に凝集し、仮焼後には容易に破砕されない焼結
体に近い状態の凝集体となる。それゆえ、簡単な粉砕処
理を行っただけでは微細な磁性酸化物粉体を得ることが
できず、大きな駆動エネルギーを要する大型の粉砕装置
を用いて粉砕処理を行わなければならないという問題点
がある。
【0012】また乾式法と同様、粉砕工程で不純物が混
入することを避けることができないという問題点があ
る。
【0013】さらに、不純物のNa+イオンを除去する
ために洗浄を繰り返して行うが、この段階で沈殿の溶解
が起こり、組成ずれが生じるおそれがあるという問題点
がある。
【0014】また、上記の方法においては、の方法
のように、ゲルの生成後に洗浄する必要がなく、また、
アルコキシド及びアセチルアセトネート化合物を複合化
することにより加水分解反応を均一に起こさせるように
しているので、同時に加水分解が起こり、構成元素がど
の時点のゲルをとっても均一に含有されており、組成ず
れのないゲルを合成することが可能で、かつ、フェライ
トの合成温度が低く、表面活性が高く、不純物の含有量
の少ない高純度の粉体を得ることが可能であるが、出発
原料のコストが高く、大量生産には適さないという問題
点がある。
【0015】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、均質かつ微細で表面活性が高く、易焼結性の磁性
酸化物粉体を経済的に製造することが可能な磁性酸化物
粉体の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の磁性酸化物粉体の製造方法は、 一般式:MeFe24 (但し、MeはNi,Zn,Mnなどの2価の金属の少
なくとも1種)で示される磁性酸化物粉体の製造方法に
おいて、磁性酸化物を構成する金属イオンとルビアン酸
とを反応させて得られる複合キレート化合物を、450
〜700℃の温度で熱処理することにより磁性酸化物粉
体を得ることを特徴とする。
【0017】また、前記磁性酸化物粉体の製造方法にお
いて、磁性酸化物を構成する金属イオンとルビアン酸と
を反応させて得られる複合キレート化合物を分散させた
スラリーを、2流体ノズルを用いて450〜700℃に
加熱された空間に噴霧し、複合キレート化合物を熱分解
することにより磁性酸化物粉体を得ることを特徴とす
る。
【0018】また、前記磁性酸化物粉体の製造方法にお
いて、磁性酸化物を構成する金属イオンとルビアン酸と
の混合液を、静止型攪拌混合器を通過させながら反応さ
せて複合キレート化合物を生成させることを特徴とす
る。
【0019】さらに、前記磁性酸化物粉体の製造方法に
おいて、磁性酸化物を構成する金属イオンとルビアン酸
との混合液を静止型攪拌混合器を通過させながら反応さ
せ、生成した複合キレート化合物を含むスラリーを、2
流体ノズルを用いて450〜700℃に加熱された空間
に噴霧し、複合キレート化合物を熱分解することにより
磁性酸化物粉体を得ることを特徴とする。
【0020】前記の2価金属及びFeの水溶性化合物と
しては、安価で経済性に優れた金属の塩化物、硝酸塩、
硫酸塩あるいは酢酸塩などを用いることができる。な
お、Feの水溶性化合物としては、第一鉄塩あるいは第
二鉄塩のいずれを用いてもよく、また第一鉄塩及び第二
鉄塩の混合物を用いてもよい。また、これらの鉄化合物
の他に、硫酸アンモニウム第一鉄、フェリシアン化アン
モニウム、フェロシアン化アンモニウムのような錯体あ
るいは鉄みょうばん(明礬)などの化合物を用いること
も可能である。
【0021】また、2価金属としては、Ni,Zn,M
nなどが例示されるが、2価金属はこれに限定されるも
のではなく他の2価金属を用いることも可能である。ま
た、これらの2価金属は単一で使用してもよく、また2
種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】この発明においては、水溶性のフェライト
を構成する2価金属化合物及び鉄化合物を溶解した混合
溶液に、ルビアン酸を加えて反応させることにより、定
量的な複合キレート化合物が合成される。そして、2価
金属として、例えばNi化合物とZn化合物を用いた場
合、フェライトを構成する金属イオンであるNi+2,Z
+2,Fe+3の各々とルビアン酸が反応して定量的なキ
レート化合物を生成するpH領域がほぼ一致しているた
め、フェライトを構成する元素を含む混合溶液にルビア
ン酸を添加して反応させると、フェライトを構成する全
ての元素をイオンレベルで均一に含有した複合キレート
化合物の沈殿が生成し、従来の製造方法においては困難
であった、イオンレベルでの均一な分散を可能にするこ
とができる。したがって、構成元素の均一分散を達成す
る見地からは、2価金属として、Feとほぼ同一のpH
範囲でルビアン酸と複合キレート化合物を形成する、N
i、Zn,Mnなどの金属を用いることが好ましい。
【0023】なお、熱処理は450〜700℃の温度範
囲内で行うことが好ましいが、これは、450℃未満で
は、複合キレート化合物の分解が不十分になり、完全な
フェライトが得られず、また、700℃を越えると、分
解処理温度が高くなって結晶化が進み、その反応焼結に
よるネッキングにより凝集が起こるため、粒径が大きく
なることによる。
【0024】また、一般的な沈殿法の場合においては、
フェライトを構成している各元素が、解離定数の大きさ
に応じて、pHの小さいものから順に沈殿し、結果的に
混合沈殿を形成しているに過ぎず、また、各元素の沈殿
の溶解度がそれぞれ異なるため、洗浄工程における各元
素の沈殿の溶解損失に差が生じ、仕込時の組成比率と洗
浄後の磁性酸化物粉体の組成比率にずれが生じるという
問題点があったが、この発明の磁性酸化物粉体の製造方
法によれば、キレート化合物を定量的に生成するpHが
実質的に一致しているため、フェライトを構成する全て
の元素を均一に含む複合定量的なキレート化合物を生成
する。したがって、洗浄時の溶解損失に関しても、フェ
ライトを構成する元素の構成比率と同じ構成比率で溶解
が生じるため、上記従来の製造方法におけるような組成
比率のずれが発生することを確実に防止することができ
る。
【0025】また、この発明の磁性酸化物粉体の製造方
法において、定量的な複合キレート化合物を生成するた
めにpH調整剤を用いるが、好ましいpH調整剤として
は、酢酸−アンモニア系のpH調整剤あるいは有機アミ
ン系のpH調整剤などのようにアルカリ金属を含まない
pH調整剤が例示される。このようなpH調整剤を用い
ることにより、NaOHを用いる上記従来の製造方法
のように、アルカリ金属イオンを除去するための洗浄工
程が不要になる。したがって、キレート化合物スラリー
を噴霧焙焼し、あるいは脱水乾燥したキレート化合物粉
体を熱処理するだけでCl-,NO3 -,SO4 -2を除去す
ることが可能で、製造工程を簡略化することが可能にな
る。なお、噴霧焙焼法を用いた場合には、複合キレート
化合物の溶解による損失の問題を確実に回避することが
可能になるため有利である。
【0026】なお、pH調整剤として上記の酢酸−アン
モニア系あるいは有機アミン系のpH調整剤を用いるこ
とにより、磁性酸化物粉体中にアルカリ金属イオンが不
純物として混入することを確実に防止することができる
ため、NaOHを用いてフェライトを構成する元素の水
酸化物を沈殿させ、Na+イオンを洗浄除去した後焼成
してなる磁性酸化物粉体に比べて、磁気特性を向上させ
ることができる。
【0027】また、複合キレート化合物を含むスラリー
を噴霧するのに2流体ノズルを用いることにより、スラ
リーをより微細な液滴にして噴霧することが可能にな
り、特に粉砕工程を必要とすることなく、容易かつ確実
に微細な磁性酸化物粉体を得ることができるようにな
る。
【0028】また、磁性酸化物を構成する金属イオンと
ルビアン酸とを反応させる工程で、金属イオンとルビア
ン酸を含む混合液を静止型攪拌混合器を用いて混合、反
応させることにより、特に動力を必要とすることなく、
混合液中の金属イオンとルビアン酸とを容易かつ確実に
反応させるとともに、生成する複合キレート化合物の沈
殿を十分に微細化することが可能になる。
【0029】なお、静止型攪拌混合器としては、例え
ば、筒状部内の軸方向に、所定形状のひねり羽根を複数
段配設固定し、該筒状部を通過する流体を各段のひねり
羽根を通過する度に2分割し、n段のひねり羽根を通過
したときに通過流体を2n個に分割するような静止型ラ
インミキサが例示される。
【0030】但し、静止型攪拌混合器は、これに限られ
るものではなく、筒状部内に、ひねり羽根など、流体の
流れを制御したり、流体を分割したりする部材(流動制
御部材)を配設し、そこを通過する流体の流れを利用し
て、液・液混合や、固・液混合などを行うことが可能
で、可動部を持たず、高い混合効率を得ることが可能な
種々の混合器(静止型攪拌混合器)を用いることが可能
であり、筒状部や流動制御部材の形状などに特に制約を
受けるものではない。
【0031】さらに、上記の静止型攪拌混合器を用いて
フェライトを構成する金属イオンとルビアン酸を反応さ
せて微細な複合キレート化合物を合成し、その複合キレ
ート化合物を含むスラリーを上記2流体ノズルを用いて
微細な液滴として加熱空間(加熱分解炉など)に噴霧す
ることにより、さらに微細な磁性酸化物粉体を効率よく
製造することが可能になる。
【0032】また、この発明の方法により合成された複
合化合物沈殿は水酸化物ではないため、前述の従来の製
造方法において形成される沈殿のように緻密に凝集し
た状態ではなく、有機化合物特有のかさ比重が小さく、
ふわりとした粉末状であって、合成される磁性酸化物粉
体は、熱分解時にセルフケミカルブレークダウンによっ
て微細化し、表面活性の高い微粉体が形成される。した
がって、従来法のように微細化処理のための粉砕工程が
不要になり製造工程が簡略化されるとともに、粉砕工程
における不純物の混入を防止することができるようにな
る。
【0033】
【実施例】以下、この発明の実施例を比較例とともに示
して、発明の特徴をさらに明瞭にする。
【0034】実施例1 硝酸ニッケル0.075モル、硝酸亜鉛0.10モル、
塩化第一鉄0.35モルを、純水2.0リットルに溶解
する。この混合溶液を60℃に加熱し、酢酸−アンモニ
ア水(pH調整剤)を用いて混合液のpHを6.5〜
7.5に調整する。
【0035】それから、この温混合溶液を高速攪拌しな
がら、エチルアルコール500mlにルビアン酸127g
を溶解した溶液を添加して複合キレート化合物の沈殿を
生成させた。次に、生成した複合キレート化合物の沈殿
を濾過し、固液を分離した後、乾燥して複合キレート化
合物の乾燥粉体を得た。
【0036】そして、この複合キレート化合物の乾燥粉
体を600℃で仮焼して磁性酸化物粉体を得た。
【0037】それから、得られた磁性酸化物粉体につい
て、X線回折分析(XRD分析)及び電子顕微鏡による
観察(SEM観察)を実施するとともに、磁性酸化物粉
体の比表面積(SS値)を測定した。
【0038】また、得られた磁性酸化物粉体に対して、
酢酸ビニル系のバインダーをその含有率が12wt%に
なるような割合で添加して造粒した後、成形して外径2
0mmのリングを作製した。それから、このリング状成形
体を900℃で焼成して焼結体を得た。そして、この焼
結体の初透磁率及び焼結密度を測定した。これらの観察
及び測定の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、この実施例においては、pH6.5
〜7.5でフェライトを構成する元素とルビアン酸とを
反応させるようにしているため、反応廃液が中性で排水
の中和処理が不要で、経済的に磁性酸化物粉体を製造す
ることができる。
【0041】実施例2 上記実施例1と同様の方法により複合キレート化合物を
合成し、得られた複合キレート化合物を含むスラリー
を、550℃に温度調整(加熱)された縦型熱分解炉
に、2流体ノズルを用いて1200ml/hrの割合で、
霧状に噴霧して熱分解を行い、生成した磁性酸化物粉体
を回収した。
【0042】そして、得られた磁性酸化物粉体につい
て、実施例1と同じ項目について同一の方法により観察
及び測定を行った。
【0043】また、得られた磁性酸化物粉体を用いて、
上記実施例1と同様の方法により、外径20mmのリング
を作製した。それから、このリング状成形体を900℃
で焼成して焼結体を得た。そして、上記実施例1と同様
に、この焼結体の初透磁率及び焼結密度を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0044】比較例 炭酸ニッケル、酸化亜鉛、酸化第2鉄粉体を実施例1と
同じ組成になるように採取して、混合粉砕し、800℃
で仮焼して仮焼粉体を得た。
【0045】この仮焼粉体について、上記実施例1と同
じ項目について同一の方法により観察及び測定を行っ
た。
【0046】また、得られた仮焼粉体に対して酢酸ビニ
ル系のバインダーをその含有率が7wt%になるような
割合で添加して造粒した後、成形して外径20mmのリン
グを作製した。それから、このリング状成形体を900
℃で焼成して焼結体を得た。そして、この焼結体の初透
磁率及び焼結密度を測定した。その結果を表1に示す。
【0047】表1に示すように、この発明の方法により
製造された磁性酸化物粉体は、従来の乾式法により製造
された磁性酸化物粉体(比較例)に比べて、粒子が微細
かつ均質で、SS値も大きく、表面活性が高いことがわ
かる。
【0048】また、この発明の実施例の磁性酸化物粉体
を焼成してなる焼結体は、比較例のそれに比べて、初透
磁率が大きく磁気特性に優れており、また、焼結密度が
大きく、焼結性にも優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】上述のように、この発明の磁性酸化物粉
体の製造方法は、磁性酸化物を構成する金属イオンとル
ビアン酸とを反応させて得られる複合キレート化合物
を、450〜700℃の温度で熱処理することにより磁
性酸化物粉体を得るようにしているので、均質かつ微細
で表面活性が高く、易焼結性の磁性酸化物粉体を容易か
つ確実に製造することができる。
【0050】また、出発物質として、従来の製造方法の
ように、高価なアセチルアセトネートあるいはアルコキ
シド化合物などを用いる必要がなく、安価な無機化合物
を用いることが可能であるため、微細な磁性酸化物粉体
を経済的に製造することができる。
【0051】さらに、複合キレート化合物を含むスラリ
ーを噴霧するのに2流体ノズルを用いた場合、スラリー
をより微細な液滴にして噴霧することが可能になり、よ
り微細な磁性酸化物粉体を容易に製造することができ
る。
【0052】また、金属イオンとルビアン酸を含む混合
液を静止型攪拌混合器を用いて混合、反応させるように
した場合、特に動力を必要とすることなく、混合液中の
金属イオンとルビアン酸とを容易かつ確実に反応させる
とともに、生成する複合キレート化合物の沈殿を十分に
微細化することが可能になる。
【0053】さらに、上記2流体ノズルと静止型攪拌混
合器とを組み合わせて用いることにより、さらに効率よ
く微細な磁性酸化物粉体を製造することができる。
【0054】また、2流体ノズルを用いる場合に限ら
ず、噴霧焙焼を行うことにより磁性酸化物粉体を製造す
る場合には、廃液の発生を防止して、クローズドシステ
ムにより経済的に磁性酸化物粉体を製造することができ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:MeFe24 (但し、MeはNi,Zn,Mnなどの2価の金属の少
    なくとも1種)で示される磁性酸化物粉体の製造方法に
    おいて、 磁性酸化物を構成する金属イオンとルビアン酸とを反応
    させて得られる複合キレート化合物を、450〜700
    ℃の温度で熱処理することにより磁性酸化物粉体を得る
    ことを特徴とする磁性酸化物粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 磁性酸化物を構成する金属イオンとルビ
    アン酸とを反応させて得られる複合キレート化合物を分
    散させたスラリーを、2流体ノズルを用いて450〜7
    00℃に加熱された空間に噴霧し、複合キレート化合物
    を熱分解することにより磁性酸化物粉体を得ることを特
    徴とする請求項1記載の磁性酸化物粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 磁性酸化物を構成する金属イオンとルビ
    アン酸との混合液を、静止型攪拌混合器を通過させなが
    ら反応させて複合キレート化合物を生成させることを特
    徴とする請求項1記載の磁性酸化物粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁性酸化物を構成する金属イオンとルビ
    アン酸との混合液を静止型攪拌混合器を通過させながら
    反応させ、生成した複合キレート化合物を含むスラリー
    を、2流体ノズルを用いて450〜700℃に加熱され
    た空間に噴霧し、複合キレート化合物を熱分解すること
    により磁性酸化物粉体を得ることを特徴とする請求項1
    記載の磁性酸化物粉体の製造方法。
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