JP3282213B2 - コンバインの脱穀風選装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンバインの脱穀風
選装置に関し、コンバインの脱穀装置において脱穀物選
別のために二系統の唐箕を設けたもの等に利用できる。

【０００２】

【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】コン
バインの刈取作業時には圃場の両端において必ず機体を
旋回させる必要が生じるが、この旋回時には穀稈の刈取
りが一時中断されて脱穀装置への穀稈の供給が跡切れる
こととなる。このため脱穀装置の選別部へ漏下する脱穀
物の量が少なくなり、通常の刈取作業時の脱穀量を良好
に選別可能に調整された唐箕風量では強過ぎて三番口へ
の穀粒の飛散が多くなる。この三番飛散は唐箕風量を弱
くすることにより減少するが、逆に今度は刈取作業時に
一番穀粒の選別性能が低下するという因果関係にある。

【０００３】この発明は、このような刈取作業時と旋回
時とにおける唐箕風量の強弱調節ができ難い因果関係
を、二系統の複数唐箕を設けることによって解決しよう
とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、脱穀室１か
ら脱穀漏下される脱穀物を受けて揺動移送しながら穀粒
選別する揺動選別棚２の下方にあって、この揺動選別棚
２から漏下される穀粒を風選する選別風路３に、刈取走
行旋回のセンサ４入力時から一定時間経過後駆動停止乃
至風量制御する第一唐箕５と、これより上側にあって常
時駆動する第二唐箕６とで送風すべく構成したことを特
徴とするコンバインの脱穀風選装置の構成とする。

【０００５】

【作用、及び発明の効果】上記の構成により、脱穀室１
で処理された脱穀物は揺動選別棚２の揺動移送により粗
選別されて漏下する。この漏下する粗選物のうち、該揺
動選別棚２の揺動移送方向上手側部分から漏下するもの
については、第二唐箕６から選別風路３の一方側風路を
介して送風させることにより風選を行うと同時に、該揺
動選別棚２の揺動移送方向下手側部分から漏下するもの
については、第一唐箕５から該選別風路３の他方側風路
を介して送風させることにより風選を行うものである。

【０００６】これらの送風時に、機体が圃場の両端等に
おいて旋回を行ったような場合に、刈取が一時中断され
て該揺動選別棚２上へ漏下する脱穀物の量が少なくなっ
たときは、この機体の旋回の状態を、例えば刈取部上昇
検出器の如きセンサ４により検出し、この検出信号入力
時点から前記脱穀物が減少する間のタイムラグを見越し
た一定時間経過後、前記第一唐箕５からの送風を停止す
るか、あるいは風量を弱くするよう調節制御して、三番
口への穀粒の飛散を極力抑えるようにする。

【０００７】また、このとき前記第二唐箕６は一番穀粒
の選別性能の低下を防止するため常時送風させるように
する。このように、通常の刈取作業においては第一唐箕
５と第二唐箕６の二系統の唐箕から充分に送風させて、
良好な一番穀粒の選別と三番口への穀粒飛散を少なくす
るよう調節されている状態において、機体の旋回時にお
ける脱穀物の量が少なくなったときには、センサ４の旋
回検出によって、一定時間のタイムラグをおいて第一唐
箕５の送風を停止するか、あるいは風量を弱くする調節
制御を行うことにより、脱穀物の量が減少したときにお
いても三番口への穀粒の飛散を極力抑えることができる
と共に、第二唐箕６を常時送風させておくことにより、
第一唐箕５の停止または弱風調節の際においても一番穀
粒の選別性能の低下を防止するようにさせるものであ
る。特に、旋回時においては、脱穀物の量が少なくなる
ので、下側の第一唐箕５が駆動停止乃至風量制御するこ
とにより、一番穀粒の飛散を防止でき、三番ロスを防止
できる。また、上側の第二唐箕６を常時駆動することに
より、揺動選別棚２上に付着する藁屑等の除去ができる
ので、選別性能が向上するようになる。

【０００８】

【実施例】以下に、この発明の実施例を図面に基づいて
具体的に説明する。コンバインの全体構成は、機台７の
下部側に刈取土壌面を走行する走行装置８と、該機台７
の上方側に刈取られた穀稈を脱穀する脱穀装置９と、こ
の脱穀装置９の前方側に立毛穀稈を刈取る刈取装置１０
と、この刈取装置１０及び脱穀装置９の一側部にコンバ
インの各種操作を行う操作装置１１と操作席１２とを各
々配置して設ける。

【０００９】また、該刈取装置１０は前端側より立毛穀
稈を分草する分草体１３を設け、この分草体１３により
分草された穀稈を引起す引起装置１４を該分草体１３の
後部側から上方に向け後傾させて延設し、この引起装置
１４の下部側後方に引起された穀稈を掻込む掻込装置１
５を設け、この掻込装置１５の下側には立毛穀稈を刈取
る刈刃装置１６を設ける。

【００１０】また、該掻込装置１５の搬送終端部から搬
送穀稈を引継いで前記脱穀装置９のフィードチエン１７
へ受け渡す縦搬送装置１８を設け、この縦搬送装置１８
の近傍後方側に該刈取装置１０の刈取フレーム１９を該
刈刃装置１６の近傍から上方に向け後傾させて延設し、
この刈取フレーム１９の上端部を前記走行装置８の前端
部から上方へ突設させた回動支点２０に、該刈取装置１
０を上下に昇降させるべく回動自在に支承して設け、こ
の回動支点２０近傍に該刈取装置１０の上下昇降状態を
検出する昇降検出用センサ４を検出可能に装着して構成
する。

【００１１】次に、前記脱穀装置９は上部側に脱穀部２
１と下部側に選別部２２を配設し、該脱穀部２１には穀
稈を脱穀する多数の扱歯２３を植設した扱胴２４を内装
する脱穀室１を設けると共に、この脱穀室１の穀稈供給
口２５近傍に該扱胴２４に沿ってその入口側から出口側
に亘って穀稈を搬送する前記フィードチエン１７を巻掛
け張設する。

【００１２】該脱穀室１は該扱胴２４を軸承する入口側
枠２６及び出口側枠２７とこの両側枠２６，２７の該穀
稈供給口２５側下部を固定する横梁２８とによって構成
し、この脱穀室１を、平面視該入口側枠２６の後部側に
設けた支点６１により該出口側枠２７を該フィードチエ
ン１７側外方に向け横方向へ回動させるべく支承して設
ける。また、該入口側枠２６及び出口側枠２７を該横梁
２８部位の略中心から該フイードチエン１７装着側をチ
エン回動枠２９として分割し、このチエン回動枠２９を
入口側に突設させた支杆６２の先端部を支点６３として
該脱穀室１とは各別に横方向へ回動可能に構成し、該チ
エン回動枠２９の出口側と本体前板６４との間に固定フ
ック６５を設ける。

【００１３】前記脱穀部２１には該入口側枠２６及び出
口側枠２７の下部に、この該入口側枠２６及び出口側枠
２７を保持する入口側枠支持金３０及び出口側枠支持杆
３１を各々設け、該両側枠２６，２７と本体側板３２と
の接合部３３を凹凸状に形成して設ける。また、該出口
側枠２７と該本体側板３２との間に該脱穀室１の横方向
への回動を阻止する固定フック３４を設ける。

【００１４】次に、前記選別部２２は、該脱穀室１の扱
胴２４下方に配設した扱受網３５から漏下した脱穀物
を、該扱胴２４の軸心に沿って該扱受網３５の直下に架
設した揺動選別棚２の揺動作用により粗選別を行い、こ
の揺動選別棚２の上手側下方に、第一ケーシング３６に
内装された複数枚の唐箕羽根３７により圧風起風する第
一唐箕５と、この第一唐箕５を補助する横断流ファンの
第二唐箕６をその下手側に配設して粗選物の仕上選別を
行うよう構成する。

【００１５】該揺動選別棚２は該扱受網３５の下方にグ
レンパン３８を配置すると共に、このグレンパン３８の
終端部からチャフシーブ３９に連設し、このチャフシー
ブ３９からストローラック４０に連設する。また、該チ
ャフシーブ３９の下方にグレンシーブ４１を設け、この
グレンシーブ４１の下方に一番選別棚４２を設けて一番
選別部４３を形成し、該ストローラック４０の下方に二
番選別棚４４を設けて二番選別部４５を形成する。

【００１６】該一番選別棚４２から流下した一番穀粒を
収容して横送りする一番スクリューコンベア４６を内装
した一番受樋４７を、該一番選別棚４２の下端部近傍に
配設すると共に、該二番選別棚４４を流下した二番物を
横送りする二番スクリューコンベア４８を内装した二番
受樋４９を、該二番選別棚４４の下端部近傍に配設す
る。

【００１７】前記第一唐箕５の第一ケーシング３６の底
板３６ａを延長して該一番受樋４７に接続すると共に、
この第一ケーシング底板３６ａに相対する第一ケーシン
グ上板３６ｂとの間に風割板５０を配設して、該第一唐
箕５から該一番選別部４３及び二番選別部４５に向けて
送風させるべく選別風路３を形成する。前記第二唐箕６
は、該第一ケーシング上板３６ｂを第二ケーシング底板
に兼用して該第一唐箕５の下手側に隣接して配設し、こ
の第二ケーシング底板３６ｂに相対する第二ケーシング
上板５１との間に補助風路５２を形成し、この補助風路
５２を該選別風路３に合流させて構成する。

【００１８】該第一唐箕５の唐箕羽根軸５３に唐箕プー
リ５４を軸止し、この唐箕プーリ５４と駆動プーリ５５
及びカウンタプーリ５６との間をベルト５７を巻掛け張
設する共に、このベルト５７の緊張または弛緩によって
該唐箕プーリ５４を回動または停止させるテンションプ
ーリ５８を配設する。このテンションプーリ５８は、前
記機台７の任意位置に配設された制御回路（図示省略）
により油圧等で作動制御される伸縮シリンダ５９にテン
ションアーム６０を介して連結構成する。また、該伸縮
シリンダ５９と前記刈取装置１０に設けた昇降検出用セ
ンサ４とを該制御回路を介して電気的に接続して構成す
る。

【００１９】次に以上の構成による作用について説明す
る。刈刃装置１６によって刈取られた穀稈は、縦搬送装
置１８により搬送され脱穀装置９のフィードチエン１７
へ供給される。このフィードチエン１７に供給された穀
稈を脱穀室１によって脱穀を行い、この脱穀処理により
扱受網３５から漏下して揺動選別棚２上に落下した脱穀
物を、該揺動選別棚２の揺動作用によってグレンパン３
８からチャフシーブ３９へ送り、このチャフシーブ３９
を漏下した脱穀物は更にグレンシーブ４１を漏下して粗
選別される。

【００２０】この粗選別された粗選物が該グレンシーブ
４１から一番選別部４３を落下する間に、選別風路３に
おいて第一唐箕５により起風される選別風によって仕上
選別されながら、一番選別棚４２上を流下して一番受樋
４７に収容され、一番スクリューコンベア４６により横
送りされ機外へ搬送される。また、該チャフシーブ３９
から漏下しない穀粒を含む塵埃はストローラック４０へ
と送られ、このストローラック４０が漏下した二番物は
二番選別部４５を落下する間に、該選別風路３において
第一唐箕５の選別風によって再選されながら、二番選別
棚４４上を流下して二番受樋４９に収容され、二番スク
リューコンベア４８により横送りされ二番還元される。

【００２１】これらの脱穀選別作業中に、コンバインが
圃場の両端等において旋回を行うような場合、この旋回
時に行う刈取装置１０の上昇作用を昇降検出用センサ４
が検出し、この検出信号を制御回路に送って演算を行
い、この演算により伸縮シリンダ５９を伸縮作動させ、
この作動によってテンションアーム６０を回動させ、こ
の回動によりテンションプーリ５８がベルト５７を弛緩
させて、駆動プーリ５５からの唐箕プーリ５４への動力
伝達が停止される。

【００２２】この動力の中断により前記第一唐箕５から
選別風路３へ向けた送風が停止されることにより、コン
バインの旋回により刈取りが中断し前記脱穀装置９へ供
給される穀稈が跡切れて、該選別風路３における粗選物
の量が減ったときでも三番口への穀粒の飛散を極力抑え
ることができる。前記の如き該第一唐箕５の停止により
選別性能が低下するので、第二唐箕６を常時駆動させる
ようにすることにより、補助風路５２を介して該選別風
路３の上手側部分に送風を行い選別性能の低下を防止さ
せるようにする。

【００２３】コンバインの旋回により前記昇降検出用セ
ンサ４による検出信号が送られた時点ではまだ脱穀が続
いており、該選別風路３を落下する粗選物の量が多いた
め、前記制御回路に遅延回路を組み込んで一定時間のタ
イムラグをもたせることにより、該昇降検出用センサ４
の検出時点から残留穀稈の脱穀終了までの時間差を補正
させるようにする。コンバインの旋回状態を検出する手
段としては、該昇降検出用のセンサ４に限らずとも、旋
回状態の検出が可能であれば他の如何なる手段を使用し
ても差し支えないものである。

【００２４】なお、該第一唐箕５の制御については、前
記の如くその駆動を停止させるようにせずとも、吸気口
等により風量を調節させるようにしてもよいものであ
り、これらの制御手段については如何なる方法を用いて
もよいものである。別実施例として、被選別物の量を検
出するセンサを揺動選別棚２の任意位置に設け、このセ
ンサの検出による被選別物の量に比例して風量を時々刻
々に調節制御する第一唐箕５と、該揺動選別棚２の上手
側始端部近傍の限定領域に選別風を作用させてワラ屑等
の除去により穀粒の初期漏下を促し能率の向上を図ると
共に、穀粒の三番口飛散に対する影響が比較的に少いの
で被選別物の量が極端に減ってきたときに初めて風量を
弱めるよう調節制御する第二唐箕６とを設けることによ
って、一番穀粒の選別向上と、三番口への穀粒飛散の減
少と、二番還元量の減少による損傷粒の防止等について
の効果が大である。

【００２５】また、前記脱穀装置９の点検整備や補修を
行うような場合には、まず、チエン回動杆２９をその入
口側の支杆６２の先端部を支点６３としてフィードチエ
ン１７側外方に向け横方向へ回動させる。又、前記脱穀
室１を扱胴２４を装架したまま入口側枠２６の後部側に
設けた支点６１により、出口側枠２７側を該フィードチ
エン１７側外方に向け横方向へ回動させる。

【００２６】次に、元の状態に復帰させるには前記の操
作を逆手順にて行う。元に復帰した該脱穀室１は、該入
口側枠２６を入口側枠支持金３０により、該出口側枠２
７を出口側枠支持杆３１により各々支持して重量による
下方向への垂れを防止すると共に、該両側枠２６，２７
と本体側板３２との接合部３３を凹凸状に形成して接合
させ固定フック３４によりロックさせることと、該チエ
ン回動枠２９を元に復帰させて本体前板６４との接合部
を固定フック６５によりロックさせて横梁２８を該チエ
ン回動枠２９で上から押圧することにより、該脱穀室１
の上方向への持上がりを防止することができる。これに
より重量のある該脱穀室１を回動形態に構成しても上下
方向への固定を簡単な構造で安定させうるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの一部を欠如した全体側面図。

【図２】脱穀装置の選別部を示す側断面図。

【図３】脱穀装置の一部を破断した側面図。

【図４】脱穀装置の背面図。

【図５】脱穀装置の一部の分解状態を示す平面図。

【符号の説明】

１…脱穀室、２…揺動選別棚、３…選別風路、４…セン
サ、５…第一唐箕、６…第二唐箕。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱穀室１から脱穀漏下される脱穀物を受
   けて揺動移送しながら穀粒選別する揺動選別棚２の下方
   にあって、この揺動選別棚２から漏下される穀粒を風選
   する選別風路３に、刈取走行旋回のセンサ４入力時から
   一定時間経過後駆動停止乃至風量制御する第一唐箕５
   と、これより上側にあって常時駆動する第二唐箕６とで
   送風すべく構成したことを特徴とするコンバインの脱穀
   風選装置。