JP3277225B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP3277225B2 JP05518892A JP5518892A JP3277225B2 JP 3277225 B2 JP3277225 B2 JP 3277225B2 JP 05518892 A JP05518892 A JP 05518892A JP 5518892 A JP5518892 A JP 5518892A JP 3277225 B2 JP3277225 B2 JP 3277225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の自動変速機の
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動変速機の制御装置として、例
えば、特開昭62−41451号公報に記載されたもの
が知られている。
【0003】この従来装置は、ハイクラッチ,リバース
クラッチ,ローリバースブレーキ,オーバランクラッチ
およびフォワードクラッチが設けられ、それぞれ、油圧
の供給により作動されて、適宜結合および固定を行うよ
うになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の自動変速機の制御装置にあっては、前進1
速,2速,3速の時に締結されるフォワードクラッチの
容量は、急発進を行うフルストールおよびレーシングセ
レクト(後述する)の条件で設定しているため、通常の
走行時に、容量過多となって変速ショック等を招いてし
まうという問題があった。なお、前記フルストールと
は、変速機をDレンジ等の走行低速レンジに入れ、アク
セルを深く踏み込んでエンジン回転数を高める共に、ブ
レーキを踏んで車速は0とした状態から、ブレーキから
足を離して急発進する状態という。一方、レーシングセ
レクトとは、変速機をニュートラルレンジとしておい
て、アクセルを深く踏み込んでエンジン回転数を高めた
状態から、Dレンジ等の走行低速レンジに入れて急発進
する状態をいう。
【0005】本発明は、上記の問題点に着目して成され
たもので、自動変速機のクラッチにおいて、通常走行に
最適な容量と急発進時に最適な容量といような異なる2
つの走行条件における最適容量の両立を図ることのでき
る容量設定が可能な自動変速機の制御装置を提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、油圧作動に
よる第1のクラッチと第2のクラッチとを並列に配置
し、高い締結容量を必要とするかしないかの走行条件に
よりその一方を締結させたり両方を締結させたりして上
述の目的を達成することとした。
【0007】すなわち本発明の自動変速機の制御装置
は、図1のクレーム概念図に示すとおり、自動変速機a
のトルク伝達系の途中に並列配置され、油圧の供給によ
り作動される第1のクラッチbおよび第2のクラッチc
エンジンから自動変速機aに入力されるトルクを検
出する入力トルク検出手段d入力トルク検出手段d
からの信号に基づき、第1のクラッチaまたは第2のク
ラッチbが高い締結容量を必要とする走行条件か否かを
判断する判断手段と、判断手段で、高い締結容量を必要
としない走行条件であると判断したときには第1・第2
のクラッチb,cの一方を締結させ、一方、高い締結容
量を必要とする走行条件であると判断した場合には伝達
するトルクを両クラッチb,cで分担するよう両方のク
ラッチb,cを締結させる締結制御手段eを有してい
る構成とした。
【0008】なお、第1のクラッチを、前進時に締結さ
せるフォワードクラッチとし、第2のクラッチを、エン
ジンブレーキを得る時に締結させるオーバーランクラッ
チとしてもよい。また、判断手段を、入力トルク検出手
段により検出された入力トルクが所定値以上である高ト
ルク領域内か否かに基づいて、前記高い締結容量を必要
とする走行条件であるか否かを判断する手段としてもよ
い。また、前記入力トルク検出手段をスロットルセンサ
とし、判断手段を、スロットル開度が設定開度未満であ
るときには前記高い締結容量を必要としない走行条件
あると判断させ、スロットル開度が設定開度以上の全開
であるときには高い締結容量を必要とする走行条件
あると判断させても良い。
【0009】
【作用】高い締結容量を必要としない走行条件の時に
は、第1クラッチと第2クラッチとの一方のみを締結さ
せて、締結容量を低くし、高い締結容量を必要とする走
行条件の時には、第1・第2両クラッチが伝達するトル
クを両クラッチで分担するよう締結させて締結容量を高
める。
【0010】請求項2,3記載の装置では、スロットル
開度を設定開度未満とする通常の走行時には、並列配置
のフォワードクラッチおよびオーバランクラッチのいず
れか一方を締結させ、この場合、締結容量が低く変速シ
ョックが小さくなりスムーズな変速が得られる。一方、
スロットル開度を設定開度以上の全開域とした走行時に
は、フォワードクラッチおよびオーバランクラッチの両
方を締結させ、この場合、フルストール時やレーシング
セレクト時のような大トルクが伝達される際にも、途中
にすべりが生じないようにして伝達することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により詳述す
る。
【0012】図2は本発明実施例の制御装置を適用した
自動変速機ATおよび自動変速機ATの変速作動を制御
するA/Tコントロールユニット等を示す全体図であっ
て、前記自動変速機ATには油圧を制御するコントロー
ルバルブCVが設けられ、また、このコントロールバル
ブCVは、油圧制御を行うためのアクチュエータとして
シフトソレノイド11,12,オーバランクラッチソレ
ノイド13,ロックアップソレノイド14,ライン圧ソ
レノイド15を有している。そして、これらソレノイド
11〜15の駆動を制御するのがA/Tコントロールユ
ニット10であり、このA/Tコントロールユニット1
0は、入力手段としアイドルスイッチ21,フルスロッ
トルスイッチ22,スロットルセンサ23,エンジン回
転センサ24,インヒビタスイッチ25,温度センサ2
6,車速センサ27が設けられている。
【0013】図3は前記自動変速機の動力伝達列を示
し、この動力伝達列は、エンジンEの出力軸1からの回
転を入力軸2に伝達するトルクコンバータ3,第1遊星
歯車組4,第2遊星歯車組5,出力軸6および後述の各
種摩擦締結要素により構成されている。
【0014】前記トルクコンバータ3は、ポンプインペ
ラ3P,タービンランナ3T,ステータ3S,ロックア
ップクラッチ3Lを有した通常のロックアップコンバー
タである。なお、図中7はワンウエイクラッチ7であ
る。
【0015】前記第1遊星歯車組4は、サンギヤ4S,
リングギヤ4R,これらに噛合するピニオン4Pおよび
ピニオン4Pを回転自在に支持するキャリア4Cよりな
る通常の単純遊星歯車組とし、第2遊星歯車組5も、同
様にサンギヤ5S,リングギヤ5R,ピニオン5Pおよ
びキャリア5Cよりなる単純遊星歯車組とする。
【0016】次に、前記の各種摩擦締結要素を説明す
る。
【0017】キャリア4Cは、ハイクラッチH/Cを介
して入力軸に適宜結合可能となっている。サンギヤ4S
は、バンドブレーキB/Bにより適宜固定可能となって
いる他、リバースクラッチR/Cにより入力軸2に適宜
結合可能となっている。キャリア4Cは、さらに多板式
のローリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能と
なっていると共に、ローワンウエイクラッチLO/Cを
介して逆転(エンジンと逆方向の回転)を阻止されてい
る。
【0018】リングギヤ4Rは、キャリア5Cに一体結
合されて出力軸6に駆動結合され、サンギヤ5Cを入力
軸2に結合されている。リングギヤ5Rは、オーバラン
クラッチOVR/Cを介して適宜キャリア4Cに結合可
能となっている他、フォワードワンウエイクラッチFO
/CおよびフォワードクラッチFWD/Cを介してキャ
リア4Cに相関されている。フォワードワンウエイクラ
ッチFO/Cは、フォワードクラッチFWD/Cの結合
状態でリングギヤ5Rを逆転方向(エンジン回転と逆の
方向)においてキャリア4Cに結合されるようになって
いる。
【0019】ところで、前記フォワードクラッチFWD
/Cは、通常走行時における変速の際に、変速ショック
が生じにくいような容量、すなわち、従来と比較して低
容量に設定されている。そして、このフォワードクラッ
チFWD/Cと、これに並列配置されたオーバランクラ
ッチOVR/Cとは、両者を同時に締結した際の容量
が、フルストール時およびレーシングセレクト時に必要
なだけの容量となるように設定されている。
【0020】ハイクラッチH/C,リバースクラッチR
/C,ローリバースブレーキLR/B,オーバランクラ
ッチOVR/CおよびフォワードクラッチFWD/C
は、それぞれ、前記コントロールバルブCVからの油圧
の供給により作動されて前記適宜結合および固定を行
う。
【0021】図3の動力伝達列は、変速摩擦要素B/
B,H/C,FWD/C,R/Cおよびエンジンブレー
キ用摩擦要素OVR/C,LR/C(なお、オーバラン
クラッチOVR/Cは変速摩擦要素とエンジンブレーキ
用摩擦要素を兼ねている)を、下記の表1に示すよう
に、種々の組み合わせで作動させることにより、摩擦要
素FO/C,LO/Cの適宜作動とあいまって、遊星歯
車組4,5を構成する各要素の回転状態を変え、これに
より入力軸2の回転速度に対する出力軸6の回転速度を
変えることができ、表1に示すとおりに前進4速後退1
速の変速段を得ることができる。なお、図中〇印が作動
(油圧注入)を示すが、△印はエンジンブレーキが必要
な時に作動させるべき摩擦要素を示す。そして、△印に
示すようにオーバランクラッチOVR/Cが作動されて
いる間に、これに並列配置されたフォワードクラッチF
WD/Cは非作動となり、ローリバースブレーキLR/
Cが作動している間、これに並列配置したローワンウエ
イクラッチLO/Cが非作動になる。
【0022】
【表1】 以上は、通常走行時の変速制御による作動である。
【0023】また、フォワードクラッチFWD/Cとオ
ーバランクラッチOVR/Cとは、表2に示すような2
通りの組み合わせの締結を行う。つまり、通常走行時に
は、両クラッチFWD/C,OVR/Cのいずれか一方
のみを締結させるが、エンジンEからの入力トルクが大
となるスロットル全開域では両クラッチFWD/C,O
VR/Cを両方とも締結させる。
【0024】
【表2】 この作動について説明する。
【0025】図4は、A/Tコントロールユニット10
による締結容量可変制御を示すフローチャートであっ
て、ステップ101は、スロットルセンサ23からの信
号に基づきスロットル開度が全開域であるか否かを判定
するステップであり「NO」でステップ102に進み、
「YES」でステップ103に進む。
【0026】ステップ102は、上述の通常変速制御を
行うステップであり、この場合、表1に示す組み合わせ
の締結を行い、リターンする。
【0027】ステップ103は、大トルク時制御を行う
ステップであり、この場合、前進1速,2速,3速では
表2に示すようにフォワードクラッチFWD/Cとオー
バランクラッチOVR/Cの両方を締結させる。この場
合、通常変速制御によりフォワードクラッチFWD/C
が締結される状態であるから、さらにオーバランクラッ
チソレノイド13に制御信号を与えて、オーバランクラ
ッチOVR/Cを締結させる。
【0028】以上のように、本実施例にあっては、スロ
ットルを全開域まで開くことのない通常前進走行時に
は、容量を低く設定しているフォワードクラッチFWD
/CおよびオーバランクラッチOVR/Cのいずれか一
方のみしか締結しないから、変速ショックが生じにくく
スムーズな変速を得ることができる。一方、スロットル
を全開域とした時には、フォワードクラッチFWD/C
とオーバランクラッチOVR/Cの両方を締結させて、
容量を高めるから、自動変速機ATをDレンジ等の走行
低速レンジに入れ、アクセルを深く踏み込んでエンジン
回転数を高める共に、ブレーキを踏んで車速は0とした
状態から急発進するといったフルストール時や、自動変
速機ATをニュートラルレンジとしておいて、アクセル
を深く踏み込んでエンジン回転数を高めた状態から、D
レンジ等の走行低速レンジに入れて急発進するといった
レーシングセレクト時にも、十分に耐える容量が得られ
るもので、通常走行に最適な容量と急発進時に最適な容
量といような異なる2条件における最適容量の両立を図
ることができるという効果が得られる。
【0029】加えて、本実施例では、通常の変速時に締
結させるフォワードクラッチFWD/Cに並列配置させ
る第2のクラッチとして、従来から設けられているオー
バランクラッチOVR/Cを用いたため、新にクラッチ
を追加する必要がなく、構成の簡略化を図ることができ
るという効果が得られる。
【0030】しかも、これらフルストール時およびレー
シングセレクト時を、スロットル開度のみを検出すると
いう簡便な方法で判別するようにしているため、従来か
ら車両に設けられている、スロットルセンサ23を利用
することで構成を簡略化することができるという効果が
得られる。
【0031】以上、本発明の実施例を図面により説明し
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。例えば、実施例では、フルストールやレーシングセ
レクトに十分耐えられるだけの大容量が必要な状態を
する手段として、スロットルセンサからの信号に基づ
いた例を示したが、自動変速機の変速ポジション,エン
ジン回転数,ブレーキ状態を検出して、これらの信号に
基づいてフルストールおよびレーシングセレクトを直接
判断するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動変速
機の制御装置にあっては、油圧作動による第1のクラッ
チと第2のクラッチとを並列に配置し、高い締結容量を
必要とするかしないかの走行条件によりその一方を締結
させたり両方を締結させたりする構成としたため、自動
変速機のクラッチにおいて、通常走行に最適な容量と急
発進時に最適な容量といような異なる2つの走行条件に
おける最適容量の両立を図ることのできる容量設定が可
能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機の制御装置を示すクレーム
概念図である。
【図2】本発明第1実施例の制御装置およびこの制御装
置を設けた自動変速機を示す全体図である。
【図3】本発明第1実施例装置を設けた自動変速機の動
力伝達列を示すスケルトン図である。
【図4】本発明第1実施例装置の制御流れを示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
a 自動変速機 b 第1のクラッチ c 第2のクラッチ d 入力手段 e 締結制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−173463(JP,A) 特開 平2−216327(JP,A) 特開 平5−26333(JP,A) 特開 平3−292447(JP,A) 特開 平2−261958(JP,A) 特開 平2−125161(JP,A) 特開 平1−193443(JP,A) 特開 昭62−41451(JP,A) 実開 平2−33963(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機のトルク伝達系の途中に並列
    配置され、油圧の供給により作動される第1のクラッチ
    および第2のクラッチエンジンから自動変速機に入力されるトルクを検出する
    入力トルク検出手段該入力トルク検出手段 からの信号に基づき、前記第1の
    クラッチまたは第2のクラッチが高い締結容量を必要と
    する走行条件か否かを判断する判断手段と、 該判断手段で、 高い締結容量を必要としない走行条件
    あると判断したときには第1・第2のクラッチの一方を
    締結させ、一方、高い締結容量を必要とする走行条件
    あると判断した場合には伝達するトルクを両クラッチで
    分担するよう両方のクラッチを締結させる締結制御手段
    を有していることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1のクラッチが、前進時に締結さ
    せるフォワードクラッチであり、前記第2のクラッチ
    が、エンジンブレーキを得る時に締結させるオーバーラ
    ンクラッチであることを特徴とする請求項1記載の自動
    変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記判断手段は、前記入力トルク検出手
    段により検出された入力トルクが所定値以上である高ト
    ルク領域内か否かに基づいて、前記高い締結容量を必要
    とする走行条件であるか否かを判断することを特徴とす
    る請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記入力トルク検出手段がスロットルセ
    ンサであり、 前記判断手段は、スロットル開度が設定開度未満である
    ときには前記高い締結容量を必要としない走行条件であ
    ると判断し、スロットル開度が設定開度以上の全開域で
    あるときには高い締結容量を必要とする走行条件である
    と判断することを特徴とする請求項1,請求項2又は請
    求項3記載の自動変速機の制御装置。
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