JP3277138B2 - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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JP3277138B2
JP3277138B2 JP05301197A JP5301197A JP3277138B2 JP 3277138 B2 JP3277138 B2 JP 3277138B2 JP 05301197 A JP05301197 A JP 05301197A JP 5301197 A JP5301197 A JP 5301197A JP 3277138 B2 JP3277138 B2 JP 3277138B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流電力をコンバ
ータにより直流電力に変換し、さらにインバータにより
任意の周波数の交流電力に変換して、誘導電動機を駆動
制御するシステムにおいて、特に直流リンク電圧の脈動
に起因するトルクリプルを抑制する電力変換装置の改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電源からの交流電力をコンバー
タにより直流電力に変換し、この直流電力を直流コンデ
ンサにより平滑化し、さらにインバータにより任意の周
波数の交流電力に変換して、誘導電動機を駆動制御する
システムにおいては、コンバータから直流コンデンサに
流れる電流に高調波が重畳するため、直流リンク電圧が
脈動する。
【0003】この場合、直流リンク電圧の脈動の周波数
は、電源が3相の場合には、電源周波数fsoの6倍周波
数6fsoであり、電源が単相の場合には、電源周波数f
soの2倍周波数2fsoである。
【0004】一方、インバータにより直流電圧から3相
交流を作り出す場合、直流リンク電圧の変動によって、
相電流のビート現象とトルクのリプルが発生し問題とな
る。
【0005】この相電流のビート現象とは、直流リンク
電圧の変動周波数とインバータの出力周波数fi との差
の周波数で、相電流が振動する現象であり、トルクに関
しては直流リンク電圧の変動周波数のリプルが生じる。
【0006】これは、特に電源が単相である場合に、直
流リンク電圧の変動周波数が低いため、問題となる。
【0007】電源周波数が、50Hz,60Hzの場合
には、直流リンク電圧の変動周波数は、100Hz,1
20Hzとなる。
【0008】そこで、最近では、例えば文献1(「コン
バータ・インバータシステムにおけるビート現象の抑制
法」電気学会論文誌D部門Vol.109 No.5
P.363)において、相電流のビート現象に関して、
その原因が相電圧に重畳する正負間のアンバランス電圧
にあるとして、このアンバランスを除去する制御方法が
提案されてきている。
【0009】以下に、従来の相電流ビート現象を抑制す
るための具体的な方法について、図10を用いて説明す
る。
【0010】図10は、従来の電力変換装置の概略構成
例を示すブロック図である。
【0011】図10において、単相電源1からの単相交
流電力を単相コンバータ2により直流電力に変換し、直
流コンデンサ3により平滑化し、さらにインバータ4に
より任意の周波数の交流電力に変換して、誘導電動機6
を駆動制御するシステムとなっている。
【0012】一方、滑り周波数制御器29により滑り角
周波数基準ωs * が算出され、速度検出器7により検出
された誘導電動機6の速度(角周波数)ωr と加算され
ることによって、インバータ4の出力角周波数基準ωi
* が算出される。
【0013】また、電圧検出器8により検出された、直
流コンデンサ3の端子電圧である直流リンク電圧V
dcは、平均値演算器30により平均値Vdc * が算出さ
れ、変動量演算器18によりその平均値からの変動量Δ
dcが演算される。そして、変動量ΔVdcを平均値Vdc
で除した(割った)値が、ゲイン位相補償器20に入力
される。
【0014】さらに、ゲイン位相補償器20では、入力
となる電源周波数fsoの2倍周波数2fsoの正弦波に、
ゲイン補償と位相補償を行なった正弦波が出力される。
【0015】この出力は、インバータ4の出力角周波数
の補償値Δωi であり、インバータ4の出力角周波数基
準ωi * に加算されて、インバータ4の出力角周波数ω
i となる。
【0016】そして、このインバータ4の出力角周波数
ωi は、積分器11により積分されてインバータ4の出
力電圧位相角θi となり、ゲート制御器17へ入力され
る。
【0017】さらに、ゲート制御器17では、このイン
バータ4の出力電圧位相角θi を基に、インバータ4に
ゲート信号が発生される。
【0018】ところで、上記文献1では、電流ビートに
関して、ゲイン・位相補償器の設定法を解析的に求めて
いる。
【0019】さらに、ゲインおよび位相を微調整するこ
とによって、トルクリプルが抑制できる点を指摘してい
る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゲイン
および位相を微調整することによって、トルクリプルが
抑制できるという点に関しては、シミュレーションの結
果からその効果を指摘しているのみであり、その根拠に
ついては一切述べられていない。
【0021】また、運転状況に応じた調整が必要である
点を指摘しているものの、その理論的な裏付けがないた
めに調整法が不明確であり、実際の調整は困難であると
いう問題がある。
【0022】本発明の目的は、理論的に求めた補償量に
よって逐次補償を行なうことにより、いかなる運転状
態、あるいは各パラメータ値が異なるような制御対象で
も、調整を不要としてトルクリプルを効果的に抑制する
ことが可能な信頼性の高い電力変換装置を提供すること
にある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、電源からの交流電力を直流
電力に変換して出力するコンバータと、コンバータから
出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、直
流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波
数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動制御するイン
バータと、誘導電動機の2次磁束ベクトルを演算する手
段と、演算された2次磁束ベクトルに直交する電流を演
算する手段と、演算された2次磁束ベクトルに一致する
電流に脈動が存在する状態で、演算された2次磁束ベク
トルに直交する電流の値が一定となるように、2次磁束
ベクトルに対するインバータの出力電圧の位相角を制御
する手段とを備える。
【0024】従って、請求項1の発明の電力変換装置に
おいては、インバータの出力電圧の位相角を操作するこ
とにより、トルク電流の脈動を抑制することができる。
【0025】また、励磁電流は変動するが、2次磁束が
追従しないことから、2次磁束はほぼ一定であるため、
誘導電動機の発生トルクも一定となり、トルクリプルを
抑制することができる。
【0026】これにより、機械系への影響を低減するこ
とができ、また騒音も小さくすることができる。
【0027】また、請求項2の発明では、電源からの交
流電力を直流電力に変換して出力するコンバータと、コ
ンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コン
デンサと、直流コンデンサにより平滑化された直流電力
を任意の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動
制御するインバータと、誘導電動機の2次磁束軸に一致
した軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸と
するdq軸回転座標系上で制御を行なうベクトル制御手
段と、q軸成分の電流を検出あるいは演算する手段と、
d軸成分の電流に脈動が存在する状態で、検出あるいは
演算されたq軸成分の電流の値が一定となるように、d
軸に対するインバータの出力電圧の位相角を制御する手
段とを備える。
【0028】従って、請求項2の発明の電力変換装置に
おいては、上記請求項1の発明の電力変換装置と同様な
作用効果を得ることができる。
【0029】特に、ベクトル制御の場合には、例えば2
次磁束軸にd軸を一致して制御するため、新たに磁束軸
を検出あるいは演算する必要がなく、容易に実現するこ
とができる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】一方、請求項の発明では、電源からの交
流電力を直流電力に変換して出力するコンバータと、コ
ンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コン
デンサと、直流コンデンサにより平滑化された直流電力
を任意の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動
制御するインバータと、誘導電動機の2次磁束ベクトル
を演算する手段と、誘導電動機の出力トルクを検出ある
いは演算する手段と、演算された2次磁束ベクトルに一
致する電流に脈動が存在する状態で、検出あるいは演算
された出力トルクの値が一定となるように、演算された
2次磁束ベクトルに対するインバータの出力電圧の位相
角を制御する手段とを備える。
【0055】従って、請求項の発明の電力変換装置に
おいては、トルクを直接制御するため、上記請求項1お
よび請求項2の発明の電力変換装置に比べて、より厳密
にトルク脈動を抑制することができる。
【0056】さらに、この場合には、モデル化誤差や外
乱等に対しても、効果的に作用することができる。
【0057】また、請求項の発明では、電源からの交
流電力を直流電力に変換して出力するコンバータと、コ
ンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コン
デンサと、直流コンデンサにより平滑化された直流電力
を任意の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動
制御するインバータと、誘導電動機の2次磁束軸に一致
した軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸と
するdq軸回転座標系上で制御を行なうベクトル制御手
段と、q軸成分の電流を検出あるいは演算する手段と、
q軸1次電流指令値を演算する手段と、検出あるいは演
算されたq軸成分の電流の値と演算されたq軸1次電流
指令値との偏差を演算する手段と、d軸成分の電流に脈
動が存在する状態で、演算された偏差が零となるよう
に、d軸に対するインバータの出力電圧の位相角を制御
する手段とを備える。
【0058】従って、請求項の発明の電力変換装置に
おいては、上記請求項2の発明の電力変換装置と同様な
作用効果を得ることができる。
【0059】さらに、この場合には、モデル化誤差や外
乱等に対しても、効果的に作用することができる。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0080】 (第1の実施の形態:請求項1、請求項2に対応) 図1は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図10と同一部分に
は同一符号を付して示している。
【0081】図1において、単相電源1からの単相交流
電力を単相コンバータ2により直流電力に変換し、直流
コンデンサ3により平滑化し、さらにインバータ4によ
り任意の周波数の交流電力に変換して、誘導電動機6を
駆動制御するシステムとなっている。
【0082】一方、制御系としては、いわゆるベクトル
制御方式である。
【0083】このベクトル制御方式は、電流、電圧、磁
束をベクトル量として制御する方式であり、dq軸とし
て定義される回転する座標系(dq軸回転座標系)上で
制御を行なう。
【0084】また、このベクトル制御方式は、例えば文
献2(「電気機器工学II」、電気学会)等により公知の
技術であり、多くの方式が提案されてきている。
【0085】本実施の形態による図1に示すようなベク
トル制御方式は、滑り角周波数を適切に制御することに
よって、誘導電動機6の2次磁束をd軸に一致させる滑
り周波数形ベクトル制御方式と呼ばれる構成である。ま
た、電流マイナーループを持たない構成となっている。
【0086】次に、本実施の形態のベクトル制御方式の
構成について具体的に述べる。
【0087】図1において、d軸2次磁束指令値φ2d *
とトルク指令値Tm * とを入力とする滑り角周波演算器
10により、滑り角周波数基準ωs * を演算し、速度検
出器7により検出された誘導電動機6の速度(角周波
数)ωr と加算することによって、インバータ4の出力
角周波数ωi を演算する。
【0088】また、インバータ4の出力角周波数ωi
積分器11により積分して、インバータ4の出力電圧位
相角基準値θi * を演算する。
【0089】一方、d軸2次磁束指令値φ2d * を入力と
するd軸電流指令演算器12により、d軸1次電流指令
値id * を演算する。
【0090】また、q軸電流指令演算器13では、d軸
2次磁束指令値φ2d * とトルク指令値Tm * とを入力と
して、q軸1次電流指令値iq * を演算する。
【0091】さらに、d軸電圧指令演算器14およびq
軸電圧指令演算器15では、d軸1次電流指令値id *
とq軸1次電流指令値iq * とを入力として、必要なd
q軸電圧指令値Vd * およびVq * を演算する。
【0092】一方、座標系変換器16では、dq軸回転
座標系上の電圧指令値Vd * およびVq * から、ab軸
静止座標系上の電圧指令値Va * およびVb * を演算
し、さらに電圧指令値の大きさ|V|とa軸に対する電
圧指令ベクトル(Va * およびVb * )の位相角θv *
を演算する。
【0093】また、この電圧指令ベクトルの位相角θv
* は、インバータ4の出力電圧位相角基準θi * と加算
して、インバータ4の出力電圧位相角θi を演算する。
【0094】さらに、ゲート制御器17では、インバー
タ4の出力電圧位相角θi に基づいて、インバータ4へ
のゲート信号を発生する。
【0095】なお、図1では、インバータ4が1パルス
で動作する場合のベクトル制御系を構成している。
【0096】これも、例えば文献3(「電圧固定モード
でのベクトル制御」、H7電気学会産業応用部門全国大
会、No.196)により公知である。
【0097】一方、磁束指令補正器9では、ab軸静止
座標系上での出力電圧指令値の大きさ|V|と直流リン
ク電圧との大きさとを比較し、両者が一致するように2
次磁束基準φdref を補正して、2次磁束指令値φ2d *
を出力する。
【0098】また、ベクトル制御では、2次磁束軸がd
軸に一致するために、q軸1次電流iq が磁束軸に直交
する電流ということになる。
【0099】さらに、ベクトル制御を施すために、q軸
1次電流iq はその指令値iq * に一致していると考え
る。
【0100】この点は、実際の誘導電動機6の相電流
を、dq軸上に座標変換して、q軸1次電流iq を算出
するようにしてもかまわない。
【0101】一方、電圧検出器8では、直流リンク電圧
dcを検出し、変動量演算器18により、直流リンク電
圧Vdcの変動量ΔVdcを演算する。
【0102】また、補償量演算器19では、上記直流リ
ンク電圧Vdc、直流リンク電圧の変動量ΔVdc、インバ
ータ4の出力角周波数ωi 、誘導電動機6の速度(角周
波数)ωr 、d軸2次磁束指令値φ2d * 、q軸1次電流
指令値iq * 、インバータ4の出力電圧位相角θv を入
力として、前述した(1´)〜(4´)式に基づいて、
インバータ4の出力電圧の位相角への補償量Δθv を算
出する。
【0103】また、このインバータ4の出力電圧の位相
角への補償量Δθv を、座標系変換器16の出力である
dq軸出力電圧の位相角基準θv * と加算して、インバ
ータ4の出力電圧位相角θv を演算する。
【0104】さらに、このインバータ4の出力電圧位相
角θv を、dq軸回転座標系d軸の固定座標a軸に対す
る位相の基準であるθi * と加算して、最終的なインバ
ータ4の出力電圧位相角θi を演算する。
【0105】そして、ゲート制御器17では、インバー
タ4の出力電圧位相角θi に基づいて、インバータ4へ
のゲート信号を発生する。
【0106】次に、以上のように構成した本実施の形態
の電力変換装置の作用について説明する。
【0107】一般に、誘導電動機6の特性は、dq軸回
転座標系上で以下のように記述される。
【0108】また、発生トルクは、(15)式で表わさ
れる。
【0109】
【数7】
【0110】d軸を2次磁束軸に一致するように選ぶ
と、2次磁束のq軸成分Φ2qは零となり、座標の回転速
度ωi は、2次磁束の回転速度ωφに一致する。
【0111】よつて、上記(13)〜(15)式は、次
式のように変換することができる。
【0112】
【数8】
【0113】ここで、dq軸回転座標系上での各状態量
に対し、平均値にはを付けて表わし、また変動する成
分にはΔを付けて表わす。
【0114】
【数9】
【0115】変動量に関する状態方程式は、次式のよう
になる。
【0116】
【数10】
【0117】上記(20)式を、d軸2次磁束の変動量
ΔΦ2dとトルク電流の変動量Δiqについて解き、(2
1)式に代入することによって、トルク変動量ΔT
m を、dq軸出力電圧変動量ΔVd ,ΔVq により表わ
すことができる。
【0118】
【数11】
【0119】
【数12】
【0120】トルク変動を零とすると、dq軸出力電圧
の変動量ΔVq ,ΔVq の関係が算出される。
【0121】
【数13】
【0122】d軸出力電圧の変動量ΔVd とq軸出力電
圧の変動量ΔVq とが、上記式のような関係をとること
により、トルクリプルを抑制することができる。
【0123】
【数14】
【0124】ここで、Vdcは直流リンク電圧であり、θ
v はd軸、すなわち2次磁束軸から出力電圧ベクトル軸
への位相角を表わす。そして、Vdcとθv を、平均値と
変動量とに分離する。
【0125】また、添字は平均値、添字Δは変動量を
それぞれ表わす。
【0126】
【数15】
【0127】
【数16】
【0128】上記(32)式は、直流リンク電圧の変動
量ΔVdcによって、dq軸電圧が影響されることを示し
ている。
【0129】そして、この(32)式で表わされるdq
軸出力電圧の変動量が、上記(26)式で示される条件
式を満たす時に、トルクリプルを抑制することができ
る。
【0130】次に、上記(26)式に(32)式を代入
して、補償量Δθv を導出する。
【0131】
【数17】
【0132】次に、上記(33)式により算出した補償
量Δθv を、インバータ4の出力電圧位相角基準値θv
* に加算して、インバータ4の出力電圧位相角θv を算
出する。
【0133】
【数18】
【0134】前述した(1´),(2´),(3´),
(4´)式は、上記(33),(34),(35),
(24)式にそれぞれ一致する。
【0135】ただし、(4´)式と(24)式とは、演
算に用いる変数が指令値と平均値との差異がある。
【0136】しかし、ベクトル制御を施すため、指令値
に一致した応答が得られるものとすれば、平均値と指令
値とは等価であると考えられる。
【0137】また、2次磁束の回転周波数をインバータ
4の出力周波数に置き換えているのは、励磁電流の変動
に対して2次磁束の変動が非常に小さく、dq軸座標系
上で2次磁束はほぼ一定であるため、2次磁束の回転周
波数とdq軸の回転周波数であるインバータ4の出力周
波数とが一致するためである。
【0138】以上により、インバータ4の出力電圧の位
相角θv を操作することによって、トルクを一定に制御
することができることがわかる。
【0139】上述したように、本実施の形態の電力変換
装置においては、インバータ4の出力電圧の位相角θv
を操作しているので、トルク電流の脈動を抑制すること
が可能となる。
【0140】また、励磁電流は変動するが、2次磁束が
追従しないことから、2次磁束はほぼ一定であるため、
誘導電動機6の発生トルクも一定となり、トルクリプル
を抑制することが可能となる。
【0141】すなわち、インバータ4の出力電圧の位相
角への補償量Δθv が理論的根拠によって逐次導かれる
ため、いかなる運転状態、あるいは制御対象において
も、調整の必要なくトルク脈動を抑制することが可能と
なる。
【0142】さらに、ベクトル制御では、2次磁束軸に
d軸を一致して制御するため、新たに磁束軸を検出ある
いは演算する必要がなく、容易に実現することができ、
実機での調整を容易に行なうことが可能となる。
【0143】これにより、騒音の低減、機械系、および
電気系の故障率の低下を期待することができる。
【0144】また、電車駆動用の誘導電動機に応用した
場合には、乗り心地の改善を図ることができる。
【0145】また、本発明は理論的に求めた補償量によ
り逐次補償を行なうため、いかなる運転状況、あるいは
各パラメータ値が異なるような制御対象でも、トルクリ
プルを抑制することができるため、調整にかかる時間と
労力を大幅に削減することができる。
【0146】(第2の実施の形態) 図2は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0147】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0148】すなわち、図2において、補償量演算器1
9では、前記直流リンク電圧Vdc、直流リンク電圧Vdc
の変動量ΔVdc、インバータ4の出力角周波数ωi 、誘
導電動機6の速度(角周波数)ωr 、インバータ4の出
力電圧の位相角θv を入力として、前述した(5´)〜
(8´)式に基づいて、インバータ4の出力電圧の位相
角への補償量Δθv を算出する。
【0149】また、この補償量Δθv を、インバータ位
相角基準値θi * に加算して、インバータ位相角θi
演算する。
【0150】さらに、このインバータ位相角θi を、ゲ
ート制御器17への入力とし、スイッチング指令を出力
する。
【0151】次に、以上のように構成した本実施の形態
の電力変換装置の作用について説明する。
【0152】前記(20)式から、トルクリプルΔTm
に影響を与える2次磁束変動量Δφ2dに関して、次式が
導かれる。
【0153】
【数19】
【0154】2次時定数と呼ばれるL2 /R2 は、通常
の誘導電動機6において数百msである。
【0155】そして、励磁電流id が単相電源1の2倍
の周波数100Hzあるいは120Hzといった周波数
で変動しても、2次磁束φ2 の変動量Δφ2dは極めて小
さい。
【0156】よって、トルクリプルは、トルク電流のリ
プルにのみ依存するものとし、トルク電流リプルを抑制
することによって、トルクリプルを低減することができ
る。
【0157】
【数20】
【0158】トルク電流のリプルを抑制する条件は、次
式のようになる。
【0159】
【数21】
【0160】前記(20)式を、トルク電流の変動量Δ
q に関して解き、上記(39)式に代入することによ
って、d軸出力電圧の変動量ΔVd とq軸出力電圧の変
動量ΔVq との関係が導かれる。
【0161】
【数22】
【0162】d軸出力電圧の変動量ΔVd とq軸出力電
圧の変動量ΔVq とが、上記(40)式のような関係を
とることによって、トルク電流のリプルを低減すること
ができる。
【0163】そして、上記式を、前述した第1の実施の
形態の(26)式に置き換えて考えることによって、前
述した(5´)〜(8´)式が導かれることになる。
【0164】そして、以後の説明は、前述した第1の実
施の形態の場合と同様であるので、ここではその説明を
省略する。
【0165】上述したように、本実施の形態の電力変換
装置においては、前述した第1の実施の形態の電力変換
装置の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0166】また、前述のように、磁束変化は小さいた
め、トルクリプルを抑制することが可能となる。
【0167】さらに、前述した第1の実施の形態の電力
変換装置の場合と比べて、補償量演算器19での演算処
理量を低減することができるため、処理能力の低いCP
Uによって容易に実現することが可能となる。
【0168】(第3の実施の形態) 図3は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0169】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0170】すなわち、図3において、補償量演算器1
9では、前記直流リンク電圧Vdc、直流リンク電圧Vdc
の変動量ΔVdc、インバータ4の出力角周波数ωi 、出
力電圧の位相角θv を入力として、前述した(9´)〜
(12´)式のようにして、補償量Δθv を算出する。
【0171】また、補償量Δθv を、インバータ位相角
基準値θi * に加算して、インバータ位相角θi を演算
する。
【0172】さらに、このインバータ位相角を、ゲート
制御器17への入力とし、スイッチング指令を出力す
る。
【0173】次に、以上のように構成した本実施の形態
の電力変換装置の作用について説明する。
【0174】前述したように、d軸2次磁束の変動は小
さい。よって、前記(20)式の状態方程式中に、次式
のような仮定を加える。
【0175】
【数23】
【0176】この場合、dq軸電流の変動量に関する状
態方程式は、(20)式を変形して次式のようになる。
【0177】
【数24】
【0178】2次磁束の変動が小さいため、トルクリプ
ルはトルク電流リプルにのみ依存するものとし、トルク
電流リプルを抑制することによって、トルクリプルを低
減することができる。
【0179】
【数25】
【0180】トルク電流のリプルを抑制する条件は、次
式のようである。
【0181】
【数26】
【0182】上記(44)式をトルク電流の変動量に関
して解き、上式に代入すると、次式のd軸出力電圧の変
動量とq軸出力電圧の変動量との関係式を得ることがで
きる。
【0183】
【数27】
【0184】上記式により、トルク電流の変動を零とす
るためのd軸電圧変動量とq軸電圧変動量の関係が得ら
れる。
【0185】上記式に、前記(32)式を代入すること
により、直流リンク電圧の変動量と補償量との関係が得
られる。
【0186】
【数28】
【0187】前述した(9´),(10´),(11
´),(12´)式は、上記(51),(52),(5
3),(50)式にそれぞれ一致する。
【0188】ただし、(12´)式と(50)式とは、
演算に用いる変数が指令値と平均値との差異がある。し
かし、ベクトル制御を施すため、指令値に一致した応答
が得られるものとすれば、平均値と指令値とは等価であ
ると考えられる。
【0189】また、2次磁束の回転周波数をインバータ
4の出力周波数に置き換えているのは、励磁電流の変動
に対して2次磁束の変動が非常に小さく、dq軸座標系
上で2次磁束はほぼ一定であるため、2次磁束の回転周
波数とdq軸の回転周波数であるインバータ4の出力周
波数とが一致するためである。
【0190】上述したように、本実施の形態の電力変換
装置においては、前述した第2の実施の形態の電力変換
装置の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0191】さらに、この場合には、2次磁束の変動を
考慮しないことから、前述した第2の実施の形態の電力
変換装置の場合ほど、厳密にトルク電流の変動を抑制す
ることはできないが、補償伝達関数の次数が1つ下が
る。
【0192】これにより、演算処理量を減らすことがで
きるため、より処理能力の低いCPUによって容易に実
現することが可能となる。
【0193】(第4の実施の形態) 図4は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0194】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0195】すなわち、図4において、ゲイン・位相補
償量演算器21では、q軸1次電流指令値iq * 、d軸
2次磁束指令値φ2d * 、インバータ4の出力角周波数ω
i 、出力電圧の位相角θv 、誘導電動機6の速度(角周
波数)ωr を入力として、下記の(54)〜(55)式
に基づいて、ゲイン補償値Kおよび位相補償値γを算出
する。
【0196】ここで、ゲイン補償値Kは、前記第1の実
施の形態における(2´)式で表わされる補償伝達関数
の直流リンク電圧の変動周波数成分、すなわち電源周波
数の2倍の周波数成分のゲインとする。
【0197】また、位相補償値γは、同補償伝達関数の
同周波数成分の位相とする。
【0198】
【数29】
【0199】一方、変動量演算器18では、検出あるい
は推定された直流リンク電圧Vdcを入力として、電源周
波数の2倍の周波数で変動する正弦波を抽出する。
【0200】また、ゲイン位相・補償器20では、直流
リンク電圧Vdcの変動量ΔVdcである正弦波に、上記
(54)式の補償ゲインと(55)式の補償位相差とを
つけた正弦波を出力する。
【0201】例えば、検出された直流リンク電圧Vdc
変動正弦波を(56)式とすると、ゲイン・位相補償器
20の出力は、(57)式に示すようになる。
【0202】
【数30】
【0203】さらに、この(57)式で表わされるゲイ
ン・位相補償器20の出力正弦波を、直流リンク電圧V
dcで除して、インバータ4の出力電圧の位相角への補償
量Δθv を算出する。
【0204】従って、以上のような本実施の形態の電力
変換装置においては、前述した第1の実施の形態の電力
変換装置の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0205】また、前述した第1の実施の形態の電力変
換装置の場合と比べて、補償量の演算過程にダイナミッ
クな演算を含まないため、過去の演算結果を記憶する必
要がなく、記憶容量を低減することが可能となる。
【0206】さらに、制御の安定性のより一層の向上を
図ることが可能となる。
【0207】なお、本実施の形態は、前述した第1の実
施の形態を基本に説明しているが、前述した第2の実施
の形態、または第3の実施の形態を基本としても、同様
な作用効果を得ることが可能である。
【0208】(第5の実施の形態) 図5は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0209】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0210】すなわち、図5において、ゲイン・位相補
償量参照器22では、q軸1次電流指令値iq * 、d軸
2次磁束指令値φ2d * 、インバータ4の出力角周波数ω
i 、出力電圧の位相角θv 、誘導電動機6の速度(角周
波数)ωr を入力として、ゲイン補償値Kおよび位相補
償値γを算出する。
【0211】ここで、ゲイン補償値Kおよび位相補償値
γは、あらかじめ入力パラメータの組み合わせによって
算出され、表としてテーブル化されたものであり、入力
パラメータによって値を読み出してくるものである。よ
って、リアルタイムに補償量を演算するものではない。
【0212】このゲイン・位相補償量参照器22の出力
値は、例えば前述した(1´)〜(4´)式に基づいて
演算する。
【0213】一方、変動量演算器18では、検出あるい
は推定された直流リンク電圧Vdcを入力として、電源周
波数の2倍の周波数で変動する正弦波を抽出する。
【0214】また、ゲイン位相・補償器20では、直流
リンク電圧Vdcの変動量ΔVdcである正弦波に、ゲイン
・位相補償量参照器22から読み出した補償ゲインと補
償位相差をつけた正弦波を出力する。
【0215】例えば、検出された直流リンク電圧Vdc
変動正弦波を、前述した(56)式とすると、ゲイン・
位相補償器20の出力は、前述した(57)式に示すよ
うになる。
【0216】さらに、この(57)式で表わされるゲイ
ン・位相補償器20の出力正弦波を直流リンク電圧Vdc
で除して、インバータ4の出力電圧の位相角への補償量
Δθv を算出する。
【0217】従って、以上のような本実施の形態の電力
変換装置においては、前述した第1の実施の形態の電力
変換装置の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0218】また、前述した第1の実施の形態の電力変
換装置の場合と比べて、補償量の演算過程にダイナミッ
クな演算を含まないため、過去の演算結果を記憶する必
要がなく、記憶容量を低減することが可能となる。
【0219】さらに、前述した第4の実施の形態の電力
変換装置の場合と比べて、テーブルを持つ分だけある程
度大きな記憶領域が必要であるものの、補償量の算出過
程がテーブルの読み出し処理のみとすることができるた
め、制御毎に補償量を演算する必要がなくなる。
【0220】これにより、演算処理量を低減することが
できるため、処理能力の低いCPUを使用して、制御の
応答性をより一層高めることが可能となる。
【0221】 (第6の実施の形態:請求項に対応) 図6は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0222】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0223】すなわち、図6において、トルク検出器2
3により検出した誘導電動機6の発生トルクを、トルク
脈動検出器24によってその脈動量を検出する。
【0224】また、このトルク脈動量を、トルク脈動抑
制器25に入力して、脈動を抑制するようにインバータ
4の出力電圧位相角基準への補償量Δθvを出力する。
すなわち、トルク脈動抑制器25は、例えば一般的なP
I制御器としての構成を有するものであり、トルク脈動
検出器24からの出力であるトルク脈動量を入力とし
て、例えばPI制御演算を施し、インバータ4の出力電
圧位相角基準への補償量Δθ v として出力する。
【0225】さらに、この補償量Δθv を、インバータ
4の出力電圧位相角基準θv * と加算して、インバータ
4の出力電圧位相角θv を算出する。
【0226】従って、以上のような本実施の形態の電力
変換装置においては、トルクを直接制御するため、トル
クの脈動に応じてインバータ4の出力電圧位相角に作用
して脈動を抑制することができる。
【0227】これにより、前述した第1乃至第5の実施
の形態の電力変換装置の場合に比べて、より効果的に脈
動を抑制することが可能となる。
【0228】また、パラメータ等の誤差(モデル化誤
差)や外乱等に対しても、ロバストにトルクリプルを効
果的に抑制することが可能となる。
【0229】 (第7の実施の形態:請求項に対応) 図7は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0230】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第1の実施の形態におけるインバータ4の出力電圧の
位相角への補償量Δθv の演算を行なう部分の構成のみ
が異なっている。
【0231】すなわち、図7において、誘導電動機6の
相電流を電流検出器5によって検出し、座標系変換器2
6に入力する。
【0232】また、座標系変換器26では、3相電流を
dq軸上の電流に変換する。
【0233】そして、この出力であるq軸1次電流iq
とq軸1次電流指令値iq * との偏差を、q軸電流制御
器27に入力する。
【0234】さらに、q軸電流制御器27では、入力を
零とするように、インバータ4の出力電圧位相角基準へ
の補償量Δθvを出力する。すなわち、q軸電流制御器
27は、例えば一般的なPI制御器としての構成を有す
るものであり、q軸1次電流i q とq軸1次電流指令値
q * との偏差を入力として、例えばPI制御演算を施
し、インバータ4の出力電圧位相角基準への補償量Δθ
v として出力する。
【0235】さらに、このインバータ4の出力電圧位相
角基準への補償量Δθv を、インバータ4の出力電圧位
相角基準θv * と加算して、インバータ4の出力電圧位
相角θv を算出する。
【0236】この場合、前述した第1の実施の形態の電
力変換装置で示したように、インバータ4の出力電圧の
位相角θv と電流とは密接に関係するため、出力電圧位
相角θv を操作することによって、q軸1次電流iq
その指令値iq * に一致することができる。
【0237】従って、以上のような本実施の形態の電力
変換装置においては、トルクを直接制御するため、トル
クの脈動に応じてインバータ4の出力電圧位相角に作用
して、q軸電流の脈動を抑制することができる。
【0238】また、前述した第1の実施の形態の電力変
換装置で示したように、d軸2次磁束はほぼ一定である
ため、q軸1次電流の脈動を抑制することで、トルク脈
動を抑えることが可能となる。
【0239】これにより、前述した第1乃至第5の実施
の形態の電力変換装置の場合に比べて、より効果的に脈
動を抑制することが可能となる。
【0240】さらに、前述した第1の実施の形態の電力
変換装置がフィードフォワード的補償であるのに対し
て、本実施の形態では直接q軸1次電流iq とその指令
値iq * との偏差を零にするフィードバック的補償であ
るため、パラメータ等の誤差(モデル化誤差)や外乱等
に対しても、ロバストにトルクリプルを効果的に抑制す
ることが可能となる。
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】(第8の実施の形態) 図8は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例
を示すブロック図であり、前述した図5と同一部分には
同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部
分についてのみ述べる。
【0272】本実施の形態による電力変換装置では、前
記第5の実施の形態におけるゲイン・位相補償量演算器
21の出力部分の構成のみが異なっている。
【0273】すなわち、図において、ゲイン・位相補
償量演算器21からの出力であるゲイン補償値Kおよび
位相補償値γに、ゲイン調整器31および位相調整器3
2からの出力である補償値K´およびγ′をそれぞれ加
算して、ゲイン・位相補償器20へ入力する。
【0274】この場合、補償値K´およびγ′は、制御
の遅れや制御周期を考慮して決定する。すなわち、例え
ば制御周期をTc、制御遅れをTdとする。この制御周期
Tcとは、制御演算の周期[単位は時間]を表わし、制
御遅れTdとは、制御演算開始時刻から補償量が反映さ
れるまでの時間[単位は時間]を表わす。 単相電源50
Hz、単相コンバータから成るシステムでは、制御演算
で算出された補償量、例えば出力電圧位相角補償量Δθ
v の等価的な遅れは、 −(Tc/2+Td)×50×2×360[deg] となる。よって、この遅れ位相分を、あらかじめ進めて
補正することが不可欠である。したがって、位相補償量
への補正値として、 補償値γ′=+(Tc/2+Td)×50×2×360[deg] を設定する。これにより、制御周期や制御遅れの影響を
低減して、トルクリプルを十分に抑制することが可能で
ある。補償値K´に関しては、制御周期や制御遅れとい
うより、直流リンク電圧の電圧検出における誤差等に対
応した調整量となる。例えば、仮に+−3%であるとす
れば、補償値K´も同様に+−3%として設定する。こ
の意味は、調整時に、この電圧検出器のばらつきを補な
うため、調整が必要になることを表わしている。実際補
償値を+−3%と設定できるわけではなく、仮に電圧検
出器が+3%であれば、補償値K´を−3%と調整する
ことが必要となる。
【0275】従って、以上のような本実施の形態の電力
変換装置においては、前述した第5の実施の形態の電力
変換装置の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0276】さらに、制御の遅れや制御周期を考慮した
ゲイン補償、位相補償が行なえるため、制御周期が比較
的大きいシステム構成においても、トルクリプルを抑制
することが可能となる。
【0277】(その他の実施の形態) 前述した第1乃至第の実施の形態の電力変換装置にお
いて、インバータ4の動作モードが、定電圧可変周波数
(CVVF)モードで動作するようにすることにより、
特に本発明の電力変換装置が有効となる。
【0278】すなわち、インバータ4の動作モードが定
電圧可変周波数(CVVF)モードである場合には、出
力電圧のベクトル長が直流リンク電圧に依存してしまい
任意に制御することができず、ビート現象が顕著に現わ
れるが、この定電圧可変周波数(CVVF)モードで
は、特に本発明の電力変換装置が極めて有効となる。
【0279】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電力変換
装置によれば、理論的に求めた補償量によって逐次補償
を行なうようにしたので、いかなる運転状態、あるいは
各パラメータ値が異なるような制御対象でも、調整を不
要としてトルクリプルを極めて効果的に抑制することが
可能となる。
【0280】これにより、調整にかかる時間と労力を極
めて大幅に削減することができる。
【0281】また、例えば電源が単相である場合に、イ
ンバータの出力周波数が電源の2倍周波数の付近にある
場合のトルクリプルを抑制することが可能となる。
【0282】これにより、騒音の低減、機械系、および
電気系の故障率の低下を期待することができる。
【0283】さらに、電車を駆動する誘導電動機に応用
した場合には、乗り心地の改善効果を得ることが可能と
なる。
【0284】一方、制御毎に補償量を演算する必要がな
いので、演算処理量を低減することができる、処理能力
の低いCPUを使用して、制御の応答性をより一層高め
ることが可能となる。
【0285】また、モデル化誤差や外乱等に対しても、
効果的に作用することが可能となる。
【0286】さらに、従来のソフトウェアを流用する場
合に、インバータの出力電圧位相角の算出から、インバ
ータの出力電圧位相角に基づくゲート制御の部分を、な
んら変更する必要がなく、本発明のビートレス制御を容
易に組み込むことが可能となる。
【0287】これにより、ソフトウェアによって実現す
る上では、インバータの出力電圧位相角の演算処理以後
の部分を共有化することができるため、ソフトウェアの
開発時間および開発予算を低減することができる。
【0288】さらに、制御の遅れや制御周期を考慮した
位相補償、ゲイン補償が行なえるので、制御周期が比較
的大きいシステム構成においても、トルクリプルを抑制
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第4の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図5】本発明の第5の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第6の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図7】本発明の第7の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図8】本発明の第8の実施の形態による電力変換装置
の構成例を示すブロック図。
【図9】インバータから出力される電圧のdq軸回転座
標系上でのベクトルの一例を示す図。
【図10】従来の電力変換装置の概略構成例を示すブロ
ック図。
【符号の説明】
1…単相電源、2…単相コンバータ、3…直流コンデン
サ、4…インバータ、5…電流検出器、6…誘導電動
機、7…速度検出器、8…電圧検出器、9…磁束指令補
正器、10…滑り角周波演算器、11…積分器、12…
d軸電流指令演算器、13…q軸電流指令演算器、14
…d軸電圧指令演算器、15…q軸電圧指令演算器、1
6…座標系変換器、17…ゲート制御器、18…変動量
演算器、19…補償量演算器、20…ゲイン位相・補償
器、21…ゲイン・位相補償量演算器、22…ゲイン・
位相補償量参照器、23…トルク検出器、24…トルク
脈動検出器、25…トルク脈動抑制器、26…座標系変
換器、27…q軸電流制御器、28…擬似微分器、29
…滑り周波数制御器、30…平均値演算器、31…ゲイ
ン調整器、32…位相調整器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−58777(JP,A) 特開 平10−84689(JP,A) 特開 平7−241100(JP,A) 特公 平7−46918(JP,B2) 中村清、他,コンバータ・インバータ システムにおけるビート現象の抑制法, 電機学会論文誌D,日本,VOL.109, No.5,363−369 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02P 21/00 H02M 7/42 - 7/98 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源からの交流電力を直流電力に変換し
    て出力するコンバータと、 前記コンバータから出力される直流電力を平滑化する直
    流コンデンサと、 前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意
    の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動制御す
    るインバータと、 前記誘導電動機の2次磁束ベクトルを演算する手段と、 前記演算された2次磁束ベクトルに直交する電流を演算
    する手段と、 前記演算された2次磁束ベクトルに一致する電流に脈動
    が存在する状態で、前記演算された2次磁束ベクトルに
    直交する電流の値が一定となるように、前記2次磁束ベ
    クトルに対する前記インバータの出力電圧の位相角を制
    御する手段と、 を備えて成ることを特徴とする電力変換装置。
  2. 【請求項2】 電源からの交流電力を直流電力に変換し
    て出力するコンバータと、 前記コンバータから出力される直流電力を平滑化する直
    流コンデンサと、 前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意
    の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動制御す
    るインバータと、 前記誘導電動機の2次磁束軸に一致した軸をd軸とし、
    かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸回転座標
    系上で制御を行なうベクトル制御手段と、 前記q軸成分の電流を検出あるいは演算する手段と、 前記d軸成分の電流に脈動が存在する状態で、前記検出
    あるいは演算されたq軸成分の電流の値が一定となるよ
    うに、前記d軸に対する前記インバータの出力電圧の位
    相角を制御する手段と、 を備えて成ることを特徴とする電力変換装置。
  3. 【請求項3】 電源からの交流電力を直流電力に変換し
    て出力するコンバータと、 前記コンバータから出力される直流電力を平滑化する直
    流コンデンサと、 前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意
    の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動制御す
    るインバータと、 前記誘導電動機の2次磁束ベクトルを演算する手段と、 前記誘導電動機の出力トルクを検出あるいは演算する手
    段と、 前記演算された2次磁束ベクトルに一致する電流に脈動
    が存在する状態で、前記検出あるいは演算された出力ト
    ルクの値が一定となるように、前記演算された2次磁束
    ベクトルに対する前記インバータの出力電圧の位相角を
    制御する手段と、 を備えて成ることを特徴とする電力変換装置。
  4. 【請求項4】 電源からの交流電力を直流電力に変換し
    て出力するコンバータと、 前記コンバータから出力される直流電力を平滑化する直
    流コンデンサと、 前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意
    の周波数の交流電力に変換して誘導電動機を駆動制御す
    るインバータと、 前記誘導電動機の2次磁束軸に一致した軸をd軸とし、
    かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸回転座標
    系上で制御を行なうベクトル制御手段と、 前記q軸成分の電流を検出あるいは演算する手段と、 q軸1次電流指令値を演算する手段と、 前記検出あるいは演算されたq軸成分の電流の値と前記
    演算されたq軸1次電流指令値との偏差を演算する手段
    と、 前記d軸成分の電流に脈動が存在する状態で、前記演算
    された偏差が零となるように、前記d軸に対する前記イ
    ンバータの出力電圧の位相角を制御する手段と、 を備えて成ることを特徴とする電力変換装置。
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