JP3280290B2 - 無線鉄塔のアンテナ支持部構造 - Google Patents

無線鉄塔のアンテナ支持部構造

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博士 藤田
直好 志村
厚 坂元
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管等単柱の上部
に複数のアンテナ受パイプが立設固定された移動電話機
等のための無線鉄塔のアンテナ支持部構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼管等単柱の上部に複数のアンテ
ナ受パイプが立設固定された携帯電話等の移動電話機の
ための中継基地としての無線鉄塔のアンテナ支持部構造
は、図5に示すような構造のものが一般に採用されてい
た。これを簡単に説明すると、図5(A)に示すよう
に、鋼管等単柱31の上部に複数のアンテナ受パイプ5
0を立設固定するための上下二段の取付部52、53が
設置される。これを平面からみて図5(B)に示すよう
に、これらの取付部52、53は断面H字形のH形鋼か
らなる上繋ぎ部材40(40A、40B、40Cおよび
その間の補助繋ぎ材)および下繋ぎ材41(上繋ぎ部材
40と同様の構成)を鋼管等単柱31の外周へ放射状に
配置し、溶接等により固定するとともに、それらの外周
先端部を円形に形成したリング部材38および39にて
連結するとともに、それらの間が補強リング部材50に
て補強されて構成される。リング部材38、39にそれ
ぞれ固定した取付ブラケット46、46の上下間に2つ
一組のアンテナ受パイプ50、50が立設固定され、こ
の一組のアンテナ受パイプ50、50を円周上に3組設
置して3セクター方式(円周上120°の3つに分割)
とする。これらのアンテナ受パイプ50のそれぞれには
図示省略のアンテナが挿入設置される。なお、上下二段
の取付部52、53には手摺60や床部材51が設けら
れて、保守点検時の作業者の安全が図られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の無線鉄塔のアンテナ支持部構造においては、
アンテナ受パイプ50を立設固定するための上下二段の
取付部52、53が鋼管等単柱31の外周に直接溶接等
により固定されているため、必要があってアンテナの向
きを変えようとしても不可能であった。もし、アンテナ
の向きを変えようとする場合は上下のリング部材38、
39にそれぞれ固定された取付ブラケット46、46の
取付位置を変更すればよいが、そのためには上下2か所
ずつ6か所(3セクター方式)、合計で12か所の取付
け直しが必要であり、きわめて面倒であった。しかも、
それらの取付位置変更作業中はアンテナの落下の危険性
を孕んでいて安全上問題もあった。また、アンテナ受パ
イプ50を立設固定するための上下二段の取付部52、
53は、アンテナ受パイプ50によって連結されている
とはいえ、中心部が鋼管等単柱31の外周に固定された
片持ち梁構造であるために、変形が起き、強度上万全と
は言い難かった。しかも、これらの上下二段の取付部5
2、53を構成するのは通常、H形鋼が採用されている
ために、風圧抵抗が大きく、強風時の風圧をまともに受
けて、アンテナ支持部が設置されている鋼管等単柱31
の揺れを生起しがちであった。
【0004】このため、本発明では、これら従来の無線
鉄塔のアンテナ支持部構造における諸課題を解決して、
風圧の影響を小さくして、安定した取付構造により強度
が大きく、しかもアンテナの向きを迅速で容易かつ安全
に変更することも可能な無線鉄塔のアンテナ支持部構造
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、鋼
管等単柱の上部に多数のパイプ部材を連結して多数の分
割体を構成し、かつこれらの分割体を連結して構成され
る球面体を設置するとともに、該球面体に複数のアンテ
ナ受パイプを立設固定し、かつ前記球面体の鋼管等単柱
に対する取付位置を鉛直軸周りで所定角度毎に調整可能
に構成したことを特徴とするものである。また本発明
は、断面ほぼ円形の鋼管等単柱上部に間隔を置いて固定
された複数個の各リングフランジにおける円周上の複数
個の取付孔に、これらの取付孔に合致する取付孔が穿設
された複数個の取付フランジを前記リングフランジの上
側に載置してボルト締結するとともに、これらの取付フ
ランジには前記鋼管等単柱を囲むリング部材を複数本の
繋ぎ部材を介して固定し、さらに最上部に位置する取付
フランジと最下部に位置する取付フランジとを縦リング
部材によって固定するとともに、前記繋ぎ部材とリング
部材および縦リング部材とを連結ブラケットを介して連
結し、前記リング部材の外方にはアンテナ受パイプを立
設固定したことを特徴とするもので、これらを課題解決
のための手段とするものである。
【0006】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図1〜図3は本発明における無線鉄塔の
アンテナ支持部構造の第1実施の形態を示すもので、図
1は要部側面図、図2は図1(A)のA矢視図で要部平
面図、図3は床部材が取り付けられた要部平面図であ
る。本発明は、図1(A)に示すように、地上等に立設
された鋼管等単柱1の上部に多数のパイプ部材を連結し
て構成される球面体30を設置し、該球面体30に複数
のアンテナ受パイプ20を立設固定したことを特徴とす
るもので、具体的かつ詳細に説明すると、地上等に立設
された断面ほぼ円形の鋼管等単柱1(図示の例では円形
断面であるが、四角形等適宜の形状が採用され得る。)
上部に間隔を置いて複数個のリングフランジが固定され
る。本実施の形態では上方から順に、第1リングフラン
ジ2、第2リングフランジ3、第3リングフランジ4お
よび第4リングフランジ5が適宜の方法にて鋼管等単柱
1の外周部に固定される。各リングフランジには円周上
に所定角度毎(図示の例では図2(A)に示すように3
0°毎)に取付孔6が多数穿設され、これらの取付孔6
に合致する取付孔7(図1(C)参照)が穿設された取
付フランジがボルト締結される。
【0007】これらのリングフランジのうち、中間に位
置する第2リングフランジ3と第3リングフランジ4に
は、前記鋼管等単柱1を囲むパイプ部材からなるリング
部材8、9が、放射状に配置された複数本(図示の例で
は円周上120°を隔てた3本。)の上繋ぎ部材10お
よび下繋ぎ部材11を介して取付フランジ10F、11
Fによって固定(図2(A)の縦リング部材12A、1
3Aおよび14Aと重合表示された10A、10Bおよ
び10C。下繋ぎ部材11も同様。)され、最上部の第
1リングフランジ2と最下部の第4リングフランジ5間
には、パイプ部材からなる縦リング部材12、13およ
び14が取付フランジ12F、13Fおよび14Fによ
って固定される。そして、上繋ぎ部材10および下繋ぎ
部材11の外周先端部と縦リング部材12、13および
14とは連結ブラケット17によって連結され、該連結
ブラケット17を貫通して前記リング部材8、9が設置
される。
【0008】前記上下のリング部材8および9は、それ
ぞれ連結フランジ8Fおよび9Fによって連結された3
つの円弧状分割体(図2(A)の上リング部材8の8
A、8Bおよび8Cの例参照。下リング部材9について
も同様。)から構成される。また、前記各縦リング部材
12、13および14についても、それぞれ前記連結ブ
ラケット17によって連結された3つの円弧状分割体
(図1(A)の図面右側の縦リング部材13の13A、
13Bおよび13Cの例参照。縦リング部材12および
14についても同様。)から構成される。前記リング部
材8、9の外方には2つ1組のアンテナ受パイプ20が
立設固定され、本実施の形態では、円周上120°の間
隔をおいて3組設置して3セクター方式とされる。アン
テナは指向性により電波の送受信方向が二方向のもの
(2セクター方式)と三方向のもの(3セクター方式)
とに分けられる。なお、鋼管等単柱1の上部には、図1
(B)に示すような避雷針15が鉛直に立設される。
【0009】前記リング部材8、9の外方にアンテナ受
パイプ20を立設固定する構造としては、例えば図2
(A)のC部の拡大図である図2(B)、および図2
(B)のD−D断面図である図2(C)に示すように、
連結ブラケット17を跨いだ位置にて一対の取付ブラケ
ット16、16を、それらの取付孔8Aにリング部材
8、9が貫通された形態にて溶接等により固定し、それ
らの先端部に固定されたチャンネル部材18に一対のア
ンテナ支持ブラケット19、19をボルト締結した構造
が採用される。図3は図1(A)のE矢視図であり、上
繋ぎ部材10A、10Bおよび10Cと第2リングフラ
ンジ3と上リング部材8との間にパンチングプレートや
エキスパンドメタル等の床部材21を張設したものであ
る。アンテナの保守点検時等には作業者が該床部材21
に載って作業を行なう。
【0010】図4は本発明における無線鉄塔のアンテナ
支持部構造の第2実施の形態を示す平面図で、本実施の
形態では、一対のアンテナ受パイプ20が円周上90°
の間隔をおいて4組設置して2セクター方式とされるも
のである。したがって、本実施の形態のものでは、縦リ
ング部材22、23、24、および25や繋ぎ部材も円
周上90°の間隔をおいて4組設置される。また、リン
グ部材8についても、連結フランジ8Fによって連結さ
れた4つの円弧状分割体8A、8B、8Cおよび8Dか
ら構成される。(リング部材9も同様)
【0011】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明の趣旨の範囲内で、鋼管等単柱の断面
形状(例えば鋼管等単柱を断面非円形とし、リングフラ
ンジの取付フランジ取付部を円形とする構成)、リング
フランジの形状、それに穿設される取付孔の円周上の間
隔角度、リングフランジの鋼管等単柱への固定形態、リ
ングフランジへの取付フランジの取付形態(好適には取
付フランジをリングフランジの上側に載置した状態にて
取り付けられるが、アンテナの向きを調整する際に球面
体30が安定して調整が行なえれば一部の取付フランジ
はリングフランジの下側に載置してもよい。また、取付
フランジがリングフランジと同形で球面体と一体に形成
されてもよい。)、各部材間の連結形態、アンテナ受パ
イプのための取付ブラケットの形状およびそのリング部
材への取付形態等については適宜採用することができ
る。
【0012】
【発明の効果】以上、詳細に説明してきたように本発明
によれば、鋼管等単柱の上部に多数のパイプ部材を連結
して構成される球面体を設置するとともに、該球面体に
複数のアンテナ受パイプを立設固定したことにより、複
数のアンテナ受パイプが立設固定される部材がパイプ部
材を連結して構成される球面体であるために、従来のH
形鋼等を構成部材として採用したものに比較して風圧の
影響が小さく、安定した取付構造により無線鉄塔として
の全体的な強度も大きくできることとなる。しかも、本
発明では、前記球面体の鋼管等単柱に対する取付位置を
鉛直軸周りで所定角度毎に調整可能に構成されているの
で、複数のアンテナ受パイプにアンテナが装着されたま
まで球面体全体を鋼管等単柱の周りで回転させること
で、アンテナの向きを迅速で容易かつ安全に変更するこ
とが可能となる。
【0013】また、複数のアンテナ受パイプが立設固定
される部材が球面体を構成するために繋ぎ部材やリング
部材の外周部が縦リング部材によって吊下される形態を
採っているために、複数のアンテナ受パイプ部による重
量が繋ぎ部材やリング部材の外周部に加わっても、「片
持ち梁」となることなく縦リング部材がこれらの荷重を
効果的に負担して強度を確保できる。さらに、球面体を
構成する部材が多数の分割体を連結して構成されている
ことによって、分解しての現場への搬送が容易であるば
かりか、部品の適宜の組合せを選択することによって、
鋼管等単柱を共通として2セクター方式と3セクター方
式のいずれをも適宜に交換して組み立てることが可能と
なる。しかも、球面体の鋼管等単柱に対する取付位置を
鉛直軸周りで所定角度毎に調整する際には、鋼管等単柱
に固定された各リングフランジの上側に、球面体におけ
る各部材の内端部の各取付フランジが載置された状態に
て、球面体全体を鋼管等単柱の周りで落下する虞れなく
安定して回転させて、アンテナの向きを迅速で容易かつ
安全に変更することができることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線鉄塔のアンテナ支持部構造の第1
実施の形態を示す要部側面図である。
【図2】本発明の無線鉄塔のアンテナ支持部構造の第1
実施の形態を示す図1(A)のA矢視要部平面図であ
る。
【図3】本発明の無線鉄塔のアンテナ支持部構造の第1
実施の形態を示す床部材が取り付けられた要部平面図で
ある。
【図4】本発明の無線鉄塔のアンテナ支持部構造の第2
実施の形態を示す要部平面図である。
【図5】従来の無線鉄塔のアンテナ支持部構造を示す側
面図および平面図である。
【符号の説明】
1・・・鋼管単柱 2〜5・・第1〜第4リングフランジ 6、7・・取付孔 8・・・上リング部材 8F・・・連結フランジ 9・・・下リング部材 9F・・・連結フランジ 10・・・上繋ぎ部材 10F・・取付フランジ 11・・・下繋ぎ部材 11F・・取付フランジ 12〜14・・第1〜第3縦リング部材 13F・・取付フランジ 15・・・避雷針 16・・・取付ブラケット 17・・・連結ブラケット 18・・・チャンネル部材 19・・・アンテナ支持ブラケット 20・・・アンテナ受パイプ 21・・・床部材 22〜25・・縦リング部材 30・・・球面体
フロントページの続き (72)発明者 藤田 博士 北海道札幌市中央区北3条西3丁目1番 地5 エヌ・ティ・ティ北海道移動通信 網株式会社内 (72)発明者 志村 直好 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (72)発明者 坂元 厚 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (72)発明者 春原 興太郎 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (56)参考文献 特開 平9−219621(JP,A) 実開 平6−19306(JP,U) 実開 平2−128405(JP,U) 実用新案登録3022360(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01Q 1/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管等単柱の上部に多数のパイプ部材を
    連結して多数の分割体を構成し、かつこれらの分割体を
    連結して構成される球面体を設置するとともに、該球面
    体に複数のアンテナ受パイプを立設固定し、かつ前記球
    面体の鋼管等単柱に対する取付位置を鉛直軸周りで所定
    角度毎に調整可能に構成したことを特徴とする無線鉄塔
    のアンテナ支持部構造。
  2. 【請求項2】 断面ほぼ円形の鋼管等単柱上部に間隔を
    置いて固定された複数個の各リングフランジにおける円
    周上の複数個の取付孔に、これらの取付孔に合致する取
    付孔が穿設された複数個の取付フランジを前記リングフ
    ランジの上側に載置してボルト締結するとともに、これ
    らの取付フランジには前記鋼管等単柱を囲むリング部材
    を複数本の繋ぎ部材を介して固定し、さらに最上部に位
    置する取付フランジと最下部に位置する取付フランジと
    を縦リング部材によって固定するとともに、前記繋ぎ部
    材とリング部材および縦リング部材とを連結ブラケット
    を介して連結し、前記リング部材の外方にはアンテナ受
    パイプを立設固定したことを特徴とする請求項1に記載
    の無線鉄塔のアンテナ支持部構造。
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