JP3277375B2 - 電子スチルカメラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子スチルカメラに関
し、特に電子スチルカメラのホワイトバランス調整に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、静止画像を電気的な映像信号とし
て磁気ディスクに記録するいわゆる電子スチルカメラが
各種開発されている。この電子スチルカメラにより撮影
を行う場合には、通常のビデオカメラの場合と同様に、
ホワイトバランス調整を行う必要がある。即ち、撮影さ
れる被写体を照らす明かりの色温度に応じて、ホワイト
バランス調整を行う必要がある。このホワイトバランス
調整は、撮像信号を構成する３原色信号（赤色信号，緑
色信号，青色信号）のそれぞれのレベル調整により行わ
れる。例えば、赤色信号と緑色信号との比及び青色信号
と緑色信号との比を検出し、それぞれの比が所定範囲内
になるように、赤色信号及び青色信号のレベル調整を行
い、ホワイトバランスを調整する。この場合、例えば特
開平２−１９４７９２号公報に記載されているように、
一般にこのホワイトバランス調整は自動的に行われる。

【０００３】ところで、通常のビデオカメラの場合に
は、連続的に撮像を行い連続的に撮像信号を出力させる
必要があるので、常時良好にホワイトバランスが調整さ
れるように、ホワイトバランス調整回路を常時作動させ
てホワイトバランス調整を行う必要がある。

【０００４】これに対し、電子スチルカメラの場合に
は、静止画像の撮影を所望のシャッタチャンスに行うだ
けなので、撮影を行う瞬間にホワイトバランス等の各種
特性が良好に調整されていれば良い。従って、撮影を行
う直前に、例えばシャッタ釦を半押し状態となったとき
だけにホワイトバランス調整回路を作動させるようにす
ることで、ホワイトバランス調整回路が作動する時間が
最小限に抑えられ、電子スチルカメラの消費電力を最小
限に抑えることができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
撮影を行う直前にだけホワイトバランス調整回路を作動
させるようにすると、例えばこの電子スチルカメラにカ
ラー表示を行う電子ビューファインダを取付け、この電
子ビューファインダで被写体を表示させた場合、シャッ
タ釦が半押し状態になるまでホワイトバランスが崩れた
不自然な画像（被写体）が表示されてしまう。また、撮
影を行う前に必ずシャッタ釦を半押し状態にして、ホワ
イトバランスの調整状態を電子ビューファインダで確認
してから撮影する必要があり、撮影に手間が掛かり、ス
ピーディな撮影ができない不都合があった。

【０００６】本発明の目的は、ホワイトバランス調整が
良好なタイミングに行われる電子スチルカメラを提供す
ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、例えば図１に
示すように、撮像素子より得た３原色信号を夫々所定の
期間積分した積分値に基づいて、３原色信号のホワイト
バランスを調整するホワイトバランス調整回路を備えた
電子スチルカメラにおいて、半分だけ押された状態と、
完全に押された状態と、押されてない状態との３状態の
区別ができ、完全に押されたとき撮影が行われるシャッ
タ操作手段と、焦点距離の調整を行うズームレンズの位
置を検出するズームレンズ位置検出手段と、シャッタ操
作手段が半分だけ押された状態を検出したときと、シャ
ッタ操作手段が押されてない状態であってズームレンズ
位置検出手段の検出データより上記ズームレンズの移動
を検出してズームレンズが移動した後にその移動が停止
したことを検出した毎に、ホワイトバランス調整回路を
動作させる制御手段とを備えたものである。

【０００８】

【作用】このようにしたことで、ズームレンズにより画
角調整が行われると、ホワイトバランス調整回路が作動
してホワイトバランス調整が行われる。従って、撮影者
が撮影を行う前に画角調整を行うことで、自動的にホワ
イトバランス調整が行われ、画角が決まった段階でホワ
イトバランス調整が適正に行われた撮像信号が得られ、
良好なホワイトバランスの撮像信号が簡単に得られると
共に、画角が決まった段階では電子ビューファインダで
もホワイトバランス調整が適正に行われた被写体の映像
が表示される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照し
て説明する。

【００１０】図１において１０は撮影レンズ全体を示
し、この撮影レンズ１０は、固定されたフロントレンズ
１１と、焦点距離の調整（即ち画角の調整）を行うズー
ムレンズ１２と、焦点の調整（即ちフォーカスの調整）
を行うマスターレンズ１３とを備え、マスターレンズ１
３が最も結像面側にあるインナーフォーカス方式のレン
ズ装置として構成してある。

【００１１】そして、この撮影レンズ１０を通した像光
を、固体撮像素子（以下ＣＣＤイメージャと称する）２
１のフェーズプレートに結像させ、このＣＣＤイメージ
ャ２１で電気的な撮像信号に変換し、この撮像信号を撮
像信号処理回路２２に供給し、この撮像信号処理回路２
２で３原色信号（赤色信号，緑色信号，青色信号）に変
換する。そして、この３原色信号の内、赤色信号Ｒ及び
青色信号Ｂをそれぞれ後述する可変抵抗器４１及び４２
を介して映像信号処理回路２３に供給し、この映像信号
処理回路２３でＮＴＳＣ方式等の所定のフォーマットの
複合映像信号に変換する。そして、この映像信号処理回
路２３が出力する映像信号を記録回路２４に供給し、こ
の記録回路２４で記録用の所定の処理がなされた１フィ
ールド（又は１フレーム）の静止画像の映像信号を磁気
ヘッド２５に供給し、磁気ディスク２６の所定トラック
に記録させる。

【００１２】また、映像信号処理回路２３が出力する映
像信号を駆動回路２７に供給し、この駆動回路２７で電
子ビューファインダを構成するカラー液晶表示パネル２
８の駆動制御を行う。従って、ＣＣＤイメージャ２１が
撮像した映像が、カラーで液晶表示パネル２８に表示さ
れる。この液晶表示パネル２８では、撮像した映像が動
画として表示される。

【００１３】また、撮像信号処理回路２２が出力する３
原色信号を積分回路３１に供給し、この積分回路３１で
１画面分（即ち１フィールド分又は１フレーム分）の原
色信号を積分し、積分値をアナログ／デジタル変換器３
２に供給してデジタルデータとし、このデジタルデータ
をホワイトバランス制御回路３３に供給する。そして、
ホワイトバランス制御回路３３で、それぞれの原色信号
の積分値の比率が所定範囲内にあるか否かのホワイトバ
ランスの判断を行う。即ち、１画面分の各原色信号を全
て積分することで、ホワイトバランスが適正であるとき
には白色の画面の撮像信号とほぼ同様になると想定し
て、この白色の画面の撮像信号の場合と同様な比率（即
ち赤色信号，緑色信号，青色信号がほぼ１：１：１の比
率）であるときホワイトバランスが適正であると判断す
る。

【００１４】この場合、このホワイトバランス制御回路
３３は、システムコントローラ３５により後述するよう
に作動が制御され、上述したホワイトバランスの判断に
基づいて、赤色信号Ｒ及び青色信号Ｂのゲインを制御す
る制御データをデジタル／アナログ変換器３４に供給
し、このデジタル／アナログ変換器３４で変換されたそ
れぞれの制御データを、可変抵抗器４１及び４２に供給
する。そして、それぞれの可変抵抗器４１及び４２で
は、ホワイトバランス制御回路３３側から供給される制
御データに基づいて抵抗値が設定され、撮像信号処理回
路２２側から供給される赤色信号Ｒ及び青色信号Ｂを、
この設定された抵抗値に基づいたゲインとして、映像信
号処理回路２３に供給する。

【００１５】このように、１画面分の撮像信号の積分値
に基づいてホワイトバランスを自動的に調整する回路
は、例えば特開平２−１９４７９２号公報に記載されて
いる。

【００１６】なお、この自動的なホワイトバランス調整
は、撮影モードによっては行わない場合もある。即ち、
システムコントローラ３５により設定されるこの電子ス
チルカメラの撮影モードが、色温度を固定して行うモー
ドであるとき等に、可変抵抗器４１及び４２の抵抗値を
所定値に固定させる。或いは、自動的なホワイトバラン
ス調整を行う場合でも、それぞれの原色信号の積分値の
比率が著しく異なるとき、自動的なホワイトバランス調
整ができない画像（例えば全面が赤色の画像）の撮影を
行っていると判断して、可変抵抗器４１及び４２の抵抗
値を変化させない。

【００１７】また、図中３６は撮影レンズ１０の焦点距
離調整用レンズとしてのズームレンズ１２の位置を検出
するポテンショメータを示し、このポテンショメータ３
６の検出データをシステムコントローラ３５に供給す
る。さらに、図中３７はシャッタ釦を示し、このシャッ
タ釦３７が押されたとき、対応した制御信号をシャッタ
釦３７からシステムコントローラ３５に供給する。この
場合、このシャッタ釦３７は、半分だけ押された半押し
状態と、完全に押された状態と、押されていない状態と
の、３状態の区別ができるようにしてあり、完全に押さ
れた状態のとき、システムコントローラ３５が撮影のた
めの各種回路を作動させて、撮影が行われるようにして
ある。

【００１８】そして本例においては、システムコントロ
ーラ３５がポテンショメータ３６の検出データよりズー
ムレンズ１２の移動を検出し、この移動が停止したとき
にホワイトバランス制御回路３３を作動させると共に、
システムコントローラ３５がシャッタ釦３７の半押し状
態を検出したときにホワイトバランス制御回路３３を作
動させる。即ち、図２のフローチャートに示すように、
システムコントローラ３５は、シャッタ釦３７が半押し
状態か否かを判断していると共に、ズームレンズ１２が
移動して停止したか否かを判断している。そして、シャ
ッタ釦３７が半押し状態と判断されたときと、ズームレ
ンズ１２が移動して停止したと判断したときには、ホワ
イトバランス制御回路３３を作動させ、映像信号処理回
路２３に供給される各原色信号Ｒ，Ｇ，Ｂのレベルの比
率を所定範囲に調整させる。

【００１９】なお、ホワイトバランス制御回路３３が作
動していないときには、積分回路３１，アナログ／デジ
タル変換器３２，デジタル／アナログ変換器３４への電
源の供給を停止させる等して、これらの回路の作動も停
止させる。

【００２０】本例の電子スチルカメラはこのように構成
したことで、ホワイトバランス調整が撮影開始前に良好
なタイミングで行われる。即ち、撮影開始前に撮影者が
ズームレンズ１２を動かして焦点距離の調整を行って画
角を設定（フレーミング）することで、この画角の設定
が終了してズームレンズ１２が停止すると、システムコ
ントローラ３５がホワイトバランス制御回路３３を作動
させて、自動的なホワイトバランス調整が行われる。従
って、撮影開始前に被写体に対応した画角を設定する作
業を撮影者が行うことで、この画角の設定直後にホワイ
トバランスが適正なものに自動調整され、電子ビューフ
ァインダを構成するカラー液晶表示パネル２８にホワイ
トバランスが適正な被写体の画像が表示される。そし
て、撮影者はこの画像を見て撮影される画像を判断する
ことが出来る。

【００２１】また、この画角の設定を行わずに撮影を行
う場合（即ち焦点距離を変化させない場合）には、撮影
者がシャッタ釦３７を半押し状態にすることで、画角設
定時と同様にシステムコントローラ３５がホワイトバラ
ンス制御回路３３を作動させて、自動的なホワイトバラ
ンス調整が行われる。

【００２２】このようにして撮影開始前に自動的にホワ
イトバランス調整が行われることで、撮影者は被写体に
対応した画角を設定するだけで良く、ホワイトバランス
調整のための操作が必要なく、撮影操作が簡単になり、
例えばスピーディな撮影が可能になる。また、被写体に
対応した画角を設定した後は、ホワイトバランスが適正
に調整された画像が電子ビューファインダに表示され、
電子ビューファインダの表示で撮影される画像のホワイ
トバランスの調整状態も簡単に判断できる。さらにま
た、撮影開始前に自動的にホワイトバランス調整が行わ
れるのは、画角を設定したときとシャッタ釦３７を半押
し状態にしたときだけなので、ホワイトバランス制御回
路３３等のホワイトバランス調整のための回路が作動す
る時間が最低限に抑えられ、撮影に必要な電力が少なく
なる。

【００２３】なお、上述実施例においては、ホワイトバ
ランス調整回路として制御回路３３が取り込む原色信号
をホワイトバランス調整前の信号とした開ループ構成と
したが、制御回路３３が取り込む原色信号をホワイトバ
ランス調整後の信号とした閉ループ構成としても良い。
さらに、別の構成のホワイトバランス調整回路としても
良い。さらにまた、本発明は上述実施例に限らず、その
他種々の構成が取り得ることは勿論である。

【００２４】

【発明の効果】本発明によると、撮影者が撮影を行う前
に画角調整を行うことで、自動的にホワイトバランス調
整が行われ、画角が決まった段階でホワイトバランス調
整が適正に行われた撮像信号が得られ、良好なホワイト
バランスの撮像信号が簡単な操作で得られると共に、画
角が決まった段階では電子ビューファインダでもホワイ
トバランス調整が適正に行われた被写体の映像が表示さ
れる。この場合、ホワイトバランス調整のための回路が
作動する時間が最低限に抑えられ、撮影に必要な電力が
少なくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電子スチルカメラの一実施例を示す構
成図である。

【図２】本発明の電子スチルカメラの一実施例の説明に
供するフローチャート図である。

【符号の説明】

１０ 撮影レンズ １２ ズームレンズ ２１ ＣＣＤイメージャ ２２ 撮像信号処理回路 ２３ 映像信号処理回路 ３１ 積分回路 ３３ ホワイトバランス制御回路 ３５ システムコントローラ ３６ ポテンショメータ ３７ シャッタ釦 ４１ 可変抵抗器 ４２ 可変抵抗器

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 撮像素子より得た３原色信号を夫々所定
   の期間積分した積分値に基づいて、上記３原色信号のホ
   ワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路を
   備えた電子スチルカメラにおいて、 半分だけ押された状態と、完全に押された状態と、押さ
   れてない状態との３状態の区別ができ、完全に押された
   とき撮影が行われるシャッタ操作手段と、焦点距離の調整を行うズームレンズの位置を検出する ズ
   ームレンズ位置検出手段と、 上記シャッタ操作手段が半分だけ押された状態を検出し
   たときと、上記シャッタ操作手段が押されてない状態で
   あって上記ズームレンズ位置検出手段の検出データより
   上記ズームレンズの移動を検出して上記ズームレンズが
   移動した後にその移動が停止したことを検出した毎に、
   上記ホワイトバランス調整回路を動作させる制御手段と
   を備えたことを特徴とする電子スチルカメラ。